(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記Arはフリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、チエニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾキサリル、ベンゾイソキサゾリルオキサゾリルとキノリルからなる群より選ばれるヘテロアリールであり、任意に1〜3個の置換基で置換され、前記置換基は独立的にC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、-CONR4R5、-NHCOR6、-SO2NR7R8、C1-6アルコキシル-C1-6アルキル-、複素環基と複素環基-C1-6アルキル-から選ばれるものである請求項4に記載の化合物、又はその薬学上許容できる塩。
結腸直腸がん、乳がん、肝臓がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がん、胃がん、膀胱がん、卵巣がん、黒色腫、神経芽細胞腫、子宮頸部がん又は腎がん、白血病又はリンパ腫を治療するための請求項27に記載の抗がん剤。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、既知の化合物より改善された抗がん活性を示す新たな高選択性窒素含有複素環c-Met阻害剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一方、本発明は構造式Iの化合物又はその薬学上許容できる塩を提供する。
【0007】
【化1】
【0008】
ただし、
R
1とR
2は独立的に水素又はハロゲンであり、
XとX
1は独立的に水素又はハロゲンであり、
AとGは独立的にCH又はNであり、或いはCH=Gは硫黄原子で置換され、
EはNであり、
JはCH、S又はNHであり、
MはN又はCであり、
Arはアリール又はヘテロアリールであり、任意に1〜3個の置換基で置換され、前記置換基は独立的にC
1-6アルキル、C
1-6アルコキシル、ハロ-C
1-6アルキル、ハロ-C
1-6 アルコキシ、C
3-7シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、アミノ、-CONR
4R
5、-NHCOR
6、-SO
2NR
7R
8、C
1-6アルコキシル-C
1-6アルキル-、アミノ-C
1-6アルキル-、複素環基と複素環基アルキルから選ばれるものであり、又はArに結合した二つの置換基はそれらに結合する原子とともにアリール又はヘテロアリールが縮合された4-6員ラクタムを形成し、
R
3は水素、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6 アルキル、ハロゲン、アミノ、又は-CONH-C
1-6アルキル-複素環基であり、
R
4とR
5は独立的に水素、C
1-6アルキル、C
3-7シクロアルキル、複素環基アルキルであり、或いはR
4とR
5はそれらに結合するNとともに複素環基を形成し、
R
6はC
1-6アルキル又はC
3-7シクロアルキルであり、
R
7とR
8は独立的に水素又はC
1-6アルキルである。
【0009】
一つの形態では、単独の複素環基、又は複素環基-C
1-6アルキルと-CONH-C
1-6アルキル-複素環基における複素環基は、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ジオキソラニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、チアジアゾリル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシド、又はチオモルホリニルスルホンである。
【0010】
もう一つの形態では、R
1とR
2はFである。
もう一つの形態では、XとX
1 のうちの一つはFであり、もう一つは水素である。
もう一つの形態では、AはNである。
もう一つの形態では、GはCHである。
もう一つの形態では、R
3はC
1-6アルキルである。
もう一つの形態では、R
3はメチル基である。
【0011】
もう一つの形態では、Arはアリール又はヘテロアリールであり、任意に1〜3個の置換基で置換され、前記置換基は独立的にC
1-6アルキル、C
3-7シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、-CONR
4R
5、-NHCOR
6、-SO
2NR
7R
8、C
1-6アルコキシル-C
1-6アルキル-、複素環基と複素環基-C
1-6アルキル-から選ばれるものである。
【0012】
もう一つの形態では、Arはフェニルであり、任意に1〜3個の置換基で置換され、前記置換基は独立的にC
1-6アルキル、C
3-7シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、-CONR
4R
5、-NHCOR
6、-SO
2NR
7R
8、C
1-6アルコキシル-C
1-6アルキル-、複素環基と複素環基-C
1-6アルキル-から選ばれるものである。
【0013】
もう一つの形態では、フェニルはFと-CONR
4R
5で二置換される。
もう一つの形態では、Fは結合点に対してメタ位にあり、-CONR
4R
5は結合点に対してパラ位にある。
もう一つの形態では、R
4とR
5は独立的に水素、C
1-6アルキル、又はC
3-7シクロアルキルである。
もう一つの形態では、R
4とR
5はそれらに結合するNとともに複素環基を形成する。
もう一つの形態では、複素環基はピロリジニル、モルホリニル又はメチルピペラジニルである。
【0014】
もう一つの形態では、Arはヘテロアリールであり、フリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、チエニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1, 2, 3-チアジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾキサリル、ベンゾイソキサゾリルオキサゾリルとキノリルから選ばれるものであり、任意に1〜3個の置換基で置換され、前記置換基は独立的にC
1-6アルキル、C
3-7シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、-CONR
4R
5、-NHCOR
6、-SO
2NR
7R
8、C
1-6アルコキシル-C
1-6アルキル-、複素環基と複素環基-C
1-6アルキル-から選ばれるものである。
【0015】
もう一つの形態では、ヘテロアリールはピリジルであり、任意に1〜3個の置換基で置換され、前記置換基は独立的にC
1-6アルキル、C
3-7シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、-CONR
4R
5、-NHCOR
6、-SO
2NR
7R
8、C
1-6アルコキシル-C
1-6アルキル-、複素環基と複素環基-C
1-6アルキル-から選ばれるものである。
【0016】
もう一つの形態では、ピリジルはC
1-6アルキル、ハロゲン、シアノ、又は-CONR
4R
5に単置換されている。
もう一つの形態では、R
4とR
5は独立的に水素、C
