【実施例1】
【0021】
以下に、本発明に係る冷間ロール成形機及び冷間ロール成形法を図示した実施例に基づいて説明する。
図1は本発明に係る冷間ロール成形機1の成形スタンド10を正面方向から見た状態を示し、
図2は
図1で指示したA−A線矢視断面の方向から見た状態を示している。
図1及び
図2に示した本発明に係る冷間ロール成形機1も、
図6に示したように、成形スタンド10を成形機ベッド12上の長手方向に複数段(例えば18段程度)をタンデムに配列して設置した構成であり、前記成形スタンド10の大部分は
図5で示した従来の冷間ロール成形機1とほぼ同じ構成である。即ち、前記成形スタンド10は、成形機ベッド12上の幅方向左右の位置に間隔(例えば0.5〜1.8m程度)をあけて設置したスタンドフレーム11、11の間に、複数のロールコマ20…をロールシャフト21へ通して構成した凹型用及び凸型用の成形ロール2、2’を上下に相対峙させた構成である。前記上下の成形ロール2、2’の間隔は、例えば0.8〜2.3mm程度であるが、金属板材7の厚さを考慮して、適宜変更可能である。
なお、詳細に図示することは省略したが、前記ロールシャフト21の一方の端部(
図1では右側)であって、スタンドフレーム11から突き出た位置に、前記成形ロール2、2’を所定の回転速度で回転させる駆動機構が設置されている。
【0022】
本発明に係る冷間ロール成形機1の特徴は、既存の冷間ロール成形機1の成形スタンド10を構成する上側及び下側の成形ロール2、2’に対し、各成形ロール2、2’へ常時接触して反力を受け止めるサポートロール機構3、4を、ロールシャフト21の横断面の方向に見て、
ハの字状及び逆ハの字状
の配置に、前記金属板材7の入側Aと出側Bに、それぞ
れ左右一対の構成で設置し、高強度、高剛性の高張力鋼板やステンレス鋼板等を曲げ成形加工できるように成形能力を高める改造を行ったことである。
【0023】
上記サポートロール機構3(4)は、
図3に分解した状態を拡大して示したように、成形ロール2と常時接触する補助ローラ31(41)が、中空の角材で成るロールホルダー30(40)内へ嵌め込まれており、同補助ローラ31(41)の軸部がロールホルダー30(40)の内側面で支持されている。前記ロールホルダー30(40)の左右の外側面には、門形状の保持部32(42)が設けられており、該保持部32(42)の内部には、同保持部32(42)の内側上面へ突き当たって前記ロールホルダー30(40)を補助ローラ31(41)と共に上下方向へ移動させるネジジャッキ34(44)を組み込んだブロック体33(43)が、それぞれ設置されている。前記ブロック体33(43)の底面は、前記サポートロール機構3(4)が成形ロール2(2’)へ向かって傾くようにテーパ形状に形成されている。
前記ネジジャッキ34(44)は、前記ブロック体33(43)の上面に形成された円柱状の凹部内へ挿入されて同ブロック体33(43)へ一体状態に組み込まれている。前記ネジジャッキ34のネジ軸側は、保持部32(42)に対して回転はするが不利一体の構造である。前記ネジジャッキ34(44)は、頭部の縁部に沿って複数の孔34a(44a)…が設けられており、該孔34a(44a)…へ棒材を突き刺し回転させることで頭部上面の高さを調整することができる。
なお、
図3に示したサポートロール機構3(4)は一例を示したに過ぎず、成形ロール2(2’)と常時接触する補助ローラ31(41)を備えた構成であれば、他の構成であっても同様に実施することができる。
【0024】
上側に設置される上記構成のサポートロール機構3は、
図1に示したように、成形ロール2の上方で左右のスタンドフレーム11、11における上側の成形ロール2よりも上側位置に掛け渡されて固定された連結バー5へ、補助ローラ31が下側へ向くように上記ブロック体33を成形ロール2へ向かって傾く配置に固定して設置されている。前記上側のサポートロール機構3は、
図2に示したように、ロールシャフト21の横断面の方向に見た場合、
ハの字状配置とした左右一対の構成で設置されている。
また、
図1に示したように、正面方向から見た場合では、成形荷重が最も作用する成形ロール2の中央部に、前記ロールシャフト21の軸線方向に沿って左右に2個設置されている。但し、ロールシャフト21の軸線方向に沿って設置する個数は、図示した個数に限定されず、発生する成形荷重の大きさに応じて1個又は3個以上設けた構成で実施することもできる。
