特許第6108320号(P6108320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108320
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 33/06 20060101AFI20170327BHJP
   B01D 24/46 20060101ALI20170327BHJP
   B01D 33/44 20060101ALI20170327BHJP
   B01D 33/58 20060101ALI20170327BHJP
   B01D 33/80 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   B01D33/06 A
   B01D33/36
   B01D33/34
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-104338(P2015-104338)
(22)【出願日】2015年5月22日
(65)【公開番号】特開2016-215149(P2016-215149A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2015年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】515138702
【氏名又は名称】ジグプラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】新妻 廣太
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−074816(JP,U)
【文献】 特開昭56−089812(JP,A)
【文献】 特開2007−090202(JP,A)
【文献】 特表平06−507945(JP,A)
【文献】 特開平09−000825(JP,A)
【文献】 特開平10−085619(JP,A)
【文献】 特開平04−313306(JP,A)
【文献】 特開2002−146692(JP,A)
【文献】 実開平05−019395(JP,U)
【文献】 特開平4−145963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 33/06
B01D 33/44
B23Q 11/00
D21D 5/12
B03B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の濾過部を有し、濾過対象液が前記濾過部の外側から内側に通過させられることにより濾過対象液に含まれる固形物を分離する濾過装置であって、
前記濾過部は、複数の棒状部材を並べて円筒状に形成され、各棒状部材の間にはスリットが設けられ、周方向に回転可能であり、濾過対象液の液面に対して回転軸を斜めにして、濾過の際に、一部が濾過対象液の液面から露出するように配設され、
前記濾過部の内側には、前記濾過部の濾過対象液から露出されている外側に向かい流体を噴射して前記濾過部に付着した固形物を洗浄する洗浄手段が設けられ、
前記濾過部を回転させる回転手段と、
前記濾過部を支持する支持軸と、
この支持軸に前記濾過部の上側を回転可能に配設する上配設部材と、
前記支持軸に前記濾過部の下側を回転可能に配設し、前記濾過部により濾過された濾過液を排出する排出開口が設けられた下配設部材とを備え、
前記上配設部材は、下側に突出して上リブが形成された天板と、前記上リブとの間に前記棒状部材の上端部を挟み整列させて保持する上整列基板とを有し、前記上整列基板には前記棒状部材が配置される複数の凹状溝が形成されており、
前記下配設部材は、上側に突出して下リブが形成された地板と、前記下リブとの間に前記棒状部材の下端部を挟み整列させて保持する下整列基板とを有し、前記下整列基板には前記棒状部材が配置される複数の凹状溝が形成されており、
前記スリットの幅は2μmから300μmであり、
前記回転手段は、
前記濾過部の回転軸方向の下側において、前記濾過部と一体的に回転するように配設され、前記濾過部により濾過された濾過液の流れを利用して前記濾過部を回転させる羽と、
前記羽に流体を噴射して前記羽を回転させる回転ノズルと
を有することを特徴とする濾過装置。
【請求項2】
