(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切り換え補間部は、前記第1角度信号と前記第2角度信号の差を縮小する方向で、前記第3角度信号の変化率を大きくする加速段階と、前記加速段階の後で前記第3角度信号の変化率を減少させる減速段階と、を有する処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の角度検出装置。
前記切り換え補間部は、前記加速段階と前記減速段階の間に、前記第3角度信号の変化率を前記所定の閾値に近い値とする高速段階を有する処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の角度検出装置。
前記補間の処理は、前記第1角度信号と前記第2角度信号の差を縮小する方向で、前記第3角度信号の変化率を大きくする加速段階と、前記加速段階の後で前記第3角度信号の変化率を減少させる減速段階と、を有することを特徴とする請求項7に記載の角度検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態を説明する前に、2個のレゾルバを有する冗長化した角度検出装置、およびそれを搭載したモータ制御システムの一般的な例を説明する。
図1は、2個のレゾルバを有する冗長化した角度検出装置を搭載したモータ制御システムの構成例を示す図である。
【0015】
モータ制御システムは、モータ11と、第1レゾルバ12Aと、第2レゾルバ12Bと、第1レゾルバインターフェース13Aと、第2レゾルバインターフェース13Bと、セレクタ14と、CPU15と、モータ制御部16と、ドライバ17と、を有する。第1レゾルバ12A、第2レゾルバ12B、第1レゾルバインターフェース13A、第2レゾルバインターフェース13Bおよびセレクタ14が、角度検出装置を形成する。また、第1レゾルバ12Aと第1レゾルバインターフェース13Aを合わせて第1回転計測器、第2レゾルバ12Bと第2レゾルバインターフェース13Bを合わせて第2回転計測器、と称する場合がある。
【0016】
CPU15は、外部から動作要求を受け取り、モータ制御部16から制御情報を受け取り、これらに基づいて制御指令を生成して、モータ制御部16に出力する。モータ制御部16は、CPU15からの制御指令、およびセレクタ14からの角度情報および角速度情報に基づいて、モータ制御信号を生成し、ドライバ17に出力する。ドライバ17は、モータ制御信号に基づいて駆動信号を生成し、モータ11に印加する。これに応じて、モータ11は、所望の回転を行う。
【0017】
第1レゾルバ12Aおよび第2レゾルバ12Bは、ロータがモータ11のロータと軸を共有するように配置され、回転位置に関係する正弦波信号および余弦波信号を発生する。第1レゾルバインターフェース13Aおよび第2レゾルバインターフェース13Bは、第1レゾルバ12Aおよび第2レゾルバ12Bの出力する正弦波信号および余弦波信号から、モータ11の回転角度および回転速度(角速度)を演算して出力する。なお、レゾルバ以外にも、回転位置に関係する正弦波信号および余弦波信号を発生するセンサが知られており、レゾルバの代わりにそのようなセンサを使用してもよい。
【0018】
上記のように、第1および第2レゾルバ12Aおよび12Bは、同一のモータ11に配置されており、正常であれば、第1および第2レゾルバインターフェース13Aおよび13Bは、同じ回転角度および角速度を出力する。そこで、セレクタ14は、通常は、第1レゾルバインターフェース13Aの出力する第1回転角度および第1角速度を選択して、モータ制御部16に出力する。もし、第1レゾルバ12Aおよび第1レゾルバインターフェース13Aからなる第1回転計測器に異常が発生した場合には、セレクタ14は、第2レゾルバインターフェース13Bの出力する第2回転角度および第2角速度を選択するように切り換える。この場合、第2レゾルバ12Bおよび第2レゾルバインターフェース13Bからなる第2回転計測器に異常が発生していれば、切り換えは行わずに、角度検出装置は、異常が発生したことを、CPU15またはモータ制御部16に通知する。また、セレクタ14が第2回転角度および第2角速度を選択するように切り換えた後、第2回転計測器に異常が発生した場合も同様である。なお、以下の説明では、レゾルバの異常を検出する例を説明するが、レゾルバインターフェースを含めた回転計測器の異常を検出する場合も同様である。
【0019】
図2は、
図1の第1レゾルバ12A、第2レゾルバ12B、第1レゾルバインターフェース13A、第2レゾルバインターフェース13Bおよびセレクタ14を含む角度検出装置の詳細な構成を示す図である。
【0020】
第1レゾルバ12Aは、ロータ21Aと、励磁コイル22Aと、第1検出コイル23Aと、第2検出コイル24Aと、を有する。正弦波発振器からの参照信号が、ロータ21Aの回転角度に応じて振幅変調されて励磁コイル22Aに印加され、第1検出コイル23Aおよび第2検出コイル24Aに回転角度に応じた正弦波信号および余弦波信号が誘起される。第1検出コイル23Aの両端に誘起される正弦波信号は、第1レゾルバインターフェース13Aの増幅回路25Aで増幅された後、ADC27Aでデジタル信号に変換されて、角度演算回路29Aに供給される。同様に、第2検出コイル24Aの両端に誘起される余弦波信号は、第1レゾルバインターフェース13Aの増幅回路26Aで増幅された後、ADC28Aでデジタルデータに変換されて、角度演算回路29Aに供給される。角度演算回路29Aは、ADC27AおよびADC28Aの出力するデータから、ロータ21Aの第1回転角度R1および第1角速度ω1を演算して出力する。第2レゾルバ12Bおよび第2レゾルバインターフェース13Bは、上記と同じであるので説明は省略する。また、レゾルバおよびレゾルバインターフェースについては、列記した特許文献等に記載されており、広く知られているのでこれ以上の説明は省略する。
