特許第6106687号(P6106687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6106687携帯用記憶装置にコンテンツ受信機のコンテンツ・データを記憶する方法および関連する制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6106687
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】携帯用記憶装置にコンテンツ受信機のコンテンツ・データを記憶する方法および関連する制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20170327BHJP
   H04N 21/433 20110101ALI20170327BHJP
   H04N 21/436 20110101ALI20170327BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20170327BHJP
   G11B 27/00 20060101ALI20170327BHJP
   G06F 3/06 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   G06F12/00 511C
   H04N21/433
   H04N21/436
   G11B20/10 311
   G11B27/00 D
   G06F3/06 301J
   G06F12/00 501S
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-543896(P2014-543896)
(86)(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公表番号】特表2015-506015(P2015-506015A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】EP2012073995
(87)【国際公開番号】WO2013079612
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2015年11月24日
(31)【優先権主張番号】1161055
(32)【優先日】2011年12月1日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】マルシエ,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】トリツチラー,アラン
【審査官】 井上 宏一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−191489(JP,A)
【文献】 特開2005− 99968(JP,A)
【文献】 特開2008− 34954(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0098040(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0055288(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
G06F 3/06
G11B 20/10
G11B 27/00
H04N 21/433
H04N 21/436
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のファイル・システムを有するコンテンツ受信機によって受信したコンテンツ・データを記憶する方法であって、当該方法は、前記コンテンツ受信機に関連する制御装置によって実施され、当該方法は、
−前記第1のファイル・システムとの互換性がない第2のファイル・システムを有し、前記コンテンツ受信機へ結合されている記憶装置、前記第1のファイル・システムとの互換性を有する仮想のタイプの第3のファイル・システムを構成するよう前記第2のファイル・システムの少なくとも1つのファイルに記憶されると適応される制御データのセットを送信するように、前記コンテンツ受信機に指示すること(i)と、
−前記第2のファイル・システムの少なくとも1つのファイルに前記制御データのセットを記憶して、前記第3のファイル・システムを前記第2のファイル・システムにおいて構築するように、前記記憶装置に指示することと、
−前記第1のファイル・システムの制御下で、前記コンテンツ受信機から受信した前記コンテンツ・データを前記記憶装置に送信するように、前記コンテンツ受信機に指示すること(ii)と、
