(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1および第2の抵抗変化型素子は、磁気トンネル接合素子または電界誘起巨大抵抗変化の発生する抵抗素子であることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性メモリセル。
前記閾値素子は第3のスイッチであり、前記フリップフロップに記憶されたデータを前記不揮発性記憶部に記憶させる際には、前記第1および第2のスイッチをOFFにして当該第3のスイッチをONにし、前記不揮発性記憶部に記憶されたデータを前記フリップフロップに記憶させる際には、前記第1、第2および第3のスイッチをOFFにした状態で前記第1の電源ノードの電圧を前記低電位側電源電圧から前記高電位側電源電圧まで立ち上げることを特徴とする請求項1および2に記載の不揮発性メモリセル。
前記閾値素子は電界効果トランジスタであり、前記第1および第2のキャパシタは当該電界効果トランジスタの寄生容量であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の不揮発性メモリセル。
前記閾値素子は前記第1のインバータの出力ノードと前記第2のインバータの出力ノードの電位差に応じた方向に電流を流す素子であり、前記フリップフロップに記憶されたデータを前記不揮発性記憶部に記憶させる際には、前記第1および第2のスイッチをOFFにして前記第1の電源ノードの電圧を前記高電位側電源電圧よりも高い所定の電圧まで立ち上げ、前記不揮発性記憶部に記憶されたデータを前記フリップフロップに記憶させる際には、前記第1および第2のスイッチをOFFにした状態で前記第1の電源ノードの電圧を前記低電位側電源電圧から前記高電位側電源電圧まで立ち上げることを特徴とする請求項1および2に記載の不揮発性メモリセル。
前記ストア制御手段は不揮発性メモリセルを行単位で選択して前記ストア処理を実行し、前記リコール制御手段は前記不揮発性メモリセルアレイに含まれる全ての前記不揮発性メモリセルを一括して選択して前記リコール処理を実行することを特徴とする請求項7に記載の不揮発性メモリ。
前記リコール制御手段は、リコール処理の対象とする行の選択に先立って前記不揮発性メモリセルアレイに含まれる全ての不揮発性メモリセルのフリップフロップを一括して初期化することを特徴とする請求項9に記載の不揮発性メモリ。
前記リコール制御手段は、リコールの実行に先立って、選択した行の不揮発性メモリセルのフリップフロップを初期化することを特徴とする請求項9に記載の不揮発性メモリ。
不揮発性メモリセルが行列状に配列されているとともに、不揮発性メモリセルの列毎に高電位側電源電圧が印加される電源線が当該列に沿って配線されている不揮発性メモリセルアレイと、
前記不揮発性メモリセルアレイにおける各不揮発性メモリセルの動作を制御する制御手段とを有し、
前記不揮発性メモリセルは、揮発性記憶部と不揮発性記憶部とを有し、
前記揮発性記憶部は、
互いに相手の出力信号を各々に対する入力信号とする第1および第2のインバータからなり、当該不揮発性メモリセルの属する列に対応する電源線に選択スイッチを介して接続される第1の電源ノードと低電位側電源電圧が与えられる第2の電源ノードの間に介挿されるフリップフロップと、
前記第1および第2のインバータの各々の出力ノードと2本のビット線との間に各々介挿され、前記2本のビット線を介して前記フリップフロップに対してデータの書き込みを行う場合、または前記フリップフロップから前記2本のビット線を介してデータの読み出しを行う場合にONとされる第1および第2のスイッチと、を有し、
前記不揮発性記憶部は、
前記第1のインバータの出力ノードと前記第2のインバータの出力ノードの間に直列に介挿された第1の抵抗変化型素子、第3のスイッチおよび第2の抵抗変化型素子と、
前記第1の抵抗変化型素子および前記第3のスイッチの共通接続点と前記第1の電源ノードと前記第2の電源ノードの何れか一方の電源ノードとの間に介挿された第1のキャパシタと、
前記第2の抵抗変化型素子および前記第3のスイッチの共通接続点と前記一方の電源ノードとの間に介挿された第2のキャパシタと、を有し、
前記第1のインバータの出力ノードから前記第2のインバータの出力ノードへ向う電流を通過させたときには、前記第1および第2の抵抗変化型素子の一方は第1の方向に抵抗値が変化し他方は前記第1の方向とは逆方向の第2の方向に抵抗値が変化し、前記第2のインバータの出力ノードから前記第1のインバータの出力ノードへ向う電流を通過させたときには、前記一方の抵抗変化型素子は前記第2の方向に抵抗値が変化し前記他方の抵抗変化型素子は前記第1の方向に抵抗値が変化し、
前記制御手段は、
前記不揮発性メモリセルアレイにおける所望の不揮発性メモリセルを行単位で選択し、当該不揮発性メモリセルの第1および第2のスイッチをOFFにするとともに第3のスイッチをONにして当該不揮発性メモリセルのフリップフロップに記憶されたデータを当該不揮発性メモリセルの不揮発性記憶部に記憶させるストア処理を実行するストア制御手段と、
前記不揮発性メモリセルアレイにおける所望の不揮発性メモリセルを行単位で選択し、当該不揮発性メモリセルの第1、第2および第3のスイッチをOFFにした状態で当該不揮発性メモリセルの選択スイッチをONにし、その接続先の電源線の電圧を前記低電位側電源電圧から前記高電位側電源電圧まで立ち上げて当該不揮発性メモリセルの不揮発性記憶部に記憶されたデータを当該不揮発性メモリセルの前記フリップフロップに記憶させるリコール処理を実行するリコール制御手段と、を有する
ことを特徴とする不揮発性メモリ。
前記リコール制御手段は前記不揮発性メモリセルアレイに含まれる不揮発性メモリセルを列単位で選択して前記リコール処理を実行することを特徴とする請求項14または請求項15に記載の不揮発性メモリ。
前記電圧発生回路と前記各選択スイッチとを接続する電源線は、前記不揮発性メモリセルにおける列方向と行方向の少なくとも一方に沿って配線されていることを特徴とする請求項18に記載の不揮発性メモリ。
【背景技術】
【0002】
微細化に限界が見えてきたフラッシュメモリあるいはDRAMに代わり、近年、次世代不揮発性メモリとして抵抗変化型素子を利用してデータを記憶する抵抗変化型メモリが注目されている。この抵抗変化型素子としては、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory;磁気抵抗RAM)、PRAM(Phase change Random Access Memory;相変化RAM)、ReRAM(Resistance Random Access Memory;抵抗変化型RAM)等に用いられているものが挙げられる。このような抵抗変化型素子を利用したメモリは、フラッシュメモリのような複雑なプロセスを必要とせず、標準ロジックプロセスと相性が良く、微細化に向いていること、低電圧で動作することより、将来性を有望視されている。
【0003】
この種の抵抗変化型素子を利用したメモリの素子構成、特性およびアレイ構成は、例えば非特許文献1に開示されている。この非特許文献1は、MRAMに関するものであるが、1個のトランジスタと1個の抵抗変化型素子とからなるシンプルな構成のメモリセルを開示している。非特許文献1によると、このメモリセルは、1.2Vの低電圧で書き込み、読み出しが可能であり、書込電流は49μA、データ“1”の記憶状態である高抵抗状態のメモリセルからの読出電流は10μA、データ“0”の記憶状態である低抵抗状態のメモリセルからの読出電流は15μAであり、低消費電力化を実現できている。また、非特許文献1の
図1によれば、メモリセルへの書込電圧を±0.6V程度までは低下させることができそうである。
【0004】
図16(a)および
図16(b)は、抵抗変化型素子として代表的なMTJ(Magnetic Tunnel Junction;磁気トンネル接合)素子を利用したメモリセルの構成と動作を示す図である。
図16に示すように、MTJ素子は、磁気の方向が一定のピン層と、トンネルバリア膜と、磁気の方向が変化するフリー層とからなる。
図16(a)に示すように、フリー層からピン層に向かう方向の電流を流すと、フリー層の磁化方向がピン層と同一となり、MTJ素子は低抵抗となり、データ“0”を記憶した状態となる。逆に、
図16(b)に示すように、ピン層からフリー層に向かう方向の電流を流すと、フリー層の磁化方向がピン層と反対になり、MTJ素子は高抵抗となり、データ“1”を記憶した状態になる。このようなMTJ素子によりメモリセルを構成する場合には、
図16(a)および
図16(b)に例示するように、MTJ素子を選択するためのスイッチとして、トランジスタTsがMTJ素子に直列接続される。
図17は、MTJ素子により構成したメモリセルの等価回路を示す図である。
図17では、抵抗変化型素子(MTJ素子)R1と並記した矢印により当該抵抗変化型素子のピン層側およびフリー層側が示されている。より詳細に説明すると、
図17において抵抗変化型素子R1と並記した矢印の元側がピン層側に対応し、同矢印の先側がフリー層側に対応する。
【0005】
図18は、
図16(a)および
図16(b)に示すようなメモリセルにより構成されたメモリアレイの断面構造を例示する図である。
図18に示す例では、半導体基板に
図16(a)および
図16(b)に示す選択用のトランジスタTsが形成されている。各トランジスタTsのゲートには選択電圧WLが与えられる。また、トランジスタTsのソースは、スルーホールと第1層メタル配線1Mとを介して書込電圧BLを供給するための第2層メタル配線2Mに接続されている。また、トランジスタTsのドレインは、スルーホールを介してMTJ素子のピン層に接続され、このMTJ素子のフリー層はスルーホールを介してソース電圧SLを供給するための第2層メタル配線2Mに接続されている。
【0006】
特許文献1は、抵抗変化型素子を用いた書き換え可能な不揮発性RAMを開示している。この特許文献1の不揮発性RAMでは、抵抗変化型素子として、相変化メモリ素子を使用している。
【0007】
図19は、特許文献1の
図3に開示された不揮発性RAMのメモリセルの構成を示す回路図である。
図19では、PチャネルトランジスタP0およびNチャネルトランジスタN0からなるインバータと、PチャネルトランジスタP1およびNチャネルトランジスタN1からなるインバータとによりフリップフロップが構成されている。PチャネルトランジスタP0およびNチャネルトランジスタN0からなるインバータの出力ノードS0はNチャネルトランジスタNa0を介してビット線BL0に接続されている。また、PチャネルトランジスタP1およびNチャネルトランジスタN1からなるインバータの出力ノードS1はNチャネルトランジスタNa1を介してビット線BL1に接続されている。そして、NチャネルトランジスタNa0およびNa1には、選択電圧WLが与えられる。以上の回路は、通常のSRAM用のメモリセルである。
図19に示すメモリセルでは、このSRAM用メモリセルに対して、相変化メモリ素子RrおよびRmと、NチャネルトランジスタNsが追加されている。ここで、相変化メモリ素子RrはPチャネルトランジスタP0のソースと電源線PWRの間に、相変化メモリ素子RmはPチャネルトランジスタP1のソースと電源線PWRの間に各々介挿されている。NチャネルトランジスタNsは、PチャネルトランジスタP1および相変化メモリ素子Rmの接続点とストア線STRとの間に介挿されており、そのゲートにはノードS0の電圧が与えられる。
【0008】
