特許第6106427号(P6106427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6106427
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年3月29日
(54)【発明の名称】建物の軒天構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/30 20060101AFI20170316BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20170316BHJP
   E04B 1/348 20060101ALI20170316BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20170316BHJP
【FI】
   E04B9/30 C
   E04B9/18 Z
   E04B1/348 V
   E04B1/00 502C
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-281679(P2012-281679)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-125752(P2014-125752A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 一挙
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−266729(JP,A)
【文献】 特開平08−105150(JP,A)
【文献】 特開2006−029064(JP,A)
【文献】 特開平11−324124(JP,A)
【文献】 実開昭56−022212(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3015820(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/30
E04B 1/00
E04B 1/348
E04B 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁面に建物設備が取り付けられ、屋根の軒部に設けられた軒天井に前記建物設備が下方から埋め込まれている建物に適用され、
前記軒天井において天井面を形成する軒天板と、
前記軒部の所定位置に設けられている軒材と、
を備え、
前記軒天板における前記建物設備側の端面は、該建物設備の側面に対向しており、
前記軒材には、前記建物設備に向けて延びている延出部を有し且つ前記軒天板における前記建物設備側の端部を支持する支持ブラケットと、その支持ブラケットよりも前記建物設備から遠い位置において前記軒天板を支持する中間ブラケットとが取り付けられており、
前記支持ブラケット及び前記中間ブラケットのいずれに対しても、下地材を介して前記軒天板が取り付けられており、
前記支持ブラケットは、前記延出部の先端から下方に向けて突出している下方突出部を有しており、
前記下地材は、前記延出部の延出方向において該延出部よりも前記建物設備側に設けられ、前記下方突出部における前記建物設備側の面に対して取り付けられていることを特徴とする建物の軒天構造。
【請求項2】
前記軒材は、前記軒天板の上方に配置された梁材であり、
前記支持ブラケットは、前記梁材の長手方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建物の軒天構造。
【請求項3】
前記軒天板の上方には、交差する方向に延びる複数の前記梁材が互いに連結された軒天フレームが設けられており、
前記支持ブラケットは、前記複数の梁材のうち少なくとも1つの梁材の長手方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項2に記載の建物の軒天構造。
【請求項4】
前記建物は、前記屋根の下に設置された上階部と、該上階部の下に設置された下階部とを有しており、
前記上階部は、前記軒天井と前記下階部の屋内空間との間に設けられた屋外空間としてのロジア空間を有しており、
前記軒部は、前記ロジア空間の床部から上方に向けて延びている屋外柱により下方から支持されており、
前記屋外柱と前記軒天フレームとが連結されてロジアフレームが形成されていることを特徴とする請求項3に記載の建物の軒天構造。
【請求項5】
前記支持ブラケットは、前記延出部から上方に向けて延びる起立部を有しており、
前記支持ブラケットにおいては、前記起立部が前記軒材の側面に対して取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建物の軒天構造。
【請求項6】
前記軒部が張り出している外壁には外壁開口部が設けられており、
前記外壁開口部に対しては、当該外壁開口部の屋外側において昇降するシャッタカーテン、及び該シャッタカーテンを収納するシャッタケースを有しているシャッタ装置が設けられており、
前記シャッタケースが、前記建物設備として前記軒天井に下方から埋め込まれていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の建物の軒天構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の軒天構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物において、外壁に形成された窓部に対してシャッタ装置が設けられている場合、そのシャッタ装置のシャッタケースは窓部の上方において外壁面に対して取り付けられていることが多い。例えば、開口部の上方に軒天井が設けられている建物において、シャッタケースが窓部と軒天井との間に配置されている構成がある(例えば特許文献1)。この構成では、シャッタケースが軒天井の下方に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−106273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シャッタケースが軒天井の下方に配置されている構成では、シャッタケースの高さ寸法が軒天井と窓部との離間距離よりも大きい場合、シャッタケースが窓部の上部を塞いだ状態になってしまう。また、シャッタケースが軒天井と窓部との間に配置されていると、窓部の上下寸法の大きさが軒天井ではなくシャッタケースにより制限されてしまう。
