特許第6107738号(P6107738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6107738
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】プレスフィット端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/58 20110101AFI20170327BHJP
【FI】
   H01R12/58
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-91561(P2014-91561)
(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公開番号】特開2015-210938(P2015-210938A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 佳織
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−004239(JP,A)
【文献】 特表2012−529731(JP,A)
【文献】 特開2008−192569(JP,A)
【文献】 特開昭58−025091(JP,A)
【文献】 米国特許第4944684(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に弾性変形が可能で回路基板のスルーホールに圧入される圧入部と、同圧入部の後方に延びて形成された脚部と、が設けられたプレスフィット端子であって、
前記脚部には、前記脚部の基端と前記スルーホールとが軸ズレした状態で、該基端に圧入方向の荷重を与えた場合に、前記圧入部が塑性変形するよりも低い当該圧入荷重で塑性変形する屈曲許容部が設けられており、
前記屈曲許容部は、前記脚部の所定箇所において全幅内に開口を設けることにより形成されていることを特徴とするプレスフィット端子。
【請求項2】
幅方向に弾性変形が可能で回路基板のスルーホールに圧入される圧入部と、同圧入部の後方に延びて形成された脚部と、が設けられたプレスフィット端子であって、
前記脚部には、前記脚部の基端と前記スルーホールとが軸ズレした状態で、該基端に圧入方向の荷重を与えた場合に、前記圧入部が塑性変形するよりも低い当該圧入荷重で塑性変形する屈曲許容部が設けられており、
前記屈曲許容部は、前記脚部の所定箇所において側縁に切り欠きを設けることにより形成されていることを特徴とするプレスフィット端子。
【請求項3】
幅方向に弾性変形が可能で回路基板のスルーホールに圧入される圧入部と、同圧入部の後方に延びて形成された脚部と、が設けられたプレスフィット端子であって、
前記脚部には、前記脚部の基端と前記スルーホールとが軸ズレした状態で、該基端に圧入方向の荷重を与えた場合に、前記圧入部が塑性変形するよりも低い当該圧入荷重で塑性変形する屈曲許容部が設けられており、
前記脚部は、基端側ほど幅広となる形状に形成されていることを特徴とするプレスフィット端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プレスフィット端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレスフィット端子として、例えば特開2010−123415号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。このプレスフィット端子1は、図10を参照すると、開口部4を挟んだ両側に一対の膨出した弾性接触部3が配された圧入部2と、同圧入部2の後方に延びて形成された脚部5とが設けられた構造であって、圧入部2が回路基板aのスルーホールbに圧入されるものである。より具体的には、脚部5の上端に設けられた肩部6に治具を宛って圧入部2とスルーホールbとを心合わせし、回路基板aを下降させることで一対の弾性接触部3を弾性変形させつつ圧入部2がスルーホールb内に圧入されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−123415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、プレスフィット端子1の配設条件によっては、治具の挿入ができない等に起因して、圧入部2とスルーホールbとが心ずれしたままで圧入部2の圧入動作が実施されることがある。その際、特に心ずれが大きいと、圧入部2がスルーホールb内に圧入されたときに、図10に示すように、弾性接触部3が逆向きに折れ曲がるように塑性変形し、結果、接触荷重が不足する事態を招くおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される技術は、幅方向に弾性変形が可能で回路基板のスルーホールに圧入される圧入部と、同圧入部の後方に延びて形成された脚部と、が設けられたプレスフィット端子であって、前記脚部には、前記圧入部の塑性変形開始荷重よりも小さい塑性変形開始荷重を有する屈曲許容部が設けられているところに特徴を有する。
【0006】
