特許第6107527号(P6107527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6107527地図表示システム、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6107527
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】地図表示システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/60 20060101AFI20170327BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   G06T11/60 300
   G09B29/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-165339(P2013-165339)
(22)【出願日】2013年8月8日
(65)【公開番号】特開2015-35084(P2015-35084A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100117466
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 渉
(72)【発明者】
【氏名】大澤 佑一
【審査官】 岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】 特許第2781727(JP,B2)
【文献】 特開2005−044160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/00−11/80
G09B 29/00−29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線を含む地図を表示する地図表示手段を備える地図表示システムであって、
前記線の開始点および終了点を含む、前記地図を表示するための地図情報を記録媒体から取得する地図情報取得手段と、
前記記録媒体に記録されている前記パターン図形の長さを取得するパターン図形長取得手段と、を備え、
前記地図表示手段は、
前記パターン図形を連続的に配置するとともに、連続的に配置される前記パターン図形の始点と前記線の開始点とが一致し、かつ、連続的に配置される前記パターン図形の終点と前記線の終了点とが一致するように、連続的に配置される前記パターン図形の少なくとも1つを伸縮させることで前記線を表示する、
地図表示システム。
【請求項2】
前記地図情報取得手段は、
前記線の開始点および終了点を含む、区画毎の前記地図を示す前記地図情報を取得し、
前記地図表示手段は、
前記区画毎に前記地図を示す画像を生成し、生成された画像から表示対象の画像を抽出して表示する、
請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項3】
前記地図表示手段は、
均等に伸縮させた複数個の前記パターン図形を連続的に配置することによって前記線を表示する、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の地図表示システム。
【請求項4】
前記地図表示手段は、
前記線の開始点から前記線の終了点までの長さである線長と、伸縮前の前記パターン図形の長さの整数倍の長さであるとともに前記線長に最も近い長さと、に基づいて前記パターン図形の長さの伸縮率を決定する、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の地図表示システム。
【請求項5】
前記地図表示手段は、
伸縮前の前記パターン図形を前記線の開始点から前記線の終了点までの長さに最も近くなるよう連続的に配置した場合における、前記線の終了点と連続的に配置された前記パターン図形の終点との間の距離と、連続的に配置された前記パターン図形の合計長さと、に基づいて前記パターン図形の長さの伸縮率を決定する、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の地図表示システム。
【請求項6】
前記地図表示手段は、
伸縮前後における前記パターン図形の長さの変化の大きさの合計が、伸縮前の前記パターン図形の長さよりも小さくなるように前記パターン図形を伸縮させる、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の地図表示システム。
【請求項7】
前記パターン図形は、当該パターン図形の中心を通る中心線に対して線対称である、
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の地図表示システム。
【請求項8】
複数個の最小単位パターンが連続的に配置されることによって構成されるパターン図形が連続的に配置されることによって構成される線を含む地図を表示する地図表示手段を備える地図表示システムであって、
前記線の開始点および終了点を含む、前記地図を表示するための地図情報を記録媒体から取得する地図情報取得手段と、
前記記録媒体に記録されている前記最小単位パターンの長さを取得するパターン図形長取得手段と、を備え、
前記地図表示手段は、
前記線の開始点から前記線の終了点までの長さである線長と、伸縮前の前記パターン図形における前記最小単位パターンの長さの整数倍の長さであるとともに前記線長に最も近い長さと、に基づいて前記パターン図形の長さの伸縮率を決定し、当該伸縮率で伸縮された少なくとも1個の前記パターン図形を含む前記パターン図形を連続的に配置することによって連続的に配置される前記最小単位パターンの始点と前記線の開始点とを一致させ、かつ、連続的に配置される前記最小単位パターンの終点と前記線の終了点とを一致させた前記線を表示する、
