(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パルス発生システムが第一の弁および第二の弁を含み、第一の弁および第二の弁がサイクルに従って硝子体切除器における圧力を上昇および減少させるように作動可能である、請求項1記載のシステム。
パルス発生システムが第一の二方弁および第二の二方弁を含み、第一の二方弁がガス源と、硝子体切除器とに連結され、第二の二方弁が硝子体切除器と、大気とに連結される、請求項1記載のシステム。
サイクル内の第一の時間に、第一の二方弁が硝子体切除器における圧力を最大圧力まで上昇させるに十分な時間である第一の期間の間、開放し、最大圧力が硝子体切除器の切除機構を閉鎖するに十分な第一の閾値圧力と実質的に等しく、サイクル内の第二の時間に、第二の二方弁が硝子体切除器における圧力を最小圧力まで減少させるに十分な時間である第二の期間の間、開放し、最小圧力が切除機構の開放ができるに十分な第二の閾値圧力と実質的に等しい、請求項3記載のシステム。
パルス発生システムが三方弁および二方弁を含み、三方弁がガス源と、硝子体切除器と、二方弁とに連結され、二方弁が三方弁と、大気とに連結される、請求項1記載のシステム。
サイクル内の第一の時間に、三方弁が硝子体切除器における圧力を最大圧力まで上昇させるに十分な時間である第一の期間の間、開放し、最大圧力が硝子体切除器の切除機構を閉鎖するに十分な第一の閾値圧力と実質的に等しく、サイクル内の第二の時間に、三方弁が閉鎖して硝子体切除器を二方弁に連結させ、二方弁が硝子体切除器における圧力を最小圧力まで減少させるに十分な時間である第二の期間の間、開放し、最小圧力が切除機構の開放ができるに十分な第二の閾値圧力と実質的に等しい、請求項6記載のシステム。
管類が所与の長さを有し、所与の長さの場合、管類が選択可能な切除速度の範囲で硝子体切除器を作動させることができる、空気流を最小化する選択された内径を有する、請求項9記載のシステム。
パルス発生システムが第一の弁および第二の弁を含み、第一の弁および第二の弁がサイクルに従って硝子体切除器における圧力を上昇および減少させるように作動可能である、請求項11記載の方法。
パルス発生システムが第一の二方弁および第二の二方弁を含み、第一の二方弁がガス源と、硝子体切除器とに連結され、第二の二方弁が硝子体切除器と、大気とに連結される、請求項11記載の方法。
パルス発生システムが三方弁および二方弁を包含し、三方弁がガス源と、硝子体切除器出力と、二方弁とに連結され、二方弁が三方弁と、大気とに連結される、請求項15記載の方法。
所与の長さを有する管類をさらに含み、所与の長さの場合、管類が選択可能な切除速度の範囲で硝子体切除器を作動させることができる、空気流を最小化する選択された内径を有する、請求項19記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の態様の硝子体切除システムの例を図示する。
【
図2】本発明の態様の硝子体切除システムのための空圧回路の例を図示する。
【
図3A】本発明の態様の硝子体切除システムによる硝子体切除器の駆動法の例を図示する。
【
図3B】本発明の態様の硝子体切除システムによる硝子体切除器の駆動法のもう一つの例を図示する。
【
図4】
図3Aの例に対応する切除サイクルの態様を図示する。
【
図5】
図3Aの例に対応する電子回路の例を図示する。
【
図6】本発明の態様の硝子体切除システムによる吸引の制御法の例を図示する。
【
図7】
図6の例に対応する電子回路の例を図示する。
【
図8】
図6の例に対応する電子回路の追加の例を図示する。
【
図9】本発明の態様の硝子体切除システムによる空気交換の制御法の例を図示する。
【
図10】本発明の態様の硝子体切除システムのための電力供給装置の例を図示する。
【
図11】本発明の態様の硝子体切除システムにおける吸引カセットのバイアルのための検知システムの例を図示する。
【
図12A】本発明の態様の硝子体切除システムにおける照明システムの例を図示する。
【
図12B】
図12Aの照明システムの例におけるLEDの相対スペクトル出力を図示する。
【
図12C】
図12Aの照明システムの例におけるフィルタを通したLED光の相対スペクトル出力を図示する。
【0011】
詳細な説明
本発明の態様は、広く多様な臨床環境における硝子体切除を行うことができるようにするシステムおよび方法を提供する。有利なことには、本発明の態様の実施形態は、通常では特別な病院施設のみで利用可能な、特別な電力およびガスシステムに依存しない。したがって、そのような実施形態は、制約を受けない電力および/またはガスを提供する特別なシステムへのアクセスを有することができない診療所においても具現化されることができる。
【0012】
本発明の態様は、硝子体切除器の駆動、吸引の提供および/または硝子体切除システム内の流体−空気交換の処理のためのシステムおよび方法を提供する。
図1を参照して、硝子体切除システムの例100を図示する。硝子体切除システム100のコンポーネントは、ハウジング102によって画定される装置に組み立てられている。
図1に示すように、ハウジング102は、硝子体切除システム100をより容易に携帯可能にするためのハンドル104を包含する。有利なことには、硝子体切除システム100は、携帯性に適したサイズに作られ、特定の場所または施設に制限されない。例えば、ハウジング102は、幅が約0.25m(10インチ)、高さが約0.23m(9インチ)、奥行が約0.23m(9インチ)、重量が約5.5kg(12ポンド)であることができる。
【0013】
操作盤106、例えば、調節可能なノブ、ボタン、スイッチなどは、ハウジング102の外装上に提供される。以下に記載するように、操作盤106は、硝子体切除システム100の項目、例えば、硝子体切除器の切除速度、吸引レベル、照明量などを制御する。
【0014】
