(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
間隔をあけて対向する複数の板状部材と、前記複数の板状部材の少なくとも一端部側の間の空間を仕切り、一定のピッチで並ぶ複数の開口部と電線を収容可能な収容空間とを形成する介在部材と、を含む外装部材と、
端部に端子が圧着され、前記端子が前記複数の開口部からそれぞれ外部に露出する態様で前記収容空間に収容される複数の端子付電線と、
前記複数の端子付電線の前記端子がそれぞれ挿入される複数の端子収容室が形成されたコネクタハウジングと、
を備え、
前記介在部材によって仕切られた前記複数の開口部のピッチと、前記複数の端子収容室のピッチとのうち一方が他方の整数倍となるように形成され、
前記外装部材が装着されたまま車両に搭載されて、車両搭載時に前記外装部材が保護部材として機能する、電線モジュール。
(a)複数の端子付電線が、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電線モジュールの外装部材に形成された複数の開口部からそれぞれ端部が露出するように前記外装部材に収容されたものを準備する工程と、
(b)前記外装部材に収容された複数の前記端子付電線の端子を一度にコネクタハウジングの対応する端子収容室に挿入する工程と、
を備え、
前記外装部材における前記収容空間それぞれは、周囲が完全に囲まれている開閉不能な筒状部分の孔をなしており、
前記工程(a)は、前記孔に電線を通す工程を含む、端子収容室への端子挿入方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
{実施形態}
以下、実施形態に係る電線モジュール10について説明する。
図1は、実施形態に係る電線モジュール10を示す部分切欠き斜視図である。
図2は、
図1のII−II線に沿って切断した概略断面図である。
【0020】
実施形態に係る電線モジュール10は、複数の端子付電線12と、外装部材20と、コネクタハウジング40とを備える。実施形態に係る電線モジュール10は、複数の端子付電線12の端子16を、まとめてコネクタハウジング40の端子収容室46に挿入するための部材である。
【0021】
<端子付電線12>
複数の端子付電線12は、複数の電子機器を電気的に接続するための部材である。具体的には、端子付電線12は、絶縁電線14と、絶縁電線14の端部に圧着された端子16と、を備える。そして、コネクタハウジング40(ジャンクションボックス、リレーボックス等のコネクタハウジング部分を含む)に形成された端子収容室46に対して、端子付電線12の端子16部分が挿入されることにより接続される。
【0022】
絶縁電線14は、銅(銅合金を含む)又はアルミニウム(アルミニウム合金を含む)等で形成された芯線と、芯線を被覆する絶縁性樹脂で形成された絶縁被覆とで構成されている。
【0023】
端子16は、端子付電線12の端部において、絶縁被覆の端から延び出た芯線にかしめ圧着される芯線バレル部と、絶縁被覆の端部にかしめ圧着される被覆バレル部とを備えるものを用いることができる。また、端子16は、その先端部に、対応する相手側端子と電気的に接続される接点部を備える。相手側端子は、端子収容室46の奥部において、端子収容室46の内部に挿入された接点部の端部に接触する。相手側端子は、例えば車両内に搭載された各種機器や電装品などと絶縁電線14との間の電気接続を仲介する導電性部材である。
【0024】
<コネクタハウジング40>
コネクタハウジング40は、複数の端子付電線12の端子16がそれぞれ挿入される複数の端子収容室46が形成されている。
【0025】
具体的には、コネクタハウジング40は、例えば樹脂材を使用して成形される非導電性の部材である。コネクタハウジング40は、その外周部分を構成する枠体42と、枠体42の内側に配置され、複数の端子収容室46を形成する端子収容室形成体44とを備える。端子収容室形成体44は、枠体42内の空間を複数の端子収容室46に区分する隔壁をなしている。端子収容室形成体44と枠体42とは、一体的に成型されていてもよいし、別体とされてもよい。端子収容室46は、端子付電線12における端子16が挿入される端子収容室を構成している。
