(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記臨時ルートを前記通常通行ルートに設定した後、前記要因特定処理により特定された前記臨時通行要因の内容に応じて異なる第3設定条件を設定する前記条件設定処理と、
前記条件設定処理により設定された前記第3設定条件に基づいて、前記臨時ルートに代えて前記基準ルートを前記通常通行ルートに設定する臨時変更解消処理と、
を実行する請求項1に記載のナビゲーションシステム。
前記要因特定処理では、前記基準ルート上における前記臨時ルートと共通でない部分の交通情報を取得し、当該交通情報に通行規制の情報が含まれている場合には、前記臨時通行要因を通行規制であると特定し、
前記条件設定処理では、前記臨時通行要因が通行規制である場合の前記判定閾値を、前記臨時通行要因が通行規制以外である場合の前記判定閾値よりも低く設定する請求項3に記載のナビゲーションシステム。
前記要因特定処理では、前記交通情報に通行規制の情報が含まれている場合には、当該通行規制が継続される期間である通行規制期間の情報も取得し、前記臨時通行要因を前記通行規制期間の通行規制であると特定し、
前記条件設定処理では、前記判定閾値を、前記通行規制期間の長さが長くなるのに応じて連続的又は段階的に低くなる値に設定する請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.ナビゲーションシステムの構成
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るナビゲーションシステム1は、車両に搭載されたナビゲーション装置等の車載端末装置2と、複数の車載端末装置2と通信可能に設けられた管理サーバ4とにより構成されている。このナビゲーションシステム1では、複数の車載端末装置2が、無線基地局(図示せず)を介して、インターネット等の通信網3に接続されている。車載端末装置2と無線基地局との間の無線通信は、例えば携帯電話網や無線LAN(Local Area Network)等を利用して行うことができる。また、管理サーバ4も、通信網3に接続されている。なお、ナビゲーションシステム1のナビゲーションプログラムは、車載端末装置2の記憶装置34や管理サーバ4の記憶装置50に記憶されている。また、ナビゲーションプログラムは、DVD−ROMやフラッシュメモリなどの記憶媒体に記憶されて配布されたり、ネットワークサーバから通信網3を介して車載端末装置2や管理サーバ4に配信されたりする。配布又は配信されたナビゲーションプログラムは、車載端末装置2の記憶装置34や管理サーバ4の記憶装置50に記憶される。
【0014】
本実施形態では、各車載端末装置2は、各車両が通行した道路の履歴と当該道路を通行した時刻の履歴とを含む通行履歴データTを生成し、当該通行履歴データTを、一種のプローブ情報として管理サーバ4に送信する。管理サーバ4は、複数の車載端末装置2から収集された当該複数の車載端末装置2のそれぞれの通行履歴データTの情報を用いて、各車載端末装置2のユーザ(以下、単にユーザとする)が頻繁に通行するルートである通常通行ルートをユーザ毎に設定する。本実施形態におけるユーザは、ナビゲーションシステム1による案内を受ける対象であり、車両に乗っているユーザの他に、自転車に乗っているユーザや徒歩のユーザ等も含む。そして、管理サーバ4は、ユーザを案内するルートである案内ルートが設定されていない場合に、当該ユーザ毎に設定した通常通行ルートに関する情報を、当該車載端末装置2に提供する。また、車載端末装置2の自位置情報取得部21、車載側演算部22、通行履歴データ生成部23、出力制御部24、通信制御部25、計時部26と、管理サーバ4の通信制御部41、通行履歴データ取得部42、サーバ側演算部43、通常通行ルート設定部44、交通情報取得部45、通常通行ルート変更要否判別部46、臨時通行要因特定部47、判定閾値設定部48とが、本発明の「演算処理部」に相当する。なお、以下では、説明を簡単にする為に、
図1に示すように、ユーザPの車載端末装置2の構成と管理サーバ4の構成とについて説明する。
【0015】
2.車載端末装置の構成
図1に示すように、車載端末装置2は、自位置情報取得部21、車載側演算部22、通行履歴データ生成部23、出力制御部24、通信制御部25、計時部26を備えている。これらの各機能部は、入力されたデータに対して種々の処理を行うための演算部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により構成されている。また、車載端末装置2は、位置情報検出装置31、表示入力装置32、音声出力装置35、通信インターフェース33に接続されている。これらは、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。なお、車載端末装置2は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置34、及びRAM(Random Access Memory)等の一時記憶装置等、汎用コンピュータと同様のハードウェア構成を含んで構成されている。
【0016】
自位置情報取得部21は、車載端末装置2が搭載されている車両の現在位置を示す自位置情報を取得する機能部である。本実施形態では、自位置情報取得部21は、位置情報検出装置31から定期的(例えば、1秒単位)に自位置情報を取得して、記憶装置34に記憶させる。また、自位置情報取得部21は、現在の年月日及び時刻を計時する計時部26から、当該自位置情報を取得した際の年月日及び時刻情報を取得し、併せて記憶装置34に記憶させる。自位置情報取得部21は、取得した自位置情報を車載側演算部22にも出力する。
【0017】
位置情報検出装置31は、車載端末装置2の現在位置、速度、及び加速度を検出する機能を有する。具体的には、位置情報検出装置31は、GPS(Global Positioning System)受信機や、距離センサ(速度センサ)や、加速度センサや、方位センサや、道路に沿って設置されたビーコンから発信される地点位置情報を含む電波や光を受信する受信機などの位置情報を検出するための各種装置を備えている。そして、位置情報検出装置31は、当該検出した自位置情報を自位置情報取得部21へ出力する。
【0018】