加えて、硝子体切除器接続108、例えば、ルアー接続は、ハウジング102の外装上に提供され、硝子体切除器とハウジング102内のコンポーネントとを脱着可能に連結する。空気交換接続110、例えば、ルアー接続も、ハウジング102の外装上に提供され、空気交換管類セットとハウジング102内のコンポーネントとを脱着可能に連結する。また、吸引カセット111は、ハウジング102によって画定されたカセット容器103に脱着可能に受け取られ、ハウジング102内のコンポーネントに、例えば、ルアーを介して連結される。さらに以下に記載するように、吸引カセット111は、吸引カセット接続109を介して吸引真空を提供し、吸引した硝子体ゲルおよび生理食塩水を受け取る。さらに、ガス源112は、ガス源コネクタを介してハウジング102内のコンポーネントに脱着可能に連結される。
【0015】
図2を参照して、硝子体切除システム100のための空圧回路の例を図示する。硝子体切除システム100は、低圧ガス駆動の硝子体切除器210を空圧で駆動する。硝子体切除システム100の操作者は、操作盤106を介して切除/吸引モードを起動し、硝子体切除器210を作動させる。ガス源112は、硝子体切除器210を駆動するための入力ガスを提供する。入力ガスは、ガス源112においてより低い入力圧力、例えば、約80psigに調整され、圧力トランスデューサ204によって監視される。
【0016】
パルス発生システム206は、ガス源112からのガスを受け取り、硝子体切除器210を駆動するガス圧のパルスを発生させる。パルス発生システム206内のガス圧は、さらに、より低い圧力、例えば、約16psigに調整される。ガスのパルスにより、硝子体切除器210の切除機構は、サイクルに従い開放および閉鎖する。硝子体切除器210が眼に当てられているとき、切除機構の開放/閉鎖動作によって硝子体ゲルを切除する。パルス発生システム206がガスのパルスを生む速度は、操作者が操作盤106を介して硝子体切除器210のために選択する切除速度に応じて決まる。一部の実施形態では、例えば、切除速度は、約60毎分切除(cpm)〜約2500cpmの範囲で選択することができる。
【0017】
硝子体切除器の管類208は、
図1に示す硝子体切除器接続108と硝子体切除器210との間に伸びている。硝子体切除器の管類208は、第一の管208aを含む。硝子体切除器接続108は、第一の管208aと、ハウジング102に配置されたパルス発生システム206とを連結する。第一の管208aは、パルス発生システム206からの圧力パルスを硝子体切除器210に運ぶ。
【0018】
硝子体切除器の管類208は、第二の管208bも含む。吸引カセット接続109は、第二の管208bと、凹部103に配置された吸引カセット111とを連結する。第二の管208bは、硝子体切除器210に真空を提供する。吸引カセット111は、真空源222に脱着可能に連結され、第二の管208bを介して硝子体切除器210から受け取った吸引物を収集する。
【0019】
硝子体切除器の管類208は、例えば、約1m〜約2mの長さを有するツインボアPVC管類を含むことができる。長さが約1mの場合、各管208aおよびbは、約0.81mm(0.032インチ)の内径および約2.4mm(0.094インチ)の外径を有することができる。長さが約2mの場合、各管208aおよびbは、約1.6mm(0.062インチ)の内径および約3.2mm(0.125インチ)の外径を有することができる。管類の長さは、患者とハウジング102との間の所望の距離によってある程度決定される。換言すると、管類の長さにより、操作者が硝子体切除器210をハウジング102から所望の距離に離れた所に位置付けられた患者まで伸ばすことができる。加えて、管類の長さには十分なたるみが提供され、それにより、操作者は、大きな制限なく、空間内において硝子体切除器210を操作することができる。
【0020】
硝子体切除器の管類208は、医療グレードの材料から形成された、数多くの標準サイズの管類から選択することができる。特に、数多くの選択肢の中から、様々な長さ、内径、外径およびデュロメータの管類が硝子体切除システム100のコンポーネント、例えば、空圧回路コンポーネントの各種機器構成におけるそれらの性能について判断されることができる。硝子体切除器の管類108は、要求された切除速度で硝子体切除器210を駆動するための十分なガス流を提供する。最高切除速度のとき、硝子体切除器210につながる硝子体切除器の管類208内で最高ガス流が要求される。
【0021】
ガス源112は、ピンチ弁駆動212を駆動するための入力ガスも提供する。ピンチ弁駆動212は、次に、処置中に眼からの吸引を制御するピンチ弁218を作動させる。ピンチ弁218の空気シリンダーは、硝子体切除器の管類208の第二の管208bを閉鎖して流れをブロックする。第二の管208bを通る吸引をできるようにするために、ピンチ弁218に圧力を印加して空気シリンダーを後退させる。切除/吸引モードが起動しているとき、または吸引カセット111がないとき、ピンチ弁218に圧力が印加される。切除/吸引モードが停止すると、ピンチ弁218から圧力が解放され、ピンチ弁218が第二の管208bを挟み、閉鎖する。切除/吸引モードが停止すると、ピンチ弁218の閉塞を遅らせることにより、第二の管208bを大気に通気することができるようになる。一部の実施形態では、ピンチ弁218は、吸引カセット111の面に押し付けて第二の管208bを挟む。
【0022】
前に記載したように、吸引カセット111は、硝子体切除器の管類208の第二の管208bと、真空源222とに連結される。真空源222からの吸引カセット111内の真空により、硝子体切除器210から吸引物を、第二の管208bを介して吸引カセット111内のバイアルに抜き出す。吸引カセット111内の真空レベルおよび吸引レベルは、操作盤106が提供する調節可能な真空制御221によって制御される。切除/吸引モードが停止すると、ピンチ弁218の閉塞を遅らせることにより、吸引カセット111を大気に通気することもできるようになる。ピンチ弁218が閉鎖しているとき、吸引カセット111内の真空は、真空制御221によって決定されたレベルに戻る。吸引カセット111の真空レベルは、圧力トランスデューサ228によって監視される。作動中、吸引カセット111は、患者の眼と実質的に水平に位置付けされ、それにより、吸引カセット111と眼との間の流体柱によって引き起こされる吸引摂動を最小化することができる。
【0023】