【0021】
異常監視部18は、第1検出コイル23A、第2検出コイル24A、第
1検出コイル23Bおよび第2検出コイル24Bの出力するアナログ信号を監視して、第1レゾルバ12Aおよび第2レゾルバ12Bが正常であるか、すなわち異常が発生したかを監視する。異常検出部19は、異常監視部18の監視信号から、第1レゾルバ12Aが正常であるか否か(異常であるか)、第2レゾルバ12Bが正常であるか否か(異常であるか)を検出する。レゾルバの異常発生は、特許文献7に記載される方法で、各レゾルバのみの信号を監視することにより検出される。この際、必要に応じて角度演算回路の出力を利用する。また、第1レゾルバ12Aからの信号と第2レゾルバ12Bからの信号を比較することにより、より高精度に異常の発生を検出できる。ここでは、異常発生の検出方法は、特に限定しないが、一般レゾルバの異常発生は、発生から検出まである程度の時間が必要である。また、レゾルバインターフェースに異常が発生する場合もあり、第1および第2レゾルバインターフェース13Aおよび13Bを含めて異常監視を行うようにしてもよい。言い換えれば、第1回転計測器および第2回転計測器のそれぞれで異常発生を検出するようにしてもよい。
【0022】
異常検出部19は、第1回転計測器と第2回転計測器の両方が正常の場合には、例えば第1の検出信号を選択する選択信号SELをセレクタ14に出力する。これに応じて、セレクタ14は、第1回転角度R1および第1角速度ω1を選択して、第3回転角度R3および第3角速度ω3として出力する。
【0023】
異常検出部19は、第1回転計測器に異常が発生したことを検出した場合には、第2回転計測器の出力する第2回転角度R2および第2角速度ω2を含む第2の検出信号を選択するように切り換える選択信号SELをセレクタ14に出力する。これに応じて、セレクタ14は、第2回転角度R2および第2角速度ω2を選択して、第3回転角度R3および第3角速度ω3として出力する。ただし、第1回転計測器に異常が発生した時に、すでに第2回転計測器にも異常が発生していた場合には、異常検出部19は、第1と第2の検出信号のいずれも検出しない選択信号SELをセレクタ14に出力し、異常発生を知らせる信号を出力する。これは、第2の検出信号を選択するように切り換える選択信号SELを出力した後で、第2回転計測器に異常が発生した場合も同様である。
【0024】
図3は、
図2の角度検出装置における切り換え時の第1回転角度R1および第2回転角度R2の変化を示す図である。
図3において、Pは第1回転計測器および第2回転計測器が正常な場合の、第1回転角度R1および第2回転角度R2の変化を示す。第1回転計測器および第2回転計測器が正常であるから、第1回転角度R1および第2回転角度R2は同じ値を示す。
【0025】
図3において、参照番号30で示す時間に、第1回転計測器に異常が発生した場合を考える。第2回転計測器は正常であるから、第2回転角度R2はモータの回転に応じてQ2で示すように変化する。一方、第1回転計測器は異常であるから、第1回転角度R1の値は、Q1で示すように変化し、第2回転角度R2との差が時間の経過と共に広がる。
【0026】
前述のように、レゾルバ(回転計測器)の異常発生の検出は、発生から検出まである程度の時間が必要である。
図3に示すように、参照番号31で示す時間に第1回転計測器に異常が発生したことを検出したと仮定すると、Q1とQ2の差は広がっている。そのため、セレクタ14が、R3およびω3として出力するデータを、R1およびω1の組からR2およびω2の組に切り換えると、R3およびω3は非常に大きく変化する場合が起こる。
【0027】
セレクタ14の出力するR3およびω3は、モータ制御部16において、サーボ制御に使用されており、大きな変化を生じると、サーボ制御に悪影響を及ぼし、最悪の場合には脱調などが発生する。この場合問題になるのが、回転角度R3の大きな変化である。
【0028】
モータは、小型化のために、より高速回転することが求められている。そのため、回転計測器の異常発生の検出時間が同じでも、その間の第1検出信号と第2検出信号の差は大きくなり、サーボ制御への影響が大きくなる。
【0029】
したがって、2個のレゾルバを有する冗長化した角度検出装置には、レゾルバに異常が発生した場合に、後段のサーボ制御などへ悪影響を及ぼさない形で、正常なレゾルバの検出した回転角度に切り換えることが求められる。以下に説明する実施形態では、切り換え動作を改良した2個のレゾルバを有する冗長化した角度検出装置が開示される。
【0030】
図4は、実施形態のモータ制御システムの構成を示す図である。このモータ制御システムは、モータ11と、第1レゾルバ12Aと、第2レゾルバ12Bと、第1レゾルバインターフェース13Aと、第2レゾルバインターフェース13Bと、CPU15と、モータ制御部16と、ドライバ17と、切り換え補間部40と、を有する。言い換えれば、実施形態のモータ制御システムは、2個のレゾルバを有する冗長化した角度検出装置を搭載したシステムであり、