1-6アルキル、又はC
3-7シクロアルキルである。
もう一つの形態では、ピリジルはC
1-6アルキル、ハロゲン、又はシアノに単置換されている。
【0017】
もう一つの形態では、ピリジル環におけるNは結合点に対してメタ位にある。
もう一つの形態では、ヘテロアリールはピラゾリルであり、任意に1〜3個の置換基で置換され、前記置換基は独立的にC
1-6アルキル、C
3-7シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、-CONR
4R
5、-NHCOR
6、-SO
2NR
7R
8、C
1-6アルコキシ-C
1-6アルキル-、複素環基と複素環基-C
1-6アルキル-から選ばれるものである。
【0018】
もう一つの形態では、ピラゾリルはC
1-6アルキル、C
3-7シクロアルキル、C
1-6アルコキシ-C
1-6アルキル-、複素環基、又は複素環基-C
1-6アルキル-に単置換されている。
もう一つの形態では、ピラゾリルはC
1-6アルキル、C
3-7シクロアルキル、又はC
1-6アルコキシ-C
1-6アルキル-に単置換されている。
【0019】
もう一つの形態では、ピラゾリルはC
3-7シクロアルキルに単置換されている。
もう一つの形態では、ピラゾリルはシクロプロピルに単置換されている。
もう一つの形態では、ピラゾリルは4-位で結合して1-位に置換される。
もう一つの形態では、JはCHである。
もう一つの形態では、MはNである。
もう一つの形態では、JはCHであり、MはNである。
もう一つの形態では、JはCHであり、MはNであり、R
3はCH
3である。
【0020】
以下、本発明の好ましい化合物である実施例1〜52を説明する。
上記の実施形態のすべての化学上可能な組み合わせが本発明の更なる実施形態としても考えられることは、理解すべきである。
【0021】
第2の面では、本発明は、実施例に示されるような構造式Iの化合物の調製方法を提供する。例えば、構造式Iの化合物は以下の合成経路により調製できる。
1)構造式Bの化合物と構造式Cの化合物との反応:
【0022】
【化2】
【0023】
ただし、A、Ar、E、G、J、M、R
1、R
2、R
3、XとX
1は本願において定義される通りである。
【0024】
2)構造式Dの化合物と構造式Eの化合物との反応:
【0025】
【化3】
【0026】
ただし、A、Ar、E、G、J、M、R
1、R
2、R
3、XとX
1は本願において定義される通りである。
【0027】
3)構造式F の化合物と構造式Gの化合物との反応:
【0028】
【化4】
【0029】
ただし、A、Ar、E、G、J、M、R
1、R
2、R
3、XとX
1は本願において定義される通りである。Lは脱離基(例えば、Cl、Br、フェノキシ、4-ニトロフェノキシ、2, 3-ジクロロフェノキシなど)である。
【0030】
4)構造式Hの化合物と構造式Jの化合物との反応:
【0031】
【化5】
【0032】
ただし、A、Ar、E、G、J、M、R
1、R
2、R
3、XとX
1は本願において定義される通りである。 QはCl、Br、又はIである。
【0033】
5)構造式K の化合物と構造式Lの化合物との反応:
【0034】
【化6】
【0035】
ただし、A、Ar、E、G、J、M、R
1、R
2、R
3、XとX
1は本願において定義される通りである。
【0036】
第3の面では、本発明は、構造式Iの化合物又はその薬学上許容できる塩、並びに薬学上許容できるキャリア又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
第4の面では、本発明は薬剤として用いられる構造式Iの化合物、又はその薬学上許容できる塩を提供する。
第5の面では、本発明はガンの治療に用いられる構造式Iの化合物、又はその薬学上許容できる塩を提供する。
第6の面では、本発明は、このような治療を必要とする哺乳類動物に治療有効量の構造式Iの化合物、又はその薬学上許容できる塩を投薬することを含むガンを治療する方法を提供する。
【0037】
他に断らない限り、下記の実例の定義は、本発明に用いられる種々な用語の意味と範囲を解釈と定義するものである。
用語「ハロゲン」と「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。好ましくはフッ素、塩素、臭素である。より好ましくはフッ素である。
用語「C
1-6アルキル」とは、単独で又は他の官能基と組み合わせとして、1〜6個の炭素原子を有する分岐鎖又は直鎖の1価のアルキルである。実例はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルとtert-ブチルを含む。 C
1-4 アルキルが好ましい。
「ハロC
1-6アルキル」とは、本願で定義されるC
1-6アルキルであり、ただし、一つ又は複数の水素は独立的にハロゲンで置換されている。実例は、-CH
2Cl、-CH
2CF
3、-CH
2CCl
3、パーフルオロアルキル(例えば、-CF
3)がある。
用語「C
3-7シクロアルキル」とは、単独で又は他の官能基と組み合わせとして、3〜7個の炭素を有する飽和した1価の環状炭化水素基を指し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルである。
用語「C
1-6アルコキシ」とは、単独で又は他の官能基と組み合わせとして、R'-O-を指し、但し、R'はC
1-6アルキルである。
用語「アリール」とは、単独で又は他の官能基と組み合わせとして、フェニル又はナフチルを意味し、好ましくはフェニルである。
用語「複素環基」は単独又は他の官能基と組み合わせとして、4-6個の環原子を有する非芳香族1価の官能基を指し、この中で、1個の又は2個の環原子はN、O、又はS(O)
n(ただし、nは0から 2までの整数である)から選ばれ、残った環原子はCである。実例は、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ジオキソラニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、チアジアゾリル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシドとチオモルホリニルスルホンがある。好ましい官能基は、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソラニルである。
【0038】
用語「ヘテロアリール」とは、芳香族5から6員の単環又は9から10員の二環基を指し、独立的に窒素、酸素、硫黄から選ばれる1、2又は3個の環原子を含む。実例は、フリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、チエニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1, 2, 3-チアジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾキサリル、ベンゾイソキサゾリルオキサゾリル、キノリルを含む。 好ましい官能基はピラゾリルとピリジニルである。
