(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6106870
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】リチウム電池用電極活物質
(51)【国際特許分類】
C01B 32/152 20170101AFI20170327BHJP
C01B 32/158 20170101ALI20170327BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20170327BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20170327BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20170327BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20170327BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20170327BHJP
【FI】
C01B31/02 101F
H01M4/36 B
H01M4/36 E
H01M4/38
H01M4/587
H01M4/04 A
H01M4/134
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-54385(P2013-54385)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-177389(P2014-177389A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年2月23日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 表面技術協会第127回講演大会 講演要旨集(平成25年3月6日)講演番号P−31(第47頁)、講演番号P−32(第48頁)にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 寿浩
(72)【発明者】
【氏名】神田 雄介
【審査官】
壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−335968(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0193764(US,A1)
【文献】
特表2013−506264(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0321959(US,A1)
【文献】
特開2005−166414(JP,A)
【文献】
特表2010−525549(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0261116(US,A1)
【文献】
特表2009−521082(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0280207(US,A1)
【文献】
特開2008−050239(JP,A)
【文献】
特開2008−066230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B32/00−32/991
H01M4/00−4/62
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ダイヤモンド触媒微粒子を核として繊維状のナノ炭素材料が放射状に形成されたマリモカーボンの空隙に、Si微粒子が内包されてなる、ナノ炭素材料複合体。
【請求項2】
前記マリモカーボンの直径は、1μm〜100μmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のナノ炭素材料複合体。
【請求項3】
前記Si微粒子は、多結晶であることを特徴とする、請求項1に記載のナノ炭素材料複合体。
【請求項4】
酸化ダイヤモンド触媒微粒子を核として繊維状のナノ炭素材料を放射状に形成するマリモカーボンの形成工程と、
前記マリモカーボンを反応槽に収容し、該反応槽を排気した後で、化学蒸気堆積法によりSi微粒子を前記マリモカーボンの空隙に析出する工程と、
を、含むナノ炭素材料複合体の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3の何れかに記載のナノ炭素材料複合体を用いたことを特徴とする、二次電池。
【請求項6】
