(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
触媒が有機リチウム化合物の1種または2種以上であるか、または、ランタノイド化合物、チタン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物から選択される1種または2種以上である請求項1または2記載の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<本発明に係る目的物>
本発明に係る分枝共役ジエン重合体とは、分枝共役ジエン化合物(1)を単独重合して得られる重合体、または、分枝共役ジエン化合物(1)と、共役ジエン化合物(2)および/またはビニル化合物(3)とを共重合して得られる共重合体をいう。
【0021】
本発明に係る分枝共役ジエン重合体の重量平均分子量(Mw)は、3000以上であれば特に限定はないが、好ましくは25万以上、より好ましくは50万以上、さらに好ましくは100万以上である。Mwが3000未満では流動性の高い液状ポリマーとなる傾向があり、Mwが25万未満では加工性が悪化するという問題に至らない傾向にあるからである。一方、Mwは、300万以下であれば特に限定はないが、好ましくは200万以下である。Mwが300万超ではゴム弾性を持たない固形物となる傾向がある。
【0022】
分枝共役ジエン共重合体の数平均分子量(Mn)は、3000以上が好ましく、より好ましくは25万以上である。3000未満ではゴム組成物の硬度が増して加工性が悪化するという問題に至らない傾向にあるからである。一方、Mnは300万以下が好ましく、より好ましくは200万以下である。Mnが300万超ではゴム弾性を持たない固形物となるとなる傾向がある。
【0023】
分枝共役ジエン重合体において、Mw/Mnの好ましい範囲は、20.0以下、より好ましくは10.0以下である。Mw/Mnが20.0超では、加工性が悪化するという問題に至らない傾向がある。一方、Mw/Mnの下限値については、特に制限はなく、1.0以上において特に差し障りはない。
【0024】
分枝共役ジエン重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常、−110℃〜110℃の範囲である。例えば、遷移金属触媒で調製されるハイシス−ブタジエンを比較的多く含有する分枝共役ジエン共重合体のTgはハイシス−ブタジエンを多く含有すればするほど低くなり、アニオン重合触媒で調製されるスチレンを比較的多く含有する分枝共役ジエン重合体のTgはスチレンを多く含有すればするほど高くなる傾向がある。分枝共役ジエン重合体において、ハイシス−ブタジエンを多く含有する分枝共役ジエン重合体やスチレンを多く含有する分枝共役ジエン重合体は、分枝共役ジエン化合物(1)を少量配合し共重合させるだけで加工性の改善を示すが、Tgは分枝共役ジエン化合物(1)の配合によってはあまり変化しない場合がほとんどである。
【0025】
分枝共役ジエン重合体のムーニー粘度ML
1+4(130℃)は、該重合体を構成する分枝共役ジエン化合物(1)を共役ジエン化合物(2)で置き換えた、同一分子量の共重合体との比較において、低いものである限り、加工性の改善という効果を奏し得るので、特に限定はないが、一般には、25以上であることが好ましく、より好ましくは30以上である。ムーニー粘度が25未満では、流動性を持つ傾向がある。一方、ムーニー粘度は160以下が好ましく、より好ましくは150以下、さらに好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下である。ムーニー粘度が160超では加工する際に軟化剤や加工助剤が多く必要となる傾向がある。
【0026】
分枝共役ジエン重合体における、モノマーである分枝共役ジエン化合物(1)、共役ジエン化合物(2)およびビニル化合物(3)の重合比について説明する。
【0027】
(分枝共役ジエン重合体における(l)、(m)および(n))
分枝共役ジエン化合物(1)の重合比(l)は、1〜100重量%であれば特に限定はないが、下限値としては、2.5重量%以上が好ましく、5重量%以上がさらに好ましい。1%未満では加工性を改善するという分枝共役ジエン化合物(1)配合の効果が十分に得られない傾向がある。一方、上限値としては、99重量%以下、75重量%以下が好ましく、60重量%以下がより好ましく、50重量%以下がさらに好ましく、15重量%以下がさらに好ましい。99重量%超では流動性のある重合体となる場合があり、また、分枝共役ジエン化合物(1)の加工性に対する効果は15重量%も配合すれば十分発揮される傾向があるからである。
【0028】
本発明の分枝共役ジエン重合体には、共役ジエン化合物(2)および/またはビニル化合物(3)が含まれ得る。
【0029】