地図表示システム。
【請求項9】
パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線を含む地図を表示する地図表示工程を含む地図表示方法であって、
前記線の開始点および終了点を含む、前記地図を表示するための地図情報を記録媒体から取得する地図情報取得工程と、
前記記録媒体に記録されている前記パターン図形の長さを取得するパターン図形長取得工程と、を含み、
前記地図表示工程では、
前記パターン図形を連続的に配置するとともに、連続的に配置される前記パターン図形の始点と前記線の開始点とが一致し、かつ、連続的に配置される前記パターン図形の終点と前記線の終了点とが一致するように、連続的に配置される前記パターン図形の少なくとも1つを伸縮させることで前記線を表示する、
地図表示方法。
【請求項10】
パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線を含む地図を表示する地図表示機能をコンピュータに実現させる地図表示プログラムであって、
前記線の開始点および終了点を含む、前記地図を表示するための地図情報を記録媒体から取得する地図情報取得機能と、
前記記録媒体に記録されている前記パターン図形の長さを取得するパターン図形長取得機能と、をコンピュータに実現させ、
前記地図表示機能では、
前記パターン図形を連続的に配置するとともに、連続的に配置される前記パターン図形の始点と前記線の開始点とが一致し、かつ、連続的に配置される前記パターン図形の終点と前記線の終了点とが一致するように、連続的に配置される前記パターン図形の少なくとも1つを伸縮させることで前記線を表示する機能をコンピュータに実現させる、
地図表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を表示する地図表示システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーションシステム等の各種のシステムにおいて表示部に表示された地図が利用される。例えば、特許文献1においては、地図記号の連続パターン構成図計を線状の構成点座標に連続的に配置して地図記号を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2781727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示部に表示すべき地図は全ての地図のうちの一部であるため、表示部に地図を表示する従来の技術においては、通常、表示部における表示範囲や表示範囲の外側の所定範囲を生成対象範囲として地図を示す画像を生成し、当該画像に基づいて地図を表示する。従って、地図を参照する人物が移動した場合など、生成済の画像の範囲外の地図を表示するためには、生成済の地図の画像に隣接する地図の画像を生成する必要がある。この場合において、固定的なパターン図形を連続的に配置することで線を描画すると、描画済の範囲と新たに描画する範囲とで線が不連続に見えてしまう。
【0005】
すなわち、描画済の範囲と新たに描画する範囲との双方に渡って線が存在する場合において、各範囲のそれぞれにおいて、線の開始点から終了点までの間に複数個のパターン図形を連続的に配置した場合、線の終了点とパターン図形の端部とが一致するとは限らないため、複数の範囲にまたがる線の画像においてパターン図形が重なることなく連続的に配置されるとは限らない。この場合、範囲の境界で線が連続的につながっているようには見えなくなる。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線が、連続的につながっているように地図を表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、地図表示システムは、パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線を含む地図を表示する地図表示手段を備え、線の開始点および終了点を含む、地図を表示するための地図情報を記録媒体から取得する地図情報取得手段と、記録媒体に記録されているパターン図形の長さを取得するパターン図形長取得手段と、を備え、地図表示手段は、パターン図形を連続的に配置するとともに、連続的に配置されるパターン図形の始点と線の開始点とが一致し、かつ、連続的に配置されるパターン図形の終点と線の終了点とが一致するように、連続的に配置されるパターン図形の少なくとも1つを伸縮させることで線を表示する。
【0007】
また、上記の目的を達成するために、地図表示方法は、パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線を含む地図を表示する地図表示工程を含み、線の開始点および終了点を含む、地図を表示するための地図情報を記録媒体から取得する地図情報取得工程と、記録媒体に記録されているパターン図形の長さを取得するパターン図形長取得工程と、を含み、地図表示工程では、パターン図形を連続的に配置するとともに、連続的に配置されるパターン図形の始点と線の開始点とが一致し、かつ、連続的に配置されるパターン図形の終点と線の終了点とが一致するように、連続的に配置されるパターン図形の少なくとも1つを伸縮させることで線を表示する。
【0008】
さらに、上記の目的を達成するために、地図表示プログラムは、パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線を含む地図を表示する地図表示機能をコンピュータに実現させ、線の開始点および終了点を含む、地図を表示するための地図情報を記録媒体から取得する地図情報取得機能と、記録媒体に記録されているパターン図形の長さを取得するパターン図形長取得機能と、をコンピュータに実現させ、地図表示機能では、パターン図形を連続的に配置するとともに、連続的に配置されるパターン図形の始点と線の開始点とが一致し、かつ、連続的に配置されるパターン図形の終点と線の終了点とが一致するように、連続的に配置されるパターン図形の少なくとも1つを伸縮させることで線を表示する機能をコンピュータに実現させる。