−前記第3のファイル・システムの制御下で、前記送信されたコンテンツ・データを記憶するように、前記記憶装置に指示することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記制御データのセットを送信するように前記コンテンツ受信機に指示すること(i)は、送信される前記コンテンツ・データを記憶するために前記記憶装置に確保されるべき記憶容量を表す補助データを送信するように、前記コンテンツ受信機に指示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御データのセットを送信するように前記コンテンツ受信機に指示すること(i)は、前記記憶装置から前記第2のファイル・システムのファイルの最大許容サイズおよび初期サイズを判定し、前記第2のファイル・システムの前記ファイルの各々によって使用されていない未使用のサイズを推定し、次いで、前記制御データのセットのサイズが前記推定された未使用のサイズのうちの最大の未使用のサイズよりも大きい場合には、前記制御データのセットを少なくとも2つのサブセットに分割することを含み、
前記制御データのセットを記憶するように前記記憶装置に指示することは、前記第2のファイル・システムからの少なくとも2つの選択されたファイルに前記サブセットを夫々記憶するように前記記憶装置に指示することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記記憶装置は、少なくとも1つのUSBキーおよび携帯用ハード・ドライブからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記コンテンツ受信機は、少なくとも1つのセットトップ・ボックスタイプ、復号器、および住居用ゲートウェイからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1のファイル・システムを有するコンテンツ受信機のための制御装置であって、前記コンテンツ受信機は、前記第1のファイル・システムとは互換性がない第2のファイル・システムを有する記憶装置を前記コンテンツ受信機に結合する手段を備え、当該制御装置は、
−前記コンテンツ受信機に対して、前記第1のファイル・システムと互換性を有する仮想タイプの第3のファイル・システムを構成するよう前記第2のファイル・システムの少なくとも1つのファイルに記憶されると適応される制御データのセットを前記記憶装置に送信するように指示する手段と
前記記憶装置に対して、前記第2のファイル・システムの少なくとも1つのファイルに前記制御データのセットを記憶して、前記第3のファイル・システムを前記第2のファイル・システムにおいて構築するように指示する手段と、
−前記第1のファイル・システムの制御下で、前記コンテンツ受信機によって受信したコンテンツ・データを、前記コンテンツ受信機から前記記憶装置へ送信することを制御する手段と
前記第3のファイル・システムの制御下で、前記記憶装置に対して、コンテンツ・データを記憶するように指示する手段と、
を備える、前記制御装置。
【請求項7】
前記コンテンツ受信機に対して、前記制御データのセットに加え、送信される前記制御データを記憶するために前記記憶装置に確保されるべき記憶容量を表す補助データを前記第2のファイル・システムに送信するように指示する手段を備える、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記記憶装置から前記第2のファイル・システムの最大許容サイズおよび初期サイズを判定する手段と、
前記第2のファイル・システムの前記ファイルの各々によって使用されていない未使用のサイズを推定する手段と、
前記制御データのセットのサイズが前記推定された未使用のサイズのうち、最大の未使用のサイズよりも大きい場合、前記制御データのセットを少なくとも2つのサブセットに分割する手段と
を備え、
前記制御データのセットを記憶するように前記記憶装置に指示する手段は、前記第2のファイル・システムの少なくとも2つの選択されたファイルに前記サブセットを夫々記憶するように前記記憶装置に指示する手段を備える、請求項6または7に記載の制御装置。
【請求項9】
第1のファイル・システムを備えるコンテンツ受信機であって
請求項6〜8のいずれか1項に記載の制御装置を備える、コンテンツ受信機。
【請求項10】
当該コンテンツ受信機は、少なくとも1つのタイプのセットトップ・ボックス、復号器、および住居用ゲートウェイからなる群より選択される、請求項9に記載のコンテンツ受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ受信機、より具体的には、このような受信機が受信するコンテンツ・データの記憶に関する。
【0002】
「コンテンツ受信機」とは、コンテンツ、おそらく、放送を受信するために、少なくとも1つの通信ネットワークと接続する機能を有する通信機器のアイテムであると理解される。したがって、コンテンツ受信機は、例えば、ある種(タイプ)のセットトップ・ボックス(STB)、復号器、または、住居用ゲートウェイに関わることがある。
【0003】