吸引カセット111のバイアルは、例えば、約25ccの容積を有することができる。バイアルに受け取られる吸引物の容積は、
図11に示すセンサシステム1100を用いて監視することができる。バイアルが閾値容積の吸引物を収容しているかどうかの検出に加えて、センサシステム1100は、吸引カセット111が硝子体切除システム100にないかどうかも検出する。センサシステム1100は、バイアルを通る二つの別個の赤外線ビームを放出するように配置された、一対の赤外発光ダイオード(LED)1104aおよびbを含む。一対のトランジスタ1106aおよびbは、バイアルを通して放出された赤外線ビームを受け取るように、対応して位置付けられる。硝子体切除システム100に吸引カセット111がないとき、赤外線ビームはバイアルを通過せず、したがって、実質的に散乱を受けない。実質的に散乱がないため、トランジスタ1106aおよびbに至る赤外線エネルギーは、実質的に最大に等しい。この最大レベルの赤外線エネルギーに対応する「カセットなし」閾値が設定される。トランジスタ1106aおよびbの両方が「カセットなし」閾値よりも大きい赤外線エネルギーを受け取るとき、吸引カセット111がないと見なされる。
【0024】
吸引カセット111が硝子体切除システム200に据え付けられ、存在しているとき、赤外線ビームは、バイアルに起因するいくらかの散乱を受け、トランジスタ1106aおよびbに至る赤外線エネルギー量は、「カセットなし」閾値より下のレベルに減少する。バイアルが吸引物で満たされるにつれ、LED1104aおよびbは、バイアルが吸引物で実質的に満杯になっているときに赤外線ビームが吸引物を通過しなければならない位置に位置付けられる。赤外線ビームが吸引物を通過するとき、追加の散乱を受け、トランジスタ1106aおよびbに至る赤外線エネルギーはさらに減少する。この減少したレベルのエネルギーに対応する「カセット満杯」閾値が決定される。トランジスタ1106aおよびbのどちらか一方が「カセット満杯」閾値よりも低い赤外線エネルギーを受け取ったとき、バイアルが満杯であると見なされる。概して、トランジスタ1106aおよびbによって受け取られる信号の強度は、吸引カセット111が硝子体切除システム100に存在していないかどうか、または吸引物の容積が一定の容積に至ったかどうかを表す。バイアルが満杯であることを硝子体切除システム100が検出した後、吸引カセット200が取り外されたことを検出したとき、または操作盤106を介して電源/リセット機能によって硝子体切除システム100をリセットするとき、硝子体切除システム100をリセットすることができる。
【0025】
再び
図2を参照すると、硝子体切除システム200は、真空源222を介して内部に真空を発生させる。最大真空は、例えば、(海面位で)約500mmHg〜約700mmHgであることができる。検出したエラー状態に起因して硝子体切除システム100が止まっている場合、例えば、入力ガス圧もしくはバッテリ充電レベルに問題がある場合、または吸引カセット111がない場合、真空源222は作動しない。
【0026】
真空源222は、真空アキュムレータ224に連結している。真空アキュムレータ224は、システムの真空を蓄え、真空源222が作動していないときでさえ、吸引カセット111内の真空を維持する容量を有する。アキュムレータは、例えば、約250ccの容積を有することができる。真空源222が作動しているとき、真空アキュムレータ224は、変動をならすこともする。真空アキュムレータ224内の真空レベルは、圧力トランスデューサ226を用いて監視される。
【0027】
硝子体切除システム100は、圧力源230を介して内部に低圧空気を発生させて空気交換を提供する。空気交換は、処置中に洗浄ボトル内の圧力を調節することによって、注入流体の注入圧を制御する。空気交換は、空気−流体交換中に眼に低圧空気を送り込むこともできる。低圧空気は、アキュムレータ232に導入される。アキュムレータ232は、例えば、約5psigの圧力を蓄える。アキュムレータ232は、圧力源230が作動しているとき、変動をならすこともする。低圧力源230がアキュムレータ232内に要求される圧力を提供すると、アキュムレータ232は、圧力源230を補助真空源として具現化されることをできるようにする容量を有する。圧力源230からの出力圧力は、操作盤106を用いて提供される空気交換制御234によって決定される。切除/吸引モードが起動もしくは停止しているかどうか、またはエラー状態にあるかどうかにかかわらず、空気交換を維持することができる。有利なことには、低圧空気の内部発生により、硝子体切除システム100は、任意の特別な外部空気圧源とは無関係に作動することができる。
【0028】
一つの実施形態では、生理食塩水を収容する潅注流体ボトルは、空気交換管セットを介して空気交換接続110に接続される。空気交換管セットは、眼科での外科手術中に強制空気または流体を送り込むように意図されたPVC管類セットである。空気交換管セットは、ボトル内に挿入するための3チャネル点滴用スパイク針を含む。三方スパイク針は、生理食塩水を通じて圧力源230からの空気を送り込むように設計され、一方、デュアルPVC管類が空気および生理食塩水を投与する。デュアルPVC管類は、適切な接続のための三方活栓を有する。洗浄流体ボトルは、眼と実質的に水平に位置付けることができる。空気交換管セットからのスパイク針はボトルに連結され、注入カニューレは空気交換管セットの他の端部に連結される。空気交換制御234は、所望の注入圧を提供するように設定される。
【0029】
図3A〜B、4および5は、硝子体切除システム100による硝子体切除器210の駆動法およびピンチ弁218の制御法の例を図示する。ガス圧力源112は、例えば、約900psigの圧力の二酸化炭素(CO
2)を収容する従来のタンク312aを含む。ガスタンク312aは、ハウジング102によって脱着可能に受け取られ、しっかり着座するまでガス源コネクタにねじ込まれる。
【0030】
