特許第6106503号(P6106503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジーの特許一覧

特許6106503エバポレータおよびこれを用いた車両用空調装置
<>
  • 特許6106503-エバポレータおよびこれを用いた車両用空調装置 図000002
  • 特許6106503-エバポレータおよびこれを用いた車両用空調装置 図000003
  • 特許6106503-エバポレータおよびこれを用いた車両用空調装置 図000004
  • 特許6106503-エバポレータおよびこれを用いた車両用空調装置 図000005
  • 特許6106503-エバポレータおよびこれを用いた車両用空調装置 図000006
  • 特許6106503-エバポレータおよびこれを用いた車両用空調装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6106503
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】エバポレータおよびこれを用いた車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/32 20060101AFI20170327BHJP
   F25B 39/02 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   B60H1/32 613C
   F25B39/02 C
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-85595(P2013-85595)
(22)【出願日】2013年4月16日
(65)【公開番号】特開2014-205476(P2014-205476A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】512025676
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】東山 直久
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−310586(JP,A)
【文献】 特開2008−064362(JP,A)
【文献】 実開昭52−150063(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0018968(US,A1)
【文献】 特開平10−006760(JP,A)
【文献】 実開昭51−010747(JP,U)
【文献】 特開2002−310588(JP,A)
【文献】 実開昭59−092370(JP,U)
【文献】 特開2005−241168(JP,A)
【文献】 特開2013−061136(JP,A)
【文献】 特開2010−107147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/32
F25B 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を同方向に向けるとともに間隔をおいて配置された複数の冷媒流通管部と、隣り合う冷媒流通管部どうしの間に配置されたフィンとを有する熱交換コア部を備えており、熱交換コア部の隣り合う冷媒流通管部間に通風間隙が形成されているエバポレータであって、
熱交換コア部のすべての通風間隙が冷媒流通管部の長手方向の一端側に開口するとともに、当該開口が空気を通風間隙に導入する空気導入部となり、熱交換コア部のすべての通風間隙が冷媒流通管部の長手方向と直角をなす一方の側に開口するとともに、当該開口が通風間隙を通過した空気を送り出す空気送出部となっており、冷媒流通管部が扁平状であって、冷媒流通管部の厚み方向に間隔をおいて配置され、隣り合う冷媒流通管部間に形成された通風間隙に、空気導入部側端部が開口するとともに他端が閉鎖され、かつ冷媒流通管部の長手方向に空気を流す複数の第1流路と、空気送出部側端部が開口し、かつ冷媒流通管部の幅方向に空気を流す複数の第2流路とが設けられ、第1流路と第2流路とが通じさせられ、熱交換コア部の通風間隙に、当該通風間隙の片側の冷媒流通管部に接合された第1フィンと、当該通風間隙の他側の冷媒流通管部および第1フィンに接合された第2フィンとが積層状に配置され、第1流路が、第1フィンと第1フィンが接合された冷媒流通管部との間に形成され、第2流路が、第1フィンと第2フィンが接合された冷媒流通管部との間に形成され、第1フィンに第1流路および第2流路を通じさせる貫通穴が形成されているエバポレータ。
【請求項2】
熱交換コア部の通風間隙に設けられた第1流路が、第1フィンに設けられた両側壁部および底壁部からなる溝の開口が冷媒流通管部によって塞がれたものであり、第1フィンの底壁部に第1流路および第2流路を通じさせる貫通穴が形成されている請求項1記載のエバポレータ。
【請求項3】
