(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108380
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】電子部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-128205(P2012-128205)
(22)【出願日】2012年6月5日
(65)【公開番号】特開2013-254785(P2013-254785A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】500548884
【氏名又は名称】ハンファテクウィン株式会社
【氏名又は名称原語表記】HANWHA TECHWIN CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100082164
【弁理士】
【氏名又は名称】小堀 益
(74)【代理人】
【識別番号】100105577
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 隆人
(74)【代理人】
【識別番号】100182707
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 博生
(72)【発明者】
【氏名】朴 敬聖
【審査官】
岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−174044(JP,A)
【文献】
特開2011−018816(JP,A)
【文献】
特開2008−227400(JP,A)
【文献】
特開2011−129599(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/111296(WO,A1)
【文献】
特開2010−283298(JP,A)
【文献】
特開2010−165929(JP,A)
【文献】
特開2001−203497(JP,A)
【文献】
特開平08−330790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を吸着しプリント基板上に実装するために複数のノズルを上下移動可能に組み込んだ実装ヘッドを備える電子部品実装装置において、
前記複数のノズルの一部と残部は、それぞれ異なる種類の上下移動機構により上下移動することを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記実装ヘッドは、Y方向ビームに直交して配置されY方向ビームに沿って移動可能なX方向ビームに、X方向に移動可能に取り付けられているとともに、前記複数のノズルを支持する支持プレートを備え、前記複数のノズルは、前記支持プレートの一面に沿って配置されている請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記複数のノズルは、前記支持プレートの一面に沿ってX方向に一列に配置されている請求項2に記載の電子部品実装装置。
【請求項4】
前記X方向ビームが、Y方向に所定の間隔をおいて2本配置されており、それぞれのX方向ビームに前記実装ヘッドが相対するように取り付けられている請求項2又は3に記載の電子部品実装装置。
【請求項5】
前記複数のノズルのうち一部のノズルの上下移動機構が送りねじ機構であり、残部のノズルの上下移動機構が直動アクチュエータによる上下移動機構である請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品実装装置。
【請求項6】
前記上下移動機構の少なくとも一つが、電子部品をプリント基板上に実装するときの押圧荷重を制御する荷重制御手段を有する請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップ等の電子部品をプリント基板上に実装する電子部品実装装置に関する。なお、本明細書では、電子部品実装装置のことを単に実装装置ともいい、電子部品のことを単に部品ともいい、プリント基板のことを単に基板ともいう。
【背景技術】
【0002】
実装装置は、吸着ノズルを有する実装ヘッドにより、電子部品を部品供給部から吸着してプリント基板上に移送し、プリント基板上の所定位置に実装するように構成されている。
【0003】
吸着ノズルは、実装ヘッドに上下移動可能に組み込まれており、吸着ノズルを上下移動可能とする上下移動機構としては、一般的に、サーボモータを使用した送りねじ機構(ボールねじ機構)、リニアモータ、エアシリンダ等の直動アクチュエータ、及びその組合せが採用されている(特許文献1〜4)。また、電子部品をプリント基板上に実装するときの押圧荷重を制御する荷重制御手段を有する上下移動機構も知られている(特許文献5、6)。
【0004】
