特許第6106578号(P6106578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6106578
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】ラッシュアジャスタ
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/245 20060101AFI20170327BHJP
   F01L 1/255 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   F01L1/245 D
   F01L1/255 G
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-238772(P2013-238772)
(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公開番号】特開2015-98818(P2015-98818A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000185488
【氏名又は名称】株式会社オティックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】貴志 正輝
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−27105(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/138829(WO,A1)
【文献】 特開2013−189899(JP,A)
【文献】 特開2014−58874(JP,A)
【文献】 実開昭59−131909(JP,U)
【文献】 特開平6−10623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/24−1/255
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のボディ壁部と、このボディ壁部の一端に配されたボディ底部とを有し、外部より供給される作動油を前記ボディ壁部の内側へ流入させるボディ連通孔が前記ボディ壁部に貫通形成されたボディと、
一端が前記ボディ底部と対向した状態で前記ボディ壁部の内側に収容され、前記ボディ底部から離れるように前進し、かつ前記ボディ底部に近付くように後退する筒状のプランジャ壁部と、このプランジャ壁部の前記一端に配されたプランジャ底部と、前記ボディ連通孔より流入した作動油を前記プランジャ壁部の内側へ流入させるプランジャ連通孔が貫通形成されたプランジャと、
前記プランジャ底部に設けられ、前記プランジャの前進時に開弁して前記プランジャの内側から外側に作動油を流出させ、前記プランジャの後退時に閉弁して前記プランジャの内側と外側とを遮断する逆止弁とを備え、
前記ボディ壁部と前記プランジャ壁部との間に配され、一端が前記ボディ底部と当接する筒状のカラー壁部を有し、前記ボディ連通孔と前記プランジャ連通孔とに連通するカラー連通孔が前記カラー壁部に貫通形成され、かつ、前記カラー壁部のうち、前記プランジャが前記ボディ底部に最も接近したときの前記プランジャ底部よりも前記ボディ底部寄りの位置に、前記カラー壁部の前記一端を切り欠く形で又は厚み方向に貫通する形でカラー排出口が形成されたカラーと、
前記ボディ壁部の内周面と前記カラー壁部の外周面との間に、前記ボディ連通孔及び前記カラー連通孔に連通するとともに、前記カラー排出口を介して前記カラー壁部の内側と連通し、かつ前記プランジャの後退時に前記カラー壁部の内側の作動油を前記ボディ連通孔側及び前記カラー連通孔側へ漏出させるリーク隙間が形成されているラッシュアジャスタ。
【請求項2】
前記プランジャ壁部の外周面と前記カラー壁部の内周面との間に、前記プランジャ連通孔及び前記カラー連通孔に連通し、前記プランジャの後退時に前記カラー壁部の内側の作動油を前記プランジャ連通孔側及び前記カラー連通孔側へ漏出させる他のリーク隙間が形成されている請求項1に記載のラッシュアジャスタ。
【請求項3】
前記カラー排出口は、前記カラー壁部の前記一端において、周方向に並ぶ形で複数個設けられている請求項1又は2に記載のラッシュアジャスタ。
【請求項4】
前記ボディ壁部の内周面と前記カラー壁部の外周面とに間に形成される前記リーク隙間が、前記プランジャ壁部の外周面と前記カラー壁部の内周面との間に形成される前記他のリーク隙間よりも大きく設定されている請求項2又は3に記載のラッシュアジャスタ。
【請求項5】
