特許第6106424号(P6106424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6106424
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】ボディリンス剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20170316BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20170316BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20170316BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   A61K8/891
   A61K8/89
   A61K8/25
   A61Q19/00
   A61K8/34
   A61K8/37
   A61K8/33
   A61K8/36
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-275458(P2012-275458)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-118393(P2014-118393A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 遼太郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 智海
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 穣
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−136963(JP,A)
【文献】 特開2007−070297(JP,A)
【文献】 特開平06−065596(JP,A)
【文献】 特開2010−189366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−99/00
DB等 DWPI(Thomson Innovation)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)水不溶性粉体、
(B)直鎖状シリコーン油又は環状シリコーン油であり、かつ25℃における粘度が10センチストークス(cs)以下であるシリコーン油、及び
(C)SP値が17.2以上23.1未満であり、かつ25℃において液体である油性成分
を含有し、成分(A)の含有量に対する成分(B)及び成分(C)の合計含有量の質量比((B+C)/A)が0.05以上2.5以下であるボディリンス剤。
【請求項2】
成分(B)の含有量と成分(C)の含有量の質量比が、0.01以上1以下である請求項1に記載のボディリンス剤。
【請求項3】
さらに、(D)水を含有する請求項1又は2に記載のボディリンス剤。
【請求項4】
成分(C)が、炭素数8以上の高級脂肪酸とアルコールのエステル、炭素数8以上のグリセリルエーテル、炭素数12以上28以下の高級脂肪酸、及び炭素数12以上28以下の高級アルコールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜のいずれか1項に記載のボディリンス剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボディリンス剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、濡れた肌に塗布してから水ですすぐボディリンス剤として、様々な効果を付与したものが開発されている。こうしたなか、肌にさらさら感やすべり感等の効果を付与すべく、粉体と油性成分とを併用したボディリンス剤が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、特定の表面張力を有する油剤で表面処理した粉体と、特定の表面張力や粘度を有する油性物質とを併用した皮膚化粧料が開示されている。また、特許文献2には、水不溶性粉体に特定の重量比となる油性物質を含有させ、l−メントール等を併用したボディ化粧料が開示されている。さらに、特許文献3には、水不溶性無機粉体に、25℃で液体の油性成分を併用し、さらに特定の水溶性高分子及び多価金属イオンを含有するボディリンス剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−178164号公報
【特許文献2】特開2005−68162号公報
【特許文献3】特開2010−189366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記いずれの剤であっても、水ですすいだ後やその後の発汗によって皮膚から粉体が脱落してしまうのを十分に抑止し、さらに長時間にわたって肌のさらさら感をもたらすには、依然として改善の余地がある。また、さらなる使用感の向上を図る上で、粉体に油性成分が均一に被覆されることによって粉体が凝集してダマが発生するのを防止し、塗布性をより高めることも必要である。
【0006】
したがって、本発明は、皮膚への粉体の吸着性をより高めて、肌にもたらされるさらさら感の持続性を高め、かつ塗布性の向上を図ることができるボディリンス剤に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者らは、種々検討したところ、水不溶性粉体にシリコーン油とともに特定の油性成分を併用することにより、これらシリコーン油と特定の油性成分とが相まって水不溶性粉体に均一に被覆して皮膚への粉体の吸着性を効果的に高めることができるとともに、水不溶性粉体の凝集を抑制してダマ(凝集物)の発生を防止し、塗布性の向上を図ることができるボディリンス剤が得られることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)水不溶性紛体、