さらに、「コンテンツ」は、おそらくはオンデマンドでの、テレビジョン、ビデオまたはオーディオ(電子音楽または、ミュージカル)、またはゲームやマルチメディアのプログラムを規定するデータのセット、またはコンピュータ・ファイル(または「データ」)さえも指す。
【背景技術】
【0004】
当業者であれば、特定のコンテンツ受信機は、このコンテンツ受信機に接続された通信ネットワークから受信されたコンテンツ・データを記憶可能なメモリを有することを理解する。この記憶機能は、ある他の機能と同様に、フィルム・システム、例えば、FAT(File Allocation Table)タイプまたはNTFS(New Technology File System)タイプのファイル・システムによってコンテンツ受信機上で制御される。
【0005】
コンテンツ受信機のメモリが一杯になっているときに、ユーザが、従前に記憶されたコンテンツを消去することなく新たなコンテンツ記憶することを望む場合、あるいは、コンテンツ受信機が記憶メモリを内蔵しておらず、ユーザが受信されたコンテンツを記憶することを望む場合、このコンテンツ受信機は、携帯用記憶装置、例えばUSBキーやハードディスクに結合されていなければならない。この携帯用記憶装置もまた、特に、記憶動作を制御するタスクを有するファイル・システムを有する。しかしながら、コンテンツ受信機がこのコンテンツ受信機に結合されている携帯用記憶装置上で、コンテンツを破損することなく、コンテンツ・データの記憶を制御するためには、各々のファイル・システムが互いに互換性を有することが不可欠である。これは、コンテンツ受信機のミドルウェアの動作モードの結果として生ずるものである。極めて通常に起こりうることであるが、ファイル・システム間で互換性がない場合、コンテンツ受信機は、記憶されるべきコンテンツ・データを記憶装置に送信する前に、この記憶装置をフォーマットしなければならない。結果として、それまでに記憶されたデータが完全に失われることになる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上述した不都合を克服する一方で、記憶装置のファイル・システムとこの記憶装置に結合されるコンテンツ受信機のファイル・システムとの間に互換性がない場合であっても、記憶装置に記憶されるデータが失われることのないようにすることを目的とする。
【0007】
この目的のため、本発明は、特に、第1のファイル・システムを有するコンテンツ受信機によって受信されるコンテンツ・データの記憶に特化した方法を提案する。この方法は、コンテンツ受信機が、まず、第1のファイル・システムと互換性がない第2のファイル・システムを有する記憶装置がコンテンツ受信機に結合されると、引き続いて、
コンテンツ受信機から記憶装置に、第1のファイル・システムとの互換性を有する仮想のタイプのファイルの第3のシステムを構成する制御データのセットを送信して第2のファイル・システムの少なくとも1つのファイルにこの制御データのセットを記憶することからなるステップ(i)と、
第1のファイル・システムの制御下で、コンテンツ受信機から記憶装置に受信されたコンテンツ・データを送信し、第3のファイル・システムの制御下で、記憶装置上で送信されたコンテンツ・データを記憶することからなるステップ(ii)と、を含む。
【0008】
本発明に係る第1の方法は、特に、以下に挙げる他の特徴事項を別個に、または組み合わせたものを含むことができる。
ステップ(i)において、コンテンツ受信機は、データを記憶するために記憶装置に確保されなければならない記憶容量を表す補助データを第2のファイル・システムに送信して、送信されなければならないコンテンツ・データを記憶するようにすることもできる。
ステップ(i)において、制御データを送信する前に、コンテンツ受信機は、記憶装置から第2のファイル・システムのファイルの最大許容サイズおよび初期サイズを判定し、(制御データの)セットのサイズがこれらの推定されたサイズのうちの最大の未使用のサイズよりも大きい場合には、コンテンツ受信機は、この(制御データの)セットを第2のファイル・システムから選択された少なくとも2つのファイルに各々が記憶されるための、少なくとも2つのサブセットに分割することができる。
【0009】
さらに、本発明は、第1のファイル・システムを有するコンテンツ受信機を備えるように構成された制御装置を提案する。この制御装置は、まず、第1のファイル・システムと互換性がない第2のファイル・システムを有する記憶装置がそのコンテンツ受信機に結合されると、引き続いて、
そのコンテンツ受信機に対し、仮想ファイルの第3のシステムを構成し、第1のファイル・システムと互換性を有する制御データのセットを記憶装置に送信するように指示することにより、記憶装置が第2のファイル・システムの少なくとも1つのファイルにこの制御データのセットを記憶するようにし、
第1のファイル・システムの制御下で、コンテンツ受信機によって受信されるコンテンツ・データの、コンテンツ受信機から記憶装置への送信を制御することにより、第3のファイル・システムの制御下で、コンテンツ・データが記憶装置に記憶されるように構成される。