【0026】
ここでは、端子収容室46は、端子16が挿入される側の端部が逆側の端部よりも若干大きくなるように形成されている。これにより、端子16の先端部分が端子収容室46に入り易くなる。
【0027】
端子収容室46の内壁部には、端子付電線12の端子16部分を係止固定するための係止部(図示なし)が設けられる。この係止部に各端子収容室46に収容された端子付電線12における端子16の一部(例えば接点部の後端部)が引っ掛かることによって、端子付電線12の後抜けが抑制される。もちろん、その他の機構によって、端子付電線12の後抜けを抑制することも可能である。
【0028】
<外装部材20>
外装部材20は、複数の板状部材22と、少なくとも1つの介在部材24と、を含む。
【0029】
ここでは、板状部材22及び介在部材24は、樹脂により形成されている。もっとも、板状部材22及び介在部材24を形成する材質は、特に限定されない。板状部材22及び介在部材24は、紙によって形成されていてもよいし、樹脂によって形成されていてもよいし、また、これらの組み合わせによって構成されていてもよい。
【0030】
なお、板状部材22及び介在部材24が紙によって形成される場合であって、後述するように、そのまま端子付電線12に装着された状態で車両に配設される場合は、板状部材22及び介在部材24には、撥水処理等が施されることが好ましい。
【0031】
また、板状部材22と介在部材24とは、同じ材料で形成されていてもよいし、別の材料で形成されていてもよい。板状部材22と介在部材24とが同じ材料で形成される場合、例えば、後述する第4変形例に係る外装部材20Dのように押出成形で一体成型すると、外装部材20を容易に形成することができる。
【0032】
板状部材22は、薄板状に形成されている。複数の板状部材22は、間隔をあけて対向するように設けられている。具体的には、ここでは、一対の板状部材22がその主面同士が平行な状態で対向するように設けられている。
【0033】
介在部材24は、複数の板状部材22の少なくとも一端部側の間の空間を仕切るように設けられている。そして、介在部材24は、複数の板状部材22の間の空間に、一定のピッチで並ぶ複数の開口部28と電線を収容可能な収容空間29とを形成するように設けられている。そして、介在部材24によって仕切られた複数の開口部28のピッチと、複数の端子収容室46のピッチとのうち一方が他方の整数倍となるように形成されている。
【0034】
具体的には、ここでは、介在部材24は、凹凸形状を呈する板状に形成された部材である。かかる介在部材24が、一対の板状部材22に挟み込まれた状態で、当該板状部材22の内向き面に接合される。板状部材22と介在部材24との接合は、例えば、接着剤又は粘着剤等により行われる。これにより、介在部材24が呈する凹凸形状に応じた開口部28が一対の板状部材22の間に形成される。
【0035】
より具体的には、ここでは、介在部材24は、山部26と谷部27とが波状に連続する形状に形成されている。山部26の延在方向と谷部27の延在方向とは平行な位置関係にある。従って、介在部材24を平面視すると、複数の山部26と複数の谷部27とが交互に並列状に形成された構成とされている。山部26の頂部と谷部27の底部とは、湾曲していてもよいし、所定の角度をなして曲がっていてもよい。
【0036】
そして、介在部材24が一対の板状部材22の間に挟み込まれ、谷部27の底部の下面と下側の板状部材22の内向き面とが接合されるとともに、山部26の頂部の上面と上側の板状部材22の内向き面とが接合されている。これにより、一対の板状部材22の間の空間に両端に開口部28が複数形成されている。つまり、ここでは、介在部材24と板状部材22との内周面によって、板状部材22の一端側から他端側にかけて囲まれる空間が収容空間29となっており、この収容空間29の端部が開口部28となっている。そして、端子16が複数の開口部28からそれぞれ外部に露出する態様で複数の端子付電線12の絶縁電線14部分がそれぞれ収容空間29に収容されている。
【0037】
両端の開口部28とその間の収容空間29とは、両端が開口している1つの筒状部分の孔ともとらえることができる。このように、両端の開口部28を結ぶ収容空間29の周囲が完全に囲まれていると、それぞれの収容空間29に収容された端子付電線12同士が絡まることを抑えることができる。
