(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
図1に、本発明の第1実施形態に係る省エネ施策提供システムの一例を示す。第1実施形態に係る省エネ施策提供システムは、省エネ施策提供装置10と携帯端末装置60とを含む。省エネ施策提供装置10及び携帯端末装置60は、通信経路としてのネットワークNを介して接続されている。なお、複数の携帯端末装置60がネットワークNに接続されていてもよい。
【0025】
省エネ施策提供装置10は、例えばオフィスや工場等の建物にて実施される省エネ施策やアドバイスを提供する装置である。携帯端末装置60は、ユーザが使用するモバイル機器等の端末装置である。以下の説明では、オフィス内に設置された各種機器に対する省エネ施策を例にとって説明する。但し、本発明は、その例に限定されるものではない。
【0026】
図2にオフィスの一例を示す。オフィス内には、例えば、照明、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバ、プリンタ等の各種機器が設置されている。また、オフィスは複数のエリア(例えばエリア01〜09)に分けられ、エリア毎に機器が管理されている。ユーザPが携帯端末装置60によって省エネ施策の取得を要求すると、携帯端末装置60は、取得要求を示す情報を、ネットワークNを介して省エネ施策提供装置10に送信する。省エネ施策提供装置10は、当該取得要求に応じて、省エネ施策を示す省エネ施策情報を、ネットワークNを介して携帯端末装置60に送信する。携帯端末装置60には省エネ施策情報が表示され、表示された省エネ施策情報は、ユーザPの省エネ活動の際に参考にされ得る。
【0027】
図1を参照して、省エネ施策提供装置10の構成を説明する。省エネ施策提供装置10は、通信部12と、省エネ情報管理部14と、エネルギー情報管理部24と、施策情報生成部28と、付加情報生成部30とを含む。省エネ施策提供装置10は図示しないCPU等のプロセッサを備えており、当該プロセッサがプログラムを実行することで、省エネ施策提供装置10の各部の機能が実現される。
【0028】
通信部12は例えばネットワークインターフェースであり、ネットワークNを介して携帯端末装置60と通信を行う。
【0029】
省エネ情報管理部14は、ユーザ情報記憶部16と、機器情報記憶部18と、施策情報記憶部20と、履歴情報記憶部22とを含み、各種情報を管理する。
【0030】
ユーザ情報記憶部16は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、機器に対するユーザの操作レベルを示す機器操作レベルと、機器に対するユーザの管理権限(管理役割)との対応付けを示すユーザ属性情報を記憶する。
図3にユーザ属性情報の一例を示す。
図3に示すように、ユーザ属性情報は、従業員番号、所属部門、フロア、エリア、機器操作レベル及び管理者ロールの対応付けを示す。従業員番号はユーザ識別情報の一例である。所属部門はユーザの所属先の部門であり、例えば「営業部」や「開発部」等がある。フロア及びエリアは、ユーザの所属部門が存在する場所である。機器操作レベルは、機器に対するユーザの操作レベルである。機器操作レベルは例えば「1」、「2」、「3」等の数値で表され、数値が高いユーザほど機器に対するスキルが高い。管理者ロールは、機器に対するユーザの管理権限である。管理者ロールには、例えば、開発部のサーバを管理する権限(開発部_サーバ管理者)や、開発部のプリンタを管理する権限(開発部_プリンタ管理者)等がある。
図3に示すように、ユーザ毎のユーザ属性情報がユーザ情報記憶部16に記憶されている。
【0031】
機器情報記憶部18は、機器を識別するための機器識別情報と、機器の設置場所と、当該機器のエネルギー消費量と、当該機器の管理者を示す管理者情報との対応付けを示す機器属性情報を記憶する。
図4に機器属性情報の一例を示す。
図4に示すように、機器属性情報は、機器の名称、機器の設置場所(フロア及びエリア)、機器種別、管理部門、1日当たりの消費電力量(kWh)及び機器管理者の対応付けを示す。機器の名称は、機器識別情報の一例である。機器種別は機器の種別を示す情報であり、例えば、「照明A」、「デスクトップPC」、「共用プリンタ」等がある。管理部門は機器を管理する部門であり、例えば、「総務部」、「営業部」、「開発部」等がある。
図4に示す「プリンタ_0501」を例にとって説明すると、「プリンタ_0501」は3階のエリア02に設置されており、当該機器の機器種別は「共用プリンタ」であり、当該機器の管理部門は「開発部」であり、当該機器の消費電力量は1.5(kWh)であり、当該機器の管理者は「開発部_プリンタ管理者」及び「開発部_IT機器管理者」である。
図4に示すように、機器毎の機器属性情報が機器情報記憶部18に記憶されている。
【0032】
施策情報記憶部20は、機器に対する省エネ施策を示す省エネ施策情報を記憶する。施策情報記憶部20は、機器毎の省エネ施策情報を記憶する。
図5に省エネ施策情報の一例を示す。省エネ施策情報は、省エネ施策の対象、省エネ施策名、標準施策実施時間、実施許容時間帯、省エネ効果、機器管理者権限の要/不要及び機器操作レベル制限の対応付けを示す。省エネ施策の対象は、省エネ施策の対象となる機器の機器種別である。省エネ施策名は省エネ施策の名称であり、例えば、「昼休みの消灯」、「PCのスリープ設定の実施」、「プリンタの省エネ設定実施」等がある。省エネ効果は、省エネ施策が実施されたときの効果であり、例えば、削減される消費電力量の割合(%)で表される。標準施策実施時間は、省エネ施策の実施に要する標準の時間である。実施許容時間帯は、省エネ施策の実施が許容される時間帯である。例えば、実施許容時間帯として「18:00−24:00」が設定されている場合、省エネ施策の実施は当該時間帯で許容され、それ以外の時間帯では実施が禁止される。機器操作レベル制限は、機器に対する省エネ施策の実施が許容されるユーザの機器操作レベルである。例えば、PCに対する機器操作レベル制限が「2」に設定されている場合、機器操作レベルが「2」以上のユーザに省エネ施策の実施が許容され、機器操作レベルが「2」未満のユーザは省エネ施策の実施が禁止される。