プレスフィット端子の圧入部とスルーホールの軸心同士がずれた状態で圧入動作が行われた場合、圧入部がスルーホールに斜めに押し込まれて塑性変形する前に、屈曲許容部が屈曲して圧入部を軸心に沿った真直姿勢に維持し、すなわち心ずれを吸収して正規の真直姿勢を維持してスルーホールへ圧入される。これにより圧入部は、スルーホールの内周面に対して正規の接触荷重を持って弾性接触することができる。また、サーマルショックに伴い、プレスフィット端子とスルーホールとの間で心ずれが生じた場合も、屈曲許容部が屈曲することで心ずれが吸収され、圧入部がスルーホール内に真直姿勢で圧入された状態に維持される。
【0007】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記屈曲許容部は、前記脚部における前記圧入部と接続された端部寄りの位置に設けられている。
心ずれを吸収するべく屈曲許容部が屈曲した場合に、その屈曲部分に応力が集中すると考えられるが、屈曲許容部が、脚部における圧入部との接続端側に設けられているから、屈曲許容部が脚部における反対の端部側に設けられたものと比較すると、屈曲量(角度)がより小さく留められ、応力の低減を図ることができる。
【0008】
(2)前記屈曲許容部は、前記脚部における長さ方向において間隔を開けた複数箇所に設けられている。
プレスフィット端子とスルーホールとの間の心ずれが、各屈曲許容部が屈曲することで吸収される。複数の屈曲許容部が屈曲することにより、個々の屈曲許容部での屈曲量(角度)がより小さく留められ、屈曲部分での応力の低減が図られる。
【0009】
(3)前記屈曲許容部は、前記脚部の所定箇所を幅狭形状とすることにより形成されている。
(4)前記屈曲許容部は、前記脚部の所定箇所において全幅内に開口を設けることにより形成されている。
(5)前記屈曲許容部は、前記脚部の所定箇所において側縁に切り欠きを設けることにより形成されている。
【0010】
(6)前記屈曲許容部では板厚が薄くされている。
サーマルショック等に起因して、プレスフィット端子とスルーホールとが、プレスフィット端子の板厚方向に心ずれした場合も、屈曲許容部が薄肉に形成されていることから、屈曲許容部において同方向の心ずれが吸収される。
【0011】
(7)前記脚部は、基端側ほど幅広となる形状に形成されている。
脚部の座屈荷重が大きく取られ、いわゆる脚部の踏ん張りが効くから、圧入部をスルーホールへ圧入する動作が正確にかつスムーズに行える。
【発明の効果】
【0012】
本明細書によって開示される技術によれば、プレスフィット端子の圧入部を正規の接触荷重を維持して回路基板のスルーホールに圧入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係るプレスフィット端子をスルーホールに圧入する動作を示す一部切欠正面図
図2】圧入完了時の一部切欠正面図
図3】プレスフィット端子とスルーホールとが心ずれしていた場合の圧入前の状態の一部切欠正面図
図4】その圧入完了時の一部切欠正面図
図5】実施形態2に係るプレスフィット端子の正面図
図6】同側面図
図7】実施形態3に係るプレスフィット端子の正面図
図8】実施形態4に係るプレスフィット端子の正面図
図9】実施形態5に係るプレスフィット端子の正面図
図10】従来例におけるプレスフィット端子が圧入された状態を示す一部切欠正面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図4に基づいて説明する。本実施形態では、ECU(Electronic Control Unit)のケースXにモールド成形により一体的に配設されたプレスフィット端子10を例示している。より詳細には、複数本のプレスフィット端子10が、ECUケースXの壁部を内外に貫通するようにして一列に並んで設けられ、各プレスフィット端子10の先端側が回路基板Aと接続可能にケースXの内部に向けて突出しているとともに、図示しない基端側にタブ部(雄端子)が形成されて、ケースXの外面側に形成されたコネクタ部に臨んで突出している。
【0015】
プレスフィット端子10は、導電性に優れた金属板をプレス加工することによって、図1に示すような形状に形成されている。プレスフィット端子10は全体としては、細長い角棒状をなす脚部11の先端(上端)に、回路基板Aと接続される圧入部15が設けられた形状であり、脚部11の基端がケースXの壁部内に埋設されて、同ケースXの内面(上面)から垂直姿勢で突出した形態で設けられている。脚部11は例えば、幅寸法が板厚寸法よりも大きい長方形断面に形成されている。なお上記のように、脚部11の下端にはタブ部が形成されて、同タブ部がコネクタ部内に臨んでいる。
【0016】
圧入部15は、開口部17を挟んだ両側に一対の略円弧状に膨出した弾性接触部16が配されたニードルアイ形状に形成され、幅方向(図1の左右方向)に弾性的に開閉可能となっている。圧入部15は、図2に示すように、回路基板AのスルーホールBに弾縮されて圧入され、復元力で拡開してスルーホールBの内周面に形成されたコンタクトに弾性接触するように機能する。圧入部15の先端は、誘い込み用に先細り形状に形成されている。
【0017】