図1の構成で、セレクタ14の代わりに切り換え補間部40を設けたことが異なり、他は
図1のシステムと同じである。したがって、切り換え補間部40以外の部分について説明は省略する。
【0031】
図5は、実施形態における角度検出装置の詳細な構成を示す図である。実施形態の角度検出装置は、第1レゾルバ12A、第2レゾルバ12B、第1レゾルバインターフェース13A、第2レゾルバインターフェース13Bおよび切り換え補間部40を有する。言い換えれば、実施形態の角度検出装置は、
図2の構成で、セレクタ14の代わりに切り換え補間部40を設けたことが異なり、他は
図2の角度検出装置と同じである。第1レゾルバ12Aおよび第1レゾルバインターフェース13Aを含み、第1検出信号(第1回転角度R1および第1回転角速度ω1)を出力する部分を第1回転計測器と称する。同様に、第2レゾルバ12Bおよび第2レゾルバインターフェース13Bを含み、第2検出信号(第2回転角度R2および第2回転角速度ω2)を出力する部分を第2回転計測器と称する。
【0032】
実施形態の切り換え補間部40は、第1回転計測器および第2回転計測器が正常であれば、第1検出信号を選択して、第3回転角度R3および第3回転角速度ω3として出力する。切り換え補間部40は、第1回転計測器に異常が発生した場合、第2回転計測器が正常であれば、第2検出信号を選択して、第3回転角度R3および第3回転角速度ω3として出力するように、選択を切り換える。以上の機能は、
図1および
図2のセレクタ14と同じである。さらに、実施形態の切り換え補間部40は、第1検出信号から第2検出信号に選択を切り換える時に、単純に切り換えるのではなく、第3回転角度R3が段階的に第2回転角度R
2との差を縮小するように補間しながら切り換える。
【0033】
図6は、
図1および
図2に示したセレクタ14による切り換えと、実施形態の切り換え補間部40による切り換えを説明する図である。
図6では、説明を簡略にするために、第1回転計測器に異常が発生した時の第1回転角速度ω1と第2回転角速度ω2が等しく且つその後一定で、第1回転角度R1および第2回転角度R2が異なるとして説明を行う。さらに、Q1は第1回転角度R1を示し、Q2は第2回転角度R2を示し、0<ω1=ω2=一定であるから、Q1とQ2は単調増加する平行な直線となる。
【0034】
図6の(A)は、セレクタ14による切り換えを示す。セレクタ14は、第1検出信号(第1回転角度R1および第1回転角速度ω1)を第2検出信号(第2回転角度R2および第2回転角速度ω2)に切り換えるだけであるから、第1回転角度R1から第2回転角度R2への変化は瞬時に終了する。したがって、この場合の回転角速度の変化は非常に大きい。
【0035】
モータ制御系では、上記のような回転角度の変化が発生すると、制御目標の角度が大きく変化したことになり、目標角度になるように回転角速度を大きく変化させる制御を行う。これに応じて、ドライバ17は、駆動信号を急激に変化させるため、脱調などの悪影響が発生する。また、駆動信号に応じてモータ11の回転速度が急激に変化し、目標回転速度に近づくが、今度は逆に急激に減速するが、イナーシャの関係で目標回転速度を超えて変化し、このような制御を繰り返して目標回転速度に収束することになる。言い換えれば、回転速度が振動しながら目標回転速度に収束する。このように、
図1および
図2に示したセレクタ14による瞬時の切り換えでは、検出信号を利用する後段に悪影響を及ぼす。
図6の(B)は、元の回転角度Q1から目標回転角度Q2への変化をサーボ制御系の最大許容角速度Δωで変化させる補間処理を行った場合を示す。元の回転角度Q1に対する角速度をΔω増加させる。この場合、モータ制御系の影響は最小で済むが、切り換え時間が長くなる。
【0036】
例えば、ドライバ17がモータ11をPWM駆動する時、PWMのキャリア周波数1周期内において指定した制御量(Ang_L)をPWMのキャリア周波数(fc)とモータ回転数(R[rps])から次のように定義する。
Ang_L < 360 x R/fc[°]
このAng_Lの変化量で回転動作したときの角速度をωMAXとする。この角速度ωMAXは、PWM駆動で実現できる最大変化量である。
【0037】
図6の(C)は、元の回転角度Q1から目標回転角度Q2への変化を角速度ωMAXで行った場合を示す。この場合、元の回転角度Q1に対する角速度に加速用角速度Δωを加えてωMAXとする。
ωMAXで切り換えを行えば短時間で切り換えが可能であるが、急にωMAXにしてしまうと、
図6の(A)の場合と同様にモータ制御系に悪影響を及ぼす。
【0038】
図6の(D)は、実施形態のモータ制御システムの切り換え補間部40における補間処理を示す。この補間処理では、元の回転角度Q1から目標回転角度Q2への変化を、角速度を段階的に変化させて行う。
図6の(D)では、元の回転角度Q1に対する角速度から、単位処理時間ごとに角速度を少し加速して補間回転角度を算出し、さらに角速度を少し加速して補間回転角度を算出する処理を繰り返す。そして、角速度が上記のωMAXにまで増加すると、ωMAXでの加速を維持しながら単位処理時間ごとに補間回転角度を算出する。補間回転角度が、回転角度Q2に近づくと、角速度をωMAXから減少させ、補間回転角度が、回転角度Q2に一致すると、完全に第2回転計測器の出力に切り換える。