【0033】
履歴情報記憶部22は、過去に実施された省エネ施策に関する履歴情報を記憶する。
図6に履歴情報の一例を示す。履歴情報は、実施日、実施時刻、機器種別、対象機器、省エネ施策名、実施場所、施策実施ユーザ、実施時間及び省エネ効果の対応付けを示す。施策実施ユーザは、省エネ施策を実施したユーザであり、履歴情報には、例えば、ユーザ識別情報としての従業員番号、所属部門及び機器操作レベルが含まれる。実施時間は、省エネ施策を実際に実施した場合に要した時間である。省エネ効果は、省エネ施策を実際に実施した場合に削減された電力量である。
図6に示す履歴情報は一例であり、施策実施ユーザ、実施時間及び省エネ効果のうち少なくとも1つが履歴情報に含まれていればよい。
【0034】
エネルギー情報管理部24はエネルギー情報記憶部26を含み、オフィス内に設置されている各機器の消費電力量(エネルギー消費量)を取得し、消費電力量をエネルギー情報としてエネルギー情報記憶部26に記憶させる。
【0035】
施策情報生成部28は、ユーザ識別情報、ユーザ属性情報、機器属性情報及びユーザPの現在位置等に基づき、それらの情報が示す条件に合致する省エネ施策情報を施策情報記憶部20から取得し、省エネ施策候補のリストを生成する。また、施策情報生成部28は、後述する付加情報生成部30によって生成された付加情報を、省エネ施策候補に付加してもよい。なお、施策情報生成部28が省エネ施策出力手段の一例に相当する。
【0036】
付加情報生成部30は、予測効果算出部32と予測時間算出部34とを含む。予測効果算出部32は、
図4に示す機器属性情報に含まれる1日当たりの消費電力量(kWh)に、
図5に示す省エネ施策情報に含まれる省エネ効果(%)を乗算することで、省エネ施策が実施された場合に削減される電力量の予測値(予測削減量)を求める。予測時間算出部34は、
図3に示すユーザ属性情報に含まれる機器操作レベルと、
図5に示す省エネ施策情報に含まれる標準施策実施時間とに基づき、省エネ施策の実施に要する時間の予測値(予測実施時間)を求める。例えば、機器操作レベル「2」を標準的なスキルとし、機器操作レベル「3」を標準よりも高いスキルとし、機器操作レベル「1」を標準よりも低いスキルとする。この場合、予測時間算出部34は、機器操作レベルが「3」であれば、標準施策実施時間よりも短い時間(例えば予め設定された割合の時間が標準施策実施時間から削減された時間)を施策実施時間として出力し、機器操作レベルが「1」であれば、標準施策実施時間よりも長い時間(例えば予め設定された割合の時間が標準施策実施時間に加算された時間)を施策実施時間として出力する。また、予測時間算出部34は、機器操作レベルが「2」であれば標準施策実施時間を出力する。
【0037】
次に、携帯端末装置60の構成を説明する。携帯端末装置60は、位置情報取得部62と、通信部64と、ユーザインターフェース(UI部)66と、制御部68とを含む。位置情報取得部62は、例えばGPS(Global Positioning System)等を利用することで、携帯端末装置60の現在位置を示す現在位置情報を取得する。また、位置情報取得部62は、携帯端末装置60を所持するユーザが存在するフロアやエリア等の情報を取得してもよい。通信部64は例えばネットワークインターフェースであり、ネットワークNを介して省エネ施策提供装置10と通信を行う。UI部66はユーザインターフェースであり、各種の情報を表示する表示部と、ユーザの操作を受け付ける操作部とを備える。制御部68は、携帯端末装置60の各部を制御する。携帯端末装置60は図示しないCPU等のプロセッサを備えており、当該プロセッサがプログラムを実行することで、携帯端末装置60の各部の機能が実現される。
【0038】
次に、
図7に示すフローチャートを参照して、第1実施形態に係る省エネ施策提供装置10の動作の一例を説明する。例えば
図2に示すように、ユーザPが3F(3階)のエリア02に存在する場合に、省エネ施策の取得を要求するものとする。このとき、ユーザPは、携帯端末装置60のUI部66によってユーザ識別情報を入力し、省エネ施策の取得を指示する。ここでは、ユーザPのユーザ識別情報を「UserID_532」とする。携帯端末装置60の通信部64は、省エネ施策の取得要求、位置情報取得部62によって取得された現在位置情報及びユーザ識別情報を、ネットワークNを介して省エネ施策提供装置10に送信する。なお、ユーザPが、ユーザPが存在するフロアやエリアの情報をUI部66によって入力してもよい。この場合、現在位置情報には、ユーザPによって入力されたフロアやエリアの情報が含まれる。
【0039】
省エネ施策提供装置10の通信部12は、省エネ施策の取得要求、ユーザ識別情報及び現在位置情報を、ネットワークNを介して携帯端末装置60から取得する(S01)。
【0040】
そして、施策情報生成部28は、ユーザ識別情報、ユーザ属性情報、機器属性情報及び現在位置情報に基づき、それらの情報が示す条件に合致する省エネ施策情報を施策情報記憶部20から取得する(S02)。以下、ステップS02の処理を詳しく説明する。
【0041】
まず、施策情報生成部28は、ユーザ情報記憶部16から、携帯端末装置60から送信されたユーザ識別情報(「UserID_532」)に対応するユーザ属性情報を取得する。