【0010】
本発明に係る第1の制御装置は、特に、以下に挙げる他の特徴事項を別個に、または組み合わせて含むことができる。
第1の制御装置は、そのコンテンツ受信機に対し、(制御データの)セットに加え、送信されなければならない制御データを記憶するために記憶装置に確保されるべき記憶容量を表す補助データを第2のファイル・システムに送信することを指示するように構成することができる。
第1の制御装置は、この制御データの送信を指示する前に、一方で、記憶装置から第2のファイル・システムの複数のファイルの最大許容サイズおよび初期サイズを判定することにより、第2のファイル・システムにおいてこれらのファイルの各々によって使用されていない未使用のサイズを推定し、他方で、(制御データの)セットのサイズがこれらの推定された未使用のサイズのうち、最大の未使用のサイズよりも大きい場合、この(制御データの)セットを第2のファイル・システムの少なくとも2つの選択されたファイルに各々が記憶されるための、少なくとも2つのサブセットに分割するように構成することができる。
【0011】
本発明は、さらに、上述したものと同じタイプの第1のファイル・システムおよび制御装置を含むコンテンツ受信機を提案する。
【0012】
本発明は、限定するものではないが、セットトップ・ボックス(STB)、復号器、または住居用ゲートウェイに特に適している。さらに、本発明は、限定するものではないが、USBキーまたは携帯用ハードディスクを構成する記憶装置に特に良好に適している。
【0013】
本発明の他の特徴事項および利点は、以下の詳細な説明、さらに添付図面を考慮することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】コンテンツ受信機を図式的、機能的に例示している。コンテンツ受信機は、第1に、通信ネットワークに接続され、第2に、本発明に係る制御装置を含み、第3に、記憶装置に結合されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面は、本発明を完全にするだけでなく、必要であれば、その定義に寄与するために使用することができる。
【0016】
本発明の目的は、コンテンツ受信機CRのファイル・システムS1と携帯用記憶装置SDのファイル・システムS2との間に互換性がない場合であっても、この携帯用記憶装置SDを使用して、コンテンツ受信機CRからのコンテンツ・データを記憶可能にすることにある。
【0017】
以下において、非制限的な例として、コンテンツ受信機CRがセットトップ・ボックス(またはSTB)である場合を考える。しかしながら、本発明は、このタイプのコンテンツ受信機に限定されるものではない。本発明は、実際、コンテンツを受信するために少なくとも1つの通信ネットワークに接続可能な、さらに、ファイル・システムと、装置や周辺機器との結合を可能とする少なくとも1つの接続インタフェースを有する全てのタイプのコンテンツ受信機に関する。結果として、本発明は、例えば、復号器、住居用ゲートウェイ、または、家庭用ゲートウェイにも関わる場合がある。
【0018】
さらに、以下において、非制限的な例として、セットトップ・ボックスCRが受信されたコンテンツを記憶可能に設計されたメモリを有していない場合を考える。しかしながら、本発明は、そのようなメモリを有するコンテンツ受信機にも関する。
【0019】
さらに、以下において、非制限的な例として、携帯用記憶装置SDが(例えば、雄タイプの)接続インタフェースを有するUSBキーである場合を考える。しかしながら、本発明は、このタイプの携帯用記憶装置に限定されるものではない。本発明は、特に、自己のデータ記憶動作を制御するファイル・システムを有する全てのタイプの携帯用記憶装置に関する。結果として、本発明は、おそらくは、eSATAタイプのハードディスク、NDSタイプのネットワーク・ディスクに関わる場合、または、Sambaタイプのサーバにさえ関わる場合もある。
【0020】
図1は、通信ネットワークNと記憶装置SD(この場合はUSBキー)とに接続されたコンテンツ受信機CR(この場合はコンテンツの記憶のためのメモリを有していないセットトップ・ボックス)を図式的に示している。
【0021】
以下において、非制限的な例として、通信ネットワークNが衛星ネットワークである場合を考える。しかしながら、本発明は、このタイプの通信ネットワークに限定されるものではない。実際には、通信ネットワークNは、有線であっても、無線であってもよい。したがって、通信ネットワークNは、xDSLタイプの有線ネットワーク(例えば、ADSL)、移動用、携帯電話、または無線LAN(おそらくは、802.11、WiFiまたはWiMAXのタイプの無線ローカル・エリア・ネットワーク)、または、他のあらゆるディジタル放送(有線または地上波)のタイプ、変調のタイプ(例えば、DVB、DSS、ATSC)の通信ネットワークとなることがある。