車載側演算部22は、各種のナビゲーション処理を実行する機能部である。本実施形態では、管理サーバ4側の演算部であるサーバ側演算部43(後述)が、各車載端末装置2の出発地から目的地までの経路探索、目的地までの案内経路の探索、及び提供する情報の決定等の各種のナビゲーション処理の主要な部分を実行する構成である為、車載端末装置2側の演算部である車載側演算部22は案内情報の出力等の補助的なナビゲーション処理を実行する。また、車載側演算部22は、地図画像や目的地入力画面等、ナビゲーション処理に必要な各種の画像を生成し、出力制御部24を介して表示入力装置32の表示画面(図示せず)に表示させ、或いは、経路案内等に必要な案内音声データを生成し、音声出力装置35を介して案内音声を出力させる等の処理を行う。出力制御部24は、表示入力装置32の表示画面への表示画像を描画制御すると共に、音声出力装置35を制御する機能部である。表示入力装置32は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置とタッチパネル等の入力装置とが一体となった装置である。音声出力装置35は、例えばスピーカ等により構成することができる。なお、本実施形態の表示入力装置32及び音声出力装置35が、本発明の「情報出力装置」に相当する。
【0019】
車載側演算部22は、自位置情報取得部21から自位置情報を取得した場合には、当該車載端末装置2の自位置を、表示入力装置32の表示画面に表示されている地図に重ねて表示させる。また、車載側演算部22は、表示入力装置32を介して目的地が入力されると、当該目的地が入力された時点の自位置情報を自位置情報取得部21から取得し、当該入力された目的地情報と併せて管理サーバ4へ送信する。そして、管理サーバ4にて探索された当該目的地までの経路案内情報等を取得すると、車載側演算部22は、出力制御部24を介して、表示入力装置32の表示画面上に経路案内情報を表示させ、更には、音声出力装置35により案内音声を出力させる。
【0020】
また、車載側演算部22は、案内ルートが設定されていない場合には、非案内時提供情報の取得を要求する非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する。ここで、非案内時提供情報とは、具体的には、管理サーバ4にてユーザ毎に設定された通常通行ルートに関する情報であって、当該通常通行ルートを構成する道路(リンク)に関する各種交通情報(例えば、渋滞情報や通行規制情報等)が含まれる。なお、通常通行ルートの詳細については後述する。本実施形態では、車載側演算部22は、位置情報検出装置31等により車両が走行開始(ユーザが移動開始)したことを検知したにもかかわらず案内ルートが設定されていない場合に、非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する。そして、車載側演算部22は、当該非案内時提供情報要求を受けて管理サーバ4から送信される非案内時提供情報を取得すると、当該非案内時提供情報を、出力制御部24を介して表示入力装置32の表示画面に表示させ、或いは、音声出力装置35を介して案内音声を出力することにより、ユーザに対する案内を行う。一方、案内ルートが設定された場合、或いは、既に非案内時提供情報を取得している場合には、非案内時提供情報要求の管理サーバ4への送信を中止し、通常のルート案内を行う。
【0021】
通行履歴データ生成部23は、ユーザが通行した道路の履歴と当該道路を通行した時刻の履歴とを含む通行履歴データTを生成する機能部である。本実施形態では、通行履歴データ生成部23は、記憶装置34に記憶されている自位置情報とそれに対応づけられた時刻情報とに基づいて、ユーザが通過したリンクの情報と当該リンクに進入した時刻の情報とを互いに対応づけて通行履歴データTを随時生成する(
図2参照)。そして、通行履歴データ生成部23は、当該生成した通行履歴データTを記憶装置34に随時格納する。
【0022】
通信制御部25は、管理サーバ4との間の情報の送受信を制御する機能部である。通信制御部25は、予め定められたタイミングで、記憶装置34に記憶された通行履歴データTを管理サーバ4へ送信する処理を行う。例えば、通信制御部25は、随時格納される通行履歴データTを、通信インターフェース33を介して、随時或いは一定間隔で管理サーバ4へ送信する。また、通信制御部25は、イグニッションキーがOFF状態となったことを検知すると、当該イグニッションキーがOFF状態となるまでの間(前回イグニッションキーがON状態となってからイグニッションキーがOFF状態となるまでの間の一走行)に生成された通行履歴データTを、管理サーバ4へ送信する構成であってもよい。なお、通信インターフェース33としては、専用の通信モジュールを用いても良いし、携帯電話端末等の汎用通信機器を利用しても良い。また、各車載端末装置2には、複数のユーザ(車載端末装置2)のそれぞれを識別するための識別情報(本例では、ユーザID)が付与されている。車載端末装置2(通信制御部25)が通行履歴データTや非案内時提供情報要求等を管理サーバ4へ送信する際には、ユーザIDの情報が併せて送信される。
【0023】
3.管理サーバの構成
図1に示すように、管理サーバ4は、通信制御部41、通行履歴データ取得部42、サーバ側演算部43、通常通行ルート設定部44、交通情報取得部45、通常通行ルート変更要否判別部46、臨時通行要因特定部47、判定閾値設定部48を備える。これらの各機能部は、入力されたデータに対して種々の処理を行うための演算部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により構成されている。また、管理サーバ4は、CPU等の演算処理装置、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置50、及びRAM等の一時記憶装置等、汎用コンピュータと同様のハードウェア構成を含んで構成されている。
【0024】
通信制御部41は、各車載端末装置2との間の情報の送受信を制御する機能部である。通信制御部41は、各車載端末装置2へ情報を送信する際には、各車載端末装置2のユーザIDに基づいて行う。なお、管理サーバ4は、図示しない通信インターフェースを介して、各車載端末装置2との間で情報の送受信を行う。
【0025】
通行履歴データ取得部42は、車載端末装置2から通行履歴データTを取得する機能部ブである。本実施形態では、通行履歴データ取得部42は、車載端末装置2(通信制御部25)から取得した通行履歴データTを、当該通行履歴データTに対応づけられているユーザIDに基づいて、記憶装置50の通行履歴データテーブルにユーザ毎に蓄積する。通行履歴データテーブルの一例を
図2に示す。
図2に示すように、通行履歴データテーブルでは、通行履歴データTに含まれるリンク通過時間の早い順に並んでいる。なお、
図2の例では、予め定められた期間内(直近1カ月以内)でかつ予め定められた時間帯(本例では午前8時から午前9時までの間)の通行履歴データTのみを抽出したものを表示している。
【0026】