【0039】
図7は、実施形態の切り換え補間部40による切り換え補間処理をより具体的に説明する図である。
図6の(D)に示した例では、第1回転計測器に異常が発生した時の第2回転角速度ω2は、その後一定で変化しないとして説明したが、実際にはモータ11の回転に応じて変化する。
図7において、Q1は第1回転角度R1の変化を示し、参照番号31で示す時間に異常発生が検出され、第2検出信号(第2回転角度R2および第2回転角速度ω2)への切り換えが開始される。
図7では、Q1は角速度が一定であるとして示しているが、参照番号31で示す時間以後どのように変化しても処理には関係しない。Q2は、第2回転角度R2の変化曲線を示し、参照番号31で示す時間において、すでにQ1とは異なる角度となっており、角速度も既に異なっており、その後も変化する。
【0040】
図7は、切り換え開始時に第2回転角度R2は第1回転角度R1より大きく、R1を徐々に増加させてR2に一致させ、その後R2に切り換える場合を示している。なお、第3角速度ω3は、参照番号31で示す時間において、ω1からω2に切り換えられ、以下の説明における角速度は回転角度R3を演算する補間処理にのみ関係する。
【0041】
図7において、Fは加速境界角度差の変化曲線を示し、Gは折り返し角度の変化曲線を示し、Hは減速境界角度差の変化曲線を示す。加速境界角度差の変化曲線Fは、切り換え補間処理において、第1回転角度R1から第2回転角度R2に変化させる場合に、角速度を最大角速度ωMAXまで段階的に増加させる時点を示す。折り返し角度の変化曲線Gは、加速境界角度差の変化曲線F上の状態から、最大角速度ωMAXで第2回転角度R2に近づくように加速する範囲の中間となる時点を示す。減速境界角度差の変化曲線Hは、第2回転角度R2に近づいたので、最大角速度ωMAXから第2回転角速度ω2に近づくように減速を開始する時点を示す。回転角度を補間するために、角速度をどの程度増加または減少させるかは、その時点の第2回転角速度ω2に応じて決定する。
【0042】
図8は、回転角度補間処理において、第2回転角速度ω2に対して、角速度をどの程度増加または減少する量に設定するかを示す図である。
図8に示すように、角速度を増加または減少させる
量は、第2回転角速度ω2に比例するように決定する。
【0043】
次に、回転角度R3をどのように補間処理するかについて、
図7の例で詳しく説明する。
補間処理は、参照番号31で示す時間(t1)において開始される。t1の時の第1回転角度R1であり、これが切り換え開始時の補間した第3回転角度R31となる。t1の時、第1回転角度R1より第2回転角度R2の方が進んでいる(プラス)ので、その時点の第2回転角速度ω21より加速してR3を演算する必要がある(加速しないとR2に追いつかない)。
図8にしたがって、ω21に対してΔω1増加させるので、切り換え処理開始時のR3を演算する補間処理のための回転角速度ω31はω21+Δω1となる。
【0044】
1単位制御周期経過し、参照番号32で示す時間(t2)になると、第3回転角度R32は、R31+(ω21+Δω1)(t2−t1)である。t2の時、第2回転角速度ω2はω22であり、
図8にしたがって、ω22に対してさらにΔω2増加させるので、補間処理のための回転角速度ω32はω22+Δω1+Δω2となる。
【0045】
図7では、4回処理を繰り返すことにより、第3回転角度R3は増加し、参照番号33で示す時点で、加速境界角度差の変化曲線Fに到達する。この時点でのR3を増加させる回転角速度ω34はω24+Δω1+Δω2+Δω3+Δω4となる。次に、第3回転角度R3を最大角速度ωMAXで加速するとして演算し、単位制御周期ごとに演算値を出力する。この状態を、第3回転角度R3が減速境界角度差の変化曲線Hに到達するまで維持する。
【0046】
参照番号34で示す時間に、第3回転角度R3が減速境界角度差の変化曲線Hに到達すると、補間処理のための回転角速度の最大角速度ωMAXからの減速を開始する。減速の補間処理は、加速の補間処理に類似しており、その時点の回転角速度と第2回転角速度ω2の値から減速する加速度を決定する。
【0047】
以上の処理を繰り返すことで、第3回転角度R3は、第2回転角度R2に近づき、参照番号35で示す時間に、第3回転角度R3は第2回転角度R2に一致する。それ以後は、第2回転角度R2を第3回転角度R3として出力する。
【0048】
以上まとめると、実施形態の切り換え補間部40は、以下の手順で切り換え補間処理を行う。
(1)レゾルバ同士の角度差を求める。
(2)切り換え先の角速度ωからΔωを求める。
(3)角度差の正負状態とΔωとωから補間処理のための切り換え中の算出角速度を求める。
(4)切り換え中の算出角速度が、上限、下限のリミット値になったならリミット値に切り換える。
(5)目標角度に近づいたら上記の(3)の逆方向の演算を行い、切り換え中の算出角速度を求める。
(6)切り換え中の算出角速度を積分する事により算出角度を求める。
(7)以上のようにして、算出角度が切り換わり先のレゾルバ角度に接近していく。
【0049】
図9は、上記の動作を行う切り換え補間部40の回路構成ブロック図である。
