(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記受信手段で上記ポインタ装置から受信した上記照度情報に基づき、上記ポインタ装置がポイントした位置座標を算出する位置算出手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の投影装置。
上記明るさ調整手段は、上記受信手段で受信した照度情報が予め設定した明るさよりも明るい内容である場合に上記投影制御手段により投影させる位置検出用画像の明るさを暗くなるように調整することを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の投影装置。
上記明るさ調整手段は、上記受信手段で受信した照度情報が予め設定した明るさよりも暗い内容である場合に上記投影制御手段により投影させる位置検出用画像の明るさをより明るくなるように調整することを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載の投影装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明をDLP(登録商標)方式のプロジェクタにパーソナルコンピュータ(以下「PC」と略称する)を接続して投影システムを構築した場合の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る投影システムの接続構成を例示する。同図で1がプロジェクタ、2がプロジェクタ1に投影する画像を提供するPCである。プロジェクタ1とPC2はVGAケーブルVC及びUSBケーブルUCで有線接続される。PC2からVGAケーブルVCを介して画像信号が提供され、プロジェクタ1はこの画像信号に応じた投影画像PIを随時スクリーンに投影する。
【0022】
3はプロジェクタ1専用のポインタペンであり、プロジェクタ1とポインタペン3の間は例えばBluetooth(登録商標)技術により無線接続される。プロジェクタ1が投影する投影画像PIには、PC2から提供される画像に加えて、位置検出用の画像が時分割で含まれている。
【0023】
ポインタペン3は内部にプロジェクタ1との通信系回路と、受光強度(照度)から位置座標を算出する演算回路を備え、プロジェクタ1からの照度測定の指示を受信し、ポインタペン3の受光部が向いた投影画像PI内のそのポイント位置の照度から位置座標を算出し、ポイント指示の座標情報(位置座標)としてプロジェクタ1に送信する。
【0024】
プロジェクタ1では、受信したポインタペン3の座標情報に基づいて、投影画像PI中にポイントマークPTの画像を重畳させるような画像信号を生成して投影する。
したがって、ポインタペン3を把持するユーザは、あたかもポインタペン3から直接ポイントマークPTの形状をした光が出射しているような感覚でポインタペン3を操作することができる。
【0025】
図2は上記プロジェクタ1の概略機能構成を示す図である。
入出力部11は、例えばビデオ入力端子、RGB入力端子、VGA端子、PCと接続するためのUSB端子などにより構成される。入出力部11に入力された画像信号は、必要に応じてデジタル化された後に、システムバスSBを介して画像変換部12に送られる。
【0026】
画像変換部12は、スケーラとも称され、入力される画像データを投影に適した所定のフォーマットの画像データに統一して投影処理部13へ送る。
【0027】
この際、上記ポイントマークPTを含むOSD(On Screen Display)用の各種動作状態を示すシンボル等のデータも必要に応じて画像変換部12が画像データに重畳加工し、加工後の画像データを投影処理部13へ送る。
【0028】
投影処理部13は、送られてきた画像データに応じて、所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば120[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、空間的光変調素子であるマイクロミラー素子14を表示するべく駆動する。
【0029】
このマイクロミラー素子14は、アレイ状に配列された複数、例えばWXGA(Wide eXtended Graphic Array)(横1280画素×縦800画素)分の微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速でオン/オフ動作して画像を表示することで、その反射光により光像を形成する。