【0009】
すなわち、パターン図形を連続的に配置することによって線を構成して地図を表示する地図表示システム、方法、プログラムにおいて、連続的に配置されるパターン図形の少なくとも1つを伸縮させることにより、連続的に配置されるパターン図形の始点と線の開始点とが一致し、かつ、連続的に配置されるパターン図形の終点と線の終了点とが一致するように地図を表示する。このため、連続的に配置されるパターン図形の端点と、線の開始点および終了点とを常に一致させることができる。従って、パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線が、連続的につながっているように地図を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】地図表示システムを含むナビゲーションシステムのブロック図である。
図2】(2A)は生成対象範囲を示す図、(2B)(2C)(2D)は線の画像の生成を示す図である。
図3】(3A)はパターン図形を示す図、(3B)(3C)は線の画像の生成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーションシステムの構成:
(2)他の実施形態:
【0012】
(1)ナビゲーションシステムの構成:
図1は、本発明にかかる地図表示システムを含むナビゲーションシステム10の構成を示すブロック図である。ナビゲーションシステム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、記録媒体30を備えており、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして図示しないナビゲーションプログラムを実行可能である。ナビゲーションプログラムは、目的地までの経路を探索し、当該経路に沿って移動するように案内する機能を制御部20に実行させることができる。
【0013】
本実施形態においては、当該案内の際に表示部に地図を表示し、当該地図上にナビゲーションシステム10が搭載された車両の位置を表示する構成が採用されており、ナビゲーションプログラムは当該地図を表示する機能を制御部20に実現させるため、地図表示プログラム21を備えている。
【0014】
記録媒体30には、予め地図情報30aが記録されている。地図情報30aは、経路の探索やナビゲーションシステム10の位置の特定に利用される情報であり、所定の区画(メッシュ)毎に定義される。また、地図情報30aは、ナビゲーションシステム10が搭載された車両が走行する道路上に設定されたノードの位置を示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置を示す形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物の位置等を示すデータ等を含んでいる。
【0015】
さらに、本実施形態にかかる地図情報30aは、地図上に線を表示するための情報を含んでおり、本実施形態においては、各区画の地図上に表示されるべき線の開始点および終了点を示す情報および線の種類を示す情報を含んでいる。なお、区画内で線が直線ではない場合(折れ線である場合)、開始点と終了点との間において線が曲がる位置を示す情報が地図情報30aに含まれている。さらに、本実施形態において、地図上に表示される線はパターン図形が連続的に配置されることによって構成され、地図情報30aには線の種類毎のパターン図形を示すパターン図形情報30bが含まれている。
【0016】
図2Bにおいては、白い矩形と黒い矩形とが順に並べられたパターンからなる長さL0のパターン図形が連続的に配置されることによって線路を示す線が表示される例を示している。この例であれば、長さL0、幅Hの2次元的なパターン図形を表示するための画像情報および長さL0を示す情報がパターン図形情報30bとして記録媒体30に記録される。なお、本実施形態におけるパターン図形は、当該パターン図形の中心を通る中心線に対して線対称であるように構成されている。すなわち、図2Bに示すパターン図形は、長さL0方向の中心を通る長さL0方向に垂直な中心線Oに対して線対称である。この構成によれば、パターン図形を地図上に配置する際にパターン図形の向きを考慮することなく配置しても、連続して繰り返すパターンを形成することが可能である。
【0017】
本実施形態におけるナビゲーションシステム10が搭載された車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在地を算出するための信号を示す信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在地を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ42およびジャイロセンサ43等は、車両の走行軌跡を特定するために利用され、本実施形態においては、車両の出発地と走行軌跡とに基づいて現在地が特定され、当該出発地と走行軌跡とに基づいて特定された車両の現在地がGPS受信部41の出力信号に基づいて補正される。
【0018】
ユーザI/F部44は、運転者の指示を入力し、また、運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイ等の表示部やスイッチ、スピーカー等を備えている。本実施形態においては、当該ユーザI/F部44が備える表示部に地図が表示され、当該地図内の現在地に現在地を示すアイコンが表示される。