サーボモータを使用した送りねじ機構は、上下移動のストロークを大きくすることができ、しかも高精度で上下移動できることから、大型異型部品を高精度に実装する場合に適している。直動アクチュエータは、上下移動のストロークは小さいものの高速で上下移動できることから、小型部品を高速で実装する場合に適している。また、特に衝撃に弱い電子部品を実装する場合には、前述の荷重制御手段を有する上下移動機構が適している。このことから、従来は、それぞれの上下移動機構を荷重制御手段の有無も含めて工程ごとに使い分け、それぞれの工程でその上下移動機構に適応した部品を実装するようにして、実装ラインを構築していた。
【0005】
しかし、このような従来の実装ラインにおいては、一工程で一種類の部品しか実装できないので、多種類の部品を実装するには必ずしも効率的な実装方法とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−266154号公報
【特許文献2】国際公開第2007/111296号
【特許文献3】特開平5−198988号公報
【特許文献4】国際公開第2006/114836号
【特許文献5】特開平8−330790号公報
【特許文献6】特開2001−203497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、同一の実装ヘッドで、部品に応じた異なる上下移動速度や上下移動のストロークを実現できる電子部品実装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電子部品を吸着しプリント基板上に実装するために複数のノズルを上下移動可能に組み込んだ実装ヘッドを備える電子部品実装装置において、前記複数のノズルの一部と残部は、それぞれ異なる
種類の上下移動機構により上下移動することを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、前記実装ヘッドを、Y方向ビームに直交して配置されY方向ビームに沿って移動可能なX方向ビームに、X方向に移動可能に取り付けるとともに、前記複数のノズルを支持する支持プレートを備えたものとし、前記複数のノズルを、前記支持プレートの一面に沿って配置することができる。
【0010】
また、前記複数のノズルは、前記支持プレートの一面に沿ってX方向に一列に配置することができる。
【0011】
更に、前記X方向ビームを、Y方向に所定の間隔をおいて2本配置し、それぞれのX方向ビームに前記実装ヘッドが相対するように取り付けてもよい。
【0012】
また、本発明において上下移動機構としては、送りねじ機構及び直動アクチュエータによる上下移動機構を使用することができる。
【0013】
更に、上下移動機構の少なくとも一つを、電子部品をプリント基板上に実装するときの押圧荷重を制御する荷重制御手段を有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、同一の実装ヘッド内に、異なる
種類の上下移動機構により上下移動するノズルを備えるので、同一の実装ヘッドで、部品に応じた異なる上下移動速度や上下移動のストロークを実現できる。これにより、一つの実装ヘッドで多種類の部品を実装できるようになり実装ラインの工程数を削減できることから、実装の効率を向上させることができるとともに実装ラインの省スペース化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の電子部品実装装置の基本構成を示す概念図である。
【
図2】
図1の電子部品実装装置の実装ヘッドの構成を示す図で、
図1においてY方向から見た正面図である。
【
図3】
図2の実装ヘッドにおいて、リニアモータにより上下移動するノズルの構成を示す側面図である。
【
図4】
図2の実装ヘッドにおいて、サーボモータを使用したボールねじ機構により上下移動するノズルの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の電子部品実装装置の基本構成を示す概念図である。電子部品実装装置は、電子部品を吸着しプリント基板上に実装するために実装ヘッド10を有する。実装ヘッド10には、後述するとおり複数のノズルが上下移動可能に組み込まれている。
【0018】
図1の実装装置は二つの実装ヘッド10を備え、これらの実装ヘッド10は、それぞれY方向に所定の間隔をおいて配置された一対(2本)のX方向ビーム20に相対するように取り付けられている。実装ヘッド10は、X方向ビーム20にX方向に移動可能に取り付けられている。また、X方向ビーム20は、これと直交しX方向に所定の間隔をおいて配置された一対(2本)のY方向ビーム30間に架け渡されるとともに、Y方向ビーム30にY方向に沿って移動可能に取り付けられている。このように、X方向ビーム20とY方向ビーム30の組合せにより、実装ヘッド10は、水平面内でX方向及びY方向に自在に移動可能である。そして、実装ヘッド10は、X方向及びY方向の移動の組合せにより、部品供給部(図示省略)に移動して電子部品を吸着し、更に実装位置に搬送されてきたプリント基板(図示省略)上の所定位置に移動してそのプリント基板上の所定位置に電子部品を実装する。
