(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を詳細に説明する前に用語を定義する。シート、フィルムおよびテープは同義語である。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を含む。(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートを含む。モノマーはエチレン性不飽和二重結合含有単量体である。被着体は、粘着シートを貼り付ける相手方をいう。
【0012】
本発明の粘着剤は、酸性基含有モノマー(a1)6〜18質量%、および2−エチルヘキシルアクリレートを15〜94重量%を含むモノマー混合物の重合物であるアクリル系重合体(A)、キレート型硬化剤(B)および有機溶剤(C)(ただし、アルコール(D)は除く)、ならびにアルコール(D)およびケト−エノール互変異性体形成化合物(E)の少なくとも一方を含む、不揮発分濃度が55〜75質量%であること。
【0013】
本発明の粘着剤は、塗工することで粘着剤層を形成して、基材を備えた粘着シートに加工して使用することが好ましい。なお、本発明の粘着剤は、粘着シートだけでなく、いわゆる「糊」のようにそのままの液体で使用することを妨げるものではない。また、基材を使用せずに粘着剤層のみから構成された、いわゆるキャスト粘着シートとしても使用できる。
【0014】
本発明においてアクリル系重合体(A)は、モノマー混合物を溶液重合した重合物である。溶液重合は、公知の重合手法を使用できる。
【0015】
モノマー混合物は、酸性基含有モノマー(a1)6〜18質量%、および2−エチルヘキシルアクリレートを15〜94重量%を必須モノマーとし、これらのモノマー以外のモノマーを任意モノマーとして含む。
【0016】
酸性基含有モノマー(a1)は、アクリル系重合体(A)とキレート型硬化剤(B)との硬化反応の架橋に寄与し、この架橋により粘着剤層の凝集力が向上する。
酸性基含有モノマー(a1)は、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0017】
酸性基含有モノマー(a1)は、モノマー混合物100重量%中に6〜18重量%含むことが好ましく、8〜16重量%がより好ましく、10〜15重量%がさらに好ましい。酸性基含有モノマー(a1)を6重量%以上含むと良好な耐熱性が得られる。また、18重量%以下含むと良好な塗工性、および良好なポットライフが得られる。
【0018】
2−エチルヘキシルアクリレートは、ラジカル重合反応で比較的重合速度が低く、アクリル系重合体(A)の分子量分布を広げ易い。これにより、粘着剤の粘度を抑制できるため、粘着剤の不揮発分濃度を高く設定した場合、良好な塗工性が得られる。
【0019】
2−エチルヘキシルアクリレートは、モノマー混合物100重量%中に15〜94重量%含むことが好ましく、30〜90重量%がより好ましく、40〜80重量%がさらに好ましく、45〜60重量%が特に好ましい。
2−エチルヘキシルアクリレートを適量含むと耐熱性、および塗工性が向上する。
【0020】
本発明において任意モノマーは、2−エチルヘキシルアクリレート以外の(メタ)アクリレートモノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、芳香環含有モノマー、脂環式炭化水素基含有モノマー、ビニルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシエステル、水酸基含有モノマー等が好ましい。
【0021】
(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜2のアルキル鎖を有する(メタ)アクリレート(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート)、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸アルコキシエステルを含まない。
【0022】
アミド基含有モノマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N'−メチレンビスアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリル
アミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
【0023】
アミノ基含有モノマーは、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
エポキシ基含有モノマーは、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0025】
芳香環含有モノマーは、例えば、フェニルアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
【0026】
脂環式炭化水素基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。
【0027】
ビニルエステルは、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等が挙げられる。
【0028】
