(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータにおいては、利用者が乗り場にて呼び釦を押すことにより、或いは利用者がカゴ内にて行先階釦を押すことにより、行先階の登録(呼び登録)が行なわれている。
又、セキュリティの向上を目的として、乗り場又はカゴ内にリーダを設置して該リーダによりカードの認証を行ない、認証された場合のみ行先階の登録(呼び登録)を可能にすることが行なわれている。カードには、磁気カードやIC(Integrated Circuit)カードが用いられている。
【0003】
カードを利用した呼び登録システムにおいては、カードに行先階を表わす行先階情報を予め記憶しておき、リーダによって行先階情報を読み取ることにより呼び登録を行なうことが可能である。しかしながら、カードに1つの行先階情報だけを記憶した呼び登録システムにおいては、利用者は、複数階を移動するためには複数枚のカードを携帯する必要がある。
【0004】
特許文献1では、乗り場に設置されているリーダにカードを読み取らせることにより、リーダが設置されている階とは異なる特定の階(例えば玄関階)が登録されるシステムが提案されている。
特許文献1に開示の呼び登録システムによれば、1枚のカードで2つの階を往復移動することが可能になるものの、3以上の階をエレベータにて移動する場合には、やはり複数のカードを携帯する必要がある。
【0005】
特許文献2では、複数の行先階を選択することが可能なカードを用いて、選択した行先階を表わす行先階情報を電波に乗せてカードから発信し、その電波を受信アンテナにて受信することにより行先階が登録されるシステムが提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示の呼び登録システムでは、カード内に、電波の発信に必要な電力を供給する電池を配備する必要がある。このため、カードの使用中に電池が切れた場合には呼び登録が出来なくなり、エレベータを利用して別の階に移動することが出来なくなる。従って、カードの電池が切れないように、電池の残量を管理する必要があり不便であった。
【0007】
そこで、出願人は、1枚のカードに行先階と関連付けられた複数の釦を配置し、何れかの釦を押しつつ、カードリーダへの登録を行なうことで、釦に対応する行先階への乗場呼び登録を行なうことのできるエレベータの呼び登録システムを提案している(特許文献3参照)。このシステムにより、1枚のカードで複数の行先階の登録が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、行先階毎にカードの釦が必要となり登録数に限度があり、また、カードの釦が故障する虞がある。
【0010】
本発明の目的は、1つの識別情報で複数の行先階又は行先方向を登録することが可能であり、且つ利便性が高いエレベータの呼び登録システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るエレベータの呼び登録システムは、
エレベータ利用形態を特定できる情報に基づいて、行先階又は行先方向の異なる乗場呼びを登録するエレベータシステムにおいて、
前記エレベータ利用形態を特定できる識別情報の格納された識別体と、
該識別体に格納された前記エレベータ利用形態を特定できる識別情報にアクセス可能であって、各々が自己の機器情報を有する1つ又は複数のリーダからなるリーダ群と、
前記エレベータ利用形態を特定できる識別情報と前記機器情報との組合せによって、特定される1つの行先階又は行先方向に対応する乗場呼びを生成する行先階照合手段と、
該行先階照合手段により生成された呼びを何れかのカゴに割り当てる割当手段と、
を具え、
前記リーダ群は、少なくとも1つのカゴの停止可能な階床にそれぞれ1つ又は複数配置され、
前記リーダ群が配置された1つの階床には、同じ識別体でアクセスされたときに生成される行先階又は行先方向が異なるリーダを少なくとも2つ以上配置する。
【0012】
本発明に係るエレベータの呼び登録システムは、