【0030】
このときマイクロミラー素子14で表示する画像には、上記入出力部11で入力された画像信号に応じた画像に代えて、ポインタペン3のポイント位置検出用画像が時分割で適切な頻度で含まれる。詳しくは後述する。
【0031】
一方で、光源部15から時分割でR(赤色),G(緑色),B(青色)の原色光を含む複数色の光が循環的に時分割で順次出射される。この光源部15からの光が、ミラー16で全反射して上記マイクロミラー素子14に照射される。
【0032】
そして、マイクロミラー素子14での反射光で光源光の色に応じた光像が形成され、形成された光像が投影レンズ部17を介して、投影対象となるここでは図示しないスクリーンに投影表示される。
【0033】
なお上記光源部15は、例えばR,G,Bの各原色光を発する3種類の半導体発光素子、例えばLED(発光ダイオード)やLD(半導体レーザ)を有するものとし、必要によりそれら3種類の半導体発光素子を同時に発光させることでW(白色)の光を出射し、投影レンズ部17よりモノクロの画像を投影させることができるものとする。
【0034】
上記各回路の動作すべてをCPU18が制御する。このCPU18は、メインメモリ19及びプログラムメモリ20と直接接続される。メインメモリ19は、例えばSRAMで構成され、CPU18のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ20は、電気的に書換え可能な不揮発性メモリで構成され、CPU18が実行する動作プログラムや各種定型データ等を記憶する。CPU18は、上記メインメモリ19及びプログラムメモリ20を用いて、このプロジェクタ1内の制御動作を統括して実行する。
【0035】
上記CPU18は、操作部21からのキー操作信号に応じて各種投影動作を実行する。この操作部21は、プロジェクタ1の本体に設けられるキー操作部と、このプロジェクタ1専用の図示しないリモートコントローラからの赤外光を受光する赤外線受光部とを含み、ユーザが本体のキー操作部またはリモートコントローラで操作したキーに基づくキー操作信号をCPU18へ直接出力する。
【0036】
上記CPU18はさらに、上記システムバスSBを介して音声処理部22、ポインタ通信部23とも接続される。音声処理部22は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ部24を駆動して拡声放音させ、あるいは必要によりビープ音等を発生させる。
ポインタ通信部23は、アンテナ25を介して上記ポインタペン3と無線接続し、ポインタペン3から送られてくる座標情報やポインタペン3に備えられる各種キーの操作信号等を受信して上記CPU18へ送出する。
【0037】
さらに、ポインタ通信部23は、ポインタペン3への照度検出を指示や位置検出用画像の明るさを調整するか否かの設定等の送信も行なう。(詳細は後述する。)
次に
図3により上記ポインタペン3の機能構成を説明する。
ポインタペン3の先端に受光レンズ系31が組込まれており、この受光レンズ系31の合焦位置に受光素子として例えばフォトトランジスタ32が配置される。フォトトランジスタ32の出力信号はA/D変換部33でデジタル化された後に保持部34を介して座標算出部35に送られる。
【0038】
座標算出部35は、保持部34の内容から投影画像PIにおけるポインタペン3のポイント位置を表す位置座標の算出とチェック等を行ない、その算出結果を、バスBを介してCPU36へ出力する。
【0039】
CPU36は、上記A/D変換部33、保持部34、及び座標算出部35とこのポインタペン3全体に係る制御動作を司るもので、メインメモリ37及びプログラムメモリ38が直接接続される。メインメモリ37は、CPU36のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ38は、CPU36が実行する動作プログラムや各種定型データを記憶する。CPU36は、上記メインメモリ37及びプログラムメモリ38を用いて、このポインタペン3内の制御動作を実行する。
【0040】
このCPU36に対してさらに、クリックキー部39からキー操作信号が入力される。クリックキー部39は、例えばポインタペン3の軸方向に沿って配設された、2つのクリックキーそれぞれの操作信号をCPU36に出力する。