サーバ側演算部43は、各車載端末装置2の出発地から目的地までの経路探索、目的地までの案内経路の探索、及び提供する情報の決定等の各種のナビゲーション処理の主要な部分を実行する機能部である。本実施形態では、サーバ側演算部43は、目的地情報及び自位置情報を車載端末装置2から取得すると、当該車載端末装置2の現在の自位置から目的地までの経路探索の処理を実行し、目的地までの経路案内情報を通信制御部41を介して当該車載端末装置2へ送信する。また、サーバ側演算部43は、ユーザ(車載端末装置2)からの非案内時提供情報要求に応じて、非案内時提供情報を通信制御部41を介して車載端末装置2へ送信する機能部でもある。具体的には、サーバ側演算部43は、非案内時提供情報要求を車載端末装置2から取得すると、通常通行ルート設定部44にその旨の情報を出力する。通常通行ルート設定部44は、後述するように、通常通行ルートを設定し、記憶装置50に記憶させる。そして、サーバ側演算部43は、記憶装置50に記憶された通常通行ルートの情報をユーザIDに基づいて読み出し、当該通常通行ルートを構成する道路に関する交通情報を、交通情報取得部45から取得する。そして、サーバ側演算部43は、当該取得した交通情報にユーザに通知すべき情報(例えば、渋滞や通行規制の情報)が含まれていれば、当該情報に基づいて非案内時提供情報を生成する。そして、サーバ側演算部43は、当該生成した非案内時提供情報を車載端末装置2へ送信する。なお、サーバ側演算部43は、非案内時提供情報だけでなく、通常通行ルート自体の情報、すなわち、通常通行ルートを構成するリンク情報を車載端末装置2に送信する構成であってもよい。
【0027】
通常通行ルート設定部44は、通常通行ルートを設定する機能部である。本実施形態では、通常通行ルート設定部44は、予め定められた第1設定条件を満たす基準ルートを通常通行ルートに設定する通常通行ルート設定処理を実行する。また、本実施形態の通常通行ルート設定部44は、通常通行ルート変更要否判別部46の判別結果に応じて、記憶装置50に記憶されている各ユーザIDの通常通行ルートを変更する処理も実行する。
【0028】
ここで、第1設定条件は、少なくともユーザの通行回数に基づいて設定される条件である。本実施形態では、第1設定条件は、「予め定められた期間(例えば、直近1カ月)内の予め定められた時間帯(例えば、午前8時から9時までの通勤時間帯)にユーザが通行した全ルートの中で、ユーザの通行回数が最大であること」である。通常通行ルート設定部44の具体的な処理について説明すると、通常通行ルート設定部44は、サーバ側演算部43から非案内時提供情報要求があった旨の情報を取得すると、通行履歴データテーブルから予め定められた期間(例えば直近1カ月)内の通行履歴データTを抽出する。通常通行ルート設定部44は、その中から、さらに、予め定められた時間帯(例えば、午前8時から9時まで)の通行履歴データTを抽出する。そして、通常通行ルート設定部44は、その中から、最も通行回数の多いルートを基準ルートとし、当該基準ルートを通常通行ルートに設定する。そして、通常通行ルート設定部44は、当該通常通行ルートに設定した基準ルートを構成するリンク情報(
図2の例ならルートAのLink001,002,012,013,024)を記憶装置50にユーザIDと対応づけて記憶させる。また、通常通行ルート設定部44は、通常通行ルートを車載端末装置2から非案内時提供情報要求を受ける毎に毎回設定する構成であってもよいし、所定の期間(例えば1週間や1カ月)経過毎に設定する構成であってもよい。
【0029】
図2及び
図3の例を用いて具体的に説明すると、
図3に示すように、出発地MがユーザPの自宅位置であり、目的地NがユーザPの勤務先の会社位置であり、これらを結ぶルートA(Link001,002,012,013,024)がユーザPの通勤ルートとなっている。そして、ユーザPは、平日の毎朝午前8時から9時までの間に当該ルートAを車で通行して通勤している。よって、通行履歴データテーブル内に蓄積されているユーザPの通行履歴データTは、
図2に示すように、2013/8/5〜2013/9/5の午前8時から9時までの間にユーザPが通行したルートはほとんどがルートAとなる。そして、通常通行ルート設定部44は、直近1カ月内の午前8時から9時までの間にユーザPが通行した全ルートのうち通行回数が最大となるルートAを、第1設定条件を満たす基準ルートであると特定し、当該ルートAを通常通行ルートに設定する。
【0030】
また、通常通行ルート設定部44は、通常通行ルート変更要否判別部46からの判別結果に基づき、基準ルート又は臨時ルート(後述)のいずれかを通常通行ルートに設定する。具体的には、通常通行ルート設定部44は、通常通行ルート変更要否判別部46から、通常通行ルートを基準ルートに代えて臨時ルートに変更する旨の判別結果を取得した場合には、臨時ルートを通常通行ルートに設定し、記憶装置50に記憶された通常通行ルート(通常通行ルートを構成するリンク情報)を変更する。一方、通常通行ルート設定部44は、通常通行ルート変更要否判別部46から、通常通行ルートを臨時ルートに変更しない旨の判別結果を取得した場合には、基準ルートを通常通行ルートに設定したままの状態で維持する。
【0031】
また、通常通行ルート設定部44は、通常通行ルート変更要否判別部46から、臨時ルートが通常通行ルートに設定された後に、当該通常通行ルートを臨時ルートに代えて基準ルートに変更する旨の判別結果を取得した場合には、基準ルートを通常通行ルートに再設定し、記憶装置50に記憶された通常通行ルートを変更する。一方、通常通行ルート設定部44は、通常通行ルート変更要否判別部46から、通常通行ルートを基準ルートに変更しない旨の判別結果を取得した場合には、臨時ルートを通常通行ルートに設定したままの状態で維持する。なお、記憶装置50には、過去に通常通行ルートに設定されたルート(基準ルートや臨時ルート)が蓄積される。
【0032】
そして、管理サーバ4(サーバ側演算部43)は、次回の非案内時提供情報要求をユーザ(車載端末装置2)から受けた時には、その時に記憶装置50に記憶されている通常通行ルート(臨時ルート又は基準ルート)に関する非案内時提供情報を、通信制御部41を介して車載端末装置2に送信する。なお、管理サーバ4は、記憶装置50の通常通行ルートを変更した場合に、その都度変更後の通常通行ルートに関する非案内時提供情報を、通信制御部41を介して車載端末装置2に送信する構成であってもよい。
【0033】
交通情報取得部45は、交通情報を取得する機能部である。本実施形態では、交通情報取得部45は、外部の道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター)等から交通情報を取得する。そして、交通情報取得部45は、当該取得した交通情報を、サーバ側演算部43及び臨時通行要因特定部47に出力する。