特許文献1によると、相変化メモリ素子の一方(Rr)は参照(リファレンス)抵抗であり、他の一方の相変化メモリ(論理記憶抵抗Rm)が変化する高抵抗(論理値1)と低抵抗(論理値0)との間の抵抗値に予め設定されている。論理記憶抵抗Rmは、電源線PWR、スイッチング素子(トランジスタNs)、ストア線STRにより、相変化を起こす電流を印加される。読み出し時は、点線で示したSRAM回路部を通常のSRAMとして動作させている。この動作のときの論理記憶抵抗Rmは低抵抗値に設定されている。そして、電源が消える前に、ストア線STRの電圧を変化させ、トランジスタNsにより論理記憶抵抗Rmに電流を流すことで、SRAM回路部に記憶されている論理値を移す(ストア)。電源が入ると、相変化メモリ素子Rmに移された記憶内容を、SRAM回路部に戻す(リコール)。このように電源がOFFするときとONするときに、相変化メモリの論理記憶抵抗RmとSRAM回路部とで記憶内容を移したり戻したりすることで、不揮発性メモリとして動作する(以上、特許文献1の段落0012、0013参照)。
特許文献2および特許文献3には、所謂クロスポイント型メモリについての開示がある。特許文献2および特許文献3に開示の抵抗変化型メモリでは、1つの抵抗素子のみでメモリセルが構成されており、メタル配線以降の後工程(BEOL:Back End Of Line)においてその形成が実現される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
(A:第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の不揮発性RAMの不揮発性メモリセル10Aの構成例を示す回路図である。この不揮発性メモリセル10Aは、揮発性記憶部11と、不揮発性記憶部12Aとを有する。揮発性記憶部11は、通常のSRAMにおいて揮発性メモリセルとして用いられるものと同様の構成を有している。より具体的には、揮発性記憶部11は、Pチャネル電界効果トランジスタ(以下、「電界効果トランジスタ」を単に「トランジスタ」と略記する)P1およびNチャネルトランジスタN1からなるインバータINV1と、PチャネルトランジスタP2およびNチャネルトランジスタN2からなるインバータINV2と、トランスファーゲートとしてのNチャネルトランジスタTa1およびTa2を有している。ここで、インバータINV1およびINV2は、互いに相手の出力信号を各々に対する入力信号としており、フリップフロップを構成している。このフリップフロップは、当該揮発性記憶部11の専用電源電圧(以下、メモリセル電圧)として高電位側電圧VDCを供給するための第1の電源ノードと低電位側電源電圧VSSを供給するための第2の電源ノードとの間に介挿されている。NチャネルトランジスタTa1は、インバータINV1の出力ノードV1とビット線BLとの間に介挿されている。また、NチャネルトランジスタTa2は、インバータINV2の出力ノードV2とビット線BLBとの間に介挿されている。NチャネルトランジスタTa1およびTa2の各々のゲートは行選択線WLに接続されている。NチャネルトランジスタTa1およびTa2は、行選択線WLが選択状態(行選択線WLに選択レベルの電圧(本実施形態では、1.2V)が印加された状態)になることによりONとなる。これにより、ビット線BLおよびBLBを介した揮発性記憶部11のフリップフロップへのデータの書き込みと、揮発性記憶部11のフリップフロップからビット線BLおよびBLBへのデータの読み出しが可能になる。
【0031】
不揮発性記憶部12Aは、スイッチとしてのNチャネルトランジスタTwと、抵抗変化型素子R1およびR2と、キャパシタC1およびC2と、を有している。抵抗変化型素子R1、NチャネルトランジスタTwおよび抵抗変化型素子R2は出力ノードV1と出力ノードV2との間に直列に介挿されている。抵抗変化型素子R1およびR2は前述したMTJ素子である。抵抗変化型素子R1のピン層側はインバータINV1の出力ノードV1に接続されており、同フリー層側はNチャネルトランジスタTwに接続されている。抵抗変化型素子R2のピン層側はインバータINV2の出力ノードV2に接続されており、同フリー層側はNチャネルトランジスタTwに接続されている。そして、抵抗変化型素子R1とNチャネルトランジスタTwとの共通接続点と上記第2の電源ノードとの間にはキャパシタC1が介挿されており、抵抗変化型素子R2とNチャネルトランジスタTwとの共通接続点と同第2の電源ノードの間にはキャパシタC2が介挿されている。そして、NチャネルトランジスタTwのゲートには、抵抗変化型素子R1およびR2にデータを記憶(ストア)するときに選択レベルとされるストアイネーブル信号STEが与えられる。
【0032】
不揮発性メモリセル10Aの動作の概略は以下の通りである。通常時は、ストアイネーブル信号STEは非選択レベル(0V)であり、NチャネルトランジスタTwはOFFになっている。NチャネルトランジスタTwがOFFとなっているため、抵抗変化型素子R1およびR2は切り離されており、不揮発性メモリセル10AはSRAMとして動作する。これに対して、電源を切断するときは、揮発性記憶部11のフリップフロップに記憶されているデータを不揮発性記憶部12Aに退避させる必要がある。このため、電源を切断する際には、まず、ストアイネーブル信号STEを選択レベル(1.2V)にしてNチャネルトランジスタTwをONさせ、揮発性記憶部11のフリップフロップに記憶されているデータを不揮発性記憶部12Aに退避してから電源を遮断する。これをストアと定義する。そして、電源投入時は、ストアイネーブル信号STEを非選択レベル(0V)とし、メモリセル電圧VDCの立ち上がり時に、不揮発性記憶部12Aに記憶されたデータを揮発性記憶部11のフリップフロップに転送する。これをリコールと定義する。リコールが完了した後は、不揮発性メモリセル10Aは通常のSRAMとして動作を行う。このように、本実施形態の不揮発性メモリセル10Aは、電源切断時にストアを行い、電源投入時にリコールを行うことで不揮発性メモリとして動作するのである。
【0033】
図2は、チップの電源電圧VDD=1.2Vの場合の不揮発性メモリセル10Aの動作条件を示す図である。以下、
図2を参照しつつ不揮発性メモリセル10Aの動作を説明する。揮発性記憶部11のフリップフロップに記憶されているデータを不揮発性記憶部12Aにストアする場合には、
図2に示すように、行選択線WLを非選択状態(0V)とし、かつストアイネーブル信号STEを選択レベル(1.2V)にする。このとき、ビット線BLおよび反転ビット線BLBは選択状態/非選択状態の何れであっても良い(
図2では、「Don’t care」を意味する「−」と表記)。例えば、揮発性記憶部11のフリップフロップにデータ“1”が保持されているのであれば、ノードV1の電圧は1.2Vになっており、ノードV2の電圧は0Vとなっている。この状態において、行選択線WLを非選択状態(0V)にし、ストアイネーブル信号STEを選択レベル(1.2V)にすると、NチャネルトランジスタTa1およびTa2はOFFに、NチャネルトランジスタTwはONになり、抵抗変化型素子R1→NチャネルトランジスタTw→抵抗変化型素子R2といった電流経路に沿ってノードV1(1.2V)からノードV2(0V)に電流が流れる。抵抗変化型素子R1ではピン層からフリー層に電流が流れるため、抵抗変化型素子R1は高抵抗状態になり、抵抗変化型素子R2ではフリー層からピン層へ電流が流れるため、抵抗変化型素子R2は低抵抗状態になる。抵抗変化型素子R1およびR2の各々の抵抗状態は、電源切断後も維持される。これにより、データ“1”が不揮発性記憶部12Aにストアされる。
【0034】
揮発性記憶部11のフリップフロップにデータ“0”が保持されている場合には、ノードV1は0V、ノードV2は1.2Vとなっているため、行選択線WLを非選択状態(0V)とし、かつストアイネーブル信号STEを選択レベルとすると、抵抗変化型素子R2→NチャネルトランジスタTw→抵抗変化型素子R1といった電流経路に沿ってノードV2(1.2V)からノードV1(0V)に電流が流れる。このとき、抵抗変化型素子R1ではフリー層からピン層に電流が流れるため、抵抗変化型素子R1は低抵抗状態となり、抵抗変化型素子R2ではピン層からフリー層へ電流が流れるため、抵抗変化型素子R2は高抵抗状態になる。これにより、データ“0”が不揮発性記憶部12Aにストアされる。
【0035】
次に、不揮発性記憶部12Aにストアされたデータを揮発性記憶部11のフリップフロップに記憶させるリコール動作について説明する。このリコール動作においては、行選択線WLを非選択状態(0V)とし、かつストアイネーブル信号STEを非選択レベル(0V)として、メモリセル電圧VDCを0Vから1.2Vに立ち上げる。メモリセル電圧VDCが0Vから1.2Vに立ちあがる過程では、ノードV1およびノードV2の電圧はともに0Vから1.2Vに立ち上がる。低電位側電源電圧VSSが供給される第2の電源ノードとノードV1の間には抵抗変化型素子R1およびキャパシタC1が直列に介挿されており、同第2の電源ノードとノードV2の間には抵抗変化型素子R2およびキャパシタC2が直列に介挿されている。このため、ノードV1から抵抗変化型素子R1を介してキャパシタC1に充電電流が流れ、ノードV2から抵抗変化型素子R2を介してキャパシタC2に充電電流が流れる。
【0036】
抵抗変化型素子R1が高抵抗状態であり、かつ抵抗変化型素子R2が抵抵抗状態(すなわち、データ“1”が不揮発性記憶部12Aにストアされた状態)であれば、キャパシタC2の充電電流のほうがキャパシタC1の充電電流より大きくなり、ノードV1の電位とノードV2の電位に差が生じる。この電位差に応じて、揮発性記憶部11のフリップフロップのノードV1はHigh(1.2V)に、同ノードV2はLow(0V)に設定される。これにより、不揮発性記憶部12Aにストアされたデータ“1”の揮発性記憶部11のフリップフロップへのリコールが完了する。抵抗変化型素子R1が低抵抗状態であり、かつ抵抗変化型素子R2が高抵抗状態(すなわち、データ“0”が不揮発性記憶部12にストアされた状態)の場合は、キャパシタC1の充電電流のほうがキャパシタC2の充電電流より大きくなり、ノードV1はLow(0V)にノードV2はHigh(1.2V)にラッチされ、リコールが終了する。
【0037】
ここで留意しなければならないのは、メモリセル電圧VDCの立ち上げ方に注意を要するという点である。本実施形態のリコール動作では、抵抗変化型素子を介してキャパシタを充電する微小な電流(過渡電流)の差を利用しているので、メモリセル電圧VDCの立ち上げが緩やかすぎると、ノードV1の電位とノードV2の電位に差が付きにくく、リコールに失敗する虞があるからである。メモリセル電圧VDCの立ち上げ時間については、抵抗変化型素子とキャパシタとの時定数を考慮して決定することが好ましく、時定数を大きくするにはキャパシタの電気容量を大きくすれば良い。しかし、キャパシタの電気容量を大きくするとレイアウト面積が大きくなる欠点があるので、例えば、メモリセル電圧VDCの立ち上げ時間は10ns〜1μs程度に設定するのが好ましい。
【0038】
不揮発性メモリセル10A(より正確には、揮発性記憶部11)からのデータ読み出し動作は、通常のSRAMにおけるデータの読み出し動作と同じである。この場合、不揮発性メモリセル10Aは、6個のトランジスタからなる構成(以下、6Tr構成と略記)のSRAMとして動作するので、スタティックノイズマージンの広いSRAMとして動作する。また、不揮発性メモリセル10Aへのデータ書き込みは通常のRAMと全く同じであるので、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0039】
