(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の竹粉製造機には、次のような課題があった。
すなわち、チャック機構を採用した送り装置の構造が複雑であり、レールが長尺になる等、大掛かりである。また、装置全体が大掛かりであるために、竹粉製造機を設置するには広いスペースが必要になるためスペース効率が悪く、更には、チャック機構によって竹をセットしたり、チャック機構から外したりする作業に相当な手間が掛かるので、作業性もよくなかった。
【0008】
また、送り装置は、竹を粉砕部に対して装置の前後方向と平行な方向に送るようになっている。本発明者は、送り装置によって竹を送る方向を工夫することで粉砕効率を向上させることができないか試行を重ね、竹の粉砕面を粉砕部に対して傾斜させて送ることで、竹の粉砕面の面積を広くして、粉砕効率を向上させることができることを知見した。
【0009】
(本発明の目的)
本発明は、送り装置の構造が比較的簡易で、また、送り装置を含む粉砕機全体がコンパクトであり、破砕又は粉砕する被処理物のセッティングと取り外し作業の作業性にもすぐれている、破砕又は粉砕機を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、前記目的に加え、粉砕部による竹の粉砕面の面積を広くして、粉砕効率を向上させることができる破砕又は粉砕機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
(1)本発明は、
被処理物に、進行方向に対する螺旋回転を与えながら同被処理物を破砕又は粉砕部に送り処理する破砕又は粉砕機に使用する送り装置であって、
当該送り装置は、
送りテーブルと、
当該送りテーブルの上方に配置されている駆動ローラと、
を有し、
前記駆動ローラは、
回転軸と、
当該回転軸の長手方向に所要間隔で複数枚取り付けられており、周縁に送り歯を有する円板状の歯板と、
を備え、
前記駆動ローラの回転軸は、被処理物に進行方向に対する螺旋回転を与えるべく前記破砕又は粉砕部に送る送り方向に対して交差して配置されていることを含む、
送り装置である。
【0011】
(2)本発明の送り装置は、
送りテーブル側に配置されており、駆動ローラと協働して被処理物を破砕又は粉砕部に送る補助ローラを備えている、のが好ましく、推奨される。
【0012】
(3)本発明の送り装置は、
補助ローラの回転軸が、駆動ローラが与える被処理物の螺旋回転に順方向となるべく被処理物が送られる方向に対して交差して配置されていることを含む、のが好ましく、推奨される。
【0013】
(4)本発明の送り装置は、
補助ローラはローラ本体を有し、当該ローラ本体の外周部に、当該外周部より径大な食込フランジが形成されている、のが好ましく、推奨される。
【0014】
(5)本発明の送り装置は、
駆動ローラを回転できるように支持する部分が昇降自在であり、当該支持する部分に、前記駆動ローラを補助ローラ側へ付勢するための固定式又は着脱式のハンドルを備えている、のが好ましく、推奨される。
【0015】
(6)本発明は、
被処理物を処理する破砕又は粉砕部と、
被処理物に、進行方向に対する螺旋回転を与えながら同被処理物を前記破砕又は粉砕部に送る前記(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)の送り装置と、
を備えている、破砕又は粉砕機である。
【0016】
(7)本発明の破砕又は粉砕機は、
破砕又は粉砕部が、
回転軸の方向が被処理物の送り方向と水平方向において直交又は交差するローターと、
当該ローターの外周面に螺旋方向に複数形成された逃げ溝と、
前記ローターの回転方向と反対側の前記各逃げ溝縁部に沿って固定されている複数の刃体と、
を備えている、のが好ましく、推奨される。
【0017】
(8)本発明の破砕又は粉砕機は、
送り装置と破砕又は粉砕部の間に、回転軸の軸方向において中央部が括れた構造で、被処理物を上から押さえて安定させる押さえローラが配置されている、のが好ましく、推奨される。
【0018】
(9)本発明の破砕又は粉砕機は、
押さえローラが回転軸の軸方向において移動調節ができるように形成されている、のが好ましく、推奨される。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲にいう「螺旋回転」とは、例えば竹等の被処理物が周方向へ回転しながら、送り方向へ移動する際の被処理物上の所要の点の移動軌跡を表現したものである。