前記棒状部材の表面粗さは、2μmから10μmであることを特徴とする請求項1記載の濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過対象液に含まれる固形物を分離する濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属等の切削加工又は研削加工では、刃物と加工対象物に研削液を流すことで、熱の発生を抑え、加工性を確保している。研削液は循環して利用されるが、研削液中には切子や研削粉などの固形物が混合されてしまうので、固形物を除去する必要があり、その代表的な方法としてフィルターが用いられている。しかし、フィルターを継続して使用すると、固形物が堆積して目詰まりとなり、その機能が失われてしまう。そのため、定期的にフィルター逆洗したり交換したりする等の保守が必要であり、費用がかかると共に、交換作業に手間がかかるという問題があった。また、固形物の中には、金銀等の高価な金属や、レアアースに代表される希少価値のある物質が含まれることもあり、これらの物質を分離回収することができれば、資源の再生及び再利用にもつながるので好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−293312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
なお、特許文献1には、中心軸が略水平となるように配設された有底円筒状のドラムフィルタを備えた濾過装置が記載されている。ドラムフィルタの外周壁及び底壁は粗い網状の外面に濾布が取り付けられており、ドラムフィルタの中には、濾布を逆洗する洗浄ノズルが設けられている。しかしながら、本願発明は、特許文献1とは具体的な構成が異なっており、本願発明によれば濾布の交換作業などの保守作業を削減することができ、また、分離した固形物を容易に回収することができる。
【0005】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、保守作業を削減することができ、かつ、分離した固形物を回収することができる濾過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の濾過装置は、円筒状の濾過部を有し、濾過対象液が濾過部の外側から内側に通過させられることにより濾過対象液に含まれる固形物を分離するものであって、濾過部は、複数の棒状部材を並べて円筒状に形成され、各棒状部材の間にはスリットが設けられ、周方向に回転可能であり、濾過対象液の液面に対して回転軸を斜めにして、濾過の際に、一部が濾過対象液の液面から露出するように配設され、濾過部の内側には、濾過部の濾過対象液から露出されている外側に向かい流体を噴射して濾過部に付着した固形物を洗浄する洗浄手段が設けられ、濾過部を回転させる回転手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の棒状部材を並べて濾過部を形成し、各棒状部材の間にスリットを設けるようにしたので、濾過部の内側から洗浄手段により流体を噴射することにより、濾過部の外側に付着した固形物を容易に除去することができる。よって、保守作業を削減することができる。また、濾過部を濾過対象液の液面に対して回転軸を斜めにして、一部が濾過対象液の液面から露出するように配設し、濾過部の濾過対象液から露出されている外側に向かい洗浄手段により流体を噴射するようにしたので、濾過部の外側に付着した固形物を濾過対象液から分離して容易に回収することができる。よって、資源の再生及び再利用を図ることができる。
【0008】
また、回転手段として、濾過部により濾過された濾過液の流れを利用して濾過部を回転させる羽を有するようにすれば、濾過液の流れを利用して自動的に濾過部を回転させることができる。
【0009】
更に、回転手段として、羽に流体を噴射して回転させる回転ノズルを有するようにすれば、濾過部をより容易に回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る濾過装置の構成を表す図である。
図2図1に示した濾過装置の一部を分解して表す図である。
図3】(A)は図2に示したIII−III線に沿った端面図であり、(B)は(A)において破線で示した部分の拡大図である。
図4図3に示したIV−IV線に沿った端面図である。
図5図1に示した濾過装置の配置例を表すものである。
図6図1に示した濾過装置の他の配置例を表すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る濾過装置10の構成を表すものである。図2は濾過装置10の一部を分解して表すものである。図3及び図4は濾過装置10の端面構成を表すものである。この濾過装置10は、円筒状の濾過部11を有しており、濾過対象液M1を濾過部11の外側から内側に通過させることにより、濾過対象液M1に含まれる固形物を分離するものである。
