(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記帯部の帯の表面に帯締めを固定するとともに、前記帯の上部内側に帯揚げの下端部を固定したことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の簡易着付け式着物。
前記衿部が、背面側で分離・連結可能な左右衿、前記左右衿内に位置する左右衿芯及び左右衿内側上部に固定した左右半衿を備えることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の簡易着付け式着物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、人の背面側に位置する部分を開いて着付ける着物であって、着座したまま、或いは横たわったままでも着付けでき、車椅子等の着座において、また立位正面視においても、本物の着物のような外観となる簡易着付け式着物、さらに着装した立位の全方向からも、本物の着物のような外観となり、さらに着装したままでの歩行、外出をも可能にする簡易着付け式着物を提供することを目的とする。加えて、帯からお太鼓などの飾部を分離形成し、着物、洋服の上に巻かれた帯に着脱可能に装着され、或いは背負式の着脱式飾部、簡単に装着できる簡易帯、及び着脱式飾部と簡易帯からなる簡易帯セット、さらには帯の飾部を分離形成した着脱式飾部を利用したバッグ等に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、
(1)
人の背面側に位置する部分を開いて着付ける着物であって、
左右上身頃の正面側を縫着し背面側に上開口を備える上身頃と、前記上身頃上部に位置する衿部と、前記上身頃左右に位置する左右袖部と、
前記上身頃の胴部の表面に位置する帯部と、前記上身頃の下端部に位置し背面側に下開口を備える下身頃と、前記上下開口の開口度合いを調節する上下連結部材と、からなることを特徴とする簡易着付け式着物。
(2)
人の背面側に位置する部分を開いて着付ける着物であって、
左右上身頃の正面側を縫着し背面側に上開口を備える上身頃と、前記上身頃の上部に縫着され背面側で分離・連結可能な輪状の衿部と、前記上身頃の左右に縫着された左右袖部と、前記上身頃の胴部の表面に固定された帯部と、前記上身頃の下端部に固定される上前身頃及び下前身頃と背面側に下開口を備える下身頃と、前記上下開口の開口度合いを調節する上下連結部材と、からなることを特徴とする簡易着付け式着物。
(3)
前記下身頃が、前記上身頃と着脱可能で、かつ固定位置が可変であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の簡易着付け式着物。
(4)
前記上下身頃の固定を、面ファスナーによる固定としたことを特徴とする(3)に記載の簡易着付け式着物。
(5)
前記帯部の帯の表面に帯締めを固定するとともに、前記帯の上部内側に帯揚げの下端部を固定したことを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の簡易着付け式着物。
(6)
前記下身頃の前記上前身頃と前記下前身頃を縫着したことを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載の簡易着付け式着物。
(7)
前記上前身頃と前記下前身頃
の縫着位置をおくみ線位置とし、前記上前身頃のおくみは、前記下前身頃に縫着されないことを特徴とする(6)に記載の簡易着付け式着物。
(8)
前記衿部が、背面側で分離・連結可能な左右衿、前記左右衿内に位置する左右衿芯及び左右衿内側上部に固定した左右半衿を備えることを特徴とする(1)〜(7)の何れかに記載の簡易着付け式着物。
(9)
前記上身頃と帯部の間或いは帯部の間に、前記上連結部材の未使用時に、前記上連結部材を収納する収納部を備え、
又は/及び、前記下前身頃の内側に、前記下連結部材の未使用時に、前記下連結部材を収納する収納部を備えることを特徴とする(1)〜(8)の何れかに記載の簡易着付け式着物。
(10)
車椅子着座で使用されることを特徴とする(1)〜(9)の何れかに記載の簡易着付け式着物。
(11)
記念撮影で使用されることを特徴とする(1)〜(9)の何れかに記載の簡易着付け式着物。
(12)
レンタルされることを特徴とする(1)〜(9)の何れかに記載の簡易着付け式着物。
(13)
老人ホームに備えられることを特徴とする(1)〜(9)の何れかに記載の簡易着付け式着物。
(14)
病院施設に備えられることを特徴とする(1)〜(9)の何れかに記載の簡易着付け式着物。
(15)
結婚式で使用されることを特徴とする(1)〜(9)の何れかに記載の簡易着付け式着物。
(
16)
前記帯部の背面は、伸縮自在の弾性体を介して、背面左右を輪状に連結することを特徴とする(1)〜(
15)の何れかに記載の簡易着付け式着物。
(
17)
前記帯部の背面に着脱式の飾部を備えることを特徴とする(1)〜(
16)の何れかに記載の簡易着付け式着物。
とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上の構成であるので、着座したまま或いは横たわったままでも、勿論立ったままでも、洋服、普段着の上から、簡易に着付けすることができる。車椅子での生活を強いられる方でも、冠婚葬祭において、着物を着用したいときがあるが、歩行、起立困難な方に着物を着付けるには、一人が着付けされる人を支え、もう一人が着付けをする等、健常者の着付け以上に着付け作業は困難であるが、本発明では、背面部が開口しているため、正面視においては通常の着物のように見えるが、着付けが極めて簡易となる。