前記カラーは、前記カラー連通孔が、前記ボディ連通孔と対向する個所における前記ボディ壁部と対向し、かつ前記カラー連通孔と対向する個所における前記カラー壁部が、前記ボディ連通孔と対向するように、前記ボディ壁部と前記プランジャ壁部との間に配される請求項1〜4の何れか一項に記載のラッシュアジャスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の動弁装置に適用される油圧式のラッシュアジャスタに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧式のラッシュアジャスタは、内燃機関の動弁装置におけるクリアランス(バルブクリアランス)を自動調整するために用いられている。この種のラッシュアジャスタは、一般的に、有底の筒状をなしたボディと、このボディ内に昇降可能な状態で収容されるプランジャとを備えている。このようなラッシュアジャスタは、シリンダヘッドに穿設された取付孔に、プランジャ側の端部が突出する状態で取り付けられる。そして、その突出した端部により、動弁装置のロッカーアームが支えられている。
【0003】
また、ラッシュアジャスタは、オイル(作動油)で満たされる油室として、プランジャの内部に形成される低圧室と、ボディの底とプランジャの底との間で形成される高圧室とを備えている。低圧室及び高圧室は、プランジャの底に設けられた逆止弁を介して、互いに連通されている。逆止弁は、プランジャが上昇した場合に開弁する。そして逆止弁の開弁時に、低圧室側のオイルが高圧室側に流入する。また、逆止弁は、プランジャが下降する向きに押圧力を受けた場合に閉弁し、高圧室を密閉する。その際、高圧室内のオイルは、加圧されてプランジャの下降を抑制し、プランジャを停止させる。なお、プランジャが下降した場合には、高圧室内のオイルは、ボディの内壁面とプランジャの外壁面との間で形成される僅かな隙間(以下、リーク隙間)を通って低圧室側に漏出される。
【0004】
ところで、特許文献1に示されるように、ラッシュアジャスタに供給されるオイルの中には、気泡が含まれていることがある。このような気泡がオイルとともに高圧室内に侵入すると、プランジャが下降する向きに押圧力を受けた場合に、高圧室内の気泡が圧縮等されるため、プランジャの下降を抑制できない虞がある。そこで、特許文献1には、高圧室内に侵入した気泡を、リーク隙間を利用して、オイルとともに高圧室の外部へ排出する技術が記載されている。なお、特許文献1のラッシュアジャスタは、シリンダヘッドに取り付けられる際、低圧室が高圧室よりも上方に配されるように傾斜した姿勢となっている。そのため、高圧室内に侵入した気泡は、オイルの流れや浮力等によってリーク隙間にたどり着き易くなっている。
【0005】
また、特許文献2には、水平対向エンジンやV型エンジン等に利用されるラッシュアジャスタが示されている。この種のラッシュアジャスタは、特許文献1の場合とは異なり、低圧室及び高圧室が水平に並ぶ姿勢、又は高圧室が低圧室よりも上方に配されるように傾斜した姿勢で使用される。このようなラッシュアジャスタでは、一旦、高圧室内に気泡が侵入してしまうと、ラッシュアジャスタの使用時に、自動的に、気泡を高圧室の外部へ排出させることができない。何故ならば、高圧室内に侵入した気泡は、リーク隙間から離れているボディの底側に集まり、そこに停滞してしまうからである。そのため、特許文献2では、高圧室内に気泡が侵入することを未然に防ぐために、ラッシュアジャスタにオイルを供給する前に予めオイル中の気泡を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平1−131806号公報
【特許文献2】特許第4683391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高圧室内に気泡が入り込んで、プランジャの底部よりもボディの底部寄りの個所に滞留した場合、その気泡はプランジャの下降(後退)時に、高圧室からリーク隙間に向かうオイルの流れに乗り難く、排出することができないため、問題となっていた。
【0008】
本発明の目的は、プランジャの底部よりもボディの底部寄りの個所に滞留した空気を、外部に排出できるラッシュアジャスタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るラッシュアジャスタは、筒状のボディ壁部と、このボディ壁部の一端に配されたボディ底部とを有し、外部より供給される作動油を前記ボディ壁部の内側へ流入させるボディ連通孔が前記ボディ壁部に貫通形成されたボディと、一端が前記ボディ底部と対向した状態で前記ボディ壁部の内側に収容され、前記ボディ底部から離れるように前進し、かつ前記ボディ底部に近付くように後退する筒状のプランジャ壁部と、このプランジャ壁部の前記一端に配されたプランジャ底部と、前記ボディ連通孔より流入した作動油を前記プランジャ壁部の内側へ流入させるプランジャ連通孔が貫通形成されたプランジャと、前記プランジャ底部に設けられ、前記プランジャの前進時に開弁して前記プランジャの内側から外側に作動油を流出させ、前記プランジャの後退時に閉弁して前記プランジャの内側と外側とを遮断する逆止弁とを備え、前記ボディ壁部と前記プランジャ壁部との間に配され、一端が前記ボディ底部と当接する筒状のカラー壁部を有し、前記ボディ連通孔と前記プランジャ連通孔とに連通するカラー連通孔が前記カラー壁部に貫通形成され、かつ、前記カラー壁部のうち、前記プランジャが前記ボディ底部に最も接近したときの前記プランジャ底部よりも前記ボディ底部寄りの位置に、前記カラー壁部の前記一端を切り欠く形で又は厚み方向に貫通する形でカラー排出口が形成されたカラーと、前記ボディ壁部の内周面と前記カラー壁部の外周面との間に、前記ボディ連通孔及び前記カラー連通孔に連通するとともに、前記カラー排出口を介して前記カラー壁部の内側と連通し、かつ前記プランジャの後退時に前記カラー壁部の内側の作動油を前記ボディ連通孔側及び前記カラー連通孔側へ漏出させるリーク隙間が形成されている。