【0005】
そこで、シャッタケースを下方から軒天井に埋め込むことが考えられる。これにより、シャッタケースが窓部を塞いだ状態になることや、窓部の上下寸法の大きさがシャッタケースにより規制されることを回避できる。
【0006】
ここで、軒天井の天井面を形成している軒天板においては、一般に外壁側の端部が外壁に対して固定されている。ところが、軒天井にシャッタケースが埋め込まれている部分においては、軒天板と外壁との間にシャッタケースが存在しており、軒天板におけるシャッタケース側の端部を外壁に対して固定することが困難になる。また、シャッタケースが軒天板の固定に耐えうる強度を有していない場合、シャッタケースが破損したり変形したりするおそれがあるため、軒天板におけるシャッタケース側の端部をシャッタケースに固定することもできない。
【0007】
いずれにしても、軒天板におけるシャッタケース側の端部を好適に固定することができず、軒天板が不安定な取り付け状態になることが懸念される。なお、この懸念は、シャッタケースに限らず他の建物設備が軒天井に下方から埋め込まれている場合に生じてしまう。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、軒天井に建物設備が埋め込まれていても軒天板の支持状態を適正なものとすることができる建物の軒天構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
【0010】
第1の発明の建物の軒天構造は、建物の外壁面に建物設備が取り付けられ、屋根の軒部に設けられた軒天井に前記建物設備が下方から埋め込まれている建物に適用され、前記軒天井において天井面を形成する軒天板と、前記軒部の所定位置に設けられている軒材と、を備え、前記軒天板における前記建物設備側の端面は、該建物設備の側面に対向しており、前記軒材には、前記建物設備に向けて延びている延出部を有し且つ前記軒天板における前記建物設備側の端部を支持する支持ブラケットが取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
第1の発明によれば、建物設備が軒天井に埋め込まれている構成において、支持ブラケットの延出部が建物設備に向けて延びているため、軒材が建物設備から離間した位置に配置されていても、軒天板における建物設備側の端部を延出部の先端部分により支持することができる。これにより、軒天板を建物設備に固定しなくても、軒天板の取り付け状態が不安定になることを解消できる。また、軒天板における建物設備側の端部を支持可能な位置に軒材を設置することも考えられるが、本発明によれば、軒材の位置を建物設備の形状や大きさに合わせて変更しなくても、軒天板における建物設備側の端部を好適に支持できる。したがって、設計変更の負担や軒天井を施工する際の負担を低減することができる。以上により、軒天井に建物設備が埋め込まれていても、軒天板の支持状態を適正なものとすることができる。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、前記軒材は、前記軒天板の上方に配置された梁材であり、前記支持ブラケットは、前記梁材の長手方向に沿って複数設けられている。
【0013】
梁材に対して軒天板が取り付けられている場合、その梁材は軒天板における建物設備側の端部だけでなく、軒天板における他の部分も支持する必要がある。このため、建物設備の大きさや形状に合わせて梁材の位置を変更すると、軒天板における建物設備側の端部を好適に支持することはできても、軒天板における他の部分が適正な状態で支持することができないということが懸念される。
【0014】
これに対して、第2の発明によれば、梁材の位置を変更することなく、支持ブラケットにより軒天板における建物設備側の端部を好適に支持することができるため、軒天板の全体を好適に支持することが可能となる。
【0015】
なお、軒天板における建物設備側の端部ではない部分を支持する中間ブラケットが、支持ブラケットと同じ梁材に取り付けられていることが好ましい。この場合、中間ブラケットが取り付けられている梁材について、建物設備の大きさや形状に合わせて、中間ブラケットを支持ブラケットに取り替える、又は支持ブラケットを追加するという容易な作業により、軒天板の全体を好適に支持することができる。
【0016】
第3の発明では、第2の発明において、前記軒天板の上方には、交差する方向に延びる複数の前記梁材が互いに連結された軒天フレームが設けられており、前記支持ブラケットは、前記複数の梁材のうち少なくとも1つの梁材の長手方向に沿って複数設けられている。
【0017】
第3の発明によれば、軒天フレームをユニット化することで軒天井の施工について工業化を図った場合、建築現場において1つの梁材の位置だけを変更することが困難になる。また、1つの梁材の位置を変更するとしても、建築現場での作業工数が増加してしまう。これに対して、軒天板における建物設備側の端部を支持する構成において、梁材の位置を変更するのではなく支持ブラケットを用いることで、建築現場での作業工数の増加を抑制できる。
【0018】
第4の発明では、第3の発明において、前記建物は、前記屋根の下に設置された上階部と、該上階部の下に設置された下階部とを有しており、前記上階部は、前記軒天井と前記下階部の屋内空間との間に設けられた屋外空間としてのロジア空間を有しており、前記軒部は、前記ロジア空間の床部から上方に向けて延びている屋外柱により下方から支持されており、前記屋外柱と前記軒天フレームとが連結されてロジアフレームが形成されている。
【0019】