【0034】
通常通行ルート変更要否判別部46は、基準ルートと始点及び終点が共通であって当該基準ルートとは異なるルートである臨時ルートをユーザが通行した場合に、通常通行ルートを臨時ルートに変更するか否かを判別する機能部である。本実施形態では、通常通行ルート変更要否判別部46は、第2設定条件を満たす場合に、通常通行ルートを基準ルートに代えて臨時ルートに変更すると判別し、第2設定条件を満たさない場合に、通常通行ルートを臨時ルートに変更不要と判別する。具体的には、通常通行ルート変更要否判別部46は、記憶装置50の通行履歴データテーブルを監視し、第1設定条件の予め定められた各時間帯(
図2の例では、午前8時から9時)で、当該時間帯の基準ルート(
図2の例では、ルートA)と異なる臨時ルート(
図2の例では、ルートB)をユーザが通行したことを検知すると、臨時通行要因特定部47にその旨を出力する。そして、通常通行ルート変更要否判別部46は、臨時通行要因特定部47で特定された臨時通行要因に基づいて判定閾値設定部48により設定される判定閾値情報を記憶装置50から取得し、当該判定閾値情報を用いて第2設定条件を満たすか否かを判別し、当該判別結果を通常通行ルート設定部44に出力する。
【0035】
ここで、第2設定条件は、少なくともユーザの通行回数に基づいて設定される条件である。本実施形態では、第2設定条件は、「予め定められた期間(例えば、直近1週間)内にユーザが臨時ルートを通行した回数が、予め定められた判定閾値以上となること」である。当該判定閾値は、判定閾値設定部48により設定される。また、予め定められた期間(例えば、3日)を、判定閾値に対して同じ又はそれより少し多い日数に設定することにより、第2設定条件を、実質的に「ユーザの臨時ルートを連続して通行した回数(連続通行回数)が予め定められた判定閾値以上となること」としてもよい。例えば、予め定められた期間を3日、判定閾値を3(回)に設定した場合に、1日に1回そのルートを通行するユーザにとっては、第2設定条件は、実質的に連続通行回数が3回以上という条件と同様となる。また、第2設定条件として、「ユーザの臨時ルートの連続通行回数が予め定められた判定閾値(例えば、3回)以上であること」としてもよい。なお、第2設定条件の予め定められた期間は、第1設定条件の予め定められた期間よりも短くなるように設定することが好ましい。これによれば、通常通行ルート設定部44は、基準ルートを通常通行ルートに設定する際に比較的長期に亘るユーザの通行動向を見ることができる為、適切な通常通行ルートを設定することができる。一方、通常通行ルート変更要否判別部46は、通常通行ルートを臨時ルートに変更するか否かの判別を行う際に、より直近のユーザの通行動向を見ることができる為、通常通行ルートを臨時ルートに変更するか否かの判別を適切に行うことができる。
【0036】
また、通常通行ルート変更要否判別部46は、基準ルートに代えて臨時ルートが通常通行ルートに設定された後に、当該通常通行ルートを再度基準ルートに変更するか否かを判別する処理を行う。本実施形態では、第2設定条件を満たしたことにより臨時ルートが通常通行ルートに設定された後に、第3設定条件を満たす場合には、通常通行ルート変更要否判別部46は、通常通行ルートを当該臨時ルートに代えて基準ルートに変更すると判別する。また、第3設定条件を満たさない場合には、通常通行ルート変更要否判別部46は、通常通行ルートを基準ルートに変更不要と判別する。具体的には、通常通行ルート変更要否判別部46は、記憶装置50の通行履歴データテーブルを監視し、臨時ルートが通常通行ルートに設定された後で、ユーザが基準ルートを通行したことを検知すると、記憶装置50から第3設定条件の情報を取得する。そして、通常通行ルート変更要否判別部46は、第3設定条件を満たすか否かを判別して、当該判別結果を、通常通行ルート設定部44に出力する。
【0037】
ここで、第3設定条件は、予め設定される条件である。本実施形態では、第3設定条件は、第2設定条件と同様に設定されており、具体的には、「通常通行ルートが臨時ルートに設定された後で、予め定められた期間(例えば、直近1週間)内にユーザが基準ルートを通行した回数が、予め定められた判定閾値以上となること」である。ここで、第3設定条件の判定閾値は、第2設定条件の判定閾値と同一又はそれより小さい値に設定されると好適である。第3設定条件の判定閾値を第2設定条件の判定閾値よりも小さい値に設定した場合には、通常通行ルートを基準ルートから臨時ルートに変更するタイミングよりも、通常通行ルートを臨時ルートから基準ルートに変更するタイミングを早くすることができ、ユーザの感覚に合ったものとなり易い。
【0038】
上述のように、本実施形態では、本発明の第2設定条件に基づいて、基準ルートに代えて臨時ルートを通常通行ルートに設定する臨時変更処理と、第3設定条件に基づいて、臨時ルートに代えて基準ルートを通常通行ルートに設定する臨時変更解消処理とは、通常通行ルート変更要否判別部46と通常通行ルート設定部44とによって実行される。
【0039】
臨時通行要因特定部47は、ユーザが臨時ルートを通行した場合に、当該臨時ルートを通行した要因である臨時通行要因を特定する要因特定処理を実行する機能部である。本実施形態では、臨時通行要因特定部47は、当該要因特定処理において、基準ルート上における臨時ルートと共通でない部分(
図3の例では、ルートA上のLink002,012,013)の交通情報を取得し、当該交通情報に基づいて臨時通行要因を特定する。具体的には、臨時通行要因特定部47は、通常通行ルート変更要否判別部46からユーザが臨時ルートを通行した旨の情報を取得すると、基準ルート上における臨時ルートと共通でない部分の交通情報を交通情報取得部45から取得する。そして、臨時通行要因特定部47は、当該交通情報に通行規制の情報が含まれている場合には、当該通行規制を臨時通行要因であると特定する。その後、臨時通行要因特定部47は、当該特定した結果(臨時通行要因が通行規制である旨)を、判定閾値設定部48に出力する。なお、臨時通行要因特定部47は、当該特定した結果を、記憶装置50に記憶させる構成であってもよい。ここで、通行規制(交通規制)とは、交通事故や災害の発生等の危険がある場合に、その道路や一部の車線の通行が禁止されたり、通行速度や通行高さ等の制限が行われたりすることである。具体的には、異常気象に伴う異常気象時通行規制(積雪・凍結規制、超波規制、風速規制、視程規制等)、道路工事等に伴う工事時規制、イベントによる規制等がある。
【0040】
