(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行するための、工作機械の全体構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いるNCプログラム用コンピュータの動作を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いる工具アセンブリ部、工具画像情報取得部,工具画像情報判定部の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における照合用の工具画像の取得方法の内容を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における照合用の工具画像の取得方法の説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いられる各種工具の正面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いられる各種工具の正面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いられる各種工具の正面図である。
【
図9】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いられる各種工具の正面図である。
【
図10】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具測定部の動作を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いられる各種工具の形状データの説明図である。
【
図12】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いられる各種工具の形状データの説明図である。
【
図13】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いられる各種工具の形状データの説明図である。
【
図14】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いられる各種工具の形状データの説明図である。
【
図15】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具への工具情報の取り付けと、工具の確認の動作を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具への工具情報の取り付けの説明図である。
【
図17】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具への工具情報の取り付けの説明図である。
【
図18】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具への工具情報の取り付けの説明図である。
【
図19】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具の確認の説明図である。
【
図20】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具の確認の説明図である。
【
図21】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具の確認の説明図である。
【
図22】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具の確認の説明図である。
【
図23】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具収納の動作を示すフローチャートである。
【
図24】本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械による加工手順の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1〜
図24を用いて、本発明の一実施形態による機械加工方法について説明する。
最初に、
図1を用いて、本実施形態による機械加工方法を実行するための、工具認識による誤切削防止機能付きの工作機械の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行するための、工作機械の全体構成を示すブロック図である。
【0016】
本実施形態の工作機械において、データベース1には、登録済み工具画像情報が格納されている。NCプログラム用コンピュータ2は、NCプログラム生成部3と、NCプログラムシミュレータ4を備えている。これらの各部の動作に詳細については、
図2を用いて後述する。
【0017】
工具アセンブリ部11は、工具保管部10から取り出された工具が組み立てられる。工具画像情報取得部12aは、工具アセンブリ部11で組み立てられた工具の画像情報を取得する。そして、工具画像情報判定部13aは、工具画像情報取得部12aで取得された画像と、データベース1から取り出された登録済み工具画像情報を比較して、工具の判定を行う。工具画像情報取得部12a及び工具画像情報判定部13aの動作の詳細については、
図3を用いて後述する。
【0018】