【0011】
従来、着物の着用を、着付けの困難さから断念していた人でも、簡易に着物を着装できるので、気兼ねなく、着装、オシャレができる。衣装のレンタル業者が、本発明の着物を貸し出
すことで、使用者は、必要なときに、低廉で衣装を借りることができる。また、病院、老人ホームなどに備えられれば、患者がベッドによこになったままで、車椅子に着座したままで、簡単に着付けしてもらえるので、簡単に記念日などに記念撮影できる。さらに、亡くなられた方への着付けも極めて簡易である。また、排泄、排泄物の処理も、下身頃を持ち上げれば、容易に可能になる。
【0012】
さらに、記念撮影においては、
図4、5に示すように、健常者が立ったままでも、極めて短時間で着物の着付けが可能であるので便利である。
【0013】
実施例2、3であれば、健常者への簡易着付け式着物となり、どの方向からみても本物の着物のような外観となり、背面側からの記念撮影も可能で、さらに歩行、外出することも可能になる。短時間に洋服等普段着の上から、特殊な着付け技法を知らない客、スタッフ、外国人であっても、本発明は着装できるため、観光地、イベント会場などでも、何の準備をしていない客であっても、その場で短時間に着物姿での記念撮影、行動が可能になる。外国人観光客へのレンタル、お土産として最適である。また、簡易に着物の外観を形成することができるため、早着替えなど各種興行、飲食物
などの提供のサービス業、接客業などの制服、衣装、コスプレとしての普及も図れる。
【0014】
着物の各種パーツが縫い合わされており、最小のパーツ、即ち上身頃と下身頃(上身頃と一体であってもよい)と帯部とで着物の外観を形成し、人の背面側に位置する部分を開いて着付ける着物、或いはTシャツ、セーターなどと同様に同体部が筒状であれば頭から被って着装するため、極めて簡単な着付けが可能になる。また、素材をナイロンなどにすれば、自宅での洗濯も可能で、極めて簡易な管理ができ、普段着として着物を着用する日本文化を復古させ、日本のみならず海外への着物文化の普及に資する。同様な方式で、各国の民族衣装も同様に簡易着付け式とすることができ、各国の介護、介護の改善に資する。
【0015】
加えて、着脱式飾部、例えばお太鼓形状であれば、帯に簡易装着できる。また、帯に収納部を設けることで、オムツ、その他小物の収納が可能になる。さらに、背負式とすれば、重さによる飾部の脱落、小物の取り出しの煩雑さが解消される。
【0016】
また、簡易帯と着脱式飾部の簡易帯セットであれば、従来の着物にも応用でき、着物の着付けが簡単になる。
【0017】
また、帯素材で形成したお太鼓に、収納部を設け、さらに着脱可能な取っ手或いはベルトを接続すれば、和装にコーディネートされたバッグとしても利用することができる。さらに、ランドセル型の背負式飾部であれば、従来にない外観と、小物の携帯が容易になる。これら着脱式飾部であれば、和装に限らず、あらゆる装いとともに、単独で、バッグとして持つこともでき、従来にない新たな意匠、素材のバッグを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に基づき本発明について詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0020】
図1−5に示すように、本発明である簡易着付け式着物1は、上身頃2と、衿部3と、左袖部4、右袖部5と、帯部6と、下身頃7と、連結部材(上下連結部材6g、7g)からなり、着座したまま或いは横たわったままでも、勿論立ったままでも、簡易に着付けすることができる。
【0021】
本発明の簡易着付け式着物1は、通常の着物同様、時と場所、場合に応じた外観とすることができる。例えば、女性用であれば、打掛、黒留袖、本振袖、喪服、色留袖、訪問着、振袖、色無地、江戸小紋の紋付、付け下げ、付け下げ小紋、小紋(友禅)、小紋、紬の訪問着、無地の紬、絞り、お召、更紗、紬、絣、黄八丈、ウール、銘仙、木綿、浴衣などがある。男性用であれば、黒羽二重五つ紋付、色紋付、お召一つ紋付、紬(アンサンブル)、ウール(アンサンブル)、上布などと呼ばれるものがある。病院で、簡単に着付けできれば、写真撮影七五三、成人式などの記念撮影も容易である。
【0022】
上身頃2は、左上身頃2aと右上身頃2bを正面側で縫着しなり、その下端部にはおはしょり2cを備え、背面側に上開口2gを備える。左右上身頃2a、2b上部は分離、連結可能にし、背中の上部をカバーすると、車椅子10に着座したときでも、上開口2gが車椅子10の背もたれ10aに隠れ、背面側の上開口2gが第三者から視認されにくく、本物の着物のような外観になる。
【0023】
左右上身頃2a、2bの背面は、それぞれの端部に設けられた面ファスナー2e、2fにより着脱自在にするとよく、その他、ボタン、ホックなどでの着脱方式としてもよい。
【0024】
おはしょり2cは、面ファスナーなどで、左右上身頃2a、2bに着脱可能に取り付けても、縫製してもよい。
【0025】
なお、左右上身頃2a、2b下端内部には、下身頃7を着脱可能に取り付け可能とする場合には、面ファスナー2dを備えるとよい。
【0026】
衿部3は、上身頃2の上部に縫着された左右衿3e、3fからなり、背面側で分離・連結可能である。
【0027】