分枝共役ジエン共重合体において、共役ジエン化合物(2)の重合比(m)の好ましい範囲の下限値は、1重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。mが1重量%未満では流動性のある重合体となる場合がある。一方、上限値は99重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは72.5重量%以下、さらに好ましくは、55重量%以下である。mが99重量%超では加工性改善のため分枝共役ジエン化合物(1)を共重合させることによる効果が小さくなる傾向がある。
【0030】
また、ビニル化合物(3)の重合比(n)の好ましい範囲の下限値は、1重量%以上、10重量%以上、より好ましくは25重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。nが1重量%未満では流動性のある重合体となる場合があり、10重量%未満ではゴムの硬さは加工性が問題となる程高くはなく、加工性改善のため分枝共役ジエン化合物(1)を共重合させることによる効果が小さくなる傾向があり、また、nが25重量%以上の場合には、ゴムのグリップ性能の向上に資する上に、共重合体の加工性が悪化するとの問題が生じてくることから、分枝共役ジエン化合物(1)を配合することによる加工性の改善効果が顕著に現れる傾向にあるため好ましく、nが40重量%以上の場合にはさらにその傾向が強い。上限値は99重量%以下、好ましくは97.5重量%以下、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。nが99重量%超では共重合体がゴム状とならず樹脂状になり分枝共役ジエン化合物(1)を共重合させることによる効果が小さくなる傾向がある。
【0031】
なお、分枝共役ジエン重合体における、分枝共役ジエン化合物(1)、共役ジエン化合物(2)およびビニル化合物(3)の重合比(l)、(m)、(n)は、合計が100重量%である。したがって、例えば、分枝共役ジエン重合体が分枝共役ジエン化合物(1)、共役ジエン化合物(2)およびビニル化合物(3)の3種のモノマーからなる共重合体である場合においては、このうち任意の一つの下限値が上記好ましい範囲から選択されれば他の二つについては、上限値の取り得る範囲が自ずと定まる。また、任意の二つの下限値が上記好ましい範囲から選択されれば、残りの一つについてはその上限値が自ずと定まる。同様に、重合比(l)、(m)、(n)は、任意の一つの上限値が上記好ましい範囲から選択されれば他の二つについては、下限値の取り得る範囲が自ずと定まる。また、任意の二つの上限値が上記好ましい範囲から選択されれば、残りの一つについてはその下限値が自ずと定まる。
【0032】
また、分枝共役ジエン重合体が分枝共役ジエン化合物(1)と共役ジエン化合物(2)またはビニル化合物(3)との2種のモノマーからなる共重合体である場合においては、いずれか一方の下限値ないし上限値が上記好ましい範囲から選択されれば、他方の上限値ないし下限値は自ずと定まる。
【0033】
(分枝共役ジエン重合体が、分枝共役ジエン化合物(1)、共役ジエン化合物(2)およびビニル化合物(3)の3種のモノマーからなる分枝共役ジエン共重合体である場合における(l)、(m)および(n))
分枝共役ジエン化合物(1)の共重合比(l)は、1〜99重量%であれば特に限定はないが、下限値としては、2.5重量%以上が好ましく、5重量%以上がさらに好ましい。1%未満では加工性を改善するという分枝共役ジエン化合物(1)配合の効果が十分に得られない傾向がある。一方、上限値としては、75重量%未満が好ましく、60重量%未満がより好ましく、50重量%未満がさらに好ましく、15重量%未満がさらに好ましい。99重量%超では流動性のある重合体となる場合があり、また、分枝共役ジエン化合物(1)の加工性に対する効果は15重量%も配合すれば十分発揮される傾向があるからである。
【0034】
該分枝共役ジエン共重合体には、共役ジエン化合物(2)およびビニル化合物(3)の双方が含まれる。
【0035】
分枝共役ジエン共重合体において、共役ジエン化合物(2)の共重合比(m)の下限値は0重量%超であり、好ましい範囲は、1重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。mが1重量%未満では流動性のある重合体となる傾向がある。一方、上限値は99重量%未満、より好ましくは80重量%未満、さらに好ましくは72.5重量%未満、さらに好ましくは、55重量%未満である。mが99重量%以上では加工性改善のため分枝共役ジエン化合物(1)を共重合させることによる効果が小さくなる傾向がある。
【0036】