図3に示すユーザ属性情報によると、ユーザP(UserID_532)は開発部に所属している。また、PC、サーバ及びプリンタに対するユーザPの機器操作レベルは「3」であり、ユーザPは「開発部_IT機器管理者」及び「開発部_プリンタ管理者」としての管理権限を有する。
【0042】
そして、施策情報生成部28は、ユーザ属性情報に含まれる管理権限(管理者ロール)、ユーザPの現在位置情報、及び、機器情報記憶部18に記憶されている機器属性情報に基づき、ユーザPの現在位置と設置場所との関係が予め設定された場所条件を満たす機器であってユーザPが管理権限を有する機器を、省エネ施策の対象機器として選択する。施策情報生成部28は、選択した対象機器に対する省エネ施策を示す省エネ施策情報を施策情報記憶部20から取得する。場所条件は、例えばフロア単位又はエリア単位で規定される。この場合、施策情報生成部28は、ユーザPが管理権限を有しユーザPの現在位置と同じフロア又は同じエリアに設置されている機器を省エネ施策の対象機器として選択する。例えば、ユーザP(UserID_532)は「開発部_IT機器管理者」及び「開発部_プリンタ管理者」であるため、
図4に示す機器属性情報によると、ユーザPは「プリンタ_0501」等の管理権限を有する。「プリンタ_0501」を例にとって説明すると、「プリンタ_0501」は、ユーザPの現在位置と同じ3Fのエリア02に設置されているため、施策情報生成部28は、「プリンタ_0501」を省エネ施策の対象機器として選択する。なお、施策情報生成部28は、ユーザPの現在位置と同じフロアに設置されている機器を省エネ施策の対象機器として選択してもよいし、ユーザPの現在位置と同じエリアに設置されている機器を省エネ施策の対象機器として選択してもよい。
【0043】
上記のように選択された「プリンタ_0501」を例にとって説明すると、
図4に示すように、「プリンタ_0501」の機器種別は「共用プリンタ」であるため、施策情報生成部28は、「共用プリンタ」用の省エネ施策を選択する。
図5に示す例では、「共用プリンタ」に対しては、省エネ施策として「プリンタの省エネ設定実施」及び「帰宅時のプリンタの電源OFF」が用意されている。
【0044】
省エネ施策「プリンタの省エネ設定実施」においては、標準施策実施時間は「3分」であり、実施の許容時間帯は設定されておらず、省エネ効果は「30%」の電力削減である。また管理者権限が必要であり、プリンタに対する機器操作レベルが「2」以上のユーザによる省エネ施策の実施が許容されている。
図3に示すユーザ属性情報によると、ユーザPのプリンタに対する機器操作レベルは「3」である。従って、ユーザPの機器操作レベルは、省エネ施策「プリンタの省エネ設定実施」に対して要求される機器操作レベルを満たすことになる。また、省エネ施策「帰宅時のプリンタの電源OFF」においては、標準施策実施時間は「1分」であり、当該省エネ施策の実施が許容される時間帯は「18:00−24:00」であり、省エネ効果は「20%」の電力削減である。また、管理者権限は不要であり、機器操作レベルの制限は設定されていない。従って、施策情報生成部28は、ユーザPに対する省エネ施策として、「プリンタの省エネ設定実施」及び「帰宅時のプリンタの電源OFF」を選択することになる。
【0045】
なお、施策情報生成部28は、実施許容時間帯を参照することで省エネ施策を選択してもよい。例えば、省エネ施策「プリンタの省エネ設定実施」は、実施が禁止された時間帯が存在しないため、施策情報生成部28は、現在の時刻に関わらず、省エネ施策「プリンタの省エネ設定実施」を選択する。一方、省エネ施策「帰宅時のプリンタの電源OFF」は、18:00−24:00の間で省エネ施策の実施が許容されており、それ以外の時間帯では省エネ施策の実施は禁止されている。従って、施策情報生成部28は、現在の時刻が18:00−24:00の間に含まれている場合、省エネ施策「プリンタの省エネ設定実施」を選択し、現在の時刻が18:00−24:00の間に含まれていない場合、省エネ施策「プリンタの省エネ設定実施」を選択しない。
【0046】
「プリンタ_0501」以外の機器についても、施策情報生成部28は、上記と同じ処理により、省エネ施策の対象機器を選択し、当該対象機器に対する省エネ施策情報を施策情報記憶部20から取得する。
【0047】
そして、施策情報生成部28によって省エネ施策情報が施策情報記憶部20から取得された場合(S03,Yes)、予測効果算出部32は予測削減量を求め(S04)、予測時間算出部34は予測実施時間を求める(S05)。施策情報生成部28によって省エネ施策情報が取得された場合、ユーザPが実施し得る省エネ施策が存在することになる。施策情報生成部28は、省エネ施策情報に含まれる省エネ施策の名称、省エネ施策の対象機器に関する情報(機器の名称及び機器種別)、対象機器の設置場所を示す情報、予測削減量及び予測実施時間を含む省エネ施策候補を生成する。複数の省エネ施策候補が存在する場合、施策情報生成部28は、複数の省エネ施策候補を含むリストを生成する。なお、予測削減量及び予測実施時間を求めなくてもよいし、予測削減量及び予測実施時間のうち少なくとも1つを求めてもよい。施策情報生成部28は、予測削減量及び予測実施時間のうち求められた情報を、省エネ施策候補に含める。また、ステップS04,S05の処理は同時に行われてもよいし、処理の順番が逆であってもよい。
【0048】