【0010】
前記ラッシュアジャスタでは、ボディ壁部の内周面とカラー壁部の外周面との間に、ボディ連通孔及びカラー連通孔に連通するとともに、カラー排出口を介してカラー壁部の内側と連通し、かつプランジャの後退時にカラー壁部の内側の作動油をボディ連通孔側及びカラー連通孔側へ漏出させるリーク隙間が形成されている。そのため、カラー壁部の内側に入り込んだ気泡は、プランジャの後退時に、作動油とともにカラー排出口からリーク隙間を通ってボディ連通孔側及びカラー連通孔側に排出される。したがって、前記ラッシュアジャスタは、カラー壁部の内側に入り込んだ気泡を外部へ効果的に排出することができる。
【0011】
前記ラッシュアジャスタにおいて、前記プランジャ壁部の外周面と前記カラー壁部の内周面との間に、前記プランジャ連通孔及び前記カラー連通孔に連通し、前記プランジャの後退時に前記カラー壁部の内側の作動油を前記プランジャ連通孔側及び前記カラー連通孔側へ漏出させる他のリーク隙間が形成されているものであってもよい。このように、前記ラッシュアジャスタは、他のリーク隙間を利用して、プランジャの後退時にカラー壁部の内側の作動油をプランジャ連通孔側及びカラー連通孔側へ漏出させる構成であってもよい。
【0012】
前記ラッシュアジャスタにおいて、前記カラー排出口は、前記カラー壁部の前記一端において、周方向に並ぶ形で複数個設けられてもよい。カラーは、通常、ラッシュアジャスタの作動時(プランジャの進退時)に、ボディに対して相対的に周方向に移動(回転移動)する。そのため、カラー排出口が、カラー壁部の一端において、周方向に並ぶ形で複数個設けられていると、最も気泡が集まり易い個所に、何れかのカラー排出口を適宜、配置させることができ、ひいては、カラー壁部の内側の気泡をリーク隙間を利用して効率よく排出することができる。
【0013】
前記ラッシュアジャスタにおいて、前記ボディ壁部の内周面と前記カラー壁部の外周面とに間に形成される前記リーク隙間が、前記プランジャ壁部の外周面と前記カラー壁部の内周面との間に形成される前記他のリーク隙間よりも大きく設定されているものであってもよい。前記ラッシュアジャスタが、このような構成を備えていると、カラー壁部の内側の作動油は、前記他のリーク隙間よりも、前記リーク隙間から排出され易くなる。その結果、カラー壁部の内側に入り込んだ気泡は、前記リーク隙間から、作動油とともに排出され易くなる。
【0014】
前記ラッシュアジャスタにおいて、前記カラーは、記カラー連通孔が、前記ボディ連通孔と対向する個所における前記ボディ壁部と対向し、かつ前記カラー連通孔と対向する個所における前記カラー壁部が、前記ボディ連通孔と対向するように、前記ボディ壁部と前記プランジャ壁部との間に配されるものであってもよい。前記ラッシュアジャスタが、このような構成を備えていると、ラッシュアジャスタの動作に必要な、プランジャ壁部の内側における作動油量が確保される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プランジャの底部よりもボディの底部寄りの個所に滞留した空気を、外部に排出できるラッシュアジャスタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】内燃機関の動弁装置の断面図
図2】実施形態1のラッシュアジャスタの断面図
図3】カラーの側面図
図4図3のA−A線断面図
図5】高圧室側の部分を拡大したラッシュアジャスタの断面図
図6】他の実施形態のラッシュアジャスタの断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1図5を参照しつつ説明する。本実施形態では、内燃機関の動弁装置に適用される油圧式のラッシュアジャスタについて説明する。なお、本実施形態の内燃機関は水平対向エンジンであり、後述するようにラッシュアジャスタの取付方向(軸線方向)は、水平方向に対して傾斜している。
【0018】
図1は、内燃機関1の動弁装置10の断面図である。図1に示されるように、内燃機関1が備えるシリンダヘッド2には、吸気ポート3を開閉する吸気バルブ4と、排気ポート(不図示)を開閉する排気バルブ(不図示)とが設けられている。本実施形態では、吸気バルブ4を開閉する吸気側の動弁装置10について説明する。なお、排気バルブを開閉する排気側の動弁装置の基本的な構成は、吸気側と同様であり、説明を省略する。