衿部3の分離・連結は、左右衿3e、3fの端部に設けられた面ファスナー3h、3iにより着脱自在にするとよく、その他、ボタン、ホックなどでの着脱方式としてもよい。衿部3の背面の連結部分を、衿部3の背面の内側に端部が縫製されたカバー3gで覆い、その他端部を衿部3に取り付けたボタン3jに固定することで、衿部3の連結部が隠され、一層、本物の着物のような外観になる。
【0028】
また、左右衿3e、3fの内部にそれぞれ着脱可能に左右衿芯3a、3b、さらに左右衿3e、3fの内側にそれぞれ縫製された左右半衿3c、3dを備えることで、一層、本物の着物のような外観になる。左右衿芯3a、3bを取り出し可能にすることで、洗濯が用意になり、クリーニングも可能になる。左右衿芯3a、3bの素材としては、厚紙、プラスチックなどが例示できる。
【0029】
左右袖部4、5は、左右上身頃2a、2bの肩部に縫製(縫線4a、5a)され、着用者の年齢、時、場所、場合に応じて、着物と同様の着物の形状、袖の形状、丈(振り袖型、訪問着型)にすることができる。また、着脱式としてもよい。手が不自由な方の場合への着付けにおいて一層容易になる。
【0030】
帯部6は、左右上身頃2a、2bの胴部の表面に位置、固定される帯6aと、その付属品からなる。したがって、左右上身頃2a、2bと同様、背面側は連結されておらず、上開口2gとなる。上身頃2への固定は縫製による固定、面ファスナーなどによる着脱式であってもよい。
【0031】
帯部6を、本物の着物のような外観、着こなしに見えるように、帯6aの上側内側に固定された帯揚げ6c、帯6a表面には帯締め6d、帯6aの背面には帯板6bを固定するとよい。その固定は、縫製、或いは面ファスナーであってもよい。勿論、帯揚げ6c、帯締め6dも、
図2、5に示すように、背面側はそれぞれ連結していない。帯板6bは洗濯、クリーニングしやすいように、面ファスナーなどによる着脱式とするとよい。
【0032】
下身頃7は、上身頃2の下端部に端部が固定される下前身頃7bと、その上を覆いおくみ線7d位置で下前身頃7bに縫製される上前身頃7aと、背面側の下開口7iとからなる。下身頃7は、上身頃2の下部内側に取り付けた面ファスナー2dに、その上部外側に固定された面ファスナー7eで取り付けることで、下身頃7の長さを調節でき、レンタルしやすい。面ファスナー7eは、取り付け位置(高さ)の自由度が高い方が下身頃7の長さの調節幅が広い。
【0033】
下前身頃7bのおくみ線7dより右側は、下前身頃7bに縫製されず、ひらひらするおくみ7cとすることで、一層、本物の着物のような外観にすることができる。
【0034】
上連結部材6gは、左右上身頃2a、2bの背面側で、帯6aの内側に縫製され、お互いが着脱自在の左右の面ファスナー6e、6fからなり、上開口2gの開口度合いを調節する。ここでは、上連結部材6gは、2本としたが、身長に合わせて、1本でも、3本以上としてもよい。
【0035】
さらに、
図3に示すように、面ファスナー6eの端部は、帯6a内部の空間(収納部6h)に縫糸6iで縫製され、面ファスナー6eは、未使用時は、
図3(B)に示すように、収納部6hに丸めるなどして収納できる。未使用の面ファスナーなどの連結部材帯部6に収納することで、外観を損ねない。面ファスナー6e、6fは、その他に、帯部6にスライド引き出し、収納式などとしてもよい。さらに、収納部6hの口は、面ファスナー6kで閉止できるとより一層外観がよくなる。ここでは、面ファスナー6eについて示したが、面ファスナー6fも同様に収納できる。
【0036】
下連結部材7hは、
図3、5に示すように、上下上身頃7a、7bの背面側で、その端部を縫製等で固定され、お互いが着脱自在の左右の面ファスナー7f、7gからなり、下開口7iの開口度合いを調節する。ここでは、下連結部材7hは、2本としたが、身長に合わせて、1本でも、3本以上としてもよい。車椅子などの椅子に着座して着装する場合には、下身頃7において、膝裏、脹ら脛の裏に2本、下連結部材7hを位置させるとよい。着座の場合、それら部分の下身頃7が開けやすいので、下連結部材7hで開けを防止するとよい。
【0037】
また、面ファスナー7f、7gは、使用しないときは、上連結部材6g同様に、下身頃7に設けた収納部7kに収納できるようにするとよい。その場合には、面ファスナー7f、7gの端部は、収納部7k内に縫糸7mで縫製するとよい。収納部7kの口は、収納部6hと同様に面ファスナーで閉止するとよい。その他に、面ファスナー7f、7gは、収納部にスライド引き出し、収納式などとしてもよい。
【0038】
図4、5に示すように、本発明である簡易着付け式着物1は、短時間で着装できるので、外国人などの着物による記念撮影等に便利である。
【0039】
本発明は、背中側に開口を有し、その他は、割烹着のように縫製されているので、着付けが極めて容易な上、正面視においては、通常の着物のような外観を演出できる、従来にない、簡易に着付けられる着物である。
【実施例2】
【0040】
図6に示す簡易着付け式着物1aは、人の背面側、或いは左右側面に位置する部分を開閉して着付ける着物であって、着物の上部分に相当する上身頃2と、衿部3と、左右袖部4、5と、帯部6と、着物の下部分に相当する下身頃7とからなる、健常者が着装しても、すなわち、立位であっても、本物の着物のような外観となる。したがって、歩行、背面側の撮影、外出の際に着用しても、本物の着物のような外観で、違和感がない。
【0041】