【0020】
(作用)
本発明に係る送り装置及びそれを備えた破砕又は粉砕機の作用を説明する。
竹等の被処理物を送りテーブルに乗せ、被処理物の先端側を送り装置の駆動ローラと補助ローラで挟み、セットする。
次に、破砕又は粉砕機の破砕又は粉砕部を駆動し、送り装置の駆動ローラを駆動する。駆動ローラの回転軸は、被処理物に進行方向に対する螺旋回転を与えるべく破砕又は粉砕部に送る送り方向に対して交差して配置されているので、駆動ローラの各歯板が、所要の方向に回転すると、各歯板の下側の送り歯が被処理物の表面に噛み込んで、被処理物を所要の方向に回転させる。
【0021】
被処理物表面に接触している補助ローラは、これにより従動回転し、被処理物は螺旋回転しながら送り方向へ送られ、破砕又は粉砕部で処理される。なお、この際、必要に応じてハンドル等を使用し駆動ローラを付勢して被処理物に強く押し付けるようにすることで、より確実に、且つ円滑に送ることができる。
【0022】
このように、本発明に係る送り装置は、従来のようにチャック機構を使用した竹粉製造機と比較して送り装置の構造が比較的簡易であり、送り装置を含む粉砕機全体がコンパクトである。また、被処理物のセッティング作業が、被処理物の先端側を送り装置の駆動ローラと補助ローラで挟むだけでよく、簡単であり、取り外しも簡単であるので、作業性にすぐれている。
【0023】
また、送り装置と破砕又は粉砕部の間に、回転軸の軸方向において中央部が括れた構造で、被処理物を上から押さえて安定させる押さえローラが配置され、押さえローラが回転軸の軸方向において移動調節ができるように形成されているものは、押さえローラの位置を調節することで、駆動ローラと補助ローラで挟まれ、押さえローラで押さえられる竹の破砕部に対する進入方向の角度を調節することができる。これにより、竹の進入方向を装置の前後方向に対し傾斜させることで、粉砕部で粉砕される竹の粉砕面の面積が広くなり、粉砕効率が向上する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、送り装置が駆動ローラと補助ローラで被処理物を挟み、双方が協働して被処理物を粉砕部へ送る構造であるので、従来のチャック機構を有する装置と比較して構造が比較的簡易で、また、送り装置を含む粉砕機全体がコンパクトであり、破砕又は粉砕する被処理物のセッティングと取り外し作業の作業性にもすぐれている、粉砕機を提供することができる。
【0025】
押さえローラが回転軸の軸方向において移動調節ができるように形成されているものは、押さえローラの位置を調節することで、駆動ローラと補助ローラで挟まれ、押さえローラで押さえられる竹の破砕部に対する進入方向の角度を調節することができる。
これにより、竹の進入方向を装置の前後方向に対し傾斜させることで、粉砕部で粉砕される竹の粉砕面の面積が広くなり、粉砕効率が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1乃至
図5を参照する。
破砕又は粉砕機C1(以下、粉砕機C1という)は、自走式の走行機1と、被処理物である竹等を破砕又は粉砕処理する破砕又は粉砕部2(以下、粉砕部2という)及び粉砕部2に竹等を周方向へ回転させながら送る送り装置3を備えている。なお、走行機1は、公知の一般的なクローラ式の走行機を採用しているので、構造についての詳細な説明は省略する。
【0029】
粉砕部2は、走行機1の前側(
図1で右側)の上部に形成されている中空のケース20の内部に設けられている。ケース20の前部には、粉砕物を吸引して集める集粉装置の吸引管(図示省略)を接続するための接続管21を有している。また、ケース20上部の前側には、粉砕部2を構成する粉砕ローター22が備えてある。粉砕ローター22は、走行機1のエンジン(符号省略)の動力で駆動され、
図1に矢印で示すように粉砕側において上から下方向へ回転する。
【0030】
粉砕ローター22は、
図5に示すように、ほぼ円柱形状のローター本体220を有している。ローター本体220の回転軸222(
図1参照:
図5では軸穴のみ図示)の方向は、被処理物の送り方向と水平方向において直交するようにしてある。ローター本体220の外周面221には、外周面221を展開した状態でみて、回転軸222の軸方向と約30°で傾斜した逃げ溝223が周方向に等間隔で六箇所に形成されている。
【0031】
ローター本体220には、粉砕ローター22の回転方向(