工具測定部7は、NCシミュレータ用工具形状データ生成部8と、工具寸法測定部9とを備えている。これらの各部の動作に詳細については、
図6を用いて後述する。
【0019】
工具測定部用コンピュータ6は、ラベルプリンタ14によりラベルを作成し、また、タグライター15によりタグを作成する。工具へのラベル/タグ取り付け部16は、作成されたラベルやタグを工具に取り付ける。
【0020】
工具情報読取り部A17は、工具に取り付けられたラベル/タグから情報を読み込む。工具画像情報取得部12aは、工具の画像情報を取得する。工具画像情報判定部B13bは、工具画像情報取得部12aにより取得した画像情報より工具を判定する。総合判定部A45aは、工具情報読取り部A17による情報と、工具画像情報判定部B13bによる情報から、総合的に判断する。総合情報生成部A46aは、ラベル/タグに記録さされた情報と画像情報を一括した総合情報を生成し、データベースに送る。
【0021】
ATC付きNC制御工作機械(MC)44は、機械のX軸、Y軸、Z軸の制御部28と、工具情報読取り部C29と、工具画像情報取得部C30と、NC制御盤31と、通信端末部32と、自動工具交換部(ATC)18とを備えている。自動工具交換部(ATC)18は、工具情報読取り部B19と、工具収納部20と、ATCアーム21と、ATC制御部22とを備えている。NC制御工作機械(MC)44は、ATC/MC用コンピュータ47によって制御される。
【0022】
次に、
図2を用いて、本実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いるNCプログラム用コンピュータ2の動作について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いるNCプログラム用コンピュータの動作を示すフローチャートである。
【0023】
ワークの加工は、先ず、ステップS100において、NCプログラマーによって、NCプログラム用コンピュータ2のNCプログラム生成部3にてNCプログラムが生成される。次に、ステップS110において、NCプログラム用コンピュータ2のNCプログラムシミュレータ4によって、工作機械44で実行されるNCプログラムのシミュレーションを行い、ステップS120において、エラーや衝突の危険防止などがチェックされる。問題が無いことが確認されたNCプログラムは、ステップS130において、ネットワークを介してデータベース1に格納される。
【0024】
次に、
図3を用いて、本実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いる工具アセンブリ部11,工具画像情報取得部12a,工具画像情報判定部13aの動作について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いる工具アセンブリ部、工具画像情報取得部,工具画像情報判定部の動作を示すフローチャートである。
【0025】
まず、ステップS200において、工作機械オペレータによって、工具保管部10から所望の工具が選択される。選択された工具は、工具アセンブリ部11へと移動され、ステップS210において、工具アセンブリ部11で組み立てられる。次に、ステップS220において、工具画像情報取得部12aにて、組み立てられた工具の画像が撮影される。
【0026】
ここで、
図4〜
図9を用いて、本実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における照合用の工具画像の取得方法について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における照合用の工具画像の取得方法の内容を示すフローチャートである。
図5は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における照合用の工具画像の取得方法の説明図である。
図6〜
図9は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いられる各種工具の正面図である。
【0027】
先ず、
図4のステップS220Aにおいて、工具は、回転台の上に設置される。次に、ステップS220Aにおいて、工具が撮影される。
【0028】
ここで、
図6はエンドミルの外観の例である。また、
図7は、ラジアスエンドミルの外観の例である。また、
図8は、ボールエンドミルの外観の例である。さらに、
図9は、フェースミルの外観の例である。これらの工具は、同じ種別であっても、刃の数が違う場合がある。
【0029】
ここで、画像取得の際、
図5に示すように、工具をある方向から撮影しただけでは、画像に映らない部分が残ることになる。例えば、円筒形状のドリル41の場合、中心から角度θの範囲しか映らない。したがって、刃の数の違いなどは把握することができない。
【0030】
そこで、
図4のステップ220Dにおいて、工具を回転させ画像を取得する。そして、ステップS220Cにより、これを繰り返し、ステップS220Eにより、工具の全周囲画像を取得し、取得した画像をデータベース1に登録する。
【0031】
なお、本実施例では、登録画像を撮影する際に、工具の全周画像を取得し、組み立てられた工具を撮影する場合には、1方向から画像を取得し、該組み立て後に取得された1枚の画像に対し、複数の登録画像との照合を行う例を示したが、登録画像を撮影する際には1枚だけ画像を取得し、組み立てられた工具を撮影する際に、全周画像を取得して照合する方法でも良い。