(B)シリコーン油、及び
(C)SP値が17.2以上23.1未満であり、かつ25℃において液体である油性成分
を含有し、成分(A)の含有量に対する成分(B)及び成分(C)の合計含有量の質量比((B+C)/A)が0.05以上2.5以下であるボディリンス剤に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のボディリンス剤によれば、水不溶性粉体にシリコーン油と特定の油性成分とが相まって均一に被覆しているため、肌に塗布した後、浴水やシャワー水などですすいだ後にも、皮膚に水不溶性粉体が効率的に残存及び吸着して、肌に優れたさらさら感をもたらし、これを長時間に亘って持続させることができる。また、粉体が凝集するのを有効に防止するため、ダマ(凝集物)が発生することなく良好な外観を保持しながら、ざらつきのない優れた塗布性を発揮することができる。
【0010】
なお、本発明において「さらさら感」とは、成分(A)の水不溶性粉体が皮膚に良好に吸着して、適用後の肌に触れたときにひっかかりを感じることなく、適度な保湿性を保持しながら衣服等が肌にはりつくような感触もなく、爽快感が実感できることを意味する。また、「良好な塗布性」とは、本発明のボディリンス剤中にダマ(凝集物)が存在せず、皮膚に伸ばした際に摩擦やざらつきを感じることなく、均一に薄く広がることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のボディリンス剤は、成分(A)の水不溶性粉体を含有する。かかる成分(A)を含有することにより、肌にさらさら感をもたらすことができ、後述する成分(B)と成分(C)の合計含有量が成分(A)に対して特定の質量比であることにより、成分(A)の表面を成分(B)と成分(C)が効率よく被覆することも相まって、本発明のボディリンス剤を塗布した後、浴水やシャワー水などですすいだ後にも成分(A)が有効量で皮膚上に残存及び吸着して、良好なさらさら感を長時間持続させることができる。
【0012】
本発明に用いられる水不溶性粉体(A)としては、水不溶性無機粉体、水不溶性有機粉体が挙げられる。かかる水不溶性無機粉体としては、水不溶性の無機粉体であればいずれのものでもよく、例えば、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、珪藻土、シリカ(ケイ酸、無水ケイ酸)、ケイ酸マグネシウム、雲母、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ミョウバン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム等の粉体、及びこれらの粉体表面をシランカップリング剤等で化学的に改質したものから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらのなかでも、原料入手の観点から、表面を改質していない粉体が好ましく、さらさら感及びその持続性の観点から、タルク、カオリン及びシリカから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、タルクがさらに好ましい。
【0013】
また、水不溶性有機粉体としては、シリコーンパウダー、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸又はアクリル酸エステル重合体、メタクリル酸又はメタクリル酸エステル重合体、アクリル酸/スチレン共重合体、及びスチレン/ジビニルベンゼン共重合体等の粉体から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらのなかでも、皮膚に塗布した際、皮膚上での伸びのよさやさらさら感を付与する点で、シリコーンパウダーが好ましい。
【0014】
シリコーンパウダーとは、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムを粉末化したものであり、シリコーン樹脂及びシリコーンゴムを形成するオルガノポリシロキサンの種類、充填剤、硬化剤、有機基とケイ素のモル比等に制限されない。かかるシリコーンパウダーの形状としては、略球状が好ましい。シリコーンパウダーの市販品としては、トスパール(東芝シリコーン(株)製)、トレフィル(東レ・ダウコーニング(株)製)、シリコーンパウダー(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0015】
水不溶性粉体(A)として水不溶性無機粉体と水不溶性有機粉体は、それぞれ単独で用いても肌にさらさら感をもたらすことができる。また、水不溶性無機粉体と水不溶性有機粉体とを併用することにより、よりさらさら感を向上させ、良好な塗布性をも付与することができる。水不溶性粉体(A)として水不溶性無機粉体と水不溶性有機粉体とを併用する場合、これら水不溶性無機粉体と水不溶性有機粉体の含有量比(質量比)は、伸びの良さとさらさら感とを充分に向上させる観点から、好ましくは20:1〜1:20であり、より好ましくは10:1〜1:10であり、さらに好ましくは5:1〜1:5である。
【0016】
成分(A)の形状は特に限定されず、板状、塊状、鱗片状、球状等のいずれであってもよく、皮膚感触を高める観点から、板状、鱗片状、球状等の粉体がより好ましい。
成分(A)の大きさは、使用感を高める観点から、平均粒径が0.1〜50μmのものが好ましく、平均粒径が1〜20μmの粉体がより好ましい。
【0017】