図5の矢印参照)とは反対側の各逃げ溝223縁部に沿って、それぞれ複数(本実施の形態では七個)の刃体224が溝方向に連続するように固定されている。各刃体224は、ローター本体220の外周面221に形成された凹部(符号省略)に回らないように嵌め入れて螺子225で固定されている。
【0032】
粉砕ローター22の下端部よりやや高い位置で、ケース20内部の後部側から、前記走行機1の操作ハンドル10の上方へ向けて、後記する送り装置3を構成する断面コ字状で両側に壁部が形成されている送りテーブル30が水平に設けられている。送りテーブル30は、
図2に示すように、同じ幅で長方形状の前部送りテーブル301と、後方へ向け幅方向の一方側(
図2で上側)がやや拡がるように形成された台形状の後部送りテーブル302で形成されている。
【0033】
後部送りテーブル302の幅方向の両側端辺部には、端辺部の全長にわたり竹等の被処理物を案内する案内部材309、309aが上面側へ立ち上げて形成されている。案内部材309aの前部側の上面には、後記する後部ガイド35が取り付けられている。
【0034】
前部送りテーブル301の前部側には、上蓋308が固定されている。なお、後部送りテーブル302の後端部の上部には、コイルバネでつくられており被処理物を受ける受バネ34が幅方向へ架け渡して取り付けてある。なお、受バネ34は、後記する受スタンド5と協働することで、長尺の被処理物も支えることができる。
【0035】
また、送りテーブル30の前端と粉砕ローター22の外周面221との間には、若干の隙間(符号省略)が形成されている。そして、粉砕ローター22のやや下方には、前記隙間部分から前記接続管21の下側へ繋がる前方側へ下り傾斜した誘導板23が形成されている。誘導板23は、粉砕ローター22で粉砕された粉体を接続管21へ誘導するものである。
【0036】
ケース20内部の後部側において、前記粉砕ローター22よりやや後方側、且つ後記する送り装置3よりやや前方側には、押さえローラ24が配置されている。押さえローラ24は、ケース20の左右両側の壁201、202に上下方向へ回動自在に軸支されたアーム240、240aの後部に回転軸241によって回転自在に軸支されている。アーム240、240aは、引っ張りバネ244(
図1参照)によって下回り方向へ付勢されている。
【0037】
押さえローラ24は、回転軸241の軸方向に所要の範囲で移動調節ができるようになっている。押さえローラ24は、
図2に示すように、中央部が括れた構造(二つの円錐台形状のものを径小側でつないだ形状)であり、被処理物を上から押さえて両側のテーパ部分と送りテーブル30との間で挟み、回転する被処理物の位置決めをして、ぶれたり暴れたりしないように安定させるものである。なお、押さえローラ24を移動調節できるようにする構造としては、例えば押さえローラ24の半径方向に貫通したネジ孔(雌ネジ)に螺合した止ネジ(ホロセットともいう)を締め付けて回転軸241に圧着して所要の位置に固定する構造等、各種公知手段が採用できる。
【0038】
符号242は、コ字状の補強部材であり、アーム240、240aの間隔を固定し補強するものである。また、補強部材242の一方の曲がり部には、上方へ向けて握り部材243が形成されている。握り部材243は、被処理物のセット後、後記する駆動ローラ32と補助ローラ31、31aで送られてきた被処理物を押さえローラ24で挟むときに、作業者が押さえローラ24を引っ張りバネ244の付勢力に抗して上昇させるときに使用する。
【0039】
送り装置3は、前記した送りテーブル30と、送りテーブル30と同じ高さに配置されている一対の補助ローラ31、31aと、補助ローラ31、31aの上方に昇降自在に設けられた駆動ローラ32を備えている。駆動ローラ32の上側には、カバー329が固定されている。
なお、補助ローラ31、31aは、本実施の形態では送りテーブル30の前部送りテーブル301の底板に形成されているが、これに限定されるものではなく、補助ローラ31、31aを底板の両側(
図2で上下両側)の端辺部の全長にわたり上面側へ立ち上げて形成された案内部材(符号省略)の一方又は双方に形成してもよいし、補助ローラ31、31aを全く形成しない構造とすることもできる。
【0040】
補助ローラ31、31aは、前記押さえローラ24よりやや後方側に配置してあり、軸受具310にやや間隔を開けて各回転軸311(
図4(c)参照)が互いに平行になるように軸支され並設されている。軸受具310は、送りテーブル30の前部送りテーブル301の後端寄りに幅方向へ形成された、長手方向の中央部が括れた形状の取付穴303に嵌め込まれ、取付角度の調節ができるようにして螺子304で固定されている。