また、通行規制には、道路工事やイベント等による予め通行規制期間の決まっている通行規制と、異常気象時通行規制のように予め通行規制期間が決まっておらず異常気象(大雨、積雪、凍結、濃霧等)が解消次第解除される通行規制とがある。そこで、臨時通行要因特定部47は、当該交通情報に通行規制の情報が含まれている場合で、当該通行規制が継続される期間である通行規制期間が予め設定されている場合には、当該通行規制期間の情報も取得し、臨時通行要因を当該通行規制期間の通行規制であると特定する。具体的には、臨時通行要因特定部47は、道路工事等のように予め通行規制期間が決まっている場合には、当該通行規制期間の情報も交通情報取得部45を介して取得し、臨時通行要因を当該取得した通行規制期間の通行規制であると特定して、当該特定した結果(臨時通行要因が通行規制期間の通行規制である旨)及び通行規制期間の情報を判定閾値設定部48に出力する。なお、臨時通行要因特定部47は、当該特定した結果及び通行規制期間の情報を記憶装置50に記憶させてもよい。
【0041】
一方、臨時通行要因特定部47は、基準ルート上における臨時ルートと共通でない部分の交通情報に、通行規制の情報が含まれず、通行規制以外の通行障害となる情報(例えば、渋滞情報)が含まれている場合には、臨時通行要因はその通行障害であると特定し、当該特定した結果を判定閾値設定部48に出力する。なお、基準ルート上における臨時ルートと共通でない部分の交通情報に、通行規制の情報と、通行規制以外の通行障害の情報との双方が含まれている場合には、臨時通行要因特定部47は、臨時通行要因として通行規制を優先的に特定することが好ましい。例えば、基準ルート上における臨時ルートと共通でない部分が片側二車線の道路である場合に、基準ルート上における臨時ルートと共通でない部分の交通情報に、一車線規制の情報と渋滞情報との双方が含まれている場合には、渋滞は一車線規制により生じたものであると考えられる為、臨時通行要因特定部47は、臨時通行要因として通行規制(一車線規制)であると特定する。
【0042】
判定閾値設定部48は、臨時通行要因特定部47の要因特定処理により特定された臨時通行要因の内容に応じて異なる第2設定条件を設定する条件設定処理を実行する機能部である。また、判定閾値設定部48は、臨時ルートを通常通行ルートに設定した後、臨時通行要因特定部47の要因特定処理により特定された臨時通行要因の内容に応じて異なる第3設定条件を設定する条件設定処理も実行する。本実施形態では、判定閾値設定部48は、第2設定条件及び第3設定条件の判定閾値を、臨時通行要因特定部47により特定された臨時通行要因の内容に応じて異なるように設定する。そして、判定閾値設定部48は、当該設定した判定閾値の情報を記憶装置50に記憶させる。
【0043】
具体的には、判定閾値設定部48は、臨時通行要因が通行規制である場合の判定閾値を、臨時通行要因が通行規制以外の通行障害である場合(例えば、渋滞等)の判定閾値よりも低く設定する。本実施形態では、第2設定条件が、「予め定められた期間(例えば、直近1週間)内にユーザが臨時ルートを通行した回数が、予め定められた判定閾値以上である」と設定されている。よって、判定閾値設定部48は、臨時通行要因が通行規制以外の通行障害である場合の判定閾値を比較的高く(例えば、4回)設定し、臨時通行要因が通行規制である場合の判定閾値を当該臨時通行要因が通行障害である場合の判定閾値よりも低く(例えば、2回)設定する。
【0044】
また、判定閾値設定部48は、判定閾値を、通行規制期間の長さが長くなるのに応じて連続的又は段階的に低くなる値に設定する。具体的には、判定閾値設定部48は、臨時通行要因特定部47から臨時通行要因が、期間が定まっている通行規制である旨と当該通行規制期間の情報とを取得すると、通行規制期間が比較的長い場合(例えば、道路工事等により1か月間)には、第2設定条件の判定閾値を低く(例えば、1回)設定し、通行規制期間が比較的短い場合(例えば、祭り等のイベント等により2日間)の判定閾値を、通行規制期間が比較的長い場合の判定閾値よりも高く(例えば、2回)設定する。
【0045】
臨時ルートが通常通行ルートに設定される際及び臨時ルートが通常通行ルートに設定された後に基準ルートが通常通行ルートに再度設定される際の具体例を、
図4を用いて説明する。
図4の例では、臨時通行要因が集中工事による通行止めであり、当該通行止めの通行規制期間が4日間である。そして、第2設定条件は、「予め定められた期間(直近2日間)内にユーザが臨時ルートを通行した回数が、予め定められた判定閾値(1回)以上」という条件に設定されている。また、第3設定条件は第2設定条件と同様に、「予め定められた期間(直近2日間)内にユーザが基準ルートを通行した回数が、予め定められた判定閾値(1回)以上」という条件に設定されている。また、
図4では、横軸を時間として一日毎に欄が区切られており、上段の欄は実際にユーザが通行しているルートを示し、下段の欄は設定されている通常通行ルートを示している。なお、集中工事期間の開始前は、基準ルートであるルートAが通常通行ルートに設定されている。
【0046】
上述のように、集中工事期間の開始前は、通常通行ルートはルートAである。また、周中工事期間の開始前である為、ルートAは通行可能であり、ユーザはルートAを通行する(
図4の一番左側の欄を参照)。集中工事期間が開始すると、ルートAが通行止めとなる為、
図4の左から二番目の上段の欄に示すように、ユーザはルートBを通行する。この時、通常通行ルートはまだルートAのままである(
図4の左から二番目の下段の欄)。そして、ユーザがルートBを通行したことが判明した時点で、直近2日間内にユーザが臨時ルート(ルートB)を通行した回数が、予め定められた判定閾値1回以上の第2設定条件を満たす為、通常通行ルート変更要否判別部46は、通常通行ルートを基準ルートであるルートAから臨時ルートであるルートBに変更要と判別し、通常通行ルート設定部44によりルートBが通常通行ルートに設定される。よって、
図4の左から三番目の下段の欄に示すように、翌日から通常通行ルートはルートBに変更される。
【0047】
また、集中工事期間が終了した後はルートAが通行可能となるため、ユーザはルートAを通行するが、この時、通常通行ルートはまだルートBのままである(
図4の右側から二番目の欄を参照)。そして、ユーザがルートAを通行したことが判明した時点で、直近2日間内にユーザが基準ルート(ルートA)を通行した回数が、予め定められた判定閾値1回以上の第3設定条件を満たす為、通常通行ルート変更要否判別部46は、通常通行ルートを臨時ルートであるルートBから基準ルートであるルートAに変更要と判別し、通常通行ルート設定部44によりルートAが通常通行ルートに設定される。よって、
図4の一番右側の下段の例に示すように、翌日から通常通行ルートはルートAに変更される。
