特許第6106827号(P6106827)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6106827
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】ユニット部材
(51)【国際特許分類】
   E03F 1/00 20060101AFI20170327BHJP
   E03B 3/02 20060101ALI20170327BHJP
   E03B 3/03 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   E03F1/00 A
   E03B3/02 Z
   E03B3/03 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-246746(P2012-246746)
(22)【出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2014-95214(P2014-95214A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−222886(JP,A)
【文献】 特開2002−309658(JP,A)
【文献】 特開2011−149269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00−3/06
E03B 3/02−3/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に向かって漸次小径となる載頭円錐形状に形成されている外側中空体の内部に、下端に向かって漸次小径となる載頭円錐形に形成されている内側中空体を、その上端部において、水平状縁取面部を介在させて連設して成るユニット部材であって、
外側中空体の上端部内壁に所要数の安定支持用第1突起を突設し、内側中空体の下端部内壁に所要数の安定支持用第2突起を突設し、上記形態のユニット部材を所要数、上下を互い違いに逆転させて縦方向に連結した状態において、対向する上下の安定支持用第1突起の間に補強用筒体Aを、また、対向する安定支持用第2突起の間に補強用棒状体Bを、若しくは、前記補強用筒体A、補強用棒状体Bの何れか一方を、立設支持させるように構成したユニット部材。
【請求項2】
外側中空体を載頭四角錐状に形成して成る請求項1に記載のユニット部材。
【請求項3】
安定支持用第1突起及び安定支持用第2突起を夫々同一高さ位置に三個以上等間隔で設けるように構成した請求項1または請求項2の何れかに記載のユニット部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通水性を有する構造体、自然水を貯蔵する構造体、或いは、水上に浮かべ、若しくは水中に沈める構造体、その他各種用途に使用することができる構造体を構築するためのユニット部材であって、所要数を前後左右に連結することに依って、前記したような構造体の構築を図るためのものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上述したような各種の構造体を構築するためのユニット部材としては、内外二つの円錐状筒体を組み合わせたもの(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)、これに横方向の連結用盤体を設けたもの(例えば、特許文献3参照。)等が存在する。
そして、これらのユニット部材は、その縦方向の連結手段として、互いの隣接部分に設けた連結機構に依存するように構成したものであった(例えば、特許文献1参照。)。 そして、当該連結のための補強手段を別個に設けることは行われていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4084437号
【特許文献2】特許第3930577号
【特許文献3】特開2003-22475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述したようなユニット部材の縦方向の補強性を図り、当該補強のための作業が極めて容易かつ安定してなされると共に、極めて合理的なる補強目的が達成されるように構成した新規のユニット部材の提供を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は請求項1に記載のように、先端に向かって漸次小径となる載頭円錐形に形成された外側中空体1の内部に、下端に向かって漸次小径となる載頭円錐形に形成されている内側中空体2を、その上端部において、水平状縁取面部3を介在させて連設して成るユニット部材であって、外側中空体1の上端部内壁に所要数の安定支持用第1突起7を突設し、内側中空体2の下端部内壁に所要数の安定支持用第2突起8を突設し、上記形態のユニット部材所要数を、上下を互い違いに逆転させて縦方向に連結した状態において、対向する上下の安定支持用第1突起7の間に補強用筒体Aを、また、対向する安定支持用第2突起8の間に補強用棒状体Bを、若しくは、当該棒状体A,Bの何れか一方を、立設支持させるように構成したユニット部材に係る。