請求項1〜3の何れかに記載のナノ炭素材料複合体を、活物質に用いたことを特徴とする、Liイオン電池用活物質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ炭素材料複合体及びLiイオン電池用活物質、さらにはナノ炭素材料複合体を製造する方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、マリモカーボンの空隙中にSi微粒子が内包されたナノ炭素材料複合体と、これを利用したLiイオン電池用活物質、並びにナノ炭素材料複合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池の電極材料が研究されている。現状のリチウムイオン電池の負極の材料は、一般にカーボンが使用されており、理論容量は370mAh/gである。さらに大きな理論容量を得るためにリチウムイオン電池の負極の材料が検討されている。
【0003】
リチウムイオン電池の負極にSi(シリコン)を用いた場合(非特許文献1参照)の理論容量は、負極にカーボンを用いた場合に比較して、大凡4倍以上、少なくとも1500mAh/g以上が期待されている。Siからなる負極をSi負極と呼ぶ。
【0004】
しかしながら、従来のSi負極を用いたリチウムイオン電池の充放電は、100回程度が限界であり、実用化されていない。
【0005】
Si負極を用いたリチウムイオン電池の充放電の回数が100回程度であるのは、Si負極が充放電する際に膨張と収縮により劣化することに起因している。このため、リチウムイオン電池の充放電特性を改善するためにSi負極の研究が盛んに行われている。
【0006】
さらに、リチウムイオン電池の電極材料には、伝導性の向上のために導電助剤が添加されている。導電助剤は、例えばカーボンブラックである。このため、リチウムイオン電池の電極を形成する際には、電極材料、カーボンブラック及びバインダーが均一に混合された状態にすることが重要となる。
【0007】
ナノサイズのカーボンブラックは凝集しやすく均一に分散させることは難しい。このような状態であるとカーボンブラックを添加しても伝導性が低いままである。
【0008】
図6は、従来の電極材料101に添加されたナノサイズのカーボンブラック102の分散状態が良好でない場合を模式的に示す図である。
図6に示すように、電極100は、電極材料101に導電助剤としてカーボンブラック102等が添加されて形成されている。カーボンブラック102は凝集しているので、図に示すようにカーボンブラック102が存在しない不活性な領域103が生じる。このように、電極材料101に導電助剤としてカーボンブラック102を添加しても、カーボンブラック102が凝集するため不活性な領域103が生じることで、電極の伝導性は直ちには改善され難い。
【0009】
特許文献1には、ナノ炭素材料微粒子として、マリモ様の形状をしたカーボンが開示されている。マリモ様のカーボンは、酸化ダイヤモンド触媒微粒子を核として、ナノメートル(nm)サイズの径を有するカーボンナノ繊維が放射状に、恰もマリモのように成長した球状の形状を有している。
【0010】
図7は、特許文献1に開示されたマリモ様のカーボン(以下、マリモカーボンと称する。)の製造装置110の構成を示す。
図7に示すマリモカーボン製造装置110は、流動気相合成装置とも呼ばれており、酸化ダイヤモンド触媒微粒子112が投入される垂直に配設された反応槽113と、反応槽113の下部及び上部にそれぞれ設けられた炭化水素からなるガス114を導入する導入口115と、ガス114を排出する排出口116と、反応槽113を取り囲んで配設される加熱装置117と、酸化ダイヤモンド触媒微粒子112を通過させないがガス114を通過させるフィルター118、等とから構成されている。混合装置120は、炭化水素からなるガス114に、反応補助ガスや希釈ガス119を混合するために配設されている。
【0011】
特許文献1によれば、酸化ダイヤモンド触媒微粒子が反応槽113中で浮遊し、かつ、撹拌されるので、炭化水素からなるガス114を導入し、反応槽113を電気炉で加熱すると、酸化ダイヤモンド触媒微粒子112の全表面に亘って触媒反応が均等に起こる。これにより、酸化ダイヤモンド触媒微粒子112の全表面に亘って長さの等しいナノ炭素材料が放射状に成長し、マリモ状の微粒子、つまり、マリモカーボンが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−335968号公報、米国特許7,608,331,B2
【特許文献2】特開2004−277241号公報
【特許文献3】特開2005−136020号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】J. Electrochem. Soc., Volume 155, Issue 2, pp. A158-A163, 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の負極材料中にナノサイズの固体のカーボンを均一に分散させることは、
図6に示すようにカーボンが凝集してしまうため非常に難しいという課題があった。
【0015】