エレベータ利用形態を特定できる情報に基づいて、行先階又は行先方向の異なる乗場呼びを登録するエレベータシステムにおいて、
各々が自己の機器情報を有する1つ又は複数のリーダからなるリーダ群と、
前記リーダ群のリーダの有する機器情報にアクセス可能な識別体であって、前記何れかのリーダの機器情報を受信し、該機器情報に基づいて、特定される1つの行先階又は行先方向に対応する乗場呼びを生成する行先照合手段を具える識別体と、
前記行先照合手段により生成された呼びを何れかのカゴに割り当てる割当手段と、を具え、
前記リーダ群は、少なくとも1つのカゴの停止可能な階床にそれぞれ1つ又は複数配置され、
前記リーダは、前記識別体の行先照合手段により生成された呼びを、前記割当手段に送信する。
【0013】
本発明に係るエレベータの呼び登録システムは、
エレベータ利用形態を特定できる情報に基づいて、行先階又は行先方向の異なる乗場呼びを登録するエレベータシステムにおいて、
前記エレベータ利用形態を特定できる識別情報の格納された識別体と、
1つ又は複数のリーダからなり、前記識別体に格納された前記エレベータ利用形態を特定できる識別情報にアクセス可能であって、前記識別体の識別情報を受信し、該識別情報に基づいて、特定される1つの行先階又は行先方向に対応する乗場呼びを生成する行先照合手段を具えるリーダからなるリーダ群と、
該行先階照合手段により生成された呼びを何れかのカゴに割り当てる割当手段と、
を具え、
前記リーダ群は、少なくとも1つのカゴの停止可能な階床にそれぞれ1つ又は複数配置され、
前記リーダは、前記行先階照合手段により生成された呼びを、前記割当手段に送信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るエレベータの呼び登録システムによれば、利用者が識別体をアクセスするリーダを選択することで、1つの識別体を用いて、複数の行先階の登録又は行先方向の異なる乗場呼びの登録を行なうことができる。
従って、例えば、識別体としてICカードの如き電子媒体を採用した場合には、1枚のICカードで複数の行先階の登録又は行先方向の異なる乗場呼びの登録を行なうことができ、複数枚のICカードを持ち運ぶ煩わしさや、釦操作なども不要である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、エレベータ利用形態を特定できる情報にアクセス可能な識別体及び/又は複数のリーダ(12)からなるリーダ群(10)を、カゴ(60)の停止可能な各階床(50)に配置し、利用者がリーダ群(10)に属する何れかのリーダ(12)を選択して、該リーダ(12)に識別体をアクセスさせて、異なる行先階又は行先方向の呼びの登録を行なうことのできるエレベータの呼び登録システムに関するものである。以下では、主として、識別体にエレベータ利用形態を特定できる識別情報を格納した実施例について説明する。
【0017】
<第1の実施例>
図1は、本発明の一実施例に係るエレベータの呼び登録システムを採用したエレベータホールの平面図、
図2は、同エレベータホールの斜視図、
図3は、建物内の各階床のエレベータホールの概略図である。図示の実施例では、運行するカゴ(60)は、A号機からF号機までの6基としており、建物内に設けられたシャフト内を昇降し、複数の階床(50)にて停止可能となっている。
【0018】
エレベータ利用形態を特定できる識別情報を格納した識別体にアクセス可能な1つ又は複数のリーダ(12)をリーダ群(10)として構成することができ、
図1乃至
図3に示すように、カゴ(60)の停止可能な階床(50)に夫々配置される。
【0019】
図に示すように、エレベータホールには、利用者の通行する適所に識別体をアクセスして、行先階登録を行なうためのリーダ群(10)が配置される。
図1では、リーダ群(10)は4基配置されている。
【0020】
リーダ群(10)に含まれる各リーダ(12)は、
図4に示すように、カゴ(60)の運行制御を行なう制御部(40)に通信手段(48)を介して通信可能に接続されている。制御部(40)は、機械室等の適所に配置され、