また、ビニル化合物(3)の共重合比(n)の下限値は0重量%超であり、好ましい範囲は、10重量%以上、より好ましくは25重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。nが10重量%未満ではゴムの硬さは加工性が問題となる程高くはなく、加工性改善のため分枝共役ジエン化合物(1)を共重合させることによる効果が小さくなる傾向があり、また、nが25重量%以上の場合には、ゴムのグリップ性能の向上に資する上に、共重合体の加工性が悪化するとの問題が生じてくることから、分枝共役ジエン化合物(1)を配合することによる加工性の改善効果が顕著に現れる傾向にあるため好ましく、nが40重量%以上の場合にはさらにその傾向が強い。上限値は99重量%未満、好ましくは97.5重量%未満、より好ましくは95重量%未満、さらに好ましくは80重量%未満、より好ましくは60重量%未満である。nが99重量%以上では共重合体がゴム状とならず樹脂状になり分枝共役ジエン化合物(1)を共重合させることによる効果が小さくなる傾向がある。
【0037】
なお、分枝共役ジエン共重合体における、分枝共役ジエン化合物(1)、共役ジエン化合物(2)およびビニル化合物(3)の配合比l、m、nは、合計が100重量%であることから、このうち任意の一つの下限値が上記好ましい範囲から選択されれば他の二つについては、上限値の取り得る範囲が自ずと定まる。また、任意の二つの下限値が上記好ましい範囲から選択されれば、残りの一つについてはその上限値が自ずと定まる。同様に、配合比(l)、(m)、(n)は、任意の一つの上限値が上記好ましい範囲から選択されれば他の二つについては、下限値の取り得る範囲が自ずと定まる。また、任意の二つの上限値が上記好ましい範囲から選択されれば、残りの一つについてはその下限値が自ずと定まる。
【0038】
<分枝共役ジエン化合物(1)>
分枝共役ジエン化合物(1)において、炭素数6〜11の脂肪族炭化水素基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基等のノルマル構造のもの、それらの異性体かつ/または不飽和体、並びに、それらの誘導体(例えば、ハロゲン化物および水酸基化物等)が挙げられる。そのうち、特に、4−メチル−3−ペンテニル基、4,8−ジメチル−ノナ−3,7−ジエニル基等、および、それらの誘導体が好ましい。
【0039】
分枝共役ジエン化合物(1)の具体例としては、例えば、ミルセン、ファルネセンなどが挙げられる。
【0040】
本発明において、「ミルセン」とは、α−ミルセン(2−メチル−6−メチレンオクタ−1,7−ジエン)とβ−ミルセンのいずれをも含むものであるが、このうち、以下の構造を有するβ−ミルセン(7−メチル−3−メチレンオクタ−1,6−ジエン)が好ましい。
【0042】
一方、「ファルネセン」とは、α−ファルネセン((3E,7E)−3,7,11−トリメチル−1,3,6,10−ドデカテトラエン)やβ−ファルネセンなどいずれの異性体も含むものであるが、このうち、以下の構造を有する(E)−β−ファルネセン(7,11−ジメチル−3−メチレン−1,6,10−ドデカトリエン)が好ましい。
【0044】
分枝共役ジエン化合物(1)としては、1種または2種以上のものを使用することができる。
【0045】
(共役ジエン化合物(2))
共役ジエン化合物(2)において、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、このうちメチル基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、このうち、塩素原子が好ましい。
【0046】
共役ジエン化合物(2)のR
2またはR
3は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。共役ジエン化合物(2)の具体例としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が好ましく、このうち、1,3−ブタジエン、イソプレン等が好ましい。
【0047】
共役ジエン化合物(2)としては、1種または2種以上のものを使用することができる。
【0048】
(ビニル化合物(3))
ビニル化合物(3)において、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、このうちメチル基が好ましい。炭素数3〜8の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロへキセニル基、シクロへプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられ、このうちシクロプロピル基、シクロブチル基が好ましい。炭素数6〜10の芳香属炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル(tolyl)基、キシリル(xylyl)基、ナフチル基などが挙げられる。但し、トリル基におけるベンゼン環上のメチル基の置換位置はオルト−、メタ−もしくはパラ−のいずれの位置も含むものであり、キシリル基におけるメチル基の置換位置も、任意の置換位置のいずれをも含むものである。これらのうち、フェニル基、トリル(tolyl)基、ナフチル基が好ましい。ビニル化合物(3)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−ビニルナフタレンまたはβ−ビニルナフタレンが好ましい。
【0049】
