【実施例1】
【0016】
本発明の第1の実施例に係る分割型ステータコアの固定構造を
図1〜
図6に示す。
図1及び
図2に示すように、フレーム3と、フレーム3の内周面に円筒状に配置される複数個の分割型ステータコア1と、分割型ステータコア1に巻回されたコイル2とからなる固定子と、分割型ステータコア1に僅かな隙間を隔てて配置されるロータコア5と、ロータコア5の中心に固定されたシャフト6と、シャフト6をフレーム3に対して回転自在に支持するベアリング7とからなる回転子とから回転電機が構成される。
【0017】
それぞれの分割型ステータコア1は、
図4に示すように、鉄板を多数枚積層して放射状に分割されたものであり、ボルト8(
図3参照)が軸方向に貫通するボルト用穴1aが形成されると共にボルト用穴1aの左右両側には軸方向ピン9が軸方向に差し込まれるピン用穴1bがそれぞれ形成されている。
ピン用穴1bに差し込まれる複数の軸方向ピン9は、
図4に示すように、分割型ステータコア1の厚みより長く、分割型ステータコア1の両端面から先端がそれぞれ突出部9a及び突出部9bとして突出する。
【0018】
分割型ステータコア1の両端面には、円環状押え板10,11がそれぞれ配置され、分割型ステータコア1及び円環状押え板10,11にボルト8、軸方向ピン9が軸方向に貫通して差し込まれている。
即ち、円環状押え板10は、
図5に示すように、分割型ステータコア1のボルト用穴1aに対応して、ボルト8(
図3参照)が軸方向に貫通するボルト用穴10aが複数個設けられると共に、分割型ステータコア1のピン用穴1bに対応して、軸方向ピン9の先端である突出部9aを収容するピン用穴10bが複数個設けられている。ピン用穴10bは突出部9aに対する正確な位置決めを行うものである。
【0019】
つまり、円環状押え板10には、ボルト用穴10a及びその左右両側のピン用穴10bが、分割型ステータコア1の数だけ多数配置されている。
また、フレーム3を径方向ピン12(
図1参照)が径方向外側から貫通しており、この径方向ピン12を収容する固定用凹部10cが円環状押え板10の外周面に形成されている。
【0020】
この径方向ピン12は、固定用凹部10cの周方向位置を固定するのみであり、径方向ピン12と固定用凹部10cとの軸方向の摺動は許容される。
一方、円環状押え板11は、
図6に示すように、分割型ステータコア1のボルト用穴1aに対応して、ボルト8(
図3参照)の先端が締結されるボルトねじ用穴11aが複数個設けられると共に、分割型ステータコア1のピン用穴1bに対応して、軸方向ピン9の先端である突出部9bを収容するピン用穴11bが複数個設けられている。ピン用穴11bは突出部9bに対する正確な位置決めを行うものである。
【0021】
つまり、円環状押え板11には、ボルト用ねじ穴11a及びその左右両側のピン用穴11bが、分割型ステータコア1の数だけ多数配置されている。
また、フレーム3を径方向ピン13(
図1参照)が径方向外側から貫通しており、この径方向ピン13を収容する固定用凹部11cが円環状押え板11の外周面に形成されている。
【0022】
この径方向ピン13は、固定用凹部11cの周方向位置を固定するのみであり、径方向ピン13と固定用凹部11cとの軸方向の摺動は許容される。
更に、フレーム3をボルト14が4箇所で軸方向に貫通しており、このボルト14の先端が締結されるボルト用ねじ穴11dが円環状押え板11に約90°間隔に4箇所設けられている。
【0023】
従って、
図3に示すように、複数の分割型ステータコア1を2枚の円環状押え板10,11の間に挟み、複数の軸方向ピン9を分割型ステータコア1のピン用穴1b、円環状押え板10,11のピン用穴10b,11bに差し込んで、複数の分割型ステータコア1を精度良く均一に配置した状態で、複数のボルト8を円環状押え板10側から円環状押え板10のボルト用穴10a、ボルト用穴1aを貫通させて、その先端を円環状押え板11のねじ用穴11aに全数順番に締結することにより、複数の分割型ステータコア1を仮組固定する。
【0024】
また、円環状押え板10,11と共に仮組固定された複数の分割型ステータコア1全体をフレーム3内に収納し、フレーム3の径方向外側から貫通する径方向ピン12,13を円環状押え板10,11の固定用凹部10c,11cに嵌合させることにより、仮組固定時に分割型ステータコア1全体に発生した円周方向の捻じれを補正する。
更に、フレーム3を軸方向に貫通する4本のボルト14の先端を、円環状押え板11に形成されていたボルト用ねじ穴11dに全数締結することにより、分割型ステータコア1全体をフレーム3内に固定する。
【0025】
以上、具体的に説明したように、本実施例の分割型ステータコアの固定構造は、以下の効果を奏する。
(1)各分割型ステータコアは、複数の分割型ステータコア1を2枚の円環状押え板10,11の間に挟み、複数の軸方向ピン9を分割型ステータコア1のピン用穴1b、円環状押え板10,11のピン用穴10b,11bに差し込んで、複数の分割型ステータコア1を精度良く均一に配置した状態とすることができる為、内径寸法に歪みが生じずモータの特性に悪影響を及ぼさない。
【0026】
(2)円環状押え板10,11と共に複数の分割型ステータコア1全体を仮組固定した状態でフレーム3内に収納する為、各分割型ステータコアをボルトによりフレームヘ順番に固定する従来技術に比較して、作業効率が良い。
【0027】
(3)フレーム3の径方向外側から貫通する径方向ピン12,13を円環状押え板10,11の固定用凹部10c,11cに嵌合させることにより、仮組固定時に分割型ステータコア1全体に発生した円周方向の捻じれを補正することができる。
【0028】
(4)分割型ステータコア1とフレーム3の線膨張係数が大きく異なる場合でも、径方向ピン12,13と円環状押え板10,11の固定用凹部10c,11cとの軸方向の摺動が可能なため、径方向ピン12,13による固定部分は応力が発生しない。