図4に示すように、各シャフトのカゴ(60)を統括的に制御する群管理制御手段(42)を具える。また、群管理制御手段(42)には、個々のカゴ(60)の走行や扉の開閉等などを行なうカゴ制御手段(46)が電気的に接続されており、制御部(40)は、行先階への呼びが登録されると、群管理制御方法に従ってカゴ(60)の運行を行なう。
【0021】
図5は、リーダ群(10)の一実施例を示す斜視図であって、リーダ群(10)を3基のリーダ(12)から構成したものである。勿論、リーダ(12)の台数はこれに限定されない。
リーダ(12)は、識別体、即ち、読み取られる(アクセスされる)エレベータ利用形態を特定できる識別情報の格納方法に応じたものを用いることができる。ここで、「アクセス」とは、リーダ(12)と識別体との間で情報の読み取り可能な状態に置くこと、及び、実際に情報を読み取りすることを意味し、情報の読み取りは、識別体からリーダ(12)への単方向、リーダ(12)から識別体への単方向、又は、リーダ(12)と識別体との双方向の何れでもよいものとする。なお、以下では、リーダ(12)により識別体の情報を単方向に読み取る(アクセスする)実施例について説明する。
【0022】
エレベータ利用形態を特定できる識別情報は、
図6に示すような非接触型のIC(Integrated Circuit)カード(30)などの電子媒体を識別体として格納することができる。この場合、リーダ(12)は、ICカード(30)からの情報を電磁波通信により非接触で情報を読み取る(アクセスする)ことのできる非接触型のICカードリーダを採用することができる。
【0023】
図7は、識別情報の一例を示している。図示の実施例では、識別情報は、T0001〜T0003である。なお、識別体には少なくともエレベータ利用形態を特定できる識別情報が格納されていればよいが、個人を特定する行先登録可能な階床、有効期限、利用可能時間などの情報を含めてもよい。また、その他の情報は、後述する行先階照合手段(43)にエレベータ利用形態を特定できる識別情報と関連付けて格納しておくこともできる。また、特定の団体について、同じエレベータ利用形態を特定できる識別情報を付与するようにしてもよい。
【0024】
図示のICカード(30)は、エレベータ利用形態を特定できる識別情報を格納するICチップ(31)を内蔵している。また、ICカード(30)には、その所有者を視覚的に判別するための顔写真(32)や社名、所有者名などをプリントすることができる。
【0025】
また、ICカード(30)には、利用者が所望する行先階を読み取らせるリーダ(12)を視覚的に判別するための情報をプリントすることができる。図示の実施例では、リーダ(12)と関連付けられた丸、三角、四角のマーク(33a)としている。また、利用者が行先階として許容されている階床が「玄関階(1階)」、「オフィス階(5階)」、「食堂階(7階)」であった場合に、該当する階床の階床名や階数などを文字や図柄などでプリントすることもできる。
【0026】
識別体となるエレベータ利用形態を特定できる識別情報を格納する電子媒体は、上記した非接触型のICカード(30)に限定されるものではなく、例えば、接触型のICカードを用いることもできる。
また、識別体は、ICカードに限らず、バーコードやQRコード(登録商標)の如き二次元コードの印刷された媒体とすることもできる。さらには、識別体としてスマートフォンや携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)などを採用し、これらにエレベータ利用形態を特定できる識別情報を格納することもできる。加えて、また、識別体を指紋、静脈、顔など人の身体的特徴とし、エレベータ利用形態を特定できる識別情報として、指紋認証、静脈認証、顔認証などのバイオメトリクス認証を利用することもできる。これらの場合、情報のアクセスは、バーコード等や身体的特徴からリーダ(12)への単方向となる。
【0027】