第4の発明によれば、ユニット化されたロジアフレームを用いることでロジア空間の施工について工業化が図られているため、建築現場において1つの梁材の位置だけを変更することが困難になっている。また、仮に変更可能であったとしても建築現場での作業工数が増加してしまう。特に、屋外柱が梁材と一体化されているため、設計段階であっても梁材の位置を変更することが困難になっている。これに対して、軒天板における建物設備側の端部を支持する構成において、梁材の位置を変更するのではなく支持ブラケットを用いることで、建築現場での作業工数の増加を抑制できるとともに、設計変更が生じるという煩わしさを解消できる。
【0020】
なお、ロジア空間の奥行きが広い場合、外壁からの軒部の突出寸法が大きいことに起因して、軒部が外壁による片持ち支持だけでは支持強度が不足することが懸念される。そこで、軒部における軒先寄りの部分が屋外柱にて支持されていることが好ましい。
【0021】
第5の発明では、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記支持ブラケットは、前記延出部から上方に向けて延びる起立部を有しており、前記支持ブラケットにおいては、前記起立部が前記軒材の側面に対して取り付けられている。
【0022】
第5の発明によれば、軒材に対する起立部の位置を上下方向に変更するという容易な作業により、支持ブラケットの高さ位置を調整することができる。このため、軒材の高さ位置が軒天板の高さ位置に対してずれていたとしても、そのずれを支持ブラケットの高さ位置の調整により解消できる。これにより、上下方向について軒天板の高さ位置を適正に設定することができる。
【0023】
第6の発明では、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記軒材には、前記支持ブラケットよりも前記建物設備から遠い位置において前記軒天板を支持する中間ブラケットが取り付けられており、前記支持ブラケット及び前記中間ブラケットのいずれに対しても、下地材を介して前記軒天板が取り付けられている。
【0024】
第6の発明によれば、下地材を支持ブラケット及び中間ブラケットの両方に対して用いられているため、軒天板における建物設備側の端部と、それ以外の部分とで、軒天板を固定するための下地材を使い分ける必要がない。これにより、軒天井の施工についてコスト負担や作業負担を低減することができる。
【0025】
第7の発明では、第6の発明において、前記下地材は、前記延出部と前記軒天板との間に設けられ、前記延出部の下面に対して取り付けられている。
【0026】
第7の発明によれば、下地材の位置を延出部の下面に沿ってずらすという容易な作業により、建物設備に対して近付く方向(遠ざかる方向)について下地材の位置を調整することができる。このため、支持ブラケットの延出部の延出寸法が、軒材と建物設備との離間距離に対してずれていたとしても、そのずれを延出部75に対する下地材の位置調整により解消できる。これにより、建物設備に近付く方向について建物設備に対する下地材の位置合わせを容易に行うことができる。
【0027】
第8の発明では、第6又は第7の発明において、前記支持ブラケットは、前記延出部の先端から下方に向けて突出している下方突出部を有しており、前記下地材は、前記延出部の延出方向において該延出部よりも前記建物設備側に設けられ、前記下方突出部における前記建物設備側の面に対して取り付けられている。
【0028】
第8の発明によれば、下地材の位置を下方突出部の側面に沿ってずらすという容易な作業により、下地材の高さ位置を調整することができる。このため、支持ブラケットの高さ位置が軒天板の設置高さに対してずれていたとしても、そのずれを下地材の高さ位置を調整することで解消できる。これにより、上下方向について軒天板の取り付け位置を適正に設定することができる。
【0029】
第9の発明では、第1乃至第8のいずれかの発明において、前記軒部が張り出している外壁には外壁開口部が設けられており、前記外壁開口部に対しては、当該外壁開口部の屋外側において昇降するシャッタカーテン、及び該シャッタカーテンを収納するシャッタケースを有しているシャッタ装置が設けられており、前記シャッタケースが、前記建物設備として前記軒天井に下方から埋め込まれている。
【0030】
第9の発明によれば、シャッタケースが軒天井に埋め込まれている構成において、軒天板におけるシャッタケース側の端部を好適に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】ロジア空間周辺の概略構成を示す縦断面図
図2】軒天井周辺の縦断面図
図3】軒天井を上から見た平面図
図4】ロジアフレームの構成を示す斜視図
図5】第1ブラケットの構成を示す斜視図
図6】別の軒天井を上から見た平面図
図7】別の第1ブラケットの構成を示す斜視図
図8】別の第1ブラケットの構成と示す縦断面図
図9】別の軒天井周辺の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の軒天構造を、柱及び大梁を有する複数の建物ユニットにより構築された複数階建てのユニット式建物において具体化している。ここで、建物ユニットは工場で製造され、その後、トラック等の輸送手段により工場から建築現場に輸送される。
【0033】
図1はロジア空間17周辺の概略構成を示す縦断面図、図2は軒天井32周辺の縦断面図、図3は軒天井32を上から見た平面図、図4はロジアフレーム68の構成を示す斜視図である。なお、図3においては、軒天板33の図示を省略しており、図4においては、屋根部13や窓部19、軒天井32などの図示を省略している。
【0034】
図1に示すように、建物10は、下階部としての一階部分11と、一階部分11の上に設けられた上階部としての二階部分12と、二階部分12の上に設けられた屋根部13とを有している。この場合、屋根部13の下に二階部分12が設置され、二階部分12の下に一階部分11が設置されていることになる。建物10は屋内空間を有しており、その屋内空間として、一階部分11には一階居室15が設けられ、二階部分12には二階居室16が設けられている。
【0035】