上身頃2は、左右上身頃2a、2bの正面側を実施例1同様に開閉しないよう縫着し、背面側、望ましくは本物の着物にある縫い線部分に位置する接続部材2hで両端は隙間なく連結する。上身頃2のその他の形状、構造は、通常の着物、実施例1と同様の形態を採用することができる。
【0042】
衿部3は、上身頃2の上部に位置する左右衿3e、3fと、左右衿3e、3fの内側に縫着した左右半衿3c、3dと、左右半衿3c、3d内部に挿通し、連結する左右衿芯3a、3bと、左右衿3e、3fを連結する接続部材3kとからなる。
【0043】
左右衿芯3a、3bは、例えば、面ファスナー3h、3iで連結する、その他方法、形状を採用してもよい。
【0044】
接続部材3kは、線ファスナー(チャック)が例示されるが、その他方法、形状で連結してもよい。即ち、上身頃2及び衿部3は、背面側で開閉すれば、どのような形状であってもよい。接続部材3kは、後述の接続部材6nと一体であってもよい。左右衿3e、3fを線ファスナーで接続する場合には、左右半衿3c、3dは、左右衿3e、3fの接続部材3kの位置では縫製しない。なお、帯部6より下の上身頃2の部分がおはしょり2cに相当する。
【0045】
左右衿芯3a、3bは、分割することなく、一体として、男子学生服の襟のプラスチックカラーのように、連結後の左右衿3e、3fの内側に固定してもよい。その場合には、肌に触れないよう、衿芯と肌との間に生地、例えば半衿生地で覆い、半衿生地を左右衿に固定するといよい。
【0046】
左右袖部5、6は、上身頃2左右に縫製される。内部には、長襦袢を着ているように、袖口部分に、長襦袢用の布を縫製すると、より一層本物の着物のように見える。他の実施例においても同じ。
【0047】
帯部6は、上身頃2の胴部の表面に位置すれば、どのような形状であってもよい。ここでの帯部6は、実施例1と同様に、帯6aに帯揚げ6c、帯締め6dを縫製してあり、体の背面側に位置する左右末端にそれぞれゴム布6mを縫着し、さらに左右のゴム布6mの端部は接続部材6nを縫製する。接続部材6nは、線ファスナーなどが例示できるが、他の接続手段、構造であってもよい。このような帯6aは、使用に際しては、左右のゴム布6mが伸縮するので、当該帯6aは大多数の体格をカバーするウエストサイズフリーとなる。上身頃2と別体であっても、一体であってもよい。
【0048】
さらに、帯部6背面には、帯6aから分離し、折り重ね形成した帯6aに着脱可能なお太鼓11である飾部(透視図として示した)を備える。ここで、飾部とは、
図6に示すように、帯6aの通常背中側に位置する立体飾り形状で、お太鼓、各種創作結び部分である。なお、飾部は、正面、側面に位置させることもある。
【0049】
また、お太鼓とは、一般には、和服を着衣して、胴部に巻着付けた帯素材の両端部を背中側で結う基本的な帯の結い方によって、背中側に帯素材の一端を折り重ね、立体的に形成される帯の装飾形状部である。帯の一端は、“テ”と呼ばれ、他端は“タレ“と呼ばれる。お太鼓は、タレ部分を折重ね立体形状を形成し、お太鼓内部に配置される帯枕を巻いた帯揚げで締め付け形状を保持し、テを内部に挿入した上で、帯締めで固定される。
【0050】
図6のように、お太鼓11には、下に突出して垂れ下がったタレ11a部分、サイドから飛び出たテ11bを形成すると、より本物の着物のような外観となる。
【0051】
着脱式飾部の一例であるお太鼓11は、輪状に体に巻き付けられた部分の帯6aに、着脱可能に装着する着脱式飾部であり、上身頃2側に、鈎状の係止具11cを備え、上身頃2と帯6aとの間に係止具11cが挿入され、帯6aにお太鼓11を係止、脱落を防ぐ。さらに、留具11d、例えば、ボタンフック或いは面ファスナーで、上身頃2の背部又は/及び帯6aと係止され、帯6aとお太鼓11を密着させ、帯6aの背面側の連結構造を隠すとよい。
【0052】
下身頃7は、上身頃2の下端部に位置するとともに、人の背面側、さらに左右側面に位置する部分を開閉して着付ける。背面側、望ましくは本物の着物にある縫い線部分に位置する背面側の接続部材7n、例えば線ファスナーで、両端は隙間なく連結し、スカート状になる。下身頃7のその他の形状、構造は、通常の着物、実施例1と同様の形態を採用することができる。
【0053】
上下身頃2、7を上下で分割した二部式の場合には、下身頃7の上部にゴムバンドを備え腹部からの脱落を防止するとよい。また、上下身頃2、7を、実施例1同様に、上下身頃2、7縫製した面ファスナー2d、7eで位置可変に連結して、大多数の体格をカバーする丈サイズフリーとすることも可能である。
【0054】
このようにしてなる実施例
2の外観は、正に本物の着物と同様になり、撮影、着物を装着した活動も、本物の着物と同様にできる。装着の時間短縮になり、ドラマ、映画、記念撮影(写真、動画)、外国観光客のレンタル体験などに極めて有効である。
【実施例3】
【0055】
実施例2において、上身頃、衿部の背面両端も縫着し、セーター、Tシャツと同様に筒状にすることで、上身頃の下端から頭を内部に挿入し、被って着装することで、最も簡易な上身頃とすることができる。左右衿芯、左右半衿は、分割することなく1本とし、衿芯は、左右半衿の内部末端から着脱可能に挿抜する。帯部は、実施例1、2と同様にすればよい。下身頃も、実施例2において、背面両端を縫製しスカート状形状とする。正面側は、本物の着物のように重ね併せるだけとする。上下身頃を上下一体としても、上下二部式としてもよい。
【0056】