さて、図1に示すように、脚部11の上端部(圧入部15の直下位置)には、所定長さ範囲に亘り、全幅の2/3程度の寸法にまで幅が狭くされた幅狭部20が形成されている。この幅狭部20は、脚部11の他の部位と比較して、同脚部11の表面(図1の手前側の面)に沿った方向(左右方向)へ屈曲変形しやすくなっており、本発明の「屈曲許容部」に相当する。以下、幅狭部20を屈曲許容部20という。
【0018】
ここで特に、屈曲許容部20の塑性変形開始荷重(塑性変形が開始される荷重)Paの方が、圧入部15の塑性変形開始荷重Pbよりも小さく設定されている。さらに、脚部11の塑性変形開始荷重Pcを含めた塑性変形開始荷重を比較すると、下記式(1)のようになる。
Pa<Pb<Pc ・・・ (1)
【0019】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
プレスフィット端子10は、図1に示すように、ECUケースXの内面から垂直に立ち上がった形態において所定の配列ピッチで並んで設けられ、整列されたプレスフィット端子10に向けて、同様の配列でスルーホールBが形成された回路基板Aが、同図の矢線に示すように、水平姿勢を維持して所定位置まで下降されることにより、プレスフィット端子10の先端の圧入部15が、対応するスルーホールBに圧入される。
【0020】
ここで、図1に示すように、プレスフィット端子10の圧入部15と、スルーホールBとの軸心同士が一致していれば、一部既述したように、圧入部15は、図2に示すように、左右の弾性接触部16が互いに接近するように弾縮しつつ、真直姿勢を維持してスルーホールBに圧入され、正規量圧入されたところで、両弾性接触部16が復元力で拡開してスルーホールBの内周面に形成されたコンタクトに弾性的に接触する。
【0021】
一方、プレスフィット端子10の配列ピッチの誤差や、スルーホールBの形成ピッチの誤差等に起因し、図3に示すように、プレスフィット端子10の圧入部15と、スルーホールBの軸心同士がずれている場合があり得る。このときは、圧入部15の先端が対応するスルーホールBに誘い込まれたのち、回路基板Aがさらに下降されると、図4に示すように、脚部11が弾性的に傾倒変形した上で、屈曲許容部20で屈曲変形(塑性変形)し、圧入部15が上方を向いた真直姿勢を維持しつつスルーホールB内に圧入される。これにより圧入部15は、上記と同様に両側からほぼ均等に弾性的に閉じられつつ圧入され、復元力で拡開してスルーホールBの内周面のコンタクトに弾性接触することになる。
【0022】
これは、脚部11の上端部に、脚部11はもちろんのこと圧入部15よりも小さい塑性変形開始荷重Paを有する屈曲許容部20を設けたことにより、圧入部15がスルーホールBに斜めに押し込まれて塑性変形する前に、屈曲許容部20が屈曲(塑性変形)して圧入部15を軸心に沿った真直姿勢に維持しながらスルーホールBへ圧入できるようにしたためである。
【0023】
また、図2図4)に示すように、プレスフィット端子10の圧入部15が回路基板AのスルーホールBに正規に圧入された状態において、サーマルショックが生じると、回路基板AとECUケースXとの熱膨張率の相違から、プレスフィット端子10とスルーホールBとの間で心ずれが生じるおそれがあるが、その場合も、屈曲許容部20が屈曲することで心ずれを吸収し、圧入部15がスルーホールB内に真直姿勢で圧入された状態に維持される。
【0024】
なお、上記のように熱膨張率の相違に起因した場合は、プレスフィット端子10とスルーホールBとが、プレスフィット端子10の板厚方向に心ずれする場合があり得るが、本実施形態の脚部11は、幅寸法と比べて板厚寸法が小さい長方形断面に形成されていて、屈曲許容部20において板厚方向への屈曲は元々しやすいと言えるから、板厚方向の心ずれがあった場合も、屈曲許容部20で心ずれを吸収することができる。
【0025】
以上のように本実施形態のプレスフィット端子10では、脚部11の上端部に圧入部15よりも小さい塑性変形開始荷重Paを有する屈曲許容部20を設けたから、仮にプレスフィット端子10の圧入部15とスルーホールBとが心ずれした状態で圧入動作が行われた場合、圧入部15がスルーホールBに斜めに押し込まれて塑性変形する前に、屈曲許容部20が屈曲して圧入部15を軸心に沿った真直姿勢に維持し、すなわち心ずれを吸収して正規の真直姿勢を維持してスルーホールBへ圧入される。これにより圧入部15は、スルーホールBの内周面のコンタクトに対して正規の接触荷重を保持して弾性接触することができる。
また、サーマルショックに伴い、プレスフィット端子10とスルーホールBとの間で心ずれが生じた場合も、屈曲許容部20が屈曲することで心ずれを吸収し、圧入部15がスルーホールB内に真直姿勢で圧入された状態に維持される。
【0026】
心ずれを吸収するべく屈曲許容部20が屈曲した場合に、その屈曲部分に応力が集中すると考えられるが、本実施形態では、屈曲許容部20が、脚部11の上端すなわち圧入部15の直下位置に設けられているから、例えば屈曲許容部が脚部11の基端(下端)側に設けられたものと比較すると、屈曲量(角度)がより小さく留められ、言い換えると屈曲後の角度がより鈍角に留められ、応力の低減を図ることができる。
【0027】
<実施形態2>
実施形態2を図5及び図6によって説明する。実施形態2のプレスフィット端子10Aは、上記実施形態1のプレスフィット端子10と比較すると、脚部11Aが、基端側に向けて次第に幅広となった角棒状に形成されているとともに、板厚が厚く(脚部11Aの上端部の幅と同程度の寸法)なっている。