【0019】
動弁装置10は、主として、吸気バルブ4、バルブスプリング5、ロッカーアーム6、カム7及びラッシュアジャスタ20を備えている。
【0020】
吸気バルブ4は、円板状の弁部材4aと、この弁部材4aから延びる棒状のバルブステム4bと、円板状のバネ押さえ部4cとを備えている。上述した吸気ポート3は、シリンダヘッド2に設けられている吸気通路8の端部に配されており、このような吸気ポート3の開閉に弁部材4aが利用される。バルブステム4bは、吸気通路8の外壁を貫通しつつ水平方向Yに対して傾斜する形で配されている。バルブステム4bの一端は、弁部材4aに固定されており、また、他端はシリンダヘッド2の外側に突出している。
【0021】
突出した前記他端側には、バネ押さえ部4cが取り付けられている。バネ押さえ部4cとシリンダヘッド2との間には、バルブスプリング5が圧縮状態で取り付けられている。また、バルブステム4bの前記他端は、ロッカーアーム6の一端に当接されている。
【0022】
シリンダヘッド2には、側方に開口する形で穿設けられた凹状の取付室9が設けられている。ラッシュアジャスタ20はこの取付室9に挿入される形で取り付けられる。なお、ラッシュアジャスタ20は、図1に示されるように、一端が取付室9から突出する形で取り付けられる。
【0023】
ラッシュアジャスタ20は、全体的には概ね円柱のような外観形状を備えており、その軸線方向Xが水平方向Yに対して角度θ(°)をなすように傾斜している。なお、角度θ(°)の範囲は、通常、0<θ<90の範囲に設定される。なお、他の実施形態においては、角度θ(°)が0となるようにラッシュアジャスタ20の取付角度が設定されてもよい。
【0024】
取付室9から突出するラッシュアジャスタ20の端部は、ロッカーアーム6の他端と当接して前記他端を支える部分となっている。動弁装置10において、カム7の回転に伴ってロッカーアーム6がラッシュアジャスタ20の端部を支点としつつ揺動すると、バルブステム4bが往復移動して、吸気バルブ4の開閉動作が行われる。
【0025】
以下、ラッシュアジャスタ20について詳細に説明する。ラッシュアジャスタ20は、主として、ボディ30、プランジャ40、カラー50、逆止弁60、低圧室L、高圧室H及びリーク隙間(第1リーク隙間)D1を備えている。本実施形態のラッシュアジャスタは、高圧室Hが低圧室Lよりも上方に配されるように傾斜した姿勢で使用される。
【0026】
図2は、実施形態1のラッシュアジャスタ20の断面図である。図2の上下方向は、ラッシュアジャスタ20の軸線方向Xに対応している。なお、説明の便宜上、図2に示される上側を、ラッシュアジャスタ20の上側と称し、図2に示される下側をラッシュアジャスタ20の下側と称して、ラッシュアジャスタ20を説明する場合がある。
【0027】
ボディ30は、全体的には、細長く延びた有底の筒状をなしており、円形のボディ底部31と、このボディ底部31の周縁に立設される円筒状のボディ壁部32とを有している。ボディ30は、金属材料からなる。また、ボディ30は、シリンダヘッド2(図1参照)の側面に開口させた凹状の取付室9内に挿入される形で取り付けられる部分となっている。ボディ30のボディ壁部32の上端部(開口端)35に近い個所には、厚み方向に貫通するボディ連通孔33が設けられている。ボディ連通孔33は、円形の開口縁33aで囲まれている。
【0028】
ボディ連通孔33は、シリンダヘッド2内に設けられたオイル供給路(オイルギャラリ)11に連通している。ボディ壁部32の外周面には、溝状の縮径部34が環状に設けられている。この縮径部34と重なる個所に、上述のボディ連通孔33が形成されている。縮径部34と取付室9の壁面との間には、環状の油路12(図1参照)が形成されており、この油路12を介してオイル供給路11とボディ連通孔33が互いに連通されている。
【0029】
プランジャ40は、全体的には、細長く延びた有底の筒状をなしており、円形のプランジャ底部41と、このプランジャ底部41の周縁に立設される円筒状のプランジャ壁部42とを有している。プランジャ40は、ボディ30と同様の金属材料からなる。プランジャ壁部42の外径は、ボディ壁部32の内径よりも小さく設定されている。また、プランジャ壁部42の外径は、カラー50の内径よりも小さく設定されている。プランジャ40の内側には、プランジャ底部41及びプランジャ壁部42の各内面で囲まれた空間からなる低圧室Lが設けられている。
【0030】
プランジャ底部41には、その中心に位置する円形の弁口61がプランジャ底部41の厚み方向(軸線方向)に貫通する形で形成されている。弁口61は、逆止弁60の構成要素であり、弁口61の一方の開口端(開口縁)がプランジャ底部41の内面側(低圧室L側)に配され、他方の開口端(開口縁)がプランジャ底部41の外面側(後述する高圧室H側)に配されている。外面側に配される弁口61の開口端には、内側(軸線側)から外側に向かって広がり、かつ断面が略円弧状をなすシート面(弁座、逆止弁60の構成要素)62が形成されている。