【0019】
図2は、
図1の実装ヘッド10の構成を示す図で、
図1においてY方向から見た正面図である。
【0020】
実装ヘッド10は、X方向と平行な一面を有する支持プレート11を備え、8本のノズル12と1本のノズル13が、支持プレート10の前記一面に沿ってX方向に一列に配置されている。ノズル12、13は、支持プレート10に上下移動可能に支持されており、ノズル12はリニアモータ12a(直動アクチュエータ)による上下移動機構により上下移動し、ノズル13はサーボモータ13aを使用したボールねじ機構(送りねじ機構)により上下移動する。すなわち、実装ヘッド10は、同一の実装ヘッド内に、異なる上下移動機構により上下移動するノズルを備える。
【0021】
図3は、ノズル12の構成を示す側面図である。ノズル12は、上下に伸びるシャフト12bを備える。シャフト12bの下端には部品を吸着するノズルチップ12cが装着される。シャフト12bの上端は、シャフト12bがその軸周り(θ方向)に回転可能となるようにベアリングを介してリニアモータ12aの駆動シャフトに連結されている。リニアモータ12aは支持プレート11に固定され、ノズル12(シャフト12b)の上下位置を検出するためのリニアエンコーダが内蔵されている。すなわち、リニアモータ12aは、リニアエンコーダによりノズル12の上下位置を検出しながら、ノズル12を上下移動させる。
【0022】
ノズル12は、そのシャフト12bをθ方向に回転させるための回転モータ12dを備え、この一台の回転モータ12dで全8本のノズル12をθ方向に回転させるようにしている。具体的には、回転モータ12dに対し、全8本のノズル12にタイミングベルト12eが架け回されており、回転モータ12dを回転駆動させることにより、各ノズル12がθ方向に回転する。
【0023】
図4は、ノズル13の構成を示す側面図である。ノズル13は、上下に伸びるシャフト13bを備える。シャフト13bの下端には部品を吸着するノズルチップ13cが装着される。シャフト13bの上端は、シャフト13bをその軸周り(θ方向)に回転させる回転モータ13dの回転軸に連結されている。したがって、回転モータ13dを回転駆動させることにより、ノズル13がθ方向に回転する。
【0024】
シャフト13b及び回転モータ13dはサブフレーム13eに支持されている。そして、このサブフレーム13eを、サーボモータ13aを使用したボールねじ機構により上下移動させることで、ノズル13を上下移動させる。具体的には、支持フレーム11に固定されたサーボモータ13aの回転軸にボールねじ13fが連結され、サブフレーム13eにボールねじ13fに螺合するナット部13gが設けられている。したがって、サーボモータ13aの駆動によりボールねじ13fが回転すると、サブフレーム13eが支持フレーム11に対して上下移動する。
【0025】
また、本実施例のノズル13の上下移動機構は、電子部品をプリント基板上に実装するときの押圧荷重を制御する荷重制御手段13hを有する。このような荷重制御手段13h自体は公知であり、単純には押圧荷重を検出するロードセルをシャフト13b部分に設け、このロードセルで検出した荷重値に基づいてサーボモータ13aの駆動を制御することで、押圧荷重を制御し調整することができる。そのほか、ロードセルとエアシリンダ又はばねとの組合せで荷重制御手段13hを構成することもできる。
【0026】
以上のとおり、本実施例では、リニアモータ12aにより上下移動するノズル12と、ボールねじ機構により上下移動するノズル13とが一つの実装ヘッド10に組み込まれているので、部品に応じてこれらのノズル12、13を使い分けることで、一つの実装ヘッド10により異なる種類の部品を実装できる。
【0027】
なお、本実施例では、上下移動機構として、リニアモータ12aによる上下移動機構とボールねじ機構を使用したが、上下移動機構の組合せはこれに限定されるものではなく、公知の上下移動機構を二種又は三種以上組み合わせて使用してもよい。また、本実施例ではノズル13の上下移動機構に荷重制御手段13hを付加したが、荷重制御手段13hが必要ない場合は、これを省略することができる。また、荷重制御手段をノズル12側の少なくとも一つの上下移動機構に付加することもできる。更に、ノズル12とノズル13の本数が可変であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0028】
10 実装ヘッド
11 支持プレート
12 ノズル
12a リニアモータ
12b シャフト
12c ノズルチップ
12d 回転モータ
12e タイミングベルト
13 ノズル
13a サーボモータ
13b シャフト
13c ノズルチップ
13d 回転モータ
13e サブフレーム
13f ボールねじ
13g ナット部
13h 荷重制御手段
20 X方向ビーム
30 Y方向ビーム