当業者にとって、本発明の化合物は数多くの無機や有機酸と反応して薬学上許容できる酸添加塩を形成することができることがわかっている。このような薬学上許容できる酸添加塩とそれらを調製する慣用方法は本領域においてよく知られている。例えば、P. Stahlら, HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS: PROPERTIES, SELECTION AND USE,(VCHA/Wiley-VCH, 2002);とS.M. Bergeら, 「Pharmaceutical Salts」 Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 66, No. 1, January 1977に参照する。
「薬学上許容できる塩」とは、好適な無毒の有機或いは無機酸、又は有機又は無機塩基から形成される常用の酸又は塩素添加塩を指す。無機酸の実例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸と硝酸を含む。有機酸の実例は、トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、乳酸、フマル酸を含む。アルカリ添加塩の実例は、アンモニウム、カリウム、ナトリウムと第四級アンモニウムヒドロキシドから誘導された塩、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含む。
「薬学上許容できる」、例えば薬学上許容できるキャリア、賦形剤などは、特定な化合物の投与対象にとって薬学上許容でき、実質的に無毒である。
【0039】
本発明の化合物はc-Metキナーゼに対して阻害活性を有する。これらの化合物は、過剰増殖疾患、例えばガン疾患や特に結腸直腸がん、乳がん、肺がん、前立腺がん、膵臓がん、胃がん、膀胱がん、卵巣がん、黒色腫、神経芽細胞腫、子宮頸部がん又は腎がん、白血病又はリンパ腫の治療に用いられる。治療は急性-骨髄性白血病(AML, 急性リンパ性白血病(ALL)と消化管間質腫瘍(GIST)を含む。
代替実施形態では、本発明は、少なくとも一つの構造式Iの化合物又はその薬学上許容できる塩を含む医薬組成物を含む。前記医薬組成物はさらに薬学上許容できる賦形剤及び/又はキャリアを含んでもいい。
本発明の化合物は種々な経路によって投与する医薬組成物に調製されることが好ましい。本領域において、このような医薬組成物とそれらを調製する方法はよく知られている。例えは、REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY(A. Gennaroら、eds, 19
th ed. Mack Publishing Co., 1995)に参照する。
これらの医薬組成物は経口投与でき、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬又は軟カプセル剤、溶液、乳剤又は懸濁剤として投与できる。これらは直腸的にも例えば坐薬の形で投与でき、又は非経口の形で、例えば注射の形で投与できる。
構造式Iの化合物及び/又はその塩又はエステルを含む本発明の医薬組成物は当業者が知っている方法、例えば通常の混合、カプセルに封入、溶解、造粒、乳化、糖衣錠化又は冷凍乾燥法により調製でき;これらの医薬製剤と薬理作用を示さない無機又は有機キャリア製剤について、ラクトース、コーンデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリル酸又はその塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠と硬質ゼラチンカプセルのキャリアのために用いられる。軟カプセル剤を調製するための好適なキャリアは植物油、ワックスと脂肪を含む。活性成分の性質にもよるが、通常、軟カプセル剤の場合では、キャリアがない。溶液又はシロップを調製するための好適なキャリアは、水、ポリオール、スクロース、転化糖とグルコースである。注射剤のための好適なキャリアは水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油、リン酸と界面活性剤である。坐薬に好適なキャリアは天然油、又は固化油、ワックス、脂油と半固体ポリオールである。
医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、着香料、浸透圧を変化させる塩、緩衝液、コーティング剤又は酸化防止剤を含んでもよい。それらは、構造式Iの化合物と異なる生体活性を持つ追加の活性成分を含む、他の治療に価値のある物質も含んでもよい。
【0040】
上述したように、構造式Iの化合物を含む本発明の化合物は、細胞増殖疾患の治療又は制御に用いられる。これらの化合物と前記化合物を含有する製剤は、特に固形腫瘍、例えば、乳がん、結腸がん、肺がんと前立腺がんの治療又は抑制に有用である。
本発明の化合物の「治療有効量」は、疾患の進行を有効に防止又は遅延させたり、疾患の一部の症状を緩和、改善したり、患者の寿命を延長する化合物の量を意味する。治療有効量の決定は、医学分野においてよく知られている種々な因子に依存する。
有効量又は用量は幅広い限度において変化でき、本分野において知られている方法で本発明の化合物の治療によって決定される。それぞれの特定の場合における用量は個別要求や投与される具体的な化合物、投与経路、治療されるケースと治療される患者を含む特定な状況によって調節される。通常、約70 Kgの成人に経口又は非経口で投与する場合に、約10 mg から10, 000 mgまで、好ましくは約100 mgから1, 000 mgまでの一日用量は適宜であるが、上限を超えてもいい示唆もある。一日用量は単一用量であっても分配用量であってもよい。また非経口投与では、連続的注入の形で投与することできる。
【0041】
EDCIは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カーボジイミドを表す。
DMFはジメチルホルムアミドを意味する。HOBtはヒドロキシベンゾチアゾールを表す。
THFはテトラヒドロフランを表す。
DIPEAはN,N-ジイソプロピルエチルアミンを表す。
HATUはO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N′,N′-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを表す。
Pd
2(dba)
3はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を表す。
PCy
3はトリシクロヘキシルホスフィンを表す。
Pd(dppf)Cl
2は[1,1′-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)を表す。
18-クラウン-6は1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカンを表す。
DMSOはジメチルスルホキシドを表す。
そして、MSはESI-MS(すなわち、エレクトロスプレーイオン化質量分析)を表す。
【0044】
ステップ1:4-ブロモ-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド
【0046】
