(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6107107
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】簡易封緘箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/10 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
B65D5/10 C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-272151(P2012-272151)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-118154(P2014-118154A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田澤 公樹
【審査官】
家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−237773(JP,A)
【文献】
実開平03−126812(JP,U)
【文献】
特開2004−352354(JP,A)
【文献】
特開2002−370727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の第一側面板と、前記第一側面板と直交して対向する一対の第二側面板と、前記第一側面板のそれぞれの上端に折罫を介して第一フラップと、前記第二側面板のそれぞれの上端に折罫を介して第二フラップとを有し、前記第一フラップと前記第二フラップを係合して封緘する簡易封緘箱であって、
前記第一フラップに、前記第一側面板側から先端側に向かって互いに広がる2箇所の斜め折罫を設けて、該2箇所の斜め折罫のそれぞれを介して係止突起を延設し、
前記係止突起は、第一フラップに設けられた互いに広がる2箇所の斜め折罫と、斜め折罫第一側面板側の端部同士を結ぶ連結切断線と、この切断線の中央から先端側に延び、係止突起を2つに分離する分離切断線と、斜め折罫の先端側から連結切断線と平行に伸びて、第二フラップの下に差し込めるようにするための差込切断線で形成されており、該2箇所の斜め罫線を外側に向けて起こして、
該係止突起の先端部をそれぞれ、前記第二フラップの下に差し込んで封緘することを特徴
とする簡易封緘箱。
【請求項2】
前記第二フラップの前記第二側面板と反対側の両端に、突出部が設けられ、前記第二フラップを内方に倒したとき、前記突出部の先端が略突き当たるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の簡易封緘箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易封緘箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
四角筒状に配置した側面板の上端にそれぞれフラップが設けられ、フラップ同士で係合して封緘する簡易封緘箱がある。このような簡易封緘箱は、長ネギや、ニラ、白菜などの野菜を収納し、出荷する容器として、広く用いられている。
【0003】
このような簡易封緘箱では、市場や流通過程において、フラップの先端縁に手を掛けて、ぶら下げるように持ち運ばれることがあるので、フラップが撓んで係合が外れたり、破れたりしないように工夫されている簡易封緘箱がある。
【0004】
この簡易封緘箱のブランクは、
図5のように、各一対の第一側面板11、11と、第二側面板12、12が交互に連設され、その一端に貼着板13が設けられている。第一側面板11、11及び第二側面板12、12の上縁には第一フラップ14、14と第二フラップ15、15がそれぞれ連設されている。
【0005】
第二フラップ15、15の両側部には、先端縁から突出する抱込部18が設けられ、第二フラップ15、15はコ字状となっている。第一フラップ14、14の先端には、切目間の繋ぎを介して折返板16、16がそれぞれ連設され、その両側には抜止片17、17、17,17が連設されている。
【0006】
上記ブランクを組み立てるには、
図6に示すように、各一対の第一側面板11、11及び第二側面板12、12を角筒状に折り曲げ、貼着板13を貼着させて筒状に形成し、一対の第二フラップ15、15を内側へ折り曲げ、次に、抜止片17、17、17,17を内方向へ折り曲げつつ、折返板16、16を対向する第二フラップ15、15の間に押し込む。このようにして、天部を封緘する簡易封緘箱がある(特許文献1)。