成分(A)の含有量は、使用感の観点から、本発明のボディリンス剤中に、好ましくは1.5質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは7質量%以上である。成分(A)の含有量は、成分(A)の表面を成分(B)及び成分(C)で効率よく被覆する観点から、本発明のボディリンス剤中に、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、さらに好ましくは25質量%以下である。また、成分(A)の含有量は、本発明のボディリンス剤中に、好ましくは1.5〜40質量%であり、より好ましくは2〜35質量%であり、さらに好ましくは7〜25質量%である。
【0018】
なかでも、成分(A)の水不溶性粉体、例えば水不溶性無機粉体が吸油性を有するものであると、ボディリンス剤中の油性成分等を吸収して皮膚表面に付着しやすくなる。また皮膚上の油分を吸収してさらさら感を向上させる。ここで吸油性とは、水と相溶しない液体成分を吸収する性質のことであり、本発明で用いる成分(A)の水不溶性粉体の吸油量は10〜500ml/100gであることが好ましく、20〜200ml/100gであることがさらに好ましい。このような吸油性を有する水不溶性粉体であれば、塗布後水ですすいでも皮膚上に良好に残存し、さらさら感が長時間に亘って持続する。なお、上記吸油量は、JIS K5101−13−2:2004に準拠して測定される値である。この吸油量の測定方法は以下のとおりである。
【0019】
吸油量の測定方法:
JIS K5101−13−2:2004に従って測定する。
すなわち、試料7g(例えば、タルク3gまたはカオリン3gまたはシリカ1g)を400mm×500mmの平滑なガラス板の中央に取り、煮亜麻仁油(JIS K5421)をビュレット(JIS R3505,10ml)に入れ、ビュレットから1回に4、5滴ずつ徐々に試料の中央に滴下し、その都度全体をパレットナイフ(先が細くなった銅製の刃が付いていて、長さが145mm、最大幅25mmで最小幅15mmのもの)で充分に練り合わせる。滴下及び練り合わせを繰り返し、全体が硬いパテ状の塊となったら、1滴ごとに練り合わせて、最後の1滴で、パレットナイフを用いてらせん形に巻くことができる状態または煮亜麻仁油1滴で急激に柔らかくなる直前を終点とする。粉体に煮亜麻仁油を滴下開始してから上記終点までの操作時間は9〜13分である。終点に達したときのビュレット内の煮亜麻仁油滴下量を読み取る。
【数1】
【0020】
本発明のボディリンス剤は、成分(B)のシリコーン油を含有する。成分(B)としては、直鎖状シリコーン油又は環状シリコーン油が挙げられ、具体的には、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、高級アルコール変性ポリシロキサン、及びアミノ変性ポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらのなかでも、さらに使用感を高める観点から、25℃における粘度が10センチストークス(cs)以下のものが好ましく、さらに8センチストークス(cs)以下のものがより好ましく、また、1センチストークス(cs)以上のものが好ましく、さらに2センチストークス(cs)以上のものがより好ましい。具体的には、例えば、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、及びメチルシクロポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0021】
成分(B)の含有量は、成分(C)と相まって成分(A)の表面を効率よく被覆し、タオルドライ後のさらさら感・さらさら感の持続性の観点から、本発明ボディリンス剤中に、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.6質量%以上であり、さらに好ましくは1.5質量%以上である。成分(B)の含有量は、良好な使用感を保持する観点から、本発明ボディリンス剤中に、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは33質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である。また、成分(B)の含有量は、本発明ボディリンス剤中に、好ましくは0.5〜35質量%であり、より好ましくは0.6〜33質量%であり、さらに好ましくは1.5〜30質量%である。
【0022】
本発明のボディリンス剤は、成分(C)として、SP値が17.2以上23.1未満であり、かつ25℃において液体の油性成分を含有する。SP値(溶解度パラメーター)とは、親和性の指標であり、互いに値が近似しているほど親和性が高いことを意味する。なお、本明細書におけるSP値とは、次式(i)を用いてHansenの3次元溶解度パラメーターを計算することにより求めたものである。また、式中、右辺の各項は、モル引力定数に基づく計算式(ii)〜(iv)により求めることができる。なお、δd、δp、δhは下記のように原子団のモル引力定数(Fdi,Fpi,Ehi)に基づいて下記式(ii)〜(iv)を用いて計算できるが、本明細書においては、モル引力定数に関しては、Van Krevelenらにより定められた値を用い、モル体積(Vi)においてはFedorにより定められた原子団の体積値を用いた(表1)。また、本計算式により求められた各油剤のSP値を表2に示す。
【0023】
δ=(δd2 +δp2 +δh21/2 ・・・(i)
δ;溶解度パラメーター
δd;Londonの分散力(ファンデルワールス力)による項(分散項)
δp;分子の極性による項(極性項)
δh;水素結合による項(水素結合項)
【0024】
δd=ΣFdi /ΣVi ・・・・・・・・(ii)
δp=(ΣFpi 21/2 /ΣVi ・・・(iii)
δh=(ΣEhi /ΣVi )1/2 ・・・・(iv)
Fdi 、Fpi 、Ehi ;モル引力定数、Vi ;モル体積
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