【0019】
本実施形態においては、パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線が、連続的につながっているように地図を表示するため、地図表示プログラム21が地図情報取得部21aとパターン図形長取得部21bと地図表示部21cとを備えている。当該地図表示プログラム21は、ナビゲーションシステム10においてナビゲーションプログラムが実行されている状態において実行され、当該ナビゲーションプログラムが実行されると、制御部20は、地図表示部21cの処理により、パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線を含む地図をユーザI/F部44の表示部に表示する。
【0020】
具体的には、制御部20は、地図情報取得部21aの処理により、線の開始点および終了点を含む、地図を表示するための地図情報を取得する。すなわち、制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号および地図情報30aに基づいて車両の現在地を取得し、車両の現在地に基づいて画像の生成対象範囲を区画単位で特定する。本実施形態においては、車両の現在地が含まれる区画と、当該区画の周辺に存在する所定の区画を生成対象範囲とする構成が採用されており、所定の区画としては、車両の進行方向を前方とした場合に右側、右斜め側、前側、左斜め側、左側に隣接する区画を生成対象範囲としている。図2Aにおいては、車両の現在地Cが存在する区画Z0と当該区画Z0の周辺に存在する区画Z1,Z2,Z3,Z4,Z5を模式的に示している。この例においては、区画Z0,Z1,Z2,Z3,Z4,Z5が地図を示す画像の生成対象範囲となる。なお、図2Aにおいては、区画Z0を太い実線の矩形で示し、区画Z1,Z2,Z3,Z4,Z5を細い破線の矩形で示している。
【0021】
生成対象範囲が特定されると、制御部20は、地図情報取得部21aの処理により、生成対象範囲の地図の画像が既に生成済であるか否かを判定し、生成対象範囲に地図の画像が生成済でない区画が含まれる場合、制御部20は、地図情報取得部21aの処理により、記録媒体30を参照し、当該区間について線の開始点および終了点を含む地図情報30aを取得する。そして、制御部20は、地図表示部21cの処理により、取得した区画の地図情報30aに基づいて地図を示す画像を生成する。例えば、制御部20は、ノードデータに基づいて交差点の位置を特定し、交差点間を線で結ぶことにより道路ネットワークの画像を生成し、道路および道路周辺に存在する地物の位置に各地物を示すアイコンの画像を配置する。また、区画内にパターン図形によって構成される線が含まれる場合、制御部20は、地図情報30aを参照して線を表示するための情報を取得する。
【0022】
なお、線を表示するための情報に、線が曲がる位置を示す情報が含まれている場合、制御部20は、線の開始点および終了点とともに当該曲がる位置も取得する。図2Aに示す例においては、区画Z0に表示される線を太い実線で模式的に示しており、区画Z1に表示される線を細い実線で模式的に示している。この例においては、区画Z0に表示される線が曲がっているため、区画Z0についての線を表示するための情報が取得される際には、線の開始点P10および終了点P20と曲がる位置P30が取得される。一方、区画Z1に表示される線は曲がっていないため、区画Z1についての線を表示するための情報が取得される際には、線の開始点P11および終了点P21が取得されることになる。線の開始点および終了点(必要な場合には線が曲がる位置を含む)が取得されると、制御部20は、地図表示部21cの処理により、パターン図形情報30bを取得し、線の開始点から終了点までパターン図形を連続的に配置することによって線の画像を含む地図の画像を生成する(当該線の画像の生成は後に詳述する)。
【0023】
さらに、制御部20は、地図表示部21cの処理により、生成された画像から表示対象の画像を抽出してユーザI/F部44の表示部に出力し、当該ユーザI/F部44の表示部に地図を表示する。ここで、表示対象の画像は、ユーザI/F部44の表示部に表示されるべき地図を示す画像であり、図2Aにおいては、表示対象の画像を細い実線の矩形Iで示している。
【0024】
なお、本実施形態においては、車両の現在地に基づいて画像の生成対象範囲が特定されるため、車両の現在地が変化することに伴って生成対象範囲に含まれる区画が変化し、地図の画像を生成済でない区画が新たに生成対象範囲に含まれることとなった場合、制御部20は、当該区画についての地図の画像を生成する処理を行う。しかし、地図の画像を生成済でない区画が新たに生成対象範囲に含まれるようになるまで、制御部20は、地図の画像を生成する処理を新たに実行することはない。従って、一旦地図の画像を生成した区画については、再度地図の画像を生成することが不要であり、車両が移動すること等に伴って地図の表示範囲が頻繁に変更される場合であっても、画像の生成処理を頻繁に行う必要はなく、処理負荷が常時高くなることを防止することができる。さらに、所定の生成対象範囲について地図の画像を生成する構成においては、車両の現在地が存在する区画の周辺の区画まで地図の画像が予め生成された状態となるため、車両の移動に伴う表示範囲の変更を行う際に、高速に表示範囲の変更を行うことができる。
【0025】
以上のように、本実施形態においては、生成対象範囲という有限の範囲についての地図の画像を生成し、生成した画像に基づいて地図を表示する。従って、一旦生成対象範囲に含まれる各区画について画像が生成された後、画像を生成済である区画と異なる区画が新たに生成対象範囲となった場合、新たに生成対象範囲となった区画について地図の画像を生成する必要がある。この場合において、固定的なパターン図形を連続的に配置することで線の画像を生成すると、画像を生成済の区画と新たに画像を生成する区画とで線が不連続に見えてしまう。