ビニル化合物(3)としては、1種または2種以上のものを使用することができる。
【0050】
<製法>
本発明に係る分枝共役ジエン重合体の製造方法は、分枝共役ジエン化合物(1)のみを単独で重合させるか、または、分枝共役ジエン化合物(1)と共役ジエン化合物(2)および/またはビニル化合物(3)とを共重合させるものである。かかる重合において、モノマーを重合させる順序については特に限定はなく、例えば、すべてのモノマーを一度にランダム共重合させてもよいし、あるいは、あらかじめ特定のモノマー(例えば、分枝共役ジエン化合物(1)モノマーのみ、共役ジエン化合物(2)モノマーのみ、ビニル化合物(3)モノマーのみ、あるいは、これらから選ばれる任意のモノマーなど)を重合させた後に、残りのモノマーを共重合させたり、特定のモノマー毎に予め重合させたものをブロック共重合させてもよい。したがって、本発明に係る分枝共役ジエン重合体は、これら重合反応から得られるいずれの目的物をも含むものである。
【0051】
本発明の製造方法は、触媒溶液に、モノマー溶液を逐次添加して、モノマーを重合させる工程を含んでなるものである。
【0052】
(逐次添加)
本発明において、逐次添加とは、触媒溶液に、モノマー溶液を、順を追って次々に加えることをいい、添加方法については特に限定はない。したがって、例えば、逐次添加するモノマー溶液の全量を、3分割や4分割等に分割して、分割した分を一度に添加する方法や、滴下する方法、あるいは、分割添加と滴下を組み合わせた方法など種々のものが含まれ得る。このうち、モノマー溶液を一定の速度で滴下する方法が、均一な目的物を得る観点や、操作が簡便であるとの観点、重合反応温度の制御が容易であるとの観点などから好ましい。
【0053】
(反応温度)
重合反応の温度は、重合反応前の初期温度を指標に、重合反応中の最大温度を一定の範囲内に制御することにより、適切な範囲内とすることができる。最大温度は、重合反応前の初期温度、使用する触媒の種類、量および濃度、モノマーの種類、量および濃度、並びにモノマーの添加速度等により変動するが、適切な最大温度は、初期温度との差が約10℃以内の温度である。最大温度が初期温度の10℃超の温度になると、通常の生産設備での除熱が困難になり、特別な冷却設備などが必要となる傾向がある。重合反応の初期温度は、通常、5〜45℃である。
【0054】
最大温度を初期温度との差において約10℃以内とすることは、例えば、モノマーの単位時間あたりの添加割合を、所定の値以下に抑えることにより実施することができる。例えば、モノマー溶液を一定の速度で滴下する場合には、該滴下速度を所定の値以下に抑えることにより、最大温度を初期温度との差において約10℃以内とすることができる。本発明において、モノマー溶液の滴下速度の好ましい具体例としては、例えば、本願の実施例1〜8における反応条件下、モノマー溶液を2時間以上かけて滴下することが挙げられる。当業者であれば、以上の説明を参照することにより、具体的な重合反応において、種々の因子を調節することにより、過度な実験を行うことなく、最大温度を初期温度との差において約10℃以内に容易に制御することができる。
【0055】
(重合反応)
重合反応は、常法のものをいずれも実施することができ、そのような具体例としては、例えば、アニオン重合や配位重合が挙げられる。
【0056】
(アニオン重合)
該アニオン重合は、触媒として、アニオン重合開始剤を使用する重合反応であり、適当な溶媒中で実施することができる。アニオン重合開始剤としては、慣用のものをいずれも好適に使用することができ、そのようなアニオン重合開始剤としては、例えば、一般式 RLix(但し、Rは1個またはそれ以上の炭素原子を含む脂肪族、芳香族または脂環式基であり、xは1〜20の整数である。)を有する有機リチウム化合物があげられる。適当な有機リチウム化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウムおよびナフチルリチウムが挙げられる。好ましい有機リチウム化合物はn−ブチルリチウムおよびsec−ブチルリチウムである。アニオン重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。アニオン重合を行う際の重合開始剤の使用量は特に限定はないが、例えば、重合に供する全モノマー100g当り、約0.05〜35mmol用いるのが好ましく、約0.05〜0.2mmol用いるのがより好ましい。重合開始剤の使用量が0.05mmol未満では共重合体がゴム状とならず樹脂状となる傾向があり、35mmolより多い場合には、共重合体が軟らかく加工性に対して分枝共役ジエン化合物(1)を共重合させることによる効果が小さくなる傾向がある。
【0057】