【0041】
ここでクリックキー部39を構成する2つのクリックキーは、例えば
図1に示すように、ポインタペン3の先端側に位置する、より操作面積が大きなクリックキー3a(マウスポインタの左クリックキーに相当する)と、そのキーに隣接して後方側に位置する、比較的小さなクリックキー3b(マウスポインタの右クリックキーに相当する)とからなるものとする。
【0042】
さらに上記CPU36は、バスBを介してプロジェクタ通信部40とも接続される。このプロジェクタ通信部40は、アンテナ41を介して上記プロジェクタ1と無線接続され、プロジェクタ1からの照度検出を指示する情報を受信し、その指定されたタイミングで取得した照度に基づき算出された座標情報や平均照度の情報、クリックキー部39の操作信号をプロジェクタ1に送信する。
【0043】
さらに、プロジェクタ通信部40は、明るさ調整手段による位置検出用画像の明るさを調整するか否かの設定を受信し、その設定に応じて処理を変えることができるようになっている。(詳細は後述する。)
なお、上記PC2のハードウェア構成については、きわめて一般的な周知の技術であるのでその説明は省略するものとする。
【0044】
次に上記実施形態の動作について
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、プロジェクタ1本体側での投影画像タイミングと、ポインタペン3側での動作内容を例示するタイミングチャートである。カラー画像1フレームは、そのほとんどを占める画像期間と、末尾タイミングに挿入されたポインタ座標検出用の座標期間とからなる。
【0045】
画像期間は、R(赤),G(緑),B(青)の3フィールドで構成される。プロジェクタ1本体側において、Rフィールドでは、光源部15でフィールド期間中継続して赤色光を発すると同時に(P11)、表示素子であるマイクロミラー素子14において赤色成分の画像IMrを表示することで、赤色成分の光像を形成し、投影レンズ部17を介して投影する(P12)。
【0046】
同様にGフィールドでは、光源部15でフィールド期間中継続して緑色光を発すると同時に(P13)、マイクロミラー素子14において緑色成分の画像IMgを表示することで、緑色成分の光像を形成し、投影レンズ部17を介して投影する(P14)。Bフィールドでは、光源部15でフィールド期間中継続して青色光を発すると同時に(P15)、マイクロミラー素子14において青色成分の画像IMbを表示することで、青色成分の光像を形成し、投影レンズ部17を介して投影する(P16)。
【0047】
一方の座標期間では、光源部15で期間中継続してR,G,Bの各光源を同時点灯して混色としての白色光を発すると同時に(P07)、マイクロミラー素子14において計4枚のグラデーション画像IMc1〜IMc4を順次時分割で表示することで、白色の座標位置検出用画像の光像を形成して投影レンズ部17を介して投影し、併せてそれら各グラデーション画像IMc1〜IMc4の投影にそれぞれ同期してポインタペン3に照度検出を指示する。
【0048】
ここでは図を簡略化するために4枚のグラデーション画像IMc1〜IMc4中、1枚目のIMc1と3枚目のIMc3の2枚のみを抜き出して示している。
グラデーション画像IMc2は、グラデーション画像IMc1の明暗パターンを反転した画像であるものとする。同様に、グラデーション画像IMc4はグラデーション画像IMc3の明暗パターンを反転した画像であるものとする。
【0049】
いま、フレームナンバー:m(mは自然数)とその前に位置するフレームナンバー:m−1のカラー画像の投影タイミングを例にとって考える。
フレームナンバー:m−1のカラー画像1フレーム投影時の座標期間において、まずその当初のタイミングt11において、プロジェクタ1では上記グラデーション画像IMc1の投影を開始すると共に、ポインタペン3に対して照度検出の指示を送出する。
【0050】
この指示を受けたポインタペン3では、予め設定された調整時間Δt後に受光動作を実行し、その時点で受光レンズ系31を介してフォトトランジスタ32に受光している光量を取得する(P21)。この受光量は、プロジェクタ1とポインタペン3との相対距離に応じても変化する、受光レンズ系31の光軸が対向している投影画像PI中の座標位置に対応した照度となる。