以上説明したように本実施形態の不揮発性メモリセル10Aの不揮発性記憶部12Aは、2個の抵抗変化型素子、2個のキャパシタおよび1個のスイッチ(トランジスタ)といった少ない素子数で構成されている。また、抵抗変化型素子R1およびR2としてMTJ素子を用いたため、これら抵抗変化型素子の抵抗状態を変化させる際に必要となる素子間電圧は0.6V程度であり、これら素子に流れる電流は49μA程度である。このように本実施形態によれば、ストア時またはリコール時に抵抗変化型素子に流す電流が少なくて済むので、面積が小さくて安価な不揮発性メモリのチップを実現することができる。また、不揮発性メモリセル10Aからのデータ読み出し動作および書き込み動作は通常のSRAMにおけるものと同一であり、データの書き込み動作および読み出し動作を高速に行うことができるとともに、広いスタティックノイズマージンを確保することができる。
【0040】
(B:第2実施形態)
図3は本発明の第2実施形態の不揮発性メモリセル10Bの構成例を示す回路図である。
図3では
図1と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
図3と
図1とを対比すれば明らかなように、不揮発性メモリセル10Bの構成は不揮発性記憶部12Aに代えて不揮発性記憶部12Bを設けた点が不揮発性メモリセル10Aの構成と異なる。そして、本実施形態の不揮発性記憶部12Bでは、抵抗変化型素子R1とキャパシタC1がノードV1とメモリセル電圧VDCの与えられる電源ノードの間に直列に介挿されている点と、抵抗変化型素子R2とキャパシタC2がノードV2と同電源ノードの間に直列に介挿されている点が不揮発性記憶部12Aと異なり、さらに、抵抗変化型素子R1のフリー層側がノードV1に接続されており、抵抗変化型素子R2のフリー層側がノードV2に接続されている点も
図1の不揮発性記憶部12Aと異なる。
【0041】
図4は、不揮発性メモリセル10Bの動作条件を示す図である。以下、
図4を参照しつつ不揮発性メモリセル10Bの動作を説明する。揮発性記憶部11のフリップフロップに記憶されているデータを不揮発性記憶部12Bにストアする場合には、第1実施形態における場合と同様に、行選択線WLを非選択状態(0V)とし、かつストアイネーブル信号STEを選択レベル(1.2V)にする。揮発性記憶部11のフリップフロップにデータ“1”が保持されているのであれば、ノードV1の電圧は1.2Vになっており、ノードV2の電圧は0Vとなっている。この状態において、行選択線WLを非選択状態(0V)にし、ストアイネーブル信号STEを選択レベル(1.2V)にすると、NチャネルトランジスタTa1およびTa2はOFFになり、NチャネルトランジスタTwはONになる。このため、抵抗変化型素子R1→NチャネルトランジスタTw→抵抗変化型素子R2といった電流経路に沿ってノードV1(1.2V)からノードV2(0V)に電流が流れる。抵抗変化型素子R1ではフリー層からピン層に電流が流れるため、抵抗変化型素子R1は低抵抗状態になり、抵抗変化型素子R2ではピン層からフリー層へ電流が流れるため、抵抗変化型素子R2は高抵抗状態になる。これにより、データ“1”が不揮発性記憶部12Bにストアされる。
【0042】
揮発性記憶部11のフリップフロップにデータ“0”が保持されている場合には、ノードV1は0V、ノードV2は1.2Vとなっているため、行選択線WLを非選択状態(0V)とし、かつストアイネーブル信号STEを選択レベル(1.2V)とすると、抵抗変化型素子R2→NチャネルトランジスタTw→抵抗変化型素子R1といった電流経路に沿ってノードV2(1.2V)からノードV1(0V)に電流が流れる。このとき、抵抗変化型素子R1ではピン層からフリー層に電流が流れるため、抵抗変化型素子R1は高抵抗状態となり、抵抗変化型素子R2ではフリー層からピン層へ電流が流れるため抵抗変化型素子R2は低抵抗状態になる。これにより、データ“0”が不揮発性記憶部12
Bにストアされる。
【0043】
次に、不揮発性記憶部12Bにストアされたデータを揮発性記憶部11のフリップフロップに記憶させるリコール動作について説明する。このリコール動作においては、行選択線WLを非選択状態(0V)とし、かつストアイネーブル信号STEを非選択レベル(0V)とした状態でメモリセル電圧VDCを0Vから1.2Vに立ち上げる。メモリセル電圧VDCが0Vから1.2Vに立ちあがる過程では、ノードV1およびノードV2の電圧はともに0Vから1.2Vに立ち上がる。メモリセル電圧VDCを与えられる電源ノードとノードV1の間にはキャパシタC1と抵抗変化型素子R1が直列に介挿されており、同電源ノードとノードV2の間にはキャパシタC2と抵抗変化型素子R2が直列に介挿されている。このため、ノードV1の電位はキャパシタC1と抵抗変化型素子R1の働きにより上記電源ノードの電位に向けて上昇し、ノードV2の電位もキャパシタC2と抵抗変化型素子R2の働きにより上記電源ノードの電位に向けて上昇する。
【0044】
抵抗変化型素子R1が低抵抗状態であり、かつ抵抗変化型素子R2が高抵抗状態(すなわち、データ“1”が不揮発性記憶部12Bにストアされた状態)であれば、ノードV1の電位のほうがノードV2の電位に比較して上昇し易く、ノードV1の電位とノードV2の電位に差が生じ、揮発性記憶部11のフリップフロップのノードV1はHigh(1.2V)に、同ノードV2はLow(0V)に設定される。これにより、不揮発性記憶部12
Bにストアされたデータ“1”の揮発性記憶部11のフリップフロップへのリコールが完了する。抵抗変化型素子R1が低抵抗状態であり、かつ抵抗変化型素子R2が高抵抗状態(すなわち、データ“0”が不揮発性記憶部12にストアされた状態)の場合は、ノードV2の電位のほうがノードV1の電位よりも上昇し易く、ノードV1はLow(0V)にノードV2はHigh(1.2V)にラッチされ、リコールが終了する。
【0045】
本実施形態においても、抵抗変化型素子を介してキャパシタを充電する微小な電流(過渡電流)の差を利用してリコールを実現しているので、不揮発性メモリセルの電源電圧VDCの立ち上げ方に注意を要することは、上記第1実施形態と同様である。また、不揮発性メモリセル10B(より正確には、揮発性記憶部11)からのデータ読み出し動作が通常のSRAM動作と同じであることは上記第1実施形態の不揮発性メモリセル10Aと同様であり、6Tr構成のSRAMとして動作するので不揮発性メモリセル10Bがスタティックノイズマージンの広いSRAMとして動作する点も上記第1実施形態と同様である。また、不揮発性メモリセル10Bへのデータ書き込みも、上記第1実施形態と同様に通常のSRAMと全く同じであるので詳細な説明を省略する。
【0046】
本実施形態によっても、不揮発性メモリセル10Bからのデータ読み出し動作および書き込み動作は通常のSRAMにおけるものと同一であり、データの書き込み動作および読み出し動作を高速に行うことができるとともに、広いスタティックノイズマージンを確保することができる。また、面積が小さくて安価な不揮発性メモリのチップを実現することができる点も第1実施形態と同様である。
【0047】
(C:第3実施形態)
図5は、この発明の第3実施形態である不揮発性RAMの全体構成を示すブロック図である。
図5において、不揮発性メモリセルアレイ100は、上記第1実施形態の不揮発性メモリセル10Aを行列状に配列して構成されている。この例では、不揮発性メモリセルアレイ100のメモリ容量は64Mビット(4M×16ビット)である。
【0048】
制御回路500は、外部から与えられるチップイネーブル信号CEB、ストア信号STR、リコール信号RCL、出力許可信号OEBに応じて、不揮発性RAM内の各部を制御する回路である。ここで、チップイネーブル信号CEB、出力許可信号OEBは、通常のSRAMに使用される制御信号である。ストア信号STRおよびリコール信号RCLは、本実施形態に特有の制御信号である。ストア信号STRは不揮発性RAMにストアを行わせるときにHレベル(この例では、1.2V)とされる制御信号であり、リコール信号RCLは、不揮発性RAMにリコールを行わせるときにHレベルとされる制御信号である。制御回路500は、ストア信号STRおよびリコール信号RCLに応じて制御信号STRB、RCLB、RSTBを生成し行デコーダ200に与える。制御信号STRBはストア信号STRを論理反転した信号であり、制御信号RCLBはリコール信号RCLを論理反転した信号である。制御信号RSTBは、制御回路500に外部から与えられるリセット信号RSTを論理反転した信号である。
【0049】
アドレス入力回路950は、制御回路500による制御の下、不揮発性メモリセルアレイ100内のアクセス先を指定するアドレスA0〜A23を受け取って保持する回路である。このアドレスA0〜A23は、不揮発性メモリセルアレイ100内において、アクセス先が属する行を指定する行アドレスと、アクセス先が属する列を指定する列アドレスに区分されている。
【0050】
行デコーダ200は、行アドレスをデコードし、デコード結果に従って不揮発性メモリセルアレイ100の各行の中の1つを選択する。また、列デコーダ300は、列アドレスをデコードし、デコード結果に従って不揮発性メモリセルアレイ100の各列の中の1つを選択する。カラムゲート400は、ライトアクセス時にはデータ入力回路800を、リードアクセス時にはセンスアンプ600を、列デコーダ300によって選択された列のビット線に接続する。センスアンプ600は、リードアクセス時にカラムゲート400を介して供給されるビット線上の電圧を増幅し、入出力バッファ700に出力する回路である。データ入力回路800は、ライトアクセス時に入出力バッファ700を介して供給される書込データに応じたデータ電圧をカラムゲート400に供給する回路である。入出力バッファ700は、16ビットの書込データを外部から受け取ってデータ入力回路800に供給し、センスアンプ600の出力信号に基づいて16ビットの読出データを外部に出力する16個の双方向入出力回路により構成されている。
【0051】
行デコーダ200には、通常のSRAMの行デコーダの機能に加えて、本実施形態に特有の機能が設けられている。すなわち、本実施形態における行デコーダ200は、不揮発性メモリセルアレイ100における所望の不揮発性メモリセル10Aを行単位で選択し、当該不揮発性メモリセルのNチャネルトランジスタTa1およびTa2をOFF、NチャネルトランジスタTwをONとして当該不揮発性メモリセル10Aの揮発性記憶部11から不揮発性記憶部12Aへデータを書き込むストアを行わせるストア制御手段と、不揮発性メモリセルアレイ100における所望の不揮発性メモリセル10Aを行単位で選択し、当該不揮発性メモリセル10AのNチャネルトランジスタTa1、Ta2およびTwをOFFとし、さらに、当該不揮発性メモリセル10Aに対するメモリセル電圧VDCを立ち上げることにより、当該不揮発性メモリセル10Aの不揮発性記憶部12Aから揮発性記憶部11へデータを書き込むリコールを行わせるリコール制御手段としての機能を有している。VDC回路900はメモリセル電圧VDCを発生する回路である。本実施形態では、リコール時には、全ての不揮発性メモリセルを同時にリコールするために、全ての不揮発性メモリセルに共通のVDC回路900が設けられている。VDD検知回路960は、予期せぬ電源遮断に対応するために設けられている。VDD検知回路960は、電源電圧VDDの立ち上がりを検知してパワーオン信号PONを制御回路500にパルス出力し、電源電圧VDDが低下したことを検知すると、LowVDD信号を制御回路500へ出力する。
【0052】
図6は本実施形態による不揮発性RAMの具体的な構成例を示すブロック図である。なお、この