【0038】
また、ここでは、端子付電線12が収容空間29内で、延在方向に沿って一定位置に固定されている。具体的には、ここでは、端子付電線12が収容空間29に収容された後、開口部28から接着剤50が流し込まれることによって、収容空間29のうち開口部28近傍で接着剤50により絶縁電線14部分が外装部材20に固定されている。これにより、端子収容室46へ端子16を挿入する際に、端子付電線12が、その延在方向に位置ずれしにくくなる。また、端子が端子付電線の軸周りに一定姿勢となるように保持される。
【0039】
もっとも、端子付電線12が収容空間29内で、延在方向に沿って一定位置に固定されていることは必須ではない。また、固定される場合であっても、接着剤50により固定されることは必須ではない。例えば、収容空間29が、その中間位置において、その大きさが小さくなり、端子付電線12の中間部分を挟持可能に形成されることで、摩擦力又は締め付け力によって端子付電線12と外装部材とが着脱可能に固定されていてもよい。
【0040】
さらにここでは、端子16が端子付電線12の軸周りに一定姿勢となるように外装部材20が端子付電線12を保持している。具体的には、上記接着剤50により、収容空間29のうち開口部28近傍で絶縁電線14部分が外装部材20に固定されることで、外装部材20に対する端子付電線12の軸方向の位置ずれと合わせて、軸周りの回転も抑制される。これにより、端子付電線12の端子16が軸周りに一定姿勢に保持される。より具体的には、ここでは、端子16は、端子付電線12の軸周りの端子16の向きが端子収容室46へ挿入する向きに一致している姿勢に保たれる。
【0041】
もっとも、端子16が端子付電線12の軸周りに一定姿勢となるように外装部材20が端子付電線12を保持していることは必須ではない。また、端子16が端子付電線12の軸周りに一定姿勢となるように外装部材20が端子付電線12を保持する場合であっても、保持の仕方は接着剤50でなくともよい。上述したように、収容空間29が、その中間位置において、その大きさが小さくなり、端子付電線12の中間部分を挟持可能に形成されることで、摩擦力又は締め付け力によって端子付電線12の端子16が外装部材に対して軸周りに回転せずに一定姿勢となるように保持されていてもよい。
【0042】
なお、ここでは、板状部材22の端部と介在部材24の端部とが揃うように形成されているが、どちらか一方が若干突出するように形成されていてもよい。例えば、板状部材22の端部を介在部材24の端部よりも若干突出させることで、複数の板状部材22間に端子16を挟み込むことができる。
【0043】
また、複数の開口部28すべてから端子付電線12が延出することは必須ではなく、コネクタハウジング40の端子収容室46の位置に応じた開口部28から選択的に端子付電線12が延出されていればよい。
【0044】
開口部28のピッチは、介在部材24の厚み及び山部26(又は谷部27)の間隔等によって決定される。この開口部28のピッチが、ここでは、コネクタハウジング40の端子収容室46のピッチと等しくなるように形成されている。これにより、開口部28から端子付電線12の端部を延出した状態で、端子16のピッチを端子収容室46のピッチに合わせることができる。
【0045】
自動車の配線部材には、複数種類のコネクタハウジングが用いられる。例えば、この複数種類のコネクタハウジング間で端子収容室のピッチを整数倍になるように設定するとともに、本外装部材20の開口部28のピッチを複数種類のコネクタハウジングのピッチのうち小さいものにすることで、1種類の外装部材20で複数種類のコネクタハウジングに対応させることができる。
【0046】
このような外装部材20の一製造例について説明しておく。
【0047】
介在部材24は、例えば、平板状の部材を、凹凸面を有するプレス型の間に挟み込むことで形成することができる。例えば、帯状をなす平板状の部材を所定の搬送路に沿って連続的に供給するとともに、当該搬送路に沿って一対のローラを配設する。この一対のローラの表面には、凹凸形状を形成しておく。そして、帯状をなす平板状の部材を所定の搬送路に沿って搬送しつつ、当該平板状の部材を一対のローラで連続的に挟み込んでいくことで、介在部材24を連続的に形成することができる。