【0026】
図2Bにおいては、図2Aに示す区画Z0と区画Z1の一部を拡大して示しており、各区画においてパターン図形を伸縮させることなく連続的に配置して線の画像を生成する例を示している。すなわち、図2Bに示す区画Z0においては、線の開始点P10から線が曲がる位置P30までの直線上にパターン図形を配置し、さらに、曲がる位置P30から線の終了点P20までの直線上にパターン図形を配置した場合の線を示している。図2Bに示す区画Z1においては、線の開始点P11から線の終了点P21図2Bには図示されず)までの直線上にパターン図形を配置した場合の線を示している。
【0027】
このような状態は、線の開始点P10と最初に並べるパターン図形F1の第1の端点E1とを一致させ、当該パターン図形F1の第2の端点E2に、隣接させて並べるパターン図形F2の第1の端点E1を一致させる作業を、線の開始点から(必要に応じて線が曲がる位置を経て)線の終了点まで繰り返し実施することによって実現される。
【0028】
図2に示す例において、区画Z0の線長(開始点P10から位置P30までの距離+位置P30から終了点P20までの距離)はパターン図形の長さL0の3個分より長く、パターン図形の長さL0の4個分より短い。従って、区画Z0においては線の終了点P20とパターン図形の端点Peとが一致しない。そして、区画Z1における線の開始点P11と区画Z0における線の終了点P20とは一致しており、区画Z1においては線の開始点P11とパターン図形の端点とが一致するようにパターン図形が配置される。従って、区画Z0と区画Z1との境界Bにおいて、区画Z0のパターン図形は境界Bと端点とが一致せず、区画Z1のパターン図形は境界Bと端点とが一致する状態となり、区画Z0と区画Z1との境界Bにおいて、線が不連続になる。
【0029】
そこで、本実施形態において、制御部20は、地図表示部21cの処理により、パターン図形を連続的に配置するとともに、連続的に配置されるパターン図形の始点と線の開始点とが一致し、かつ、連続的に配置されるパターン図形の終点と線の終了点とが一致するように、連続的に配置されるパターン図形の少なくとも1つを伸縮させることで線を表示する。
【0030】
具体的には、制御部20は、パターン図形長取得部21bの処理により、記録媒体に記録されているパターン図形の長さを取得する。すなわち、制御部20は、パターン図形情報30bを参照してパターン図形の長さL0を取得する。さらに、制御部20は、地図表示部21cの処理により、線の開始点から線の終了点までの長さである線長と、伸縮前のパターン図形の長さの整数倍の長さであるとともに線長に最も近い長さと、に基づいてパターン図形の長さの伸縮率を決定する。すなわち、線長と、伸縮前のパターン図形の長さの整数倍の長さであるとともに線長に最も近い長さと、を取得すれば、伸縮対象となるパターン図形を伸縮させるべき量を特定することができ、伸縮対象となるパターン図形の伸縮率を決定することができる。なお、線長は、地図情報30aに基づいて特定されれば良く、各区画における線を表示するための情報に線長を示す情報が対応づけられた構成において当該線長を示す情報によって取得されても良いし、開始点および終了点(曲がる場合には曲がる位置を含む)間の距離を導出することによって取得されても良い。
【0031】
本実施形態において、制御部20は、地図表示部21cの処理により、均等に伸縮させた複数個のパターン図形を連続的に配置することによって線を表示する構成を採用しており、伸縮率=(線長)/(伸縮前のパターン図形の長さの整数倍の長さであるとともに線長に最も近い長さ)として伸縮率を取得する。この構成により、1個あたりのパターン図形の伸縮による変化を最小限に抑制することができる。
【0032】
図2Cは、図2Bに示す例においてパターン図形を均等に伸縮させる場合における伸縮率の決定の例を示す図である。図2Cにおいては、図2Bの区画Z0に配置された4個のパターン図形を抜き出して長さL0方向に並べ、線長Lとともに示している。線長は太い実線で示されており、線の開始点P10および終了点P20に相当する点も示されている。また、図2Cに示す4個のパターン図形の左側の端点が連続的に配置されるパターン図形の始点Psであり、4個のパターン図形の右側の端点が連続的に配置されるパターン図形の終点Peである。この例において、伸縮前のパターン図形の長さの整数倍の長さであるとともに線長に最も近い長さ=4L0、線長=Lである。従って、伸縮率=L/4L0である。むろん、ここで制御部20は、地図表示部21cの処理により、線の開始点から線の終了点までの長さである線長と、伸縮前のパターン図形の長さの整数倍の長さであるとともに線長に最も近い長さと、の差分の大きさを取得し、当該差分の大きさと伸縮前のパターン図形の長さとに基づいてパターン図形の長さの伸縮率を決定してもよい。すなわち、差分をΔLとし、伸縮率=(4L0−ΔL)/4L0としても良い。
【0033】
なお、パターン図形は伸張しても良いし、縮小しても良いが、本実施形態においては、縮小のみを実施する。従って、本実施形態において制御部20は、伸縮前のパターン図形の長さの整数倍の長さであるとともに線長に最も近い長さが線長Lよりも大きくなるように設定する。むろん、パターン図形が伸張される場合、制御部20は、伸縮前のパターン図形の長さの整数倍の長さであるとともに線長に最も近い長さが線長Lよりも小さくなるように設定する。
【0034】