識別体に格納されたエレベータ利用形態を特定できる識別情報が二次元コードである場合には、リーダ(12)は赤外線又はカメラによる単方向読み取り式のリーダであり、エレベータ利用形態を特定できる識別情報が指紋認証や静脈認証である場合には、リーダ(12)は光学式のセンサ、エレベータ利用形態を特定できる識別情報が顔認証である場合には、リーダ(12)としてカメラなどを採用することができる。同様に、識別体としてスマートフォン等にエレベータ利用形態を特定できる識別情報を格納した場合には、リーダ(12)として非接触型の単方向又は双方向読み取り機を採用することができる。
【0028】
上記リーダ(12)は、前述の
図5に示すように、読み取り部(13)を上面側に配置することができる。リーダ(12)には、前述したICカード(30)と関連付けられたマーク(14)を付すことができる。図示の実施例では、左側のリーダ(12)から順に、丸、三角、四角のマーク(14)を付しており、読み取り部(13)自体もマーク(14)の形状に合わせて丸、三角、四角としている。
【0029】
リーダ(12)は、夫々自己の機器情報を有しており、リーダ(12)により読み取られたエレベータ利用形態を特定できる識別情報と共に、自己の機器情報を入力情報として制御部(40)に送信する。機器情報の一例を
図7に示す。図示した機器情報は、リーダ群(10)を構成する3基のリーダ(12)に対し、K001〜K003を割り振っている。
【0030】
また、リーダ群(10)には、利用者が乗車すべきカゴ(60)の情報を表示及び/又は利用者の現在位置から乗車すべきカゴ(60)の入口方向を表示する案内表示部(20)をリーダ(12)と一体に、又は、エレベータホール内の視認しやすい適所に設けることができる。案内表示部(20)は、表示装置を具え、利用者の行先階(21)、カゴ(60)の号機名(22)、矢印(23)、マップなどにより、利用者の現在位置から乗車すべきカゴ(60)の入口方向を視覚的に表示したり、音声出力装置を具え、カゴ(60)の情報や利用者の現在位置から乗車すべきカゴ(60)の入口方向を音声案内する装置を例示することができる。案内表示部(20)も通信手段(48)を介して制御部(40)に通信可能に接続されている。
図示の実施例では、案内表示部(20)には、利用者の行先階(5階)(21)、カゴ(60)の号機名(A)(22)とその入口方向を示す矢印(23)、エレベータ利用形態を特定できる識別情報を読み取らせたリーダ(12)の機器番号(三角)(24)を表示している。
【0031】
制御部(40)は、前述した
図4に示すように、通信手段(48)を介してリーダ(12)からの入力情報を受信し、その行先階の呼びを生成する行先階照合手段(43)と、該行先階照合手段(43)により生成された行先階の呼びをカゴ(60)に割り当てる割当手段(44)とを有する群管理制御手段(42)を含んでいる。なお、行先照合手段(43)は、後述するとおり、リーダ(12)や識別体の一機能とすることもできる。
【0032】
行先階照合手段(43)には、
図7に示すように、予め利用者のエレベータ利用形態を特定できる識別情報と、リーダ群(10)のリーダ(12)の機器情報を含む入力情報に関連付けられた行先階を格納する管理テーブルを有している。管理テーブルに格納された行先階は、同じ識別情報であっても、同じリーダ群(10)に属するリーダ(12)に対して、異なるように登録されている。
図7の管理テーブルでは、識別情報T0001は、3基のリーダ(12)(K001〜K003)に対して、夫々1階、5階、7階が割り振られている。
【0033】
例えば、
図6(a)に示した識別情報T0001が格納されたICカード(30)を持つ利用者に対しては、上記管理テーブルの情報を参照すると、行先階として許容されている階床は、玄関階(1階)、オフィス階(5階)、食堂階(7階)である。この情報を視覚的に判別しやすいように、
図6(a)では、その階床を文字だけでなくマーク(33a)により表わしている。また、
図6(b)に示した識別情報T0002が格納されたICカード(30)を持つ利用者に対しては、上記管理テーブルの情報を参照すると、行先階として許容されている階床は、玄関階(1階)、オフィス階(12階)、食堂階(7階)であり、その階床を文字だけでなく図柄(33b)により表わしている。