【0048】
また、上記搬送路に沿って、一対のローラの下流側に、一対の帯状の板状部材22を連続的に供給して、当該一対の帯状の板状部材22の間に介在部材24を順次挟み込んで接着剤等で接合していく。これにより、外装部材20を連続的に製造することができる。
【0049】
<挿入方法>
次に、電線モジュール10を用いた端子収容室46への端子16の挿入方法について説明する。
図3〜
図5は、それぞれ、外装部材20に収容された端子付電線12の端子16をコネクタハウジング40の端子収容室46に挿入する一工程を説明する概略平面図である。
【0050】
まずは、
図3のように、複数の端子付電線12が、外装部材20に形成された複数の開口部28からそれぞれ端部が露出するように、外装部材20に収容されたものを準備する。
【0051】
ここでは、予め端子16が圧着された複数の端子付電線12を用意し、それを所定の開口部28から端部が露出するように外装部材20の収容空間29に収容していく。この際に、ここでは、端子16部分と、端子16部分に連なる絶縁電線14の一部が開口部28から外部に露出するように配設されている。この際に、複数の端子16の軸周りの挿入の向きを端子収容室46に挿入する向きに合わせておく(例えば、芯線バレル部のかしめ部分が上向きとなるようにする等)ことが好ましい。また、複数の端子16の軸方向の位置を端子収容室46に応じた位置に調整しておくことが好ましい。ここでは、すべて同じ端子16が、すべて同じ形状の端子収容室46に挿入されるため、すべての端子16の先端の位置が揃えられている。もちろん、端子16の種類及び端子収容室46の種類が異なる場合は、端子16の先端の位置が揃っていない場合もありうる。
【0052】
もっとも、予め端子16が圧着された複数の端子付電線12を収容することは必須ではなく、端子16が圧着されていない複数の絶縁電線14を収容したのち、当該絶縁電線14に端子16を圧着してもよい。
【0053】
また、端子16部分に連なる絶縁電線14の一部が開口部28から外部に露出することは、必須ではない。例えば、後述する第1変形例のように、端子16の後端部分が開口部28に挟み込まれており、端子16部分に連なる絶縁電線14が収容空間29に完全に収容されていてもよい。
【0054】
次に、外装部材20に収容された複数の端子付電線12の端子16を一度にコネクタハウジング40の対応する端子収容室46に挿入する。ここでは、端子16の挿入をガイド挿入と本挿入とに分けて、2段階で行う。
【0055】
<ガイド挿入>
本挿入の前に、まずはガイド挿入を行う。
図4のように、ガイド挿入は、コネクタハウジング40の外に位置する端子16の少なくとも先端部分を端子収容室46へと導き、挿入するものである。換言すると、ガイド挿入では、端子16を端子収容室46の奥まで挿入しない。
【0056】
具体的には、まず、端子16の中心軸と、当該端子16が挿入される端子収容室46の中心軸とが一致した状態になるように、端子付電線12が収容された外装部材20と、コネクタハウジング40との位置合わせを行う。
【0057】
そして、端子16の中心軸と、当該端子16が挿入される端子収容室46の中心軸とが一致した状態で、端子付電線12が収容された外装部材20と、コネクタハウジング40とを相対的に接近させていき、端子16を端子収容室46へ挿入していく。ここでは、コネクタハウジング40を静止させた状態で外装部材20をコネクタハウジング40に対して接近移動させる。
【0058】
この際に、ある程度挿入していくと、端子16の先端が、端子収容室46が狭くなる部分の内周縁部に接触する。これにより、挿入に係る負荷が大きくなる。このように負荷が大きくなった状態で、外装部材20とコネクタハウジング40との接近移動を停止し、外装部材20とコネクタハウジング40とを静止させる。ここまでを、ガイド挿入とする。
【0059】
<本挿入>
ガイド挿入が終わったら、次に本挿入を行う。
図5のように、本挿入は、ガイド挿入によって、対応する端子収容室46に少なくとも先端部分が挿入された端子16を所定の位置まで、深く挿し込むものである。