【0031】
また、プランジャ底部41の外面(後述する高圧室Hに向かう面)には、弁口61と同心であり弁口61よりも大径な凹部43が形成されている。
【0032】
プランジャ壁部42の外周面には、溝状の縮径部44が環状に設けられている。この縮径部44には、プランジャ壁部42を厚み方向に貫通するプランジャ連通孔45が設けられている。プランジャ連通孔45は、円形の開口縁45aで囲まれている。
【0033】
プランジャ40の上端部には、略半球状(ドーム状)の支持部46が設けられている。この支持部46は、プランジャ壁部42の上端に延設されている。支持部46の外面は、ロッカーアーム6と当接する部分となっており、支持部46がロッカーアーム6の揺動支点を支持する構成となっている。なお、支持部46の頂上中央には、軸線方向に貫通する円形の通気孔47が形成されている。
【0034】
プランジャ40は、円筒状をなすカラー50の内側に挿入された状態で、ボディ30の内側にカラー50とともに収容される。プランジャ40は、上端側(支持部46側)が外側に突出する形で、ボディ30内に収容される。また、プランジャ40は、ボディ30内において、カラー50の内周面にプランジャ壁部42の外周面を摺接させながら、軸線方向に沿って往復移動することができる。なお、プランジャ40(プランジャ壁部42)がボディ底部31から離れるように移動する場合を「前進」と表し、プランジャ40(プランジャ壁部42)がボディ底部31に近付くように移動する場合を「後退」と表す。
【0035】
カラー50は、全体的には、細長く延びつつ両端が開口した円筒状をなしており、ボディ30の内側に、挿入される形で収容される。カラー50は、金属材料からなる。図3は、カラー50の側面図であり、図4は、図3のA−A線断面図である。カラー50は、円筒状のカラー壁部51を備えており、ボディ30内において、このカラー壁部51の外周面がボディ壁部32の内周面と近接した状態で対向する。また、カラー50内にプランジャ40が挿入された状態において、カラー壁部51の内周面がプランジャ壁部42の外周面と近接した状態で対向する。なお、カラー壁部51には、厚み方向に貫通するカラー連通孔52が設けられている。カラー連通孔52は、円形の開口縁52aで囲まれている。
【0036】
カラー壁部51(カラー50)の長手方向(軸線方向)における一方の端部53は、カラー50がボディ30内に収容された際に、底部31の内面と当接する部分となっている。また、カラー壁部51(カラー50)の長手方向(軸線方向)における他方の端部54は、本実施形態の場合、カラー50がボディ30内に収容された際に、ボディ壁部32の上端部35と同じ高さ位置(ボディ底部31からの高さ位置)に配されるように設定されている。なお、ボディ壁部32の上端部(開口端)35の内周縁には、外側から奥側(ボディ底部31側)に向かって内径が徐々に小さくなるような環状の傾斜面(テーパー面)35aが形成されており、ボディ30内にカラー50が挿入され易くなっている。
【0037】
カラー50は、カラー壁部51の上側の端部54がボディ壁部32の上端部35とともにリンク状の金属製のかしめ部材70でカシメられる(締め付けられる)。カラー50は、かしめ部材70により、軸線方向における移動が規制された状態でボディ30の内側に固定される。なお、カラー50は、ボディ30内において、軸線方向における移動は規制されているものの、周方向における移動(回転移動)は許容されている。
【0038】
カラー壁部51の下側の端部53には、略コの字状(略U字状)に切り欠かれた形をなすカラー排出口55が複数個設けられている。各カラー排出口55は、それぞれ略コの字状(略U字状)の縁部55aで縁取られている。カラー排出口55は、下側(底部31側)に開放しつつ、カラー壁部51の厚み方向に貫通しており、カラー壁部51の内側とカラー壁部51の外側とを連通する。本実施形態の場合、複数個のカラー排出口55は、カラー壁部51の端部53において、周方向に等間隔で並ぶ形で設けられている。カラー排出口55は、カラー壁部51のうち、プランジャ40がボディ底部31に最も接近したときのプランジャ底部よりもボディ底部31寄りの位置に、カラー壁部51の一端(端部53)を切り欠く形で形成されている。
【0039】
なお、上述したカラー連通孔52は、カラー壁部51のうち、端部53に近い個所に設けられている。カラー連通孔52は、カラー50及びプランジャ40がボディ30の内側に収容された状態において、ボディ連通孔33及びプランジャ連通孔45に対してそれぞれ連通可能なように、ボディ連通孔33及びプランジャ連通孔45と重なる高さ位置に設定されている。なお、カラー50内に挿入されているプランジャ40は、カラー50に対して相対的に周方向の移動(回転移動)することが許容されている。
【0040】