図6では、図面が煩雑になるのを防止するため、1ビット分のデータの記憶および入出力に関連した構成のみが図示されている。実際の不揮発性RAMは、
図6に示された不揮発性メモリセルアレイ100やカラムゲート400等を16ビット分並列化した構成となっている。
【0053】
図6において、不揮発性メモリセルアレイ100は、上記第1実施形態(
図1)の不揮発性メモリセル10Aを不揮発性メモリセルMkjとし、この不揮発性メモリセルMkjをm+1行n+1列からなる行列状に配列したものである。不揮発性メモリセルアレイ100の最小単位は、高速性、メモリ容量の規模にもよるが、一般的には、例えば、m=1024、n=512として、512Kビット位に分割する。本例の場合には、メモリ容量が64Mビットなので、この最小メモリアレイを、128個設けることになる。
【0054】
不揮発性メモリセルアレイ100では、行列状に配列された不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各列jに沿って、互いに対をなすビット線BITjおよびBITjBが配線されている。ここで、ビット線BITjには、列jに属するm+1個の不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)のNチャネルトランジスタTa1のソースが各々接続され、ビット線BITjBには、列jに属するm+1個の不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)のNチャネルトランジスタTa2のソースが各々接続されている。
【0055】
また、不揮発性メモリセルアレイ100では、行列状に配列された不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各行kに沿って、行選択電圧WLkを供給する信号線と、ストアイネーブル信号STEkを供給するための信号線が配線されている。行選択電圧WLkは、行kに属するn+1個の不揮発性メモリセルMkj(j=0〜n)のNチャネルトランジスタTa1およびTa2(
図1参照)の各ゲートに供給される。また、ストアイネーブル信号STEkは、行kに属するn+1個の不揮発性メモリセルMkj(j=0〜n)のNチャネルトランジスタTw(
図1参照)の各ゲートに供給される。そして、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各々におけるPチャネルトランジスタP1およびP2のソース同士の接続ノードには、VDC回路900からメモリセル電圧VDCが供給され、NチャネルトランジスタN1およびN2のソース同士の接続ノードには低電位側電源電圧VSSが供給される。
【0056】
カラムゲート400は、不揮発性メモリセルアレイ100の各列j(j=0〜n)に対応付けられたn+1組のNチャネルの列選択トランジスタCGj(j=0〜n)およびCGjB(j=0〜n)の組を有している。列jに対応した列選択トランジスタCGjおよびCGjBは、列選択電圧COLjがHレベルとなることによりONとなり、ビット線BITjおよびBITjBをデータ入力回路800およびセンスアンプ600に接続する。
【0057】
列選択回路300−j(j=0〜n)は、不揮発性メモリセルアレイ100の各列j(j=0〜n)に対応付けて設けられている。
図5の列デコーダ300は、これらn+1個の列選択回路300−j(j=0〜n)により構成されている。列jに対応した列選択回路300−jは、列アドレスが当該列jを示す場合にLレベル(0V)の信号を出力する列アドレス一致検出部301と、この列アドレス一致検出部301の出力信号がLレベルであるときにHレベルの行選択電圧COLjを出力し、列jに対応したカラムゲートトタンジスタCGjおよびCGjBをONにするインバータ302とにより構成されている。
【0058】
行選択回路200−k(k=0〜m)は、不揮発性メモリセルアレイ100の各行k(k=0〜m)に対応付けて設けられている。
図5の行デコーダ200は、これらm+1個の行選択回路200−kにより構成されている。行kに対応した行選択回路200−kは、通常のSRAMとしての動作モードでは、行アドレスが当該行kを示す場合に、行選択電圧WLkをHレベルとし、当該行kに属するn+1個の不揮発性メモリセルMkj(j=0〜n)のNチャネルトランジスタTa1およびTa2(
図1参照)をONにする。また、行kに対応した行選択回路200−kは、当該行kに属するn+1個の不揮発性メモリセルMkj(j=0〜n)に供給するストアイネーブル信号STEkの出力制御を行う。
【0059】
図7は、行選択回路200−k(k=0〜m)の構成例を示す回路図である。
図7に示すように、行選択回路200−kは、アドレス一致検出部201、NAND回路202、NOR回路203、インバータ204、およびNOR回路205を有している。アドレス一致検出部201には、行アドレスADDXが与えられる。この行アドレスADDXが行kを示す場合には、アドレス一致検出部201の出力はLレベルとなり、逆に行アドレスADDXが行kを示さない場合には、アドレス一致検出部201の出力はHレベルとなる。
図7に示すように、アドレス一致検出部201の出力はNOR回路203とNOR回路205に与えられる。
【0060】
NAND回路202には制御信号STRBと制御信号RCLBとが与えられ、このNAND回路202の出力はNOR回路203に与えられる。
図7に示すように、本実施形態では、NOR回路203の出力が行選択信号WLkとなる。NAND回路202の出力はインバータ204による論理反転を経てNOR回路205に与えられる。NOR回路205には、さらに制御信号RSTBが与えられ、このNOR回路205の出力がストアイネーブル信号STEkとなる。
【0061】
ストアを行う動作モードのときは、制御信号STRBはLレベル、制御信号RCLBはHレベル、制御信号RSTBはLレベルとなる。このため、NAND回路202の出力はHレベルとなり、NOR回路203の出力(すなわち、行選択信号WLk)はLレベルとなる。このとき、行アドレスADDXが行kを示すものであれば、アドレス一致検出部201の出力はLレベルとなり、NOR回路205の出力(すなわち、ストアイネーブル信号STEk)はHレベルとなる。
【0062】
リコールを行う動作モードのときは、制御信号STRBはHレベルに、制御信号RCLBはLレベルとなる。また、この場合、制御信号RSTBはリセット動作の間だけLレベルとされ、その他のときはHレベルとされる。また、図示しない行アドレスのプリデコーダにより行アドレスADDXを構成する各ビットが全て“1”にセットされる。従って、NAND回路201の出力は、常時、Lレベルとなる。NAND回路202の出力はHレベルとなり、NOR回路203の出力(すなわち、行選択信号WLk)はLレベルに、NOR回路205の出力(すなわち、ストア信号STEk)は、制御信号RSTBがLレベルのときのみHレベルとなり、その他のときはLレベルとなる。なお、本実施形態の不揮発性RAMを通常のSRAMとして動作させるときは、制御信号STRBおよびRCLBは共にHレベルであり、NAND回路202の出力は常にLレベルとなる。このため、行アドレスADDXが行kを示すものであれば、行選択回路200−kはHレベルの行選択信号WLkを出力し、行アドレスADDXが行kを示すものでなければLレベルの行選択信号WLkを出力する。また、行アドレスADDXが行kを示すものであるか否かを問わず、行選択回路200−kはLレベルのストアイネーブル信号STEkを出力する。
【0063】
図8は本実施形態による不揮発性RAMのストア時の動作を示すタイムチャートである。この例では前掲
図2の動作条件で不揮発性RAMが動作している。この例では、1つの行線に接続された不揮発性メモリセルへ一括で同時にストアする例を示す。ストア信号STRがLレベルのときは(
図8では、期間t1)、不揮発性RAMは通常のSRAMとして動作している。不揮発性RAMに対する電源電圧VDDの供給を断つ場合、それに先立って、ストア信号STRが立ち上げられる。STR信号がHレベルになると、制御回路500の出力する制御信号STRB及びRSTBはLレベルとなり、不揮発性RAMでは、次のようにストアのための動作が開始される。
【0064】
制御信号STRBがLレベルになると、行選択回路200−k(k=0〜m)の各々のNAND回路202の出力はHレベルとなり、NOR回路203の出力(すなわち、行選択信号WLk)は常にLレベルとなる。このため、ビット線BLj、反転ビット線BLBjはドントケアとなる。ストア信号STRがHレベルとなってから一定時間が経過した時点を起算点とする期間t2では、最初の行k=0に対応したアドレスAX0から最後の行k=mに対応したアドレスAXmまでのm+1個の行アドレスの各々を期間Δt1に亘って行アドレスADDXに設定する処理が実行され、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各々における揮発性記憶部11から不揮発性記憶部12Aへのストアが行単位で行われる。
【0065】
例えば、行アドレスADDXとしてアドレスAX0が設定されている期間においては、行選択回路200−0のアドレス一致検出部201の出力はLレベルとなり、行選択回路200−k(k=1〜m)のアドレス一致検出部201の出力はHレベルとなる。前述したように、行選択回路200−k(k=0〜m)の各々において、NAND回路202の出力はHレベルであるから、インバータ204の出力はLレベルになる。行選択回路200−k(k=0〜m)の各々に与えられる制御信号RSTBはLレベルであるから、行選択回路200−0のNOR回路205の出力(すなわち、第0行に対するストアイネーブル信号STE0)のみがHレベル(1.2V)となり、行選択回路200−k(k=1〜m)のNOR回路205の出力(すなわち、第k行に対するストア信号STEk)はLレベル(0V)となる。このため、第0行の不揮発性メモリセルM0j(j=1〜n)の各々において、揮発性記憶部11の記憶データが不揮発性記憶部12Aに書き込まれる。
【0066】
以下同様に行アドレスADDXとしてAXk(k=1〜m)が設定されている期間においては、第k行の不揮発性メモリセルMkj(j=1〜n)の各々において、揮発性記憶部11の記憶データの不揮発性記憶部12Aへの書き込みが行われる。そして、全ての行についてのストアが完了すると、その後の期間t3において不揮発性RAMに対する電源電圧VDDの供給が遮断される。
【0067】
以上の動作において、1個の不揮発性メモリセルのストアに要する電流を49μAとすると、1行当りの不揮発性メモリセルの個数は512個であるから、1行(=512個)のストアを一括して行うのに必要な消費電流は25mAとなる。1行のストアを一括して行うのに必要な消費電流が許容範囲に収まっていない場合には、1つの行を行方向に複数ブロックに分割し、ブロック毎に一括してストアを行うようにすれば良い。また、複数行分のストアを一括して行っても消費電力が許容範囲に収まれっているのであれば、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)を複数行分ずつ選択してストアを行っても勿論良い。
【0068】
図9は本実施形態による不揮発性RAMのリコール時の動作を示すタイムチャートである。この例では