二階部分12には、屋外空間としてのロジア空間17が設けられている。このロジア空間17はバルコニーやベランダと称することもできる。二階部分12においては、ロジア空間17と二階居室16とが隣り合っているが、それらロジア空間17と二階居室16とは外壁18により仕切られている。ロジア空間17は、一階居室15の上方に配置されており、いわゆるルーフバルコニーと同様の構成になっている。
【0036】
外壁18において、ロジア空間17と二階居室16とを仕切る部分には、外壁開口部としての窓部19が設けられている。ちなみに、窓部19には、矩形枠状のサッシ枠が取り付けられており、そのサッシ枠には開閉可能なサッシ戸が設けられている。
【0037】
なお、外壁18は、建物ユニットの躯体に取り付けられており、その躯体により支持されている。建物ユニットは、四隅に立設された柱と、柱の上端部同士を連結する天井大梁と、柱の下端部同士を連結する床大梁とを有し、それら柱、天井大梁及び床大梁により形成された躯体は略直方体状をなしている。
【0038】
窓部19の屋外側には、設備機器としてのシャッタ装置20が設けられている。シャッタ装置20は、窓部(サッシ戸の屋外面)に沿って昇降するシャッタカーテン21と、シャッタカーテン21を収納するシャッタケース22とを有している。シャッタケース22は、窓部19の上方において、外壁18の屋外側に配置されており、建物躯体に対してボルト等の固定具により固定されることで外壁面に対して取り付けられている。シャッタケース22の内部には、シャッタカーテン21を巻き取る巻取ドラム23が設けられており、シャッタカーテン21は、巻取ドラム23に巻かれた状態でシャッタケース22に収納される。なお、シャッタケース22が建物設備に相当する。
【0039】
巻取ドラム23の回転軸はシャッタカーテン21の昇降方向に対して直交する方向(水平方向)に延びており、シャッタカーテン21は、巻取ドラム23に巻き取られることで開状態に移行することが可能になっており、巻取ドラム23から繰り出されることで閉状態に移行することが可能になっている。
【0040】
シャッタカーテン21は、スラット式シャッタカーテンとされており、長尺板状のスラット25を複数有している。各スラット25は水平方向に沿って延びた状態で、上下方向に並べて配置されている。
【0041】
なお、シャッタ装置20は、電気モータを含んで構成されたカーテン駆動部を有しており、そのカーテン駆動部が駆動することで巻取ドラム23が回転し、シャッタカーテン21の昇降が行われる。
【0042】
屋根部13は、寄棟屋根や切妻屋根などの傾斜屋根を構成するものであり、棟から軒先に向けて斜め下方に傾斜している。屋根部13においては、外壁18よりも側方(屋外側)に突出した部分が軒部31となっており、軒部31の下方には軒天井32が設けられている。軒天井32には、その軒天井32の天井面を形成する軒天板33が含まれている。軒天板33は、所定の耐水性能を有する不燃材により形成されており、外壁18と屋根部13の軒先とに架け渡された状態で設けられている。また、軒部31と軒天井32との間には軒天裏空間34が形成されている。
【0043】
シャッタケース22は、軒天井32に下方から埋め込まれている。軒天井32には、軒天板33を貫通する軒天開口部36が形成されており、シャッタケース22においては、少なくともその上部が軒天開口部36を通じて軒天裏空間34に入り込んでいる。この場合、デッドスペースとしての軒天裏空間34をシャッタケース22の設置スペースとして有効利用していることになる。シャッタケース22においては、下端寄りの部分が軒天井32よりも下方に突出している。シャッタケース22の外周面のうち外壁18側の側面は、外壁18の屋外側面(外壁面)と重なった状態になっている。
【0044】
軒天井32は、屋根部13の軒先部分と外壁18とに架け渡された状態になっており、外壁18から軒先に向けて延びている。ここで、軒天開口部36は、軒天井32における外壁18側の端部から屋外側に向けて入り込んだ切り欠きにより形成されており(図3参照)、軒天開口部36は、その切り欠きの内周面と外壁18の屋外側面とに囲まれた領域となっている。屋根部13の軒先部分と外壁18との並び方向においては、シャッタケース22が軒天板33と外壁18との間に配置されており、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部は外壁18から軒先部分側に離間している。この場合、軒天板33におけるシャッタケース22側の端面は、シャッタケース22の側面に対向している。
【0045】
なお、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部には、その端面を覆うようにして見切り部材が取り付けられている。見切り部材は、軒天開口部36における軒天板33の端部に沿って延びるように設けられており、これによって、軒天板33の端面がシャッタケース22の側面に直接は接触しないようになっている。
【0046】
図2に示すように、外壁18は、天井大梁41等の大梁に取り付けられた外壁パネル42を含んで構成されている。外壁パネル42は、大梁に固定されている外壁下地としての外壁フレーム43と、その外壁フレーム43に取り付けられている外壁面材44とを有している。外壁面材44は、窯業系サイディングボード等の外装材により矩形板状に形成されている。なお、天井大梁41は、柱として建物10内に設けられた屋内柱(図示略)の上端に接続されている。
【0047】
屋根部13は、棟から軒先に向けて延びる垂木51と、垂木51の上に設けられた屋根下地部としての野地板52と、野地板52の上に設けられた屋根仕上材としての瓦53とを有している。垂木51は、天井大梁41の上に設置された屋根束などにより下方から支持されており、棟及び軒先が延びる方向に所定間隔で複数並べて配置されている。なお、野地板52、瓦53は、それぞれ屋根パネル、屋根葺材と称してもよい。また、屋根部13には、垂木51と直交する方向に延びる母屋材54が設けられている。
【0048】