成分(C)のSP値は、成分(B)との親和性を良好に保持しながら皮膚への吸着性を高めるという観点から、17.2以上であって、好ましくは17.3以上であり、より好ましくは17.4以上である。成分(C)のSP値は、同様の観点から、23.1未満であって、好ましくは23以下であり、より好ましくは22.9以下である。また、成分(C)のSP値は、17.2以上23.1未満であって、好ましくは17.3〜23.0であり、より好ましくは17.4〜22.9である。かかる成分(C)としては、具体的には、例えば、イソステアリン酸(SP値:17.5)、オレイン酸(SP値:17.6)、イソパルミチン酸(SP値:17.6)、リノール酸(SP値:17.6)、イソミリスチン酸(SP値:17.7)、ラウリルアルコール(SP値:18.2)、オレイルアルコール(SP値:18.5)、リシノール酸(SP値:19.8)、モノイソステアリルグリセリルエーテル(SP値:20.6)、オレイン酸モノグリセライド(SP値:20.6)、ソルビタンセスキオレエート(SP値:20.9)、ソルビタンモノオレエート(SP値:22.8)が挙げられる。
【0028】
成分(C)は、成分(B)と相まって成分(A)の表面を効率よく被覆し、水ですすいだ後における成分(A)の皮膚への吸着性を高める観点から、炭素数8以上の高級脂肪酸とアルコールのエステル、炭素数8以上のグリセリルエーテル、炭素数12以上28以下の高級脂肪酸、及び炭素数12〜以上28以下の高級アルコールから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。成分(C)の高級脂肪酸とアルコールのエステルは、成分(A)の表面を効率よく被覆し、水ですすいだ後における成分(A)の皮膚への吸着性を高める観点から、好ましくは炭素数8以上であって、より好ましくは炭素数10以上であり、さらに好ましくは炭素数12以上である。成分(C)として用いることができる高級脂肪酸とアルコールのエステルは、製剤中に均一に分散して良好な塗付性を得る観点から、好ましくは炭素数50以下であり、より好ましくは炭素数48以下であり、さらに好ましくは炭素数46以下である。また、成分(C)の高級脂肪酸とアルコールのエステルは、好ましくは炭素数8〜50であり、より好ましくは10〜48であり、さらに好ましくは12〜46である。かかる高級脂肪酸とアルコールのエステルとしては、具体的には、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、及びオレイン酸モノグリセライドから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0029】
成分(C)として用いることができるグリセリルエーテルは、成分(A)の表面を効率よく被覆し、水ですすいだ後における成分(A)の皮膚への吸着性を高める観点から、好ましくは炭素数8以上であって、より好ましくは炭素数10以上であり、さらに好ましくは炭素数12以上である。成分(C)のグリセリルエーテルは、製剤中に均一に分散して良好な塗付性を得る観点から、好ましくは炭素数50以下であって、より好ましくは炭素数48以下であり、さらに好ましくは炭素数46以下である。かかるグリセリルエーテルとしては、具体的には、例えば、モノイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0030】
成分(C)として用いることができる高級脂肪酸は、成分(A)の表面を効率よく被覆し、水ですすいだ後における成分(A)の皮膚への吸着性を高める観点から、好ましくは炭素数12以上であって、より好ましくは炭素数14以上であり、さらに好ましくは炭素数16以上である。成分(C)の高級脂肪酸は、製剤中に均一に分散して良好な塗付性を得る観点から、好ましくは炭素数28以下であって、より好ましくは炭素数26以下であり、さらに好ましくは炭素数24以下である。また、成分(C)の高級脂肪酸は、好ましくは炭素数12〜28であり、より好ましくは炭素数14〜26であり、さらに好ましくは16〜24である。かかる高級脂肪酸としては、具体的には、不飽和脂肪酸及び/又はヒドロキシ脂肪酸が好ましく、例えば、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、リシノール酸、リノレイン酸及びオキシステアリン酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらのなかでも、オレイン酸、リノール酸、及びリシノール酸から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0031】
成分(C)として用いることができる高級アルコールは、成分(A)の表面を効率よく被覆し、水ですすいだ後における成分(A)の皮膚への吸着性を高める観点から、好ましくは炭素数12以上であって、より好ましくは炭素数14以上であり、さらに好ましくは炭素数16以上である。成分(C)の高級アルコールは、製剤中に均一に分散して良好な塗付性を得る観点から、好ましくは炭素数28以下であって、より好ましくは炭素数26以下であり、さらに好ましくは炭素数24以下である。また、成分(C)の高級アルコールは、好ましくは炭素数12〜28であり、より好ましくは14〜26であり、さらに好ましくは16〜24である。かかる高級アルコールとしては、具体的には、例えば、ラウリルアルコール及びオレイルアルコールから選ばれる1種又は2種が挙げられる。
【0032】