【0060】
具体的には、ここでは、外装部材20とコネクタハウジング40とを静止させた状態で、1つずつ端子16を端子収容室46の奥まで挿入する。以下、端子16を所定の数だけ端子収容室46の奥まで挿入することで、本挿入が終了する。
【0061】
この際に、外装部材20の両側端部に開口部28が形成され、両開口部28から端子付電線12の端子16が延出している場合、外装部材20を外さずにそのまま他方側端部の端子16の挿入を行うことができる。
【0062】
なお、外装部材20とコネクタハウジング40とを静止させた状態で、1つずつ端子16を端子収容室46の奥まで挿入することは必須ではない。本挿入においても複数の端子16をまとめて挿入してもよい。この場合、例えば、後述する第1変形例のようにガイド挿入の際に外装部材20とコネクタハウジング40との接近移動を停止させずに、そのまま続けて接近移動させて本挿入を行ってもよい。
【0063】
そして、ここでは、接着剤50により外装部材20と端子付電線12とが固定されているため、本挿入終了後も外装部材20がそのまま装着された状態で、端子収容室46への端子16の挿入が終了となる。そして、端子付電線12は、外装部材20を装着したまま車両に配設される。この場合、外装部材20は、端子付電線12の保護部材の役割を果たす。この際に、端子付電線12が収容されていない部分については、ガイド挿入前、ガイド挿入後であって本挿入前、又は、本挿入後のいずれかの段階で切断等により除去されていることが好ましい。これにより、外装部材20を軽量化することができる。
【0064】
なお、外装部材20と、端子付電線12とが固定されていない場合、又は、着脱可能に固定されている場合、本挿入の終了後に外装部材20が外されることで、端子収容室46への端子16挿入が終了としてもよい。もっとも、外装部材20は、ガイド挿入終了後であって本挿入が始まる前に外されてもよい。
【0065】
なお、ここでは、1つの外装部材20で1つのコネクタハウジング40に応じた端子付電線12が収容される態様で説明したが、1つの外装部材20で複数のコネクタハウジング40に応じた端子付電線12が収容される態様であってもよい。この場合、1回の挿入動作で複数のコネクタハウジング40へ端子16を挿入してもよいし、1回1回別の挿入動作で各コネクタハウジングに端子16を挿入していってもよい。
【0066】
<効果>
本実施形態に係る電線モジュール10によると、介在部材24によって仕切られた複数の開口部28のピッチと、複数の端子収容室46のピッチとのうち一方が他方の整数倍となるように形成されているため、外装部材20に収容された複数の端子付電線12の端子16を一度にまとめて対応する端子収容室46へとガイド挿入を行うことができる。
【0067】
また、端子付電線12が収容空間29内で、延在方向に沿って一定位置に固定されているため、端子収容室46に端子16を挿入する際に、端子16が端子付電線12の延在方向にずれることを抑えることができる。
【0068】
また、端子16が端子付電線12の軸周りに一定姿勢となるように外装部材20が端子付電線12を保持するため、端子16が端子付電線12の軸周りに回転することを抑制することができる。このため、端子16の一括挿入がより確実に実施可能となる。
【0069】
{変形例}
次に、実施形態に係る電線モジュール10の外装部材20の変形例について説明していく。なお、以下の各変形例の説明において、実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0070】
<第1変形例>
まずは、外装部材20Aの第1変形例について説明する。
図6は、外装部材20Aの第1変形例を示す概略平面図である。
図7は、外装部材20Aの第1変形例を示す概略正面図である。
【0071】
外装部材20Aの第1変形例は、開口部28Aの形状が、実施形態に係る電線モジュール10の外装部材20のものとは異なる。
【0072】
具体的には、開口部28Aにおいて、端子16の根元部分(被覆バレル部の部分)が外装部材20Aに嵌り込むように開口部28Aが形成されている。また、ここでは、端子16の根元部分が外装部材20Aに嵌り込む際に、外装部材20Aが弾性変形するように形成されている。