熱交換コア部の通風間隙に設けられた全第1流路のうち通風間隙の空気送出部とは反対側端部の第1流路が、通風間隙の空気導入部から扁平中空体の長手方向の中間部まで至る直線状であり、残りの第1流路が、通風間隙の空気導入部から扁平中空体の長手方向の中間部まで至る直線部、および直線部の先端部に連なって空気送出部とは反対側に屈曲しかつ先端部が空気送出部とは反対側端部に位置する屈曲部からなり、空気送出部とは反対側端部の第1流路を形成する第1フィンの底壁部に、第1流路および第2流路を通じさせる貫通穴が形成され、残りの第1流路を形成する第1フィンの底壁部における屈曲部の先端部と対応する位置に、第1流路および第2流路を通じさせる貫通穴が形成されている請求項2記載のエバポレータ。
【請求項4】
第2フィンが、冷媒流通管部の全幅にわたる波頂部、冷媒流通管部の全幅にわたる波底部、および波頂部と波底部とを全長にわたって連結する連結部からなるコルゲート状であり、波頂部が冷媒流通管部および第1フィンのうちのいずれか一方に接合されるとともに波底部が同他方に接合され、連結部に貫通穴が形成されている請求項1〜3のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
【請求項5】
第2フィンが、冷媒流通管部の幅方向にのびる波頂部、冷媒流通管部の幅方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部からなる波状帯板が、冷媒流通管部の幅方向に、隣り合う2つの波状帯板の波頂部どうし、波底部どうしおよび連結部どうしが上下方向に位置ずれするように複数並べられるとともに、相互に一体に連結されたオフセット状であり、すべての波状帯板の波頂部が冷媒流通管部および第1フィンのうちのいずれか一方に接合されるとともに波底部が同他方に接合されている請求項1〜3のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
【請求項6】
冷媒流通管部の長手方向の両端部のうち空気導入部と反対側の端部に、すべての冷媒流通管部が通じるヘッダタンク部が設けられ、すべての冷媒流通管部およびヘッダタンク部が、複数の方形状扁平中空体が、扁平中空体の厚み方向に積層状に配置されて隣り合うものどうしが接合されることにより形成されており、扁平中空体が、扁平中空体の長手方向にのびるとともに扁平中空体の幅方向に間隔をおいて設けられた2つの膨出状冷媒流通管部と、扁平中空体の長手方向の一端寄りの部分に扁平中空体の幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ冷媒流通管部に通じるとともにヘッダタンク部を構成する2つの膨出状タンク形成部とを備え、扁平中空体のタンク形成部の膨出高さが冷媒流通管部の膨出高さよりも高くなっており、隣り合う扁平中空体のタンク形成部どうしが、両タンク形成部の内部が通じるように接合されることにより、隣り合う扁平中空体の冷媒流通管部どうしの間に通風間隙が形成され、第1フィンおよび第2フィンが扁平中空体の幅方向に並んだ両冷媒流通管部に跨るように通風間隙に配置されている請求項1〜5のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
【請求項7】
ケーシングと、ケーシングに設けられかつケーシング内に送り込まれた空気の温度調節を行う温度調節部と、ケーシング内に空気を送り込むとともに、温度調節部において温度調節が行われた空気を車室内に吹き出す送風機とを備え、温度調節部が、ケーシング内に配置されたエバポレータと、エバポレータの空気流れ方向下流側に配置されたヒータコアと、エバポレータを通過した後にヒータコアに送られる空気量およびエバポレータを通過した後にヒータコアを迂回する空気量の割合を調節するエアミックスダンパとを備えた車両用空調装置であって、
温度調節部のエバポレータが請求項1〜6のうちのいずれかに記載のエバポレータからなり、送風機によりケーシング内に送り込まれた空気が、空気導入部からエバポレータの通風間隙内に導入されるとともに、通風間隙を通過して空気送出部から送り出されるようになされている車両用空調装置
【請求項8】
ケーシングの上部に、送風機のケースの空気吹き出し口に通じる空気取り入れ口が設けられ、エバポレータが、冷媒流通管部の長手方向が上下方向を向きかつ空気導入部が上端に位置した状態で配置され、あるいは熱交換コア部の通風間隙の空気導入部が、冷媒流通管部における空気導入部側端部と反対側の端部よりも上方で、かつ前方もしくは後方に位置するように傾斜した状態で配置されており、エバポレータの熱交換コア部の通風間隙の空気導入部が、ケーシングの空気取り入れ口の下方に位置しているとともに、空気取り入れ口に通じている請求項7記載の車両用空調装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エバポレータおよびこれを用いた車両用空調装置に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、車両用空調装置が用いられる車両の前方(図1の左側)を前、同後方(図1の右側)を後といい、車両の上下方向(図1の上下)を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