【0041】
また、補助ローラ31、31aのローラ本体312の外周部には、食込フランジ313が回転軸311のまわりに回転する方向の全周に形成されている。食込フランジ313の先端縁は尖鋭に形成されており、被処理物の表面に食い込みやすくなっている。なお、食込フランジ313の先端縁をやや丸めて竹に切込が入りにくいようにすることもできる。
補助ローラ31、31aは、取付状態においては、各回転軸311が送りテーブル30の上面と同じ高さになり、補助ローラ31、31aの上半分が送りテーブル30の上面から突出するようにしてある(
図4(c)参照)。更に、各回転軸311の軸方向は、被処理物の送り方向とほぼ平行に近い若干の傾斜角度をもって設定されている(
図4(a)参照)。
【0042】
補助ローラ31、31aの上方に位置する駆動ローラ32は、回転軸320と、回転軸320の長手方向に所要間隔で複数枚(本実施の形態では8枚)取り付けられており周縁に複数(又は多数)の送り歯を有する、互いに同じ直径の円板状の歯板321とを有している。駆動ローラ32は、「ヘ」字状で互いに平行に配置されたアーム322、323の先端側に回転自在に軸支されており、回転軸320の一端部(
図4(a)では後端部)には、スプロケット324が取り付けられている。
【0043】
前記アーム322、323の基端側は、送りテーブル30の側部に固定されている取付用ブラケット305、306の先端側にそれぞれ軸307を介し上下方向へ回動自在に取り付けられている。アーム322と取付用ブラケット305の間、及びアーム323と取付用ブラケット306の間には、引っ張りバネ328が掛けられており、アーム322、323は、軸307を中心として下回り方向へ付勢されている。
【0044】
アーム322、323のほぼ中間部の幅広部分には、アーム322、323間に渡すように油圧モータ33が取り付けられている。油圧モータ33は、エンジンの動力で駆動される油圧ポンプを有する油圧系(図示省略)により駆動され、回転数の調節ができる。
【0045】
油圧モータ33の回転軸330の先端部にはスプロケット331が取り付けられている。スプロケット331と前記スプロケット324にはチェーン332が掛けられ、駆動ローラ32は
図4(c)のB矢視図で矢印a1で示した左回り方向へ回転する。駆動ローラ32は、前記軸307を回転中心として、上下方向へ昇降自在である。
【0046】
また、後方側のアーム322の先端には、嵌め入れ軸325が固定されており、嵌め入れ軸325には、手動操作用のパイプ状のハンドル326(
図4(c)参照)が着脱自在である。なお、ハンドル326の差込側の端部の近傍には、支持ロッド327が基部を回動自在に軸着して取り付けられている。支持ロッド327は、ハンドル326を操作して駆動ローラ32を上昇させたとき、一定の高さで維持するため、下端を前部送りテーブル301の縁上面に当てて突っ支い棒のように使用する。
【0047】
なお、駆動ローラ32の回転軸320の軸方向は、
図4(a)に示すように水平、且つ被処理物の送り方向a0(
図4(a)参照)とほぼ平行に近い若干の傾斜角度をもって設定されている。なお、この傾斜方向は、前記補助ローラ31、31aの各回転軸311の傾斜方向とは、反対方向である。これにより、駆動ローラ32と補助ローラ31、31aで竹等の被処理物を上下方向から挟み、協働して送る際には、次のように作用する。
【0048】
すなわち、駆動ローラ32の各歯板321が前記矢印a1方向に回転すると、各歯板321の下側の送り歯が被処理物4の表面に噛み込んで、被処理物4を矢印a2方向に回転させる。被処理物4表面に接触している補助ローラ31、31aは、これにより矢印a3方向へ従動回転する(
図4(c)参照)。
【0049】
矢印a1方向の回転による各歯板321の下側の回転は、被処理物4の送り方向a0と同じ方向の力のベクトルを含み、矢印a3方向の回転による補助ローラ31、31aの上側の回転も同様に被処理物4の送り方向a0と同じ方向の力のベクトルを含んでいる。これにより、駆動ローラ32と補助ローラ31、31aは協働し、被処理物4を螺旋回転させながら送り方向である矢印a0方向へ送る。
【0050】
つまり、各補助ローラ31、31aの回転軸311は、各補助ローラ31、31aの外周部の回転方向が、駆動ローラ32が与える被処理物4の螺旋回転に対し順方向となるべく、駆動ローラ32の回転軸320に対して交差して配置されている。
【0051】