また、アニオン重合に用いる溶媒としては、アニオン重合開始剤を失活させたり、重合反応を停止させたりしないものであれば、いずれも好適に用いることができ、極性溶媒または非極性溶媒のいずれも使用することができる。極性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒があげられ、非極性溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ペンタンなどの鎖式炭化水素、シクロヘキサンなどの環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを挙げることができる。これら溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0058】
アニオン重合は、さらに極性化合物の存在下に実施するのが好ましい。極性化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジフェニルエーテル、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)などが挙げられる。極性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。この極性化合物は、ブタジエン部のミクロ構造に関し、1,2−構造の含量を減少させるのに有用である。極性化合物の使用量は、極性化合物の種類および重合条件により異なるが、アニオン重合開始剤とのモル比(極性化合物/アニオン重合開始剤)として0.1以上であることが好ましい。アニオン重合開始剤とのモル比(極性化合物/アニオン重合開始剤)が0.1未満ではミクロ構造を制御することに対する極性物質の効果が十分でない傾向がある。
【0059】
アニオン重合の際の反応時間は、仕込み量、反応温度、その他条件により異なるが、触媒溶液にモノマー溶液を逐次添加する本発明の製法においては、重合反応が効率的に進行するため、モノマー溶液と触媒を一括混合する従来の重合反応に比べ、短時間で完了させることが可能である。
【0060】
上記アニオン重合は、この分野で通常使用する反応停止剤の添加により、停止させることができる。そのような反応停止剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールまたは酢酸などの活性プロトンを有する極性溶媒およびこれらの混液、またはそれらの極性溶媒とヘキサン、シクロヘキサンなどの無極性溶媒との混液が挙げられる。反応停止剤の添加量は、通常、アニオン重合開始剤に対し、同モル量もしくは2倍モル量程度で十分である。
【0061】
重合反応停止後、分枝共役ジエン共重合体は、重合溶液から常法により溶媒を除去することにより、または、重合溶液をその1倍量以上のアルコールに注ぎ、分枝共役ジエン共重合体を沈殿させることにより、容易に単離することができる。
【0062】
(配位重合)
配位重合は、上記アニオン重合におけるアニオン重合開始剤に代えて、配位重合開始剤を使用する重合反応であり、適当な溶媒中実施することができる。配位重合開始剤としては、慣用のものをいずれも好適に用いることができ、そのような配位重合開始剤としては、例えば、ランタニド化合物、チタン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物等の遷移金属含有化合物である触媒が挙げられる。また、所望により、さらにアルミニウム化合物、ホウ素化合物を助触媒として使用することができる。
【0063】
ランタノイド化合物は、原子番号57〜71の元素(ランタノイド)のいずれかを含むものであれば特に限定されないが、これらランタノイドのうち、とりわけネオジウムが好ましい。ランタノイド化合物としては、例えば、これら元素のカルボン酸塩、β−ジケトン錯体、アルコキサイド、リン酸塩または亜リン酸塩、ハロゲン化物などが挙げられる。これらの内、取り扱いの容易性の観点から、カルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体が好ましい。チタン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換シクロペンタジエニル基または置換インデニル基を1つを含み、かつハロゲン、アルコキシル基、アルキル基の中から選ばれる置換基を3つ有するチタン含有化合物などが挙げられるが、触媒性能の観点から、アルコキシシリル基を1つ有する化合物が好ましい。コバルト化合物としては、例えば、コバルトのハロゲン化物、カルボン酸塩、β−ジケトン錯体、有機塩基錯体、有機ホスフィン錯体などが挙げられる。ニッケル化合物としては、例えば、ニッケルのハロゲン化物、カルボン酸塩、β−ジケトン錯体、有機塩基錯体などが挙げられる。配位重合開始剤として用いる触媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