硝子体切除システム100へのガスの供給に従来のタンクを採用することにより、通常では特別な病院施設で利用可能な、特別なガス供給システムへのアクセスがなくとも、硝子体切除システム100を作動させることができる。硝子体切除システム100は、例えば、サイズが12g〜33gの範囲のガスシリンダーを受容することができる。そのようなサイズのガスシリンダーは、硝子体切除システム100の携帯性を高める。その上、標準のより小さい規格品のガスタンクとの互換性により、硝子体切除システム100を使用する利便性および費用対効果が高まる。また、より小さいサイズおよび相対的に低い費用のガスシリンダーにより、各処置に使用される利便性のよい使い捨て可能なパッケージにそれを包含することができる。
【0031】
ガスタンク312a内の圧力は、例えば、タンクに取り付けられた高圧レギュレータ312bを使用して、約80psigの圧力に調整される。高圧レギュレータ312b内部への液体CO
2侵入からの保護は、ガス源コネクタと高圧レギュレータ312bとの間のアダプタによって提供される。圧力トランスデューサ204を使用して、高圧レギュレータ312bからの出力を監視する。圧力が最小閾値、例えば、70psigより下に降下した場合、硝子体切除システム100はシャットオフする。
【0032】
低圧レギュレータ313は、ガス圧を、例えば、約16psigに減少させる。パルス発生システム206は、弁の組み合わせ314を含む。低圧レギュレータ313からのガスは、弁の組み合わせ314に導入され、硝子体切除器210を駆動するための圧力パルスを発生させる。圧力パルスにより硝子体切除器210における圧力がサイクルに従い変動し、硝子体切除器210における様々な圧力により硝子体切除器210の切除機構が開放および閉鎖する。
【0033】
図3Aの実施形態の例に示すように、弁の組み合わせ314は、二方加圧弁314aおよび二方排気弁314bを包含することができる。加圧弁314aは、低圧レギュレータ313と硝子体切除器210とに連結される。切除サイクルの初めに、加圧弁314aは、約6msの間、開放し、硝子体切除器210における圧力を最大約14psigに上昇させる。
図4に示す圧力曲線400は、切除サイクル中の硝子体切除器210における圧力を時間の関数として図示する。
図4に示す対応する曲線410は、切除サイクル内の期間412の間、加圧弁314aが開放したままである場合を表す。最大圧力は、ピーク402として示される。
【0034】
排気弁314bは、硝子体切除器210と、マフラーを通して大気とに連結される。切除サイクル中、排気弁314bは、約18msの間、開放し、硝子体切除器210における圧力を最大圧力から最小圧力である約4psigに減少させる。
図4に示す曲線420は、切除サイクル内の期間422の間、排気弁314bが開放したままである場合を表す。曲線400、410および420を総合し、硝子体切除器210における圧力がいかに加圧弁314aの開放/閉鎖および排気弁314bの開放/閉鎖に呼応しているかを図示する。最小圧力を、谷404として
図4の圧力曲線400に示す。
図4に図示するように、弁314aおよびbの開放および閉鎖は、所望の圧力プロフィール、例えば、圧力曲線400を達成するようにタイミングを合わせる。ある種のタイプの弁を用いると、弁314aおよびbが開放する時間およびやり方は、弁314aおよびbが閉鎖する時間およびやり方とは異なることができる。したがって、
図4のこの非対称挙動の理由を説明すると、例えば、加圧弁314aを閉鎖する時の時間と、排気弁314bを開放する時の時間との間に約8msの遅れがある。
【0035】
あるいは、
図3Bの実施形態に示すように、弁の組み合わせ314は、三方加圧弁314cおよび二方排気弁314dを包含する。加圧弁314cは、低圧レギュレータ313と、硝子体切除器210と、排気弁314dとに連結される。二方弁314dは、加圧弁314cと、マフラーを通して大気とに連結される。切除サイクルの初めに、加圧弁314aは、約6msの間、開放し、硝子体切除器210における圧力を最大約14psigに上昇させる。加圧弁314cが閉鎖すると、硝子体切除器210は、加圧弁314cを介して排気弁314dに連結される。したがって、排気弁314dは、加圧弁314cが閉鎖するのと同時に開放する。排気弁314dは、硝子体切除器210をマフラーを介して大気に連結する。排気弁314dは、約18msの間、開放したままであり、硝子体切除器210における圧力を最大から最小である約4psigに減少させる。
【0036】
概して、
図3A〜Bに示すパルス発生システム206の実施形態は、第一の弁および第二の弁を包含し、第一の弁および第二の弁が硝子体切除器210を駆動するサイクルに従って硝子体切除器210における圧力を上昇および減少させるように作動可能である。サイクル内の第一の時間に、パルス発生システム206は、硝子体切除器210における圧力を最大圧力まで上昇させる。サイクル内の第二の時間に、パルス発生システムム206は、硝子体切除器210における圧力を常圧よりも大きい最小圧力まで減少させる。硝子体切除器210からの、および硝子体切除器の管類208内のガスを圧力が常圧に至るまで排気する代わりに、硝子体切除器210における、および硝子体切除器の管類208内の圧力を常圧よりも大きい最小圧力に維持する。その結果として、切除サイクル中に圧力を最大圧力まで上昇させるためには、ガス源112は、硝子体切除器210における、および硝子体切除器の管類208内の圧力が常圧に降下することを許容する場合に要求されるであろう量よりも少ないガスの供給を要求される。それゆえに、実施形態は、切除サイクル中にガスをより効率的に使用し、ガス源112からの供給ガスの消耗がより遅くなる。
【0037】
硝子体切除システム100によるガスの効率的な使用は、硝子体切除システムが、例えば、12g〜33gのサイズのガスタンクとともに採用される場合に特に有利である。3A〜Bに示す実施形態は、システム内のガス圧が常圧よりも大きい最小閾値以上に保たれているとき、硝子体切除器の作動を約6分から約19分間提供することができる。作動時間は、硝子体切除器210の切除速度に応じて決まる。例えば、16gのシリンダータンクは、硝子体切除器210が1200cpmで作動しているとき、硝子体切除器の作動を約8〜約9分間提供することができる。当然ながら、一部の実施形態では、利用可能な場合に特別なガス供給システムを用いて硝子体切除システム100を使用できるようにするためにアダプタが利用可能である。特別なガス供給システムは、効果的に、硝子体切除システム100の作動時間を無制限に伸ばす。