次に、制御部20は、地図表示部21cの処理により、決定された伸縮率を利用して各パターン図形を長さ方向に伸縮させる。すなわち、制御部20は、各パターン図形の長さが伸縮率×L0となるようにパターン図形を伸縮させる。そして、制御部20は、線の開始点から終了点まで、伸縮されたパターン図形を連続的に配置することにより、線を含む地図の画像を生成する。具体的には、隣接するパターン図形の端点同士を一致させるように(パターン幅方向の中心線が重なることのないように)、線の開始点から終了点に向けて伸縮されたパターン図形を並べる。
【0035】
図2Dは、伸縮されたパターン図形を、線の開始点から線が曲がる位置を経て線の終了点に至るまで連続的に並べた場合の例を示している。同図2Dに示す、伸縮されたパターン図形の長さL'0は伸縮率×L0であり、当該伸縮率は、図2Cに示す、連続的に配置されるパターン図形の終点Peと線の終了点P20との間の距離ΔLが0になるように設定されている。従って、図2Dに示すように、伸縮されたパターン図形を連続的に並べた場合の始点Psと線の開始点P10とが一致し、かつ、伸縮されたパターン図形を連続的に並べた場合の終点P'eと線の終了点P20とが一致している。従って、このようにして生成された地図の画像に基づいて制御部20が表示対象の画像(図2Aに示す矩形I)を抽出して表示することにより、パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線が、区画の境界においても連続的につながっているように地図を表示することができる。
【0036】
(2)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、種々の実施形態を採用可能である。例えば、ナビゲーションシステム10は、車両に固定的に搭載されていても良いし、持ち運び可能なナビゲーションシステム10が車両内に持ち込まれて利用される態様であっても良い。むろん、ナビゲーションシステム10としては、車両とともに利用されるシステム以外のシステムを想定可能であり、歩行者が利用するナビゲーションシステムとして提供されても良い(この場合、車速センサ42は省略される)。
【0037】
また、地図情報取得手段は、線の開始点および終了点を含む、地図を表示するための地図情報を取得することができればよい。すなわち、地図情報が予め記録媒体に記録された記録媒体を有線通信、無線通信等によって参照し、地図を表示するための地図情報を取得することができればよい。地図情報は、地図の画像を生成するために必要な情報であり、道路や地物の位置や画像等を示す情報であるとともに各種の線の画像を生成するための情報を含んでいる。線はパターン図形が連続的に配置されることによって構成され、地図上での線の位置を示す開始点および終了点を特定可能な情報が地図情報に含まれている。
【0038】
なお、線は、線路や行政区画単位の境界線など各種の線が想定される。当該線はパターン図形が連続的に配置されることによって構成され、地図情報にパターン図形の画像を示す情報が含まれている。当該パターン図形は、地図の縮尺毎に線の画像を特定できるように構成された2次元的なパターンであっても良く、例えば、縮尺毎に定義された画像データであってもよいし、特定の縮尺におけるパターン図形が定義され、縮尺が異なる場合にパターン図形を拡大あるいは縮小させる構成であっても良い。
【0039】
パターン図形長取得手段は、記録媒体に記録されているパターン図形の長さを取得することができればよい。すなわち、表示対象の地図にパターン図形によって線を表示する場合に地図上で当該パターン図形が占める長さを取得することができればよく、例えば、地図の画像を生成する際に利用する座標系でパターン図形が占める長さを取得すれば良い。なお、パターン図形は2次元的なパターンであるため、長さ方向と幅方向(長さ方向に垂直な方向)は予め決められており、当該長さ方向に沿ってパターン図形の長さが定義される。また、パターン図形は連続的に配置されて線を構成するため、線長に沿って繰り返して出現するパターンの一部の図形によってパターン図形が構成されることになる。また、繰り返すことによって線を構成するパターン図形は対称形であることが好ましく、例えば、パターン図形の中心を通る中心線に対して線対称であるように構成しても良い。この構成によれば、パターン図形を地図上に配置する際にパターン図形の向きを考慮することなく配置しても、連続して繰り返すパターンを形成することが可能である。
【0040】
地図表示手段は、パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線を含む地図を地図情報に基づいて表示することができればよい。すなわち、地図表示手段は、少なくとも地図を表示するために必要な範囲についての地図情報を取得して地図の画像を生成する。そして、生成した画像を所定の表示部に表示することによって地図を表示する。むろん、当該地図に他の付随する情報、例えば、地図表示システムを利用する利用者の位置や交通情報等を重畳して表示する構成であっても良い。
【0041】
なお、地図の画像が生成される範囲(生成対象範囲)は、少なくとも表示される地図の範囲であれば良いが、表示される地図の範囲よりも広い所定の範囲であってもよい。すなわち、表示される地図の範囲(例えば、表示部における地図の表示範囲等)よりも広い所定の範囲についての地図の画像を生成しておけば、表示範囲の変更(例えば、地図表示システムの利用者が移動すること等に伴う表示範囲の変更等)を行う際に、高速に表示範囲の変更を行うことができる。
【0042】
いずれにしても、地図を表示する地図表示システム、方法、プログラムにおいては有限の範囲についての地図の画像を生成し、生成した画像に基づいて地図を表示する構成となる。従って、地図の画像の生成対象範囲について画像が生成された後、当該生成対象範囲の外側の地図が新たに生成対象範囲となった場合、生成済の地図の画像に隣接する地図の画像を生成する必要がある。この場合において、固定的なパターン図形を連続的に配置することで線の画像を生成すると、画像を生成済の範囲と新たに画像を生成する範囲とで線が不連続に見えてしまう。