(メタ)アクリル酸アルコキシエステルは、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル等が挙げられる。
【0029】
水酸基含有モノマーは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。
任意モノマーの中でも水酸基含有モノマーを使用すると粘着剤層の凝集力が増し、耐熱性が向上するため好ましい。水酸基含有モノマーは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0030】
水酸基含有モノマーは、モノマー混合物100重量%中に0.05〜3重量%含むことが好ましく、0.1〜2重量%がより好ましく、0.2〜1.5重量%がさらに好ましい。
任意モノマーは、単独または2種類以上を併用できる。
【0031】
溶液重合にはラジカル重合可能な重合開始剤を使用する。重合開始剤は、アゾ化合物、過酸化物等が好ましい。アゾ化合物は、例えば2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。過酸化物は、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が好ましい。
重合開始剤は、単独または2種類以上併用できる。
【0032】
重合開始剤は、モノマー混合物100重量部に対して0.03〜1.5重量部用いることが好ましく、0.1〜1重量部がより好ましい。重合開始剤を適量使用すると重合平均分子量を調整し易くなり、粘着物性を調整できる。
溶液重合の温度は、適宜調整できるが一般的に70〜100℃程度である。
【0033】
溶液重合には、分子量や分子量分散度を調整するために連鎖移動剤を使用できる。連鎖移動剤は、60℃における酢酸ビニルに対する連鎖移動定数が250以上の化合物(以下、連鎖移動化合物ともいう)が好ましい。連鎖移動剤を使用すると高分子量かつ低粘度のアクリル系重合体が得易くなるため、粘着剤の塗工性がより向上する。なお、連鎖移動定数は、300以上がより好ましく、400以上がさらに好ましい。一方、連鎖移動定数の上限は、使用量を減らせば少量で分子量を調節できるため限定する必要は少ないが1000程度である。なお、上記分子量は、特に断りが無ければ重量平均分子量である。
【0034】
連鎖移動化合物は、ケトン、チオール、粘着付与樹脂等が好ましい。
ケトンは、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ヘキサノン、シクロヘキサノンメチルエチルケトン等が挙げられる。これらの中でもメチルエチルケトン(MEK)が好ましい。なお、60℃における酢酸ビニルに対する連鎖移動定数は、メチルエチルケトンが738、トルエンが208.9、アセトンが117、酢酸エチルが33である。これらの数値は、J.brandrup,E.H.Immergut編“Polymer Handbook”,p.II−91,Interscience(1975年)に基づく数値である。
【0035】
チオールは、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等が挙げられる。これらの中でもチオグリコール酸オクチルが好ましい。
【0036】
本発明で用いるアクリル系重合体(A)の重量平均分子量は、前記課題を解決できる範囲であれば任意に設定できるところ、30万〜90万が好ましく、40万〜80万がより好ましく、50万〜70万がさらに好ましい。重量平均分子量を適切な範囲に設定すると耐熱性、および塗工性を両立し易くなる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したポリスチレン換算の分子量である。
【0037】
また、アクリル系重合体(A)は、分子量分散度(分子量分布を意味する)が3〜12であることが好ましく、3〜10がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。分子量分散度を3〜12とすることでアクリル系重合体(A)の粘度が低下するため、塗工性、および耐熱性を両立し易くなる。なお、分子量分散度は、重量平均分子量を数平均分子量で除算した数値である。
【0038】
本発明の粘着剤は、上述のアクリル系重合体(A)、有機溶剤(C)の他にキレート型硬化剤(B)、アルコール(D)及び/又はケト−エノール互変異性体形成化合物(E)を含むことを特徴とする。アクリル系重合体(A)と反応するキレート型硬化剤(B)に対して、反応遅延効果のあるアルコール(D)や化合物(E)を添加することで、溶液中での硬化反応が起こらず良好なポットライフを維持でき、さらに乾燥時にアルコールや化合物(E)が揮発することで、塗工・乾燥後の粘着剤では硬化反応が進み、良好な耐熱性を発現する。
【0039】
本発明においてキレート型硬化剤(B)は、多価金属および配位子からなる化合物である。多価金属は、例えばニッケル、アルミニウム、クロム、鉄、チタン、亜鉛、コバルト、マンガン、ジルコニウム等が挙げられる。配位子は、例えばアセチルアセトン、アセト酢酸エステル等が挙げられる。
キレート型硬化剤(B)は、多価金属および配位子をそれぞれ任意に組み合わせた化合部を使用できるところ、多価金属にアルミニウム、配位子にアセチルアセトン、またはアセト酢酸エステルを組み合わせた化合物が好ましい。