【0022】
このコンテンツ受信機CRは、通常、特に、通信ネットワークNから受信されたコンテンツのデータ記憶動作を制御することを担う、第1のファイル・システムS1と、特に、コンテンツを受信する目的で、通信ネットワークN、おそらくは放送に接続することを可能にする通信モジュールCMと、を含む。
【0023】
例えば、第1のファイル・システムS1は、FAT(File Allocation Table)やNTFS(New Technology File System)のシステムのタイプとは異なる独自のシステムである。
【0024】
コンテンツ受信機CRは、さらに、コンテンツ受信機を、装置や周辺機器、さらに、特に、記憶装置SD、例えば、USBキーと結合させるように意図された少なくとも1つの第1の接続インタフェースC1を含む。例えば、第1の接続インタフェースC1は、雌タイプのUSBコネクタである。
【0025】
記憶装置SD(ここでは、USBキー)は、通常、受信されたコンテンツ・データの記憶を担うメモリMSと、コンテンツ受信機CRの第1のファイル・システムS1とは互換性がなく、特に、受信されたコンテンツ・データの記憶の制御を担う、第2のファイル・システムS2と、電子機器、特に、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ、または、コンテンツ受信機CRとの結合を可能にするように意図された、少なくとも第2の接続インタフェースC2と、を含む。例えば、第2の接続インタフェースC2は、雄タイプのUSBコネクタである。
【0026】
例えば、第2のファイル・システムS2は、FATまたはNTFSタイプである。
【0027】
本発明は、第1のファイル・システムS1と第2のファイル・システムS2との間に互換性がない場合であっても、USBキーSDの第2のファイル・システムS2の制御の下で、USBキーSDに予め記憶された読み取り不能なデータの消去やレンダリングを行うことなく、通信ネットワークNからのコンテンツ・データをUSBキーSDに記憶可能にするように設計された記憶方法を実施することを提案する。
【0028】
この記憶方法は、2つのステップ(i)および(ii)を含む。これらは、まず、USBキーSDのコンテンツ受信機CRへの結合に連続して、引き続いて実施され、さらに、コンテンツ受信機CRのユーザによる、外部記憶サービスの起動、並びに、例えば、コンテンツ受信機CRのマンマシン・インタフェースを通じた、このユーザによる、USBキーSDに記憶したいと自己が望む少なくとも1つの受信したコンテンツの選択に引き続いて実施される。
【0029】
記憶方法の第1のステップ(i)は、2つのサブパートを含む。
【0030】
第1のサブパートは、コンテンツ受信機CRから記憶装置SD(この場合、USBキー)に、第3のファイル・システムS3を構成する、仮想のタイプの、第1のファイル・システムS1との互換性を有する制御データのセットDSを送信することからなる。第2のサブパートは、送信された制御データのセットDSをUSBキーの第2のファイル・システムS2における少なくとも1つのファイルに記憶することからなる。
【0031】
なお、このステップ(i)の第1のサブパートは、コンテンツ受信機CRに結合された、本発明に係る制御装置Dによって実施することができる。
【0032】
ここで、「結合される」とは、(図示している)コンテンツ受信機CRの構成部分である場合と、コンテンツ受信機CRに直接結合されている場合との双方を指すことが理解できる。したがって、処理装置Dは、ソフトウェア(またはコンピュータ)・モジュールの形態で実施することも、電子回路およびソフトウェア・モジュールを組み合わせて実施することもできる。なお、装置Dがソフトウェア・モジュールのみからなる場合、この装置Dは、ドライバにアプリケーション・プログラム・インタフェース(API)を組み合わせたもの、さらに、おそらくは、ユーザによるその設定専用に使用されるグラフィック・インタフェースを含む、当業者がアダプテーション・レイヤと呼ぶものを構成する。
【0033】
この制御装置Dは、特に、まず、USBキーSDがコンテンツ受信機CRに結合されると、引き続いて、上述したタイプの制御データのセットDSを生成し、そのコンテンツ受信機CRに対してこの制御データのセットDSをUSBキーに送信することを指示することにより、USBキーSDがその第2のファイル・システムS2の少なくとも1つのファイルにその制御データのセットDSを記憶できるように構成される。
【0034】
なお、第1のステップ(i)において、コンテンツ受信機CRは、例えば、制御装置Dの命令によって、コンテンツ受信機CRによって受信された、送信されるコンテンツ・データを記憶するために、USBキーSDにおいて確保しなければならない記憶容量を表す補助データを第2のファイル・システムS2に送信することができる。USBキーSDの残りの記憶容量が送信された補助データによって表される必要な記憶容量よりも小さい場合には、USBキーSDは、専用のメッセージによってその旨を制御装置Dに伝達し、制御装置Dは、自己の動作を中断し、好ましくは、記憶ができない旨のメッセージをコンテンツ受信機CRのユーザに送信する。