【0007】
この簡易封緘箱の場合、第二フラップ15、15の下に差し込まれた抜止片17、17、17,17と折返板16、16の間が一旦折られてから差し込まれるので、その折部が第二フラップ15、15の間より内側に沿って形成される。そのため、第二フラップ15、15や、あるいは、折返板16の下に手を入れて持ち上げようとすると、その折部で折れて、抜止片17、17が第二フラップ15、15より抜けてしまい、封緘が外れてしまう恐れがある。
【0008】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−352354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、フラップ同士を係合して封緘したフラップに手を差し込んで持ち上げても、封緘が外れることのない簡易封緘箱を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に係る発明は、対向する一対の第一側面板と、前記第一側面板と直交して対向する一対の第二側面板と、前記第一側面板のそれぞれの上端に折罫を介して第一フラップと、前記第二側面板のそれぞれの上端に折罫を介して第二フラップとを有し、前記第一フラップと前記第二フラップを係合して封緘する簡易封緘箱であって、
前記第一フラップに、前記第一側面板側から先端側に向かって互いに広がる2箇所の斜め折罫を設けて、該2箇所の斜め折罫のそれぞれを介して係止突起を延設し、
前記係止突起は、第一フラップに設けられた互いに広がる2箇所の斜め折罫と、斜め折罫第一側面板側の端部同士を結ぶ連結切断線と、この切断線の中央から先端側に延び、係止突起を2つに分離する分離切断線と、斜め折罫の先端側から連結切断線と平行に伸びて、第二フラップの下に差し込めるようにするための差込切断線で形成されており、該2箇所の斜め罫線を外側に向けて起こして、
該係止突起の先端部をそれぞれ、前記第二フラップの下に差し込んで封緘することを特徴とする簡易封緘箱である。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明は、前記第二フラップの前記第二側面板と反対側の両端に、突出部が設けられ、前記第二フラップを内方に倒したとき、前記突出部の先端が略突き当たるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の簡易封緘箱である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の簡易封緘箱は、第一フラップに、互いに広がる2箇所の斜め折罫を介して、それぞれに係止突起が延設されていて、係止突起の先端部をそれぞれ、第二フラップの下に差し込んで封緘するようになっているので、係合して封緘したフラップに手を差し込んで持ち上げても、封緘が外れることがない。
【0014】
また、第二フラップの第二側面板と反対側の両端に、突出部が設けられ、第二フラップを内方に倒したとき、突出部の先端が略突き当たるようにして有るので、封緘したときにしっかりと安定する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の簡易封緘箱の一例のブランクを模式的に示した説明図である。
【
図2】本発明の簡易封緘箱の一例を組み立てる第1ステップを模式的に平面で示した説明図である。
【
図3】本発明の簡易封緘箱の一例を組み立てる第2ステップを模式的に正面で示した説明図である。
【
図4】本発明の簡易封緘箱の一例の組みあがった天部の構造を模式的に平面で示した説明図である。
【
図5】従来の簡易封緘箱の一例のブランクを模式的に示した説明図である。
【
図6】従来の簡易封緘箱の一例の天部を組み立てる状態を模式的に斜視で示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態につき説明する。
【0017】
図1は、本発明の簡易封緘箱の一例のブランクを模式的に示した説明図、
図2は、本発明の簡易封緘箱の一例を組み立てる第1ステップを模式的に平面で示した説明図、
図3は、本発明の簡易封緘箱の一例を組み立てる第2ステップを模式的に正面で示した説明図、
図4は、本発明の簡易封緘箱の一例の組みあがった天部の構造を模式的に平面で示した説明図である。
【0018】
本例の簡易封緘箱100は、板紙や段ボールからなる
図1のブランク200を、一点鎖線で示した折罫を必要に応じて折って、必要部分をホットメルト剤やグルーなどで貼着して製函する。尚、実線は外形線または切れ目、切り込みである。この