キレート型硬化剤(B)は、単独または2種類以上を併用できる
【0040】
キレート型硬化剤(B)は、アクリル系重合体(A)100重量部に対して、0.1〜1.5重量部配合することが好ましく、0.2〜1.2重量部がより好ましく、0.3〜1.0重量部がさらに好ましい。キレート型硬化剤(B)をが0.1重量部以上配合すると凝集力および耐熱性がより向上する。また1.5重量部以下使用すると基材と粘着剤層との密着性がより向上する。
本発明の粘着剤は、さらに他の硬化剤を併用できる。他の硬化剤は、例えばイソシアネート硬化剤、エポキシ硬化剤またはアジリジン硬化剤等が好ましい。
【0041】
イソシアネート硬化剤は、ジイソシアネート、およびジイソシアネートを変性した3官能以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが好ましい。
ジイソシアネートは、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートが好ましい。
芳香族ジイソシアネートは、例えば1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4'−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートは、例えばブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートは、例えばシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4、4'−ジイソシアネート、1,3ービス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0042】
ポリイソシアネートは、ジイソシアネートを3官能ポリオール成分で変性したいわゆるアダクト体、ジイソシアネートが水と反応したビュレット体、ジイソシアネートの3分子から形成されるイソシアヌレート環を有する3量体(イソシアヌレート体)が好ましい。
ポリイソシアネートは、例えば、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体等が挙げられる。
【0043】
エポキシ硬化剤は、例えば1,3−ビス(N,N'−ジグリシジジルアミノメチル)シ
クロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
【0044】
アジリジン硬化剤は、例えばジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカー
ボキサミド)、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−(2−メチルアジリジン)フォスフィン、トリメチロールプロパントリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート等が挙げられる。
【0045】
他の硬化剤は、アクリル系重合体(A)100重量部に対して、0.05〜5.0重量部程度配合できる。
【0046】
有機溶剤(C)は、溶液重合の溶媒や、粘着剤の粘度を調整する希釈溶剤として用いる。有機溶剤(C)は、その他、塗工の際のレベリング性、および乾燥性、ならびに環境、および人体への影響などの観点で選択できる。有機溶剤(C)は、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、ケトン等が好ましい。なお、本発明の有機溶剤(C)にはアルコールは含まない。
【0047】
脂肪族炭化水素は、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられる。
脂環族炭化水素は、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン、α−ピネン、ターピノーレン、リモネン等の公知の化合物が挙げられる。
芳香族炭化水素は、例えばトルエン、キシレン、ベンゼン、ソルベントナフサ等が挙げられる。
【0048】
エステルは、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
【0049】
ケトンは、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0050】
これらの中でも、有機溶剤(C)は、乾燥性、溶解性、溶液重合の際の連鎖移動効果の面から酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンが好ましい。
【0051】
本発明の粘着剤は、アルコール(D)およびケト−エノール互変異性体形成化合物(E)の少なくとも一方を含む。これらの化合物を配合するとキレート型硬化剤(B)に作用して、粘着剤のポットライフを大幅に長くすることができる。
【0052】
アルコール(D)は、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、イソペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、イソノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ミリスチルアルコール、セチルアルコール、1−ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、およびオレイルアルコール等が挙げられる。これらの中でもメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノールは、乾燥時の揮発性、キレート型硬化剤との相溶性、ポットライフの面から好ましい。