前記補助ローラ31、31a及び駆動ローラ32の後方の後部送りテーブル302の案内部材309aの上面には、前記したように被処理物をガイドする後部ガイド35が取り付けられている。後部ガイド35は、扇形で板状の本体351を有し、本体351は水平方向に回動調節できるように要(かなめ)部が軸352で取り付けられている。
【0052】
本体351には、円弧状の縁部に沿うように湾曲した長穴353が形成されている。本体351の先端側には、被処理物の側面に当てて被処理物を案内するロッド350が下方へ向け形成されている。そして、本体351は、長穴353を貫通し案内部材309aの上面に螺着された固定具354により、適宜回動位置で固定することができる。
【0053】
また、補助ローラ31、31a及び駆動ローラ32の前方側の上蓋308の幅方向他方側(前記後部ガイド35と反対側)には、前部ガイド36が取り付けられている。前部ガイド36は、幅方向に移動調節できるようにして取り付けられており、上蓋308を貫通し下方へ伸びたロッド(符号省略)を被処理物の側面に当ててガイドすることができる。
【0054】
図6を参照する。
粉砕機C1は、被処理物として、例えば4m程度の長尺な竹等を粉砕処理するので、被処理物を送りテーブル30と協働してほぼ水平状態で支えるための受スタンド5を組み合わせて使用することができる。
受スタンド5は、逆V字形の脚体50、51を備え、脚体50、51の上部には、高さ調整体52、53が上下方向にスライド調節できるように取り付けられている。また、脚体50、51は、交差した補強部材54で連結されている。高さ調整体52、53の上端の間には、一端側に引っ張りバネ(符号省略)を設けた受けワイヤ55が架け渡して取り付けてある。
【0055】
受スタンド5を使用する際は、粉砕機C1の後方に所要の距離をおいて設置し、長尺の被処理物4(
図6では竹)の後端側を支えるようにする。これにより、被処理物4の前部が後部の重みで上方へ上がらないようにして、前記押さえローラ24で被処理物4の前部を押さえるときに必要な力を軽減できる。また、竹は一般に直線的ではないので、周方向に回転することで全体が振れるが、竹の後部側を前記構造の受けワイヤ55で受けることにより、竹の動きを相殺しながら無理なく回転させることができる。
【0056】
(作用)
図1ないし
図6を参照して、送り装置3を有する粉砕機C1の作用を説明する。
以下、比較的直径の大きい竹(孟宗竹)を被処理物4として粉砕処理する場合を例にとり説明する。
【0057】
まず、作業者がハンドル326を操作し、引っ張りバネ328の引っ張り力に抗して駆動ローラ32を上昇させ、ハンドル326の支持ロッド327の下端を前部送りテーブル301の縁上面に当て、駆動ローラ32を一定の高さで支えるようにする。そして、所要長さ(例えば4m程度)に切断された被処理物4を送りテーブル30に載せる。被処理物4の後端側は、受スタンド5の受けワイヤ55に載せて支えるようにする。
【0058】
被処理物4の先端側を送り装置3の駆動ローラ32と補助ローラ31、31aの間に通し、先端を押さえローラ24の後方側に位置させる。支持ロッド327による支えを外し、引っ張りバネ328の引っ張り力を利用して、駆動ローラ32の各歯板321と補助ローラ31、31aで上下方向から挟むようにする(
図4(a)、(c)参照)。この後、ハンドル326は取り外しておく。
【0059】
更に、押さえローラ24の回転軸の軸方向における位置を調節し、更に後部ガイド35及び前部ガイド36によって、被処理物4を両側から規制して、
図4(a)に示すように、平面視において、前後方向と平行又はやや傾斜を付けるようにする。このようにして、駆動ローラ32と補助ローラ31、31aで挟まれ、押さえローラ24で押さえられる被処理物の破砕部に対する進入方向の角度を調節することができる。
被処理物4を傾斜を付けて送る場合は、粉砕ローター22の各刃体224で粉砕されるときに当たる粉砕面の面積が、平行に送られる場合と比較して、より広くなるので効率よく粉砕することができる。
【0060】
また、被処理物4の粉砕面(木口面)の面積が広くなることで、粉砕時に被処理物4の粉砕面に当たる刃体224の並び方向(回転軸320の軸方向)の数が増えるので、各刃体224を無駄なく使用することができる。更には、被処理物4が周方向へ回転することにより、新たに粉砕される部分が、粉砕ローター22の上から下へ向かって回転する刃体224に対し、下から上へ対向するように回転移動するので、この点からも粉砕の効率がよくなる。
【0061】