【0034】
利用者の行先可能な階床は、上記に限定されるものではなく、利用者毎に種々設定することができる。これら行先可能な階床は、利用者のエレベータ利用形態を特定できる識別情報とリーダ(12)の機器情報に関連付けられて行先階照合手段(43)の管理テーブル(
図7参照)に格納される。
【0035】
行先階照合手段(43)は、リーダ(12)からの入力情報を受信すると、管理テーブルを検索し、該当する入力情報に関連付けられた行先階を呼び出し、行先階の呼びを生成する。生成された行先階の情報は、割当手段(44)に送信される。
【0036】
割当手段(44)は、行先階照合手段(43)から生成された行先階の呼びを受信すると、群管理制御方法に基づいて、最適なカゴ(60)にその行先階への呼びを割当する。
また、
図5に示すように、割り当てられたカゴ(60)の号機名(22)を案内表示部(20)に送信し、案内表示部(20)は、利用者の現在の位置から乗車すべきカゴ(60)の入口方向等の情報を表示する。
【0037】
上記構成のエレベータシステムにおける行先階の登録方法をフローチャート
図8に示す。
【0038】
まず、利用者は、ICカード(30)に記載されたマーク(33a)や図柄(33b) を手掛かりに、
図9(a)及び
図9(b)に示すように、所望する行先階と対応するリーダ(12)にICカード(30)を近接させて、リーダ(12)にエレベータ利用形態を特定できる識別情報を読み取らせる(ステップS101)。
【0039】
リーダ(12)は、読み取ったエレベータ利用形態を特定できる識別情報と、自身の機器情報を含む入力情報を通信手段(48)を介して制御部(40)に送信する(ステップS102)。
【0040】
制御部(40)に送信された入力情報は、行先階照合手段(43)に送信され、
図7に示す管理テーブルに格納された情報と照合されて、行先階が決定され、呼びを生成する(ステップS103)。
【0041】
生成された呼びは、割当手段(44)に送信されて、割当手段(44)にて、呼びを割り当てるカゴ(60)を決定し、割当対象のカゴ制御手段(46)に前記呼びに応答するよう指示を送信し、前記割当対象のカゴ制御手段(46)は前記呼びに応答するように昇降が行なわれる(ステップS104)。
【0042】
また、割当手段(44)は、前記行先階の割り当てられたカゴ(60)の情報や入口方向を案内表示部(20)に送信する(ステップS105)。
これにより、案内表示部(20)は、
図9(a)及び
図9(b)に示すように、登録された行先階(21)、利用者が乗車すべきカゴ(60)の号機名(22)と、利用者の現在の位置から乗車すべき前記カゴ(60)の入口への方向を示す矢印(23)、読み込んだリーダ(12)の機器情報(三角)(24)を表示し、利用者を案内する。
【0043】
図9(a)及び
図9(b)を参照すると、利用者が異なれば、リーダ群(10)の同じリーダ(12)にICカード(30)を読み取らせた場合であっても、エレベータ利用形態を特定できる識別情報が異なるから、行先階が異なる場合のあることがわかる。
【0044】
利用者は、案内表示部(20)の案内に従って、乗車すべきカゴ(60)の入口の前で到着を待ち、到着したカゴ(60)に乗車すればよい(ステップS106)。
【0045】
より具体的には、識別情報がT0001である利用者のICカード(30)(
図6(a))を、
図9(a)に示すようにリーダ群(10)の中央のリーダ(12)(機器情報K002)の読み取り部(13)にかざすと、ICカード(30)の識別情報がリーダ(12)により読み取られる(ステップS101)。
【0046】
リーダ(12)により読み取られた情報は、上記したステップS102の要領で制御部(40)に送信され、行先階照合手段(43)の管理テーブル(
図7参照)に格納された情報と照合される。
図7の管理テーブルを参照すると、識別情報T0001、機器情報K002に対して、行先階は5階が割り当てられているから、行先階照合手段(43)は、行先階を5階と決定し、呼びを生成する(ステップS103)。