【0038】
前に記載した実施形態は、硝子体切除器210における圧力を最大約14psigに上昇させ、圧力を最小圧力である約4psigに減少させるが、切除サイクル中の最大および最小圧力は、他の実施形態では異なることもできる。最大および最小圧力は、硝子体切除器210を作動させるのに要求される圧力に従って選択される。例えば、切除サイクル中の最大圧力は、硝子体切除器210の切除機構を完全に閉鎖し、要求された切除速度を達成するに十分な圧力にする。より速い切除速度は、硝子体切除器210の切除機構におけるより大きいばね力、およびそれに対応したより高い印加圧力によって達成することができる。ガスの効率的な使用を促進するために、最大圧力は、好ましくは、切除機構を完全に閉鎖するのに要求される最低の圧力である。切除機構を完全に閉鎖するのに要求される圧力は、ある程度は、硝子体切除器210の切除機構に関係するばね力のみならず、摩擦に打ち勝つために要求される力にも応じて決まる。
【0039】
その一方で、切除サイクル中の最小圧力は、切除機構を完全に開放させるために十分に低くする。ガスの効率的な使用をさらに促進するためには、最小圧力は、好ましくは、硝子体切除器210の切除機構の完全な開放を依然として確実にすることが可能な限り高い圧力である。概して、上に記載した弁の組み合わせ314を採用する実施形態は、切除サイクル中の最大圧力と最小圧力との差異を最小化することによって、ガスのより効率的な使用を達成する。一部の実施形態では、最大効率は、圧力の差異が約8psig〜約10psigであるときに達成される。
【0040】
加圧弁および排気弁は、最大圧力および最小圧力をそれぞれ達成するのに必要な期間の間、開放される。最小および最大圧力のみならずその期間も、弁の組み合わせ314および硝子体切除器210の構造および機器構成に応じて決まる。通常、加圧弁が圧力を最大まで上昇させるのにかかる時間よりも、排気弁が圧力を最小に減少させるのにより時間がかかるため、加圧弁は、切除サイクルの時間の半分よりも長く開放したままとはならない。硝子体切除システム100内の空気流を最適化するために、パルス発生システム206は、加圧弁を開放するのに要求される時間のうちの最短時間中に最大切除速度を提供するに十分な最大圧力を送り込むように調節することができる。
【0041】
ガス源112によって提供されるガスのより効率的な使用の達成および作動時間を伸ばすことに加えて、切除サイクル中の最大圧力と最小圧力との差異を最小化する実施形態は、追加の効果も提供することが見出された。とりわけ、実施形態は、硝子体切除システム100の作動に関係するノイズを減少させる。ノイズは、処置中の注意をそらすものである。従来では、硝子体切除システムにマフラーを使用してノイズを減少させていたが、一般的に、硝子体切除システム100のパルシングの性質に起因して、ノイズを消すことは困難である。しかしながら、先に記載したように最小および最大圧力を変化させることにより、各切除サイクル中に移動する空気がより少ないため、ノイズのより大きな減少がもたらされる。
【0042】
さらに、実施形態は、硝子体切除器の管類208内のガス圧が引き起こす剛性の量も減少させる。剛性は、硝子体切除器の管類208内のより大きな平均作動圧力に伴い増大する。しかしながら、硝子体切除器の管類208がより柔軟なままであるとき、硝子体切除器210の操作は、より容易である。
【0043】
加えて、最大圧力と最小圧力との差異がより大きく、硝子体切除器の管類208がより堅いとき、硝子体切除器の管類208は、上下動または振動し、硝子体切除器210を保持する操作者の手に乱れを伝えるより大きな傾向を有する。それゆえに、硝子体切除器の管類208の剛性の減少は、より大きな触覚および硝子体切除器210のより安定した制御を操作者に与える。
【0044】
前に述べたように、硝子体切除器の管類108は、要求された切除速度で硝子体切除器210を駆動するための十分なガス流を提供することが必要である。しかしながら、硝子体切除システム100は、ガス源112からのガスの消費も最小化する。より大きな内径を持つより長い管は、より多いガス流量を提供し、結果としてより多いガスを消費する。逆に、より小さい内径を持つより短い管は、より少ないガス流量を提供し、結果としてより少ないガスを消費する。前に述べたように、硝子体切除器の管類208の長さは、実用性を検討して決定される。例えば、硝子体切除器の管類208の長さは、1メートルよりも短くない。したがって、所与の長さを持つ硝子体切除器の管類208の場合、ガス流が要求された切除速度で硝子体切除器210を駆動できなくなる点まで内径を減少させることができる。ガス消費の最小化に加えて、より小さい内径は、結果として硝子体切除器の管類210の剛性をより小さくする。
【0045】
再び
図3Bを参照すると、ピンチ弁駆動212は、弁の組み合わせ322も採用して、ピンチ弁218を駆動する圧力を制御する。弁の組み合わせ322は、加圧弁322aおよび排気弁322bを包含する。加圧弁322aは、低圧レギュレータ313と、ピンチ弁218のための空気シリンダーとに接続される。ピンチ弁218の空気シリンダーは、硝子体切除器の管類208の第二の(吸引)管208bの閉鎖を助ける、逆作動式(ばねが伸びた)空気シリンダーであることができる。作動中、加圧弁322aは、例えば、約100msの間、開放し、ピンチ弁218を開放する。排気弁322bは、ピンチ弁218の空気シリンダーと、マフラーを通して大気とに接続される。排気弁322bは、例えば、約100msの間、開放し、ピンチ弁218を閉鎖する。
【0046】
図5は、硝子体切除器210を駆動し、