たとえばキャブオーバ型の小型トラックにおいては、設置スペースの低減を目的として、フルセンター置きの車両用空調装置が用いられている。フルセンター置きの車両用空調装置として、ケーシングと、ケーシングに設けられかつケーシング内に送り込まれた空気の温度調節を行う温度調節部と、ケーシング内に空気を送り込むとともに、温度調節部により温度調節が行われた空気を車室内に吹き出す送風機とを備え、温度調節部が、ケーシング内に配置されたエバポレータと、エバポレータの空気流れ方向下流側に配置されたヒータコアと、エバポレータを通過した後にヒータコアに送られる空気量およびエバポレータを通過した後にヒータコアを迂回する空気量の割合を調節するエアミックスダンパとを有しており、エバポレータに、長手方向を同方向に向けるとともに間隔をおいて配置された複数の冷媒流通管部を有する熱交換コア部が設けられ、熱交換コア部の隣り合う冷媒流通管部間に、送風機によりケーシング内に送り込まれた空気を通過させる通風間隙が形成され、エバポレータが、冷媒流通管部の長手方向が車両の上下方向を向いた状態で配置され、熱交換コア部のすべての通風間隙が前側に開口するとともに、当該開口が空気を通風間隙に導入する空気導入部となり、熱交換コア部のすべての通風間隙が後側に開口するとともに、当該開口が通風間隙を通過した空気を送り出す空気送出部となっており、送風機がケーシングの上方でかつエバポレータよりも前側の部分に配置され、ケーシングの上壁部分におけるエバポレータよりも前側部分に、送風機のケースの空気吹き出し口に通じる空気取り入れ口が設けられ、ケーシング内のエバポレータよりも前側部分に、ケーシングの空気取り入れ口と、エバポレータの熱交換コア部における通風間隙の空気導入部とを通じさせる連絡通風路が設けられている車両用空調装置が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、最近では、車室内空間を確保する目的で、フルセンター置きの車両用空調装置のさらなる小型化が求められている。しかしながら、特許文献1記載の車両用空調装置においては、エバポレータが、冷媒流通管部の長手方向が車両の上下方向を向いた状態で配置され、熱交換コア部のすべての通風間隙が前側に開口するとともに、当該開口が空気を通風間隙に導入する空気導入部となり、熱交換コア部のすべての通風間隙が後側に開口するとともに、当該開口が通風間隙を通過した空気を送り出す空気送出部となっており、送風機がケーシングの上方でかつエバポレータよりも前側の部分に配置され、ケーシングの上壁部分におけるエバポレータよりも前側部分に、送風機のケースの空気吹き出し口に通じる空気取り入れ口が設けられ、ケーシング内のエバポレータよりも前側部分に、ケーシングの空気取り入れ口と、エバポレータの熱交換コア部における通風間隙の空気導入部とを通じさせる連絡通風路が設けられているので、前後方向の寸法が比較的大きくなってさらなる小型化が困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4075169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、車両用空調装置の前後方向の寸法を低減して小型化を図りうるエバポレータおよびこれを用いた車両用空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)長手方向を同方向に向けるとともに間隔をおいて配置された複数の冷媒流通管部と、隣り合う冷媒流通管部どうしの間に配置されたフィンとを有する熱交換コア部を備えており、熱交換コア部の隣り合う冷媒流通管部間に通風間隙が形成されているエバポレータであって、
熱交換コア部のすべての通風間隙が冷媒流通管部の長手方向の一端側に開口するとともに、当該開口が空気を通風間隙に導入する空気導入部となり、熱交換コア部のすべての通風間隙が冷媒流通管部の長手方向と直角をなす一方の側に開口するとともに、当該開口が通風間隙を通過した空気を送り出す空気送出部となっており、冷媒流通管部が扁平状であって、冷媒流通管部の厚み方向に間隔をおいて配置され、隣り合う冷媒流通管部間に形成された通風間隙に、空気導入部側端部が開口するとともに他端が閉鎖され、かつ冷媒流通管部の長手方向に空気を流す複数の第1流路と、空気送出部側端部が開口し、かつ冷媒流通管部の幅方向に空気を流す複数の第2流路とが設けられ、第1流路と第2流路とが通じさせられ、熱交換コア部の通風間隙に、当該通風間隙の片側の冷媒流通管部に接合された第1フィンと、当該通風間隙の他側の冷媒流通管部および第1フィンに接合された第2フィンとが積層状に配置され、第1流路が、第1フィンと第1フィンが接合された冷媒流通管部との間に形成され、第2流路が、第1フィンと第2フィンが接合された冷媒流通管部との間に形成され、第1フィンに第1流路および第2流路を通じさせる貫通穴が形成されているエバポレータ。
【0009】
2)熱交換コア部の通風間隙に設けられた第1流路が、第1フィンに設けられた両側壁部および底壁部からなる溝の開口が冷媒流通管部によって塞がれたものであり、第1フィンの底壁部に第1流路および第2流路を通じさせる貫通穴が形成されている上記1)記載のエバポレータ。
【0010】