切り換え補間部40は、セレクタ41、角度偏差算出部(R1−R2)42と、セレクタ43と、初回保持部44と、角速度算出部45と、角度算出部46と、0〜360°変換部47と、を有する。
【0050】
セレクタ41は、選択信号SELに応じて、第1回転計測器からの第1回転角度R1と第2回転計測器からの第2回転角度R2の一方を選択して、角度Bとして出力する。選択信号SELは、セレクタ41が、第1回転計測器が正常であればR1を、第1回転計測器が
異常であることが検出されるとR2を選択する信号である。
【0051】
角度偏差算出部(R1−R2)42は、R1とR2の差を、異常の発生に備えて常時演算する。
セレクタ43は、選択信号SELに応じて、第1回転計測器からの第1回転角速度ω1と第2回転計測器からの第2回転角速度ω2の一方を選択して、切り換え先角度Bとして出力する。
【0052】
初回保持部44は、第1回転計測器に異常が検出され、選択信号SELが切り換わった時、角度偏差算出部(R1−R2)42の出力する角度差R1−R2を保存し、切り換え直後の角度差Cとして出力する。
【0053】
角速度算出部45は、角度差Cと、セレクタ41から出力される切り換え先角度B(切り換え処理中は第2回転角度R2)を受け、切り換え中の算出角速度Sの生成を行う。角速度算出部45は、R1とR2の角度差の補間処理を、モータ制御系への影響がないよう、補間処理の進行状態ごとに区分して行うことにより、切り換え時間の短縮を実現している。また、制御周期毎に切り換え先の角速度ωを確認していくことで、切り換え中に角速度が変化した場合でも追従して角速度を算出していく。
【0054】
角度算出部46は、角度差Cと、セレクタ41から出力される第2回転角度R2および角速度算出部45の出力する切り換え中の算出角速度Sを受け、段階的に変化する算出回転角度Aの生成を行う。補間回転角度は、切り換え時間を短縮すると共に、モータ制御系に影響のない角度差で段階的に変化するように補間処理して生成される。また、角度算出部46は、単位制御周期ごとに、切り換え先である第2回転計測器の出力する角速度ω2を確認していくことで、切り換え中に角速度が変化した場合でも追従して角速度を算出していく。また、角度算出部46は、切り換え先である第2回転計測器の出力する回転角度R2と、角速度算出部45が生成した角速度から算出した角速度Sに対して、常に比較、差分を求め、角速度算出部45に切り換え先との角度差(切り換え中角度差)Dとして提供している。
【0055】
0〜360°変換部47は、角度算出部46が求めた回転角度値Aがマイナスや360°を越えている場合、0°から360°の間の値に修正する。
【0056】
ここで、上記の切り換え補間処理における算出角速度の変化および使用する用語を説明する。
【0057】
図10は、補間処理における算出角速度の変化および補間処理で使用する用語を説明する図である。
図10は、
図6の(D)で使用した図に対応し、説明を簡単にするため、切り換え先である第2角度計測器の第2回転角度R2と切り換え元の第1角度計測器の第1回転角度R1の変化を直線で示すが、前述のように、実際は常に変動する曲線である。
【0058】
・折返し角度
折返し角度とは、切り換え先の角度B(R2)から、切り換え時の角度差Cの1/2の角度異なる角度である。B(R2)が変動している為、下記式より常に補正が掛かる。
折返し角度=B+C/2(R1<R2の時Cは負、R1>R2の時Cは正)
【0059】
・加速境界角度差
加速境界角度差とは、切り換え時の角度差Cの補正方向が進みの場合(R1<R2)、切り換え中の角速度SがωMAXに到達したときの角度差とする。例えば、
図7に示した例では、4回目の単位制御周期でωMAXに到達したときの例である。
【0060】
加速境界角度差は、切り換え時の角度差Cの補正方向が遅れの場合(R1>R2)、詳細を後述する減速境界角度差の反対の所にある。但し速度差に差分がある可能性を考慮し、下記補正項を付ける。
【0061】
(ケース1)切り換え時の角度差Cの補正方向が進みの場合(R1<R2)
ωMAX=ω4+Δω1+Δω2+Δω3+Δω4とすると、加速境界角度差=(ω1+Δω1)t1+(ω2+Δω1+Δω2)t2+(ω3+Δω1+Δω2+Δω3)t3+(ω4+Δω1+Δω2+Δω3+Δω4)t4
【0062】
(ケース2)切り換え時の角度差Cの補正方向が遅れの場合(R1>R2)
加速境界角度差=ω/(ωdm+ωs)/2)
ただし、ωs:切り換え時の第2回転計測器の第2角速度ω2
ωdm:境界角度達成時の切り換え中の角度差Dm到達時の角速度
【0063】
・減速境界角度差
切り換え時の角度差Cの補正方向が進みの場合、加速境界角度差の反対の所にある。但し速度差に差分がある可能性を考慮し、下記補正項を付ける。
【0064】
減速境界角度差とは、切り換え時の角度差Cの補正方向が遅れの場合、切り換え中の角速度SがωMINに到達したときの角度差とする。
【0065】
(ケース1)切り換え時の角度差Cの補正方向が進みの場合(R1<R2)
減速境界角度差=ω/(ωdm+ωs)/2)
ただし、ωs:切り換え時の第2回転計測器の第2角速度ω2
ωdm:境界角度達成時の切り換え中の角度差(Dm)到達時の角速度
【0066】
(ケース2)切り換え時の角度差Cの補正方向が遅れの場合(R1>R2)