【0047】
割当手段(44)は、生成された呼びに基づいて、呼びを割り当てるカゴ(60)を決定し、割当対象のカゴ制御手段(46)が、前記呼びに応答してカゴ(60)を昇降させる(ステップS104)。
【0048】
また、この呼びに対応するカゴ(60)の情報や入口方向を
図9(a)に示すように、案内表示部(20)に送信する(ステップS105)。
【0049】
利用者は、
図9(a)に示すように、案内表示部(20)に表示された案内に従って、到着したカゴ(60)に乗車する(ステップS106)。
【0050】
図7の管理テーブルからわかるように、同じ利用者の識別情報に対して、読み取らせるリーダ(12)が異なると、リーダ(12)の機器情報が異なるから、登録される行先階も変わる。即ち、
図9(a)及び
図9(c)を参照すると、利用者は1枚のICカード(30)をリーダ群(10)の異なるリーダ(12)、即ち、
図9(a)に示す中央のリーダ(12)(機器情報K002)と、
図9(c)に示す向かって右側のリーダ(12)(機器情報K003)に読み取らせた場合、前者は行先階が5階、後者は7階となっていることがわかる。
【0051】
本発明によれば、利用者は、1枚のICカード(30)を用い、リーダ群(10)に含まれる複数のリーダ(12)の中から、自らが所望する行先階に対応するリーダ(12)を選択し、該リーダ(12)にICカード(30) のエレベータ利用形態を特定できる識別情報を読み取らせる(アクセスさせる)だけで、行先階の呼び登録を行なうことができる。
【0052】
また、ICカード(30)を持つ利用者の利用形態の変化に応じて、行先階照合手段(43)の管理テーブルの情報を書き換えることにより、行先階として許容されている階床を再設定することができる。例えば、オフィスビルで利用者のオフィス階が変更された時には、行先階照合手段(43)の管理テーブルの情報を書き換えることによって対応できる。従って、利用者の利用可能な行先階が速やかに変更され、その結果、セキュリティが向上されることとなる。
【0053】
また、利用者が誤って、リーダ群(10)に含まれる複数のリーダ(12)の中から、利用者に対応していないリーダ(12)を選択した場合は、利用者に対して、エラーの案内をしたり、また利用者がいる階に対応するリーダ(12)を選択した場合は、利用者に対して、現在階であることを案内してもよい。
【0054】
なお、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0055】
例えば、
図10に示すように、玄関階にリーダ(12)を配置したセキュリティゲート(70)を設け、カゴ(60)が割り当てられたときにのみセキュリティゲート(70)を開くようにすることで、複数人同時進入行為(ピギーバック)を防止することができる。なお、図示の実施例では、リーダ1基についてセキュリティゲート(70)を1つ設けているが、図中右端に点線で示すように、複数のリーダ(12)をセキュリティゲート(70)に設けることもできる。
このように、リーダ(12)が1つであっても利用者が利用する単位をリーダ群(10)として形成してもよい。
【0056】
また、上記実施例では、ICカード(30)に玄関階も登録しているが、リーダ(12)を1基増やして、当該リーダ(12)にエレベータ利用形態を特定できる識別情報を読み取らせることで玄関階を行先階とする呼び登録を行なえるようにしてもよい。
【0057】
さらに、前記電子媒体が、ICカード(30)のように書き換え可能であれば、同じ電子媒体を書き換えて繰り返し使用することができる。例えば、来訪者に対しては、訪問先に応じて識別情報を書き換えたICカード(30)を渡し、退出時に回収するようにしてもよい。
【0058】
<第2の実施例>
識別体としてICカード(30)等の電子媒体を採用する場合には、行先階照合手段(43)の機能を電子媒体に含めることもできる。より詳細には、電子媒体には
図11に示すように機器情報と行先階に関する情報を含む管理テーブルを格納しておく。然して、フローチャート