【0025】
一方、下側に設置されたサポートロール機構4は、成形機ベッド12上へ補助ローラ41が上側へ向くようにブロック体43を成形ロール2’へ向かって傾く配置に固定して設置されている。前記下側のサポートロール機構4は、
図2に示したように、ロールシャフト21の横断面の方向に見た場合、
逆ハの字状配置とした左右一対の構成で設置されている。また、
図1に示したように、正面方向から見た場合では、成形荷重が最も作用する成形ロール2’の中央部に1個だけ設置した構成である。但し、成形荷重の大きさに応じて2個以上設けた構成で実施することもできる。
【0026】
上記上側及び下側に設置されるサポートロール機構3、4は、補助ローラ31、41を成形ロール2、2’へ接触させて設置した構成について説明したが、初期値として一定の大きさの補助力を加えた状態に接触させて設置しても良い。
また前記上下のサポートロール機構3、4の補助ローラ31、41は、成形ロール2、2’の凹凸部のうち、凸部へ接触させることが好ましい。前記補助ローラ31、41を成形ロール2、2’の凹部へ接触させるにはストロークが大きいからである。
なお、詳細に図示することは省略したが、前記上下のサポートロール機構3、4は、上側のみ又は下側のみ設置した構成で実施することもできる。
【0027】
因みに、上記サポートロール機構3、4は、
図4に示したように、中央部を境に逆ねじで構成したボールねじを利用して、左右方向へスライド移動させて位置決めできる機構6を備えた構成で実施することもできる。
【0028】
上記構成の冷間ロール成形機1は、
図2に示したように、既存の冷間ロール成形機1の成形スタンド10における上下の成形ロール2、2’に対し、逆ハの字状又はハの字状に、金属板材7の入側Aと出側Bに、それぞれ配置した左右一対の構成で設置したサポートロール機構3、4で反力を受け止める(又は与える)ので、前記ロールシャフト21の剛性を確実に効果的に
補完して高めることができる。
よって、既存の冷間ロール成形機1で、高強度、高剛性の高張力鋼板やステンレス鋼板等を曲げ成形加工を行っても、前記ロールシャフト21の撓みを確実に防止することができるから、成形精度の高い製品を製造できる。また、ロール調整の再設定作業が不要となり、成形加工の再現性が向上し、生産の安定化を図ることができる。
前記サポートロール機構3、4は、成形ロール2、2’の直上位置又は直下位置ではなく、
その回転方向の前後に跨るハの字状又は逆ハの字状の配置とし
て、金属板材7の入側Aと出側Bにそれぞれ配置した構成なので、成形ロール2と成形機ベッド12との間に狭小のスペースしか
確保できなくても十分に設置することができる。
また、金属板材7は初期通板する際に、正転と逆転を繰り返
すが、その正転運転と逆転運転に対応し
て作用・反作用を受ける構造となる。
更に、上記サポートロール機構3、4は、非常に簡易な構造であり、ブロック体33(43)を左右のスタンドフレーム11、11に掛け渡された連結バー5へ固定し、又は冷間ロール成形機1のベッド12上に固定するだけで容易に設置できるから、既存の冷間ロール成形機1を安価な費用で改造することができる。
【0029】
なお、冷間ロール成形機1は、
図6に示しように、成形スタンド10を成形機ベッド12上の長手方向に複数段(例えば18段程度)をタンデムに配列して設置した構成であり、前記成形スタンド10で順次曲げ成形を行う。そこで、上記したサポートロール機構3、3(4、4)は、複数段設置された成形スタンド10のうち、部分的でも構わないが成形品の最終形状を決める複数段、或いは冷間ロール成形の後段など成形荷重が大きく加わる成形スタンド10に設置することが好ましい。具体的には、例えばデッキプレートの3山を成形する場合、先ず1山の成形を完成し、2山、3山と完成させながら曲げ成形を行う。その際、1山の成形形状を決める6段目、2山を決める12段目、3山を決める18段目の3段にサポートロール機構3、4を設置することが好ましい。なお、
図6中の符号8は矯正機を示している。
【0030】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、本発明は実施例の限りではない。本発明の目的及び趣旨を逸脱しない範囲で、当業者が行う設計変更や変形・応用の範囲で更に多様な態様で実施することができる。