【0053】
アルコール(D)は、粘着剤中に2〜40重量%含むことが好ましく、5〜30重量%がより好ましい。アルコール(D)を2重量%以上含むことでポットライフがより向上する。また、40重量%以下含むことで塗工性がより向上し、アクリル系重合体(A)の分子量の調整が容易になる。なお、アルコール(D)は、溶液重合の際に溶媒としても使用できる。
【0054】
ケト−エノール互変異性体形成化合物(E)は、ケト−エノール互変異性体を形成できる化合物であり、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エステル等が好ましい。
【0055】
アセト酢酸エステルは、例えばアセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル。アセト酢酸ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸tert−ブチル等が挙げられる。
【0056】
マロン酸エステルは、例えばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジブチル等が挙げられる。
これらの中でもケト−エノール互変異性体形成化合物(E)は、乾燥時の揮発し易さからアセチルアセトンが好ましい。
【0057】
ケト−エノール互変異性体形成化合物(E)は、粘着剤中に0.05〜5重量%含むことが好ましく、0.1〜3重量%がより好ましく、0.2〜2重量%がさらに好ましい。ケト−エノール互変異性体形成化合物(E)を0.05重量%以上含むとポットライフがより向上する。また、5重量%以下含むと粘着剤層の凝集力がより向上する。
【0058】
アルコール(D)およびケト−エノール互変異性体形成化合物(E)は、共にキレート型硬化剤(B)の反応を抑制するため、単独または併用できる。なお、併用する場合は、それぞれ単独で使用するよりも配合量を抑制できる。
【0059】
本発明の粘着剤は、さらにポリオレフィンを含むことができる。ポリオレフィンを含むことで、粘着剤は、凝集力がより向上し、ポリオレフィン製の低極性被着体に対する粘着力を向上できる。
【0060】
ポリオレフィンは、塩素化されているポリオレフィン(以下、塩素化ポリオレフィン)と、塩素化されていないポリオレフィン(以下、非塩素化ポリオレフィン)に分類される。塩素化ポリオレフィンとしては、例えば、塩素化ポリプロピレン、酸変性塩素化ポリプロピレン、アクリル変性塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン酢酸ビニルコポリマー等が挙げられる。これらの中でも、溶解性に優れポリオレフィン製被着体への粘着力が高いという点から塩素化ポリプロピレン、酸変性塩素化ポリプロピレン、アクリル変性塩素化ポリプロピレンが好ましく、塩素化ポリプロピレンがより好ましい。
【0061】
塩素化ポリオレフィンの塩素含有率は、ポリオレフィン製の低極性被着体に対する粘着力向上効果が高いという点から、20%以上〜45%以下が好ましく、28%以上〜45%以下がより好ましい。
また、非塩素化ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、αオレフィン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリブテン、マレイン化ポリブテン、ポリブタジエン及びその水素化物、ポリイソプレン及びその水素化物、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化ポリイソプレン、ポリブタジエンポリオール及びその水素化物、ポリイソプレンポリオール及びその水素化物、プロセスオイルや流動パラフィン等の潤滑油等が挙げられる。これらの中でも、溶解性に優れポリオレフィン製被着体への粘着力が高いという点からαオレフィン−ポリプロピレンコポリマー、ポリブテン、潤滑油が好ましい。潤滑油としては、パラフィン系潤滑油、ナフテン系潤滑油等が好ましい。
【0062】
本発明の粘着剤で用いられるポリオレフィンとして、粘着剤の透明性に優れるという観点から非塩素化ポリオレフィンであることが好ましく、中でもポリブテン、潤滑油であることが好ましい。
【0063】
ポリオレフィンの重量平均分子量は、アクリル系重合体(A)との相溶性を維持するため10万以下が好ましく、5万以下がより好ましい。なお、ポリオレフィンの重量平均分子量の下限は特に限定されないが、好ましくは200以上である。
【0064】
本発明の粘着剤は、さらに粘着付与樹脂を含むことができる。粘着付与樹脂は、溶液重合の際に使用する方法、アクリル系重合体(A)に配合する方法等任意の方法で使用できる。粘着付与樹脂は、溶液重合の際に使用すると連鎖移動剤として作用しアクリル系重合体(A)の分子量調整が容易になる。また、アクリル系重合体(A)に配合すると粘着力をより向上できる。
【0065】