図12に示すように、リーダ(12)にアクセスしたときに(ステップS201)、該リーダ(12)の機器情報を受信して(ステップS202)、管理テーブルを参照して機器情報に対応する行先階の呼びを生成し(ステップS203)、リーダ(12)を介して制御部(40)の割当手段(44)に、前記生成された呼びを送信する(ステップS204)。以下は前述のフローチャート
図8のステップS104以降と同様である。
【0059】
より詳細には、例えば、
図11の機器情報と行先階に関する情報を含む管理テーブルを格納したICカード(30)を、
図9(a)に示すように、中央のリーダ(12)(機器情報三角)にアクセスすると、ICカード(30)は、該リーダ(12)の機器情報を受信し、管理テーブルを参照して、行先階5階の呼びをリーダ(12)を介して制御部(40)に送信することとなる。これにより、行先階が5階である呼びに応答するカゴ(60)が決定されて、案内表示部(20)に表示される。
【0060】
これにより、例えば、電子媒体を食堂階に対応するリーダにアクセスさせた場合には、電子媒体内で管理テーブルを参照して、対応する食堂の階床(7階)の呼びを生成して、呼びの登録を行なうことができる。
【0061】
上記によれば、ICカード(30)(識別体)自体には識別情報は不要であり、電子媒体の管理テーブルを書き換えるだけで、個々の行先階を登録することができるから、制御部(40)のような中央の管理テーブルの書き換えは不要とすることができ、システムの管理を容易にすることができる。また、リーダ(12)や制御部(40)の構成を単純化できる利点もある。
【0062】
<第3の実施例>
行先階照合手段(43)は、上記実施例では、制御部(40)の一機能であるが、リーダ群(10)の各リーダ(12)の機能とすることもできる。より詳細には、各リーダ(12)には
図13に示すように識別情報と行先階に関する情報を含む管理テーブルを格納しておく。然して、フローチャート
図14に示すように、ICカード(30)(識別体)をリーダ(12)にアクセスしたときに(ステップS301)、該リーダ(12)は、ICカード(30)の識別情報を受信して(ステップS302)、管理テーブルを参照して
識別情報に対応する行先階の呼びを生成し(ステップS303)、制御部(40)の割当手段(44)に、前記生成された呼びを送信する(ステップS404)。以下は前述のフローチャート
図8のステップS104以降と同様である。
【0063】
例えば、リーダ(12)に格納される管理テーブルとして、各ICカード(30)の識別情報(T0001〜T0003)に対して、夫々行先階(5階、12階、3階)が割り振られている場合、このリーダ(12)(例えば、
図9(a)の中央のリーダとする)に、識別情報がT0001のICカード(30)をアクセスする。これにより、リーダ(12)(K002)は、ICカード(30)の識別情報(T0001)を受信し、管理テーブルを参照して、行先階5階の呼びを制御部(40)に送信することとなる。これにより、行先階が5階である呼びに応答するカゴ(60)が決定されて、案内表示部(20)に表示される。
【0064】
上記によれば、リーダ(12)自体には機器情報は不要であり、また、リーダ(12)の管理テーブルを書き換えるだけで、個々の行先階を登録することができるから、制御部(40)のような中央の管理テーブルの書き換えは不要とすることができ、システムの管理を容易にすることができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0066】
上記実施例では、エレベータ利用形態を特定できる識別情報及び/又は機器情報との組み合わせから、特定の行先階を登録しているが、上方向の呼び、又は下方向の呼びを登録できるようにしても良い。利用者は何れかのリーダに識別体をアクセスすることで、上方向又は下方向の乗場呼びを登録(行先方向の登録)することができる。利用者が所望する行先階の登録は、カゴ内に行先階釦を配置し、該行先階釦の操作により行なうことができる。