100 mLフラスコに4-ブロモ-2-フルオロ安息香酸(3.0 g、13.7 mmol)、2 Mメチルアミン(34.3 mL、68.5 mmol)、EDCI(6.6 g、34.25 mmol)、HOBt(2.8 g、20.6 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミンとDMF(50 mL)を加えた。反応混合物は室温で16時間攪拌した。そして水(50 mL)を加えた。水相は分離され、酢酸エチル(3 x 50 mL)で抽出した。合併した有機相は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過と濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:3)を用いて精製し、白い固体として表題化合物(2.34 g、収率74%)が得られた。(MS: [M+1] 232)
【0048】
ステップ1:4-ブロモ-2-フルオロ-ベンゾイルクロリド
【0050】
100 mLフラスコに4-ブロモ-2-フルオロ安息香酸(5.0 g、22.8 mmol)、二塩化硫黄(50 mL)を加えた。反応混合物は室温で2時間攪拌した。過剰の二塩化硫黄を除去した後、残留物(4.0 g、74%)は更に精製せずに次のステップに用いられた。(MS: [M+1] 239)
【0051】
ステップ2:4-ブロモ-2-フルオロ-N、N-ジメチルベンズアミド
【0053】
50 mLフラスコに4-ブロモ-2-フルオロベンゾイルクロリド(4.0 g、16.9 mmol)、ジメチルアミン(2 M、13 mL、10.8 mmol)、炭酸セシウム(11 g、33.8 mmol)とTHF(50 mL)を加えた。反応混合物は一晩攪拌し、そして食塩水(30 mL)を加えた。水相は分離されて酢酸エチル(3 x 50 mL)で抽出した。合併した有機相は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過と濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:3)を用いて精製し、白い固体(3.6 g、88%)として産物が得られた。(MS: [M+1] 246)
【0055】
ステップ1:4-ブロモ-2-フルオロ-N-エチルベンズアミド
【0057】
100 mLフラスコに4-ブロモ-2-フルオロ安息香酸(0.767 g、3.5 mmol)、エチルアミン(2 M、3.5 mL、7.0 mmol)、HATU(1.65 g、7.0 mmol)、N、N-ジイソプロピルエチルアミン(0.925 g、7.0 mmol)とDMF(50 mL)を加えた。反応混合物は室温において2時間撹拌した後に水(10 mL)を加えた。水相は分離され、酢酸エチル(3 x 10 mL)で抽出した。合併した有機相は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過と濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:3)を用いて精製し、白い固体として所望の化合物(0.80 g、収率95%)が得られた。(MS: [M+1] 246)
【0059】
ステップ1:5-ブロモ-N-メチルピコリンアミド
【0061】
50 mLフラスコにメチル5-ブロモピコリネート(2.0 g、9.3 mmol)とメチルアミン(2 M、18.5 mL、37.0 mmol)を加えた。反応混合物は室温で一晩攪拌した。濃縮後、白い固体が得られ、更に精製せずに次のステップに用いられた(2.0 g、100%)。(MS: [M+1] 216)
【0062】
上記の方法は以下の中間体A1-A14(表A1)を調製するために用いられる。
表A1. 中間体A1-A14
【0066】
ステップ1:テトラヒドロフラン-3-イル-4-メチルベンゼンスルホン酸エステル
【0068】
50 mLフラスコにテトラヒドロフラン-3-オール(1.0 g、11.4 mmol)、4-メチルベンゼン-1-スルホニルクロリド(2.42 g、13.7 mmol)、トリエチルアミン(4.6 g、45.4 mmol)とジクロロメタン(10 mL)を加えた。反応混合物は室温で一晩撹拌し、ジクロロメタン(50 mL)で希釈され、水(2 x 10 mL)で洗浄された。有機相は分離され、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過と濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:5)を用いて精製し、表題化合物(2.3 g、収率91%)が得られた。(MS: [M+1] 243)
【0070】
ステップ1:4-ブロモ-2-フルオロベンズアミド
【0072】
50 mLフラスコにアンモニア水溶液(60 mL)を加え、フラスコは氷-塩バスで冷却された。そして、4-ブロモ-2-フルオロベンゼンスルホニルクロリドは小分け(4.0 g、14.6 mmol)で加えた。5時間攪拌した後、反応混合物は酢酸エチル(4 x 50 mL)で抽出された。合併した有機相は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過と濃縮され、白い固体(3.7 g、100%収率)が得られた。これは更に精製せずに次のステップに用いられた。(MS: [M+1] 254)
【0074】
ステップ1:メチル4-ブロモ-2、6-ジフルオロベンゾエート
【0076】
100 mLフラスコに4-ブロモ-2,6-ジフルオロ安息香酸(5.0 g、21.1 mmol)、ジクロロメタン(20 mL)、二塩化硫黄(15 mL)とDMF(0.5 mL)を加えた。反応混合物は室温において2.5時間攪拌した後に0
oCに冷却され、そしてメタノール(20 mL)を滴下した。3時間後、水(50 mL)とジクロロメタン(50 mL)を加えた。有機相は分離され、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50 mL)と食塩水(50 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過と濃縮され、褐色固体(3.39 g、収率64%)が得られ、精製せずに次のステップに用いられた。(MS: [M+1] 251)
【0077】
ステップ2:メチル4-ブロモ-2-フルオロ-6-ニトロメチルベンゾエート
【0079】
50 mLフラスコにニトロメタン(1.0 mL、16.9 mmol)、無水硫酸マグネシウム(4.0 g)、DMSO(15 mL)と小分けで水素化ナトリウム(405 mg、16.9 mmol)を加えた。30分間後、メチル4-ブロモ-2,6-ジフルオロベンゾエート(530 mg、2.1 mmol)を加えた。2日間攪拌した後、水(80 mL)と塩酸水溶液(6 M、50 mL)を加え、そしてジクロロメタン(100 mL)を加えた。水層は分離されてジクロロメタン(2 x 50 mL)で抽出した。合併した有機相は食塩水(50 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過と濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー で酢酸エチル/石油エーテル(1:30)を用いて精製し、淡黄色固体として表題化合物(270 mg、収率44%)が得られた。(MS: [M+1] 292)
【0080】
Steps 3と4:5-ブロモ-7-フルオロイソインドリン-1-オン
【0082】