助触媒として用いるアルミニウム化合物としては、例えば、有機アルミノキサン類、ハロゲン化有機アルミニウム化合物、有機アルミニウム化合物、水素化有機アルミニウム化合物などが挙げられる。有機アルミノキサン類としては、例えば、アルキルアルミノキサン類(メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、オクチルアルミノキサン、へキシルアルミノキサンなど)が、ハロゲン化有機アルミニウム化合物としては、例えば、ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物(ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド)が、有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルキルアルミニウム化合物(トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム)が、水素化有機アルミニウム化合物としては、例えば、水素化アルキルアルミニウム化合物(ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、)が挙げられる。また、ホウ素化合物としては、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート等のアニオン種を含む化合物が挙げられる。これら助触媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
配位重合に関し、溶媒および極性化合物としては、アニオン重合で説明したものを同様に使用することができる。また、反応時間および反応温度もアニオン重合で説明したものと同様である。重合反応の停止および分枝共役ジエン共重合体の単離も、アニオン重合の場合と同様にして行うことができる。
【0066】
(Mw、Mn、Tg、ムーニー粘度の制御)
分枝共役ジエン重合体の重量平均分子量(Mw)は、重合時に仕込む分枝共役ジエン化合物(1)、共役ジエン化合物(2)またはビニル化合物(3)の各モノマーの触媒に対する量を調節することにより制御することができる。例えば、全モノマー/触媒比を大きくすればMwを大きくすることができ、逆に小さくすればMwを小さくすることができる。分枝共役ジエン共重合体の数平均分子量(Mn)についても同様である。
【0067】
分枝共役ジエン共重合体のTgは、重合時に仕込む共役ジエン化合物(2)とビニル化合物(3)の仕込比を調節することによりにより制御することができる。例えば、ビニル化合物(3)の仕込比を大きくすればTgを高くすることができ、反対に、ビニル化合物(3)の仕込比を小さくすればTgを小さくすることができる。
【0068】
分枝共役ジエン共重合体のムーニー粘度は、重合時に仕込む分枝共役ジエンモノマーの量を調節することによりにより制御することができる。例えば、分枝共役ジエンモノマーの仕込量を少なくすればムーニー粘度は大きくなり、反対に分枝共役ジエンモノマーの仕込量を多くすればムーニー粘度は小さくなる。
【0069】
こうして得られる本発明の分枝共役ジエン共重合体は、ゴム工業の分野で通常使用される他の成分を適宜配合することによりタイヤ用ゴム組成物とすることができる。
【0070】
本発明のゴム組成物に配合すべき成分としては、例えば、分枝共役ジエン共重合体以外の他のゴム成分、充填剤、シランカップリング剤などが挙げられ、さらには、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、他の補強用充填剤、老化防止剤、オイル、ワックス、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等を適宜配合することができる。
【0071】
こうして得られる本発明のゴム組成物は、タイヤの各種部材として使用することができるが、耐磨耗性およびグリップ性能をともに高いレベルにまで向上させることができるものであるため、特に、タイヤトレッドとしてとして好適に使用することができる。
【0072】
本発明のゴム組成物は、タイヤの製造に使用され、通常の方法により、タイヤとすることができる。すなわち、必要に応じて前記成分を適宜配合した混合物を混錬りし、未加硫の段階でタイヤの各部剤の形状に合わせて押出し加工し、タイヤ成形機上にて通常の方法、で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得ることができ、これに空気を入れ、空気入りタイヤとすることができる。
【0073】
本明細書において、MwおよびMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定され、標準ポリスチレンより換算される。
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)により測定される。
ムーニー粘度は、JIS K6300に準じて測定される。
単に、「1〜99重量%」というときは、両端の値を含むものである。
【実施例】
【0074】
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例にのみ限定されるものではない。
【0075】
以下に、実施例および比較例で用いた各種薬品をまとめて示す。各種薬品は必要に応じて常法に従い精製を行った。