【0006】
本発明は請求項2に記載のように、外側中空体を載頭四角錐状に形成して成る請求項1に記載のユニット部材を実施の態様とする。
【0007】
本発明は請求項3に記載のように、安定支持用第1突起7及び安定支持用第2突起8を夫々同一高さ位置に三個以上等間隔で設けるように構成した請求項1または請求項2の何れかに記載のユニット部材を実施の態様とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明請求項1に記載のような構成に基づき、縦方向に連なるユニット部材相互の連結性が極めて強力化される。 すなわち、図1に示すように、補強用筒体Aと補強用棒状体Bが中心柱のような存在となり、そのため、ユニット部材相互の連結性が高められると同時に、強度的増強化、特に水平強度が著しく高められることとなる。
【0009】
また、補強用筒体Aと補強用棒状体Bとの何れか一方を設けることに依り、強度的増強性が高められるのは当然であるが、これを両方用いた場合は、相乗的効果が生じてより一層強力なる強度増強が図られる。 すなわち、図1に示すように、取り付けられる補強用筒体Aと補強用棒状体Bは、一方の端部が他方の中央に位置すると言うように、互い違いとなるように取付けられるため、強度的弱点とする互いの連接部分を互いの中央部分でカバーすると言うような強度的補強効果が奏される。 換言すると、補強用筒体Aと補強用棒状体Bを端部が並んだ状態で取り付けられた場合、弱点とする連接部が並んでしまうため、補強上の問題点とされるが、本発明にあっては上記構成に基づきこのような問題を解消する。
【0010】
なお、補強用筒体Aと補強用棒状体Bとは口径の相違から強度的相違が存在すると同時にコスト的な差異も存在する。 従って、使用目的に基づく必要強度に応じて、何れか一方を設けることにより、構築コストの低廉化を図ることができる。
【0011】
また、補強用筒体Aと補強用棒状体Bを構築物の高さに対応させた一本のものとした場合、これの挿通作業は極めて困難化するばかりでなく、地震発生時の横振れに対して弱いと言うような問題が生じてしまう。 これに対して本発明はユニット部材2個に対して1本と言うように分割化してあるため、このような横振れに対しては、その連接部で振れ動きを吸収するため、一種の免震作用が奏されることとなる。
【0012】
本発明は請求項2に記載のような構成、すなわち、外側中空体を四角錐状に形成したものを用いることに依り、複数個連結した状態において角柱状を呈するようなユニット部材に対する実施も可能化される。 従って、本発明の汎用性が高められる。
【0013】
本発明は請求項3に記載のような構成、すなわち、安定支持用第1突起及び安定支持用第2突起を夫々同一高さ位置に三個以上等間隔で設けるように構成することに依って、必要とする補強強度に応じて、その数を適宜設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の連結状態を表した説明用縦断面図である。
図2】本発明の実施対象とするユニット部材の一例を表した斜視図である。
図3】同上縦断面図である。
図4図3におけるX―X線端面図である。
図5図3におけるY―Y線端面図である。
図6】本発明の実施対象とするユニット部材の他例を表した斜視図である。
図7】同上説明用縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施対象とするユニット部材は、先端に向かって漸次小径となる載頭円錐形または四角錐状に形成されて外側中空体の内部に、下端に向かって漸次小径となる載頭円錐形に形成されている内側中空体を、その上端部において、水平状縁取面部を介在させて連設するように構成したユニット部材を実施対象とするものである。
【0016】
図1乃至図5は本発明の第1の実施例を表したものである。 同図において、1は先端に向かって漸次小径となる載頭円錐形を呈する外側中空体、2は下端に向かって漸次小径となる載頭円錐形に形成されている内側中空体であって、両者はその上縁において、水平状縁取面部3を介在させて連設してある。
【0017】