図2の動作条件にしたがってリコールを行わせている。電源立ち上げ期間t1では、不揮発性RAMに対する電源電圧VDDを1.2Vに立ち上げる。この過程において、VDD検知回路960は、電源電圧VDDの立ち上りを検知し、パワーオン信号PONをパルス出力する。制御回路500は、パワーオン信号PONの受信を契機として不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各々における揮発性記憶部11のノードV0およびV1のリセット(初期化)を以下の要領で行う。
【0069】
まず、リコール信号RCLがHレベルになると、行アドレスADDXを構成する各ビットが全て“1”(High Fix)にセットされ、制御信号RSTBが時間t2の期間に亘ってLレベルにセットされる。行アドレスADDXがHigh Fixされているため、第0行から第m行までの何れの行を示す行アドレスとも一致せず、行選択信号WLk(k=0〜m)はLレベルとなる。また、制御信号RSTBが時間t2の期間に亘ってLレベルとなるため、ストアイネーブル信号STEk(k=0〜m)は上記期間t2の間だけHレベル(1.2V)となり、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各々に含まれるNチャネルトランジスタTwがONになる。その結果、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各々における揮発性記憶部11のノードV0とノードV1が短絡され、同電位にリセットされる。
【0070】
その後、制御回路500は制御信号RSTBをHレベルに戻す。これにより、ストアイネーブル信号STEk(k=0〜m)はLレベルとなり、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各々に含まれるNチャネルトランジスタTwはOFFになる。この状態でVDC回路900によってメモリセル電圧VDCが0Vから1.2Vに立ち上げられ、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各々において不揮発性記憶部12の記憶データが揮発性記憶部11に書き戻される(
図9の期間t3)。その後、リコール信号RCLがLレベルになると、リコール動作が終了し、以降、不揮発性RAMは通常のSRAMとして動作する(
図9:期間t4)。
【0071】
(D:第4実施形態)
図10は本発明の第4実施形態である不揮発性RAMの構成例を示す図である。
図10では、
図6と同一の構成要素には同一の符号が付されている。本実施形態の不揮発性RAMは、不揮発性メモリセルアレイ100を構成する各不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)に与えるメモリセル電圧VDCを行毎に制御する点が第3実施形態の不揮発性RAMと異なり、このような制御を実現するために、制御回路500に代えて制御回路520を設けた点と、行選択回路200−k(k=0〜m)に代えて行選択回路220−k(k=0〜m)を設けた点が第3実施形態の不揮発性RAM(
図6参照)と異なる。
【0072】
図11は行選択回路220−kの構成例を示す回路図である。
図11におけるアドレス一致検出部221、NAND回路230、インバータ231、NOR回路232および233の各々は、
図7におけるアドレス一致検出部201、NAND回路202、インバータ204、NOR回路203および205の各々に対応する。
図11に示す行選択回路220−kでは、アドレス一致検出部201の出力はNOR回路232および233の各々に与えられる他、インバータ222による反転を経てアドレス一致検出信号ADTkとしてラッチL1に与えられる。
【0073】
ラッチL1は、Pチャネルトランジスタ223と、Nチャネルトランジスタ224および226と、インバータ225とにより構成されている。Pチャネルトランジスタ223およびNチャネルトランジスタ224は、高電位側電源VDDおよび低電位側電源VSS間に直列に介挿されている。Nチャネルトランジスタ224のゲートには、アドレス一致検出信号ADTkが与えられる。インバータ225は、Pチャネルトランジスタ223およびNチャネルトランジスタ224のドレイン同士の接続ノードに発生する信号を反転して出力する。このインバータ225の出力信号がラッチL1の出力信号となる。インバータ225の出力信号は、Pチャネルトランジスタ223のゲートに供給される。Nチャネルトランジスタ226は、インバータ225の出力ノードと低電位側電源VSSとの間に介挿されている。このNチャネルトランジスタ226のゲートには、パワーオン信号PONが与えられる。以上がラッチL1の構成である。
【0074】
遅延回路227は、ラッチL1の出力信号を所定時間Δt1だけ遅延させる。インバータ228は、この遅延回路227の出力信号を反転して出力する。レベルシフタ229には、VDC回路900の出力するメモリセル電圧VDCが高電位側電源電圧として与えられる。レベルシフタ229は、インバータ228の出力信号を反転し、反転した結果が“0”である場合は0Vを、“1”である場合はVDC回路900の出力する電圧VDCを行kに対応したメモリセル電圧VDCkとして出力する。
以上が行選択回路220−kの構成である。
【0075】
次いで、
図12を参照しつつ行選択回路220−kの動作を説明する。
図12は本実施形態による不揮発性RAMのリコール時の動作を示すタイムチャートである。なお、ストア時の動作については前述した第3実施形態と同一であるため、説明を省略する。
図12と
図9とを対比すれば明らかように、本実施形態による不揮発性RAMのリコール時の動作では、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)に対するメモリセル電圧VDCkが行毎に選択的に順次立ち上げられる点が第3実施形態と異なる。
【0076】
より詳細に説明すると、電源が投入され、不揮発性RAMへの電源電圧VDDの供給が開始されると、VDD検知回路960(
図12では図示略)からパワーオン信号PONが出力され、行選択回路220−k(k=0〜m)の各々のNチャネルトランジスタ226がONになり、ラッチ回路L1の出力NN2が0Vにリセットされる。この結果、行選択回路220−k(k=0〜m)の各々のレベルシフタ229の出力電圧VDCkは0Vとなる。これが初期状態である。
【0077】
次に、リコール信号RCLがHレベルになり、リコール動作が開始される。行アドレスADDXに第0行を示すアドレスAX0が設定されると、行選択回路220−0では、アドレス一致検出部221の出力NN1がLレベルとなり、ラッチ回路L1の出力NN2はHレベルとなる。また、アドレスAX0が設定から期間Δt1に亘って制御回路520によって制御信号RSTBがLレベルに設定され、ストアイネーブル信号STE0がΔt1の期間に亘ってHレベルとなる。その後、遅延回路227によりΔt1遅れてインバータ228の出力がLレベルとなり、第k行に対するメモリセル電圧VDC0が1.2Vとなる。その後、期間Δt2が経過して行アドレスADDXが第1行を示すアドレスAX1に切り替わると、同様の処理が行選択回路220−1において実行される。以降、行アドレスADDXをアドレスAX2、AX3・・・AXmと切り換えることで、全ての不揮発性メモリセルMkjにおいてリコールが実行される。そして、全ての不揮発性メモリセルMkjのリコールが終了すると、リコール信号RCLがLレベルとされ、本実施形態の不揮発性RAMは通常のSRAMとして動作する。
【0078】
なお、不揮発性メモリセルMkjの揮発性記憶部11のフリップフロップへのラッチは非常に高速であり、このサイクルは、10ns以下で行える(すなわち、Δt1+Δt2<10ns)。従って、m=1024かつn=512の不揮発性メモリセルアレイ100をリコールするには、10ns×1024行=10.2μs。64Mビットのメモリの場合、このメモリアレイが128個あるので、10.2μs×128ブロック=1.3msで全メモリがリコールできる。なお、本実施形態では、不揮発性メモリセルMkjを1行分ずつ選択してリコールを行うとともに、そのリコールに先立ってリコール対象の不揮発性メモリセルMkjの揮発性記憶部11のリセットを行ったが、
図12にて点線で示すように、全ての不揮発性メモリセルMkjの揮発性記憶部11のリセットを一括して行っても勿論良い。
【0079】
(E:第5実施形態)
図13はこの発明の第5実施形態である不揮発性RAMの一部の構成を示すブロック図である。本実施形態は第4実施形態を変形したものである。前述した第4実施形態では行選択回路220−kによって第k行の不揮発性メモリセルMkj(j=0〜n)に供給する基準電源電圧VDCkを制御した。これに対して、
図13の不揮発性メモリセルアレイでは、行選択回路220−kに代えて行選択回路240−kを設け、この行選択回路240−kによって低電位側電源電圧VSCkを行毎に供給するようにしたことが異なる。本実施形態のリコール時の動作では、電源電圧VDDが立ち上がると、行選択回路240−k(k=0〜m)の各々によって、一旦、全ての低電位側電源電圧VSCkがVDDレベルに充電される。以降、行アドレスADDXにより指定される行毎に行選択回路240−kによって、低電位側電源電圧VSCkが順次0Vに設定され、第k行の不揮発性メモリセルMkj(j=0〜n)の各々において不揮発性記憶部12Aに記憶されたデータが揮発性記憶部11に書き込まれる。
【0080】
(F:第6実施形態)
図14はこの発明の第6実施形態である不揮発性RAMの一部の構成を示すブロック図である。本実施形態は第4実施形態を変形したものである。前述した第4実施形態では行選択回路220−kによって第k行の不揮発性メモリセルMkj(j=0〜n)に供給するメモリセル電圧VDCkを制御した。これに対して、本実施形態では、VDC回路900の出力電圧VDCが印加される電源線と不揮発性メモリセルMkjの高電位側電源供給ノードとの間にPチャネルトランジスタTsを設け、PチャネルトランジスタTsのON/OFFを制御するためのリコール選択信号RCSBkを出力する行選択回路250−kを行選択回路220−kに代えて設けた点が第5実施形態と異なる。つまり、本実施形態では、リコールの際には、行アドレスADDXにより、順次リコール選択信号RCSkが選択され(Lレベルとされ)、行毎にリコールが行われる。
【0081】
本実施形態によれば、前述した第4実施形態に比較して、不揮発性メモリセルの素子数が増える欠点はあるものの、以下の利点がある。すなわち、PチャネルトランジスタTsを不揮発性メモリセルMkj毎に設けたため、電圧VDCおよびVSSを供給するための配線を、
図14の縦方向(すなわち、不揮発性メモリセルアレイにおける列方向)に配線することができる。このため、抵抗変化型素子への書き込み時あるいはリコール時に1本の電源配線に流れる電流として1ビット分のみを考慮すれば良く、電源配線抵抗による電圧低下を低減できる。
【0082】
(G:第7実施形態)
図15はこの発明の第7実施形態である不揮発性RAMの一部の構成を示すブロック図である。本実施形態の不揮発性RAMは、不揮発性メモリセル10Aに代えて不揮発性メモリセル10Bを用いて不揮発性メモリセルアレイを構成した点が第6実施形態の不揮発性RAMと異なる。本実施形態の不揮発性RAMにおけるストア時或いはリコール時の動作条件としては、
図4に示す動作条件を採用すれば良いことは言うまでもない。同様に、第3実施形態の不揮発性RAM(
図6参照)、第4実施形態の不揮発性RAM(
図10)および第5実施形態の不揮発性RAMにおいても、不揮発性メモリセル10Aに代えて不揮発性メモリセル10Bをマトリクス状に配列して不揮発性メモリセルアレイを構成し、ストア時或いはリコール時の動作条件としては、