成分(C)のなかでも、肌に優れたさらさら感をもたらし、これを長時間に亘って持続させる観点から、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、モノイソステアリルグリセリルエーテル、オレイン酸モノグリセライド、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、ラウリルアルコール、及びオレイルアルコールから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、中でも、リノール酸、リシノール酸、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、モノイソステアリルグリセリルエーテル、オレイン酸モノグリセライド、オレイン酸、及びオレイルアルコールから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、さらに、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、モノイソステアリルグリセリルエーテル、オレイン酸モノグリセライド、オレイン酸、及びオレイルアルコールから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、さらに、ソルビタンモノオレエート、モノイソステアリルグリセリルエーテル、オレイン酸、及びオレイルアルコールから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
【0033】
成分(C)の含有量は、成分(B)と相まって成分(A)の表面を効率よく被覆し、水ですすいだ後における成分(A)の皮膚への吸着性を高める観点から、本発明のボディリンス剤中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.3質量%以上である。成分(C)の含有量は、べたつき感等を低減して良好な使用感を保持する観点から、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。また、成分(C)の含有量は、本発明のボディリンス剤中に、好ましくは0.01〜30質量%であり、より好ましくは0.1〜15質量%であり、さらに好ましくは0.3〜10質量%である。
【0034】
成分(A)の含有量に対する成分(B)及び成分(C)の合計含有量の質量比((B+C)/A)は、成分(B)と相まって成分(A)の表面を効率よく被覆し、水にすすいだ後における成分(A)の皮膚への吸着性を高める観点から、0.05以上であって、好ましくは0.075以上であり、より好ましくは0.1以上であり、さらに好ましくは0.3以上である。成分(A)の含有量に対する成分(B)及び成分(C)の合計含有量の質量比((B+C)/A)は、成分(A)が凝集するのを有効に防止して油浮き等を抑制する観点から、2.5以下であって、好ましくは2.3以下であり、より好ましくは2.1以下であり、さらに好ましくは2以下である。また、成分(A)の含有量に対する成分(B)及び成分(C)の合計含有量の質量比((B+C)/A)は、0.05以上2.5以下であって、好ましくは0.075〜2.3であり、より好ましくは0.1〜2.1であり、さらに好ましくは0.3〜2である。
【0035】
成分(A)の含有量と成分(C)の含有量の質量比(C/A)は、成分(B)と相まって成分(C)が成分(A)の表面を効率よく被覆し、水ですすいだ後における成分(A)の皮膚への吸着性を高める観点から、好ましくは0.001以上であり、より好ましくは0.015以上であり、さらに好ましくは0.03以上である。成分(A)の含有量と成分(C)の含有量の質量比は、べたつき感等を低減して成分(A)のさらさら感を持続させ、良好な使用感を保持する観点から、好ましくは1.25以下であり、より好ましくは1以下であり、さらに好ましくは0.75以下である。また、成分(A)の含有量と成分(C)の含有量の質量比は、好ましくは0.001〜1.25であり、より好ましくは0.015〜1であり、さらに好ましくは0.02〜0.75である。
【0036】
成分(B)の含有量と成分(C)の含有量の質量比(C/B)は、成分(B)と成分(C)が成分(A)の表面を効率よく被覆し、水ですすいだ後における成分(A)の皮膚への吸着性を高める観点から、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.015以上であり、さらに好ましくは0.03以上である。成分(B)の含有量と成分(C)の含有量の質量比は、べたつき感等を低減して良好な使用感を保持する観点から、好ましくは1以下であり、より好ましくは0.75以下であり、さらに好ましくは0.23以下である。また、成分(B)の含有量と成分(C)の含有量の質量比は、好ましくは0.01以上1以下であり、より好ましくは0.015〜0.75であり、さらに好ましくは0.03〜0.23である。
【0037】
なお、本発明のボディリンス剤は、成分(B)や成分(C)による成分(A)の表面を均一に被覆する観点、及び良好な使用感を保持する観点から、25℃において固体の油性成分の含有量が0.05質量%未満であることが好ましく、又は不可避的に混入する場合を除き、25℃において固体の油性成分を含有しないことが好ましい。25℃において固体の油性成分としては、l−メントール、乳酸メンチル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸が挙げられる。
【0038】
25℃において固体の油性成分の含有量は、良好なさらさら感や使用感を持続させる観点から、好ましくは0.05質量%未満であり、より好ましくは0.01質量%未満であり、さらに好ましくは0.001質量%未満であり、或いは25℃において固体の油性成分を含有しないことが好ましい。
【0039】
本発明のボディリンス剤は、上記各成分を良好に分散させる観点から、成分(D)として、水を含有するのが好ましい。成分(D)の含有量は、成分(A)の均一な分散を確保して良好な塗布性を付与する観点から、本発明のボディリンス剤中に、好ましくは23質量%以上であり、より好ましくは35質量%以上であり、さらに好ましくは37質量%以上である。成分(D)の含有量は、良好な使用感と成分(A)によるさらさら感を確保する観点から、本発明のボディリンス剤中に、好ましくは96質量%以下であり、より好ましくは88質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下である。また、成分(D)の含有量は、本発明のボディリンス剤中に、好ましくは23〜96質量%であり、より好ましくは35〜88質量%であり、さらに好ましくは37〜80質量%である。