上下身頃を上下に分割する場合には、スカート状の下身頃上部は輪状に縫製した上で、下身頃の上部にゴムバンドを備え腹部からの脱落を防止するとよい。また、上下身頃2、7を、実施例1同様に、上下身頃2、7縫製した面ファスナー2d、7eで位置可変に連結して、大多数の体格をカバーする丈サイズフリーとすることも可能である。
【0057】
その際、臀部を通過させやすくするため、スカート状の下身頃側面には着装時に開閉して開口度を調節する線ファスナーを備えるとなお良い。このようにしてなる実施例3の外観は、正に本物の着物と同様になり、撮影、着物を装着した活動も、本物の着物と同様になる。
【実施例4】
【0058】
次に、本発明である着脱式飾部について説明する。一般に、帯は、一本の帯生地を胴に巻き付けた部分と、帯生地の両端を背面で立体的形状(意匠)に結い揚げた飾部からなり、別体の帯板と、帯枕と、帯揚げと、帯締めとともに使用される。
【0059】
お太鼓帯は、帯生地を着物の上で胴部に巻き付け、帯生地の両端を折り重ねて結った飾部を背中側に一体に備える。帯板は帯の形状を保持するため、帯の間に配置される板である。帯揚げは、太鼓部内に配置され帯枕を包み、帯に沿って巻き、腹部側で両端部が結ばれ、帯上部からその一部見られるように、帯の間に挟み込み、帯と着物の柄を調和させるとともに、お太鼓の形状を保持する。帯締めは、帯を固定するため紐等で、お太鼓部を通し、帯の上下方向中央部で帯に沿って巻き付け、腹部側で結ばれる。
【0060】
本発明では、飾部のない帯と、飾部のない帯に固定した帯締め及び帯揚げを、まとめて帯部と呼ぶ。なお、帯板を含む場合もある。また、衣類の上に巻かれる輪状の帯又は帯部と、帯に着脱可能な着脱式飾部を、併せて、簡易帯セットと呼ぶ。また、着脱式飾部は、背中に近い部分を下飾部と呼び、背中から遠く表から視認できる立体形状の意匠部分を上飾部と呼ぶこととする。上飾部は、結い、重ね、縫製等で、立体形状を演出すれば、いずれの手段で立体的な形状を保持してもよい。
【0061】
着脱式飾部の帯への装着方法としては、着脱式飾部に固定した鈎形状の係止部を帯部に係止する方法、ボタン、ホックなどの留具で帯、又は/及び左右上身頃の背面と着脱式飾部を連結する方法、同様に面ファスナーで着脱式飾部を吸着させる方法、またはそれらの組み合わせが例示できる。
【0062】
帯、飾部の素材としては、従来の帯素材、被服に用いる素材全般を採用することができ、例えば革、レース編みなど、特に制限はない。帯、飾部を革で形成すれば、従来にない斬新な着物を提供することができ、着物文化の改革、発展、海外展開に多いに貢献することとなる。
【0063】
次に、
図7−9を参照して、本発明の着脱式飾部の一例である、着脱式お太鼓についてより具体的に説明する。着脱式お太鼓12は、飾部12aと、一体帯枕13と、ネット14とからなる。
【0064】
飾部12aは、
図8の
図7のA−A断面に示すように、一本の帯生地を折り重ね、縫製して形状を保持するもので、背中(上身頃2)と帯6aの間に挟み込まれ、背部12kが背中側に位置する下飾部12dと、下飾部12dに連設するとともに帯生地を複数枚重ねて縫製してなり、帯部6の外側に位置する上飾部12eと、帯6aを挟持後、下飾部12dと上飾部12eの下端同士を連結する連結具、例えば面ファスナー12fとからなり、従来の帯と一体に折り重ねて形成させるお太鼓を、帯から分離して、縫製等で形状保持した、着物の胴体部に巻かれた輪状の帯を挟み折り畳んで、帯部6(帯6a)に着脱可能に取り付けられる。
【0065】
上飾部12eの側面からは、従来のお太鼓結び同様、テ12cを突出させ、下飾部12dの下端は、上飾部12eから突出し、視認できるタレ12gを形成すると、本物のような外観になりよりよい。テ12cは、上飾部12eと一体でも別体で縫製して保持してもよい。下飾部12dの内部には、クッション材12hを配置すると飾部12aの形状保持と、緩衝性を付与する。
【0066】
上下飾部12e、12dの連結部分の両端は、三形状に内側に折り返し、縫製して、着脱式お太鼓11の上部湾曲形状を保持するとよい。折り返し、縫製部を折込部12bという。折込部12bの折り返し線は、背中側の上部付近で上飾部12e方向からは視認できない位置にするとなおよい。
【0067】
一体帯枕13は、帯枕13bと、帯枕13bを包み下飾部12dの上部に縫製等或いは着脱可能に固定した帯揚げ13aとからなり、飾部12a上部の形状を保持する。帯揚げ13aの両端は、下飾部12dと返部12nの間に縫製等で固定すると見栄えがよい。帯枕13bに替え、折り畳み傘を取り出し可能に帯揚げ13aに収納し、飾部12aの形状を保持してもよい。その他、飾部12a内の帯揚げ部分を収納部とし、飾部12aの形状を保持することができる物品を収納しておくこともできる。
【0068】
ネット14は、
図8に示すように、上部開口の両内側に面ファスナー14b等の密着構造を備え、下飾部12dに固定される。ネット14には、例えば、オムツ15など、介護、小物を収納することができる。ネット14のほかに、他の袋状物を用いてもよい。また、開閉は面ファスナー14bの他、チャックなどでもよく、また上部でなく側面に開口を設けてもよい。
【0069】
これにより、これまでデットスペースであった飾部12aの間、ここでは上下飾部12e、12dの間に物品を収納することができる収納部を形成することができるようになるとともに、飾部12aの圧迫変形を防止することにも資する。ネット14の内部収納物を出し入れするときは、上飾部14dを下飾部14eから引き上げ外し、開口を開閉すればよい。