本発明は上記課題に鑑み、ナノ炭素材料が凝集し難いナノ炭素材料複合体及びLiイオン電池用活物質並びにその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者等は、鋭意検討し、マリモカーボンを構成するカーボンナノ繊維の間に形成される空隙にSi微粒子を内包できることを見出し、本発明に想到した。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明のナノ炭素材料複合体は、酸化ダイヤモンド触媒微粒子を核として繊維状のナノ炭素材料が放射状に形成されたマリモカーボンの空隙に、Si微粒子が内包されてなる。
【0018】
上記構成において、マリモカーボンの直径は、好ましくは、1μm〜100μmの範囲である。Si微粒子は、好ましくは多結晶である。
【0019】
本発明のナノ炭素材料複合体の製造方法は、酸化ダイヤモンド触媒微粒子を核として繊維状のナノ炭素材料を放射状に形成するマリモカーボンの形成工程と、マリモカーボンを反応槽に収容し、反応槽を排気した後で、
化学蒸気堆積法によりSi微粒子をマリモカーボンの空隙に析出するSi微粒子の析出工程と、を含む。
【0021】
本発明のリチウムイオン電池は、上記の何れかに記載のナノ炭素材料複合体を用いたことを特徴とする。
【0022】
本発明のLiイオン電池用活物質は、上記の何れかに記載のナノ炭素材料複合体を、活物質に用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のナノ炭素材料複合体によれば、マリモカーボンを構成するカーボンナノ繊維の空隙にSi微粒子を内包することにより、Si微粒子をカーボンナノ繊維中に均一に分散させることができ、例えばリチウムイオン電池等の活物質、特に、負極や負極用活物質等に用いることが可能となる。
【0024】
本発明のナノ炭素材料複合体の製造方法によれば、マリモカーボンにSi微粒子を化学上蒸気堆積(Chemical Vapor Deposition、CVD)で堆積させることにより容易にナノ炭素材料複合体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明のナノ炭素材料複合体の構造を模式的に示す図である。
【
図2】ナノ炭素材料複合体を構成するマリモカーボンの構造を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の複数のナノ炭素材料複合体からなる構造を模式的に示す図である。
【
図4】本発明のナノ炭素材料複合体の製造に用いるCVD装置を模式的に示す図である。
【
図5】本発明のナノ炭素材料複合体の製造方法を説明するフロー図である。
【
図6】従来の電極材料に添加されたナノサイズのカーボンの分散状態が良好でない場合を模式的に示す図である。
【
図7】特許文献1に開示されたマリモカーボンの製造装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のナノ炭素材料複合体1の構造を模式的に示す図であり、
図2は、
図1のナノ炭素材料複合体1を構成するマリモカーボン2の構造を模式的に示す図である。
図1に示すように、本発明のナノ炭素材料複合体1は、マリモカーボン2とSi微粒子3とからなり、マリモカーボン2の空隙2aにSi微粒子3が内包された構造を有している。つまり、ナノ炭素材料複合体1は、酸化ダイヤモンド触媒微粒子4を核として繊維状のナノ炭素材料が放射状に形成されたマリモカーボン2の空隙2aに、Si微粒子3が内包されて構成される。
図1では、外形を点線で示す空隙2aに、Si微粒子3が分散している。
【0027】
図2に示すように、マリモカーボン2は、酸化ダイヤモンド(sp
3炭素)に担持された触媒、つまり酸化ダイヤモンド触媒微粒子4を介して形成されたsp
2炭素からなる繊維状のカーボンナノ繊維2b(Carbon Nano Filament、CNFとも呼ばれている。)が、放射状に0.1μmから10μmの長さに伸びており、恰もマリモのように全体として球形状を呈している。即ち、マリモカーボン2は、球状のカーボンナノ繊維2bで構成されている。
【0028】
本発明のナノ炭素材料複合体1においては、
図1に示すように、マリモカーボン2の空隙2aの外側には、マリモカーボン2を構成するカーボンナノ繊維2bの一部2cが露出している。
【0029】
マリモカーボン2の球の直径は、1〜50μm、さらには、1μm〜100μmとすることができる。マリモカーボン2は、多くのカーボンナノ繊維2bを有している。マリモカーボン2を構成する各カーボンナノ繊維2bは互いに絡まり合っており、全体として球状の構造を有している。そして、マリモカーボン2のカーボンナノ繊維2b間には多くの空隙2aが形成されている。
【0030】
図2に示す酸化ダイヤモンド触媒微粒子4に用いる酸化ダイヤモンドは、工業的に研磨用として市販されている500nm以下の粒径のダイヤモンド粉末を酸化することにより調製できる(特許文献2参照)。ダイヤモンド粉末は、10m
2/g以上の高い比表面積を有するものを用いることが好ましい。酸化ダイヤモンド触媒微粒子4に用いる酸化ダイヤモンドは、ダイヤモンド粉末を350〜450℃の温度で、酸素雰囲気下又は空気中で表面を酸化させた後に触媒の担体として用いる。