【0035】
なお、第1のステップ(i)において、コンテンツ受信機CRおよび、例えば、その制御装置Dは、制御データのセットDSを送信する前に、USBキーSDから、第2のファイル・システムS2におけるファイルの最大許容サイズおよび初期サイズを判定して第2のファイル・システムS2において各ファイルによって使用されていない未使用のサイズを推定することからその処理を開始することができる。
【0036】
大抵のファイル・システムでは、その各々のファイルのサイズが所定の最大サイズを超えてはならないことが分かるであろう。例えば、FAT32タイプのシステムの場合は、各ファイルの最大のサイズは4GBである。
【0037】
未使用のサイズが推定されると、制御装置Dは、USBキーSDに送信することを望む制御データのセットDSのサイズが、このとき推定された未使用のサイズのうちの最大の未使用のサイズよりも大きいかどうかを判定する。
【0038】
USBキーSDに送信することを望むデータのセットDSのサイズが、このとき推定された未使用のサイズのうちの最大の未使用のサイズよりも大きい場合には、コンテンツ受信機CR(より具体的には、コンテンツ受信機CRの制御装置D)は、このデータのセットDSを、第2のファイル・システムS2において選択された少なくとも2つのファイルに各々記憶されるように意図された少なくとも2つのサブセットに分割する。この分割は、第2のファイル・システムS2のファイルのうちの少なくとも1つのサイズが、データのセットDSのサブセットが追加された後に、最終的に、最大許容サイズを超えないようにすることを意図している点を理解できよう。なお、これらのサブセットは、必ずしも同一のサイズを有するものではない。
【0039】
USBキーSDに送信することを望むデータのセットDSのサイズが、このとき推定された未使用のサイズのうちの最大の未使用のサイズよりも大きくない場合には、上記の分割が行われず、データのセットDSが、このデータのセットDSの記憶容量を有する第2のファイル・システムS2に完全に記憶され、新たなサイズが最大サイズを超えることはない。
【0040】
記憶方法の第2のステップ(ii)は、2つのサブパートを含む。
【0041】
第1のサブパートは、コンテンツ受信機CRによって受信された、(そして、通信ネットワークNから得られた)コンテンツ・データを、第1のファイル・システムS1の制御下で、このコンテンツ受信機CRからUSBキーSDに送信することからなる。第2のサブパートは、第3のファイル・システムS3の制御下で、コンテンツ受信機CRによって送信されたコンテンツ・データをUSBキーSDに記憶することからなる。
【0042】
なお、この第2のステップ(ii)の第1のサブパートを制御装置Dによって実施してもよい。より具体的には、制御装置Dは、第2のファイル・システムS2にデータのセットDSを記憶した後、第1のファイル・システムS1の制御下で、コンテンツ受信機CRによって受信されたコンテンツ・データのコンテンツ受信機CRからUSBキーへの送信を制御することによって、コンテンツ・データが第3のファイル・システムS3の制御下で、USBキーSDに記憶されるようにする。
【0043】
記憶装置の第2のファイル・システムにおいて第3の仮想ファイル・システムを構築することにより、コンテンツ・データが第2のファイル・システムとは互換性のない第1のファイル・システムを有するコンテンツ受信機から得られたものであっても、これにより、第2のファイル・システムを用いてこのメモリに従前に記憶されたデータを消去したり、アクセスを禁止したりすることなく、メモリに記憶できるようになる。したがって、本発明によって、コンテンツ受信機は、内部記憶メモリを有するかどうかに関わらず外部コンテンツを記録する機能を有することができるようになる。
【0044】
なお、第3のファイル・システムの制御下で記憶装置に記憶されたコンテンツ・データは、第1のファイル・システムとは互換性がないが、第2のファイル・システムとは互換性があるファイル・システムを有する別の装置によっても、この装置がこのための適切なソフトウェア(すなわち、第3のファイル・システムとの対話が可能なソフトウェア)を有するのであれば、抽出することができる。
【0045】
本発明は、非限定的な例とする目的のみで提供した、上述した記憶装置、制御装置、およびコンテンツ受信機の実施形態に制限されるものではなく、請求の範囲内で、当業者であれば想起可能な全ての変形例を包含するものである。
上記の実施形態に加えて、以下の付記を開示する。
(付記1)
第1のファイル・システム(S1)を有するコンテンツ受信機(CR)によって受信されるコンテンツ・データを記憶する方法であって、
−前記第1のファイル・システム(S1)との互換性がない第2のファイル・システム(S2)を有する記憶装置(SD)を前記コンテンツ受信機(CR)に結合するステップと、