ロジア空間17には、軒部31における軒先寄りの部分を下方から支持する屋外柱61が設けられている。ここで、ロジア空間17の奥行き寸法は、バルコニーやベランダなどに比べて比較的大きくなっている。この場合、外壁18に対して軒部31が片持ち支持されている場合に比べて、軒部31に対する支持強度が屋外柱61により高められている。屋外柱61は、ロジア空間17の屋外床部17aから上方に向けて延びている。屋外柱61の上には屋根支持部59が設けられており、軒部31は屋根支持部59を介して屋外柱61の上に設置されている(図1参照)。なお、屋外柱61は、構造体としての柱本体と、柱本体の周囲を囲む化粧部とを有しており、ロジア空間17の意匠性を高めている。
【0049】
ロジア空間17の上方において、軒天裏空間34には、軒天井32を上方から支持する軒天フレーム62が設けられている。軒天フレーム62は、軒天板33の上方に配置されており、屋外柱61や天井大梁41、屋内柱などに接続されている。この場合、屋外柱61は、天井大梁41や屋内柱など建物内の躯体に軒天フレーム62を介して連結されている。軒天フレーム62には軒天下地63が取り付けられており、軒天板33は、軒天下地63を介して軒天フレーム62に取り付けられている。
【0050】
図3図4に示すように、ロジア空間17においては、四方のうち隣り合う二方が側方に向けて開放されており、残りの二方に二階居室16が配置されている。ロジア空間17は、直方体形状とされており、外壁18のうちロジア空間17の長手方向に沿って延びている部分に、窓部19及びシャッタ装置20が設けられている。ロジア空間17の屋外床部17aは平面視で長方形状とされており、屋外柱61は屋外床部17aの出隅部分に立設されている。なお、ロジア空間17には、手摺としての腰壁が設けられている。腰壁は、屋外床部17aの屋外側周縁部に沿って延びており、屋外柱61や外壁18、屋内柱などに接続されている。
【0051】
軒天フレーム62は、屋外柱61に接続されている屋外大梁65a,65bと、その屋外大梁65に接続されている中間梁66a,66bとを有している。屋外大梁65a,65b及び中間梁66a,66bは、いずれも断面コ字状の溝形鋼により形成されたフレーム材になっている。屋外大梁65a,65bは、屋外柱61と外壁18とに架け渡された状態になっており、それら屋外柱61及び外壁18(天井大梁41や屋内柱)のそれぞれにボルトや溶接等により固定されている。屋外大梁65a,65bのうち、ロジア空間17の長手方向に沿って延びている長手屋外大梁65aは、屋外床部17aの長辺と平行に延びており、ロジア空間17の短手方向に沿って延びている短手屋外大梁65bは、屋外床部17aの短辺と平行に延びている。
【0052】
中間梁66a,66bは、屋外大梁65に接続されている。中間梁66a,66bのうち、ロジア空間17の長手方向に沿って延びている長手中間梁66aは、外壁18と長手屋外大梁65aとの間に配置され、その長手屋外大梁65aと平行に延びている。ロジア空間17の短手方向に沿って延びている短手中間梁66bは、外壁18と短手屋外大梁65bとの間に配置され、その短手屋外大梁65bと平行に延びている。長手屋外大梁65a及び長手中間梁66aにおいては、それぞれの溝部開放側が互いに向かい合っており、短手屋外大梁65b及び短手中間梁66bにおいては、それぞれの溝部開放側が互いに向かい合っている。
【0053】
短手中間梁66bは、長手屋外大梁65aと外壁18とに架け渡された状態になっており、それら長手屋外大梁65a及び外壁18(天井大梁41や屋内柱)のそれぞれにボルトや溶接等により接続されている。長手中間梁66aは、短手屋外大梁65bと短手中間梁66bとに架け渡された状態になっており、それら短手屋外大梁65b及び短手中間梁66bのそれぞれにボルトや溶接等により接続されている。
【0054】
また、軒天フレーム62は、長手屋外大梁65aと長手中間梁66aとを連結する中間小梁67を有している。中間小梁67は、屋外大梁65a,65bと同様に、断面コ字状の溝形鋼により形成されたフレーム材とされており、長手屋外大梁65a及び長手中間梁66aのそれぞれにボルトや溶接等により接続されている。
【0055】
本実施形態では、屋外柱61と軒天フレーム62とがユニット化されることでロジアフレーム68が形成されている。ロジアフレーム68は、建物ユニットと同様に、工場で製造され、その後、トラック等の輸送手段により工場から建築現場に輸送される。そして、建築現場において複数の建物ユニットが設置された後、ロジア空間17において建物ユニットの柱や天井大梁などに固定される。このため、ロジアフレーム68の設置作業について、建築現場での作業負担を低減できる。
【0056】
ロジア空間17において、シャッタケース22は長手中間梁66aと外壁18との間に配置されている。ここで、軒天板33と外壁18との間にシャッタケース22が存在しない部分においては、軒天板33の端部が外壁18に対して固定することが可能となるが、軒天板33と外壁18との間にシャッタケース22が存在する部分においては、軒天板33の端部を外壁18に対して固定することができない。しかも、長手中間梁66aがシャッタケース22から離間している場合、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部が長手中間梁66aに対して固定できないことになる。また、軒天板33をシャッタケース22に固定することは、シャッタケース22の強度が軒天板33の支持を想定した強度にはなっていないことなどにより好ましくない。
【0057】
そこで、長手中間梁66aの位置をシャッタケース22側に変更して、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部を長手中間梁66aに対して固定する方法が考えられる。しかしながら、建物ユニットを用いた工業化建物においても、シャッタケース22の形状や大きさはユーザの要望や使用目的などに応じて建物10ごとに異なることが想定され、建物ユニットと同様にロジアフレーム68を工場で製造している建物10において、シャッタケース22に合わせて長手中間梁66aの位置を変更するということは、コスト負担の増大や作業効率の低下につながってしまう。
【0058】