【0076】
ヘキサン:関東化学(株)製の無水ヘキサン(特級)
イソプロパノール:関東化学(株)製のイソプロパノール(特級)
THF:関東化学(株)製のテトラヒドロフラン(特級)
ミルセン:和光純薬(株)のβ−ミルセン(試薬)
ファルネセン:日本テルペン化学(株)の(E)−β−ファルネセン(試薬)
イソプレン:和光純薬(株)のイソプレン(試薬)
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製の1,3−ブタジエン(試薬)
スチレン:和光純薬(株)のスチレン(試薬)
【0077】
1.ミルセン共重合体
実施例1(重合体1の合成)
乾燥し窒素置換した1Lのガラス容器に、ヘキサン 500ml、THF 46g、およびn−ブチルリチウム(n−BuLi)40mmolを加えた後、該混合物に、ヘキサン 100ml、ミルセン 150g、スチレン 125gの混合物を2時間かけて滴下しながら攪拌し、重合反応を行った。滴下終了後、2Mイソプロパノール/ヘキサン溶液を10ml滴下し、重合反応を終了させた。反応液を、1晩風乾し、さらに2日間減圧乾燥を行い、重合体1 275gを得た。重合転化率(「乾燥重量/仕込量」の百分率)はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃、重合反応中の最大反応温度は34℃であった。
【0078】
実施例2(重合体2の合成)
ミルセン 150gに代えて、ミルセン 69gおよびイソプレン 81gを用いた以外は実施例1と同様に処理して、重合体2 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃、重合反応中の最大反応温度は34℃であった。
【0079】
実施例3(重合体3の合成)
ミルセン 150gに代えて、ミルセン 69gおよびブタジエン 81gを用いた以外は実施例1と同様に処理して、重合体3 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃、重合反応中の最大反応温度は33℃であった。
【0080】
比較例1(重合体Iの合成)
乾燥し窒素置換した1Lのステンレス製耐圧容器に、ヘキサン 500ml、THF 46gおよびn−ブチルリチウム(n−BuLi)40mmolを加えた後、該混合物に、ヘキサン 100ml、ミルセン 150g、スチレン 125gの混合液を一括添加して攪拌し、重合反応を行なった。5時間後、2Mイソプロパノール/ヘキサン溶液を10ml滴下し、重合反応を終了させた。反応液を、1晩風乾し、さらに2日間減圧乾燥を行い、重合体I 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃、重合反応中の最大反応温度は58℃であった。
【0081】
比較例2(重合体IIの合成)
ミルセン 150gに代えて、ミルセン 69gおよび イソプレン 81gを用いた以外は比較例1と同様に処理して、重合体II 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃、重合反応中の最大反応温度は59℃であった。
【0082】
比較例3(重合体IIIの合成)
ミルセン 150gに代えて、ミルセン 69gおよびブタジエン 81gを用いた以外は比較例1と同様に処理して、重合体III 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃、重合反応中の最大反応温度は59℃であった。
【0083】
上記で得た重合体1〜3および重合体I〜IIIについて、重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnおよび共重合比(l)を、以下の方法に従い測定した。結果を、表1に示す。
【0084】
(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnの測定)
Mw、Mnは、東ソー(株)製GPC−8000シリーズの装置、検知器として示差屈折計を用いて測定し、標準ポリスチレンにより校正した。
【0085】
(分枝共役ジエン化合物(1)の共重合比(l))
該共重合比(l)(重量%)は、熱分解ガスクロマトグラフィー(PGC)による定法によって測定した。すなわち、精製した分枝共役ジエン化合物(1)についての検量線を作製し、PGCによって得られる分枝共役ジエン化合物(1)由来の熱分解物の面積比から共重合体中の分枝共役ジエン化合物(1)の重量%を算出した。熱分解クロマトグラフィーは(株)島津製作所製のガスクロマトグラフ質量分析計GCMS−QP5050Aと日本分析工業(株)製の熱分解装置JHP−330から構成されるシステムを使用した。
【0086】
【表1】
【0087】
表1に示すように、実施例1〜3の本発明の製造法では、初期反応温度と最大反応温度との差が8〜9℃と低く抑えられており、常圧型容器で、短時間で反応を完了することができた。これに対し、比較例1〜3の製造法では、初期反応温度と最大反応温度との差が33〜34℃にも達し、耐