【0070】
次に、
図9を参照して、着脱式お太鼓12の装着方法について説明する。先ず
図9(A)に示すように、帯部6を着物に装着した上で、上下飾部12e、12dを開き、
図9(B)に示すように、背部12k側を背中側に位置させ、下飾部12dを上身頃2と帯6aの間に挿入する。そして、
図9(C)に示すように、上飾部12eをさげ、面ファスナー12f同士で、上下飾部12e、12dを連結することで、帯6aに係止する。その結果、着脱式お太鼓12で、従来のお太鼓結びのような立体形状を、簡易に帯6aに形成(係止)することができる。
【0071】
なお、ここでは、簡易着付け式着物1を用いて説明したが、従来の着物、帯であっても、着脱式お太鼓12を用いることができる。また、帯6aの両端は、三角形に切り落とした切欠き6rとすると、連結手段を左右1箇所でよくなり、狭い箇所での連結でも両端を連結しやすい。
【実施例5】
【0072】
次に、
図10を参照して、他の着脱式お太鼓16について説明する。本実施形態は、着脱式お太鼓12のネット14を、折り重ねて形成した上飾部12eの間に固定し、ネット14aとし、収納部としたもので、他の構成は、着脱式お太鼓12と同じである。
【0073】
図10(A)は着脱式お太鼓16の上飾部12eを上に持ち上げたときの背面側からの模式図、
図10(B)は上飾部12eをさげ、面ファスナー12f同士で、上下飾部12e、12dを連結したときの背面側(上飾部12e)からの模式図、
図10(C)は
図10(B)の状態での右側面模式図である。
【0074】
ネット14aは、側面にチャック14cを設けて側面開閉式とした。ネット14aであれば、上飾部12eの開閉が必要なく、収納物のネット14aへの出し入れが、ネット14より容易である。ネット14aに替え、上飾部12eの両サイドのみにネットを貼って、側面でチャック14c開閉式としてもよい。
【実施例6】
【0075】
次に、
図11を参照して、他の着脱式お太鼓12pについて説明する。本実施形態は、着脱式お太鼓12の一体帯枕13を、一体帯揚げ17に置換したものである。その他の構成については、着脱式お太鼓12と同様である。
【0076】
図11(A)は、着脱式お太鼓12pの上飾部12eを上に持ち上げたときの背面側からの模式図である。
図11(B)は、(A)の状態で背部12k側からの模式図である。
図11(C)は、着脱式お太鼓12aの上飾部12eをさげ、面ファスナー12f同士で、上下飾部12e、12dを連結したときの背面側(上飾部12e)からの模式図である。
【0077】
一体帯揚げ17は、帯枕13b(図示省略)と、帯枕13bを包み下飾部12dに固定されるとともに左右に突出した帯揚げ17aと、帯揚げの左右突出部に縫製されるとともに両端にバックル17e、17d等の係止具を設けたゴムバンド17b、17bからなる。
【0078】
帯揚げ17aの左右の長さは胴部を一周まける程度からジャバラ状等で余裕をもってゴムバンド17bに縫製(縫製線17c)する。ゴムバンド17bの一端は、ここでは、下飾部12dを構成する下飾部12dに折り返された帯生地端部である返部12nに縫製されている。背側に縫製されているため、装着時には、ゴムバンド17bの端部は視認されない。なお、ゴムバンド17bの端部を下飾部12dと返部12nの間に縫製すると見栄えがよい。
【0079】
ゴムバンド17bを用いることで、使用に際して伸縮し、大多数の体格をカバーするウエストサイズフリーの一体帯揚げ17にすることができる。
【0080】
このようにしてなる一体帯揚げ17は、胴部に巻き、正面側でバックル17e、17dを連結し、連結されたバックル17e、17dを帯の間に挿入し隠すことで、従来の帯枕、帯揚げのような機能を発揮するとともに、帯揚げを用いている外観となる上、装着が極めて簡易である。
【実施例7】
【0081】
次に、
図12を参照して、他の着脱式お太鼓18について説明する。本実施形態は、着脱式お太鼓12pの一体帯揚げ17を一体帯揚げ19に置換したものである。その他の構成については、着脱式お太鼓12pと同様である。
【0082】
図12(A)は、着脱式お太鼓18の上飾部12eを上に持ち上げたときの背面側からの模式図である。
図12(B)は、(A)の状態で背部12k側からの模式図である。
図12(C)は、着脱式お太鼓18の上飾部12eをさげ、面ファスナー12f同士で、上下飾部12e、12dを連結したときの背面側(上飾部12e)からの模式図である。
【0083】
一体帯揚げ19は、帯枕13b(図示省略)と、帯枕13bを包み下飾部12dに固定されるとともに左右に突出した帯揚げ19aと、帯揚げ19aの左右突出部に縫製され、かつ両端にバックル19e、19d等の係止具を設けるとともに背部12k側に位置する一本のゴムバンド19bと、ゴムバンド19bの長さを調節する調節部19cと、下飾部12dの背部12k側に固定されゴムバンド19bを係止する固定部12mとからなる。
【0084】
固定部12mは、例えば、背部12kの上部の左右に固定される二つ輪で、内部にゴムバンド19bを挿通する。
【0085】
ゴムバンド19bを用いることで、使用に際して伸縮し、さらに調節部19cで長さ可変となるので、一体帯揚げ17より、一層大多数の体格をカバーするウエストサイズフリーの一体帯揚げ19になる。使用方法は、一体帯揚げ17同様、胴部に巻き、正面側でバックル19e、19dを連結し、連結されたバックル19e、19dを帯の間に挿入し隠す。
【実施例8】