【0013】
濾過部11は、複数の棒状部材11Aを並べて円筒状に形成されており、各棒状部材11Aの間にはスリット11Bがそれぞれ設けられている。これにより、スリット11Bの幅よりも大きい固形物は、濾過部11を通過することができず、固形物が分離された濾過液M2が濾過部11の内側に通過するようになっている。濾過部11の直径は、例えば、100mmから300mm程度であることが好ましい。各棒状部材11Aは、例えば、円柱状であり、直径は2mmから5mm程度、長さは100mmから400mm程度であることが好ましい。各スリット11Bの幅は、分離する固形物の大きさにより決定されるが、例えば、2μmから300μm程度であることが好ましく、用途により決定される。
【0014】
濾過部11は、周方向に回転可能であり、例えば、回転軸上に配置された支持軸12により支持されている。濾過部11の回転軸方向の上側は、例えば、上配設部材13により支持軸12に対して回転可能に配設されている。濾過部11の回転軸方向の下側は、例えば、下配設部材14により支持軸12に対して回転可能に配設されている。
【0015】
上配設部材13は、例えば、周縁部に下側に突出して上リブ13Aが形成された天板13Bと、上リブ13Aとの間に棒状部材11Aの上端部を挟み整列させて保持する上整列基板13Cとを有している。上リブ13Aの内側には、例えば、Oリング13Dが配設されていることが好ましい。上整列基板13Cは、例えば、環状であり、上リブ13Aに対向する外周面には、棒状部材11Aが配置される複数の凹状溝13Eが形成されている。凹状溝13Eは、例えば、V状溝が好ましい。上配設部材13は、また、天板13Bを支持軸12に対して回転可能に配設する上ベアリング13Fを有している。
【0016】
下配設部材14は、例えば、下配設部材13と同様に、周縁部に上側に突出して下リブ14Aが形成された地板14Bと、下リブ14Aとの間に棒状部材11Aの下端部を挟み整列させて保持する下整列基板14Cとを有している。下リブ14Aの内側には、例えば、Oリングが配設されていることが好ましい。地板14Bには、例えば、濾過部11により濾過された濾過液M2を排出する排出開口14Dが設けられている。下整列基板14Cは、例えば、環状であり、下リブ14Aに対向する外周面には、棒状部材11Aが配置される複数の凹状溝が形成されている。凹状溝は、例えば、V状溝が好ましい。下配設部材14は、また、地板14Bを支持軸12に対して回転可能に配設する下ベアリング14Fを有している。
【0017】
支持軸12は、例えば、濾過対象液M1の液面に対して斜めに配設されている。これにより、濾過部11は濾過対象液M1の液面に対して回転軸を斜めにして、すなわち、水平面に対して回転軸を斜めにして配設されている。濾過部11は、濾過の際に、一部が濾過対象液M1の中に浸漬され、一部が濾過対象液M1の液面から露出するように配設されている。例えば、斜めに配設された濾過部11の半分よりも上側が濾過対象液M1から露出され、半分よりも下側が濾過対象液M1に浸漬されるようにすることが好ましい。
【0018】
濾過部11の内側には、濾過部11の濾過対象液M1から露出されている外側に向かい流体を噴射して濾過部11に付着した固形物を洗浄する洗浄手段15が設けられている。洗浄手段15は、例えば、支持軸12の内部に設けられ、噴射する流体を案内する噴射流体流路15Aと、この噴射流体流路15Aに連通された複数の洗浄ノズル15Bとを有していることが好ましい。各洗浄ノズル15Bは、例えば、支持軸12に対して間隔を開けて直線状に配設されていることが好ましい。各洗浄ノズル15Bの先端部は、例えば、濾過対象液M1から露出されている濾過部11の近傍まで伸長されていることが好ましい。流体としては、例えば、空気などの気体が好ましい。なお、洗浄手段15による洗浄を容易とするために、棒状部材11Aの表面粗さを調節して、棒状部材11Aに対する固形物の付着力を調節することが好ましい。棒状部材11Aの表面粗さは、好ましくは2μmから10μm程度であるが、これに限定されるものではない。
【0019】
この濾過装置10は、また、濾過部11を回転させる回転手段16を備えている。回転手段16は、例えば、濾過部11の回転軸方向の下側において、濾過部11と一体的に回転するように配設され、濾過部11により濾過された濾過液M2の流れを利用して濾過部11を回転させる1又は複数の羽16Aを有していることが好ましい。濾過液M2の流れを利用して自動的に濾過部11を回転させることができるからである。
【0020】