次に、粉砕機C1の粉砕部2の粉砕ローター22を駆動し、油圧モータ33を作動させて送り装置3の駆動ローラ32を駆動する。駆動ローラ32の回転軸320は、被処理物4に進行方向に対する螺旋回転を与えるべく粉砕部2に送る矢印a0方向に対して交差して配置されているので、前記したように、駆動ローラ32の各歯板321が矢印a1方向に回転すると、各歯板321の下側の送り歯が被処理物4の表面に噛み込んで、被処理物4を矢印a2方向に回転させ、被処理物4表面に接触している補助ローラ31、31aは、これにより矢印a3方向へ従動回転する。
【0062】
矢印a1方向の回転による各歯板321の下側の回転は、被処理物4の送り方向a0と同じ方向の力のベクトルを含み、矢印a3方向の回転による補助ローラ31、31aの上側の回転も同様に被処理物4の送り方向a0と同じ方向の力のベクトルを含んでいる。
これにより、駆動ローラ32と補助ローラ31、31aは協働し、被処理物4を螺旋回転させながら粉砕ローター22の方向へ送り出すことができる。
【0063】
被処理物4が押さえローラ24まで送られたら、前記のようにして押さえローラ24を上昇させ、被処理物4を通した後、押さえローラ24を下ろし、引っ張りバネ244の付勢力によって押さえローラ24と前部送りテーブル301で被処理物4を挟み、被処理物4が暴れないように安定させる。この状態で、被処理物4を送り方向である矢印a0方向へ更に送ることで、前記のように粉砕ローター22で粉砕することができる。
【0064】
なお、駆動ローラ32及び補助ローラ31、31aと粉砕ローター22の間はやや距離があり、粉砕処理において、最後はこの距離の分だけ被処理物4が残るので、次の被処理物4をセットする前に取り出す必要がある。この際には、被処理物4の後端側が駆動ローラ32と補助ローラ31、31aに一部噛んだ状態で駆動ローラ32の回転を停止し、駆動ローラ32を逆回転させて、被処理物4を後方へ送って取り出すようにする。
【0065】
このように、本発明に係る送り装置3は、従来のようにチャック機構を使用した竹粉製造機と比較して送り装置3の構造が比較的簡易であり、送り装置3を含む粉砕機C1全体がコンパクトである。また、被処理物4のセッティング作業が、被処理物4の先端側を送り装置3の駆動ローラ32と補助ローラ31、31aで挟むだけでよく、簡単であり、残り部分の取り外しも簡単にできるので、作業性にすぐれている。
【0066】
図7を参照する。
粉砕機C2は、粉砕機C1とほぼ同様の構造を有しているが、送り装置3aの構造が粉砕機C1の送り装置3と一部異なっている。なお、
図7において、粉砕機C1と同一又は同等箇所には同一の符号を付して示し、粉砕機C1と重複する構造についての説明は省略する。
【0067】
送り装置3aの送りテーブル30aは、後部送りテーブル302aを有している。後部送りテーブル302aは、後方へ向け両側(
図7で上下方向の両側)が同じ角度で末広がりとなるように形成されている。後部送りテーブル302aの両側端辺部には、端辺部の全長にわたり竹等の被処理物を案内する案内部材309b、309cが上面側へ立ち上げて形成されている。
【0068】
案内部材309b、309cの前部側の上面には、それぞれ後部ガイドを取り付けることができる。粉砕機C1と同様に、被処理物を後部送りテーブル302aの幅方向の一方側(
図7で上側)に寄せて送る場合は、反対側の案内部材309cに後部ガイド35(想像線で図示)を取り付ける。また、被処理物を後部送りテーブル302aの幅方向の他方側(
図7で下側)に寄せて送る場合は、案内部材309bに後部ガイド35aを取り付ける。
【0069】
なお、案内部材309bに取り付ける後部ガイド35aは、後部ガイド35と同じ形状ではなく、面対称形状である。また、後部ガイド35、35aは、必要な側を案内部材309b、309cにその都度選択的に取り付けるようにしてもよいし、案内部材309b、309cに常時取り付けておき、被処理物4の案内をしない側の後部ガイドを外方向へ回動して邪魔にならないようにしてもよい。
【0070】
粉砕機C2によれば、粉砕機C1と同様に竹等の被処理物4を後部送りテーブル302aの案内部材309bに寄せて送ることもできるし、加えて、被処理物4の送り方向が駆動ローラ32の回転軸320の軸方向にほぼ平行な方向となるように、被処理物4を案内部材309cに寄せて送ることもできる。
【0071】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形が可能であるということは言うまでもない。