そして、脚部11Aの上端部(圧入部15の直下位置)には、所定長さ範囲に亘り、幅が狭くされ、かつ板厚が薄くされることにより、屈曲許容部20Aが形成されている。同屈曲許容部20Aの塑性変形開始荷重は、圧入部15のそれよりも小さくなっている。
【0028】
本実施形態のプレスフィット端子10Aでは、脚部11Aが基端側に向けて次第に幅広となった角棒状であって、座屈荷重が大きく取られているから、いわゆる脚部11Aの踏ん張りが効いて、圧入部15のスルーホールBへの圧入が正確にかつスムーズに行える。
ここで、脚部11Aの上端部に圧入部15よりも小さい塑性変形開始荷重を有する屈曲許容部20Aを設けたから、プレスフィット端子10Aの圧入部15とスルーホールBとが心ずれした状態で圧入動作が行われた場合に、同じく屈曲許容部20Aが屈曲することで心ずれを吸収して、圧入部15が正規の真直姿勢に維持されてスルーホールBへ圧入される。
【0029】
サーマルショックに伴い、プレスフィット端子10AとスルーホールBとの間で心ずれが生じた場合も、屈曲許容部20Aが屈曲することで心ずれを吸収し、圧入部15がスルーホールB内に真直姿勢で圧入された状態に維持される。
プレスフィット端子10AとスルーホールBとが、プレスフィット端子10Aの板厚方向に心ずれした場合も、屈曲許容部20Aが薄肉に形成されていることから、屈曲許容部20Aにおいて同方向の心ずれが吸収される。
【0030】
<実施形態3>
図7は、実施形態3を示す。この実施形態3のプレスフィット端子10Bは、実施形態1に対して屈曲許容部20Bの形成構造に変更が加えられている。
実施形態3では、脚部11の上端部の所定長さ範囲における中央幅位置に、縦長の2個の長孔22が上下に並んで開口され、これにより圧入部15よりも小さい塑性変形開始荷重を有する屈曲許容部20Bが形成されている。実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0031】
<実施形態4>
図8は、実施形態4を示す。この実施形態4のプレスフィット端子10Cでは、同じく屈曲許容部20Cの形成構造に変更が加えられている。
すなわち実施形態4では、脚部11の上端部における両側縁に、略三角形状の切欠部24が形成されていることにより、圧入部15よりも小さい塑性変形開始荷重を有する屈曲許容部20Cが形成されている。実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0032】
なお、同図の鎖線に示すように、脚部11の一方の側縁に切欠部25を形成することによって、屈曲許容部20Dを形成するようにしてもよい。
もちろん、屈曲許容部20Cと屈曲許容部20Dとを併用してもよい。
【0033】
<実施形態5>
図9は、実施形態5を示す。この実施形態5のプレスフィット端子10Dでは、実施形態1に加えて、脚部11における略中央高さ位置にも、幅狭部からなる屈曲許容部20が形成されている。
実施形態5では、プレスフィット端子10DとスルーホールBとの間の心ずれが、両屈曲許容部20が屈曲することで吸収される。2箇所の屈曲許容部20が共に屈曲することにより、それぞれの屈曲量(角度)はさらに小さく留められ、屈曲部分での応力の低減が図られる。
【0034】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)脚部を幅狭形状とすることで屈曲許容部を形成した場合において、上記実施形態では幅狭部を中心幅位置に配した線対称形をなす場合を例示したが、幅狭部を一方の側縁に寄った位置に配した非対称形をなすものとしてもよい。
(2)脚部に対して単一の屈曲許容部を設ける場合、上記実施形態に例示した脚部の上端部に設けることに限らず、長さ方向における任意の位置に設けても良い。
【0035】
(3)実施形態3において屈曲許容部を形成するべく脚部に設けた開口は、長孔に限らず、任意の形状のものであってよく、また数も任意である。
(4)実施形態4において屈曲許容部を形成するべく脚部の側縁に設けた切り欠きは、三角形状に限らず、円の一部等、他の形状であってもよい。
(5)脚部に対して複数の屈曲許容部を設ける場合、各種形態の屈曲許容部を併用するようにしてもよい。
(6)脚部を基端側ほど幅広となる形状に形成することは、実施形態2に限らず、他の実施形態にも同様に適用可能である。
【0036】
(7)上記実施形態では、圧入部としてニードルアイ形状のものを例示したが、これに限らず、断面N形状や断面I形状のもの等、要は、幅方向に弾性変形が可能で回路基板のスルーホールに圧入される形態のものであれば、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
10,10A,10B,10C,10D…プレスフィット端子
11,11A…脚部
15…圧入部
16…弾性接触部
17…開口部
20,20A,20B,20C,20D…屈曲許容部
22…長孔(開口)
24,25…切欠部(切り欠き)
A…回路基板
B…スルーホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10