これに対して、本実施形態では、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部を、長手中間梁66a側から支持するようになっている。これにより、長手中間梁66aの位置を変更しなくても、シャッタケース22の周囲において、軒天板33の取り付け状態が不安定になってしまうということを抑制できる。
【0059】
図2に示すように、軒天下地63には、軒天フレーム62に取り付けられたブラケット71,72と、ブラケット71,72に取り付けられた下地材73とが含まれている。下地材73は、木材や合成樹脂材料などにより形成された野縁等の長尺部材であり、軒天板33に沿って延びている。軒天板33は、下地材73の下面に対してビス等の固定具により固定されており、下地材73は、ビス等の固定具によりブラケット71,72に固定されている。この場合、軒天板33は下地材73を介してブラケット71,72に取り付けられていることになる。
【0060】
ブラケット71,72は金属材料や合成樹脂材料などにより形成されており、それらブラケット71,72のうち、第1ブラケット71は、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部を支持するものであり、長手中間梁66aの長手方向に沿ってその長手中間梁66aに複数取り付けられている。この場合、第1ブラケット71は、シャッタケース22の正面側に配置されていることになる。第1ブラケット71は、シャッタケース22に向けて延びている延出部75と、延出部75から上方に向けて延びている起立部76とを有しており、全体として略L字状に形成されている。なお、長手中間梁66aが軒材に相当し、第1ブラケット71が支持ブラケットに相当する。
【0061】
ここで、長手中間梁66aに対する第1ブラケット71の取り付け構造について図5を参照しつつ説明する。図5は第1ブラケットの構成を示す斜視図である。なお、図5においては、軒天板33の図示を省略している。
【0062】
図5に示すように、第1ブラケット71は、金属板を折り曲げて形成されており、延出部75及び起立部76はそれぞれ板状になっている。延出部75と起立部76とは互いに直交する方向に延びており、第1ブラケット71は、延出部75と起立部76とを直交位置にて保持するための補強部77を有している。補強部77は、延出部75及び起立部76とは直交する方向に延びる板部であり、それら延出部75と起立部76との入隅部に入り込んだ状態で、延出部75及び起立部76のそれぞれ自由端寄りの部分を連結している。補強部77は、延出部75及び起立部76のそれぞれに溶接等により固定されている。
【0063】
第1ブラケット71は、長手中間梁66aの周面における溝部開放側とは反対側の側面に対して、固定具としてのボルト78により固定されている。長手中間梁66aは、ウェブ79aと、そのウェブ79aを挟んで対向する一対のフランジ79bとを有しており、ウェブ79aの外側面に対して、第1ブラケット71における起立部76の外側面(延出部75とは反対側の面)が重ねられており、その状態で起立部76を貫通したボルト78がウェブ79a側に対して螺着されている。
【0064】
延出部75は、下地材73に沿って延びており、下地材73は、その上面が延出部75の下面に重なった状態でビス等により延出部75に対して固定されている。下地材73は、延出部75における先端部の下方に配置されている。つまり、図2に示すように、長手中間梁66aからシャッタケース22側に離間した位置に配置されている。この場合、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部が、第1ブラケット71により支持されている下地材73に固定されることになる。また、この下地材73は、延出部75と軒天板33との間に挟まった状態になっている。
【0065】
一方、第2ブラケット72は、第1ブラケット71よりもシャッタケース22から離れた位置に配置されており、その位置にて軒天板33を支持するものである。第2ブラケット72は、屋外大梁65a,65b、中間梁66a,66b及び中間小梁67のそれぞれに取り付けられている。いずれの第2ブラケット72も、長手屋外大梁65a等の梁材から下方に向けて延びており、第2ブラケット72の側面に下地材73がビス等の固定具により固定されている。なお、第2ブラケット72が中間ブラケットに相当する。
【0066】
ちなみに、長手中間梁66aにおいて、シャッタケース22と対向している部分には第1ブラケット71が取り付けられており、シャッタケース22と対向していない部分(シャッタケース22よりも側方に突出した部分)には第2ブラケット72が取り付けられている。この場合、長手中間梁66aは、その長手中間梁66aが設置されている全ての領域において、第1ブラケット71又は第2ブラケット72を介して軒天板33を支持している。
【0067】
軒天板33においては、ロジア空間17よりも軒先側の部分が屋根部13により支持されている。例えば、屋根部13の軒先には鼻隠し部が設けられており、その鼻隠し部に対して軒天板33における軒先側の端部が取り付けられている。また、垂木51や母屋材54などの屋根下地部には、下地材73を吊り下げ支持する吊り部材81が取り付けられており、ロジア空間17と軒先との間の領域において軒天板33が下地材73を介して吊り部材81に対して固定されている。なお、この場合、軒天井32を支持するための構造からの観点では、吊り部材81が取り付けられた屋根下地部が軒材に含まれ、吊り部材81が軒天下地に含まれる。
【0068】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0069】
第1ブラケット71の延出部75がシャッタケース22に向けて延びているため、長手中間梁66aがシャッタケース22から離間した位置にある場合でも、その長手中間梁66aに取り付けられた第1ブラケット71により、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部を延出部75の先端部分により支持することができる。これにより、軒天板33をシャッタケース22に固定しなくても、軒天板33の取り付け状態が不安定になることを解消できる。