【0048】
4.動作処理の手順
次に、本実施形態に係る通常通行ルートの設定処理、臨時変更処理、及び臨時変更解消処理の動作手順について、
図5〜
図7を用いて説明する。まず、
図5を参照して、基準ルートを通常通行ルートに設定する処理の手順について説明する。なお、第1設定条件は、「予め定められた期間(例えば、直近1カ月)内の予め定められた時間帯(例えば、午前8時から9時までの通勤時間帯)にユーザが通行した全ルートの中で、ユーザの通行回数が最大であること」である。通常通行ルート設定部44は、車載端末装置2から非案内時提供情報要求を取得すると(ステップ#01:Yes)、第1設定条件に基づき、当該非案内時提供情報要求を受けたユーザの通行履歴データTのうち、予め定められた期間(例えば、直近1カ月)内の通行履歴データTを通行履歴データテーブルから抽出する(ステップ#02)。次に、通常通行ルート設定部44は、ステップ#02で抽出した通行履歴データTからさらに予め定められた時間帯(例えば、午前8時から9時)の通行履歴データTを抽出する(ステップ#03)。そして、通常通行ルート設定部44は、ステップ#03で抽出した通行履歴データTの中で、ユーザの通行回数が最大のルートを基準ルートとして特定する(ステップ#04)。通常通行ルート設定部44は、当該特定した基準ルートを通常通行ルートに設定して(ステップ#05)、当該通常通行ルートの設定処理を終了する。また、通常通行ルート設定部44は、車載端末装置2から非案内時提供情報要求を取得しない場合は、当該非案内時提供情報要求を取得するまで待機する(ステップ#01:No)。
【0049】
次に、ユーザが臨時ルートを通行した場合に、通常通行ルートを基準ルートに代えて臨時ルートに変更するか否かを判別し、変更すると判別した際には、臨時ルートを通常通行ルートに設定する臨時変更処理の手順について
図6を用いて説明する。なお、第2設定条件は、「予め定められた期間(例えば、直近1週間)内にユーザが臨時ルートを通行した回数が、予め定められた判定閾値以上となること」である。
図6に示すように、通常通行ルート変更要否判別部46が、基準ルートとは異なる臨時ルートをユーザが通行したことを検知した場合には(ステップ#11:Yes)、臨時通行要因特定部47が当該臨時ルートを通行した要因である臨時通行要因を特定する(ステップ#12)。なお、通常通行ルート変更要否判別部46が、ユーザが臨時ルートを通行したことを検知しない場合には(ステップ#11:No)、通常通行ルート変更要否判別部46は引き続きユーザが臨時ルートを通行しないかを検知する為に通行履歴データテーブルを監視する。次に、判定閾値設定部48が、ステップ#12で特定した臨時通行要因に応じて、第2設定条件の判定閾値を設定し(ステップ#13)、記憶装置50に記憶させる。そして、通常通行ルート要否判別部46は、第2設定条件に基づき、予め定められた期間(例えば、直近1週間)内の通行履歴データTを通行履歴データテーブルから抽出する(ステップ#14)。さらに、通常通行ルート要否判別部46は、ステップ#14で抽出した通行履歴データTから、ユーザが臨時ルートを通行した通行履歴データTを抽出する(ステップ#15)。そして、通常通行ルート要否判別部46は、記憶装置50からステップ#13で設定された判定閾値の情報を取得すると共に、ステップ#15で抽出した通行履歴データTから臨時ルートの通行回数を算出する。通常通行ルート要否判別部46は、当該判定閾値と臨時ルートの通行回数とを比較して、臨時ルートの通行回数が、当該判定閾値以上であれば(ステップ#16:Yes)、通常通行ルートを臨時ルートに変更すると判別する(ステップ#17)。そして、通常通行ルート設定部44が、臨時ルートを通常通行ルートに設定して記憶装置50に記憶させて(ステップ#18)、臨時変更処理を終了する。一方、ステップ#16で、臨時ルートの通行回数が判定閾値未満である場合には(ステップ#16:No)、通常通行ルート要否判別部46は、通常通行ルートを臨時ルートに変更しないと判別し(ステップ#19)、基準ルートを通常通行ルートとして維持して(ステップ#20)、当該臨時変更処理を終了する。
【0050】
次に、
図6のステップ#18において臨時ルートが通常通行ルートに設定された後で、ユーザが基準ルートを走行した場合に、当該基準ルートを再度通常通行ルートに設定するかを判別し、変更すると判別した際には、基準ルートを通常通行ルートに設定する臨時変更解消処理の手順について
図7を用いて説明する。なお、第3設定条件は、「予め定められた期間(例えば、直近1週間)内にユーザが基準ルートを通行した回数が、予め定められた判定閾値以上となること」である。
図7に示すように、臨時ルートが通常通行ルートに設定された後で(ステップ#21:Yes)、通常通行ルート変更要否判別部46が、基準ルートを通行したことを検知した場合には(ステップ#22:Yes)、通常通行ルート変更要否判別部46は、記憶装置50に記憶されている第3設定条件の判定閾値の情報を取得する(ステップ#23)。なお、通常通行ルート変更要否判別部46が、ユーザが基準ルートを通行したことを検知しない場合には(ステップ#22:No)、通常通行ルート変更要否判別部46は、引き続きユーザが基準ルートを通行しないかを検知する為に通行履歴データテーブルを監視する。そして、通常通行ルート要否判別部46は、第3設定条件に基づき、予め定められた期間(例えば、直近1週間)内の通行履歴データTを通行履歴データテーブルから抽出する(ステップ#24)。さらに、通常通行ルート要否判別部46は、ステップ#24で抽出した通行履歴データTから、ユーザが基準ルートを通行した通行履歴データTを抽出する(ステップ#25)。そして、通常通行ルート要否判別部46は、ステップ#25で抽出した通行履歴データTから基準ルートの通行回数を算出する。通常通行ルート要否判別部46は、ステップ#23で取得した判定閾値の情報と、当該基準ルートの通行回数とを比較して、基準ルートの通行回数が、当該判定閾値以上であれば(ステップ#26:Yes)、通常通行ルートを基準ルートに変更すると判別する(ステップ#27)。そして、通常通行ルート設定部44が、基準ルートを再度通常通行ルートに設定して記憶装置50に記憶させ(ステップ#28)、臨時変更解消処理を終了する。一方、ステップ#26で、基準ルートの通行回数が判定閾値未満である場合には(ステップ#26:No)、通常通行ルート要否判別部46は、通常通行ルートを基準ルートに変更しないと判別し(ステップ#29)、臨時ルートを通常通行ルートとして維持して(ステップ#30)、当該臨時変更解消処理を終了する。なお、ステップ#21で、臨時ルートが通常通行ルートに設定されていない場合には(ステップ#21:No)、臨時変更解消処理を終了する。