【0086】
次に、簡易帯について説明する。簡易帯は、帯生地を胴部に複数回巻き付けることなく、簡易に胴部に帯部を装着するものである。以下、具体的な実施の形態について、詳しく説明する。
【0087】
本発明の実施の一例である簡易帯20について、
図13を参照して説明する。
図13(A)は簡易帯20を展開したときの裏面、(B)は簡易帯20を展開したときの正面、(C)は簡易帯20を使用状態と同様に輪状に連結したときの正面、(D)は(C)の背面で背中側に位置する側の模式図である。
【0088】
図13に示すように、簡易帯20は、一体帯21と、ベルト部22からなる。一体帯21は、帯21aと、帯21aに挟み、帯21aの形状を整える帯板6bと、帯31aの正面に縫製等で固定した帯締め6dと、帯21aの上部に縫製等で固定した帯揚げ6cと、帯21aの裏面に固定したベルト部22を挿通、係止する通し21bからなる。
【0089】
帯21aは、帯生地を長手方向に水平方向に2つ折りに四隅を切欠き6rとした上で、左右、左右斜め上下、及び上限の両端部を縫製して、形状保持する。上辺の両端部の縫製とともに、帯揚げ6cを縫製して、帯21aの上部に固定してもよい。縫製されていない帯21aの上辺の中央は、一体帯21のクリーニングの際、帯板6bは出し入れするように開放している。クリーニングに耐える帯板6bであれば、帯板6bを挟んだ上で、上辺も完全に縫製して閉じてもよい。
【0090】
ベルト部22は、通し21bに挿通するゴムバンド22aと両端にバックル22c、22dと、ゴムバンド22aの長さ調節を可能にする調節部22bからなる。
【0091】
ゴムバンド22aを用いることで、使用に際して伸縮し、大多数の体格をカバーするウエストサイズフリーの簡易帯20にすることができる。
【0092】
このようにしてなる簡易帯20は、胴部に巻き、背面側でバックル22c、22dを連結すれば、装着が極めて簡易になる。さらに、本発明の着脱式飾部を係止すれば、連結部を隠すことができるとともに、本物の帯のような外観を短時間で形成、演出することができる。
【実施例9】
【0093】
本発明の実施の一例である簡易帯30について、
図14を参照して説明する。
図14(A)は簡易帯30を展開したときの裏面、(B)は簡易帯30を展開したときの正面、(C)は簡易帯30を使用状態と同様に輪状に連結したときの正面、(D)は(C)の背面で背中側に位置する側の模式図である。
【0094】
図14に示すように、簡易帯30は、一体帯31と、第一ベルト32、第二ベルト33からなる。
【0095】
一体帯31は、帯31aと、帯31aに挟み、帯31aの形状を整える帯板6bとからなる。帯31aは、帯21aから、帯締め6d、通し21bを除いたものである。
【0096】
第一ベルト32は、帯31aに縫製等で接続する幅狭部32bと、幅狭部32bに連設する幅広部32aと、幅広部32aの端部に設けられたバックル32cとからなる。第二ベルト33は、帯31aに縫製等で接続する幅狭部33bと、幅狭部33bに連設する幅広部33aと、幅広部33aの端部に設けられたバックル33cとからなる。ベルトは伸縮性のゴムとすることで、ウエストフリーの簡易帯30となる。
【0097】
バックル32c、33c同士は、ベルト部分を背中側でクロスさせ、正面側に回し、正面着脱可能に連結する。第一ベルト32と第二ベルト33を連結させ、帯31aを胴に固定するとともに、帯締めの意匠の代わりとする。バックル32c、33cには、デザインを施し、それを積極的に見せることで、斬新な帯締めとして利用する。
【0098】
幅狭部32b、33bは、
図14(D)に示すように、クロスさせやすくするように幅が狭く、さらに上下に位置をズラして帯31aに固定すると、着心地を損ねない。
【実施例10】
【0099】
次に、本発明の実施の一例である簡易帯40について、
図15を参照して説明する。
図15における模式図の配置は
図14と同様である。
【0100】
また、簡易帯40は、簡易帯30の一体帯31の帯31aに、一方の端部よりに1箇所穴41bを穿設させ、ベルト部分を同一幅のベルト(ゴムベルト42a、43a)に変更し、一方のベルト、ここでは第二ベルト43を挿通させたものである。その他は、簡易帯30と同様である。簡易帯40のようにクロスさせることなく、ベルトを胴部に回し、バックル43b、43bを連結することができ、背面の外観をすっきりさせることができる。
【実施例11】
【0101】
次に、本発明の実施の一例である簡易帯50について、
図16を参照して説明する。
図16における模式図の配置は
図14と同様である。
【0102】
また、簡易帯50は、簡易帯40の第一ベルト42にゴムバンド42aの長さを調節する調節部42aを設け、バックル42cにゴムバンド42aを輪状に通し、長さ調節する。その他は、簡易帯40と同様である。ゴムバンド42a、43aを簡易帯40のようにクロスさせることなく、ベルトを胴部に回し、バックル43b、43bを連結することができ、背面で帯51aを一部重ねることで隙間をなくし、外観をすっきりさせることができる。
【実施例12】
【0103】
次に、鞄として利用できる着脱式飾部について説明する。
図17に示す着脱式飾部60は、
図11の着脱式お太鼓12pにおいて、第一に下飾部12dの左右に、バックル62e、63eと連結するバックル64、65を設けた点、第二に一体帯揚げ17において左右の帯揚げ及びゴムベルト62b、63bをバックル61a、61bで着脱可能にした点が異なる。上下飾部で、帯6aを挟持しても、挟持せずに帯6aに位置させてもよい。