3)熱交換コア部の通風間隙に設けられた全第1流路のうち通風間隙の空気送出部とは反対側端部の第1流路が、通風間隙の空気導入部から扁平中空体の長手方向の中間部まで至る直線状であり、残りの第1流路が、通風間隙の空気導入部から扁平中空体の長手方向の中間部まで至る直線部、および直線部の先端部に連なって空気送出部とは反対側に屈曲しかつ先端部が空気送出部とは反対側端部に位置する屈曲部からなり、空気送出部とは反対側端部の第1流路を形成する第1フィンの底壁部に、第1流路および第2流路を通じさせる貫通穴が形成され、残りの第1流路を形成する第1フィンの底壁部における屈曲部の先端部と対応する位置に、第1流路および第2流路を通じさせる貫通穴が形成されている上記2)記載のエバポレータ。
【0011】
4)第2フィンが、冷媒流通管部の全幅にわたる波頂部、冷媒流通管部の全幅にわたる波底部、および波頂部と波底部とを全長にわたって連結する連結部からなるコルゲート状であり、波頂部が冷媒流通管部および第1フィンのうちのいずれか一方に接合されるとともに波底部が同他方に接合され、連結部に貫通穴が形成されている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
【0012】
5)第2フィンが、冷媒流通管部の幅方向にのびる波頂部、冷媒流通管部の幅方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部からなる波状帯板が、冷媒流通管部の幅方向に、隣り合う2つの波状帯板の波頂部どうし、波底部どうしおよび連結部どうしが上下方向に位置ずれするように複数並べられるとともに、相互に一体に連結されたオフセット状であり、すべての波状帯板の波頂部が冷媒流通管部および第1フィンのうちのいずれか一方に接合されるとともに波底部が同他方に接合されている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
【0013】
6)冷媒流通管部の長手方向の両端部のうち空気導入部と反対側の端部に、すべての冷媒流通管部が通じるヘッダタンク部が設けられ、すべての冷媒流通管部およびヘッダタンク部が、複数の方形状扁平中空体が、扁平中空体の厚み方向に積層状に配置されて隣り合うものどうしが接合されることにより形成されており、扁平中空体が、扁平中空体の長手方向にのびるとともに扁平中空体の幅方向に間隔をおいて設けられた2つの膨出状冷媒流通管部と、扁平中空体の長手方向の一端寄りの部分に扁平中空体の幅方向に間隔をおいて設けられ、かつ冷媒流通管部に通じるとともにヘッダタンク部を構成する2つの膨出状タンク形成部とを備え、扁平中空体のタンク形成部の膨出高さが冷媒流通管部の膨出高さよりも高くなっており、隣り合う扁平中空体のタンク形成部どうしが、両タンク形成部の内部が通じるように接合されることにより、隣り合う扁平中空体の冷媒流通管部どうしの間に通風間隙が形成され、第1フィンおよび第2フィンが扁平中空体の幅方向に並んだ両冷媒流通管部に跨るように通風間隙に配置されている上記1)〜5)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
【0014】
7)ケーシングと、ケーシングに設けられかつケーシング内に送り込まれた空気の温度調節を行う温度調節部と、ケーシング内に空気を送り込むとともに、温度調節部において温度調節が行われた空気を車室内に吹き出す送風機とを備え、温度調節部が、ケーシング内に配置されたエバポレータと、エバポレータの空気流れ方向下流側に配置されたヒータコアと、エバポレータを通過した後にヒータコアに送られる空気量およびエバポレータを通過した後にヒータコアを迂回する空気量の割合を調節するエアミックスダンパとを備えた車両用空調装置であって、
温度調節部のエバポレータが上記1)〜6)のうちのいずれかに記載のエバポレータからなり、送風機によりケーシング内に送り込まれた空気が、空気導入部からエバポレータの通風間隙内に導入されるとともに、通風間隙を通過して空気送出部から送り出されるようになされている車両用空調装置。
【0015】
8)ケーシングの上部に、送風機のケースの空気吹き出し口に通じる空気取り入れ口が設けられ、エバポレータが、冷媒流通管部の長手方向が上下方向を向きかつ空気導入部が上端に位置した状態で配置され、あるいは熱交換コア部の通風間隙の空気導入部が、冷媒流通管部における空気導入部側端部と反対側の端部よりも上方で、かつ前方もしくは後方に位置するように傾斜した状態で配置されており、エバポレータの熱交換コア部の通風間隙の空気導入部が、ケーシングの空気取り入れ口の下方に位置しているとともに、空気取り入れ口に通じている上記7)記載の車両用空調装置。
【発明の効果】
【0016】
上記1)〜6)のエバポレータによれば、熱交換コア部のすべての通風間隙が冷媒流通管部の長手方向の一端側に開口するとともに、当該開口が空気を通風間隙に導入する空気導入部となり、熱交換コア部のすべての通風間隙が冷媒流通管部の長手方向と直角をなす一方の側に開口するとともに、当該開口が通風間隙を通過した空気を送り出す空気送出部となっているので、たとえば上記9)および10)の車両用空調装置のエバポレータとして使用される場合、ケーシングに、送風機のケースの空気吹き出し口に通じる空気取り入れ口が設けられ、エバポレータの熱交換コア部の通風間隙の空気導入部が、ケーシングの空気取り入れ口のすぐ内側に配置されると、空気取り入れ口から送り込まれた空気が、直接空気導入部からエバポレータの通風間隙内に流入する。したがって、特許文献1記載の車両用空調装置のように、ケーシング内のエバポレータよりも前側部分に、ケーシングの空気取り入れ口と、エバポレータの熱交換コア部における通風間隙の空気導入部とを通じさせる連絡通風路を設ける必要がなくなる。その結果、車両用空調装置の前後方向の寸法を比較的小さくすることが可能になって、小型化を図ることができる。