100 mLフラスコに水(20 mL)、エタノール(60 mL)、メチル4-ブロモ-2-フルオロ-6-ニトロメチルベンゾエート(500 mg、1.71 mmol)と鉄粉(959 mg、17.1 mmol)を加えた。反応混合物は還流しながら3時間攪拌し、室温に冷却し、濾過と濃縮された。残留物はエタノール(50 mL)に溶解し、そして炭酸カリウム(1.0 g、7.2 mmol)を加えた。反応混合物は室温で30分間撹拌し、濾過と濃縮して白い固体(330 mg、収率44%)が得られた。これを精製せずに、次のステップに用いられた。(MS: [M+1] 230)
【0084】
ステップ1: 4-ブロモ-1-シクロプロピル-1-ヒドロピラゾール
【0086】
4-ブロモ-1H-ピラゾール(1.0 g、6.8 mmol)、ブロモシクロプロパン(1.3 g、10.7 mmol)、炭酸セシウム(3.5 g、10.7 mmol)とDMF(6 mL)の混合物を30 mLマイクロ波バイアルで放射条件下、180
oCに1.5時間加熱した。室温に冷却し、反応混合物を濾過した。ろ液は濃縮されて、残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:5)を用いて精製し、褐色液体(0.87 g、収率68%)が得られた。(MS: [M+1] 259)
【0087】
上記の方法は中間体A24、26〜A31(表A2)の調製に用いられる。
表A2. 中間体A24、A26〜A31
【0091】
ステップ1:3-クロロ-6-(1-トリチル-1H -ピラゾール-4-イル)ピリダジン
【0093】
100 mLフラスコに3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-トリチル- 1H-ピラゾール (20 g、45.9 mmol)、3, 6-ジクロロピリダジン(10.2 g、68.5 mmol)、Pd(dppf)Cl
2(1.0 g、1.4 mmol)、リン酸カリウム(26.4 g、115 mmol)、1, 4-ジオキサン(300 mL)と水(30 mL)を加えた。反応混合物は窒素下で100
oC において一晩攪拌し、濾過と濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:4)を用いて精製し、褐色固体として表題化合物(13 g、収率67%)が得られた。(MS: [M+1] 423)
【0094】
ステップ2:3-クロロ-6-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリダジン
【0096】
250 mLフラスコに 3-クロロ-6-(1-トリチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリダジン(13 g、30.8 mmol)、THF(100 mL)を加えて、さらに濃塩酸(50 mL)を加えた。反応混合物は室温において4時間攪拌して濃縮された。残留物は飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH 8〜9に調整し、濾過と濃縮されて褐色固体(5 g、90%)が得られた。(MS: [M+1] 181)
【0098】
ステップ1:2-フルオロ-N-メチル-4--(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミド
【0100】
100 mLフラスコに4-ブロモ-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(2.34 g、10 mmol)、4, 4, 4’, 4’, 5, 5, 5’, 5’-オクタメチル-2, 2’-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(3.05 g、12.0 mmol)、Pd
2(dba)
3(275 mg、0.03 mmol)、PCy
3(168 mg、0.06 mmol)、酢酸カリウム(2.95 g、30.0 mmol)と1, 4-ジオキサン(25 mL)を加えた。反応混合物は窒素下で80
oCにおいて3時間攪拌して濃縮された。残留物は水(50 mL)で処理して酢酸エチル(3 x 50 mL)で抽出した。合併した有機相は食塩水(50 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過と濃縮された。粗生成物は精製せずに次のステップに用いられた。(MS: [M+1] 280)
【0101】
ステップ2:2-クロロ-6-(3-フルオロ-N-メチル-4-ベンズアミド)ピリダジン
【0103】
100 mLフラスコに2-フルオロ-N-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2- ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミド(10 mmol)、3, 6-ジクロロピリダジン(2.23 g、15.0 mmol)、Pd
2(dba)
3(275 mg、0.03 mmol)、PCy
3(168 mg、0.06 mmol)、リン酸カリウム(4.60 g、20.0 mmol)、1,4-ジオキサン(20 mL)と水(5 mL)を加えた。反応混合物は窒素下で110
oC において一晩撹拌して濃縮された。残留物は水(50 mL)で処理して酢酸エチル(3 x 50 mL)で抽出した。合併した有機層は食塩水(2 x 50 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過と濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:2)を用いて精製し、褐色固体として所望の産物(675 mg、2ステップの収率24%)が得られた。(MS: [M+1] 266)
【0105】
ステップ1:2-フルオロ-N-エチル-4--(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミド
【0107】
50 mLフラスコに4-ブロモ-2-フルオロ-N-エチルベンズアミド(0.231 g、0.94 mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(0.354 g、1.41 mmol)、Pd(dppf)Cl
2(34 mg、0.05 mmol)、PCy
3(36 mg、0.09 mmol)、酢酸カリウム(0.231 g、2.35 mmol)と1,4-ジオキサン(4 mL)を加えた。反応混合物は90℃で一晩撹拌し、濾過と濃縮された。粗生成物は更に精製せずに次のステップに用いられた。(MS: [M+1] 294)
【0108】
ステップ1:2-クロロ-6-(3-フルオロ-N-エチル-4-ベンズアミド)ピリダジン
【0110】
50 mLフラスコに2-フルオロ-N-エチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミド(0.94 mmol)、3,6-ジクロロピリダジン(0.282 g、1.9 mmol)、Pd(dppf)Cl
2(34 mg、0.05 mmol)、PCy
3(26 mg、0.09 mmol)、リン酸カリウム(0.433 g、1.9 mmol)、1,4-ジオキサン(5 mL)と水(0.5 mL)を加えた。反応混合物は90℃で一晩撹拌し、濾過と濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:1)を用いて精製し、褐色固体として表題化合物(133 mg、2ステップの収率51%)が得られた。(MS: [M+1] 280)