【0043】
すなわち、描画済の範囲と新たに描画する範囲との双方に渡って線が存在する場合において、各範囲のそれぞれにおいて、線の開始点から終了点までの間に複数個のパターン図形を連続的に配置した場合、線の終了点とパターン図形の端部とが一致するとは限らないため、複数の範囲にまたがる線の画像においてパターン図形が重なることなく連続的に配置されるとは限らない。この場合、範囲の境界で線が連続的につながっているようには見えなくなる。
【0044】
しかし、地図表示システム、方法、プログラムにおいて、連続的に配置されるパターン図形の少なくとも1つを伸縮させることにより、連続的に配置されるパターン図形の始点と線の開始点とが一致し、かつ、連続的に配置されるパターン図形の終点と線の終了点とが一致するように地図を表示すれば、連続的に配置されるパターン図形の端点と、線の開始点および終了点とを常に一致させることができる。従って、パターン図形が連続的に配置されることによって構成される線が、連続的につながっているように地図を表示することができる。なお、パターン図形を連続的に配置する際には、隣接するパターン図形の端点同士を一致させるように(パターン幅方向の中心線が重なることのないように)、線の開始点から終了点に向けてパターン図形を並べれば良い。
【0045】
従って、線の開始点と最初に並べるパターン図形の第1の端点とを一致させ、当該パターン図形の第2の端点に、隣接させて並べるパターン図形の第1の端点を一致させる作業を、線の終了点に向けて繰り返し実施すれば良い。そして、パターン図形の第2の端点が線の終了点に最も近い状態となるまでパターン図形を並べることを想定すれば、パターン図形を連続的に配置することができる。以上の処理において、最初に並べるパターン図形の第1の端点が連続的に配置されるパターン図形の始点となり、最後に並べるパターン図形の第2の端点が連続的に配置されるパターン図形の終点となる。そして、パターン図形の終点と、線の終了点とが一致していなければ、パターン図形が伸縮されることになる。むろん、線が曲がっていても良く、この場合、線の開始点および終了点とともに線が曲がる位置が特定されて線が形成されることになる。
【0046】
パターン図形の伸縮は、連続的に配置されるパターン図形の始点と線の開始点とが一致し、かつ、連続的に配置されるパターン図形の終点と線の終了点とが一致するように行われればよいため、1個以上のパターン図形を伸縮させれば良い。パターン図形の伸縮は、パターン図形の伸張と縮小とが想定され、いずれか一方のみが行われる構成であっても良いし、双方のみが行われる構成であっても良い。むろん、前者と後者とでは、パターン図形の終点が異なる点となり得る。
【0047】
なお、均等に伸縮させた複数個のパターン図形を連続的に配置することによって線を表示する構成とすれば、1個あたりのパターン図形の伸縮による変化を最小限に抑制することができる。また、伸縮前後におけるパターン図形の長さの変化の大きさの合計が、伸縮前のパターン図形の長さよりも小さくなるようにパターン図形を伸縮させる構成とすれば、伸縮対象のパターン図形のそれぞれについて過度に長さを変化させることなく伸縮を行うことができる。
【0048】
地図の画像の生成対象範囲は、各種の範囲を想定可能であるが、生成対象範囲を区画によって定義する構成を採用しても良い。例えば、地図情報取得手段が、線の開始点および終了点を含む、区画毎の地図を示す地図情報を取得し、地図表示手段が、区画毎に地図を示す画像を生成し、生成された画像から表示対象の画像を抽出して表示する構成を採用しても良い。すなわち、地図表示手段が、表示される地図を含む複数の区画について地図の画像を生成するように構成し、複数の区画の地図から表示部に表示される表示範囲の地図を抽出して表示する。この構成において、一旦地図の画像を生成した区画については、再度地図の画像を生成することが不要であるため、地図表示システムの利用者が移動すること等に伴って地図の表示範囲が頻繁に変更される場合であっても、画像の生成処理を頻繁に行う必要はなく、処理負荷が常時高くなることを防止することができる。
【0049】
さらに、パターン図形を伸縮させるための指標は、種々の指標を採用可能であり、例えば、地図表示手段が、線の開始点から線の終了点までの長さである線長と、伸縮前のパターン図形の長さの整数倍の長さであるとともに線長に最も近い長さと、に基づいてパターン図形の長さの伸縮率を決定する構成を採用しても良い。すなわち、線長と、伸縮前のパターン図形の長さの整数倍の長さであるとともに線長に最も近い長さと、を取得すれば、伸縮対象となるパターン図形を伸縮させるべき量を特定することができ、伸縮対象となるパターン図形の伸縮率を決定することができる。例えば、複数のパターン図形を均等に伸縮させる場合、伸縮率=(線長)/(伸縮前のパターン図形の長さの整数倍の長さであるとともに線長に最も近い長さ)とし、各パターン図形を当該伸縮率で伸縮させれば良い。
【0050】
なお、パターン図形について伸張と縮小との双方が行われ得る場合、連続的に配置されたパターン図形の長さが線長より長い場合に伸縮率が1より小さくなって縮小が行われ、連続的に配置されたパターン図形の長さが線長より短い場合に伸縮率が1より大きくなって伸張が行われる。パターン図形について伸張または縮小の一方のみが行われる場合、伸縮率が1より小さい状態、または1より大きい状態の一方のみとなる。
【0051】
さらに、地図表示手段は、伸縮前のパターン図形を線の開始点から線の終了点までの長さに最も近くなるよう連続的に配置した場合における、線の終了点と連続的に配置されたパターン図形の終点との間の距離と、連続的に配置されたパターン図形の合計長さと、に基づいてパターン図形の長さの伸縮率を決定する構成を採用しても良い。すなわち、図2Cにおいて、制御部20が、伸縮率=((連続的に配置されたパターン図形の合計長さ4L0)−(線の終了点と連続的に配置されたパターン図形の終点との間の距離ΔL))/(連続的に配置されたパターン図形の合計長さ4L0)として取得しても良い。