図4に示す動作条件を採用しても良い。
【0083】
(H:第8実施形態)
図22は、本発明の第8実施形態のメモリセルの等価回路を示す図である。
図22に示すように、このメモリセルは、MTJ素子などの抵抗変化型素子Rと閾値素子THDとを直列に接続した構成となっており、本実施形態では閾値素子THDは、ダイオードD1と、ダイオードD1に対して逆向きに並列接続されたダイオードD2とにより構成されている。
【0084】
図23は、
図22のメモリセルにおけるノードN(抵抗変化型素子Rと閾値素子THDの共通接続点)とノードSL(閾値素子THDの他方の端部)の間の電圧電流特性を示す図である。
図22に示すように、このメモリセルにおいてはノードNとノードSLの間にダイオードD1とD2が互いに逆向きに接続されている。以下では、ノードNの電圧をVNとし、ノードSLの電圧をVSLとする。ノードNとノードSLの間に正の電圧を印加すると(すなわち、VN−VSL>0)と、ダイオードD2が順方向となり、当該電圧がダイオードD2の閾値電圧VF(例えば、0.5V)を超えたところで急激にオン電流が流れる。逆に、ノードNとノードSLの間に負の電圧を印加すると、当該電圧の大きさがダイオードD1の閾値電圧VFを超えたところで急激にオン電流が流れる。
【0085】
すなわち、
図22により等価回路の構成が表されるメモリセルでは、ノードBL(抵抗変化型素子Rの他方の端部)とノードSLの間に正電圧または負電圧を印加すると、その電圧が各ダイオードの閾値電圧VFを超えたところで、順方向または逆方向に大電流が流れる。
【0086】
図24は、
図22に示すメモリセルの動作条件を示す図である。
図24に示すように、このメモリセルのノードBLに1.0Vの電圧が印加されるとともにノードSLに0Vの電圧が印加されると、ダイオードD2がONとなり、ノードN−ノードSL間に略0.5Vの電圧が印加される。その結果、抵抗変化型素子Rには順方向の電流が流れ、“0”を記憶した低抵抗状態に変化する。つまり、
図22のメモリセルにデータ“0”を記憶させるには、ノードBLに1.0Vの電圧が印加され、かつノードSLに0Vの電圧が印加されるようにすれば良い。なお、本実施形態では、ダイオードD1或いはD2の抵抗は抵抗変化型素子Rの抵抗に比較して充分小さく、これらダイオードによる電位降下はほぼないとした。
【0087】
一方、
図22のメモリセルにデータ“1”を記憶させる場合には、ノードBLに0Vの電圧を印加し、ノードSLに1.0Vの電圧を印加すれば良い。このようにすると、ダイオードD1がONとなってノードN−ノードSL間には略―0.5Vの電圧が印加され、ノードBL−ノードN間(すなわち、抵抗変化型素子R)には略−0.5Vの電圧が印加される。その結果、抵抗変化型素子Rには逆方向の電流が流れ、“1”を記憶した高抵抗状態に変化する。なお、
図25に示すように、ダイオードD1およびD2に代えて、ツェナーダイオードDzを閾値素子THDとして用いてメモリセルを構成しても勿論良く、当該ツェナーダイオードDzのブレークダウン電圧が略0.5Vであれば、
図23と同様の電圧電流特性が得られる。
【0088】
図26は、本実施形態の不揮発性RAMの不揮発性メモリセル10Cの構成例を示す図である。
図26では、
図1におけるものと同一の構成要素には同一の符号が付されている。
図26と
図1とを対比すれば明らかように、本実施形態の不揮発性メモリセル10Cの構成は、不揮発性記憶部12Aに代えて不揮発性記憶部12Cを設けた点が第1実施形態の不揮発性メモリセル10Aの構成と異なる。そして、不揮発性記憶部12Cの構成は、NチャネルトランジスタTwに代えて、互いに逆向きに接続されたダイオードDaおよびDbを閾値素子として設けた点が不揮発性記憶部12Aの構成と異なる。
【0089】
本実施形態において通常時のメモリセル電圧VDCは0.5Vである。この場合、ダイオードDaおよびDbは共にOFFとなり、抵抗変化型素子R1およびR2は揮発性記憶部11から切り離される。このため、本実施形態の不揮発性メモリセル10Cは、通常時においては、第1実施形態の不揮発性メモリセル10Aと同様にSRAMとして動作する。電源を切断するときには、揮発性記憶部11に記憶されているデータを不揮発性記憶部12Cにストアする必要がある。このため、電源を切断する場合には、メモリセル電圧VDCを1.5V程度の高電圧にする。すると、出力ノードV1およびV2の間に電流が流れ、抵抗変化型素子R1およびR2は一方が抵抵抗となり、他方が高抵抗となる、といった具合に各々の抵抗状態が互いに逆方向に変化してデータがストアされる。そして、電源投入時は、メモリセル電圧VDCと基準電圧VSSとの間の電圧を印加することで揮発性記憶部11のフリップフロップが一定方向に傾き、不揮発性記憶部12Cにストアされているデータが当該フリップフロップにリコールされる。このように不揮発性記憶部12Cから揮発性記憶部11へのデータのリコールを行った後は不揮発性メモリセル10CはSRAMとして動作する。
【0090】
図27は、不揮発性メモリセル10Cの動作条件を示す図である。揮発性記憶部11のフリップフロップに記憶されているデータを不揮発性記憶部12Cにストアする場合には、
図27に示すように、行選択線WLを非選択状態(0V)とし、メモリセル電圧VDCを1.5Vにする。このとき、ビット線BLおよび反転ビット線BLBは選択状態/非選択状態の何れであっても良い(
図27では、「Don’t care」を意味する「−」と表記)。なお、メモリセル電圧VDCを1.5Vとするのは、直列に接続された閾値素子および抵抗変化型素子の両端に約1.5Vの電圧が印加されるようにするためである。
【0091】
例えば、揮発性記憶部11のフリップフロップにデータ“1”が保持されているのであれば、ノードV1の電圧は1.5Vになっており、ノードV2の電圧は0Vとなっている。行選択線WLは非選択状態(0V)であるため、NチャネルトランジスタTa1およびTa2はOFFになり、抵抗変化型素子R1→ダイオードDa→抵抗変化型素子R2といった電流経路に沿ってノードV1(1.5V)からノードV2(0V)に電流が流れる。抵抗変化型素子R1ではピン層からフリー層に電流が流れるため、抵抗変化型素子R1は高抵抗状態になり、抵抗変化型素子R2ではフリー層からピン層へ電流が流れるため、抵抗変化型素子R2は低抵抗状態になる。抵抗変化型素子R1およびR2の各々の抵抗状態は、電源切断後も維持される。これにより、データ“1”が不揮発性記憶部12Cにストアされる。
【0092】
揮発性記憶部11のフリップフロップにデータ“0”が保持されている場合には、ノードV1は0V、ノードV2は1.5Vとなる。行選択線WLは非選択状態(0V)であるため、NチャネルトランジスタTa1およびTa2はOFFになり、抵抗変化型素子R2→ダイオードDb→抵抗変化型素子R1といった電流経路に沿ってノードV2(1.5V)からノードV1(0V)に電流が流れる。このとき、抵抗変化型素子R1ではフリー層からピン層に電流が流れるため、抵抗変化型素子R1は低抵抗状態となり、抵抗変化型素子R2ではピン層からフリー層へ電流が流れるため、抵抗変化型素子R2は高抵抗状態になる。これにより、データ“0”が不揮発性記憶部12Cにストアされる。
【0093】
次に、不揮発性記憶部12Cにストアされたデータを揮発性記憶部11のフリップフロップに記憶させるリコール動作について説明する。このリコール動作においては、行選択線WLを非選択状態(0V)とし、メモリセル電圧VDCを0Vから0.5Vに立ち上げる。メモリセル電圧VDCが0Vから0.5Vに立ちあがる過程では、ノードV1およびノードV2の電圧はともに0Vから0.5Vに立ち上がる。低電位側電源電圧VSSが供給される第2の電源ノードとノードV1の間には抵抗変化型素子R1およびキャパシタC1が直列に介挿されており、同第2の電源ノードとノードV2の間には抵抗変化型素子R2およびキャパシタC2が直列に介挿されている。このため、ノードV1から抵抗変化型素子R1を介してキャパシタC1に充電電流が流れ、ノードV2から抵抗変化型素子R2を介してキャパシタC2に充電電流が流れる。
【0094】
抵抗変化型素子R1が高抵抗状態であり、かつ抵抗変化型素子R2が抵抵抗状態(すなわち、データ“1”が不揮発性記憶部12Cにストアされた状態)であれば、キャパシタC2の充電電流のほうがキャパシタC1の充電電流より大きくなり、ノードV1の電位とノードV2の電位に差が生じる。この電位差に応じて、揮発性記憶部11のフリップフロップのノードV1はHigh(0.5V)に、同ノードV2はLow(0V)に設定される。これにより、不揮発性記憶部12Cにストアされたデータ“1”の揮発性記憶部11のフリップフロップへのリコールが完了する。抵抗変化型素子R1が低抵抗状態であり、かつ抵抗変化型素子R2が高抵抗状態(すなわち、データ“0”が不揮発性記憶部12Cにストアされた状態)の場合は、キャパシタC1の充電電流のほうがキャパシタC2の充電電流より大きくなり、ノードV1はLow(0V)にノードV2はHigh(0.5V)にラッチされ、リコールが終了する。
【0095】
以上説明したように本実施形態の不揮発性メモリセル10Cの不揮発性記憶部12Cは、2個の抵抗変化型素子、2個のキャパシタおよび2個のダイオードといった少ない素子数で構成されている。また、抵抗変化型素子R1およびR2としてMTJ素子を用いたため、これら抵抗変化型素子の抵抗状態を変化させる際に必要となる素子間電圧は0.6V程度であり、これら素子に流れる電流は49μA程度である。このように本実施形態によれば、ストア時またはリコール時に抵抗変化型素子に流す電流が少なくて済むので、面積が小さくて安価な不揮発性メモリのチップを実現することができる。また、不揮発性メモリセル10Cからのデータ読み出し動作および書き込み動作は通常のSRAMにおけるものと同一であり、データの書き込み動作および読み出し動作を高速に行うことができるとともに、広いスタティックノイズマージンを確保することができる。但し、本実施形態においてもメモリセル電圧VDCの立ち上げ方に留意する必要がある点は前述した第1実施形態と同様である。
【0096】
(I:第9実施形態)
図28は、本発明の第9実施形態の不揮発性メモリセル10Dの構成例を示す回路図である。
図28では
図26と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
図28と
図26とを対比すれば明らかなように、不揮発性メモリセル10Dの構成は不揮発性記憶部12Cに代えて不揮発性記憶部12Dを設けた点が不揮発性メモリセル10Cの構成と異なる。そして、本実施形態の不揮発性記憶部12Dでは、抵抗変化型素子R1とキャパシタC1がノードV1とメモリセル電圧VDCの与えられる電源ノードの間に直列に介挿されている点と、抵抗変化型素子R2とキャパシタC2がノードV2と同電源ノードの間に直列に介挿されている点が不揮発性記憶部12Cと異なり、さらに、抵抗変化型素子R1のフリー層側がノードV1に接続されており、抵抗変化型素子R2のフリー層側がノードV2に接続されている点も
図26の不揮発性記憶部12Cと異なる。
【0097】
図29は、不揮発性メモリセル10Dの動作条件を示す図である。以下、