【0051】
このグラデーション画像IMc1は、画像の垂直方向に沿ってグラデーションが変化する画像であるので、ポインタペン3が投影画像PIをポイントしている位置のY座標に対応した照度を検出できる。
【0052】
同様の動作を、続くグラデーション画像IMc2〜IMc4の投影に対しても実行し、プロジェクタ1からの指示に応じてポインタペン3で随時、グラデーション画像IMc2に対するY座標に対応した照度、グラデーション画像IMc3に対するX座標に対応した照度(P23)、グラデーション画像IMc4に対するX座標に対応した照度での受光動作を実行する。
【0053】
ポインタペン3では、これら4枚分のグラデーション画像IMc1〜IMc4に対する照度検出の後、続くフレームナンバー:mの画像期間の当初において、各照度情報から投影画像PI中のポイントしている座標位置を算出し(P25)、プロジェクタ通信部40、アンテナ41を介してプロジェクタ1側へ送出する(P26)。
【0054】
またこのポイント座標位置の送信と併せてポインタペン3では、座標期間での光量調整を行なうためのモードが設定されている状態では、4回の照度検出の結果の平均照度を示す情報もプロジェクタ1に対して送信する(P27)。
【0055】
これを受けたプロジェクタ1側では、受信した座標位置に応じて投影画像PI上にポイントマークPTが重畳されるような投影動作を実行すると共に、受信した照度情報に応じて続く座標期間での光源部15のR,G,Bの各発光量を調整する(P31)。
【0056】
すなわちプロジェクタ1側のCPU18は、ポインタペン3側で検出したポイント位置の座標データの内容を勘案して、同時に送られてきた平均照度の情報を、予め設定されている照度情報の範囲を外れているか否かにより発光量の調整を実行する。
【0057】
具体的には、予め設定されている照度情報の範囲の上限値よりポインタペン3側で検出した照度の平均値が高い場合には、ポインタペン3が投影面に対して近すぎるものと判断して、座標期間での発光量を低下させる。
【0058】
反対に、予め設定されている照度情報の範囲の下限値よりポインタペン3側で検出した照度の平均値が低い場合には、ポインタペン3が投影面に対して遠すぎるものと判断して、座標期間での発光量を増加させる。
【0059】
このように、ポインタペン3のフォトトランジスタ32が受光性能のダイナミックレンジに基づいて予め設定されている照度情報の範囲を設定しておき、その範囲を外れた場合に座標期間の発光量を正しい方向に調整することにより、投影面とポインタペン3との距離に対応してポインタペン3によるポイント位置の検出精度を常に高く保持できる。
【0060】
また発光量の調整に際しては、光源部15内の半導体発光素子の駆動条件(例えば、駆動電流値)により調整することで、マイクロミラー素子14での表示階調を変化させることなく、位置検出のための量子化レベル(例えば、8ビット)を維持させて、発光量を調整できる。
【0061】
一方で、上記光源部15内の半導体発光素子の駆動条件を変えずとも、マイクロミラー素子14での表示階調を変えることで結果として発光量の調整を行なうこともできる。このように表示階調により発光量を調整する場合、光源部15で使用する発光素子の高速な輝度調整が困難であるような素子、例えば高圧水銀ランプを使用する装置に好適であり、発光量を容易に、且つ高精度で調整可能となる。
【0062】
次に
図5によりポインタペン3側で実行される処理の内容についても説明する。
図5は、投影画像PIに対するポインティングデバイスとしてのポインタペン3内で、CPU36により実行されるポイント座標の位置検出に係る処理内容を示すフローチャートである。
【0063】
処理当初にCPU36は、グラデーション画像の数をカウントするための変数nを初期値「1」とした後(ステップS01)、プロジェクタ1から照度検出の指示信号が送られてくるのを待機する(ステップS02)。
【0064】
そして、プロジェクタ1から照度検出の指示信号が送られてくると、上記ステップS02でそれを判断し、予め設定された時間Δt分だけ待機調整する(ステップS03)。その後CPU36は、フォトトランジスタ32での受光量によりその時点の投影画像PIであるグラデーション画像中のポイント位置の照度を検出し(ステップS04)、検出した照度情報をその時点の変数nの値と対応付けて保持部34で保持させる。