また、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部を支持可能な位置に長手中間梁66aを設置することも考えられるが、第1ブラケット71が延出部75を有しているため、長手中間梁66aの位置をシャッタケース22の形状や大きさに合わせて変更しなくても、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部を好適に支持できる。したがって、設計変更の負担や軒天井32を施工する際の負担を低減することができる。
【0070】
以上により、軒天井32にシャッタケース22が埋め込まれていても、軒天板33の支持状態を適正なものとすることができる。
【0071】
長手中間梁66aは、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部に加えて、その他の部分も梁材として支持しているため、その長手中間梁66aの位置を変更しなくても軒天板33におけるシャッタケース22側の端部を第1ブラケット71により支持できることは、軒天板33の全体を適正に支持する上で有効である。
【0072】
ここで、長手中間梁66aには、第1ブラケット71及び第2ブラケット72の両方が取り付けられているため、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部を支持するためだけに長手中間梁66aの位置を変更すると、第2ブラケット72の位置も変更することになり、軒天板33における他の部分を適正に支持することができない状態になってしまう。このため、長手中間梁66aに第1ブラケット71が取り付けられていることは、第2ブラケット72により軒天板33を適正な状態で支持する上でも有効である。
【0073】
軒天フレーム62や、その軒天フレーム62を含んだロジアフレーム68がユニット化されているため、建築現場において長手中間梁66aの位置だけを変更することが困難になっている。また、長手中間梁66aの位置だけを変更するとしても、ロジアフレーム68や軒天フレーム62の一部又は全体を分解することになり、建築現場での作業工数が増加してしまう。したがって、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部が第1ブラケット71を介して長手中間梁66aにより支持されていることは、建築現場での作業工数の増加を抑制することにもなる。
【0074】
特に、ロジアフレーム68において長手中間梁66aの位置を変更することを考えた場合、屋外柱61を含んでロジアフレーム68全体の構造強度が変化することにもなるため、設計段階でロジアフレーム68の全体構成を変更することになる。したがって、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部が第1ブラケット71を介して長手中間梁66aにより支持されていることは、設計変更が生じるという煩わしさを解消することにもなる。
【0075】
第1ブラケット71においては、起立部76の板面が長手中間梁66aの側面に重ねられているため、起立部76の位置を長手中間梁66aの側面に沿って上下方向に変更するという容易な作業により、第1ブラケット71の高さ位置を調整することができる。このため、長手中間梁66aの高さ位置が軒天板33の高さ位置に対してずれていたとしても、そのずれを第1ブラケット71の高さ位置の調整により解消できる。これにより、上下方向について軒天板33の高さ位置を適正に設定できる。
【0076】
第1ブラケット71及び第2ブラケット72のいずれに対しても、軒天板33が下地材73を介して固定されているため、第1ブラケット71及び第2ブラケット72のそれぞれについて専用の下地材を使い分けるという必要がない。これにより、軒天井32の施工についてコスト負担や作業負担を低減することができる。
【0077】
第1ブラケット71の延出部75の下側に下地材73が配置されているため、下地材73の位置を延出部75の下面に沿ってずらすという容易な作業により、シャッタカーテン21に対して近付く方向(遠ざかる方向)について下地材の位置を調整することができる。このため、第1ブラケット71の延出部75の延出寸法が、長手中間梁66aとシャッタケース22との離間距離に対してずれていたとしても、そのずれを延出部75に対する下地材73の位置調整により解消できる。これにより、シャッタケース22に近付く方向について、そのシャッタケース22に対する下地材73の位置合わせを容易に行うことができる。
【0078】
さらに、延出部75が板状であるため、下地材73を延出部75の下面に沿ってその延出部75の幅方向にずらすことが可能となる。これにより、延出部75の延出方向とは交差する方向について、シャッタケース22に対する下地材73の位置合わせを容易に行うことができる。
【0079】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0080】
(1)上記実施形態では、シャッタケース22が長手中間梁66aと外壁18との間に配置されていたが、シャッタケース22は、短手中間梁66bと外壁18との間に配置されていてもよい。この場合、図6に示すように、第1ブラケット71が短手中間梁66bに取り付けられた構成とする。この構成においても、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部を第1ブラケット71により好適に支持することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、第1ブラケット71がシャッタケース22の正面側に配置されていたが、第1ブラケット71は、シャッタケース22の側面側に配置されていてもよい。この場合でも、軒天板33におけるシャッタケース22の側面側の端部を第1ブラケット71により好適に支持することができる。
【0082】