【0031】
酸化ダイヤモンド触媒微粒子4の触媒としては、Ni、Co、Pd等が使用できる。酸化ダイヤモンドに触媒を担持するには、触媒となる金属を含む金属塩の水溶液に酸化ダイヤモンドを浸漬し、所定時間、例えば12時間放置した後で、過剰の水を蒸発させ、乾燥後400〜500℃の空気中で焼成し、金属塩の分解と酸化を起こさせ、金属塩を酸化物に転換する。
次に、空気焼成後、Ni等からなる金属の酸化物を、水素等の還元雰囲気で金属へ還元して触媒とすることにより酸化ダイヤモンド触媒微粒子4を得ることができる(特許文献2参照)。
【0032】
酸化ダイヤモンド触媒微粒子4にカーボンナノ繊維2bを成長させるには、
図7に示す流動気相合成装置(特許文献1参照)を使用し、原料ガス16として炭化水素を用いて、酸化ダイヤモンド触媒微粒子4にカーボンナノ繊維2bを成長させて製造することができる。酸化ダイヤモンド触媒微粒子4の粒径は、500nm以下であれば良く、大きすぎると流動気相合成装置110の反応槽113において浮遊し難くなるので好ましくない。原料ガス16としてメタンを用い、触媒としてNi、Co又はPdを用いた場合には、成長温度は、400℃〜600℃の範囲が好ましい。また、酸化ダイヤモンド触媒微粒子4を所定の温度で浮遊させかつ撹拌させてカーボンナノ繊維2bを成長させる際に、生成するマリモカーボン2の粒径は攪拌時間、つまり反応時間に比例して大きくなるので、使用目的に応じて反応時間を設定すればよい。
【0033】
触媒としてNi、Coを用いた場合に形成されるマリモカーボン2のカーボンナノ繊維2bは、例えば直径が18nm程度の単層カーボンナノチューブからなる。
【0034】
触媒としてPdを用いた場合に形成されるマリモカーボン2のカーボンナノ繊維2bは、例えば直径が27nm程度のコイン積層型カーボンナノグラファイト繊維からなる(特許文献3参照)。コイン積層型グラファイト繊維は、直径が数〜数百nmのコイン型の単層グラファイトが積層された炭素繊維であり、コイン型単層グラファイトの間隔は0.3〜1nmである。
【0035】
Si微粒子3は、例えば多結晶である。Si微粒子3の大きさは、0.1μm(100nm)〜10μmである。
【0036】
図3は、本発明の複数のナノ炭素材料複合体1からなる構造を模式的に示す図である。
図3に示すように、本発明の複数のナノ炭素材料複合体1からなる構造は、
図1に示すマリモカーボン2の最外側のカーボンナノ繊維2cと隣接するマリモカーボン2の最外側のカーボンナノ繊維2cとが互いに絡み合って配設されている。このため、本発明の複数のナノ炭素材料複合体1からなる構造では、非常に多くのカーボンナノ繊維2bが四方に分散し、その間の空隙2aにSi微粒子3が内包され、かつマリモカーボン2同士がマリモカーボン2から伸び出したカーボンナノ繊維2cで互いに絡み合った構造が形成される。このため、ナノ炭素材料複合体1では、Si微粒子3がマリモカーボン2の空隙2a中に均一に分散され、かつ、マリモカーボン2により導電性が向上する。
【0037】
マリモカーボン2とSi微粒子3とからなるナノ炭素材料複合体1は、リチウムイオン二次電池の負極に使用することができる。Si微粒子3を内包したマリモカーボン2は、本明細書では、Si微粒子/マリモカーボン複合体1とも表記する。具体的には、Si微粒子/マリモカーボン複合体1は、負極又は負極用活物質や、導電助剤として用いることができる。さらに、Si微粒子/マリモカーボン複合体1は、負極や負極用活物質或いは導電助剤の添加剤として用いることができる。
【0038】
本発明のナノ炭素材料複合体1に用いるマリモカーボン2は、カーボンブラックやカーボンナノチューブと比べて取り扱いが容易であり、カーボンナノ繊維2b間に大きな空隙2aを有している。そして、本発明のナノ炭素材料複合体1は、この空隙2aにSi微粒子3が担持されているので、カーボンブラックやカーボンナノチューブを活物質等に混合する際に生じる凝集が、生起しないという利点を有している。このため、本発明のナノ炭素材料複合体1を負極、負極用活物質、導電助剤、或いはこれらの添加剤に用いた場合、伝導性の向上、つまり低抵抗化が図れる。
【0039】
これにより、本発明のナノ炭素材料複合体1を用いた二次電池の充放電特性の性能を向上させることができる。さらに、マリモカーボン2の空隙2aに内包されているSi微粒子3は、Si微粒子3自体にクラックが入っても、Si微粒子3がナノ炭素材料複合体1にカーボンナノ繊維を含有して構成されているので、Si微粒子3が崩れてバラバラにならない。これにより、本発明のナノ炭素材料複合体1を用いた二次電池やリチウムイオン電池用の充放電に伴うSi微粒子3の膨張と収縮の繰り返しによる劣化が緩和される。このため、本発明のナノ炭素材料複合体1を負極としたリチウムイオン電池の充放電の繰り返し回数を向上させることができる。
【0040】