粘着付与樹脂の軟化点は、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。また、軟化点の上限は、170℃が好ましく、160℃がより好ましく、155℃がさらに好ましい。粘着付与樹脂の軟化点が80〜170℃であることで粘着力と耐熱性を高いレベルで両立し易くなる。なお、軟化点は、JIS K5902に規定されている乾球法にしたがって測定した軟化温度である。
【0066】
粘着付与樹脂は、例えば、ロジン系樹脂、重合ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、重合ロジンエステル系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。これらの中でもアクリル系重合体との相溶性が良く粘着性能がより向上できる点から、ロジン系樹脂、重合ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂および重合ロジンエステル系樹脂が好ましく、ロジンエステル系樹脂および重合ロジンエステル系樹脂がより好ましい。
粘着付与樹脂は、単独または2種類以上併用できる。
【0067】
粘着付与樹脂は、アクリル系重合体(A)100重量部に対して10〜40重量部用いることが好ましく、15〜35重量部がより好ましい。粘着付与樹脂を10〜40重量部用いると粘着力と凝集力を高いレベルで両立できるため耐熱性が得やすい。
【0068】
本発明の粘着剤は、さらに任意成分として難燃助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、ワックス、乳剤、磁性体、誘電特性調整剤を含むことができる。
【0069】
本発明の粘着剤は、不揮発分濃度を52〜75重量%であり、55〜70重量%が好ましく、55〜65重量%がより好ましい。粘着剤の不揮発分濃度を高く設定することで、相対的に有機溶剤(C)の含有量を抑制できるため、塗工時の乾燥コスト抑制、ならびに環境および人体への負荷を抑制できる。
【0070】
また、本発明の粘着剤は、25℃における粘度を2000〜20000mPa・sにすることが好ましく、2000〜15000mPa・sがより好ましく、2000〜10000mPa・sがさらに好ましい。粘着剤の粘度を適切な範囲にすることで塗工性が向上し、表面が平滑な粘着剤層が得やすくなる。なお、粘度は、25℃雰囲気下、BL型粘度計を使用して、#3ローター、回転数12rpmで回転開始1分後に測定した粘度である。
【0071】
本発明の粘着シートは、基材、および粘着剤から形成してなる粘着剤層を備えていることが好ましい。
粘着剤層は、基材上に粘着剤を塗工して形成する方法。または、剥離シート上に粘着剤を塗工して形成した粘着剤層を基材に転写する方法が一般的である。なお、粘着剤層の基材と接しない面には剥離シートを貼り合わせて保管するのが通常である。
【0072】
基材は、紙、プラスチック、布が好ましい。また基材の形態は、シート状、板状、発泡体が好ましい。
基材の素材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、セロファン等のプラスチック、上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙等の紙、織布、不織布等の布、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のエラストマー、表皮等が挙げられる。
基材の厚さは、通常25〜10000μm程度である。
【0073】
粘着剤の塗工方法は、例えばスピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ロールナイフコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の塗工方法を使用できる。また塗工に際して、乾燥工程を行うことも好ましい。乾燥工程は、熱風オーブン、電気オーブン、赤外線ヒーター等の公知の装置を使用できる。
【0074】
粘着剤層の厚さは、コストと粘着性能のバランスを考慮すると通常20〜300μm程度であり、20〜100μm程度がより好ましい。
【0075】
本発明の粘着シートは、例えば車両の天板、床、内外装パネルの固定用、車両塗装や表面処理のマスキング用、出荷時の製品保護用、建築物の内外装部材固定用、コンクリートの養生保護用、家電製品の部材固定用、自動販売機の広告ステッカー用、LCDのスピーカーネット、ベゼル、化粧板の固定用、包装用、結束用、仮固定用等、様々な用途に使用できる。
【実施例】
【0076】
以下に、実施例をもって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例で「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」を意味する。
【0077】
「実施例1」