カラー壁部51の内周面と、プランジャ40の縮径部44との間には、プランジャ壁部42の外側を周回する環状の油路21が形成されている。油路21は、プランジャ連通孔45及びカラー連通孔52に対してそれぞれ連通されている。また、カラー壁部51の外周面と、ボディ壁部32の内周面との間には、カラー壁部51の外側を周回する環状の油路22が形成されている。ボディ壁部32の内周面のうち、ボディ連通孔33と重なる個所には周方向に配される環状の溝部36が形成されている。油路22は、カラー壁部51の外周面と溝部36との間で形成される。油路22は、ボディ連通孔33及びカラー連通孔52に対してそれぞれ連通されている。
【0041】
高圧室Hは、ボディ30の底側の内部に形成される。具体的には、高圧室Hは、ボディ底部31の内面、プランジャ底部41の外面、及びカラー壁部51の内周面で囲まれた空間からなる。高圧室Hと上述した低圧室Lとは、プランジャ底部41によって互いに仕切られた形となっている。高圧室Hは、カラー50(カラー壁部51)の端部53に設けられたカラー排出口55を介して、後述するリーク隙間D1と連通している。
【0042】
高圧室H内には、弁体63(逆止弁60の構成要素)が、第1バネ64(逆止弁60の構成要素)により弁口61を閉じる方向(プランジャ40の前進方向)に付勢された状態で設けられている。弁体63は、外径寸法が弁口61の内径よりも大きな球体からなり、ボールゲージ65(逆止弁60の構成要素)内に収容されている。ボールゲージ65は、弁口61と同心円形をなす筒部65aと、この筒部65aの下端を塞ぐ板状の底部65bと、筒部65aの上端縁(開口縁)から径方向外側に張り出した形をなすバネ受け部65cとを備えている。筒部65aには、その内面側から外面側(厚み方向)に貫通する複数の連通孔65dが形成されている。また、底部65bには、その中央部分を上方(弁口61側)へ膨出させた膨出部65eが形成されている。ボールゲージ65は、バネ受け部65cの外周縁を、凹部43の内周壁に圧入することによってプランジャ底部41に対して固着されている。
【0043】
第1バネ64は、圧縮コイルバネからなり、弁口61と同軸状に配置される。また、第1バネ64は、ボールゲージ65の底部65bの上面(内面)と、弁体63との間に挟まれる形で装着されることで、弁体63を上方(閉弁方向)へ付勢している。第1バネ64の付勢等により、弁体63がシート面62に対して線接触状に当接して弁口61を塞ぐと、逆止弁60が閉弁する。これに対し、第1バネ64の付勢に抗して弁体63がシート面62から下方へ離間すると、逆止弁60が開弁する。
【0044】
第1バネ64の下端部は、ボールゲージ65の底部64bに対してその膨出部64eに外嵌する形で当接するため、第1バネ64が図2の左右方向(軸方向に対して直角に交わる方向)に対して位置ずれすることが抑制される。また、第1バネ64の上端部は、球状の弁体63に対して同軸状に当接する状態を維持する。なお、弁体63が過剰に後退した場合には、弁体63が膨出部65eの頂上面に当接して、それ以上の弁体63の後退動作が防止され、第1バネ64の過剰な弾性変形も防止される。
【0045】
また、高圧室H内において、弁口61と同軸状の圧縮コイルバネからなる第2バネ80が、ボールゲージ65のバネ受け部65cとボディ底部31との間に挟まれる形で装着されている。第2バネ80は、このようにバネ受け部65cと底部31との間に装着されることにより、プランジャ40を上方(プランジャ40が前進する方向)へ付勢している。
【0046】
シリンダヘッド2のオイル供給路11から供給されるオイル(作動油)は、取付室9の壁面とボディ壁部32との間の油路12、ボディ連通孔33、ボディ30とカラー50との間の油路22、カラー連通孔52、カラー50とプランジャ40との間の油路21、及びプランジャ連通孔45を、この順で通過し、プランジャ40の内側にある低圧室L内に流入して貯留される。なお、上記のように低圧室L内に貯留されたオイルは、更に逆止弁60の開弁時に弁口61を通って高圧室H内に流入して貯留される。
【0047】
図5は、高圧室H側の部分を拡大したラッシュアジャスタ20の断面図である。図5には、高圧室Hが低圧室Lよりも上方に配されるように傾斜した姿勢のラッシュアジャスタ20が示されている。なお、図5の上下方向は鉛直方向に対応し、図2の左右方向は水平方向に対応する。図5には、図1と同様の姿勢のラッシュアジャスタ20が示されている。
【0048】
図5等に示されるように、リーク隙間D1は、プランジャ40が後退する際に、高圧室Hからボディ連通孔33側及びカラー連通孔52側へオイルを漏出(リーク)させるための隙間であり、ボディ30の壁部32の内周面と、カラー壁部51の内外周面との間に形成されている。リーク隙間D1は、全体的には、カラー50(カラー壁部51)の外周面を囲むように形成されている。リーク隙間D1の入口D11は、ボディ底部31側に配され、カラー壁部51の端部53に設けられたカラー排出口55を介して高圧室Hと連通している。また、第1リーク隙間D1の出口D12は、油路22側に配され、ボディ連通孔33及びカラー連通孔52と連通している。