ωMAX=ω4−Δω1−Δω2−Δω3−Δω4とすると、加速境界角度差=(ω1−Δω1)t1+(ω2−Δω1−Δω2)t2+(ω3−Δω1−Δω2−Δω3)t3+(ω4−Δω1−Δω2−Δω3−Δω4)t4
【0067】
・算出角度A
算出角度Aとは、この切り換え補間部40の角度算出部46が生成した回転角度のことであり、
図10では、Q1からQ2に段階的に変化する線上の折れ曲がった点の示す角度に相当する。
【0068】
・切り換え中の角速度S
切り換え中の角速度Sとは、補間角度を決定していく変位を角速度として表したものである。
切り換え立ち上がりと切り換わり終了では、切り換え先の第2回転計測器の角速度ω2に一致し、折返し角度付近では、最大(最小)角速度になるような曲線で示される。
【0069】
・切り換え時の角度差C
切り換え開始時における、切り換え元の第1回転計測器の回転角度R1と、切り換え先の第2回転計測器の回転角度R2の差である。切り換え時の角度差Cは、切り換わり終了まで、変わらず保持される。
【0070】
・切り換え先の第2回転計測器の回転角度R2との角度差D
切り換え先の第2回転計測器の回転角度R2と比較した角度差のことである。開始時には、切り換え時の角度差Cと同値であり、切り換わり終了時は”0”になっている。
【0071】
・境界角度到達時の切り換え先との角度差Dm
Dm=切り換え直後の角度差C−切り換え先との角度差D
実施形態における切り換え中の算出角度Aの算出の基本原理を、
図10と関連付けて説明すると、以下のようになる。
【0072】
Q1上の参照番号31で示す切り換え開始の時点から、算出角度Aが加速境界角度差Fに到達するまでは、Q2(R2)の方がQ1(R1)より進んでいるので、サーボ制御に影響しないように徐々に加速し、順次算出角度Aを算出して出力する。算出角度Aが、加速境界角度差Fに到達した時には、算出角速度Sが最大角速度に達しており、加速境界角度差Fと減速境界角度差Hの間は、算出角速度Sを最大角速度に固定して、順次算出角度Aを算出して出力する。したがって、加速境界角度差Fと減速境界角度差Hの間は、高速状態である。その後、算出角度Aが減速境界角度差Hに達すると、減速を行い、算出角度Aが第2回転計測器の出力する第2回転角度R2に一致する時には、算出角速度Sが第2回転計測器の出力する角速度ω2に一致するようにする。
【0073】
Q2(R2)の方がQ1(R1)より遅れている時には、上記と逆に、まず減速処理し、最小角速度で進んだ後、加速して、算出角速度Sが第2回転計測器の出力する角速度ω2に一致するようにする。
【0074】
上記の説明は、切り換え処理中に、算出角速度Sが、最大または最少角速度になる場合であるが、最大または最少角速度になる前に、折返し角度Gに達する場合がある。その場合には、算出角速度Sが、折返し角度Gに達した時に、加速と減速を切り換える。
【0075】
以上説明した用語を用いて、
図9の各部を説明する。
図11は、
図9の角度算出部46の詳細な構成を示すブロック図である。
角度算出部46は、乗算器51と、時間幅レジスタ52と、減算器53と、角度差保持部54と、初期値算出部55と、減算器56と、初期信号発生部57と、セレクタ58と、角度偏差算出
部59と、収束判定部60と、セレクタ61と、を有する。角度算出部46は、算出角度Aの生成と、切り換え先との角度差Dの生成を行う。
【0076】
初期値算出部(B−C)55は、切り換え先の回転角度であるBと切り換え時の角度差Cから、切り換え時の第1回転計測器の出力する回転角度R1を算出する。
初期信号発生部57は、選択信号SELに応じて、切り換え時の最初の補間処理を行う間のみ有効になる初期信号を発生する。
【0077】
セレクタ58は、初期信号が有効の期間B側を選択し、それ以外の時にはA側を選択する。したがって、セレクタ58は、切り換え時の最初の補間処理のみR1を、それ以後は減算器56が出力するその時点の角度差を、切り換え中の角度Iとして出力する。
【0078】
角度偏差算出部(B−I)59は、切り換え先の回転角度であるBと切り換え中の角度Iの差を算出して切り換え中の角度差Dとして出力する。
【0079】
判定部60は、セレクタ60の切り換え信号を出力する。この切り換え信号は、セレクタ60が、初期および収束後にはB側を、その間はA側を選択して算出角度Aとして出力するように制御する。判定部60は、切り換え中の角度差Dがあらかじめ設定した範囲に収束したかを判定する。これにより算出誤差による角度収束が不完全な場合でも、算出角度はB、すなわちR2に切り換えられる。
【0080】
乗算器51は、切り換え中の算出角速度Sに、時間幅レジスタ52に保持された単位制御周期Tを乗算し、単位制御周期Tの間の回転角度を算出する。
減算器53は、角度差保持部54に保持された前回の角度差から乗算器51の出力する回転角度量を減算し、その時点の角度差を算出する。
【0081】
角度差保持部54は、切り換え開始時には、角度差Cを保持し、それ以後減算器53の出力するその時点の角度差を保持するように保持する値を更新する。
減算器56は、切り換え先の回転角度R1から減算器53の出力するその時点の角度差を減算し、その時点の算出角度を求める。
【0082】
以上の通り、前回の角度差から、単位制御周期Tの間の算出角速度Sに対応する回転量を減算していくことで、その時点の算出角度を求める。このようにして求められたその時点の算出角度は、補間切り換え処理中、セレクタ58およびセレクタ61を介して算出角度Aとして出力され、収束すると、算出角度Aとして切り換え先の回転角度R2が出力される。