図3Aに示す弁の組み合わせ314を採用する硝子体切除システム100のピンチ弁218を制御するための電子回路の例を図示する。硝子体切除器210は、操作盤106に提供される、照明付きトグルスイッチ502および調節可能なポテンショメータ522によって制御される。調節可能なポテンショメータ522は、硝子体切除器210の切除速度を測定する。スイッチ502は、切除/吸引モードの起動と停止とを交互に変え、それぞれが硝子体切除器210を用いる切除を有効または無効にするように作動する。切除/吸引モードが停止すると、吸引システムも、ピンチ弁218を閉鎖して大気に戻る。スイッチ502は、赤色/緑色LEDの組み合わせ504で照明される。LEDは、利用可能なガス圧が最小閾値、例えば、約70psigより下に下がったときに赤色に照明される。LEDは、切除/吸引モードが起動しているときに緑色に照明される。LEDは、切除/吸引モードが停止しているときには照明されない。
【0047】
スイッチ502が切り替えられて切除/吸引モードを起動すると、硝子体切除システム100の作動が有効になる。硝子体切除システム100の実施形態はマイクロプロセッサを採用することができるものの、
図5に示す実施形態は、個別の集積回路(IC)機能ブロック(ロジックゲート、フリップフロップ、マルチバイブレータなど)を採用する。とりわけ、硝子体切除システム100は、切除サイクルに従って硝子体切除器210の作動を決定するマルチバイブレータチェーン506を採用する。したがって、スイッチ502がONに切り替えられると、スイッチプルアップレジスタ504が接地し、RESET信号がマルチバイブレータチェーン506から除去される。単安定マルチバイブレータ506aをトリガして二方加圧弁314aを開放する。単安定マルチバイブレータ506aをトリガすると、硝子体切除器210における圧力が増大し、切除機構を閉鎖する。要求される時間量、例えば、約6msの間、加圧弁314aを閉鎖した後、次の単安定マルチバイブレータ506bがトリガされる。前に記載したように、加圧弁314aを閉鎖するときの時間と、排気弁314bを開放するときの時間との間に、例えば、約8msの遅れがある。遅れ時間が過ぎた後、チェーン506における最終の単安定マルチバイブレータ506cがトリガされる。単安定マルチバイブレータ506cは、二方排気弁314bを開放して、硝子体切除器210の切除機構を開放させる。要求される時間量、例えば、約18msの後、排気弁314bは、閉鎖する。スイッチ502によって切除/吸引モードを起動したとき、非安定マルチバイブレータ506dは、硝子体切除器210のために選択された切除速度で作動する。非安定マルチバイブレータ506dは、加圧弁314aを制御する単安定マルチバイブレータ506aをトリガして、切除サイクルを繰り返す。
【0048】
処置中、硝子体切除器210の先端は、除去を要する硝子体ゲルの領域に設置される。切除/吸引モードは、トグルスイッチ502またはフットペダルを通じて起動することができる。切除/吸引モードが起動しているとき、硝子体切除システム100は、調節可能な切除速度制御522および調節可能な真空制御221によって決定されたレベルで切除および吸引する。硝子体ゲルの所望の容積を除去すると、もう一度トグルスイッチ502を押すか、フットペダルを放すことによって切除/吸引モードを停止する。
【0049】
切除/吸引モードが停止すると、硝子体切除器210の切除機構は直ちに止まる。加えて、排気弁314bを制御する単安定マルチバイブレータ506cがトリガされ、硝子体切除器210の切除機構を強制的に開放する。
【0050】
図6は、硝子体切除システム100による吸引の制御法の例を図示する。真空源222は、真空ポンプ602、例えば、6VDCダイヤフラムポンプを包含する。真空ポンプ602の排気は、マフラーに接続される。真空アキュムレータ224における真空が真空圧力起動閾値より下に降下すると、真空ポンプ602が起動する。真空圧力起動閾値は、例えば、調節可能な真空制御221によって指定された吸引レベルを超える圧力約25mmHgに設定される。真空アキュムレータ224内の真空レベルは、圧力トランスデューサ226によって監視される。
図7の電子回路に示すように、センサ702によって測定された真空レベルは、真空圧力起動閾値と比較される。センサ702によって測定された真空レベルは、真空圧力停止閾値とも比較される。アキュムレータ内の真空が真空圧力停止閾値に達すると(またはエラー状態が起きると)、真空ポンプ702は止まる。
【0051】
図6にさらに図示するように、比例弁612aおよび二方弁612bは、吸引カセット111内の真空レベルを制御する。比例弁612aは、真空アキュムレータ224と、(疎水性フィルタ616を通して)吸引カセット111とに連結される。比例弁612は、吸引カセット111内の圧力を真空制御221によって決定された値まで低めるように作動する。比例弁612aは、オーバーシュートおよび真空反応時間を最小化する量だけ開放される。吸引カセット620の真空レベルは、圧力トランスデューサ228によって監視される。二方弁612bは、吸引カセット111と、大気とに連結される。二方弁612bは、吸引カセット111内の圧力を上昇させるように作動する。
【0052】
図8は、硝子体切除システム100における吸引を制御するための電子回路の例を図示する。操作者は、ポテンショメータ802またはリニアフットペダル804を包む調節可能な真空制御221によって吸引レベルを制御する。調節によって、真空を、例えば、約25mmHg〜約500mmHgに設定することができる。設定値は、吸引カセット111に連結された真空センサ806によって比較される。真空センサ806は、真空アキュムレータ224の真空を監視するセンサ702と同様のものであることができる。両方の場合においても、センサは、15psig(約775.7mmHg)と相等しい4VDC範囲を有する。
【0053】
吸引カセット111内の真空レベルが操作者によって設定された吸引レベルよりも小さい(かつエラー状態またはカセットの通気が進行中でない)場合、二方弁612aは、開放して、吸引カセット111を真空アキュムレータ224に連結する。吸引カセット111は、真空アキュムレータ224に空気を通過させて、吸引カセット111内の圧力を減少させる。吸引カセット111内の真空レベルがユーザによって設定された吸引レベルと一致すると、二方弁612aは、閉鎖して、真空アキュムレータ224から吸引カセット111を切り離す。
【0054】