【0073】
このような外装部材20Aによると、端子収容室46へ端子16を挿入する際に、端子16が端子付電線12の幅方向に位置ずれすることを抑えることができる。また、端子16の根元部分が外装部材20Aに嵌り込んだ状態で、外装部材20Aが弾性変形していることにより、外装部材が端子16を締め付ける。これにより、端子付電線12の軸方向へのずれ及び軸周りの回転を抑えることができる。このため、複数の端子16の一括挿入をより確実に実施することができる。
【0074】
この際に、コネクタハウジング40Aにおいては、例えば、
図7のように、端子収容室46の端子挿入側の端部の内周縁部を構成する枠体42と端子収容室形成体44とに溝が設けられ、この溝に外装部材20が嵌り込む態様に形成されていると、ガイド挿入後の本挿入においても、外装部材20Aとコネクタハウジング40とを接近移動させることにより端子16をまとめて挿入することができる。
【0075】
<第2変形例>
次に、外装部材20Bの第2変形例について説明する。
図8は、外装部材20Bの第2変形例を示す概略断面図である。
図8は、
図2と同様の位置で切断された断面図である。
【0076】
外装部材20Bの第2変形例は、端子止部30が設けられている点で、実施形態に係る電線モジュール10の外装部材20とは異なる。端子止部30は、開口部28に設けられている。端子止部30は、端子16を端子収容室46に挿入した際に、端子収容室46の内周縁部に端子16が押された場合でも、端子16が開口部28から収容空間29の内部に入り込まないようにする部分である。
【0077】
具体的には、外装部材20Bの板状部材22及び介在部材24は、上記板状部材22及び介在部材24と同様に形成されている。そして、端子止部30は、ここでは、収容空間29のうち、開口部28から内側にかけての内周面に設けられている。
【0078】
より具体的には、端子止部30は、弾性材料で形成され、高さ方向に圧縮可能に形成されている。また、端子止部30は、開口部28から内側に向かってその高さが順次低くなるように形成されている。これにより、電線端部を開口部28から外部に露出させる際に、端子止部30が邪魔になることを抑えることができる。
【0079】
もっとも、端子止部30が弾性材料で形成され、高さ方向に圧縮可能に形成されていることは、必須ではなく、非弾性材料で形成されていてもよい。また、端子止部30が開口部28から内側に向かってその高さが順次低くなるように形成されていることも必須ではなく、例えば、開口部28の外向きの端部から内側に向かってその高さが順次高くなるように形成されていてもよい。
【0080】
このような外装部材20Bによると、端子16を端子収容室46に挿入した際に、端子収容室46の内周縁部に端子16が押された場合でも、端子16が開口部28から収容空間29の内部に入り込まないようにすることができる。
【0081】
またこの際に、上記第1変形例で詳述したようなコネクタハウジング40を採用すれば、端子16挿入の際に端子16に負荷が掛かっても、より確実に端子16を端子収容室46の奥まで挿入することができる。
【0082】
<第3変形例>
次に、外装部材20Cの第3変形例について説明する。
図9は、外装部材20Cの第3変形例を示す概略正面図である。
【0083】
外装部材20Cの第3変形例は、開口部28が複数段設けられている点で、実施形態に係る電線モジュール10の外装部材20とは異なる。
【0084】
具体的には、ここでは、3枚の板状部材22が平行状態で間隔をあけて設けられ、板状部材22の各間に介在部材24が設けられることによって、外装部材20の開口部28が2段になっている。
【0085】
このような外装部材20によると、コネクタハウジング40の端子収容室46が2段ある場合に、一度にまとめて端子16を挿入することができる。また、コネクタハウジング40の端子収容室46が3段以上ある場合は、コネクタハウジング40の端子収容室46の段数に応じた分だけ、板状部材22の数と介在部材24の数とを設けることにより、開口部28の段数をコネクタハウジング40の端子収容室46の段数に合わせることができる。これにより、コネクタハウジング40の端子収容室46が3段以上ある場合でも、一度にまとめて端子16を挿入することができる。