【0112】
ステップ1:3-シアノ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン
【0114】
50 mLフラスコに5-ブロモ-3-シアノピリジン(0.50 g、2.7 mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(0.832 g、3.3 mmol)、Pd
2(dba)
3(75 mg、0.08 mmol)、PCy
3(46 mg、0.16 mmol)、酢酸カリウム(0.803 g、3.0 mmol)と1,4-ジオキサン(10 mL)を加えた。反応混合物は80℃で一晩撹拌した。そして、水(40 mL)で処理し、酢酸エチル(3 x 30 mL)で抽出された。有機層は分離され、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過と濃縮された。残留物は更に精製せずに次の反応に用いられた。(MS: [M+1] 231)
【0115】
ステップ2:2-クロロ-6-(5-シアノピリジン-3-イル)ピリダジン
【0117】
50 mLフラスコに4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-シアノピリジン(0.523 g、2.7 mmol)、3,6-ジクロロピリダジン(0.611 g、4.1 mmol)、Pd(PPh
3)
4(158 mg、0.014 mmol)、炭酸セシウム(1.78 g、5.5 mmol)と1, 4-ジオキサン(20 mL)を加えた。反応混合物は100
oCで一晩撹拌し、濾過と濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:1)を用いて精製し、褐色固体として所望の産物(200 mg、総収率34%)が得られた。(MS: [M+1] 217)
【0119】
ステップ1:3-クロロ-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリダジン
【0121】
100 mLフラスコに3-クロロ-6-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリダジン(1.7 g、9.4 mmol)、カリウムtert-ブトキシド(1.23 g、10.4 mmol)、18-クラウン-6(250 mg、0.94 mmol)とエーテル(40 mL)を加えた。反応混合物は室温で20分間撹拌してから0
oCまで冷却し、そしてヨードメタンを滴下した(1.56 g、10.9 mmol)。混合物は室温に昇温して一晩攪拌してもよい。そして氷水(30 mL)を加えて、この混合物はジクロロメタン(3 x 50 mL)で抽出された。合併した有機相は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過と濃縮され、褐色固体として表題化合物(1.7 g、収率93%)が得られた。(MS: [M+1] 195)
【0123】
ステップ1:3-クロロ-6-(1-(テトラヒドロフラン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリダジン
【0125】
100 mLフラスコに3-クロロ-6-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリダジン(300 mg、1.7 mmol)、2-ブロモプロパン(820 mg、6.7 mmol)、炭酸セシウム(2.77 g、8.5 mmol)とDMF(50 mL)を加えた。反応混合物は室温で一晩攪拌してから、水(20 mL)で処理し、酢酸エチル(2 x 20 mL)で抽出された。合併した有機相は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過と濃縮され、所望の産物(314 mg、収率85%)が得られた。(MS: [M+1] 223)
【0127】
ステップ1:1-シクロプロピル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピリダジン
【0129】
100 mLフラスコに4-ブロモ-1-シクロプロピルピラゾール(6.57 g、35.1 mmol)と無水THF(30 mL)を加えた。この溶液は窒素下で-78
oCに冷却された。そして n-ブチルリチウム(15.5 mL、2.5 M、ヘキサン溶液、38.6 mmol)を滴下した。反応混合物は室温で1時間攪拌し、そしてイソプロピルボロナート(9.17 g、94.1 mmol)を添加して-70
oC以下で3時間攪拌した。反応は水(20 mL)でクエンチされ、得られた混合物は塩酸水溶液(1 N)でpH 8-9に調節された。合併した有機相は濃縮され、更に精製せずに次のステップに用いられた(6.64 g、収率81%)。(MS: [M+1] 235)
【0130】
ステップ2:3-クロロ-6-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリダジン
【0132】
室温において窒素下で、100 mL丸底フラスコに、上記の固体(6.64 g、28.4 mol)、3,6-ジクロロピリダジン(8.46 g、56.8 mmol)、Pd(dppf)Cl
2(1.04 g、1.42 mol)、リン酸カリウム(18.1 g、85.2 mmol)、水(5 mL)と1,4-ジオキサン(50 g)を加えた。反応混合物は90℃で一晩撹拌した。30
oCに冷却した後、水(20 mL)を加えた。水相は分離され、酢酸エチル(3 x 30 mL)で抽出された。合併した有機相は濃縮され、残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製し、黄色固体(4.07 g、収率65%)が得られた。(MS: [M+1] 222)
【0133】
上記の方法は中間体B0〜B32(表B)の調製に用いられる。
表B. 中間体B0 〜B32
【0140】
ステップ1: 5-フルオロ-4-ヨード-2-メチルアニリン
【0142】
1 L丸底フラスコに5-フルオロ-2-メチルアニリン(26.4 g、211 mmol)、酢酸エチル(500 mL)、ヨウ素(27.0 g、106 mmol)、過酸化尿素(14.8 g、158 mmol)を加えた。反応混合物は50
oCで3時間攪拌した。室温に冷却した後、これを飽和亜ジチオン酸ナトリウム溶液(300 mL)に入れた。有機相は分離と濃縮され、褐色液体(53.0 g、100%)が得られた。これは更に精製せずに次のステップに用いられた。(MS: [M+1] 252)
【0143】
ステップ2: N-(5-フルオロ-4-ヨード-2-メチルフェニル)アセトアミド
【0145】
1 L丸底フラスコに5-フルオロ-4-ヨード-2-メチルアニリン(53.0 g、211 mmol)、無水酢酸(23.7 g、232 mmol)とクロロホルム(500 mL)を加えた。反応混合物は室温で3時間攪拌した。溶媒を除去した後に茶褐色固体が得られた。これは更に精製せずに次のステップに用いられた(61.7 g、100%)。(MS: [M+1] 294)
【0146】
ステップ3: エチル2-(4-アセトアミド-2-フルオロ-5-メチルフェニル)-2, 2-ジフルオロアセテート