吸引カセット111内の真空レベルが吸引カセットの真空閾値よりも高いとき、吸引カセット111は、大気に連結される。吸引カセット111内の真空レベルが吸引カセットの真空閾値よりも大きいか、吸引カセット111の通気が進行中である場合、二方弁612bによって吸引カセット111が大気圧に到達することができる。
【0055】
切除/吸引モードが停止するか、警報状態が起きたとき、第二の機構は、吸引カセット111の大気への通気を制御する。この場合、Dラッチは、比例弁612aに吸引カセット111と真空アキュムレータ224との間の接続を閉鎖させ、一方、二方弁612bは吸引カセット111を大気に接続する。吸引カセット111が「カセット大気圧」閾値に達すると、Dラッチはリセットされ、ピンチ弁218は管208bを挟み、閉鎖する。Dラッチをリセットすることにより、比例弁612aは吸引カセット111を真空アキュムレータ224に連結させることができるようにもなり、その後も操作者によって設定された真空レベルで吸引カセット111を駆動できるようにする。
【0056】
切除/吸引モードが起動している(かつエラー状態が存在していない)とき、ピンチ弁218は、開放して、正常な吸引を行う。吸引カセット111を硝子体切除システム100から取り外して取り換えのカセットを据え付ける場合にも、ピンチ弁218は開放する。
【0057】
図9は、硝子体切除システム100による空気交換の処理法の例を図示する。圧力源230は、圧力/真空ポンプ902、例えば、6VDCダイヤフラムポンプを包含する。二つの三方弁904aおよびbを通じて、圧力/真空ポンプ902を吸引機能のみならず空気交換機能のためにも採用することができる。三方弁904aおよびbは、それらが閉鎖しているときに圧力/真空ポンプ902が空気交換機能のために圧力を送り込むように構成される。逆に、三方弁904aおよびbが開放しているとき、圧力/真空ポンプ902は、吸引機能のための真空を送り込む。空気交換機能が優先される。圧力が閾値、例えば、約5psigより下に降下すると、圧力/真空ポンプ902は、アキュムレータ232における圧力を増大するように作動する。アキュムレータ232における圧力は、圧力トランスデューサ236によって監視される。
【0058】
図9にさらに図示するように、比例弁912aおよび二方弁912bは、空気交換圧力の出力レベルを制御するように採用される。比例弁912aは、アキュムレータ232と、(疎水性フィルタを通して)出力110とに連結される。比例弁912aは、出力圧力を空気交換制御234によって設定された値まで上昇させるように作動する。出力圧力が設定された値に至ると、比例弁912は閉鎖するか、その開放が不変の流れ負荷に一致するように調節される。比例弁912aが開放する量は、オーバーシュートおよび圧力反応時間を最小化するように制御される。出力圧力レベルは、圧力トランスデューサ916によって監視される。その一方で、二方弁912bは、出力914と、大気とに連結され、出力圧力を低めるように作動する。
【0059】
図10を参照すると、硝子体切除システム100は、充電式バッテリ1002を採用する。硝子体切除システム100は、外部電源に連結され、充電式バッテリ1002を再充電することができる。しかしながら、硝子体切除システム100は、その使用のために完全に充電する必要はない。外部電源に接続されるとき、硝子体切除システム100は、充電式バッテリ1002を再充電しながら、外部電源からの電力によって作動する。有利なことには、充電式バッテリ1002によって、硝子体切除システム100は、外部電源へのアクセスがなくとも作動することができる。充電式バッテリ1002は、硝子体切除システム100の携帯性を高める。その上、充電式バッテリ1002は、好都合には、硝子体切除システムを従来の壁電気コンセントに接続することによって再充電することができる。
【0060】
バッテリ1002を充電するために硝子体切除システム100をオンにすることも必要ではない。しかしながら、硝子体切除システム100をオンにした場合、電源表示灯は、バッテリ充電状態を示す。電源表示灯は、緑色および赤色LEDを介して照明される。電源表示灯が赤色に照明される場合、処置を完了するに十分な充電がないことがある。一部の場合では、消耗したバッテリ1002に起因して電源表示灯は照明されることができない。三つのコンパレータ1004a〜cを利用して、バッテリ持続時間の視覚的表示を提供する。第一のコンパレータ1004aは、推定バッテリ持続時間が30分を上回るかどうかを決定する。第二のコンパレータ1004bは、推定バッテリ持続時間が20分を上回るかどうかを決定する。これらの二つのコンパレータ出力は、硝子体切除システム100が充電式バッテリ1002によって作動しているとき有効で、充電式バッテリ1002を充電している一定の期間中選択的に有効な、透明ラッチ1006を通過する。ラッチ1006からの出力は、バッテリ電圧が30分を上回った(緑色の電源表示灯)ときに強制的にリセットされるか、バッテリ電圧が20分以下に下がった(赤色の電源表示灯)ときに強制的にトリガされる、非安定マルチバイブレータ1008に連結される。20分〜30分の間、マルチバイブレータ1008は、60Hzの速度で作動する(赤色と緑色とを組み合わせて黄色の電源表示灯を提供する)ことができる。第三のコンパレータ1004cは、推定バッテリ持続時間が3分より短いかどうかを決定し、この場合、操作者に警告するための警報が提供される。
【0061】
硝子体切除システム100の一部のコンポーネントは再利用可能なものであることができるが、他のコンポーネント、例えば、ガスシリンダータンク202a、硝子体切除器210、硝子体切除器の管類208、吸引カセット111、潅注管類などは、使い捨て可能な、一回分の処置で使用するために提供されるものであることができる。使い捨て可能なコンポーネントは、好都合なことには、一回分の使い捨て可能なパック、例えば、Tyvek(登録商標)材料を用いたものにパッケージされることができる。硝子体切除器210、硝子体切除器の管類208、吸引カセット111および潅注管類は、他の汚染廃棄物と同一のやり方で処分される。
【0062】