【0017】
上記1)のエバポレータによれば、比較的簡単な構成で、熱交換コア部における冷媒流通管部の長手方向の一端側部分に、空気を通風間隙に導入する空気導入部を設け、熱交換コア部における冷媒流通管部の長手方向と直角をなす片側の部分に、通風間隙を通過した空気を送り出す空気送出部を設けることができる。
【0018】
上記1)および2)のエバポレータによれば、隣り合う冷媒流通管部間に形成された通風間隙に、空気導入部側端部が開口するとともに他端が閉鎖され、かつ冷媒流通管部の長手方向に空気を流す複数の第1流路と、空気送出部側端部が開口し、かつ冷媒流通管部の幅方向に空気を流す複数の第2流路とが設けられ、第1流路と第2流路とが通じさせられている構成を有するエバポレータを比較的簡単につくることが可能になる。
【0019】
上記3)のエバポレータによれば、第1流路を流れた空気が、第2流路に入った後、第2流路を流れる距離が長くなるので、空気の冷却効率が向上する。
【0020】
上記4)のエバポレータによれば、第2フィンの隣り合う連結部間が第2流路となり、隣り合う第2流路どうしが貫通穴により通じさせられるので、空気の冷却効率が向上する。
【0021】
上記5)のエバポレータによれば、第2フィンの波状帯板の隣り合う連結部間が第2流路となり、すべての第2流路が通じさせられるので、空気の冷却効率が向上する。
【0022】
上記7)および8)の車両用空調装置によれば、ケーシングに、送風機のケースの空気吹き出し口に通じる空気取り入れ口が設けられ、エバポレータの熱交換コア部の通風間隙の空気導入部が、ケーシングの空気取り入れ口のすぐ内側に配置されると、空気取り入れ口から送り込まれた空気が、直接空気導入部からエバポレータの通風間隙内に流入する。したがって、特許文献1記載の車両用空調装置のように、ケーシング内のエバポレータよりも前側部分に、ケーシングの空気取り入れ口と、エバポレータの熱交換コア部における通風間隙の空気導入部とを通じさせる連絡通風路を設ける必要がなくなる。その結果、車両用空調装置の前後方向の寸法を比較的小さくすることが可能になって、小型化を図ることができる。
【0023】
上記8)の車両用空調装置によれば、特にキャブオーバ型の小型トラックのフルセンター置きの車両用空調装置として用いた場合に設置スペースの小型化を図ることができ、比較的大きな車室内空間を確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明によるエバポレータを用いた車両用空調装置を概略的に示す垂直断面図である。
図2図1の車両用空調装置に用いられるこの発明によるエバポレータの全体構成を示す斜視図である。
図3図2のエバポレータの一部の構成を示す冷媒流通管部の長手方向と直交する方向に沿う部分拡大断面図である。
図4図2のエバポレータの通風間隙に配置される第1アウターフィンおよび第2アウターフィンを示す斜視図である。
図5図4に示される第2アウターフィンの変形例を示す図3相当の図である。
図6図4に示される第2アウターフィンの他の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
なお、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。また、以下の説明において、車両の左右、すなわち後方から前方を見た際の左右を左右というものとする。
【0027】
図1はこの発明によるエバポレータを用いた車両用空調装置を概略的に示す。また、図2図1の車両用空調装置に用いられるエバポレータの全体構成を示し、図2図4は同じくエバポレータの要部の構成を示す。
【0028】
図1において、車両用空調装置(1)は、合成樹脂製ケーシング(2)と、ケーシング(2)内に設けられかつケーシング(2)内に送り込まれた空気の温度調節を行う温度調節部(3)と、ケーシング(2)の前側部分の上方に配置され、かつケーシング(2)内に空気を送り込むとともに温度調節部(3)において温度調節が行われた空気を図示しない車室内に吹き出す送風機(4)とを備えている。
【0029】
ケーシング(2)の上壁部分の前側に、送風機(4)のケース(4a)の空気吹き出し口(4b)に通じる空気取り入れ口(2a)が設けられている。また、図示は省略したが、ケーシング(2)の上壁部分における送風機(4)よりも後側部分に、デフロスタ開口部、フェイス開口部およびフット開口部が設けられており、空気取り入れ口(2a)とデフロスタ開口部、フェイス開口部およびフット開口部とがケーシング(2)内に設けられた通風路(5)によって通じさせられている。そして、ケーシング(2)内に設けられた吹き出しモード切替部(図示略)によって、温度調節部(3)において温度調節された空気が、デフロスタ開口部から送り出されるとともにデフロスタダクトを通ってフロントウィンドに向かって吹き出される場合と、フェイス開口部から送り出されるとともにフェイスダクトを通って乗員の頭部に向かって吹き出される場合と、フット開口部からフットダクトを通って乗員の足元に向かって吹き出される場合とに切り替えられるようになっている。