複数の省エネ施策候補が存在する場合、施策情報生成部28は、各省エネ施策候補に優先度を設定してもよい。この場合、施策情報生成部28は、予測実施時間、予測削減量又はユーザの現在位置に基づき、優先度を決定する。例えば、施策情報生成部28は、複数の省エネ施策候補のうち、予測実施時間が短い省エネ施策候補ほど優先度を高く設定する。または、施策情報生成部28は、複数の省エネ施策候補のうち、予測削減量が多い省エネ施策候補ほど優先度を高く設定してもよい。または、施策情報生成部28は、ユーザPの現在位置と機器の設置位置とに基づき、現在位置から近い場所に設置された機器に対する省エネ施策候補ほど優先度を高く設定してもよい。例えば、施策情報生成部28は、ユーザPの現在位置と同じフロア且つ同じエリアに設置されている機器に対する省エネ施策候補の優先度を最も高く設定し、現在位置と同じフロアであるが異なるエリアに設置されている機器に対する省エネ施策候補の優先度を2番目に設定し、現在位置と異なるフロアに設置されている機器に対する省エネ施策の優先度を最低に設定する。例えば優先度を数値で表す場合、数値が多くなるほど優先度が低くなるように優先度を設定する。
【0049】
以上のように施策情報生成部28によって省エネ施策候補が生成されると、通信部12は、省エネ施策候補(リスト)をネットワークNを介して携帯端末装置60に送信する(S06)。
【0050】
一方、施策情報生成部28によって省エネ施策情報が施策情報記憶部20から取得されなかった場合(S03,No)、省エネ施策提供装置10の通信部12は、ユーザPが実施し得る省エネ施策がない旨を示す情報を、ネットワークNを介して携帯端末装置60に送信する(S09)。これにより、ユーザPは、現在、実施し得る省エネ施策がないことを認識することになる。
【0051】
携帯端末装置60の制御部68は、省エネ施策提供装置10から送信された情報をUI部66に表示させる。省エネ施策候補のリストが携帯端末装置60に送信された場合、制御部68は、当該リストをUI部66に表示させる。
図8に省エネ施策候補のリストの一例を示す。当該リストには、省エネ施策の優先度、省エネ施策の名称、対象機器の名称、対象機器の種別、設置場所(フロア及びエリア)、予測実施時間及び省エネ効果(予測削減量)が含まれる。例えば、「プリンタの省エネ設定実施」、「離席時のモニター電源OFF」及び「不在エリアの消灯」が、省エネ施策候補としてリストに含まれている。なお、
図8に示すリストは一例であり、施策情報生成部28は、優先度、予測実施時間及び省エネ効果(予測削減量)を省エネ施策候補のリストに加えなくてもよい。
【0052】
そして、ユーザPが、UI部66に表示されたリストの中から省エネ施策候補を選択して実施し、実施したことの通知をUI部66によって指示した場合(S07、Yes)、携帯端末装置60の通信部64は、選択された省エネ施策が実施されたことを示す実施情報を、ネットワークNを介して省エネ施策提供装置10に送信する。例えば、通信部64は、実施された省エネ施策候補の情報、省エネ施策を実施したユーザPのユーザ識別情報、省エネ施策の実施に要した時間(実施時間)及び実施日時を、実施情報に含めて省エネ施策提供装置10に送信する。例えば
図8に示すように、各省エネ施策候補に対する「実施ボタン」を設けておき、ユーザPが省エネ施策を実施した場合、実施済みの省エネ施策候補をユーザPが「実施ボタン」で指定し得るようにしてもよい。この「実施ボタン」で指定された省エネ施策候補の情報が、実施情報に含まれることになる。「実施ボタン」は、例えば施策情報生成部28によってリストに追加される。また、ユーザPが、実施日時や実施時間をUI部66によって入力してもよい。
【0053】
また、省エネ施策提供装置10のエネルギー情報管理部24は、省エネ施策が実施された機器の消費電力量の変化に基づき、省エネ施策が実施されたことによって削減された電力量を求める。
【0054】
省エネ施策提供装置10の省エネ情報管理部14は、実施された省エネ施策に関する情報を履歴情報として履歴情報記憶部22に記憶させる(S08)。例えば、省エネ情報管理部14は、携帯端末装置60から送信された情報及びエネルギー情報管理部24によって求められた電力量に基づき履歴情報を生成し、当該履歴情報を履歴情報記憶部22に記憶させる。例えば
図6に示すように、省エネ情報管理部14は、ユーザPによって実施された省エネ施策の名称、実施日時(実施日及び時刻)、省エネ施策の対象機器、機器種別、省エネ施策の実施場所(対象機器の設置場所)、省エネ施策を実施したユーザPに関する施策実施ユーザ情報、省エネ施策の実施に要した実施時間、及び、省エネ効果等を履歴情報に含めて履歴情報記憶部22に記憶させる。省エネ効果は、エネルギー情報管理部24によって求められた電力量である。
【0055】
一方、省エネ施策が実施されなかった場合(S07,No)、処理は終了する。
【0056】
ここで、
図6を参照して履歴情報の具体例について説明する。例えば、ユーザP(UserID_532)を例にとって説明する。
図6に示す例では、ユーザPによって実施された省エネ施策は「帰宅時のプリンタ電源OFF」である。この省エネ施策は、2012年12月10日の19時54分に、機器種別が「共用プリンタ」である「プリンタ_0501」に対して実施されている。ユーザPが省エネ施策の実施に要した時間(実施時間)は「1分」であり、省エネ効果は「0.8kWh」である。
【0057】
なお、通信部12は、省エネ効果としての電力量を携帯端末装置60に送信してもよい。これにより、ユーザによって省エネ効果が確認される。
【0058】
以上のように、ユーザの現在位置と管理権限とに基づき省エネ施策を選択して携帯端末装置60に送信することで、ユーザが実施し得る省エネ施策が提供される。そのため、ユーザの省エネ活動に結び付き易い省エネ施策が提供される。すなわち、ユーザによって実施し得ない又はユーザにとって実施し難い省エネ施策は提供されず、ユーザが置かれている状況に応じて実施し得る省エネ施策がユーザに提供されるので、ユーザの省エネ活動に結び付き易い。このように、本実施形態によると、省エネ活動の実施率の向上に繋がり易い情報がユーザに提供される。
【0059】