【0032】
次に、
図3のステップ230に戻り、データベース1に予め登録済みの登録画像が読み込まれる。そして、ステップS240において、工具画像情報判定部13aにおいて、登録画像と撮影された工具画像の照合が行われる。一致すればステップS260で照合処理は完了し、一致しない場合、ステップS250で次の登録画像との照合が行われる。
【0033】
全ての登録済み画像との照合が終了しても、一致と判断されなかった場合は、誤った工具が組み立てられているため、工具の再確認、再組み立てが行われる。
【0034】
ここで、
図3のステップS240における画像の照合、すなわち、画像と画像の一致度を比較する方法について説明する。画像と画像の一致度を比較する方法として、例えば、テンプレートマッチングを用いる。登録画像(テンプレート)と取得画像がどれだけ似ているかの評価値(類似度または相違度)として、以下の値がある。以下の式(1)〜式(8)において、テンプレートの輝度値の値をT(i、j)、取得画像の輝度値の値をI(i、j)とする。座標の(i、j)はテンプレートの幅をm画素、高さをn画素としたとき、左上を(0,0)、右下を(m−1、n−1)とする。
【0035】
式(1)に示すSSD(Sum of Squared Difference)は、テンプレートをラスタスキャンし、同じ位置の画素の輝度値の差の2乗の合計を用いる。SSDの値が小さいほど、似ている位置となる。
【0036】
式(2)に示すSAD(Sum of Absolute Difference)は、テンプレートをラスタスキャンし、同じ位置の画素の輝度値の差の絶対値の合計を用いる。SADの値が小さいほど、似ている位置となる。
【0037】
式(3)に示す正規化相互相関(NCC:Normalized Cross-Correlation)は、テンプレートと取得画像の類似度として、以下の正規化相互相関を用いる。類似度が1に近いほど、似ている位置となる。
【0038】
この計算式は、内積の式をCosθ = の式に変形した式と同じである。上式を以下の式(4)ように変形すると、M×N次元のIのベクトルとTのベクトルの内積となる。
【0039】
ここで、RNCCの値はCosθに相当するので、RNCCの値は−1〜+1の範囲の値をとなる。RNCC=1のとき、完全に同じ画像、RNCC=−1のときはネガポジ反転画像となる。
【0040】
式(5)に示す正規化相互相関(ZNCC:Zero-mean Normalized Cross-Correlation)は、上記NCCの相互相関係数ではテンプレートや取得画像の明るさが変動すると、NCCの値もふらついてしまうのに対し、テンプレートおよび取得画像の輝度値の平均値をそれぞれの値から引いて計算することで、明るさの変動があっても安定的に類似度を計算することができる。
【0041】
ここで、この式(5)はテンプレートの領域内の輝度値の平均値を計算してから、さらに輝度値から平均値を引くため、このままプログラミングすると効率の悪いプログラムとなる。そこで、RZNCCの式を変形する。テンプレートの平均輝度値およびテンプレートと同じ領域の画像の輝度値の平均は、以下の式(6)、式(7)により、
で求まることから、この値をRZNCCの式(5)に代入して整理すると、以下の式(8)となる。
【0042】
この式を用いると、プログラム的には1パスで済むので計算効率が良くなる。
【0043】
なお、テンプレートと取得画像の間に、回転やスケール変動がある場合には、いずれかの画像にアフィン変換(拡大縮小・回転変換、シェアリング)を施した上でマッチングを行えばよい。
【0044】
このように、本実施形態では、工具組立指示書の番号などでの確認ではなく、実際に組み立てられた工具の画像を用いて所望の工具であるか否かを判定しているため、ヒューマンエラーによって引き起こされる、工具のパーツの選択間違いや、組み立て間違いを、この時点でキャッチし、所望の工具を確実に組み立てる仕組みが構築できる。
【0045】
次に、
図10〜
図14を用いて、本実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具測定部7の動作について説明する。
図10は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具測定部の動作を示すフローチャートである。
図11〜
図14は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械に用いられる各種工具の形状データの説明図である。
【0046】
図1の工具上方判定部A13aによって、所望のものであることが担保された工具は、次に、工具測定部7に移動される。
【0047】
工具測定部7の工具寸法測定部9は、ステップS300において、工具の寸法、例えば、径(D)や長さ(L)を測定する。例えば、工具の一例であるエンドミルの長さLの測定値が10.05mmであり、この工具の設計値L0が10.0mmの場合、その誤差ΔL(=L−L0)は、+0.05mmとなる。この誤差は、この工具を用いてNC加工するときの加工誤差となるので、この誤差ΔLの値を工具補正値として、工具測定部用コンピュータ6を介して、径や長さの情報がデータベース1に送られる。また、ステップS310において、NCシュミレータ用工具形状データ生成部8は、工具測定部用コンピュータ6を介して、NCシュミレータ用工具形状データの情報がデータベース1に送られる。NCプログラム用コンピュータ2は、このデータを用いて、NCプログラムをシュミレートする。また、NC制御盤31にも転送される。