【0065】
次いでCPU36は、変数nの値を「+1」更新設定して「2」とし(ステップS06)、さらにその更新設定した変数nが全グラデーション画像数「4」を超えた数値「5」ではないことを確認した上で(ステップS07)、再び上記ステップS02からの処理に戻る。
【0066】
こうして上記ステップS01〜S04の処理を計4回繰返し実行し、4枚分のグラデーション画像中のポイント位置の照度を検出し終えると、CPU36は上記ステップS07で変数nが数値「5」となったと判断し、保持部34での保持内容により座標算出部35で、ポイントしている座標位置を算出させる(ステップS08)。
【0067】
併せてCPU36は、計4回分の照度情報の平均値を座標算出部35で算出させる(ステップS09)。
【0068】
次いでCPU36は、その時点で座標位置検出用画像の光量を調整するモードが設定されているか否かを判断する(ステップS10)。
【0069】
ここで光量調整モードが設定されていると判断した場合、CPU36は上記ステップS08で算出したポイント座標位置の情報と、上記ステップS09で算出した平均照度情報とをプロジェクタ1に対して送信させ(ステップS11)、以上で一連の処理を終了したものとして、次のポイント座標位置検出に備えるべく、上記ステップS01からの処理に戻る。
【0070】
また、上記ステップS10で光量調整モードが設定されていないと判断した場合、CPU36は上記ステップS08で算出したポイント座標位置の情報のみをプロジェクタ1に対して送信させ(ステップS12)、以上で一連の処理を終了したものとして、次のポイント座標位置検出に備えるべく、上記ステップS01からの処理に戻る。
【0071】
なお上記
図5の説明では、ポインタペン3側で光量調整モードの設定の有無を判断して、プロジェクタ1に送信する情報の内容を変更する場合について説明したが、ポインタペン3側では無条件にポイント座標位置の情報と平均照度情報とをプロジェクタ1に送信し、プロジェクタ1側で光量調整モードの設定の有無により、受信した平均照度情報を必要に応じて利用するものとしても良い。
【0072】
また、上記
図5のフローでは、座標位置検出用画像の光量を調整するモードが設定されているか否かのステップS10の判断に先立って、計4回分の照度情報の平均値を座標算出部35で算出させるステップS09を行うようにしたが、座標位置検出用画像の光量を調整するモードが設定されていると判断されたときのみ、計4回分の照度情報の平均値を座標算出部35で算出させるステップを行うようにしてもよい。
【0073】
その場合は、座標位置検出用画像の光量を調整するモードが設定されていない場合には、計4回分の照度情報の平均値を座標算出部35で算出させるステップを行わないようにできるので、座標位置検出用画像の光量を調整するモードが設定されていない場合のポイントペン3側の負荷を減らし、処理を高速化することができる。
【0074】
なお、座標位置検出用画像の光量を調整するモードが設定されているか否かは、投影装置1より受信してもよいし、ポイントペン3側で個別に設定できるようにしてもよい。
【0075】
また、上記
図5のフローでは、平均照度の情報をポイントペン3側で算出するようにしたが、プロジェクタ1側で平均照度を算出するようしてもよい。
【0076】
その場合は、ポイントペン3側の負荷をさらに減らすことができ、電源として電池を使用せざるを得ないポインタペン3の電力消費を極力抑えることができる。
【0077】
以上詳述した如く本実施形態によれば、プロジェクタ1により投影される画像PIの位置とポインタペン3との距離による影響をできる限り排除し、ポインタペン3での受光量を適切な範囲とすることにより、ポインタペン3によるポイント位置の検出精度を向上することが可能となる。
【0078】
なお上記実施形態では、カラー画像の1フレームを構成する画像期間と座標期間とで、画像期間に投影する画像の光量とは独立して座標期間に投影する座標位置検出用のグラデーション画像の光量を調整するものとした。
これにより、明るさ設定キーや投影モードの設定メニューによって調整可能なユーザが視認する画像期間の投影画像の明るさに直接影響を与えることなくポインタペン3のポイント位置の検出精度を向上できる。
【0079】