【0030】
温度調節部(3)は、ケーシング(2)内の通風路(5)における空気取り入れ口(2a)の真下部分に配置されたエバポレータ(10)と、通風路(5)におけるエバポレータ(10)の空気流れ方向下流側に、通風路(5)の一部分を塞ぐように配置されたヒータコア(11)と、エバポレータ(10)を通過した後にヒータコア(11)に送られる空気量およびエバポレータ(10)を通過した後にヒータコア(11)を迂回する空気量の割合を調節するエアミックスダンパ(12)とを備えている。エアミックスダンパ(12)は回転式であって、回転軸部(12a)と、回転軸部(12a)からエバポレータ(10)側に向けて延在しかつ回転軸部(12a)を中心として回転する遮蔽部(12b)とを有している。エアミックスダンパ(12)の遮蔽部(12b)は、エバポレータ(10)を通過したすべての空気をヒータコア(11)に送る第1の位置(図1鎖線参照)と、エバポレータ(10)を通過したすべての空気にヒータコア(11)を迂回させる第2の位置(図1実線参照)との間において開度が適宜変更され、これによりヒータコア(11)を通過する空気の流量とヒータコア(11)を迂回する空気の流量との割合が調節される。
【0031】
図2および図3に示すように、エバポレータ(10)は、長手方向および幅方向を同方向に向けるとともに、長手方向および幅方向と直交する方向に間隔をおいて配置された複数の扁平状冷媒流通管部(14)と、隣り合う冷媒流通管部(14)どうしの間に配置されたアルミニウム製アウターフィン(15)(16)とを有する熱交換コア部(13)、ならびに全ての冷媒流通管部(14)が長手方向の一端部において通じるヘッダタンク部(22)(23)を備えており、ここでは冷媒流通管部(14)の長手方向が車両の上下方向を向くとともに、ヘッダタンク部(22)(23)が下端に位置する状態で、ケーシング(2)内の通風路(5)に配置されている。以下、エバポレータ(10)の前後、上下、左右は、ケーシング(2)内の通風路(5)に配置された状態を基準としていうものとする。
【0032】
エバポレータ(10)の熱交換コア部(13)には、左右方向に並んだ複数の冷媒流通管部(14)からなる管部列(14A)(14B)が、前後方向に並んで2列設けられている。エバポレータ(10)の熱交換コア部(13)の各管部列(14A)(14B)における左右方向に隣り合う冷媒流通管部(14)間に、前後の冷媒流通管部(14)に跨るように通風間隙(18)が形成されている。熱交換コア部(13)のすべての通風間隙(18)は、上端側(冷媒流通管部(14)の長手方向の一端側)に開口するとともに、当該開口部が通風間隙(18)内に空気を導入する空気導入部(19)となっている。また、熱交換コア部(13)のすべての通風間隙(18)は、後側(冷媒流通管部(14)の長手方向と直角をなす片側、すなわち幅方向の片側)に開口するとともに、当該開口が通風間隙(18)を通過した空気を送り出す空気送出部(21)となっている。そして、各通風間隙(18)に、通風間隙(18)の片側の冷媒流通管部(14)にろう付された第1アウターフィン(15)と、通風間隙(18)の他側の冷媒流通管部(14)および第1アウターフィン(15)にろう付された第2アウターフィン(16)とが積層状に配置されている。なお、左右方向に隣り合う冷媒流通管部(14)間の空間、すなわち通風間隙(18)の前側は、ケーシング(2)を構成する壁部により塞がれている。
【0033】
エバポレータ(10)のヘッダタンク部(22)(23)は、エバポレータ(10)の下端部(冷媒流通管部(14)の長手方向の両端部のうち空気導入部(19)と反対側の端部)に、長手方向を左右方向(冷媒流通管部(14)の長手方向と直角をなす方向)に向けた状態で前後方向に並んで2つ設けられている。後側のヘッダタンク部(22)に、後側管部列(14A)のすべての冷媒流通管部(14)の下端部が通じさせられ、前側のヘッダタンク部(23)に、前側管部列(14B)のすべての冷媒流通管部(14)の下端部が通じさせられている。後側のヘッダタンク部(22)の一端部に冷媒入口(24)が設けられ、前側のヘッダタンク部(23)の他端部に冷媒出口(25)が設けられており、冷媒入口(24)から流入した冷媒が全冷媒流通管部(14)を通って冷媒出口(25)から流出するように、ヘッダタンク部(22)(23)内は必要箇所において、図示しない仕切部材により左右方向に並んだ区画に仕切られている。
【0034】
エバポレータ(10)の冷媒流通管部(14)およびヘッダタンク部(22)(23)は、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を前後方向に向けた縦長方形であり、かつ左右方向(ヘッダタンク部(17)の長手方向)に並んで配置された複数の扁平中空体(26)をろう付することにより形成されている。扁平中空体(26)に、上下方向にのびる2つの膨出状冷媒流通管部(14)と、各冷媒流通管部(14)の下端(空気導入部(19)とは反対側の端部)が通じ、かつヘッダタンク部(22)(23)を構成する膨出状タンク形成部(27)とが前後方向に間隔をおいて設けられており、タンク形成部(27)の膨出高さが冷媒流通管部(14)の膨出高さよりも高くなっている。そして、隣接する扁平中空体(26)のタンク形成部(27)どうしが、内部が連通するようにろう付されることによって、エバポレータ(10)の冷媒流通管部(14)およびヘッダタンク部(22)(23)が構成され、左右方向に隣り合う冷媒流通管部(14)どうしの間に通風間隙(18)が形成されている。各扁平中空体(26)の前後の冷媒流通管部(14)内には、伝熱面積を増大させるとともに冷媒流通管部(14)の耐圧性を向上させる目的でアルミニウム製コルゲート状インナーフィン(32)が、前後両冷媒流通管部(14)に跨って配置されており、扁平中空体(26)にろう付されている。