図29を参照しつつ不揮発性メモリセル10Dの動作を説明する。揮発性記憶部11のフリップフロップに記憶されているデータを不揮発性記憶部12Dにストアする場合には、上記第8実施形態における場合と同様に、行選択線WLを非選択状態(0V)とし、かつメモリセル電圧VDCを1.5Vに設定する。揮発性記憶部11のフリップフロップにデータ“1”が保持されているのであれば、ノードV1の電圧は1.5Vになり、ノードV2の電圧は0Vとなる。この状態において、行選択線WLを非選択状態(0V)にすると、NチャネルトランジスタTa1およびTa2はOFFになる。このため、抵抗変化型素子R1→ダイオードDa→抵抗変化型素子R2といった電流経路に沿ってノードV1(1.5V)からノードV2(0V)に電流が流れる。抵抗変化型素子R1ではフリー層からピン層に電流が流れるため、抵抗変化型素子R1は低抵抗状態になり、抵抗変化型素子R2ではピン層からフリー層へ電流が流れるため、抵抗変化型素子R2は高抵抗状態になる。これにより、データ“1”が不揮発性記憶部12Dにストアされる。
【0098】
揮発性記憶部11のフリップフロップにデータ“0”が保持されている場合には、ノードV1は0V、ノードV2は1.5Vとなるため、行選択線WLを非選択状態(0V)とすると、抵抗変化型素子R2→ダイオードDb→抵抗変化型素子R1といった電流経路に沿ってノードV2(1.5V)からノードV1(0V)に電流が流れる。このとき、抵抗変化型素子R1ではピン層からフリー層に電流が流れるため、抵抗変化型素子R1は高抵抗状態となり、抵抗変化型素子R2ではフリー層からピン層へ電流が流れるため抵抗変化型素子R2は低抵抗状態になる。これにより、データ“0”が不揮発性記憶部12Dにストアされる。
【0099】
次に、不揮発性記憶部12Dにストアされたデータを揮発性記憶部11のフリップフロップに記憶させるリコール動作について説明する。このリコール動作においては、行選択線WLを非選択状態(0V)とし、メモリセル電圧VDCを0Vから0.5Vに立ち上げる。メモリセル電圧VDCが0Vから0.5Vに立ちあがる過程では、ノードV1およびノードV2の電圧はともに0Vから0.5Vに立ち上がる。メモリセル電圧VDCを与えられる電源ノードとノードV1の間にはキャパシタC1と抵抗変化型素子R1が直列に介挿されており、同電源ノードとノードV2の間にはキャパシタC2と抵抗変化型素子R2が直列に介挿されている。このため、ノードV1の電位はキャパシタC1と抵抗変化型素子R1の働きにより上記電源ノードの電位に向けて上昇し、ノードV2の電位もキャパシタC2と抵抗変化型素子R2の働きにより上記電源ノードの電位に向けて上昇する。
【0100】
抵抗変化型素子R1が低抵抗状態であり、かつ抵抗変化型素子R2が高抵抗状態(すなわち、データ“1”が不揮発性記憶部12Dにストアされた状態)であれば、ノードV1の電位のほうがノードV2の電位に比較して上昇し易く、ノードV1の電位とノードV2の電位に差が生じ、揮発性記憶部11のフリップフロップのノードV1はHigh(0.5V)に、同ノードV2はLow(0V)に設定される。これにより、不揮発性記憶部12Dにストアされたデータ“1”の揮発性記憶部11のフリップフロップへのリコールが完了する。抵抗変化型素子R1が高抵抗状態であり、かつ抵抗変化型素子R2が低抵抗状態(すなわち、データ“0”が不揮発性記憶部12Dにストアされた状態)の場合は、ノードV2の電位のほうがノードV1の電位よりも上昇し易く、ノードV1はLow(0V)にノードV2はHigh(0.5V)にラッチされ、リコールが終了する。
【0101】
本実施形態においても、抵抗変化型素子を介してキャパシタを充電する微小な電流(過渡電流)の差を利用してリコールを実現しているので、不揮発性メモリセルの電源電圧VDCの立ち上げ方に注意を要することは、上記第8実施形態と同様である。また、不揮発性メモリセル10Dの揮発性記憶部11からのデータ読み出し動作が通常のSRAM動作と同じであることも上記第8実施形態の不揮発性メモリセル10Cと同様であり、スタティックノイズマージンの広いSRAMとして動作する点も上記第8実施形態と同様である。また、不揮発性メモリセル10Dへのデータ書き込みも、上記第8実施形態と同様に通常のSRAMと全く同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0102】
本実施形態によっても、不揮発性メモリセル10Dからのデータ読み出し動作および書き込み動作は通常のSRAMにおけるものと同一であり、データの書き込み動作および読み出し動作を高速に行うことができるとともに、広いスタティックノイズマージンを確保することができる。また、面積が小さくて安価な不揮発性メモリのチップを実現することができる点も第8実施形態と同様である。
【0103】
(J:第10実施形態)
図30は、この発明の第10実施形態の不揮発性RAMの全体構成を示すブロック図である。
図30では
図5におけるものと同一の構成要素には同一の符号が付されている。
図30と
図5を対比すれば明らかように、本実施形態の不揮発性RAMの構成は不揮発性メモリセルアレイ100に代えて不揮発性メモリセルアレイ1000を設けた点と、行デコーダ200に代えて行デコーダ2000を設けた点と、カラムゲート400に代えてカラムゲート4000を設けた点が前掲
図5の不揮発性RAM(第3実施形態の不揮発性RAM)の構成と異なる。以下、
図31を参照しつつ、第3実施形態の不揮発性RAMとの相違点である不揮発性メモリセルアレイ1000、行デコーダ2000、およびカラムゲート4000について説明する。
【0104】
図31は、本実施形態の不揮発性RAMの具体的な構成例を示す図である。
不揮発性メモリセルアレイ1000は、上記第8実施形態の不揮発性メモリセル10Cを行列状に配列して構成されている。
図31における符号Mij(i=0〜m、j=0〜n)は、行列状に配列されたm×n個の不揮発性メモリセル10Cの各々を指している。不揮発性メモリセルアレイ1000のメモリ容量は第3実施形態の不揮発性メモリセルアレイ100と同様に64Mビット(4M×16ビット)である。
【0105】
行デコーダ2000は、行アドレスをデコードし、デコード結果に従って不揮発性メモリセルアレイ1000の各行の中の1つを選択する。行デコーダ2000は、
図31に示す行選択回路2000−k(k=0〜m)により構成されている。
図32は、第k行の行選択回路2000−kの構成例を示す回路図である。
図32に示すように、行選択回路2000−kは、アドレス一致検出部2010、NAND回路2020、およびインバータ2030を有している。アドレス一致検出部2010には、行アドレスADDXが与えられる。この行アドレスADDXが第k行を示す場合、アドレス一致検出部2010の出力はLレベルとなり、逆に行アドレスADDXが第k行を示さない場合には、アドレス一致検出部2010の出力はHレベルとなる。
図32に示すように、アドレス一致検出部2010の出力はNAND回路2020に与えられる。
【0106】
NAND回路2020には、アドレス一致検出部2010の出力信号の他に、制御信号STRBと制御信号RCLBとが与えられる。NAND回路2020の出力信号は、アドレス一致検出部2010の出力信号、制御信号STRBおよび制御信号RCLBが全てHレベルの場合にのみLレベルとなり、その他の場合はHレベルとなる。NAND回路2020の出力信号はインバータ2030に与えられ、インバータ2030の出力が行選択信号WLkとなる。ストアおよびリコールのときは、制御信号STRBまたは制御信号RCLBはLレベルとされる。この場合、アドレス一致検出部2010の出力信号がHレベルであるかLレベルを問わずに行選択信号WLkはLレベル(非選択状態を示す値)となる。これに対して、通常のSRAM動作のときは、制御信号STRBおよび制御信号RCLBは共にHレベルとされるので、アドレス一致検出部2010の出力に応じて行選択信号WLkはLレベルまたはHレベルとなる。
【0107】
カラムゲート4000は、不揮発性メモリセルアレイ1000の各列j(j=0〜n)に対応付けられたn+1組のNチャネルの列選択トランジスタCGj(j=0〜n)およびCGjB(j=0〜n)の組を有している。第j列に対応した列選択トランジスタCGjおよびCGjBは、列選択電圧COLjがHレベルとなることによりONとなり、ビット線BITjおよびBITjBをデータ入力回路800およびセンスアンプ600に接続する。加えて、カラムゲート4000は、第j(j=0〜n)列の不揮発性メモリセルMij(i=0〜m)の各々に供給するメモリセル電圧を切り換える電圧切り替え回路を含んでいる。
図31に示すように、第j列の電圧切り替え回路は、レベルシフタ401−j、Nチャネルトランジスタ402−jおよび403−jを列毎に有している。
【0108】
より詳細に説明すると、Nチャネルトランジスタ402−jとNチャネルトランジスタ403−jは各々のソースが共通接続されており、この共通接続点が第k列に属する各不揮発性メモリに対する高電位側電源ノードとなっている。Nチャネルトランジスタ402−jのドレインは電源VDD(本実施形態の不揮発性RAMに動作電圧を共有する高電位側電源)に接続されており、Nチャネルトランジスタ403−jのドレインは電源VDC(メモリセル電圧を供給する高電位側電源)に接続されている。そして、Nチャネルトランジスタ402−jのゲートにはレベルシフタ401−jによるレベルシフトを経た列選択電圧COLjが与えられ、Nチャネルトランジスタ403−jのゲートには列選択電圧COLjが与えられる。
【0109】
図33は本実施形態による不揮発性RAMのストア時の動作を示すタイムチャートである。本実施形態の不揮発性RAMは0.5V動作の極低電圧メモリであり、前掲
図27の動作条件で動作する。また、本実施形態では、不揮発性メモリセルアレイ1000の列毎に一括してストアが実施される。
図33の、期間t1では、不揮発性RAMは通常のSRAMとして動作しており、メモリセル電圧VDCは0.5Vとなっている。不揮発性RAMに対する電源電圧VDDの供給を断つ場合、まず、ストア信号STRが立ち上げられる。STR信号がHレベルになると、全ての行選択信号WLk(k=0〜m)はLレベルとなり、メモリセル電圧VDCは0.5Vから1.5Vに上昇する。ここで、列アドレスADDYを最初のアドレスAY0に設定して列選択回路300−0を選択すると、列選択信号COL0=Hレベルとなり、Nチャネルトランジスタ402−0はOFFになり、Nチャネルトランジスタ403−0はONになる。このため、列アドレスADDYにアドレスAY0が設定されている期間Δt1においては、第0列の不揮発性メモリセルに供給されるメモリセル電圧VD0は1.5Vとなる。
【0110】
この状態で、例えば不揮発性メモリセルM00の揮発性記憶部11のフリップフロップにデータ“1”が保持されていると、不揮発性メモリセルM00ではノードV1の電圧は1.5Vとなり、ノードV2の電圧は0.5Vとなるから、前掲
図27のストア条件が満たされ、データ“1”が不揮発性メモリセルM00の不揮発性記憶部12Cにストアされる。以下、同様に、不揮発性メモリセルM10〜Mm0の各々の揮発性記憶部11に保持されていたデータが各々の不揮発性記憶部12Cにストアされる。
【0111】
次に、列アドレスADDYをアドレスAY1に設定して列選択回路300−1を選択すると、第1列の不揮発性メモリセルに供給されるメモリセル電圧VD0は1.5Vとなり、不揮発性メモリセルM01〜Mm1の各々の揮発性記憶部11に保持されていたデータが各々の不揮発性記憶部12Cにストアされる。以下、列アドレスADDYをアドレスAY2・・・AYNと進めることで、全ての不揮発性メモリセルにおけるストア動作が完了する。
【0112】
第n列(すなわち、最終列)についてのストア動作が完了すると、