本発明のマリモカーボン2とSi微粒子3とからなるナノ炭素材料複合体1によれば、二次電池の負極、負極用活物質、導電助剤だけではなく、触媒としても利用できる。
【0041】
(ナノ炭素材料複合体の製造方法)
本発明のナノ炭素材料複合体1の製造方法について説明する。
図4は、本発明のナノ炭素材料複合体1の製造に用いるCVD装置10を模式的に示す図である。
図4に示すように、CVD装置10は、反応槽11と、反応槽11を加熱する電気炉12と、電気炉12の温度を制御する温度制御部13と、反応槽11に希釈ガス15と原料ガス16からなる反応ガス17を供給する反応ガス供給部18と、排気部19等を含んで構成されている。
【0042】
反応ガス供給部18は、希釈ガス15の図示しないガスボンベ及び圧力調整器に接続されるストップバルブ21、マスフローコントローラ等の流量調整器22と、原料ガス16の図示しないガスボンベ及び圧力調整器に接続されるストップバルブ21、マスフローコントローラ等の流量調整器22と、流量調整器22と反応槽11とを接続するフランジ24と、これらを接続するステンレス等からなる配管25等から構成されている。
【0043】
排気部19は、真空ポンプと反応槽11とを接続するフランジ、真空ポンプと反応槽11との間に挿入されるゲートバルブ、真空計等の図示しない部品から構成されている。真空ポンプとしては、荒引き用ポンプ、油拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、イオンポンプ等を用いる。これらの真空ポンプは、反応槽11が所定の圧力となるように適宜に組み合わせて使用することができる。
【0044】
電気炉12、温度制御部13、反応ガス供給部18、排気部19等は、さらに図示しないマイクロコンピュータ等によりシーケンス制御されてもよい。
【0045】
図5は、本発明のナノ炭素材料複合体1の製造方法を説明するフロー図である。
(a)最初に、マリモカーボン2を合成する。
(b)合成したマリモカーボン2をCVD装置10の反応槽11に収容する。
(c)マリモカーボン2を収容したCVD装置10の反応槽11を十分に排気し、マリモカーボン2の繊維内に残留しているガスを排気する。排気は、反応槽11に接続した排気部19により行うことができる。
(d)反応槽11に希釈ガス15を導入し、反応槽11内に収容したSi微粒子3を成長温度に加熱する。加熱には、電気炉12、ランプ、レーザーを使用できる。Si微粒子3をカーボン容器等に収容し、カーボン容器を加熱コイルにより誘導加熱してもよい。
(e)反応槽11にSi微粒子3を成長させるための原料ガス16を導入する。原料ガス16としては、SiとH(水素)、SiとCl(塩素)、SiとClとH(水素)との化合物ガスを使用することができる。原料ガス16は例えば、SiH
4である。これらの原料ガス16は、不活性ガスや水素ガスで希釈してもよい。不活性ガスは、Ar(アルゴン)やHe(ヘリウム)を用いればよい。原料ガス16を、成長温度で所定時間流すことにより、マリモカーボン2のカーボンナノ繊維2bの隙間2aにSi微粒子3を成長させ、ナノ炭素材料複合体1を形成することができる。多結晶のSi微粒子3は、例えば、原料ガス16をArで希釈してSiH
4とし、成長温度を600〜800℃として、マリモカーボン2の空隙2a内に析出することができる。
(f)所定時間成長した後、原料ガス16であるSiH
4の反応槽11への供給を停止し、電気炉12による加熱を停止して、室温程度まで降温する。
(g)反応槽11から合成したSi微粒子/マリモカーボン複合体1を回収する。
【0046】
次に、本発明の製造方法の一例について説明する。
最初に、マリモカーボン2を、Niを酸化ダイヤモンド触媒微粒子4上にメタンガスの分解によって合成した(非特許文献14参照)。
Niを触媒として合成したマリモカーボン2を、
図4に示すCVD装置10を用いて、Si微粒子3を堆積する。
先ず、反応槽11内の石英容器に載置し、反応槽11内のマリモカーボン2中の残留ガスを排気部19より真空排気した後、反応槽11内に希釈ガス15を流す。
次に、反応槽11を電気炉12により600℃まで昇温し、続いて、原料ガス16としてSiH
4を、希釈ガス15としてArを用いて、SiH
4の流量が10%で流量が100sccm(sccmはcm
3/分である。)の反応ガス17を反応槽11に供給する。反応時間は60分とし、60分経過後に、電気炉12の通電を停止し、反応槽11を自然冷却することにより、Si微粒子/マリモカーボン複合体1を製造することができる。
【0047】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1:ナノ炭素材料複合体
2:マリモカーボン
2a:空隙
2b:カーボンナノ繊維
2c:最外側のカーボンナノ繊維
3:Si微粒子
4:酸化ダイヤモンド触媒微粒子
10:CVD装置
11:反応槽
12:電気炉
13:温度制御部
15:希釈ガス
16:原料ガス
17:反応ガス
18:反応ガス供給部
19:排気部
21:ストップバルブ
22:流量調整器
24:フランジ
25:配管