例えば、ユーザの現在位置と同じフロア又は同じエリアに設置されている機器を、省エネ施策の対象機器として選択することで、ユーザの移動距離という観点から、ユーザが実施し易い省エネ施策がユーザに提供されることになる。また、ユーザが管理権限を有する機器を省エネ施策の対象機器として選択することで、ユーザが実際に操作し得ない機器が省エネ施策の対象機器から除外されるので、ユーザが実際に操作し得る機器に対する省エネ施策がユーザに提供されることになる。
【0060】
また、予測実施時間をユーザに提供することで、その予測実施時間を考慮に入れた省エネ活動がユーザによって実施される。例えば、待ち時間等のような空き時間を利用して省エネ活動を行う場合に、予測実施時間が参考として用いられる。また、予測削減量(省エネ効果)をユーザに提供することで、省エネ施策を実際に実施した場合の効果が、ユーザによって把握される。
【0061】
[第2実施形態]
次に、
図9を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態では、省エネ施策の実施条件がユーザによって指定され、省エネ施策提供装置10は、当該実施条件に合致する省エネ施策候補を携帯端末装置60に提供する。
【0062】
図9に実施条件の一例を示す。実施条件としては、例えば、省エネ施策の実施場所である対象範囲、省エネ施策の実施に要する実施時間(許容値)、及び、省エネ施策を実施した場合に削減される電力量である省エネ効果がある。携帯端末装置60の制御部68は、
図9に示す実施条件の入力画面をUI部66に表示させる。ユーザは、当該入力画面を参照し、UI部66によって実施条件を指定する。なお、入力画面に関する情報は、例えば省エネ施策提供装置10から携帯端末装置60に送信され、制御部68は入力画面をUI部66に表示させる。
【0063】
ユーザによって実施条件が指定されて省エネ施策の取得が指示されると、携帯端末装置60の通信部64は、省エネ施策の取得要求、現在位置情報、ユーザ識別情報及び実施条件を示す実施条件情報を、ネットワークNを介して省エネ施策提供装置10に送信する。
【0064】
省エネ施策提供装置10の施策情報生成部28は、ユーザ識別情報、ユーザ属性情報、機器属性情報、現在位置情報及び実施条件情報に基づき、それらの情報が示す条件に合致する省エネ施策情報を施策情報記憶部20から取得する。
【0065】
例えば、対象範囲の条件として「現在位置と同じエリア」がユーザによって指定されたとする。この場合、施策情報生成部28は、
図4に示す機器属性情報を参照し、ユーザが管理権限を有する機器であってユーザの現在位置と同じエリアに設置されている機器を、省エネ施策の対象機器として選択する。例えば
図2に示すように、ユーザP(UserID_532)が3Fのエリア02に存在しているとする。
図4に示すように、「プリンタ_0501」は3Fのエリア02に設置されているため、施策情報生成部28は、ユーザPと同じエリアに設置された「プリンタ_0501」を、省エネ施策の対象機器として選択する。
【0066】
また、対象範囲の条件として「現在位置と同じフロア」がユーザによって指定されると、施策情報生成部28は、ユーザの現在位置と同じフロアに設置されている機器を、対象機器として選択する。また、「上下1フロアの範囲」がユーザによって指定されると、施策情報生成部28は、ユーザの現在位置を基準にして上下1フロアの範囲に設置されている機器を、対象機器として選択する。
【0067】
また、実施時間の条件として「2分以内」がユーザによって指定された場合、施策情報生成部28は、
図5に示す省エネ施策情報を参照し、実施時間が「2分以内」の省エネ施策を選択する。
図4を参照すると、上記の「プリンタ_0501」の機器種別は「共用プリンタ」である。
図5に示すように、「共用プリンタ」に対しては、省エネ施策として、「プリンタの省エネ設定実施」と「帰宅時のプリンタの電源OFF」とが用意されている。これらの省エネ施策のうち、「プリンタの省エネ設定実施」の標準実施時間は「3分」であるため、実施時間の条件「2分以内」に合致しない。従って、施策情報生成部28は、「プリンタの省エネ設定実施」を選択しない。
【0068】
また、省エネ効果の条件が指定された場合、施策情報生成部28は、予測効果算出部32によって求められた予測削減量が省エネ効果の条件を満たす省エネ施策を選択する。すなわち、施策情報生成部28は、条件として指定された省エネ効果(電力量)よりも予測削減量が多くなる省エネ施策を選択する。
【0069】
対象範囲、実施時間及び省エネ効果について「指定なし」がユーザによって選択されると、施策情報生成部28は、対象範囲、実施時間及び省エネ効果を考慮に入れずに、ユーザの管理権限及び機器操作レベルの条件に合致する省エネ施策を選択することになる。
【0070】
なお、
図9に示す例では、対象範囲、実施時間及び省エネ効果が実施条件として示されているが、これらのうち少なくとも1つが実施条件としてユーザに選択されるようになっていてもよい。
【0071】
以上のように、ユーザによって指定された実施条件に合致する省エネ施策を選択することで、ユーザの要求に合致した省エネ施策がユーザに提供されるので、ユーザが置かれている状況下で実施し得る省エネ施策がユーザに提供される。そのため、省エネ施策の実施率の向上に繋がり易い。例えば、ユーザが対象範囲を指定することで、ユーザの移動距離が考慮された省エネ施策がユーザに提供されるので、提供された省エネ施策が省エネ活動に結び付き易い。また、ユーザが実施時間を指定することで、省エネ活動に利用し得る時間が考慮された省エネ施策がユーザに提供される。例えば、ユーザに時間の余裕がない状況下であっても、その状況下でユーザが実施し得る省エネ施策がユーザに提供されるので、提供された省エネ施策が省エネ活動に結び付き易い。また、ユーザが省エネ効果を指定することで、ユーザが要求する省エネ効果が得られる省エネ施策がユーザに提供される。