攪拌器、温度計、滴下管、還流冷却器を備えた重合装置を用い、ブチルアクリレート66部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、メチルアクリレート5.0部、メチルメタクリレート3.0部、アクリル酸6.0部、メチルエチルケトン5部、酢酸エチル65部、ベンゾイルパーオキシド0.1部を配合した原料混合物の半分を窒素雰囲気下、反応槽に仕込んだ。別途、滴下層に原料混合物の残りの半分を仕込んだ。次いで反応槽の加熱を開始した。重合反応開始を確認した後、滴下管から原料混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに還流下で7時間溶液重合を継続した。反応終了後、冷却し、不揮発分58.8%のアクリル系重合体溶液を得た。得られたアクリル系重合体溶液は、重量平均分子量100万、分子量分散度3.8であった。さらにアクリル系重合体溶液の不揮発分100部に対して粘着付与樹脂(荒川化学社製ペンセルD−125)20.0部、希釈溶剤としてイソプロピルアルコール5.0部、酢酸エチル10.0部、ケトーエノール互変異性体形成化合物としてアセチルアセトン0.5部、キレート型硬化剤としてアルミニウムトリスアセチルアセトナート0.4部を加え、充分攪拌後、粘着剤を得た。この粘着剤の不揮発分は58.5%、粘度は22000mPa・sであった。
【0078】
「実施例2〜18」
実施例1の原料および配合量を表1および表2に示す通りに変更した以外は実施例1と同様に行うことでそれぞれ実施例2〜18の粘着剤を得た。
【0079】
「比較例1」
攪拌器、温度計、滴下管、還流冷却器を備えた重合装置を用い、ブチルアクリレート45部、2−エチルヘキシルアクリレート10部、イソブチルアクリレート10部、エチルアクリレート10部、アクリル酸25部、メチルエチルケトン20部、酢酸エチル80部、ベンゾイルパーオキシド0.1部を配合した原料混合物の半分を窒素雰囲気下、反応槽に仕込んだ。別途、滴下層に原料混合物の残りの半分を仕込んだ。そして反応槽の加熱を開始した。重合反応開始を確認した後、滴下管から原料混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに還流下で7時間溶液重合を継続した。反応終了後、冷却し、不揮発分50%のアクリル系重合体溶液を得た。得られたアクリル系重合体溶液は、重量平均分子量88万、分子量分散度9.5であった。アクリル系重合体溶液の不揮発分100部に対して粘着付与樹脂(ペンセルD−125)20.0部、希釈溶剤としてメタノール20部、メチルエチルケトン20部、ケトーエノール互変異性体形成化合物としてアセチルアセトン0.5部、キレート型硬化剤としてアルミニウムトリスアセチルアセトナート0.4部を加え、充分攪拌後、粘着剤を得た。この粘着剤の不揮発分は46.1%、粘度は8000mPa・sであった。
【0080】
「比較例2〜6」
比較例1の原料および配合量を表2に示す通りに変更した以外は比較例1と同様に行うことでそれぞれ比較例2〜6の粘着剤を得た。
【0081】
<不揮発分>
不揮発分は、電気オーブンで150℃―20分後の乾燥前後の重量比から求めた。
【0082】
<粘度>
粘度は、25℃において、BL型粘度計により#3ローターを用いて12rpmで回転開始1分後に測定した値である。
【0083】
<重量平均分子量>
重量平均分子量(Mw)は、GPCを使用して以下の条件で求めた。
GPC装置:SHIMADZU Prominence 型番LC−20AD(島津製作所社製)
カラム:TOSOH TSK−GEL α−M 7.8*300(東ソー社製)を2本使用
溶媒:10mM LiBr(臭化リチウム)ジメチルホルムアミド 溶液
流速:0.5ml/min
温度:40℃
試料濃度:0.2wt%
試料注入量:100μl
検出器:Refractive Index (波長254nm)、型番RID−10A
【0084】
<ポットライフ>
得られた粘着剤を50℃で1カ月保管した後、粘度を測定し粘度上昇率を計算した。
粘度上昇率(%)=(50℃−1カ月後の粘度/配合直後の粘度)×100
◎:粘度上昇率10%未満。優秀
〇:粘度上昇率10%以上、20%未満。良好
△:粘度上昇率20%以上、30%未満。実用可。
×:粘度上昇率30%以上。実用不可。
<塗工性>
得られた粘着剤を、コンマコーターを使用して塗工速度30m/min、乾燥厚さが50μmになるように塗工して形成した粘着剤層の表面を目視観察して塗工性を評価した。評価基準は下記の通りである。
○:表面が平滑な塗工面が得られた。良好。
△:塗工面が平滑ではないが。実用可。
×:塗工面にロールスジやハジキが発生した。実用不可。
【0085】
[粘着シートの作成]
得られた粘着剤を市販の剥離シートにコンマコーターを使用して乾燥厚みが50μmになるよう塗工し、電気オーブンで100℃−2分間乾燥し、溶剤を除去した後に、粘着剤層に厚さ50μmのポリエスチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼り合わせて粘着シートを得た。これを23℃−50%RH雰囲気の恒温恒湿室にて、7日間養生し硬化を完了させた上で、以下に示す物性を評価した。
【0086】
<粘着力>
得られた粘着シートを幅25mm・長さ100mmの大きさに切り取り試料とした。次いで23℃−50%RH雰囲気下、JIS Z 0237に準拠して、試料から剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を研磨したステンレス(SUS)板に貼着し、2kgロールで1往復圧着した後、引張試験機を使用して貼着24時間後に剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で粘着力(N/25mm)を測定した。同様にポリプロピレン板に対して粘着力を測定した。