【0051】
5.本発明の実施形態の概要
以上で説明した本発明の実施形態におけるナビゲーションシステム1は、少なくとも以下の構成を備えている。すなわち、ナビゲーションシステム1は、ユーザに対して案内を行う案内ルートが設定されていない場合に、情報出力装置を用いて、設定された通常通行ルートに関する情報を提供する情報提供処理と、予め定められた第1設定条件を満たす基準ルートを前記通常通行ルートに設定する通常通行ルート設定処理と、前記基準ルートと始点及び終点が共通であって前記基準ルートとは異なるルートである臨時ルートを前記ユーザが通行した場合に、当該臨時ルートを通行した要因である臨時通行要因を特定する要因特定処理と、前記要因特定処理により特定された前記臨時通行要因の内容に応じて異なる第2設定条件を設定する条件設定処理と、前記条件設定処理により設定された前記第2設定条件に基づいて、前記基準ルートに代えて前記臨時ルートを前記通常通行ルートに設定する臨時変更処理と、を実行する演算処理部を備えている。
【0052】
このような構成により、基準ルートとは異なる臨時ルートをユーザが通行した場合に、その要因である臨時通行要因の内容に応じて適切な第2設定条件を設定することができる。よって、臨時通行要因の内容に応じて、設定された第2設定条件に基づいて臨時ルートを通常通行ルートに設定する臨時変更処理を行うことで、ユーザの意図に合った通常通行ルートを設定することが可能となる。そして、このように設定された通常通行ルートに関する情報を提供することにより、案内ルートが設定されていない場合であっても、ユーザにとって有益な情報を提供することが可能となる。
【0053】
また、本発明の実施形態におけるナビゲーションシステム1は、前記臨時ルートを前記通常通行ルートに設定した後、前記要因特定処理により特定された前記臨時通行要因の内容に応じて異なる第3設定条件を設定する条件設定処理と、前記条件設定処理により設定された前記第3設定条件に基づいて、前記臨時ルートに代えて前記基準ルートを前記通常通行ルートに設定する臨時変更解消処理と、を実行すると好適である。
【0054】
この構成によれば、臨時通行要因の内容に応じて、適切な第3設定条件を設定することにより、臨時ルートを通常通行ルートに設定した後、適切なタイミングで基準ルートを通常通行ルートに戻すことができる。その結果、通常通行ルートに関する情報をユーザに適切に提供することが可能となる。
【0055】
また、本発明の実施形態におけるナビゲーションシステム1では、前記第2設定条件は、予め定められた期間内に前記ユーザが前記臨時ルートを通行した回数が、予め定められた判定閾値以上であることであり、前記条件設定処理では、前記臨時通行要因の内容に応じて異なる前記判定閾値が設定されると好適である。
【0056】
この構成によれば、第2設定条件は、ユーザが臨時ルートを通行した回数に基づいて設定されている為、第2設定条件を満たすか否かを比較的容易に判別することができる。また、判定閾値を臨時通行要因の内容に応じて異ならせている為、通常通行ルートを、状況に応じて、基準ルート及び臨時ルートのいずれかに適切に設定することができる。その結果、通常通行ルートに関する情報をユーザに適切に提供することが可能となる。
【0057】
また、本発明の実施形態におけるナビゲーションシステム1は、前記要因特定処理では、前記基準ルート上における前記臨時ルートと共通でない部分の交通情報を取得し、当該交通情報に通行規制の情報が含まれている場合には、前記臨時通行要因を通行規制であると特定し、前記条件設定処理では、前記臨時通行要因が通行規制である場合の前記判定閾値を、前記臨時通行要因が通行規制以外である場合の前記判定閾値よりも低く設定すると好適である。
【0058】
臨時通行要因が通行規制である場合には、基準ルートを通行できない又は通行しにくいことにより臨時ルートを通行している可能性が高い。一方、臨時通行要因が通行規制以外の通行障害(例えば、渋滞等)である場合には、基準ルートも通行できるが、所要時間の短縮等の為にユーザの判断で臨時ルートを通行している可能性が高い。よって、臨時通行要因が通行規制である場合、特にその通行規制の期間が長期に亘る場合等には、今後も臨時ルートを通行する可能性が高く、早めに通常通行ルートを臨時ルートに設定することが好ましい。一方、臨時通行要因が渋滞等の通行規制以外の通行障害である場合には、基準ルートを通行したり臨時ルートを通行したりユーザの判断に応じて通行するルートが変動する可能性がある為、すぐに通常通行ルートを臨時ルートに設定することは好ましくない。上記構成によれば、臨時通行要因が通行規制である場合の判定閾値を、臨時通行要因が通行規制以外の通行障害である場合の判定閾値よりも低く設定することができる。よって、臨時通行要因が通行規制である場合には、比較的早く臨時ルートを通常通行ルートに設定し、臨時通行要因が通行規制以外の通行障害である場合には、臨時ルートを通常通行ルートに設定するまでの通行回数を多くすることができる。従って、状況に応じて適切に、基準ルート及び臨時ルートのいずれかを通常通行ルートに設定することができる為、通常通行ルートに関する情報をユーザに適切に提供することが可能となる。
【0059】
また、本発明の実施形態におけるナビゲーションシステム1は、前記要因特定処理では、前記交通情報に通行規制の情報が含まれている場合には、当該通行規制が継続される期間である通行規制期間の情報も取得し、前記臨時通行要因を前記通行規制期間の通行規制であると特定し、前記条件設定処理では、前記判定閾値を、前記通行規制期間の長さが長くなるのに応じて連続的又は段階的に低くなる値に設定すると好適である。
【0060】
一般的に、期間が予め定められた通行規制がある場合には、ユーザは当該通行規制期間全体に亘って臨時ルートを通行することとなる。そして、この通行規制期間が長い場合には、ユーザの臨時ルートを通行する期間もそれに応じて長くなる。よって、このような場合には、臨時ルートに関する情報を速やかにユーザに提供することが好ましい。一方、通行規制期間が短い(例えば、1日)場合等には、ユーザの臨時ルートを通行する期間も短く、通行規制期間が終了後にはユーザは基準ルートを通行する可能性が高い。よって、基準ルートに関する情報に代えて臨時ルートに関する情報を速やかにユーザに提供することは好ましくない場合がある。上記構成によれば、判定閾値を通行規制期間の長さが長くなるのに応じて連続的又は段階的に低くなる値に設定することができる。よって、通行規制期間の長さが長い場合には、比較的早く臨時ルートを通常通行ルートに設定、通行規制期間の長さが短い場合には、臨時ルートを通常通行ルートに設定するまでの通行回数を多くすることができる。従って、状況に応じて適切に、基準ルート及び臨時ルートのいずれかを通常通行ルートに設定することができる為、通常通行ルートに関する情報をユーザに適切に提供することが可能となる。