【0072】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、省エネ施策の実施の履歴情報を携帯端末装置60に提供する。
図10に、第3実施形態に係る省エネ施策提供システムの一例を示す。
図10に示すように、第3実施形態に係る省エネ施策提供装置10Aの付加情報生成部30Aは、予測効果算出部32及び予測時間算出部34に加えて、履歴情報抽出部36を含む。履歴情報抽出部36以外については、省エネ施策提供装置10Aは第1実施形態に係る省エネ施策提供装置10と同じ構成を有する。
【0073】
履歴情報抽出部36は、ユーザに提供される省エネ施策の履歴情報を履歴情報記憶部22から抽出する。例えば、履歴情報抽出部36は、ユーザに提供される省エネ施策の対象機器と同じ機器に対して過去に実施された同じ省エネ施策の履歴情報を、履歴情報記憶部22から抽出する。
【0074】
例えば、「営業部_IT機器管理者」の管理権限を有するユーザ(UserID_105)が省エネ施策の取得を要求し、このユーザに対して、「共用プリンタ」(プリンタ_0101)の「プリンタの省エネ設定実施」という省エネ施策を提供する場合について説明する。
【0075】
図6に示す履歴情報を参照して説明すると、2012年12月5日に「共用プリンタ」(プリンタ_0101)に対して、省エネ施策「プリンタの省エネ設定実施」が実施されている。この省エネ施策は、「営業部」に所属するユーザ(UserID_104)によって実施されている。この場合、履歴情報抽出部36は、省エネ施策「プリンタの省エネ設定実施」に関する履歴情報を履歴情報記憶部22から抽出して施策情報生成部28に出力する。履歴情報抽出部36は、履歴情報記憶部22に記憶されている履歴情報のうち、施策実施ユーザに関する施策実施ユーザ情報、実施時間及び省エネ効果のうち少なくとも1つを抽出して出力してもよい。
【0076】
施策情報生成部28は、履歴情報抽出部36によって抽出された履歴情報を省エネ施策候補に追加する。そして、履歴情報が追加された省エネ施策候補が、携帯端末装置60に提供される。
【0077】
以上のように、履歴情報を含む省エネ施策候補を携帯端末装置60に提供することで、これから省エネ活動を行おうとするユーザ(省エネ施策の取得を要求したユーザ)に、省エネ活動の過去の実績が提供されることになる。履歴情報を参考にすることで、省エネ施策がより効率的に実施される。
【0078】
例えば、施策実施ユーザ情報が履歴情報として省エネ施策候補に追加されている場合、同じ対象機器に対して同じ省エネ施策を過去に実施したことがあるユーザ(経験者)の情報が、これから省エネ活動を行おうとするユーザに提供される。そのため、これから省エネ活動を行おうとするユーザにとって、経験者への様々な問い合わせが容易となる。例えば、省エネ施策の詳細な実施方法や効果等を経験者に問い合わせることが容易となるので、省エネ施策がより効率的に実施される。仮に省エネ施策を実施するのが初めてのユーザであっても、経験者への問い合わせが容易となるので、省エネ施策の実施が容易となる。
【0079】
また、実施時間が履歴情報として省エネ施策候補に追加されている場合、省エネ施策の実施に要する時間の正確な予測が容易となる。また、省エネ効果が履歴情報として省エネ施策候補に追加されている場合、省エネ効果の正確な予測が容易となる。
【0080】
なお、履歴情報抽出部36は、省エネ施策の取得を要求したユーザと施策実施ユーザとで所属部門が同じになる履歴情報を、履歴情報記憶部22から抽出してもよい。上記の例では、
図3に示すように、取得要求をしたユーザ(UserID_105)は「営業部」に所属し、
図6に示すように、過去に省エネ施策を実施したユーザ(UserID_104)は同じく「営業部」に所属している。このように、省エネ施策の取得を要求したユーザの所属部門及び過去に省エネ施策を実施したユーザの所属部門は、いずれも「営業部」であるため、履歴情報抽出部36は、ユーザ(UserID_104)が過去に実施した省エネ施策の履歴情報を履歴情報記憶部22から抽出する。これにより、これから省エネ活動を行おうとするユーザには、当該ユーザと同じ部門に所属するユーザの履歴情報が提供される。そのため、これから省エネ活動を行おうとするユーザにとって、経験者への問い合わせがより容易になる。
【0081】
また、施策情報生成部28は、省エネ施策の実施回数をカウントし、そのカウント値を省エネ施策の経験値として履歴情報に含めて履歴情報記憶部22に記憶させてもよい。この場合、履歴情報抽出部36は、経験値(カウント値)を含む履歴情報を履歴情報記憶部22から抽出してもよい。省エネ施策の経験値(カウント値)が携帯端末装置60に送信されることで、当該経験値は、例えば省エネ施策の過去の実施実績を判断する際の判断材料として用いられる。
【0082】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態に係る省エネ施策提供システムの構成は、第3実施形態に係る省エネ施策提供システムの構成と同じである。第4実施形態では、省エネ情報管理部14は、省エネ施策の履歴情報に含まれる機器操作レベルと実施時間とに基づき、省エネ施策情報に含まれる施策実施時間を更新する。すなわち、省エネ情報管理部14は、過去に省エネ施策を実施したユーザの機器操作レベルと、その実施に実際に要した時間(実施時間)とに基づき、省エネ施策情報に含まれる施策実施時間を更新する。
【0083】
図11に、更新された省エネ施策情報の一例を示す。更新された省エネ施策情報には、