【0148】
室温において窒素下で、1 L丸底フラスコに、銅(粉末、54.0 g、844 mmol)、無水ジメチルスルホキシド(500 mL)、N-(5-フルオロ-4-ヨード-2-メチルフェニル)アセトアミド(61.7 g、211 mmol)とエチルブロモジフルオロアセテート(64.3 g、317 mmol)を加えた。反応混合物は60
oCで18時間攪拌した。室温に冷却した後、これをアンモニウムクロリドの飽和水溶液(300 mL)に入れた。水相は分離され、酢酸エチル(3 x 300 mL)で抽出された。合併した有機相は無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去した後、残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:2)を用いて精製し、褐色固体(60.9 g、収率100%)が得られた。(MS: [M+1] 290)
【0149】
ステップ4:エチル 2-(1-アセチル-6-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2,2-ジフルオロアセテート
【0151】
窒素下で、500 mL丸底フラスコにエチル 2-(4-アセトアミド-2-フルオロ- 5-メチルフェニル)- 2,2-ジフルオロアセテート(10.4 g、35.8 mmol)、クロロホルム(150 mL)、亜硝酸イソペンチル(9.23 g、78.9 mmol)、酢酸カリウム(7.02 g、71.7 mmol)、無水酢酸(11.0 g、108 mmol)と18-クラウン-6(1.83 g、7.17 mmol)を加えた。反応混合物は65
oC で18時間攪拌した。室温に冷却した後、固体はろ別され、ろ液は濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:5)を用いて精製し、淡黄色固体(5.9 g、収率55%)が得られた。 (MS: [M+1] 301)
【0152】
ステップ5: エチル2-(6-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2, 2-ジフルオロアセテート
【0154】
1 L丸底フラスコにエチル 2-(1-アセチル-6-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2, 2-ジフルオロアセテート(67 g、223 mmol)とTHF(400 mL)を加えた。よく攪拌しながら、濃塩酸水溶液(400 mL)を滴下した。そして反応混合物は65
oCで3時間攪拌した。溶媒を除去した後、無水エタノール(800 mL)を加え、そしてよく攪拌しながら濃硫酸(40 mL)を添加した。得られた混合物は80
oCで12 h攪拌した。室温に冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500 mL)を加えた。水相は分離され、酢酸エチル(2 x 500 mL)で抽出された。合併した有機相は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:2)を用いて精製し、淡黄色固体(40.3 g、70%)が得られた。(MS: [M+1] 259)
【0155】
ステップ6:エチル 2-(6-フルオロ-2-メチル-1H-インダゾール-5-イル)-2, 2-ジフルオロアセテート
【0157】
100 mL丸底フラスコにエチル 2-(1-アセチル-6-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2, 2-ジフルオロアセテート(1.40 g、5.4 mmol)、酢酸エチル(40 mL)とトリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート(1.2 g、8.1 mmol)を加えた。反応混合物は室温で一晩攪拌した。そして、飽和亜ジチオン酸ナトリウム水溶液(50 mL)を加えた。水相は分離され、酢酸エチル(2 x 40 mL)で抽出された。合併した有機相は食塩水(50 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで酢酸エチル/石油エーテル(1:3)を用いて精製し、黄色固体(1.3 g、収率59%)が得られた。(MS: [M+1] 273)
【0158】
ステップ7: 2, 2-ジフルオロ-2-(6-フルオロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)アセトヒドラジド
【0160】
100 mLフラスコにエチル 2-(6-フルオロ-2-メチル-1H-インダゾール-5-イル)-2, 2-ジフルオロアセテート(2.13 g、7.8 mmol)、ヒドラジン(3.90 g、78 mmol)とエタノール(20 mL)を加えた。反応混合物は室温で1時間撹拌した。溶媒を除去した後、淡黄色固体が得られた(2.01 g、収率100%)。これは更に精製せずに次の反応に用いられた。(MS: [M+1] 259)
【0161】
上記の方法は中間体C1〜C5(表C)の調製に用いられる。
表C.中間体C1〜C5
【0163】
実施例
実施例 1:4-(3-(ジフルオロ(4-フルオロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ [4,3-b]ピリダジン-6-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド
【0165】
50 mLフラスコに2, 2-ジフルオロ-2-(4-フルオロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)アセトヒドラジン(194 mg、0.75 mmol)、4-(6-クロロピリダジン-3-イル)-2-フルオロ-N-メチルベンズアミド(199 mg、0.75 mmol)、メチルスルホン酸(0.06 mL、0.9 mmol)と1-メトキシ-2-プロパノール(6 mL)を加えた。反応混合物は90
oCで16時間攪拌して濃縮された。残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーでメタノール/ジクロロメタン(1:20)を用いて精製し、淡黄色固体として所望の化合物(156 mg、収率44%)が得られた。(MS: [M+1] 470)
【0166】
実施例 1-17は中間体C2(表1)から上記の方法で調製される。
表1. 実施例 1-17
【0169】
実施例 44:6-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(ジフルオロ(6-フルオロ-2-メチル-(2H-インダゾール-5-イル)メチル)-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン
【0171】
100 mL丸底フラスコに1-メトキシ-2-プロパノール(15 mL)、メチルスルホン酸(0.898 g、9.4 mmol)、2, 2-ジフルオロ-2-(6-フルオロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)アセトヒドラジド(2.01 g、7.8 mmol)と3-クロロ-6-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリダジン(1.81 g、8.2 mmol)を加えた。反応混合物は90