【0104】
バックル64、65とバックル62e、バックル63eをそれぞれ連結することで、
図17(C)に示すように、飾部12aの左右に輪が2つ形成される。それら輪は、肩ベルト62、63となる。肩ベルト62、63を肩に掛けることで、飾部12aを背負式で、帯の背中位置に位置させることができる。背部12kと帯、或いは上身頃とを面ファスナーで連結すれば、安定して、飾部12aを帯6aに位置させることもできる。
【0105】
バックル61a、61bを採用することで、肩ベルト62、63の種類、長さを交換でき、バリエーションの幅が格段に広がる。また、背部12kに、帯又は上身頃に係止できる留具を設けることで、飾部12aの位置を安定固定することができる。もちろん、バックルを用いることなく、肩ベルトを直接、飾部に固定してもよい。
【0106】
また、肩掛けで、飾部12aを帯の位置に位置させず、一体帯枕61のバックル62e及び63eを正面で連結すれば、着脱式お太鼓12pのように飾部12aを係止することもできる。その際、バックル61a、61bを背部12k側に折曲げれば視認されない。さらに、バックル61a、61bを下飾部12dに収納できるよう、下飾部12dに袋を形成してもよい。
【0107】
他方、
図18に示すように、着物にお太鼓として利用することなく、バックル63e、62eを
図18(B)のように連結すれば、肩ベルト62と肩ベルト63で1つの輪が形成され、ショルダー、手提げバッグ66としても利用できる。その際、バックル64、65を下飾部12dに収納するとよい。もちろん、背負いバッグとしても利用できる。
【実施例13】
【0108】
次に、本発明の着脱式飾部の実施の一例である背負式飾部70について、
図19を参照して説明する。
【0109】
背負式飾部70は、
図19に示すように、児童が通学時の教材入れに使用する、背負式のランドセル形状或いはリュックサック形状であり、収納部71と、蓋73と、左肩ベルト74と、右肩ベルト75と、必要に応じて収納部71の上部等に小収納部72を備えてなる。なお、収納部71、蓋73、左右肩ベルト74、5の形状、素材、収納方式は特に限定されるものではない。収納部71、蓋73が、従来の帯の飾部に相当し、本発明は、簡易装着、着脱式の飾部である。
【0110】
収納部71は、内部にスペース71aを有し、例えば上部に開口71bを残した略直方体形状等の形を、例えば革を縫製等で成形してなる。蓋73、左右肩ベルト74、75も同様の素材が採用できる。また、収納部71の内部スペース71aは、複数の区画に区分けされていてもよい。
【0111】
蓋73は、収納部71に1辺(例えば上端)が接続し、他端(例えば下端)が収納部71に着脱自在に係止され、開口71bの開閉をする。蓋73の外表面に、各種デザインを施した意匠を取り付けてもよい。収納部71と蓋73との係止は、それぞれに固定された面ファスナー等の係止具71c、73aとの着脱が例示できる。
【0112】
左右肩ベルト74、75は、収納部71の背部71d側に位置する2本の輪で、それぞれに左右の腕を通し、肩に掛けられる。その結果、収納部71が帯76の位置に位置する。なお、帯は、胴部に巻かれた帯であれば特に制限されない。
【0113】
また、左右肩ベルト74、75は、上下に2つ固定したフックボタンなどの係止具74b、74c、75b、75cで、収納部71に着脱自在に取り付けられるとよい。それにより、長さ、素材の材質を含むデザイン変更が可能になり、多数のバリエーションを提供できる。
【0114】
また、左右肩ベルト74、75を2重ベルトとして、長さ調節具を用いて、ランドセルの肩ベルトのように、長さ可変にしてもよい。さらに、左右肩ベルト74、75には、着物のデザインに合う生地で飾り74a、75aを縫製等で付加してもよい。
【0115】
ランドセル、リュックサック形状の革製の簡易装着可能な背負式飾部70であれば、形状が保持されるため、帯枕を備えなくともよい。他方、革製でない他の被服生地の場合には、縫製のみでは形状保持が困難ため、従来の帯枕を、収納部71の上部に固定、収納して形状保持してもよい。例えば、チャック72aによる開閉式の小収納部72に、折り畳み式傘72b等の形状を保持可能な物品を収納してもよい。小収納部72は、帯揚げと同一、又は帯揚げとマッチする生地などで縫製すると、デザインに統一が図れる。収納部71が革製、布製に限らず、折り畳み傘72bを小収納部72に収納すれば、飾部に相当する収納部71及び蓋73の形状保持と雨天の場合の雨具ともなり便利である。
【0116】
また、背負式飾部70は、背負式で飾部に相当する収納部71を帯76の位置に位置させるため、帯締めによる収納部71の固定も必要ではないが、収納部71の位置をより安定させるため、帯6a又は/及び上身頃と背部71dに面ファスナー71e等の係止具を備え、係止具の連結で、収納部71の帯76位置での固定を補助してもよい。
【0117】
ランドセル、リュックサック形状の背負式飾部70は、例えば、
図13、14、15、16の簡易帯とともに使用するとよい。特に、
図16の簡易帯50とともに使用すれば、外出時に背負式飾部70を下ろしたとしても、着物の背中は、違和感のない外観となるので好ましい。その他の飾部のない帯とともに使用することができる。このような背負式飾部70であれば、着物の装いであっても、別途、鞄を携帯することなく、外出時の小物の携帯が容易であり、両手があき作業性がよい。