【0086】
<第4変形例>
次に、外装部材20Dの第4変形例について説明する。
図10は、外装部材20Dの第4変形例を示す部分切欠き斜視図である。
【0087】
外装部材20Dの第4変形例は、介在部材24Dの形状が実施形態に係る電線モジュール10の外装部材20のものとは異なる。
【0088】
具体的には、第4変形例に係る外装部材20の介在部材24Dは、細長い板状に形成されるとともに、一対の板状部材22に直交するように設けられている。そして、複数の介在部材24Dが相互間に間隔をあけた並列状態で設けられている。これにより、外装部材20Dは、はしご状断面を有する形状に形成されている。また、一対の板状部材22と各介在部材24Dとに挟まれる空間に長方形状の開口部28Dとそれに連なる収容空間29Dがそれぞれ形成されている。
【0089】
ここでは、外装部材20Dは、板状部材22と介在部材24Dとが樹脂材料により一体成型されている。このような、外装部材20Dは、例えば、上記はしご状断面に応じた押出孔から樹脂を押し出す押出成形装置によって、連続的に製造することができる。これにより、外装部材20Dを、容易に、低コストで製造することができる。
【0090】
なお、複数の板状部材22間に介在する介在部材24Dによって形成される開口部28Dの形状は、長方形に限られるものではない。例えば、介在部材24Dを板状部材22に直交する状態から若干傾けた状態とすることで、換言すると介在部材24Dと板状部材22との間の角度を90度以外の角度とすることで、開口部28Dの形状を三角形状、平行四辺形状又は台形状等にすることができる。また、介在部材24Dを、一方の板状部材22から他方の板状部材22に向かう途中で屈曲させることで、開口部28Dの形状を五角形以上の多角形にすることもできる。
【0091】
このような外装部材20Dによると、樹脂材料により一体成型されているため、外装部材20Dを、容易に、低コストで製造することができる。
【0092】
<第5変形例>
次に、外装部材20Eの第5変形例について説明する。
図11は、外装部材20Eの第5変形例を示す部分切欠き斜視図である。
【0093】
外装部材20Eの第5変形例は、第4変形例と同様に、介在部材24Eの形状が実施形態に係る電線モジュール10の外装部材20のものとは異なる。
【0094】
具体的には、介在部材24Eは、平面視において点在するように複数の突部25aが形成された構成とされている。ここでは、介在部材24Eを平面視した状態において、複数の突部25aが縦横に一定間隔で格子点状に並ぶように形成されている。突部25aは、介在部材24Eのうち平面状に延在する基板部25bより一方主面側に突出するように形成されており、筒の上端部が閉じられた形状を呈している。ここでは、突部25aは、上方に向けて徐々に狭まる形状、即ち、錐台形状に形成されている。突部25aは、円錐台形状に形成されていてもよいし、角錐台形状に形成されていてもよいし、角錐台の角を丸めた形状に形成されていてもよい。
【0095】
そして、介在部材24Eが複数の板状部材22の間に挟み込まれ、基板部25bの下面が下側の板状部材22に接合され、突部25aの頂部が上側の板状部材22に接合されている。
【0096】
このような外装部材20Eによっても、上記外装部材20と同様に、板状部材22の一端部側に複数の開口部28Eが並列状に形成される。
【0097】
また、このような外装部材20Eによると、複数の突部25aが格子点状に形成されているため、収容空間29Eの内部で端子付電線12を曲げた状態で収容することができる。また、外装部材20Eを軽量化することができる。
【0098】
また、ここでは、突部25aが、板状部材22の端部から若干内側に設けられている。これにより、板状部材22の端部において、一方の板状部材22と介在部材24Eの基板部25bとの間に端子16を挟み込むことができる。
【0099】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【0100】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。