硝子体切除システム100は、使い捨て可能な眼内照明器も包含できる。照明レベルは、操作盤106によって所望の量に調節できる。眼内照明器のプローブが眼内にないときには光出力が減少し、眼内照明器のファイバが損傷する可能性を減少させ、バッテリ寿命を長くする。
【0063】
図12Aは、出力コネクタ容器1202を介して眼内照明器に光を提供するための照明システムの例1200を図示する。出力コネクタ容器は、光ファイバコネクタを受容する。一つの実施形態では、例えば、光ファイバコネクタは、約6.35cm(2.5インチ)の長さを有する(直径が約1.1mm(0.42インチ)の)19ゲージ皮下注射針から作成することができる。照明システム1200内の光源は、LED1205を含む。
図12Aに示すように、LED1205は、プリント基板(PCB)1203上に提供される。例えば、LED1205は、光の一部分を、白色に見えるより長い波長の広帯域光に変換する蛍光体コーティングを持つ青紫色LED(約435nm)であることができる。LED1205の発光部分は、約2mm
2であることができる。
図12Bは、LED1205の相対スペクトル出力を図示する。
【0064】
LED1205は、ダイオード面を保護するものの、LED1205の放射パターンに有意な影響を及ぼさない、平らな窓を包含する。レンズ1206は、LED1205からの光を集める。レンズ1206は、例えば、0.63の開口数(NA)を持つプラスチックハイブリッドの非球面である。レンズ1206は、非球面と回折面との組み合わせを有し、伝統的なレンズ設計に共通する色収差および球面収差の両方を減少させる。LED1205の発光面は、レンズ1206の焦点に設置される。レンズ1206から出る光は、ほぼ平行である。吸収フィルタ1208を光柱に設置して、スペクトル分布を調整する。フィルタ1208は、例えば、厚さが約6mmのSchott GG435ガラスから形成することができる。フィルタ1208は、LED1205に固有のスペクトル出力と調和して働く。換言すると、フィルタ1208の仕様は、LED出力スペクトルに応じて決めることができる。フィルタ1208の仕様においては、出力スペクトルの色、光毒性および発光効率に検討が与えられる。参考として、LED1205からのフィルタなしの出力は、0.30、0.28CIE色度、625ルーメン毎ハザダスワットおよび271ルーメン毎ワットを計測することができ、一方、フィルタを通した出力は、0.36、0.39CIE色度、1951ルーメン毎ハザダスワットおよび363ルーメン毎ワットを計測することができる。これらの全ては、眼科の光源として非常により望ましい。
図12Cは、フィルタを通したLED光の相対スペクトル出力を図示する。
【0065】
第二のレンズ1210は、コリメートレンズ1206と実質的に同様であり、フィルタを通した光を集め、それをLED1205の像に焦点を結ぶ。光ファイバ1202の近接端は、第二のレンズ1210の焦点に設置され、光を手術野に導く。
【0066】
LED1205からの出力は、温度に感受性が高いことができる。作動電流が増大するにつれ、ダイ温度も増大する傾向がある。ダイ温度が増大すると、定められた駆動電流における出力光レベルは、より低い温度における同じ駆動電流に対して低下する傾向がある。LED1205が取り付けられたPCB1203は、LED1205からの熱の除去を最大限にする。基板は、例えば、基板の表(LED)側上に位置する(信号および電力のための)銅配線を持つ、厚さが約0.38mm(0.015インチ)のファイバガラスから形成することができる。めっきされたスルーホールは、PCB1203を、例えば、約3.175mm(0.125インチ)の厚さを有する銅ベースプレート1209にはんだ付けするための接着点を提供する。銅ベースプレート1209は、PCB1203の孔を通って突き出す約0.38mm(0.015インチ)の銅ポストを有し、LED1205の中央接点と銅ベースプレート1209との間の直接接触を提供する。LED1205の中央接点は、発光ダイから離れた所に熱を伝導することができるように提供される。この機器構成により、LED1205からの熱は、最小限の熱抵抗を持つ大きな領域にわたって急速に広がることができる。銅ベースプレート1209は、ペルチェ冷却器1207に取り付けられる。ペルチェ冷却器1207は、銅ベースプレート1209からの熱を、冷却器1207に取り付けられたアルミニウムポスト1204にポンプする。ポンプされる熱量は、ペルチェ冷却器1207に与えられる駆動電流の量に関連する。アルミニウムポスト1204は、マルチフィン付きアルミニウムヒートシンクに取り付けられる。ヒートシンクは、ヒートシンク上に取り付けられたファンによっても送風される、ヒートシンクにわたる冷却用空気に熱を効率的に伝える。サーミスタは、銅ポストとの直接接続によってPCB1203上に取り付けられ、LED温度を監視する。制御電子回路は、サーミスタからの信号を使用して、ペルチェ冷却器1207の電流およびLED1205の制御温度を調節する。
【0067】
前に記載したように、本発明の態様は、特別な電力およびガスシステムに依存することなく、硝子体切除システムにおいて、硝子体切除器の駆動、吸引の提供および流体−空気交換の処理をするためのシステムおよび方法を提供する。例えば、本発明の態様は、ガスをより効率的に使用して、硝子体切除システムが幅広く利用可能なより小さいガスシリンダーを使用することができるようにする。したがって、対応する実施形態は、携帯可能であり、多様な臨床環境で使用することができる。
【0068】
本発明を多くの例示的な実施形態および具現化したものに関連して記載したが、本発明は、これらに限定されず、むしろ、各種の変形、寸法、形状および同等の配置をカバーする。本発明の他の具現化したものは、本明細書に開示する本発明の仕様および実践の検討から当業者に明らかとなる。記載した実施形態の各種の態様および/またはコンポーネントは、単独でまたは任意の組み合わせで使用することができる。仕様および例は、単なる例示的なものとして見なされることを意図する。例えば、先に記載した実施形態は、硝子体生検および硝子体穿刺用として表すことができるが、本発明の態様は、他の処置、例えば、飛蚊症における硝子体切除および脱血にも適用することができる。