【0049】
また、本実施形態の場合、リーク隙間D1以外に、高圧室Hから外部にオイルを漏出させるための隙間として、リーク隙間(第2リーク隙間、本発明の他のリーク隙間)D2を備えている。リーク隙間D2は、プランジャ壁部42の外周面と、カラー壁部51の内周面との間に形成され、全体的には、プランジャ壁部42の外周面を囲むように形成されている。なお、リーク隙間D2は、リーク隙間D1の内側に同軸状に配置されている。リーク隙間D2の入口D21は、プランジャ底部41側に配され、高圧室Hと連通している。また、リーク隙間D2の出口D22は、油路21側に配され、プランジャ連通孔45及びカラー連通孔52と連通している。本実施形態の場合、リーク隙間D2は、リーク隙間D1と同じ大きさに設定されている。
【0050】
図5に示されるように、カラー排出口55は、リーク隙間D2よりもボディ底部31側に配されている。本実施形態の場合、カラー排出口55は、リーク隙間D2よりも上方に配されることになる。
【0051】
次いで、ラッシュアジャスタ20の動作を説明する。例えば、ロッカーアーム6により加えられる押圧力に抗してプランジャ40が前進する場合、逆止弁60が開弁して、低圧室L及び高圧室Hが弁口61を介して互いに連通される。そして、その際、低圧室Lから高圧室Hにオイルが流入される。
【0052】
また、ロッカーアーム6によってプランジャ40が後退する方向に押圧力が加えられた場合、逆止弁60は閉弁して、低圧室Lと高圧室Hとの間を連通する弁口61を遮断しつつ、高圧室Hをオイルで満たされた状態で密閉する。その際、高圧室H内のオイルは、加圧されてプランジャ40の後退を抑制し、プランジャ40を停止させる。
【0053】
なお、プランジャが停止する前等において、プランジャ40が後退した場合、高圧室H内のオイルは、リーク隙間D1及びリーク隙間D2を通って外部に漏出される。
【0054】
このようなラッシュアジャスタ20において使用されるオイル(作動油)中には、気泡が含まれている場合がある。そのため、例えば、プランジャ40の前進時に、低圧室Lから高圧室Hにオイルとともに気泡が侵入する場合もある。このように、高圧室H内に気泡が侵入した場合、気泡は、浮力等により高圧室Hの上方(図5の上方)に集まり易くなっている。つまり、気泡は、ボディ底部31とカラーの端部53との境界部分のうち、最も上方に配される部分に集まり易くなっている。そして、気泡の近くには、カラー50の端部53に設けられたカラー排出口55が配置される。ラッシュアジャスタ20は、ロッカーアーム6から受ける押圧力等により、シリンダヘッド2の取付室9内において、周方向に移動(回転移動)する。また、その際、カラー50は、ボディ30に対して相対的に周方向に移動(回転移動)する。そのため、カラー排出口55は、ラッシュアジャスタ20の作動時に、気泡が集まり易い個所(高圧室Hの最も上方の個所)に自動的に移動することができる。本実施形態の場合、カラー排出口55は、端部53の周方向に複数個並ぶ形で設けられているため、気泡が最も集まり易い個所である高圧室Hの上側(鉛直方向において最も上側)にカラー排出口55が配置される確率が、例えば、カラー排出口55が1つの場合と比べて、高くなっている。
【0055】
高圧室H内に侵入した気泡は、カラー排出口55を介して高圧室Hからリーク隙間D1側へ移動する(図5の矢印B参照)。なお、本実施形態の場合、ボディ壁部32の内周面のうち、ボディ底部31に隣接し、かつカラー排出口55と対向する部分には、外側に窪んだ環状の溝部37が形成されている。そのため、リーク隙間D1の入口D11の幅が幾分、大きく設定されており、気泡をリーク隙間D1内に案内し易くなっている。
【0056】
上記のように気泡がリーク隙間D1側へ移動し、更に、プランジャ40が後退した場合に、オイルがリーク隙間D1を通ってボディ連通孔33側及びカラー連通孔52側に漏出するとともに、そのオイルの流れに乗って気泡がリーク隙間D1を通ってボディ連通孔33側及びカラー連通孔52側に排出される。このように、本実施形態のラッシュアジャスタ20では、高圧室H内に侵入した気泡を、プランジャ40の後退時におけるオイルリークを利用してボディ連通孔33側及びカラー連通孔52側へ自動的に排出することができる。
【0057】
また、本実施形態の場合、リーク隙間D1以外に、リーク隙間D2を備えているものの、高圧室H内に侵入した気泡は、主として、リーク隙間D1から排出される。何故ならば、気泡は、リーク隙間D2の入口D21よりも、上方に配されているリーク隙間D1の入口D11の近くに集まり易いからである。
【0058】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0059】
(1)上記実施形態1では、カラー壁部51の端部53に複数個のカラー排出口55が形成されていたが、本発明はこれに限られず、例えば、他の実施形態においては、カラー排出口を1つのみカラー50の端部53に設けてもよい。
