(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6106819
(24)【登録日】2017年3月10日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】キックボード
(51)【国際特許分類】
A63C 17/01 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
A63C17/01
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-4727(P2017-4727)
(22)【出願日】2017年1月13日
【審査請求日】2017年1月13日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305025795
【氏名又は名称】井手 昊基
(72)【発明者】
【氏名】井手 昊基
【審査官】
中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3073082(JP,U)
【文献】
特開2004−275482(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/4341(US,A1)
【文献】
米国特許第6554302(US,B1)
【文献】
国際公開第2012/71595(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 17/00−17/28
B62M 1/00−1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立ち乗り式のキックボードに於いて、メインフレームの前端部を上下方向に立てた構造とし、その立てたメインフレームを上下に移動可能に係合した連結部材でメインフレームと前輪側ヘッドパイプを連結し、前輪を径の違う車輪に付け替えても連結部材を上下にずらすことで立ち乗りするメインフレームデッキ部の地面からの高さを調整できるようにしたヘッドパイプとメインフレームの結合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、キックボードのヘッドパイプとメインフレームの結合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キックボードには、携帯性重視の小径車輪のもの、走行性重視の大径車輪のものなど各種現存している。以下に従来の事例を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3073082
【特許文献2】特開2004−275482
【特許文献3】米国特許出願公開第2004−0004341号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
【特許文献1】は車輪が小径で且つデッキボードの先端部で折りたためるようになっており、折りたたんだ状態がコンパクトで携帯性が良いためこのタイプのものは広く普及している。
【特許文献2】は車輪が若干大きく、特許文献1同様にデッキフレームの前端部分で折りたたむ構造であるが、折りたたみの方向を逆向きとし前後輪が近接するようにしている。ただしコンパクトさは特許文献1ほどではなく携帯するには難がある。
【特許文献3】は普通の自転車と同程度に大きい車輪の本格的なキックスケーターであり、ヘッドパイプから後輪の取り付け部まで一体のフレームで構成されている。携帯には不向きであるが車輪が大きいため荒れた路面など、どんな路面でもスムーズに走ることができる。
【0005】
以上、従来のキックボードにあっては、携帯性や走行性の良さによって車輪の小さいものと大きいものが使い分けられており、何れのキックボードにあっても大小両方の車輪を適用することは想定されていない。
【発明の効果】
【0006】
前輪を大径にも小径にも組み替えられることにより、荒れた路面での走破性が欲しい場合あるいは携帯性をよくしたい場合など、使用する場面に応じて望ましい車輪に組み替えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図1に対して単に前輪を小径車輪に置き換えた状況の図である。
【
図5】
図1に対して前輪とヨークを小径品に組み換えた図である。
【
図8】
図6に対しキャスター角とキャスタートレールを変化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して説明する。
図1は本願発明の第1の事例の側面図である。
図2は
図1のAA断面図である。
メインフレーム3の前端部を上下方向に立てた構造とし、連結板7でメインフレーム3とヘッドパイプ10を連結している。連結板7はメインフレーム3およびヘッドパイプ10に挿入された両側のクランプ6にボルト8とナット9で締結されており、また締結によって同時にクランプ6はメインフレーム3およびヘッドパイプ10に固定されている。
前輪1は悪路等でも走破性を良くするために大径の車輪とし、後輪2はコンパクト化するために小径の車輪としている。尚、後輪2は小径であっても引きずられようにして路面の凹凸も比較的容易に走破し、小径前輪で凹凸路を走る場合ほどの支障はない。
【0009】
図3は
図1に対して単に前輪を小径車輪に置き換えた状況の図である。
単に前輪1を小径品に組み替えただけではメインフレーム3の姿勢が低くなり地面と干渉してしまう。
図4は
図3に対して前輪を下げた状態の図である。
メインフレーム3側のクランプ6のボルト8とナット9を緩め、
図1のメインフレーム3の姿勢を保ちつつクランプ6を下方にスライドして前輪1が接地する位置でクランプ6を固定しており、
図1と同じメインフレーム3と地面との隙間が確保される。
【0010】
図5は
図1に対して前輪とヨークを小径品に組み替えた図である。
図4に比べてヨーク5が小さい分ヘッドパイプ10の位置も低くなり、結果メインフレーム3側のクランプ6の位置は
図4よりもさらに低い位置となっている。
【0011】
図6は本願発明の第2の事例の側面図である。
図7は
図6のAA断面図である。
図1に対して連結板7をリンクに置き替えたものである。連結リンクA11と連結リンクB12を交差するようにヘッドパイプ10とメインフレーム3に挿入された両側のクランプ6と連結し、また交差部に於いては左右両側のリンクをスペーサー13を挟んでボルト8とナット9で締付けている。
連結リンクA11と連結リンクB12はボルト穴を複数設けまた長穴としてヘッドパイプ10とメインフレーム3の間の取り付けスパンを調整できるようにし、交差部で左右両側のリンクを締付けることでメインフレーム3に対するヘッドパイプ10の上下前後方向のずれや左右方向のねじれに対する強度を高めている。
【0012】
図8は
図6に対してキャスター角とキャスタートレールを変化した図である。
キャスタートレールは引きずり効果によって走行時の直進性を良くするものであるが、逆に静止時には車輪接地部の地面からの反力によってキャスター軸回りに車輪が倒れようとする力が働き不安定となる。
本願発明によればキャスター角キャスタートレールを変えることで乗る人が好みに合せた直進性に調整することが可能であり、このキャスター角を調整できることは径の違う車輪に組み替える際に特に有益である。
【0013】
以上、本願発明は使用する場面に応じて望ましい径の車輪に取り換えることでき、またキャスター角を変えて好みの走行直進性に調整できるため1つのキックボードにおいての活用の巾が広がり、走行の面白さを増すものである。
尚、本願発明をベースにメインフレーム3やハンドルポスト4を折りたたみ式とすることは当然に実施されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0014】
前輪をサイズの違うものと取り換え可能で、またキャスター角を変えられる新しい機能を付加したキックボードとして活用が期待される。
【符号の説明】
【0015】
1 前輪
2 後輪
3 メインフレーム
4 ハンドルポスト
5 ヨーク
6 クランプ
7 連結板
8 ボルト
9 ナット
10 ヘッドパイプ
11 連結リンクA
12 連結リンクB
13 スペーサー
【要約】
【課題】
使用する状況に応じて、コンパクトで携帯に都合の良い小径車輪や、荒れた路面での走破性が良い大径車輪に前輪を交換できるキックボードを提供する。
【解決手段】
メインフレームの前端部を上下方向に立てた構造とし、その立てたメインフレームを上下に移動可能に係合した連結部材でメインフレームと前輪側ヘッドパイプを連結し、前輪を径の違う車輪に付け替えても連結部材を上下にずらすことで立ち乗りするメインフレームデッキ部の地面からの高さを調整できるようにしたヘッドパイプとメインフレームの結合構造とした。
【選択図】
図5