【0061】
6.その他の実施形態
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0062】
(1)上記の実施形態では、ナビゲーションシステム1は、車両に搭載された車載端末装置2と管理サーバ4とにより構成されている例を用いて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。ナビゲーションシステム1は、管理サーバ4と、当該管理サーバ4と通信が可能でかつユーザが持ち運び可能な端末装置とにより構成されていればよく、例えば、多機能携帯電話機や携帯型情報端末装置等と管理サーバ4とにより構成されていてもよい。
【0063】
(2)上記の実施形態では、車載側演算部22は、位置情報検出装置31等により車両が走行開始したことを検知したにもかかわらず案内ルートが設定されていない場合に、ユーザIDと紐づけて非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、車載側演算部22は、イグニッションキーがON状態となっており、かつ、案内ルートが設定されていない場合に、予め定められたタイミング(例えば、イグニッションキーがON状態となってから30秒経過時等)で、非案内時提供情報要求を管理サーバ4へ送信する構成であってもよい。
【0064】
(3)上記の実施形態では、通行履歴データ生成部23は、ユーザが通過したリンクの情報と当該リンクに進入した時刻の情報とを対応づけて通行履歴データTを生成する構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ユーザが通過したリンクの情報と当該リンクを退出した時刻の情報とを対応づけて通行履歴データTを生成してもよいし、ユーザが通過したリンクの情報を当該リンクの進入及び退出時刻の双方の情報に対応づけて生成してもよい。また、通行履歴データ生成部23は、車両が通行した道路の履歴として、リンク単位ではなく、複数のリンクから構成される所定の道路単位とすることができ、当該道路単位の情報と、当該道路単位を構成するリンクのうち端のリンクに進入した時刻の情報とを対応づけて通行履歴データTを生成する構成であってもよい。
【0065】
(4)上記の実施形態では、第1設定条件は、「予め定められた期間内の予め定められた時間帯にユーザが通行した全ルートのうち通行回数が最大であること」と設定した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、第1設定条件は、「予め定められた時間帯(例えば午前8時から9時)における、ユーザの直近の連続通行回数が予め定められた回数(例えば5回)以上であること」としてもよい。
【0066】
(5)上記の実施形態では、それぞれの時間帯毎に1つの通常通行ルートが設定されている例を用いて説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。出勤時間帯(午前8時から午前9時まで)と、帰宅時間帯(例えば、午後18時から午後19時まで)とで同じルートを反対方向に通行している場合には、第1設定条件の予め定められた時間帯をこれら2つの時間帯に設定し、これら2つの時間帯の通行履歴データTを合わせて基準ルートを判定し、通常通行ルートを設定する構成であってもよい。
【0067】
(6)上記の実施形態では、第3設定条件は、「通常通行ルートが臨時ルートに設定された後で、予め定められた期間(例えば、直近1週間)内にユーザが基準ルートを通行した回数が、予め定められた判定閾値以上である」と設定された例を用いて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第3設定条件は、ユーザの通行回数に基づいて設定されていなくてもよい。例えば、第3設定条件が、臨時通行要因が解消されてからの時間に基づいて設定されていてもよい。具体的には、第3設定条件を、「通常通行ルートが臨時ルートに設定された後で、当該臨時通行要因が解消された場合には、当該解消された時点からの時間(例えば、日数)が予め定められた判定閾値以上である」と設定することができる。例えば、臨時通行要因が工事等により長期間通行止めの場合には、早めに通常通行ルートを元の基準ルートに戻すことが好ましい為、判定閾値を例えば0日以上(臨時通行要因が解消したことを検知した直後)とし、臨時通行要因が渋滞等である場合には、判定閾値を例えば4日以上とすることができる。
【0068】
(7)上記の実施形態では、判定閾値設定部48は、臨時通行要因特定部47により臨時通行要因が、期間が予め定められた通行規制であると特定された場合には、判定閾値を、通行規制期間の長さが長くなるのに応じて連続的又は段階的に低くなる値に設定する例を用いて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、判定閾値設定部48は、臨時通行要因特定部47により臨時通行要因が通行規制であると特定された場合に、通行が規制される程度に応じて判定閾値を決定してもよい。具体的には、判定閾値設定部48は、臨時通行要因特定部47により臨時通行要因が通行規制と特定された場合であって、当該通行規制が通行止めで全く通行できない場合には判定閾値を低く設定し、通行規制が一車線規制等のように車線は減少されるが通行できる場合には、通行止めで全く通行できない場合に比べて判定閾値を高く設定することもできる。
【0069】
(8)上記の実施形態では、通常通行ルート設定部44、通常通行ルート変更要否判別部46、臨時通行要因特定部47、判定閾値設定部48、通行履歴データテーブルを管理サーバ4が有する構成を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。これらを各車載端末装置2が有していてもよい。また、上記の実施形態では、サーバ側演算部43が各車載端末装置2の経路探索処理等を実行しているが、車載端末装置2の車載側演算部22が経路探索処理等を実行していてもよい。
【0070】
(9)上記の実施形態では、ナビゲーションシステム1が管理サーバ4と各車載端末装置2とから構成されている例を用いて説明した。しかし、本発明の実施形態は、これに限定されない。例えば、上記の実施形態における管理サーバ4の機能部(サーバ側演算部43、通常通行ルート設定部44、交通情報取得部45、通常通行ルート変更要否判別部46、臨時通行要因特定部47、判定閾値設定部48)を各車載端末装置2が備え、ナビゲーションシステム1が車載端末装置2のみから構成されていてもよい。