回転手段16は、更に、この羽16Aに流体を噴射して羽16Aを回転させる1又は複数の回転ノズル16Bを有していることが好ましい。濾過液M2の流れによる濾過部11の回転を補助し、より容易に濾過部11を回転させるためである。回転ノズル16Bは、例えば、噴射流体流路15Aに連通されていることが好ましい。濾過部11に噴射するための流体を利用して濾過部11を回転させることができ、構造を簡素化することができるからである。回転ノズル16Bの先端部は、羽16Aの近傍まで伸長されていることが好ましい。
【0021】
この濾過装置10は、また、例えば、濾過部11を収納する収納部17を備えている。収納部17には、例えば、濾過対象液M1を流入するための流入部17Aが設けられている。収納部17の濾過部11の回転軸方向における下側には、例えば、濾過液M2を排出する濾過液排出部17Bが設けられている。収納部17の濾過部11が濾過対象液M1の液面から露出された側には、例えば、濾過対象液M1から分離した固形物を排出する固形物排出部17Cが設けられている。
【0022】
この濾過装置10では、例えば、収納部17の内部に流入部17から濾過対象液M1は流入すると、濾過対象液M1に浸漬されている濾過部11の外側において固形物が分離され、濾過液M2は濾過部11の内側に通過し、濾過部11の回転軸方向の下側に設けられた濾過液排出部17Bから排出される。その際、濾過液M2が羽16Aにあたり、濾過液M2の流れにより回転手段16が回転し、濾過部11が回転する。これにより、濾過部11の濾過対象液M1に浸漬している部分が濾過対象液M1から露出し、洗浄ノズル15Bの近傍までくると、洗浄ノズル15Bから噴射される空気などの流体により、濾過部11の外側に付着した固形物が吹き飛ばされ、固形物排出部17Cから排出される。
【0023】
なお、例えば、濾過対象液M1の流量が多大である場合には、図5に示したように、複数の濾過装置10を並列に配置することにより対応することができる。また、例えば、固形物の大きさごとに分離する必要がある場合には、図6に示したように、複数の濾過装置10を直列に配置し、スリット11Bの幅の大きさを下流側に向かい徐々に小さくすることにより、固形物を目的とする大きさ別に分離することができる。
【0024】
このように、本実施の形態によれば、複数の棒状部材11Aを並べて濾過部11を形成し、各棒状部材11Aの間にスリット11Bを設けるようにしたので、濾過部11の内側から洗浄手段15により流体を噴射することにより、濾過部11の外側に付着した固形物を容易に除去することができる。よって、保守作業を削減することができる。また、濾過部11を濾過対象液M1の液面に対して回転軸を斜めにして、一部が濾過対象液M1の液面から露出するように配設し、濾過部11の濾過対象液M1から露出されている外側に向かい洗浄手段15により流体を噴射するようにしたので、濾過部11の外側に付着した固形物を濾過対象液M1から分離して容易に回収することができる。よって、資源の再生及び再利用を図ることができる。
【0025】
また、回転手段16として、濾過部11により濾過された濾過液M2の流れを利用して濾過部11を回転させる羽16Aを有するようにすれば、濾過液M2の流れを利用して自動的に濾過部11を回転させることができる。
【0026】
更に、回転手段16として、羽16Aに流体を噴射して回転させる回転ノズル16Bを有するようにすれば、濾過部11をより容易に回転させることができる。
【0027】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、全ての構成要素を備えている必要はなく、また、他の構成要素を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
濾過対象液に含まれる固形物を分離する際に用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
10…濾過装置、11…濾過部、11A…棒状部材、11B…スリット、12…支持軸、13…上配設部材、13A…上リブ、13B…天板、13C…上整列基板、13D…Oリング、13E…凹状溝、13F…上ベアリング、14…下配設部材、14A…下リブ、14B…地板、14C…下整列基板、14D…排出開口、14F…下ベアリング、15…洗浄手段、15A…噴射流体流路、15B…洗浄ノズル、16…回転手段、16A…羽、16B…回転ノズル、17…収納部、17A…流入部、17B…濾過液排出部、17C…固形物排出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6