4は外側中空体1の下端縁に連設した十文字状を呈する盤体であって、図1に示すように縦方向に連ねる際の互いの安定化と、横方向に連ねる際の連結片としての役割を担うものである。
【0018】
5及び6は上記した水平状縁取面部3に形成した連結用突起と連結用係合孔を示し、縦方向に連結する際に係合させるためのものである。
【0019】
7は外側中空体の上端部内壁に所要数突設した安定支持用第1突起であって、補強用筒体Aに対する端部の安定的支持と中心保持を成すためのものである。 すなわち、図1に示すように、外側中空体1と内側中空体2との間に補強用筒体Aを挿し込んだ際、その端部外面が当該安定支持用第1突起7に圧接され、その安定支持と中心保持が成されるように構成してある。
【0020】
また、上記した安定支持用第1突起7であるが、これは等高にして等間隔に3個以上設けることに依って、補強用筒体Aの正確なる中心合せが出来るように構成してある。 更に、当該安定支持用突起7の形状であるが、その全長は垂直縁状を保つと共に、その受け入れ端側は弧状に形成することに依って、補強用筒体Aの端部受け入れの円滑性が図られるように構成してある。
【0021】
8は内側中空体2の下端部内壁に所要数突設した安定支持用第2突起であって、補強用棒状体Bに対する端部の安定的支持と中心保持とを成すためのものである。 すなわち、図1に示すように、内側中空体2内に補強用棒状体Bを挿し込んだ際、その端部外面が当該安定支持用第2突起8に圧接され、その中心位置での安定的支持が成されるように構成してある。
【0022】
なお、上記した補強用棒状体Bであるが、これは筒状のものであっても丸棒状のものであつても可とする。
【0023】
更に、上記した安定支持用第2突起8であるが、これは等間隔で3個以上設けることに依って、補強用棒状体Bの正確なる中心合せが出来るように構成してある。 更に、当該安定支持用第2突起8の形状であるが、その全長は垂直縁状を保つと共に、その受け入れ端側は弧状に形成することに依って、補強用筒体Aの端部受け入れの円滑性が図られるように構成してある。
【0024】
本発明に係るユニット部材は、図1に示すように所要数を互いに逆転させた互い違いの状態で縦方向に連結して構築物建設に供するものである。 この時、同図に示すように、安定支持用第1突起7を介して補強用筒体Aの取付け、または、安定支持用第2突起8を介して補強用棒状体Bの取付けを行うことに依り、各ユニット部材相互の連結の補強性、並びに中心合せがなされることと成る。 なお、上記した補強用筒体Aと補強用棒状体Bの取付けは、何れか一方だけを用いるようにしても良い。
【0025】
図6及び図7は本発明の他の実施例を表したものである。 すなわち、同図に示す実施例と前述した実施例との大きな相違は、対象とするユニット部材を、前述した実施例の場合は外側中空体1が載頭円錐形を呈するものであるのを、載頭四角錐状を呈するものとした点にある。 これは構築対象または用途に応じて任意選定する事項、すなわち、ユニット部材を用いて円柱状の構築を行う場合と、角柱状の構築を行う場合とに使い分ける程度の相違であり、ユニット部材と言う基本的形態上の構成及び作用効果は殆ど同一である。
【0026】
図6及び図7において、11は先端に向かって漸次小径となる載頭四角錐形を呈する外側中空体、12は下端に向かって漸次小径となる載頭円錐形に形成されている内側中空体であって、両者はその上縁において、水平状縁取面部13を介在させて連設してある。
【0027】
15及び16は連結用突起と連結用係合孔を示し、17は安定支持用第1突起、18は安定支持用第1突起8を示し、これらは述した第1実施例の場合と同様な形態および使用目的が果たされるものである。 19は内側中空体12の端部小径面に開設した水抜き用孔である。
【0028】
そして、当該第2実施例の場合も第1実施例の場合と同様に、図7に示すように補強用筒体Aと補強用棒状体Bの両者、または何れか一方の取付けがなされるように構成してある。
【0029】
なお、上述した第1実施例と第2実施例の何れの場合も、その連結形態は縦方向だけではなく、図面には示していないが左右方向にも互いに連結することができるようにな適宜手段を採るものとする。
【符号の説明】
【0030】
A 補強用筒体
B 補強用棒状体
1 外側中空体
2 内側中空体
3 水平状縁取面部
4 盤体
5 連結用突起
6 連結用係合孔
7 安定支持用第1突起
8 安定支持用第2突起
11
外側中空体
12 内側中空体
13 水平状縁取面部
15 連結用突起
16 連結用係合孔
17 安定支持用第1突起
18 安定支持用第2突起
19
水抜き用孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7