−前記コンテンツ受信機(CR)から前記記憶装置(SD)に、前記第1のファイル・システム(S1)との互換性を有する仮想のタイプの第3のファイル・システム(S3)を構成する制御データのセット(DS)を送信するステップ(i)と、
−前記第2のファイル・システム(S2)の少なくとも1つのファイルに前記制御データのセット(DS)を記憶するステップと、
−前記第1のファイル・システム(S1)の制御下で、前記コンテンツ受信機(CR)から前記記憶装置(SD)に受信されたコンテンツ・データを送信するステップ(ii)と、
−前記第3のファイル・システム(S3)の制御下で、前記記憶装置(SD)に前記送信されたコンテンツ・データを記憶するステップと、
を含む、前記方法。
(付記2)
前記制御データのセットを送信するステップ(i)は、前記コンテンツ受信機(CR)から前記記憶装置(SD)に確保されなければならない記憶容量を表す補助データを送信して、送信されなければならない前記コンテンツ・データを記憶するステップをさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記制御データのセットを送信するステップ(i)は、前記記憶装置(SD)から前記第2のファイル・システム(S2)のファイルの最大許容サイズおよび初期サイズを前記コンテンツ受信機(CR)によって判定し、前記第2のファイル・システム(S2)の前記ファイルの各々によって使用されていない未使用のサイズを推定する先行するステップと、その後の、前記制御データのセット(DS)のサイズが推定された未使用のサイズのうちの最大の未使用のサイズよりも大きい場合には、前記制御データのセット(DS)を、前記コンテンツ受信機(CR)によって、前記第2のファイル・システム(S2)からの少なくとも2つの選択されたファイルに各々が記憶されるための、少なくとも2つのサブセットに分割するステップと、を含む、付記1または2に記載の方法。
(付記4)
少なくとも1つのUSBキーおよび携帯用ハード・ドライブからなる群より選択された記憶装置(SD)に適している、付記1〜3のいずれか1つに記載の方法。
(付記5)
少なくとも1つのセットトップ・ボックスタイプ、復号器、および住居用ゲートウェイからなる群より選択されたコンテンツ受信機(CR)に適している、付記1〜4のいずれか1つに記載の方法。
(付記6)
第1のファイル・システム(S1)を有するコンテンツ受信機(CR)のための制御装置(D)であって、前記コンテンツ受信機(CR)は、前記第1のファイル・システム(S1)とは互換性がない第2のファイル・システム(S2)を有する記憶装置(SD)を前記コンテンツ受信機(CR)に結合する手段を備え、当該制御装置は、
−前記コンテンツ受信機(CR)に対して、仮想タイプの前記第1のファイル・システム(S1)と互換性を有する第3のファイル・システム(S3)を構成する制御データのセット(DS)を前記記憶装置(SD)に送信するように指示し、前記記憶装置(SD)に対して、前記第2のファイル・システム(S2)の少なくとも1つのファイルに前記制御データのセット(DS)を記憶するように指示する手段と、
−前記第1のファイル・システム(S1)の制御下で、前記コンテンツ受信機(CR)によって受信されるコンテンツ・データを、前記コンテンツ受信機(CR)から前記記憶装置(SD)へ送信することを制御し、前記第3のファイル・システム(S3)の制御下で、前記記憶装置(SD)に対して、コンテンツ・データを記憶するように指示する手段と、を備える、前記制御装置(D)。
(付記7)
前記コンテンツ受信機(CR)に対して、前記制御データのセット(DS)に加え、送信されなければならない前記制御データを記憶するために前記記憶装置(SD)に確保されるべき記憶容量を表す補助データを前記第2のファイル・システム(S2)に送信するように指示する手段を備える、付記6に記載の制御装置。
(付記8)
前記記憶装置(SD)から前記第2のファイル・システム(S2)の最大許容サイズおよび初期サイズを判定する手段(i)と、
前記第2のファイル・システム(S2)の前記ファイルの各々によって使用されていない未使用のサイズを推定する手段と、
前記データのセット(DS)のサイズが推定された未使用のサイズのうち、最大の未使用のサイズよりも大きい場合、前記データのセット(DS)を前記第2のファイル・システム(S2)の少なくとも2つの選択されたファイルに各々が記憶されるための、少なくとも2つのサブセットに分割する手段(ii)と、を備える、付記6または7に記載の制御装置。
(付記9)
第1のファイル・システム(S1)を備え、付記6〜8のいずれか1つに記載の制御装置(D)をさらに備える、コンテンツ受信機(CR)。
(付記10)
少なくとも1つのタイプのセットトップ・ボックス、復号器、および住居用ゲートウェイからなる群より選択される、請求項9に記載のコンテンツ受信機(CR)。
図1