【0040】
また、本発明のボディリンス剤は、成分(A)の肌への高い吸着性の点、及び水で軽くすすいでも流れ去ることなく肌表面に均一に残存させて、タオルドライ後も充分なさらさら感を得る観点から、水溶性高分子を含有するのが好ましい。かかる水溶性高分子としては、キサンタンガム、カラギーナン(λ−カラギーナン、κ−カラギーナン、ι−カラギーナン)、寒天等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を混合して使用することができる。中でも、さらさら感の持続性及び系の安定性の観点から、キサンタンガム、カラギーナンがより好ましく、キサンタンガムがさらに好ましい。水溶性高分子の含有量は、さらさら感の持続性及び粉体の分散性等の系の安定性の観点から、本発明のボディリンス剤中に、好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.05〜3質量%であり、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
【0041】
さらに、本発明のボディリンス剤は、ボディリンス剤中の各成分を安定的に分散させて成分(A)の肌への吸着性を高める点、及びさらさら感の持続性や塗布した際における良好な広がり性を確保する観点から、多価金属塩を含有するのが好ましい。かかる多価金属イオンとしては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。中でも、成分(A)の水不溶性粉体との相性の観点から、また、色調やコストの観点から、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンが好ましい。
【0042】
なお、多価金属イオンをボディリンス中に所望の濃度含有させる方法としては、いずれの方法によっても良いが、例えば、上記金属イオンに解離する塩(塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ヨウ化物塩、フッ化物塩、リン酸塩、臭化物塩、炭酸塩)や塩化物、酸化物、硫化物等を添加することで、多価金属イオンを含有させる方法がある。また、原料由来の溶出成分(不純物等として原料に含まれる)によって多価金属イオンを含有させる方法であっても良い。この場合、例えば、本発明のボディリンス剤の調製時に原料中から溶出する多価金属イオンの含有量を測定し、所望の濃度範囲になることを確認すれば良い。なお、原料由来の溶出成分では不足している場合は、これら塩や塩化物、酸化物、硫化物を適宜追加添加して、所望の含有量となるように調整しても良い。
【0043】
多価金属イオンの含有量は、ダマ(凝集物)等が発生することなく各成分が皮膚に薄く均一に広がり良好に付着して、良好なさらさら感を持続させる観点から、本発明のボディリンス剤中に、好ましくは0.01〜2質量%であり、より好ましくは0.05〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.6質量%である。
【0044】
さらに、本発明のボディリンス剤は、本発明の効果を害さない範囲で、保湿成分、抗炎症剤、美白剤、UVケア剤、殺菌剤、防腐剤、制汗剤、香料等を含有することもできる。
【0045】
本発明のボディリンス剤は、常法に従って上記成分を混合することにより製造することができる。
【0046】
上述した実施態様に関し、本発明はさらに以下のボディリンス剤を開示する。
[1]次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)水不溶性紛体、
(B)シリコーン油、及び
(C)SP値が17.2以上23.1未満であり、かつ25℃において液体である油性成分
を含有し、成分(A)の含有量に対する成分(B)及び成分(C)の合計含有量の質量比((B+C)/A)が0.05以上2.5以下であるボディリンス剤。
[2]成分(A)は、水不溶性無機粉体及び/又は水不溶性有機粉体である上記[1]のボディリンス剤。
[3]水不溶性無機粉体は、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、珪藻土、シリカ(ケイ酸、無水ケイ酸)、ケイ酸マグネシウム、雲母、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ミョウバン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、及び硫酸マグネシウムから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはタルク、カオリン及びシリカから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはタルクである上記[2]のボディリンス剤。
【0047】
[4]水不溶性有機粉体は、シリコーンパウダー、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸又はアクリル酸エステル重合体、メタクリル酸又はメタクリル酸エステル重合体、アクリル酸/スチレン共重合体、及びスチレン/ジビニルベンゼン共重合体から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはシリコーンパウダーである上記[2]又は[3]のボディリンス剤。
[5]成分(A)が水不溶性無機粉体と水不溶性有機粉体とを含み、水不溶性無機粉体と水不溶性有機粉体の含有量比(質量比)が、好ましくは20:1〜1:20であり、より好ましくは10:1〜1:10であり、さらに好ましくは5:1〜1:5である上記[2]〜[4]いずれか1のボディリンス剤。