また上記実施形態では、位置検出用画像を挿入するフレーム毎に明るさを調整するものとしたので、ポインタペン3のポイント位置の検出精度を迅速、且つ継続的に向上できる。
【0080】
上記実施形態では、ポインタペン3側でポイント位置の座標を算出し、算出結果をプロジェクタ1へ送信するものとしたので、投影動作を実行しているプロジェクタ1側のCPU18による位置検出に関する負担を軽減できる。
【0081】
これとは反対に、ポインタペン3側では単に照度検出とその検出した照度情報の送信のみを行ない、これを受けたプロジェクタ1側で照度情報からポイント位置の算出を行なうような構成も考えられる。このような構成とすれば、電源として電池を使用せざるを得ないポインタペン3の電力消費を極力抑えることができる。
【0082】
上記実施形態では、投影画像PI中に算出結果に基づいてポイントマークPTを重畳して投影するものとしたので、ポインタペン3によりポイントしている位置を可視化して、受光手段しか持たないポインタペン3をあたかもレーザポインタのようにして利用できる上、設定によってはポイントマークPTの形状や色等の形態を任意に可変して、投影画像PIとのマッチングを図ることができる。
【0083】
なお上記実施形態では、グラデーション画像IMc1とIMc2、IMc3とIMc4の関係のように、位置毎の単位時間当たりの明るさが一様となる、明暗の変化パターンが互いに反転した2枚の画像を用いるものとしたので、環境光の影響を相殺してポイント位置の検出精度を向上できる。
【0084】
加えて上記実施形態では、グラデーション画像IMc1及びIMc2と、IMc3及びIMc4との関係のように、明暗の変化パターンの方向が互いに直交する2組の画像を用いるものとしたので、投影画像PI中の2次元座標位置を正確に検出できる。
【0085】
また上記実施形態では、プロジェクタ1の光源部15が半導体発光素子を使用するものとしたので、高速な輝度調整が実現可能となり、且つ本来投影する画像の明るさに影響を与えることなく、位置検出の精度を向上できる。
【0086】
なお上記実施形態では説明しなかったが、一般的なプロジェクタ装置では、プレゼンテーションなどで投影する画像の色よりもまず明るさを優先するモード(プレゼンテーションモード)や、映画を再生する場合のように明るさよりも色の再現性を優先するモード(シアターモード)など、各種投影モードを選択して設定することが可能な機種が大部分であり、ポインタペンの使用頻度も投影モードに応じて異なるものと考えられる。
【0087】
したがって、例えば、色の再現性を優先するモードでは、位置検出用画像の明るさも低めに抑えるといったように、投影モードの設定状態を勘案して位置検出用画像の明るさを調整するものとすれば、必要に応じてポインタペン3の検出精度の向上と投影画像の画質維持のバランスとを適切にとることができる。
【0088】
なお上記実施形態は、PCを接続したDLP(登録商標)方式のプロジェクタ1が、専用のポインタペン3との間で無線接続するような投影システムに関して説明したものであるが、本発明はこれに限らず、ポインタペンがそのポインタペンを用いるためのアプリケーションプログラムをインストールしたPCと無線接続されるようなシステム構成であっても同様に適用可能である。
【0089】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0090】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
請求項1記載の発明は、画像信号を入力する入力手段と、発光素子を有する光源と、上記光源が出射する光を用い、上記入力手段で入力する画像信号に対応した光像を形成して投影する投影手段と、上記光像中の位置を検出するための位置検出用画像に対応する光像を挿入して上記投影手段で投影させる投影制御手段と、上記投影制御手段により上記位置検出用画像に対応する光像を上記投影手段で投影させるタイミングで装置外部のポインタ装置に対して位置座標の検出を指示する情報を送信する送信手段と、上記送信手段での送信に応答して上記ポインタ装置から送られてくる照度情報を受信する受信手段と、上記受信手段で受信した照度情報に基づいて上記投影制御手段により投影させる位置検出用画像の明るさを調整する明るさ調整手段とを具備したことを特徴とする。