【0060】
(2)上記実施形態1では、カラー50の端部53に、略コの字状(略U字状)に切り欠かれたような形のカラー排出口55が形成されていたが、本発明はこれに限られず、カラー排出口は本発明の目的を達成できる限り、他の形状に切り欠かれてもよい。また、実施形態1では、切り欠き状のカラー排出口を例示したが、他の実施形態においては、例えば、カラーの端部において厚み方向に貫通する貫通孔を、カラー排出口として利用してもよい。
【0061】
(3)上記実施形態1では、プランジャ40の後退時に高圧室Hから外部にオイルを漏出させる構成として、リーク隙間(第1リーク隙間)D1以外にリーク隙間(第2リーク隙間)D2を備えていたが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、例えば、リーク隙間(第1リーク隙間)D1のみにより、高圧室Hから外部にオイルを漏出させる構成であってもよい。
【0062】
(4)上記実施形態1では、カラー50として、内径及び外径が長手方向(軸線方向)において同じものを利用したが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、例えば、カラー排出口が設けられる側の端部が他方の端部よりも小径な円筒状のカラーを用いてもよい。カラーの形状は、本発明の目的を達成できる限り、例えば、ボディの内面形状に合わせて、適宜、設定される。なお、カラーの形状がどのような場合であっても、カラー壁部の外周面とボディ壁部の内周面との間でリーク隙間(第1リーク隙間)が形成される必要がある。
【0063】
(5)上記実施形態1では、高圧室Hが低圧室Lよりも上方に配されるように傾斜した姿勢で使用されるラッシュアジャスタ20を例示したが、他の実施形態においては、低圧室L及び高圧室Hが水平に並ぶ姿勢で使用されるラッシュアジャスタに本発明が適用されてもよい。本発明のラッシュアジャスタは、高圧室Hが低圧室Lよりも上方に配されるように傾斜した姿勢、又は低圧室L及び高圧室Hが水平に並ぶ姿勢で使用されることが好ましい。
【0064】
(6)上記実施形態1では、リーク隙間D2は、リーク隙間D1と同じ大きさに設定されていたが、他の実施形態においては、何れか一方が他方よりも大きく設定されてもよい。特に、ボディ壁部32の内周面とカラー壁部51の外周面とに間に形成されるリーク隙間D1が、プランジャ壁部42の外周面とカラー壁部51の内周面との間に形成されるリーク隙間D2よりも大きく設定されていると、カラー壁部51の内側(つまり、高圧室H内)のオイルは、リーク隙間D2よりも、リーク隙間D1から排出され易くなる。その結果、カラー壁部51の内側(つまり、高圧室H内)に入り込んだ気泡は、リーク隙間D1から、作動油とともに排出され易くなる。
【0065】
(7)図6は、他の実施形態のラッシュアジャスタ20Aの断面図である。本実施形態のラッシュアジャスタ20Aの基本的な構成は、実施形態1と同様である。ただし、本実施形態のラッシュアジャスタ20Aは、ボディ30の内側におけるカラー50の位置が、実施形態1の場合と異なっている。本実施形態では、カラー連通孔52が、ボディ連通孔33と対向する個所におけるボディ壁部(以下、対向ボディ壁部)330と対向し、かつカラー連通孔52と対向する個所におけるカラー壁部(以下、対向カラー壁部)520が、ボディ連通孔33と対向するように、カラー50がボディ壁部32とプランジャ壁部42との間に配されている。つまり、本実施形態の場合、カラー連通孔52が、ボディ連通孔33と対向した状態から180°回転したような状態で、カラー50がボディ30の内側に収容されている。カラー50は、ボディ30の内側において、上述した所定配置となるように、かしめ部材70Aを利用してボディ30に固定されている。本実施形態のように、ボディ30の内側におけるカラー50の配置が設定されていると、ラッシュアジャスタ20Aの動作に必要な、低圧室L内におけるオイル量を確保し易くなる。
【符号の説明】
【0066】
1…内燃機関、2…シリンダヘッド、3…吸気ポート、4…吸気バルブ、5…バルブスプリング、6…ロッカーアーム、7…カム、8…吸気通路、9…取付室、10…動弁装置、11…オイル供給路、12…油路、20…ラッシュアジャスタ、21…油路、22…油路、30…ボディ、31…ボディ底部、32…ボディ壁部、33…ボディ連通孔、34…縮径部、35…上端部、36…溝部、37…溝部、40…プランジャ、41…プランジャ底部、42…プランジャ壁部、43…凹部、44…縮径部、45…プランジャ連通孔、46…支持部、47…通気孔、50…カラー、51…カラー壁部、52…カラー連通孔、53…端部(一端)、54…端部(他端)、55…カラー排出口、60…逆止弁、64…第1バネ、70…かしめ部材、80…第2バネ、H…高圧室、L…低圧室、D1…リーク隙間(第1リーク隙間)、D2…リーク隙間(第2リーク隙間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6