図5に示す標準施策実施時間の代わりに、機器操作レベル毎の施策実施時間が含まれる。機器操作レベルは、過去に省エネ施策を実施したユーザの機器操作レベルである。各機器操作レベルの施策実施時間は、例えば実際の実施時間の平均値である。例えば「PCの印刷設定の最適化」という省エネ施策を例にとって説明する。この省エネ施策については、機器操作レベルが「1」のユーザの実施時間は「6分」であり、機器操作レベルが「3」のユーザの実施時間は「3分」である。このように、同じ省エネ施策を実施する場合であっても、ユーザの機器操作レベル(スキル)によって実施に要した時間が異なる。
【0084】
施策情報生成部28は、更新された省エネ施策情報を参照することで、省エネ施策の取得を要求したユーザの機器操作レベルに応じた施策実施時間を、省エネ施策候補に含める。これにより、ユーザの機器操作レベル(スキル)に応じた施策実施時間が、ユーザに提供されることになる。例えば「PCの印刷設定の最適化」という省エネ施策を例にとって説明する。省エネ施策の取得を要求したユーザの機器操作レベルが「1」であれば、施策情報生成部28は、レベル「1」に対応する施策実施時間「6分」を選択し、省エネ施策候補に施策実施時間「6分」を含める。
【0085】
以上のように、機器操作レベルに応じた施策実施時間をユーザに提供することで、より精度の高い施策実施時間がユーザに提供されることになる。また、履歴情報に基づき施策実施時間を更新することで、省エネ施策の実施に実際に要した時間が、省エネ施策に反映される。
【0086】
なお、履歴情報に基づかずに、機器操作レベルに応じた施策実施時間を予め決定しておいてもよい。この場合も、ユーザのスキルに応じた施策実施時間がユーザに提供されることになる。
【0087】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態では、省エネ施策の取得要求を待たずに、各機器の消費電力量に基づき、省エネ施策候補を携帯端末装置60に提供する。
図12に、第5実施形態に係る省エネ施策提供システムの一例を示す。
図12に示すように、第5実施形態に係る省エネ施策提供装置10Bの省エネ情報管理部14Aは、目標値記憶部38を含む。目標値記憶部38以外については、省エネ施策提供装置10Bは、第1実施形態に係る省エネ施策提供装置10と同じ構成を有する。
【0088】
目標値記憶部38は、オフィスや建物、部門、フロア又はエリア毎の省エネ目標値を予め記憶する。
図13に省エネ目標値の一例を示す。
図13に示すように、場所(フロア及びエリア)と目標値とが対応付けられている。目標値には、警告値と上限値とが含まれる。上限値は、供給される電力量の上限である。警告値は、携帯端末装置60に省エネ施策候補を提供するタイミングの基準となる値である。省エネ施策提供装置10Bは、ピーク消費電力量が警告値を超えた場合に、省エネ施策候補を携帯端末装置60に提供する。なお、省エネ施策提供装置10Bは目標値記憶部38を備えずに、外部から目標値を取得してもよい。例えば、ユーザが図示しないユーザインターフェースによって目標値を入力してもよい。
【0089】
ここで、
図14及び
図15を参照して、エネルギー情報記憶部26に記憶されているエネルギー情報について説明する。エネルギー情報管理部24は、例えば
図14に示すように、各機器の消費電力量の推移を管理し、各時間における各機器の消費電力量をエネルギー情報としてエネルギー情報記憶部26に記憶させる。エネルギー情報は、機器の名称、設置場所(フロア及びエリア)、機器種別及び各時間の消費電力量の対応付けを示す。また、エネルギー情報管理部24は、同じ建物、同じ部門、同じフロア又は同じエリアに設置されている各機器の消費電力量の合計を時間毎に求める。一例として、
図15に、ある日における3F(3階)のエリア01の消費電力量の推移を示す。
図15には、各時間における各機器の消費電力量の合計が示されている。
【0090】
エネルギー情報管理部24は、同じ建物、同じ部門、同じフロア又は同じエリアに設置されている各機器の消費電力量の合計が警告値を超えた場合、省エネ施策候補の生成命令を施策情報生成部28に出力する。この場合、施策情報生成部28は、各機器の消費電力量の合計が警告値未満となるように省エネ施策候補を選択し、携帯端末装置60に省エネ施策候補を提供する。以下、施策情報生成部28の処理の一例を説明する。
【0091】
まず、施策情報生成部28は、エネルギー情報記憶部26に記憶されているエネルギー情報(
図14参照)に基づき、消費電力量の合計が警告値を超えた建物、部門、フロア又はエリアに設置されている各機器を、省エネ施策の対象機器として特定する。そして、施策情報生成部28は、機器属性情報及びユーザ属性情報に基づき、例えば、所属部門が対象機器と同じ部門、同じフロア又は同じエリアに存在し対象機器に対して管理権限を有するユーザのユーザ識別情報を特定する。これにより、対象機器に対して省エネ施策を実施し得るユーザが特定される。そして、施策情報生成部28は、対象機器に対する省エネ施策であってユーザの機器操作レベルに合致する省エネ施策を選択する。対象機器が複数存在する場合、施策情報生成部28は、各対象機器に対する省エネ施策を選択する。また、省エネ施策を実施し得るユーザが複数存在する場合、施策情報生成部28は、各ユーザが実施し得る省エネ施策を選択する。さらに、省エネ施策を実施し得るユーザ及び対象機器が複数存在する場合、施策情報生成部28は、各ユーザが各対象機器に対して実施し得る省エネ施策を選択する。一方で、予測効果算出部32は、各省エネ施策が実施された場合における各対象機器の予測削減量を算出する。そして、施策情報生成部28は、各対象機器の消費電力量の合計と警告値との差分を求め、各対象機器の予測削減量の合計が当該差分よりも多くなるように、各ユーザに提供する省エネ施策候補を選択する。