【0035】
扁平中空体(26)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなるプレート(28)の周縁部どうしをろう付することにより形成されている。詳しい図示は省略したが、大部分の扁平中空体(26)を形成するプレート(28)は、前側部分および後側部分に設けられかつ一方に膨出した管部用膨出部(29)と、前側部分および後側部分の下端部に管部用膨出部(29)に通じるように設けられ、かつ管部用膨出部(29)と同方向に膨出するとともに管部用膨出部(29)よりも膨出高さの高いタンク用膨出部(図示略)とを備えている。各タンク用膨出部の頂壁に貫通穴が形成されている。左右両端に配置された扁平中空体(26)を形成する左右方向外側のプレート(28)におけるタンク用膨出部(31)の膨出高さは管部用膨出部(29)の膨出高さと同一であり、タンク用膨出部(31)の頂壁には貫通穴は形成されていない。そして、2枚のプレート(28)を、両プレート(28)の管部用膨出部(29)およびタンク用膨出部(31)の開口どうしが対向するとともに、両プレート(28)間にインナーフィン(32)が介在するように組み合わせ、両プレート(28)どうしおよび両プレート(28)とインナーフィン(32)とをろう付することにより、扁平中空体(26)が形成されており、両プレート(22)の管部用膨出部(29)により冷媒流通管部(14)が構成されるとともに、タンク用膨出部(31)によりタンク形成部(27)が構成されている。
【0036】
図3および図4に示すように、熱交換コア部(13)の通風間隙(18)に、空気導入部(19)側端部が開口するとともに他端が閉鎖され、かつ冷媒流通管部(14)の長手方向に空気を流す複数の第1流路(33)(34)と、空気送出部(21)側端部が開口し、かつ冷媒流通管部(14)の幅方向に空気を流す複数の第2流路(35)とが設けられ、第1流路(33)(34)と第2流路(35)とが通じさせられている。第1流路(33)(34)は、第1アウターフィン(15)と第1アウターフィン(15)がろう付された冷媒流通管部(14)との間に形成され、第2流路(35)は、第1アウターフィン(15)と第2アウターフィン(16)がろう付された冷媒流通管部(14)との間に形成されている。
【0037】
全第1流路(33)(34)のうち前端部(通風間隙(18)の空気送出部(21)とは反対側端部)の第1流路(33)は、通風間隙(18)の空気導入部(19)から扁平中空体(26)の長手方向の中間部まで至る直線状であり、残りの第1流路(34)は通風間隙(18)の空気導入部(19)から扁平中空体(26)の長手方向の中間部まで至る直線部(34a)、および直線部(34a)の先端部に連なって前側(空気送出部(21)とは反対側)に屈曲しかつ先端部が前端部(空気送出部(21)とは反対側端部)に位置する屈曲部(34b)からなる。全第1流路(33)(34)は、第1アウターフィン(15)に設けられかつ右側に開口した溝の右側開口が冷媒流通管部(14)により塞がれることにより形成されたものである。なお、前端部の第1流路(33)の前側壁部は必ずしも必要とはせず、ケーシング(2)の前壁部の一部が側壁部となっていてもよい。前端部の第1流路(33)を形成する第1アウターフィン(15)の溝の底壁部に、第1流路(33)と第2流路(35)を通じさせる複数の貫通穴(36)が長手方向に間隔をおいて形成され、残りの第1流路(34)を形成する第1アウターフィン(15)の溝の底壁部における屈曲部(34b)の先端部と対応する部分に、第1流路(33)と第2流路(35)を通じさせる複数の貫通穴(36)が形成されている。両第1流路(33)(34)の貫通穴(36)は、ほぼ一直線状に並んでいる。
【0038】
全第2流路(35)は前後方向にのびる直線状である。第2アウターフィン(16)は、前後方向にのびて扁平中空体(26)の全幅にわたる波頂部(16a)、前後方向にのびて扁平中空体(26)の全幅にわたる波底部(16b)、および波頂部(16a)と波底部(16b)とを連結する連結部(16c)とからなるコルゲート状であり、隣り合う連結部(16c)間に第2流路(35)が形成されている。第2アウターフィン(16)の波頂部(16a)が第1アウターフィン(15)にろう付されるとともに波底部(16b)が冷媒流通管部(14)にろう付されている。また、第2アウターフィン(16)の連結部(16c)に、隣り合う第2流路(35)どうしを通じさせる貫通穴(37)が形成されている。第2流路(35)の前端部は、ケーシング(2)の前壁部により閉鎖されている。なお、第2流路(35)の前端部がケーシング(2)の前壁部により閉鎖される代わりに、第2流路(35)の前端部がエバポレータ(10)に接合された閉鎖板によって閉鎖されていてもよい。