【0091】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記投影制御手段は、上記位置検出用画像の投影時の明るさを、上記画像信号に対応した光像の投影時と独立して調整することを特徴とする。
【0092】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、上記投影制御手段は、上記位置検出用画像投影時の明るさを、上記位置検出用画像の挿入毎に調整することを特徴とする。
【0093】
請求項4記載の発明は、上記請求項1乃至3いずれか記載の発明において、上記投影制御手段は、上記位置検出用画像投影時の明るさを、上記光源の発光素子の駆動条件により調整することを特徴とする。
【0094】
請求項5記載の発明は、上記請求項1乃至4いずれか記載の発明において、上記投影制御手段は、上記位置検出用画像投影時の明るさを、上記位置検出用画像の階調により調整することを特徴とする。
【0095】
請求項6記載の発明は、上記請求項1乃至5いずれか記載の発明において、上記受信手段は、上記ポインタ装置で算出された位置座標情報と共に上記照度情報を受信することを特徴とする。
【0096】
請求項7記載の発明は、上記請求項1乃至5いずれか記載の発明において、上記受信手段で上記ポインタ装置から受信した上記照度情報に基づき、上記ポインタ装置がポイントした位置座標を算出する位置算出手段をさらに具備したことを特徴とする。
【0097】
請求項8記載の発明は、上記請求項1乃至7いずれか記載の発明において、上記投影手段は、投影する光像中の上記検出した座標位置にポインタ画像を配置することを特徴とする。
【0098】
請求項9記載の発明は、上記請求項1乃至ヌ油いずれか記載の発明において、上記明るさ調整手段は、上記受信手段で受信した照度情報が予め設定した明るさよりも明るい内容である場合に上記投影制御手段により投影させる位置検出用画像の明るさを暗くなるように調整することを特徴とする。
【0099】
請求項10記載の発明は、上記請求項1乃至9いずれか記載の発明において、上記明るさ調整手段は、上記受信手段で受信した照度情報が予め設定した明るさよりも暗い内容である場合に上記投影制御手段により投影させる位置検出用画像の明るさをより明るくなるように調整することを特徴とする。
【0100】
請求項11記載の発明は、上記請求項1乃至10何れか記載の発明において、上記光源は半導体発光素子を有することを特徴とする。
【0101】
請求項12記載の発明は、上記請求項1乃至11いずれか記載の発明において、上記投影手段で投影する光像の明るさをモード毎に設定するモード設定手段をさらに具備し、上記明るさ調整手段は、上記モード設定手段で設定したモードを勘案して上記投影制御手段により投影させる位置検出用画像の明るさを調整することを特徴とする。
【0102】
請求項13記載の発明は、投影装置と協働するポインタ装置であって、上記投影装置から照度測定の指示情報を受信する受信手段と、上記受信手段での受信に基づき、対向方向の予め設定された範囲の単位時間当たりの照度を測定する測定手段と、上記測定手段で測定した、対向方向の位置座標及び平均照度を含んだ照度情報を上記投影装置に対して送信する送信手段とを具備したことを特徴とする。
【0103】
請求項14記載の発明は、上記請求項13記載の発明において、上記測定手段で測定した照度情報から、位置座標及び平均照度を算出する算出手段をさらに具備し、上記送信手段は、上記算出手段で算出した位置座標及び平均照度の情報を送信することを特徴とする。
【0104】
請求項15記載の発明は、上記請求項14記載の発明において、上記受信手段は、上記投影装置側で設定された位置検出用画像の明るさを調整するか否かの指示を受信し、上記受信手段により上記位置検出用画像の明るさを調整するとの指示を受信した場合に、上記算出手段で上記平均照度を算出することを特徴とする。
【0105】
請求項16記載の発明は、上記請求項14記載の発明において、上記投影装置と協働し、位置検出用画像の明るさを調整するか否かを設定する設定手段をさらに具備し、上記設定手段により上記位置検出用画像の明るさを調整する設定されている場合に、上記算出手段で上記平均照度を算出することを特徴とする。
【0106】
請求項17記載の発明は、上記請求項1乃至12いずれか記載の投影装置と、上記請求項13乃至16いずれか記載のポインタ装置とを有することを特徴とする。