【0052】
なお、線の終了点と連続的に配置されたパターン図形の終点との間の距離ΔLは、図2Cにおいて(L−4L0)として取得されても良いが、図2Bに示す例のようにパターン図形を線上に仮想的に配置し、線の終了点Peと連続的に配置されたパターン図形の終点P20との2点間の距離を導出することによって取得されても良い。後者であれば、線長Lを算出する処理が不要となる。
【0053】
さらに、線の終了点と連続的に配置されたパターン図形の終点との間の距離ΔLを取得する構成においては、小数個のパターン図形を伸縮させることによってΔLを0にすることも容易である。例えば、1個のパターン図形を伸縮させることとし、伸縮対象のパターン図形の伸縮率=((伸縮前のパターン図形の長さ)−(差分の大きさΔL))/(伸縮前のパターン図形の長さ)とし、伸縮対象のパターン図形を当該伸縮率で伸縮させれば良い。
【0054】
さらに、複数個の最小単位パターンが連続的に配置されることによってパターン図形が構成される場合において、地図表示手段が、線の開始点から線の終了点までの長さである線長と、伸縮前のパターン図形における最小単位パターンの長さの整数倍の長さであるとともに線長に最も近い長さと、に基づいてパターン図形の長さの伸縮率を決定し、当該伸縮率で伸縮された少なくとも1個のパターン図形を含むパターン図形を連続的に配置することによって連続的に配置される最小単位パターンの始点と線の開始点とを一致させ、かつ、連続的に配置される最小単位パターンの終点と線の終了点とを一致させた線を表示する構成としても良い。
【0055】
すなわち、線は所定のパターンが繰り返すことによって構成されるが、繰り返しの最小単位である最小単位パターンが複数個連続的に配置されることによってパターン図形が構成される場合、連続的に配置されるパターン図形の終点と線の終了点とを一致させなくても、連続的に配置される最小単位パターンの終点と線の終了点とを一致させれば、線の終了点の外側にさらに線を表示する際に、線が連続的につながるように最小単位パターンを並べることができる。
【0056】
例えば、図2A図2Dにおいて説明したパターン図形は、より小さな最小単位パターンが繰り返されることによって構成されている。すなわち、当該パターン図形は、図3Aに示すように、2個の最小単位パターンFUによって構成されている。図3Bは、ある区画Z0において、当該パターン図形を、伸縮させずに線の開始点P10から終了点P20に向けて並べた状態を示しており、図3Cは、図3Bのように並べたパターン図形を抜き出して直線状に並べ直した状態を示している。図3Cに示すように、線の開始点P10から終了点P20までの長さはLであり、伸縮前のパターン図形における最小単位パターンFUの長さUの整数倍の長さであるとともに線長Lに最も近い長さはLUである。
【0057】
そこで、この例の場合、制御部20が、線長Lと、伸縮前のパターン図形における最小単位パターンFUの長さUの整数倍の長さLUと、に基づいてパターン図形の長さL0の伸縮率を決定する。すなわち、制御部20は、伸縮率=(線長L)/(伸縮前のパターン図形における最小単位パターンFUの長さUの整数倍の長さLU)として伸縮率を取得する。従って、図3Cに示す例であれば、制御部20は、伸縮率=L/LUとする。この構成であれば、パターン図形の全体の長さを取得する図2Cの例と比較して分母が小さくなるため、伸縮率の大きさを抑制することができる。また、配置するパターン図形の数を減らすことができるので、処理負荷も減らすことができる。なお、ここでは、伸縮率に基づいてパターン図形を伸縮させる構成を説明したが、最小単位パターンを伸縮させる構成であっても良い。
【0058】
なお、図3Cに示す例において、上述の例のようにパターン図形を均等に伸縮させるのではなく、より少数個のパターン図形を伸縮させる構成としても良い。例えば、1個のパターン図形を伸縮させる場合、伸縮対象の最小単位パターンの伸縮率=((伸縮前の最小単位パターンの長さ)−(差分の大きさ))/(伸縮前の最小単位パターンの長さ)とし、伸縮対象のパターン図形を当該伸縮率で伸縮させれば良い。なお、ここで、差分の大きさは、線長と、伸縮前の最小単位パターンの長さの整数倍の長さであるとともに線長に最も近い長さと、の差分の大きさである。むろん、差分の大きさは、伸縮前のパターン図形を線の開始点から線の終了点までの長さに最も近くなるよう連続的に配置した場合に、連続的に配置された最小単位パターンの端点のうち、最も線の終了点に近い端点と当該線の終了点との間の距離によって取得されても良い。
【0059】
さらに、本発明のように、連続的に配置されるパターン図形の始点と線の開始点とが一致し、かつ、連続的に配置されるパターン図形の終点と線の終了点とが一致するように、連続的に配置されるパターン図形の少なくとも1つを伸縮させる手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、方法、プログラムは、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のようなシステムを備えたナビゲーションシステムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0060】
10…ナビゲーションシステム、20…制御部、21…地図表示プログラム、21a…地図情報取得部、21b…パターン図形長取得部、21c…地図表示部、30…記録媒体、30a…地図情報、30b…パターン図形情報、41…GPS受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…ユーザI/F部
図1
図2
図3