【0039】
上述した車両用空調装置において、送風機(4)によって、空気取り入れ口(2a)からケーシング(2)内の通風路(5)に送り込まれた空気は、空気導入部(19)から熱交換コア部(13)の通風間隙(18)の第1流路(33)(34)内に入り、第1流路(33)(34)内を流れる間に冷媒流通管部(14)内を流れる冷媒により冷却される。第1流路(33)(34)内を流れて冷却された空気は、通風間隙(18)の前側の端部において貫通穴(36)を通って第2流路(35)内に入り、第2流路(35)内を後方に流れる間に冷媒流通管部(14)内を流れる冷媒により冷却される。また、第2流路(35)内を後方に流れる間に、上下に隣り合う第2流路(35)内を流れる空気が貫通穴(37)を通って混じり合う。
【0040】
エバポレータ(10)の通風間隙(18)の第1流路(33)(34)および第2流路(35)を流れる間に冷却された空気は、通風間隙(18)の空気送出部(21)から後方に送り出されて通風路(5)内を流れる。ここで、エアミックスダンパ(12)の開度を変更することによって、エバポレータ(10)において冷却された全空気のうち、エンジン冷却水により高温(90℃程度)に維持されたヒータコア(11)を通過する空気の流量と、冷却された後にヒータコア(11)を迂回する低温のままの空気の流量との割合が調節され、温度調節部(3)において空気の温度が調節される。温度調節部(3)において温度調節された空気は、吹き出しモード切替部によって、デフロスタ開口部から送り出されるとともにデフロスタダクトを通ってフロントウィンドに向かって吹き出される場合と、フェイス開口部から送り出されるとともにフェイスダクトを通って乗員の頭部に向かって吹き出される場合と、フット開口部からフットダクトを通って乗員の足元に向かって吹き出される場合とに切り替えられる。
【0041】
図5はエバポレータ(10)に用いられる第2アウターフィンの変形例を示す。
【0042】
図5に示す第2アウターフィン(16)の連結部(16c)には、連結部(16c)の幅方向にのびる複数のルーバ(40)が、連結部(16c)の長手方向に間隔をおいて設けられている。そして、図示は省略したが、ルーバ(40)を設けられることにより形成された貫通穴によって、隣り合う第2流路(35)どうしが通じさせられている。
【0043】
図6はエバポレータ(10)に用いられる第2アウターフィンの他の変形例を示す。
【0044】
図6に示す第2アウターフィン(45)はアルミニウム製であり、前後方向にのびる波頂部(46a)、前後方向にのびる波底部(46b)、および波頂部(46a)と波底部(46b)とを連結する連結部(46c)からなる波状帯板(46)が、前後方向に複数並べられるとともに相互に一体に連結されることにより形成されたオフセット状であり、前後方向に隣り合う2つの波状帯板(46)の波頂部(46a)どうしおよび波底部(46b)どうしが上下方向に位置ずれしている。各波状帯板(46)における波頂部(46a)、波底部(46b)および連結部(46c)の前後方向の長さは等しくなっている。第2アウターフィン(45)は、すべての波状帯板(46)の波頂部(46a)が冷媒流通管部(14)および第1アウターフィン(15)のうちのいずれか一方にろう付されるとともに波底部(46b)が同他方にろう付される。
【0045】
上記実施形態においては、冷媒流通管部(14)の長手方向が車両の上下方向を向き、かつ通風間隙(18)の空気導入部(19)が上端に位置するとともにヘッダタンク部(22)(23)下端に位置する状態で、ケーシング(2)内の通風路(5)に配置されているが、これに限定されるものではなく、たとえば通風間隙(18)の空気導入部(19)が、ヘッダタンク部(22)(23)よりも上方で、かつ前方もしくは後方に位置するように傾斜した状態で配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明によるエバポレータを用いた車両用空調装置は、設置スペースの小型化を図るために、キャブオーバ型の小型トラックのフルセンター置きの車両用空調装置として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0047】
(1):車両用空調装置
(2):ケーシング
(2a):空気取り入れ口
(3):温度調節部
(4):送風機
(10):エバポレータ
(11):ヒータコア
(12):エアミックスダンパ
(13):熱交換コア部
(14):冷媒流通管部
(15):第1アウターフィン
(16):第2アウターフィン
(16a):波頂部
(16b):波底部
(16c):連結部
(18):通風間隙
(19):空気導入部
(21):空気送出部
(22)(23):ヘッダタンク部
(26):扁平中空体
(27):タンク形成部
(33)(34):第1流路
(34a):直線部
(34b):屈曲部
(35):第2流路
(36):貫通穴
(37):貫通穴
(45):第2アウターフィン
(46):波状帯板
(46a):波頂部
(46b):波底部
(46c):連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6