【0048】
ここで、
図11はエンドミルの形状データの例であり、エンドミルは、径(D)や長さ(L)が測定される。また、
図12は、ラジアスエンドミルの例であり、径(D)や長さ(L)や先端のRが測定される。また、
図13は、ボールエンドミルの例であり、径(D)や長さ(L)や先端のRが測定される。さらに、
図14は、フェースミルの例であり、径(D)や長さ(L)が測定される。
【0049】
さらに、ステップS320において、NCシミュレータ用工具形状データ生成部8にて、NCプログラムシミュレータ4で用いる工具の形状を測定する。これにより、NCプログラムシミュレータ4では、実際に加工に使われる工具の形状によりシミュレーションを行うことが可能となる。該測定された工具の形状は、ステップS330において、工具測定部用コンピュータ6を介してデータベース1に送られる。
【0050】
次に、
図15〜
図22を用いて、本実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具への工具情報の取り付けと、工具の確認の動作について説明する。
図15は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具への工具情報の取り付けと、工具の確認の動作を示すフローチャートである。
図16〜
図18は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具への工具情報の取り付けの説明図である。
図19〜
図22は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具の確認の説明図である。
【0051】
まず、
図15のステップS400において、工具番号、工具寸法(補正値)は、
図16に示すラベルプリンタ14で、マトリックス型二次元コードなどの画像で認識可能なラベル33に印刷される。また、
図16に示すタグライター15で、ICタグなどの電気的に読み取り可能なタグ34に情報が書き込まれる。
【0052】
そして、
図15のステップS410において、工具へのラベル/タグ取り付け部16にて、
図16に示すように、工具T10,T15に取り付けられる。
図16では、本来は、正しい工具T10にラベル/タグが取り付けられるべきであるが、ここでは、誤って、工具T15に付けられた場合を示している。
図17は、工具にラベル33が取り付けられた状態を示している。
図18は、工具にタグ34が取り付けられた状態を示している。
【0053】
そして、
図15のステップS420において、
図1に示した工具情報読取り部A17にて、工具情報が読み取られる。ステップS430において、読み込んだ工具番号や補正データは、転送される。このとき、何も問題なければ、
図19のように、正しい工具に正しい情報が書き込まれたラベルやタグが取り付けられ、情報が正しく管理されることになる。ところが、例えば、ヒューマンエラーにより、所望のラベルやタグが、所定の工具(T10)に取り付かずに、間違った工具(T15)に取り付けられると、
図20に示すように、工具に対し誤った情報方が関連付けられることになる。
【0054】
しかしながら、人や、ラベル/タグを用いた管理システムでは、この取り付け間違いに気付くことができない。そこで、本実施形態では、この後に、前述の画像を用いた工具情報判定を実施する。
【0055】
すなわち、
図15のステップS430において、工具画像情報取得部B12bは、工具を撮影して、工具の画像情報を取得する。次に、
図15のステップS440において、ラベル/タグが取り付けられた工具を、工具情報判定部B(13b)(ネットワーク経由で工具情報判定部A(13a)を用いても良い)にて画像を用いて判定する。画像により判定すれは、
図21のように、現在、ラベル/タグが取り付いている工具が工具(T15)であることが判断できる。
【0056】
しかしながら、画像による判断では、工具がT15であることが分かるだけで、工具に正しいラベル/タグが取り付いているか否かを判断することができない。
【0057】
そこで、
図15のステップS450において、工具情報読取り部A17にて読み込まれた情報と工具画像情報判定部B13bで判定された情報を、総合判定部A45aにて総合的に判断する。すなわち、
図21に示すように、工具情報読取り部A17にて読み込まれた工具番号はT10に対し、工具画像情報判定部B13bで判定された工具番号はT15であるから、工具の不一致を検知できる。
【0058】
次に、
図15のステップS460において、総合情報生成部A46aにて、
図22のようにラベル/タグに記録さされた情報と画像情報を一括した総合情報を生成し、データベースに送る。ここで、ラベルはマトリックス型二次元コードなどであり、画像でそこに書き込まれた情報を読み取ることができるため、工具情報読取り部Aにて読み込まれた情報をデータベース経由で参照しなくても、画像から情報を読取り参照することも可能である。すなわち、ラベルには工具番号が記録されているのであるから、読み取った工具番号と、実工具の画像から判定した工具番号を比較することで、それが所望の工具であるか否か判断することが可能となる。
【0059】
次に、
図23を用いて、本実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具収納について説明する。