[6]成分(A)の平均粒径は、好ましくは0.1〜50μmであり、より好ましくは1〜20μmである上記[1]〜[5]いずれか1のボディリンス剤。
[7]成分(A)の含有量は、好ましくは1.5質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは7質量%以上であり、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、さらに好ましくは25質量%以下である上記[1]〜[6]いずれか1のボディリンス剤。
【0048】
[8]成分(B)は、好ましくは直鎖状シリコーン油又は環状シリコーン油であり、より好ましくはメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、高級アルコール変性ポリシロキサン、及びアミノ変性ポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上である上記[1]〜[7]いずれか1のボディリンス剤。
[9]成分(B)の25℃における粘度が10センチストークス(cs)以下のものが好ましく、8センチストークス(cs)以下のものがより好ましく、また1センチストークス(cs)以上のものが好ましく、2センチストークス(cs)以上のものがより好ましい上記[1]〜[8]いずれか1のボディリンス剤。
[10]成分(B)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.6質量%以上であり、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは33質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である上記[1]〜[9]いずれか1のボディリンス剤。
[11]成分(B)の含有量と成分(C)の含有量の質量比(C/B)は、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.015以上であり、さらに好ましくは0.03以上であり、好ましくは1以下であり、より好ましくは0.75以下であり、さらに好ましくは0.23以下である上記[1]〜[10]いずれか1のボディリンス剤。
【0049】
[12]成分(C)のSP値は、好ましくは17.3以上であり、より好ましくは17.4以上であり、好ましくは23以下であり、より好ましくは22.9以下である上記[1]〜[11]いずれか1のボディリンス剤。
[13]成分(C)は、好ましくは炭素数8以上の高級脂肪酸とアルコールのエステル、炭素数8以上のグリセリルエーテル、炭素数12以上28以下の高級脂肪酸、及び炭素数12以上28以下の高級アルコールから選ばれる1種又は2種以上である上記[1]〜[12]いずれか1のボディリンス剤。
[14]成分(C)として用いることができる高級脂肪酸とアルコールのエステルは、好ましくは炭素数8以上であって、より好ましくは炭素数10以上であり、さらに好ましくは炭素数12以上であり、好ましくは炭素数50以下であり、より好ましくは炭素数48以下であり、さらに好ましくは炭素数46以下である上記[13]のボディリンス剤。
【0050】
[15]成分(C)として用いることができるグリセリルエーテルは、好ましくは炭素数8以上であって、より好ましくは炭素数10以上であり、さらに好ましくは炭素数12以上であり、好ましくは炭素数50以下であり、より好ましくは炭素数48以下である上記[13]又は[14]のボディリンス剤。
[16]成分(C)として用いることができる高級脂肪酸は、好ましくは炭素数12以上であって、より好ましくは炭素数14以上であり、さらに好ましくは炭素数16以上であり、好ましくは炭素数28以下であって、より好ましくは炭素数26以下であり、さらに好ましくは炭素数24以下である上記[13]〜[15]いずれか1のボディリンス剤。
[17]成分(C)として用いることができる高級アルコールは、好ましくは炭素数12以上であって、より好ましくは炭素数14以上であり、さらに好ましくは炭素数16以上であり、好ましくは炭素数28以下であって、より好ましくは炭素数26以下であり、さらに好ましくは炭素数24以下である上記[13]〜[16]いずれか1のボディリンス剤。
[18]成分(C)は、好ましくはソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、モノイソステアリルグリセリルエーテル、オレイン酸モノグリセライド、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、ラウリルアルコール、及びオレイルアルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、モノイソステアリルグリセリルエーテル、オレイン酸モノグリセライド、オレイン酸、及びオレイルアルコールから選ばれる1種又は2種以上である上記[1]〜[17]いずれか1のボディリンス剤。
【0051】
[19]成分(C)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である上記[1]〜[17]いずれか1のボディリンス剤。
[20]成分(A)の含有量に対する成分(B)及び成分(C)の合計含有量の質量比((B+C)/A)は、好ましくは0.075以上であり、より好ましくは0.1以上であり、さらに好ましくは0.3以上であり、好ましくは2.3以下であり、より好ましくは2.1以下であり、さらに好ましくは2以下である上記[1]〜[19]いずれか1のボディリンス剤。
[21]成分(A)の含有量と成分(C)の含有量の質量比(C/A)は、好ましくは0.001以上であり、より好ましくは0.015以上であり、さらに好ましくは0.03以上であり、好ましくは1.25以下であり、より好ましくは1以下であり、さらに好ましくは0.75以下である上記[1]〜[19]いずれか1のボディリンス剤。
【0052】