oCで16時間攪拌した。溶媒を除去した後、残留物はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーでメタノール/ジクロロメタン(1:20)を用いて精製し、淡黄色固体(1.32 g、収率40%)が得られた。(MS: [M+1] 425)
【0172】
実施例 18〜52は中間体C1、C3〜C5 から上記の方法で調製される(表2)。
表2. 実施例 18〜52
【0177】
生体活性に関する実施例
生体活性実施例 1: c-Met体外キナーゼ試験
〔方法〕 PerKinElmerのLance
@Ultra Ulight
TM-TK 測定キットを用いてc-Metキナーゼに対する化合物の阻害効果を評価する。
〔器具〕 PerKinElmerのENVISIONプレートリーダー
〔材料〕 Optiplate-384ウェルプレート(PerKinElmer)、キナーゼバッファー(50 mM Hepes pH7.5、25 mM NaCl、2 mM DTT、0.01% Tween 20、5 mM Mg
2+、0.5 mM Mn
2+)、c-Metキナーゼ(1038−1346AA、自作)、c-Met基質(PerKinElmer、#TRF0127-M)、Lance
@Eu-W1024-抗-ホスホチロシン(PT66)、(PerKinElmer、#AD0068)、ATP(Invitrogen)、DMSO(Sigma、#34869)、水(Millipore、モデルMilli-Q)。
〔手順〕c-Metキナーゼ (終濃度12.5 nM)と測定化合物(最終DMSOは0.5%)の混合物を30
oCにおいて20分間プレインキュベートした。そしてATP(終濃度2.5 uM)とキナーゼ基質(終濃度50 nM)を加えた。得られた混合物を30
oCにおいて1時間保持し、そして抗c-Met抗体を添加した。1時間後、プレートリーダーで615 nmと665 nmでの吸光度を読み取った。665 nmと615 nmにある吸収値の比を計算し、以下のようにデータ分析に使用した。この試験は2〜3のMinimum Significant Ratio(MSA)を有する。
〔サンプル〕 全実施例化合物と陽性対照としてのCrizotinib
〔データ分析〕 背景(Background)- 665 nm/615 nm (酵素なし): 0.003285
最大(Max)- 665 nm/615 nm (試験化合物なし): 0.075356
阻害率(%):
【0179】
〔ソフトウェア〕CBIS データ分析ソフトウェアでIC
50 値を計算する。
【0180】
生体活性実施例 2:S114 Cell-based ELISA
〔方法〕ELISAを用いてS114 細胞におけるc-Metタンパクのリン酸化を測定する。
〔器具〕 PerKinElmerのENVISIONプレートリーダー
〔材料〕 S114細胞(NIH)、96ウェルプレート(CORNING、#3596)、DMEM培地(Gibco、#11965-092)、96ウェルプレート(Thermo、#14-245-61)、PBS(Invitrogen、#10010023)、ウシ胎児血清(Gibco、#16000044)、フィブロネクチン(Invitrogen、#33016-015)、1/2Tris炭酸水素アンモニウム(25 mM Tris、100 mM NaCl、12 mM NH
4HCO
3、pH 7.5)、ブロッキングバッファー(25 mM Hepes、100 mM NaCl、0.2% Tween20、pH 7.5)、結合バッファー(0.3%ゼラチン、25 mM Hepes、100 mM NaCl、0.01% Tween20、pH 7.5)、分解バッファー(50 mM Tris、150 mM NaCl、1.25% CHAPS、1錠のプロテアーゼ阻害剤/10 mL、1 錠のホスファターゼ阻害剤/10 mL)、DMSO(Sigma、#D2650);捕捉抗体(抗- c-Met抗体、Cell Signaling、#3148s)、1次抗体(抗-リン酸化c-Met抗体、R&D Systems、#AF2480)、2次抗体(Anti-rabbit IgG HRP-linked抗体、Cell Signaling、#7074)、A.B.T.S(Sigma、#A1888)、A.B.T.S 溶液(0.1% A.B.T.S、0.1 mMクエン酸、0.1 mM リン酸二ナトリウム)、30%過酸化水素(Sinopharm)、純水(Millipore、モデルMilli-Q)。
〔手順〕 S114 細胞はDMEM 培地(10%FBS含有)の中で培養した。細胞は80%培養密度に達したとき、トリプシン処理して800 rpmで5分間遠心分離することで収集した。細胞はDMEMで再懸濁させ、密度500,000細胞/mLに調整した。96ウェルプレートは100 μL/ウェルのフィブロネクチンのPBS(5μg/mL)溶液で2時間前処理した。細胞懸濁液を100 μL/ウェルとなるように96-ウェル培養プレートに分配して一晩インキュベートした(37
oC、5% CO
2)。捕捉抗体を1/2Tris-炭酸水素アンモニウムバッファー(1:1000)で希釈し、96ウェル吸着プレート(70 μL/ウェル)に移して4
oCで一晩放置した。溶液を捨て、プレートをブロッキングバッファーで洗浄し、そしてブロッキングバッファー(150 μL/ウェル)を加え、室温で1時間保持した。96-ウェル培養プレートにおける培地を捨て、プレートをDMEM(FBSなし)で洗浄した。そして、80 μLのDMEM(FBSなし)と20 μLの種々な濃度の測定化合物のDMEM(FBSなし)溶液を加えた。培養プレートを培養インキュベーターの中で30分間保持した(37
oC、5% CO
2)。細胞培地を捨て、培養プレートをPBSで洗浄し、そして分解バッファー(50 μL/ウェル)を加え、4
oCで20分間インキュベートした。吸着プレートにおける溶液を捨て、プレートを結合バッファーで洗浄した。それぞれの吸着プレートのウェルに結合バッファー(50 μL)と前記培養プレートからのライセート(40 μL)を加えた。そして、プレートを室温で2時間インキュベートした。培地を捨て、プレートを結合バッファーで二回洗浄し、そして第1抗体の溶液を加え(結合バッファーで1:1000に希釈し、100 μL/ウェル )37
oC で1時間インキュベートした。溶液を捨て、プレートを結合バッファーで二回洗浄した。そして、2次抗体の溶液(100 μL/ウェル)を加え37
oCでさらに1時間インキュベートした。培地を捨て、プレートをは結合バッファーで二回、PBSで一回洗浄した。それぞれのウェルに、100 μLのA.B.T.S溶液を加え、37
oCで30分間インキュベートした。そして、OD405はENVISIONプレートリーダーで測定した。この試験は2-3のMinimum Significant Ratio(MSA)を有する。
〔サンプル〕 全実施例化合物と陽性対照としてのCrizotinib。
〔データ分析〕 背景(Background)(細胞ライセートなし): 0.084
最大(Max)(試験化合物なし): 0.517
阻害率(%):
【0182】
〔ソフトウェア〕CBIS データ分析ソフトウェアでIC
50 値を計算する。
【0183】
表3.化合物 1-52の生体活性(IC50、nM)