「対SUS板」
○:粘着力が20N/25mm以上。良好
△:粘着力が15N/25mm以上、20N/25mm未満。実用可。
×:15N/25mm未満。実用不可。
「対PP板」
◎:粘着力が10N/25mm以上。優秀。
○:粘着力が5N/25mm以上、10N/25mm未満。良好
△:粘着力が3N/25mm以上、5N/25mm未満。実用可。
×:3N/25mm未満。実用不可。
【0087】
<保持力>
得られた粘着シートを幅25mm・長さ100mmの大きさに切り取り試料とした。次いで23℃−50%RH雰囲気下、JIS Z 0237に準拠して、試料から剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層の先端部幅25mm・長さ25mm部分を研磨したステンレス(SUS)板に貼着し、2kgロールで1往復圧着した後、80℃雰囲気で1kgの荷重をかけ、7万秒保持した。評価は、SUS板から試料が落下した場合はその秒数を示す。試料が落下しなかった場合は、粘着剤層とSUS板の接着先端部が、荷重により下にずれたmm数を示す。評価基準を以下に示す。
◎:試料のずれが2mm未満 優れている
○:試料のずれが2mm以上5mm未満 良好
△:試料のずれが5mm以上で落下しなかった 実用上問題なし
×:試料が落下した 実用不可
【0088】
<投錨性>
粘着剤層と発泡体基材の密着性を投錨性として評価した。得られた粘着シートを幅25mm・長さ100mmの大きさに切り取り試料とした。次いで23℃−50%RH雰囲気下、両面テープでSUS板に裏打ちした発泡体シート(幅30mm・長さ130mm・厚み10mm、イノアック社製ECS)に対して貼着し、2kgロールで1往復圧着した後、引張試験機を使用して貼着24時間後に剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で粘着力(N/25mm)を測定した。
◎:粘着力が5N/25mm以上。優秀。基材が破断。
○:粘着力が2N/25mm以上、5N/25mm未満。基材の破断を伴う。良好
△:粘着力が1N/25mm以上、2N/25mm未満。実用可。
×:1N/25mm未満。実用不可。
【0089】
<透明性>
得られた粘着シートの粘着剤層の透明性を目視で評価した。評価基準を以下に示す。
〇:無色透明である。良好。
△:わずかな白化、着色がある。実用可。
×:ひどい白化、凝集物がある。実用不可。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
表1、表2中の略号の意味は以下のとおりである。
BA:ブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
IBA:イソブチルアクリレート
IBMA:イソブチルメタクリレート
MA:メチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
EA:エチルアクリレート
Vac:酢酸ビニル
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
MEK:メチルエチルケトン
IPA:イソプロピルアルコール
ペンセル D−125:荒川化学社製 ロジンエステル系粘着付与樹脂
ペンセル AZ:荒川化学社製 ロジンエステル系粘着付与樹脂
スーパーエステル S−100:荒川化学社製 ロジンエステル系粘着付与樹脂
ウルトラセン725:東ソー社製 エチレン−酢酸ビニルコポリマー
スーパークロン930:日本製紙社製 塩素化ポリプロピレン 重量平均分子量 約7万、塩素含有率 21%
スーパークロン390:日本製紙社製 塩素化ポリプロピレン 重量平均分子量 約2万、塩素含有率 36%
スーパークロン370M:日本製紙社製 塩素化ポリプロピレン 重量平均分子量 約1万、塩素含有率 30%
スーパークロン814B:日本製紙社製 塩素化ポリプロピレン 重量平均分子量 約1.5万、塩素含有率 41%
PB300:DAELIM社製 液状ポリブテン 重量平均分子量 約300
スーパーオイルM32:JXエネルギー株式会社製 パラフィン系潤滑油 重量平均分子量 約400
ダイアナプロセスオイルNP−24:出光興産株式会社製 ナフテン系潤滑油 重量平均分子量 約300
アルミキレートA:川研ファインケム社製 アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)
TDI−TMP溶液:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(不揮発分37.5%)
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
表3および表4の結果から実施例1〜18の粘着剤は、いずれも良好なポットライフを持ち、密着性と耐熱性が優れている。なお耐熱性は、保持力の結果から判定した。
【解決手段】酸性基含有モノマー(a1)6〜18質量%、および2−エチルヘキシルアクリレートを15〜94重量%を含むモノマー混合物の重合物であるアクリル系重合体(A)、キレート型硬化剤(B)および有機溶剤(C)(ただし、アルコール(D)は除く)、ならびにアルコール(D)およびケト−エノール互変異性体形成化合物(E)の少なくとも一方を含む、不揮発分濃度が55〜75質量%である、粘着剤。