[22]水(D)を含有し、成分(D)の含有量は、好ましくは23質量%以上であり、より好ましくは35質量%以上であり、さらに好ましくは37質量%以上であり、好ましくは96質量%以下であり、より好ましくは88質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下である上記[1]〜[21]いずれか1のボディリンス剤。
[23]25℃において固体の油性成分を好ましくは0.05質量%未満含有し、より好ましくは0.01質量%未満含有し、さらに好ましくは0.001質量%未満含有し、又は25℃において固体の油性成分を含有しない上記[1]〜[22]いずれか1のボディリンス剤。
[24]好ましくは水溶性高分子を含有し、水溶性高分子の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.05〜3質量%であり、さらに好ましくは0.1〜1質量%である上記[1]〜[23]いずれか1のボディリンス剤。
[25]好ましくは多価金属塩を含有し、多価金属イオンの含有量は、好ましくは0.01〜2質量%であり、より好ましくは0.05〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.6質量%である上記[1]〜[24]いずれか1のボディリンス剤。
【実施例1】
【0053】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0054】
[実施例1〜14、比較例1〜6]
ホモミキサーを用いて表3〜4に示す原料を混合し、これに精製水を加えて100質量%とし、ボディリンス剤を調製した。なお、多価金属イオンの濃度は、使用原料由来の多価金属イオン量をIPC発光分析により求め、イオン量が不足している場合には、塩化カルシウム、塩化マグネシウムを加えて、調整した(これらの塩を加えた場合には水を減らして最終的に100質量%になるようにバランスをとった)。表3〜4には、各イオン量の合計値を記載した。
【0055】
[試験例1]
得られたボディリンス剤を用い、以下の方法にしたがって塗布性及びさらさら感の評価を行った。結果を表3〜4に示す。
【0056】
[塗布性]
ボディリンス剤を製造後、直ぐに手に取り、塗り広げることで、配合された粉体のダマ(凝集物)や不溶性の固形油剤等により塗付性が損なわれていないかを下記基準により判定した。
○:ダマがなく、塗布した際にも肌上でひっかかりを感じることなく、薄く均一にのばすことができた。
×:ダマがあり、塗布した際に肌上でひっかかりを感じ、薄く均一にのばすことができなかった。
【0057】
[タオルドライ後の肌感触(さらさら感)]
20〜40歳の男女5名に以下の使用方法で使用し、評価した。
摂氏27℃、相対湿度50−60%の部屋において、シャワー後の濡れた前腕(片腕)に検体2mLを全体に均一に塗布し、シャワーで軽くすすいだ後、タオルドライした。3分後に手のひらで前腕を軽く擦り、肌のさらさら感を下記の5段階で評価した。
とてもさらさらする :5
さらさらする :4
どちらともいえない :3
あまりさらさらしない :2
全くさらさらしない :1
得られた5人の評価からの平均を表3、4に示す。
【0058】
[さらさら感の持続性]
20〜40歳の男女5名に以下の使用法で使用し、評価した。
摂氏27℃で相対湿度50−60%の部屋において、シャワー後の濡れた前腕(片腕)に検体2mLを全体に均一に塗布し、シャワーで軽くすすいだ後、タオルドライした。そのまま27℃で相対湿度50−60%の部屋で11時間すごした後、手のひらで前腕を軽く擦り、肌のさらさら感を下記の5段階で評価した。
とてもさらさらする :5
さらさらする :4
どちらともいえない :3
あまりさらさらしない :2
全く然さらさらしない :1
得られた5人の評価からの平均を表3、4に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
※1:平均粒子径5μm、吸油量45mL/100g
※2:シリコーン KMP−590(信越化学工業(株)製、平均粒子径2μm)
※3:SH245(東レ・ダウコーニング(株)製、25℃での粘度4cs)
※4:SH200 C Fluid 1.5CS(東レ・ダウコーニング(株)製、25℃での粘度1.5cs)
【0062】
表3〜4の結果により、水不溶性粉体に対し、シリコーン油と特定の油性成分を特定の量比で含有する実施例1〜14のボディリンス剤は、比較例1〜6に比して、ダマが生じることなく良好な塗布性を有するとともに、優れたさらさら感を長期間に亘って持続でき水不溶性粉体が皮膚に良好に残存及び吸着していることがわかる。
【0063】
[試験例2]
以下の方法にしたがって、実施例2、比較例1及び比較例2で得られたボディリンス剤を肌に塗布した後、皮膚上の水不溶性粉体の残存量を測定した。結果を表5に示す。
【0064】
[水不溶性粉体の残存量の測定]
サンプルを塗付した後の肌から粉体を回収して定量した。前腕を市販の全身洗浄量を用いて洗浄後、評価サンプルを前腕に適用し(756μg/cm2)、温度および流量を一定にした流水(水温40±1℃、流量6±1L/分)で5秒間シャワーリングした。その後、乾燥させた当該部位にカップを被せ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム2.7%水溶液10mlを満たした状態で、ガラスピペットにより1分間軽擦し、肌に吸着した粉体を回収した。この回収液に対して、波長550nmの光の透過率を求め、予め作成した検量線から粉体を定量し、この値をもって肌への粉体吸着量とした。なお、粉体は配合比(タルク:シリコーンパウダー = 12 : 5)通りに肌に吸着すると仮定した。
【0065】
【表5】
【0066】
表5の結果より、本発明のボディリンス剤は、シリコーン油や特定の油性成分が水不溶性粉体表面に良好に被覆して皮膚への吸着性を高め、皮膚上に有効に残存していることが確認された。