図23は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械における工具収納の動作を示すフローチャートである。
【0060】
工具は、自動工具交換部(ATC)18が付いたNC制御工作機械(MC)44に運ばれる。
【0061】
初めに、ステップS500において、工具情報読取り部B19で工具情報を読取る。そして、ステップS510において、工具収納部20に工具を収納する。さらに、ステップS520において、ATC/MC用コンピュータ47を介して、当該工具が工具収納部20のどのラックに収納されたかをデータベース1に送信する。このとき、所望の工具に所望のラベル/タグが搭載されていることは担保されているので、ここでは、どの工具が何番のラックに収納されているかの情報が把握されればよい。
【0062】
次に、
図24を用いて、本実施形態による機械加工方法を実行する工作機械による加工手順について説明する。
図24は、本発明の一実施形態による機械加工方法を実行する工作機械による加工手順の内容を示すフローチャートである。
【0063】
テーブル27の上にワーク26が段取りされる。
【0064】
そして、ステップS600において、工作機械オペレータによりNC制御盤31の操作が行われ、NCプログラムが指定され、通信端端末32を介して、NCプログラムが転送される。次に、ステップS610において、その情報がATC制御部22に送られ、読み込まれる。そして、ステップS620において、読み込まれた情報に基づき、ATCアーム21が、工具収納部20内の所望の工具(工具D、25)を選択し、ステップS630において、主軸24に搭載される。
【0065】
ここで、加工が開始される前に、ステップS640において、ATC/MC用コンピュータ47により、主軸に取り付いているはずの後部の情報を読み込む。また、ステップS650において、工具情報読取部C29にて、工具情報が読み取られる。そして、ステップS660において、ステップS640で読み込まれた情報と、ステップS650で読み込まれた情報が照合される。仮に、ATC18にて、誤った工具が選択された場合でも、工具情報読取り部Cにて誤った工具が選択されていることに気付くため、誤った工具が搭載されていることを検知した時点で加工を停止すれば、誤切削は起こらない。ところが、実際の加工現場では、ATCを介さずに、人手で工具が交換される場合がある。この場合、既に説明したように、工具情報読取部Cの情報だけでは、所望の工具が主軸25に取り付いているか否かを確実に判断することはできない。
【0066】
そこで、本実施形態では、ステップS670において、工具情報判定部B13bは、取り付けられている工具の画像情報を読み込む。ここで、読み込まれる工具の画像情報は予め取得されたものであり、工具を0度の位置から360度回転させて取得した画像を、回転軸の回転方向に0度から360度まで展開した画像情報である。また、ステップS680において、工具認画像情報取得部C30は、工具を撮影して、工具画像情報を取得する。得られた工具画像情報をネットワーク経由で工具情報判定部B13bに送る。
【0067】
そして、ステップS690において、工具情報判定部B13bは、ステップS670の画像情報とステップS680の画像情報を照合して、所望の工具であるか否かを判定できる。ここで、ステップS680における工具画像情報の取り込みは、以下のいずれかの方法によって行われる。第1の方法では、主軸24は回転させず、主軸24に最初に取り付けられた時の位置で、1方向からの工具の取り付け状態での画像を取得する。この場合、ステップS690では、ステップS670で取得した360度の展開画像情報と、1方向からの画像情報を比較して所望の工具であるかと判別する。第2の方法では、主軸24は0度から所定角度(例えば、90度とか、180度)までゆっくりと回転させて、0度から所定角度の範囲までの工具の取り付け状態での画像を取得する。この場合、ステップS690では、ステップS670で取得した360度の展開画像情報と、0度から所定角度の範囲までの画像情報を比較して所望の工具であるかと判別する。この方法の方が第1の方法よりも判別精度を向上できる。第3の方法では、主軸24は0度から360度まで回転させて、0度から360度の範囲までの工具の取り付け状態での画像を取得する。この場合、ステップS690では、ステップS670で取得した360度の展開画像情報と、0度から360度の範囲までの画像情報を比較して所望の工具であるかと判別する。この方法の方が第2の方法よりも判別精度を向上できる。第4の方法では、主軸24は0度から順次回転させて工具の取り付け状態での画像を取得する。この場合、ステップS690では、ステップS670で取得した360度の展開画像情報と、0度から回転させながら取得した各角度での画像情報を比較して所望の工具であると判別できるまで回転を継続させる。この方法の方が第3と同程度の判別精度が得られ、しかも、第3の方法よりも短時間で判別をできる。
【0068】
そして、工具が所望のものと判定されると、ステップS700において、制御部28により、所定の加工動作が指示され、X、Y,Z軸23、および、主軸24が動作し、所定の加工が施される。
【0069】
以上説明した本実施形態によれば、常に今ある工具の画像から照合を行うので、今ある工具が所望の工具であるか否かを確実に判定することができる。そして、ヒューマンエラーに起因した、工具取り付け間違いによる誤切削を防止することが可能となる。