図1のブランクの説明図は、用紙の表面側すなわち簡易封緘箱の主に外側となる面から見た図である。
【0019】
図1のように、本例の簡易封緘箱100のブランク200は、一対の第一側面板1、1と、一対の第二側面板2、2とが交互に設けられていて、その一端に貼着板3が設けられている。
【0020】
そして、第一側面板1、1のそれぞれの上端に折罫を介して第一フラップ4、4と、第二側面板2、2のそれぞれの上端に折罫を介して第二フラップ5、5がそれぞれ設けられている。
【0021】
第一フラップ4、4には、第一側面板1、1側から先端側に向かって互いに広がる2箇所の斜め折罫6、6、6、6が設けられている。本例では、2箇所の斜め折罫6、6、6、6は、それぞれ2本の平行な折罫からなっている。
そして、この斜め折罫6、6、6、6を介して、それぞれに係止突起7、7、7、7が延設されている。また、第二フラップ5、5の第二側面板2、2と反対側の両端に、突出部8、8、8、8が設けられている。
【0022】
すなわち、係止突起7は、第一フラップ4に設けられた互いに広がる2箇所の斜め折罫6、6と、斜め折罫6、6の第一側面板1、1側の端部同士を結ぶ連結切断線4aと、この切断線の中央から先端側に延び、係止突起7、7を2つに分離する分離切断線4bと、斜め折罫6の先端側から連結切断線と平行に伸びて、第二フラップ5、5の下に差し込めるようにするための差込切断線4cで形成されている。
【0023】
また、第一側面板1、1のそれぞれの下端に折罫を介して第一底部フラップ9、9と、第二側面板2、2のそれぞれの下端に折罫を介して第二底部フラップ10、10がそれぞれ設けられている。
【0024】
次に、ブランク200から簡易封緘箱100を組み立てる方法について説明する。
【0025】
まず、一対の第一側面板と一対の第二側面板で、四角筒形状になるように、貼着板3を反対側の端部内面に貼着して筒状にする。この状態では、四角筒状であるので、押し潰して平坦にすることができ、保管や輸送する場合に場所をとることがなく便利である。
【0026】
次に、
図2の平面図のように、第二フラップ5、5を内側に倒して、突出部8、8、8、8の先端を突き合わせる。このようにして、突出部8、8、8、8の先端を略突き当たるようにする。このとき、第一フラップ4、4は外側に倒しておくとやり易い。
【0027】
そして、
図3の正面図のように、斜め折罫6、6、6、6を折って、係止突起7、7、7、7を、それぞれ、図の左側のように、外側に向けて起こす。そして、図の右側のように、第一フラップ4、4を倒して行き、係止突起7、7、7、7をその先端から第二フラップ5、5の間に差込んでいく。
【0028】
次に、斜め折罫6、6、6、6を平坦に戻すようにして、係止突起7、7、7、7の先端を第二フラップ5、5の下に沿わせるようにする。これによって、
図4のように、係止突起7、7、7、7の先端が、第二フラップ5、5の下に差し込まれて天部が封緘される。
【0029】
このように天部が封緘された簡易封緘箱100の天地をひっくり返して、野菜などの収納物を入れ、第一底部フラップ9、9を内側に倒して、次に、第二底部フラップ10、10を倒し、底部を、テープやホットメルト剤、あるいはステープルで封緘すれば、収納物を収納した簡易封緘箱100が組み立てられる。
【0030】
以上のように、本発明の簡易封緘箱は、第一フラップに、互いに広がる2箇所の斜め折罫を介して、それぞれに係止突起が延設されていて、係止突起の先端部をそれぞれ、第二フラップの下に差し込んで封緘するようになっているので、斜め折罫が第二フラップの間にないので、フラップの下に手を入れて、簡易封緘箱を持ち上げても、しっかり係止されているので、封緘が外れることがない。
【0031】
更には、第二フラップに突出部が設けられ、第二フラップを内方に倒したとき、突出部の先端が略突き当たるようにして有るので、しっかりとしていて、封緘が安定している。
【符号の説明】
【0032】
100・・・簡易封緘箱
200・・・ブランク
1、1・・・第一側面板
2、2・・・第二側面板
3・・・貼着板
4、4・・・第一フラップ
4a・・・連結切断線
4b・・・分離切断線
4c・・・差込切断線
5、5・・・第二フラップ
6、6、6、6・・・斜め折罫
7、7、7、7・・・係止突起
8、8、8、8・・・突出部
9、9・・・第一底部フラップ
10、10・・・第二底部フラップ
11、11・・・第一側面板
12、12・・・第二側面板
13・・・貼着板
14、14・・・第一フラップ
15、15・・・第二フラップ
18・・・抱込部
16、16・・・折返板
17、17、17,17・・・抜止片