圧型容器を使用する必要が生じ、かつ、長い反応時間を要した。
【0088】
2.ファルネセン共重合体
実施例4(重合体4の合成)
ミルセン150gに代えて、ファルネセン150gを用いた以外は実施例1と同様に処理して、重合体4 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃で、最大重合反応温度は34℃であった。
【0089】
実施例5(重合体5の合成)
ミルセン150gに代えて、ファルネセン69gおよびイソプレン81gを用いた以外は実施例1と同様に処理して、重合体5 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃で、最大重合反応温度は34℃であった。
【0090】
実施例6(重合体6の合成)
ミルセン150gに代えて、ファルネセン 69gおよびブタジエン81gを用いた以外は実施例1と同様に処理して、重合体6 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃で、最大重合反応温度は34℃であった。
【0091】
比較例4(重合体IVの合成)
ミルセン150gに代えて、ファルネセン150gを用いた以外は比較例1と同様に処理して、重合体IV 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃で、最大重合反応温度は59℃であった。
【0092】
比較例5(重合体Vの合成)
ミルセン150gに代えて、ファルネセン69gおよびイソプレン81gを用いた以外は比較例1と同様に処理して、重合体V 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃で、最大重合反応温度は61℃であった。
【0093】
比較例6(重合体VIの合成)
ミルセン150gに代えて、ファルネセン69gおよびブタジエン81gを用いた以外は比較例1と同様に処理して、重合体VI 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃で、最大重合反応温度は59℃であった。
【0094】
上記で得た重合体4〜6および重合体IV〜VIについて、重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnおよび共重合比(l)を、上記の方法に従い測定した。結果を、表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
表2に示すように、実施例4〜6の本発明の製造法では、初期反応温度と最大反応温度との差が9℃と低く抑えられており、常圧型容器で、短時間で反応を完了することができた。これに対し、比較例4〜6の製造法では、初期反応温度と最大反応温度との差が34〜36℃にも達し、耐
圧型容器を使用する必要が生じ、かつ、長い反応時間を要した。
【0097】
3.分枝共役ジエン単独重合体
実施例7(重合体7の合成)
すべてのモノマーをミルセン275gにした以外は実施例1と同様に処理して、重合体7 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃で、最大重合反応温度は34℃であった。
【0098】
実施例8(重合体8の合成)
すべてのモノマーをファルネセン275gにした以外は実施例1と同様に処理して、重合体8 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃で、最大重合反応温度は35℃であった。
【0099】
比較例7(重合体VIIの合成)
すべてのモノマーをミルセン275gにした以外は比較例1と同様に処理して、重合体VII 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃で、最大重合反応温度は57℃であった。
【0100】
比較例8 (重合体VIIIの合成)
すべてのモノマーをファルネセン275gにした以外は比較例1と同様に処理して、重合体VIII 275gを得た。重合転化率はほぼ100%であった。重合反応の初期反応温度は外部温度と同じ25℃で、最大重合反応温度は58℃であった。
【0101】
上記で得た重合体7〜8および重合体VII〜VIIIについて、重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnおよび共重合比(l)を、上記の方法に従い測定した。結果を、表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】
表3に示すように、実施例7〜8の本発明の製造法では、初期反応温度と最大反応温度との差が9〜10℃と低く抑えられており、常圧型容器で、短時間で反応を完了することができた。これに対し、比較例7〜8の製造法では、初期反応温度と最大反応温度との差が32〜33℃にも達し、耐
圧型容器を使用する必要が生じ、かつ、長い反応時間を要した。