図33に示すようにストア信号STRはLレベルとなり、以降、ストア信号STRがLレベルの期間t3においてメモリセル電圧VDCを0Vに落として電源遮断を行う。なお、予期せぬ停電等によって突然に電源がOFFにされることに備え、電源電圧の降下を検知する電圧降下検知回路とキャパシタ(蓄電池)とを設け、電圧降下検知回路により電源電圧の降下が検知された場合には、キャパシタに蓄えられている電力によってストア動作を行わせるようにしても良い。また、本実施形態では、列毎に一括してストアを行う場合について説明したが、同時に選択する不揮発性メモリセルの数が多いほど、ストア電流は大きくなる。例えば、不揮発性メモリセル1つ当たりのストア電流が49μAである場合、128ビット同時にストアを行うと、全体のストア電流は128×49μA=6.3mAとなる。そこで、列線を分割し、同時に選択する不揮発性メモリの数を限定する分割ストアを行っても良い。
【0113】
図34は本実施形態による不揮発性RAMのリコール時の動作を示すタイムチャートである。本実施形態では、全ての不揮発性メモリセルにおいて同時に、
図27の動作条件にしたがってデータのリコールが行われる。電源立ち上げ期間t1では、不揮発性RAMに対する電源電圧VDDを0.5Vに立ち上げる。この過程において、VDD検知回路960は、電源電圧VDDの立ち上りを検知し、パワーオン信号PONをパルス出力する。このパワーオン信号PONにより、内部回路のリセット(初期化)が行われる。
【0114】
次に、リコール信号RCLがHレベルになると、全ての行選択線WLkが非選択状態となり、期間t2において全ての列のメモリセル電圧VDCj(j=0〜n)が0Vから0.5Vに立ち上がる。不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各々では、
図27に示す動作条件(すなわち、ノードV1の電圧とノードV2の電圧の大小関係)に応じて、不揮発性記憶部12Cの記憶データが揮発性記憶部11に書き戻される。その後、リコール信号RCLがLレベルになると、リコール動作が終了し、以降、不揮発性RAMは通常のSRAMとして動作する(
図34における期間t3)。
【0115】
(K:第11実施形態)
上記第10実施形態では、不揮発性RAMに含まれる全ての不揮発性メモリセルのリコールを一括して行う場合について説明したが、
図35に示すように、各列のメモリセル電圧VDCjを列毎に立ち上げ、列毎にリコールを行うようにしても良い。具体的には、パワーオン信号PONがパルス出力され、リコール信号RCLがHレベルとされた後、列アドレスAY0が設定された時点から期間Δt1を置いてメモリセル電圧VDC0を0Vから0.5Vに立ち上げる。メモリセル電圧VDC0の立ち上げ後、列アドレスがアドレスAY1に切り替わるまでの期間Δt2においては、第0列に属する不揮発性メモリセルのリコールが行われる。なお、メモリセル電圧VDC0が一旦0.5Vに立ち上がると、電源が遮断されるまでメモリセル電圧VDC0は0.5Vに維持される。その後、列アドレスがアドレスAY1・・・AYnと順次設定されて全ての不揮発性メモリセルのリコールが完了すると、リコール信号RCLがLレベルとなり、以降の期間t3では通常のSRAM動作に移行する。
【0116】
各列のメモリセル電圧VDCjを列毎に立ち上げ、リコールを列毎に行うには、カラムゲート4000の各列に対応する回路を
図36のように構成すれば良い。
図36に示すカラムゲート4000は、電源ラッチ回路410j(j=0〜n)を有する点が
図32のカラムゲート4000と異なる。電源ラッチ回路410jは、アドレスラッチ回路L1、遅延回路415、インバータ416およびレベルシフタ417を含んでいる。遅延回路415はアドレスラッチ回路L1の出力信号をΔt1だけ遅延させてインバータ416に与える。インバータ416の出力信号はレベルシフタ417に与えられる。レベルシフタ417は内部電源の出力電圧VDCを選択的にメモリセル電圧VDC*j(j=0〜n)として出力する。
【0117】
アドレスラッチ回路L1は、Pチャネルトランジスタ411と、Nチャネルトランジスタ412および414と、インバータ413を含んでいる。Pチャネルトランジスタ411とNチャネルトランジスタ412は電源VDDと電源VSSの間に直列に介挿されている。Pチャネルトランジスタ411のゲートと電源VSSの間にはNチャネルトランジスタ414が介挿されている。Nチャネルトランジスタ414のゲートにはパワーオン信号PONが与えられ、このNチャネルトランジスタ414はリセットトランジスタの役割を果たす。Nチャネルトランジスタ412のゲートには列選択信号COLjが与えられる。Pチャネルトランジスタ411のドレインとNチャネルトランジスタ412のドレインの共通接続点とPチャネルトランジスタ411のゲートとNチャネルトランジスタ414のドレインの共通接続点(
図36:ノードN2)との間にはインバータ413が介挿されており、ノードN2はアドレスラッチ回路L1の出力ノードとなっている。
【0118】
電源投入時にパワーオン信号PONがパルス出力されると、Nチャネルトランジスタ414がONになる。Nチャネルトランジスタ414がONになると、ノードN2がLレベルとなり、アドレスラッチ回路L1がリセットされてメモリセル電圧VDC*jが0Vとなる。次いで、列アドレスAYjが選択されると、列選択信号COLjがHレベルとなる。列選択信号COLjがHレベルとなると、アドレスラッチ回路L1がセットされてその出力信号がHレベルとなる。アドレスラッチ回路L1の出力信号は遅延回路415によるΔt1の遅延を経てインバータ416に与えられ、インバータ416による論理反転およびレベルシフタ417によるレベルシフトを経て、メモリセル電圧VDC*j(0.5V)として出力される。一方、列選択信号COLjはHレベルであるため、Nチャネルトランジスタ402−jはOFFに、Nチャネルトランジスタ403−jはONになる。その結果、メモリセル電圧VDCjはΔt1の期間は0Vに、次のΔt2の期間は0.5Vとなり、
図35のタイミング波形の動作が実現される。
【0119】
(L:第12実施形態)
上記第11実施形態では、列毎にリコールを行ったが本実施形態の不揮発性RAMでは行毎にリコールが行われる点が異なる。
図37は本実施形態の不揮発性RAMの具体的な構成例を示す図である。
図37では
図31におけるものと同一の構成要素には同一の符号が付されている。
図37と
図31とを対比すれば明らかように、本実施形態の不揮発性RAMは、行選択回路2000−kに代えて行選択回路2200−kが用いられている点と、カラムゲート4000に代えてカラムゲート4200が用いられている点が
図31の不揮発性RAMと異なる。
【0120】
カラムゲート4200は、カラムゲート4000からインバータ401−j(j=0〜n)とNチャネルトランジスタ402−j(j=0〜n)および403−j(j=0〜n)を削除した構成となっている。行選択回路2200−kは第k行の不揮発性メモリセルに与えるメモリセル電圧VDCkと行選択信号WLkを選択的に出力する。
図38は、行選択回路2200−kの構成例を示す図である。この行選択回路2200−kでは、NAND回路221およびインバータ222が行アドレスデコーダを構成し、Pチャネルトランジスタ223、Nチャネルトランジスタ224および226、インバータ225がラッチ回路L1を構成する。遅延回路227は遅延Δt1を生成する遅延回路であり、遅延回路227の出力信号はインバータ228による論理反転を経てレベルシフタ229に与えられ、レベルシフタ229の出力信号が第k行の不揮発性メモリセルに対するメモリセル電圧VDCkとなる。この行選択回路2200−kは、
図36の電源ラッチ回路410と同様の動作を行う。なお、ストア時の動作タイミング波形およびリコール時の動作タイミング波形については、
図33および
図35における列アドレスAYjを行アドレスAXkに置き換えれば良いため、詳細な図示を省略する。
【0121】
(M:第13実施形態)
本実施形態は、第12実施形態(すなわち、メモリセル電圧VDCを行毎に供給する実施形態)の変形である。本実施形態では、
図39に示すように、メモリセル電圧VDCを供給する電源と各不揮発性メモリセルとをPチャネルトランジスタSWを介して接続し、第k行のPチャネルトランジスタSWのON/OFF制御を行選択回路2300−kに行わせるようにした点が第12実施形態と異なる。
図39に示すように、本実施形態では、第k行のPチャネルトランジスタSWのゲートには、行選択回路2300−kから行電源選択信号SELBkが与えられる。例えば、行選択回路2300−kが選択されると、行電源選択信号SELBkはLレベルとなり、不揮発性メモリセルMk0〜MKnが、メモリセル電圧VDCを供給する電源に接続されるといった具合である。このような態様によれば、メモリセル電圧VDCを供給する電源と各不揮発性メモリセル(より正確には各不揮発性メモリセルに対応するPチャネルトランジスタSW)とを接続する電源線を不揮発性メモリセルの列方向と行方向の少なくとも一方に沿って(すなわち、列方向に沿って、或いは行方向沿って、または行方向と列方向にメッシュ様に)配線することが可能になり、比較的大電流が流れる当該電源線を強化することが可能になる。
【0122】
(N:変形)
以上本発明の第1〜第
10実施形態について説明したが、これら実施形態に以下の変形を加えても勿論良い。
(1)上記第1実施形態の不揮発性メモリセル10Aの不揮発性記憶部12Aでは、抵抗変化型素子R1のフリー層側がNチャネルトランジスタTwに接続されており、抵抗変化型素子R2のフリー層側がNチャネルトランジスタTwに接続されていた。しかし、抵抗変化型素子R1のピン層側をNチャネルトランジスタTwに接続し、抵抗変化型素子R2のピン層側をNチャネルトランジスタTwに接続して不揮発性記憶部を構成しても良い。このような構成の不揮発性記憶部では、データ“1”をストアすると抵抗変化型素子R1は低抵抗状態となり、抵抗変化型素子R2は高抵抗状態となる。また、データ“0”をストアすると抵抗変化型素子R1は高抵抗状態となり、抵抗変化型素子R2は低抵抗状態となる。第2実施形態の不揮発性メモリセル10Bについても同様に、抵抗変化型素子R1のピン層側をNチャネルトランジスタTwに接続し、抵抗変化型素子R2のピン層側をNチャネルトランジスタTwに接続しての不揮発性記憶部12Bを構成しても良い。要は、抵抗変化型素子R1およびR2の各々が有する2種類の層のうちの同じ種類の層がNチャネルトランジスタTwに接続されている態様であれば良い。第8実施形態の不揮発性メモリセル10Cの不揮発性記憶部12Cおよび第9実施形態の不揮発性メモリセル10Dの不揮発性記憶部12Dについても同様である。
【0123】
(2)上記各実施形態では、不揮発性メモリセルの全セルを、揮発性記憶部と不揮発性記憶部からなる不揮発性メモリセルにより構成した。しかし、そのようにする代わりに、不揮発性メモリセルアレイの一部の領域を不揮発性メモリセルにより構成し、残りの領域を通常のSRAMのメモリセルにより構成してもよい。すなわち、SRAMの全メモリ空間のうち一部の領域のみをストアおよびリコールの可能な領域にするのである。
【0124】
(3)上記第1実施形態の不揮発性メモリセル10Aでは、NチャネルトランジスタTwと抵抗変化型素子R1との共通接続点と低電位側電源ノードとの間にキャパシタC1が介挿されており、NチャネルトランジスタTwと抵抗変化型素子R2との共通接続点と低電位側電源ノードとの間にキャパシタC2が介挿されていた。しかし、キャパシタC1およびC2を省略し、両者の役割をNチャネルトランジスタTwの寄生容量あるいはメタル配線容量に担わせても良い。第2〜第10実施形態の各々における不揮発性メモリセルについても同様に、キャパシタC1およびC2を省略し、両者の役割をNチャネルトランジスタTwの寄生容量あるいはメタル配線容量に担わせても良い。