さらに、第1ブラケット71は、屋外大梁65a,65b、中間梁66a,66b及び中間小梁67のいずれに取り付けられていてもよい。つまり、第1ブラケット71は、横架材としての梁材に取り付けられていればよい。
【0083】
(2)図7に示すように、第1ブラケット71の延出部75には、作業用のブラケット開口部91が設けられていてもよい。ブラケット開口部91は、延出部75の先端から起立部76に向けて延びる切り欠きにより形成されている。なお、起立部76から複数の延出部75が所定の間隔で延びていてもよい。この場合、隣り合う延出部75の離間部分によりブラケット開口部91が形成されることになる。いずれの場合でも、ブラケット開口部91が設けられている構成では、作業者がボルト78を用いて第1ブラケット71を長手中間梁66aに固定する際に、延出部75の下方からブラケット開口部91に手や工具を挿し入れることで、ボルト78の固定作業を容易に行うことができる。
【0084】
(3)上記実施形態では、第1ブラケット71の延出部75の下側に下地材73が設けられていたが、下地材73は、延出部75の側方に設けられていてもよい。例えば、図8(a)に示すように、第1ブラケット71が、延出部75の先端から下方に向けて突出している下方突出部93を有しており、下地材73が下方突出部93よりも先端側(シャッタケース22側)に設けられた構成とする。この構成では、下方突出部93が延出部75と同様に板状にされており、下地材73の位置を下方突出部93の側面に沿って上下方向に変更することが可能になっている。
【0085】
この構成によれば、下地材73の位置を下方突出部93の側面に沿ってずらすという容易な作業により、下地材73の高さ位置を調整することができる。このため、第1ブラケット71の高さ位置が軒天板の設置高さに対してずれていたとしても、そのずれを下地材73の高さ位置を調整することで解消できる。これにより、上下方向について軒天板33の取り付け位置を適正に設定することができる。
【0086】
なお、下方突出部92を有している第1ブラケット71においても、延出部75の下側に下地材73が取り付けられていてもよい。
【0087】
(4)上記実施形態では、第1ブラケット71には下地材73を介さずに軒天板33が取り付けられていてもよい。例えば、図8(b)に示すように、第1ブラケット71が、延出部75の先端部から下方に向けて延びる引っ掛け部94を有しており、その引っ掛け部94が軒天板33の端部(軒天板33におけるシャッタケース22側の端部)に引っ掛けられた構成とする。この構成によれば、第1ブラケット71により下地材73を用いずに軒天板33を直接的に支持することができる。また、引っ掛け部94が軒天板33の端部に沿って延びる構成とすれば、引っ掛け部94を見切り部材として用いることが可能となる。
【0088】
なお、引っ掛け部94を有している第1ブラケット71においても、延出部75の下側に下地材73が取り付けられていてもよい。
【0089】
(5)上記実施形態では、第1ブラケット71が長手屋外大梁65aの側面に対して固定されていたが、第1ブラケット71は長手屋外大梁65aの上面や下面に対して固定されていてもよい。例えば、第1ブラケット71が起立部76を有しておらず、延出部75の上面が長手屋外大梁65aの下面に重ねられた状態で、第1ブラケット71が長手屋外大梁65aに固定された構成とする。
【0090】
(6)上記実施形態では、長手中間梁66aが軒材に相当する構成としたが、垂木51等の屋根下地部が軒材に相当する構成としてもよい。例えば、図9に示すように、吊り部材81がロジア空間17の上方に配置され且つ延出部75を有している構成とする。この構成では、吊り部材81の下端からシャッタケース22に向けて延出部75が延びており、その延出部75に軒天板33が下地材73を介して固定されている。この場合、吊り部材81が支持ブラケットに相当し、吊り部材81により軒天板33におけるシャッタケース22側の端部を好適に支持することが可能となる。
【0091】
(7)上記実施形態では、軒天フレーム62と屋外柱61とがユニット化されることでロジアフレーム68が形成されていたが、軒天フレーム62と屋外柱61とはユニット化されていなくてもよい。この場合でも、軒天フレーム62においては、屋外大梁65a,65b、中間梁66a,66bがユニット化されているため、軒天板33におけるシャッタケース22側の端部を支持するために長手屋外大梁65aの位置を変更する必要がないことについて、コスト負担や作業効率の低下を回避できるという効果を得ることができる。
【0092】
(8)上記実施形態では、ロジア空間17が四方のうち二方に開放された屋外空間とされていたが、ロジア空間17は、四方のうち少なくとも一方に開放された屋外空間であればよい。また、延出部75を有する第1ブラケット71がロジア空間17の軒天井32に用いられていたが、第1ブラケット71は、軒天井を有するバルコニー等の屋外空間に用いられてもよい。
【0093】
(9)シャッタ装置20が設けられている外壁開口部としては、窓部19の他に出入口などが挙げられる。
【0094】
(10)軒天井32に下方から埋め込まれる建物設備としては、シャッタケース22の他に、空調室外機や貯湯タンク、蓄電装置、コージェネ機器などが挙げられる。
【符号の説明】
【0095】
10…建物、11…下階部としての一階部分、12…上階部としての二階部分、13…屋根を構成する屋根部、15…下階部の屋内空間としての一階居室、17…ロジア空間、18…外壁、19…外壁開口部としての窓部、20…シャッタ装置、21…シャッタカーテン、22…建物設備としてのシャッタケース、31…軒部、32…軒天井、33…軒天板、36…軒天開口部、61…屋外柱、62…軒天フレーム、66a…軒材及び梁材としての長手中間梁、68…ロジアフレーム、71…軒天下地を構成する支持ブラケットとしての第1ブラケット、72…中間ブラケットとしての第2ブラケット、73…下地材、75…延出部、76…起立部、81…軒天下地を構成する支持ブラケットとしての吊り部材、93…下方突出部。
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
図9