【0092】
通信部12は、各ユーザのユーザ識別情報に基づき、各ユーザの携帯端末装置60に省エネ施策候補のリストを送信する。省エネ施策を実施し得るユーザが複数存在する場合、通信部12は、複数のユーザの携帯端末装置60に省エネ施策候補のリストを送信する。
【0093】
具体例として、3Fのエリア01を例にとって説明する。例えば
図13に示すように、3Fのエリア01の警告値は1300Whに設定され、上限値は1400Whに設定されている。また、
図15に示すように、14:00の時点で、3Fのエリア01に設置されている各機器の消費電力量の合計が警告値を超えている。この場合、エネルギー情報管理部24は、各機器の消費電力量の合計が警告値を超えたことを検知し、省エネ施策候補の生成命令を施策情報生成部28に出力する。
【0094】
施策情報生成部28は、
図14に示すエネルギー情報を参照することで、3Fのエリア01に設置されている各機器を省エネ施策の対象機器として特定し、また、14:00の時点における各機器の消費電力量を取得する。
図14を参照すると、「PC_0101」及び「PC_0102」等が、3Fのエリア01に設置されている機器であるため、省エネ施策の対象機器として特定される。
【0095】
そして、施策情報生成部28は、
図4に示す機器属性情報及び
図3に示すユーザ属性情報を参照することで、所属部門が3Fのエリア01に存在し各対象機器に対する管理権限を有する各ユーザのユーザ識別情報を特定する。これにより、3Fのエリア01にて省エネ施策を実施し得るユーザが特定される。
図3を参照すると、各ユーザ(例えば「UserID_104」、「UserID_105」)の所属部門は、3Fのエリア01に存在する。また、
図4を参照すると、これらのユーザは、「PC_0101」及び「PC_0102」の管理権限を有する。なお、ユーザ属性情報に含まれるフロア及びエリアを示す情報を用いずに、各ユーザの現在位置に基づき、省エネ施策を実施し得るユーザを特定してもよい。この場合、施策情報生成部28は、各ユーザの携帯端末装置60から現在位置情報を取得し、3Fのエリア01に存在し各対象機器に対する管理権限を有する各ユーザを特定する。
【0096】
そして、施策情報生成部28は、ユーザの機器操作レベルに合致し、3Fのエリア01に設置されている各対象機器に対する省エネ施策を、施策情報記憶部20から取得する。例えば、「PC_0101」及び「PC_0102」は機器種別が「デスクトップPC」であるため、
図5に示す省エネ施策情報によると、「デスクトップPC」に対する省エネ施策として「PCのスリープ設定の実施」、「帰宅時のPCの電源OFF」及び「PCの印刷設定の最適化」が選択される。また、これらの省エネ施策は、ユーザの機器操作レベルの条件も満たす。
【0097】
一方、予測効果算出部32は、各省エネ施策が実施された場合における各対象機器の予測削減量を算出する。例えば、予測効果算出部32は、省エネ施策「PCのスリープ設定の実施」、「帰宅時のPCの電源OFF」及び「PCの印刷設定の最適化」がそれぞれ実施された場合における、「PC_0101」及び「PC_0102」の予測削減量を算出する。
【0098】
そして、施策情報生成部28は、3Fのエリア01に設置されている各対象機器の消費電力量の合計と警告値との差分を求め、各対象機器の予測削減量の合計が当該差分よりも多くなるように、各ユーザに提供する省エネ施策候補を選択する。上記の例では、施策情報生成部28は、「PC_0101」及び「PC_0102」の予測削減量の合計が当該差分よりも多くなるように、「PCのスリープ設定の実施」、「帰宅時のPCの電源OFF」及び「PCの印刷設定の最適化」の中から、各ユーザ(「UserID_104」、「UserID_105」)に提供する省エネ施策候補を選択する。
【0099】
なお、施策情報生成部28は、各ユーザが各対象機器に対して実施し得るすべての省エネ施策を、各ユーザに提供する省エネ施策候補として選択してもよい。上記の例では、施策情報生成部28は、「PCのスリープ設定の実施」、「帰宅時のPCの電源OFF」及び「PCの印刷設定の最適化」のすべてを、各ユーザ(「UserID_104」、「UserID_105」)に提供する省エネ施策候補として選択してもよい。
【0100】
通信部12は、各ユーザ(「UserID_104」、「UserID_105」)の携帯端末装置60に、省エネ施策候補のリストを送信する。
【0101】
なお、省エネ施策候補が複数のユーザで重複している場合、重複した省エネ施策候補を各ユーザに提供してもよいし、省エネ施策候補が複数のユーザに重複して提供されないように、重複した省エネ施策候補を一部のユーザのみに提供してもよい。
【0102】
各ユーザの携帯端末装置60の制御部68は、省エネ施策提供装置10から送信された省エネ施策候補のリストをUI部66に表示させる。
図16に省エネ施策候補のリストの一例を示す。
図16に示すリストは、ユーザ(「UserID_104」)の携帯端末装置60に提供されて表示されたものである。当該リストには、ユーザ(「UserID_104」)が実施し得る省エネ施策候補が含まれている。他のユーザの携帯端末装置60に対しても、当該他のユーザが実施し得る省エネ施策候補のリストが提供されて表示される。
【0103】
以上のように、各機器の消費電力量の合計が警告値未満となるように、省エネ施策、省エネ施策の対象機器及び省エネ施策を実施し得るユーザを特定し、ユーザの携帯端末装置60に省エネ施策を提供することで、省エネの目標をより積極的に達成し得る。例えば、消費電力量の合計が警告値を超えて緊急を要する場合、ユーザからの取得要求を待たずに省エネ施策をユーザに提供することで、電力不足を回避し、省エネの目標をより積極的に達成し得る。