【0083】
図12は、
図9の角速度算出部45の詳細な構成を示すブロック図である。角速度算出部45は、切り換え中の算出角速度Sの生成を行い、切り換え中の算出角速度Sを、加速状態、高速状態、減速状態のように変化させることで、モータ制御系の影響がでない、切り換え時間の短縮を実現している。
【0084】
角速度算出部45は、折返し角度抽出部71と、初回角速度保持部72と、反転境界角度差生成部73と、制御判定部74と、ω−Δωテーブル75と、加減算器76と、前回値保持部77と、加算器78と、最大値最小値保持部79と、セレクタ80と、を有する。
【0085】
折返し角度抽出部71および反転境界角度差生成部73については後述する。
初回角速度保持部72は、選択切り換え信号SELAに応じて、切り換え時の切り換え先の第2回転計測器の出力する回転角速度ω2をラッチして初回角速度ωsとして保持する。
【0086】
ω−Δωテーブル7
5は、
図8の関係を記憶したテーブルで、ω2からΔωを生成する。これは、角速度によりモータ制御系に影響のないΔωが異なることが予想されるためである。また、角速度ωは、制御単位ごとに新しい値を使用するようにしており、これにより、切り換え中に角速度ωが変化した場合にも追従できる。
【0087】
加減算器76は、Δωと前回値保持部77に保持された前回の角速度から新たな加速度を算出する。単位制御周期TごとにΔωを加算してゆくことで、加速状態から高速状態に近づけてゆく。なお、減速の場合はマイナスの値を加算する。このように、加減算器76と前回値保持部77は、Δω1、Δω1+Δω2、Δω1+Δω2+・・・を順次生成する。加減算器76の演算が、加算か減算かの制御は、制御判定部74が行う。
【0088】
加算器78は、ωとΔω1+Δω2+・・・を足し合わせる。
以上のようにして、加速期間中と減速期間中の角速度を生成する。
【0089】
最大値最小値保持部79は、モータ制御での最大値ωMAXおよび最小値ωMINを保持し、R2がR1より進んでいる時には最大値ωMAXを、R2がR1より遅れている時には最小値ωMINを、出力する。
【0090】
制御判定部74は、前述の加減算器76の制御およびセレクタ80における切り換え中の算出角速度Sの選択制御を行う。
【0091】
セレクタ80は、制御判定部74の制御に基づいて、ω+Δω1+Δω2+・・・と最大値(最小値)のいずれかを選択し、切り換え中の算出角速度Sとして出力する。
【0092】
反転境界角度差生成部73は、後述する
図13の構成を有し、角速度の変化に合わせて減速又は加速境界角度差の生成を行う。例えば、高速状態から減速状態への推移であれば、減速境界角度差の生成を行う。切り換え中の角度差が減速境界角度を達成すると、減速を開始する。
【0093】
折返し角度抽出部71は、後述する
図14の構成を有し、折返し角度の生成を行う。
図13は、反転境界角度差生成部73の構成を示す図である。
反転境界角度差生成部73は、ωdm抽出部81と、境界角度達成監視部82と、平均算出部83と、除算器84と、減算器85と、乗算器86と、を有する。
【0094】
境界角度達成監視部82は、切り換え中の角度差Dmが境界角度に到達したかを監視し、到達すると到達信号を出力する。
ωdm抽出部81は、第2回転計測器の出力する第2回転角速度ω2を監視し、到達信号が出力された時の第2回転角速度ωdmを抽出する。
【0095】
平均算出部83は、第2回転角速度ω2の切り換え開始時の角速度ωsとωdmの平均(ωdm+ωs)/2を算出する。
除算器84は、第2回転角速度ω2を上記の平均(ωdm+ωs)/2で除して、前述の補正項を算出する。
【0096】
減算器85は、切り換え時の角度差CからDmを減じて加速(減速)境界角度差を算出する。
乗算器86は、加速(減速)境界角度差に補正項を乗じて、加速(減速)境界角度差を算出し、反転境界角度Ddとして出力する。
【0097】
図14は、折返し角度抽出部71の構成を示す図である。折返し角度抽出部
71は、折返し角度の生成を行う。
折返し角度抽出部71は、切り換え時の角度差Cの1/2を算出する1/2算出部87と、1/2算出部87の出力と切り換え先の角度Bを加算する加算器88と、を有する。
【0098】
図15および
図16は、
図12の制御判定部74の制御フローを示すフローチャートである。
図15および
図16を参照して制御判定部74の制御を説明する。
制御判定部74に入力する信号は、次の5つである。
【0099】
切り換え中の角度差D
切り換え時の角度差C
切り換え中の算出角速度S
切り換え先の角速度ω2
反転境界角度差Dd
【0100】
また、制御判定部74からの出力情報は、次の2つである。
セレクタ80の選択信号(加速、減速、最大速度切り換え、最小速度切り換え)
加減算器76の制御信号。
【0101】
また、制御判定部74で、境界角度達成時の切り換え先との角度差Dmが生成される。
ステップS11では、切り換え時の角度差Cから補正方向が、進み方向であるか遅れ方向であるか判定し、進み方向であればステップS12に進み、遅れ方向であればステップS41に進む。
【0102】
ステップS12では、切り換え中の角度差Dと、加速境界角度、折返し角度および減速境界角度との比較、および角速度と最大角速度との比較を行う。加速境界角度に達していなければステップS13に進む。加速境界角度に達しているが、折返し角度に到達していればステップS21に進む。すでに最大角速度ωMAXを超えて一定の角速度になっていればS12に戻る。減速境界角度(反転境界限界角度差Dd)に達していれば、ステップS31に進む。
【0103】
ステップS13では、その時点の第2回転角速度ω2にΔωnを加えて(加速して)、切り換え中の算出角速度Sを生成する。
ステップS14では、切り換え中の算出角速度Sが最大値に達したかを判定し、達していればステップS15に進み、達していなければS12に戻る。
【0104】
ステップS15では、加速度境界角度に到達したと決定する。
ステップS16では、切り換え中の角度差Dを、加速度境界角度到達時の切り換え中の角度Dmとして決定する。
【0105】
ステップS17では、切り換え中の算出角速度Sを最大値(ωMAX)に切り換え、S12に戻る。
ステップS21では、切り換え中の算出角速度Sが最大値(ωMAX)に達しているか判定し、達していればS12に戻り、達しておらず加速中であればステップS22に進む。
【0106】
ステップS22では、減速境界角度差を、折返し角度と同じ位置に設定する。
ステップS23では、その時点の第2回転角速度ω2からΔωnを減じて(減速して)、切り換え中の算出角速度Sを生成し、S12に戻る。
【0107】
ステップS31では、切り換え中の算出角速度Sに対して減速処理に切り換える。
ステップS32では、その時点の第2回転角速度ω2からΔωnを減じて(減速して)、切り換え中の算出角速度Sを生成する。
【0108】
ステップS33では、切り換え中の算出角速度Sが第2
回転計測器の出力するω2に等しいか、切り換え中の角度差D=0であるか判定し、S=ω2またはD=0であればステップS34に進み、S≠ω2またはD≠0であればS12に戻る。
【0109】
一方、ステップS11で遅れ方向と判定された場合には、ステップS41に進む。
ステップS41では、切り換え中の角度差Dと、減速境界角度、折返し角度および加速境界角度との比較、および角速度と最小角速度との比較を行う。減速境界角度に達していなければステップS42に進む。減速境界角度に達しているが、折返し角度に到達していればステップS51に進む。すでに最小角速度ωMINを超えて一定の角速度になっていればS41に戻る。加速限界角度(反転境界角度差Dd)に達していれば、ステップS61に進む。
【0110】
ステップS42では、その時点の第2回転角速度ω2からΔωnを減じて(減速して)、切り換え中の算出角速度Sを生成する。
ステップS43では、切り換え中の算出角速度Sが最小値に達したかを判定し、達していればステップS44に進み、達していなければS41に戻る。
【0111】
ステップS44では、減速度境界角度に到達したと決定する。
ステップS45では、切り換え中の角度差Dを、減速度境界角度到達時の切り換え中の角度Dmとして決定する。
【0112】
ステップS46では、切り換え中の算出角速度Sを最小値(ωMIN)に切り換え、S41に戻る。
ステップS51では、切り換え中の算出角速度Sが最小値(ωMIN)に達しているか判定し、達していればS41に戻り、達しておらず減速中であればステップS52に進む。
【0113】
ステップS52では、加速境界角度差を、折返し角度と同じ位置に設定する。
ステップS53では、その時点の第2回転角速度ω2にΔωnを加えて(加速して)、切り換え中の算出角速度Sを生成し、S41に戻る。
【0114】
ステップS61では、切り換え中の算出角速度Sに対して加速処理に切り換える。
ステップS62では、その時点の第2回転角速度ω2にΔωnを加えて(加速して)、切り換え中の算出角速度Sを生成する。
【0115】
ステップS63では、切り換え中の算出角速度Sが第2
回転計測器の出力するω2に等しいか、切り換え中の角度差D=0であるか判定し、S=ω2またはD=0であればステップS64に進み、S≠ω2またはD≠0であればS41に戻る。
【0116】
以上説明した
図15および
図16のフローチャートで、R2がR1より進んでいる時で、加速状態の時にはS12、S13からS17を行い、高速状態ではS12から直接S12に戻り、減速状態ではS12、S31からS34を行う。R2がR1より遅れている時で、減速状態の時にはS41、S42からS46を行い、低速状態ではS41から直接S41に戻り、加速状態ではS41、S61からS64を行う。
【0117】
切り換え補間部は、ハードウエア回路で実現しても、コンピュータやDSPなどを利用したソフトウエア処理で実現してもよい。
【0118】
以上説明した実施形態の角度検出装置によれば、複数の回転計測器(レゾルバ)で同一回転軸の回転を計測し、一方に異常が発生した時には他方に切り換える冗長構成で、出力信号を利用する制御系への影響が小さい形で高速に切り換える。これにより、モータ制御系は、設計変更せずに、これまでの制御シーケンスがそのまま使用でき、高速回転し、回転速度が随時変化する回転体にも適用できる。
【0119】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものである。特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。