特許第6108429号(P6108429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108429
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】ファッションプラ扇子
(51)【国際特許分類】
   A45B 27/00 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
   A45B27/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-154175(P2012-154175)
(22)【出願日】2012年7月10日
(65)【公開番号】特開2014-14526(P2014-14526A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年6月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597113860
【氏名又は名称】佐久間 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100148851
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 誠
【審査官】 栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−304918(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3102065(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3107295(JP,U)
【文献】 実開昭62−073716(JP,U)
【文献】 特開平07−227310(JP,A)
【文献】 実開昭62−102417(JP,U)
【文献】 特開2001−149126(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3029826(JP,U)
【文献】 実開平02−028616(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3072035(JP,U)
【文献】 特開2003−000316(JP,A)
【文献】 特開2006−263097(JP,A)
【文献】 特開2010−115373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状プラスチックで形成された同一形状の複数の略扇形扇子羽根が中心で重ねて係合され、
使用状態においては、前記複数の略扇形扇子羽根が半径の辺縁部で互いに重畳するように展開され、
非使用状態においては、前記複数の略扇形扇子羽根が完全に重畳され、
前記複数の略扇形扇子羽根は、一方の面に突設された凸部と、他方の面の前記凸部と対応する位置に設けられた凹部と、中心に貫通孔と、を備え、
前記貫通孔に互いに異なる側から挿入されて嵌合する一対の係止部材を備え、
前記係止部材の一方は、前記凸部に対応する位置に、前記凸部に嵌合する陥没部を備え、前記係止部材の他方は、前記凹部に対応する位置に、前記凹部に嵌合しない隆起部を備える
ことを特徴とするファッションプラ扇子。
【請求項2】
請求項1に記載のファッションプラ扇子において、
展開される場合に、前記凹部に嵌合された隣接する略扇形扇子羽根の前記凸部が前記凹部に沿って摺動するように、前記凹部の形状は円弧状である
ことを特徴とするファッションプラ扇子。
【請求項3】
請求項2に記載のファッションプラ扇子において、
円弧状の前記凹部の端部に前記凸部が位置する場合に前記複数の略扇形扇子羽根が完全に重畳され、前記円弧状の前記凹部の他の端部に前記凸部が位置する場合に前記複数の略扇形扇子羽根が展開されて半径の辺縁部で互いに重畳する
ことを特徴とするファッションプラ扇子。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のファッションプラ扇子において、
使用状態において展開された場合に、前記複数の略扇形扇子羽根が半径の辺縁部で互いに重畳する円周方向の長さは、中心から外側に向けて次第に小さくなる
ことを特徴とするファッションプラ扇子。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のファッションプラ扇子において、
前記複数の略扇形扇子羽根は、蓄光材と蛍光材と、紫外線を吸収して波長変換するUV素材と、の少なくともいずれか一つを含有する
ことを特徴とするファッションプラ扇子。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のファッションプラ扇子において、
前記複数の略扇形扇子羽根は、その厚さが中心から円周方向へと向かう程薄くなる
ことを特徴とするファッションプラ扇子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射状に展開可能なファッションプラ扇子に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、環境への配慮や作業工程の簡略化・製造コストの軽減を実現しつつ、表現したいイメージや対象物自体の形を、竹・金属・木片もしくは合成樹脂等の骨片・補強部材を用いることなく、紙もしくは再生紙等を主素材とし、それを放射状に組み立てることで、開閉自在の展示・装飾品としての機能を備え、或いは拍子木などの代用品としても使用可能な扇子が提案されている。
【0003】
これによれば、最終的に放射状に開閉可能な状態に組み上げる際、本体と連接部が一体形成された配置と配列に工夫を施し、扇子の本体に当たる部分を、天地が相反する方向へ配置し、それぞれの連接部分を、左右逆方向につなぎ合わせた状態で一体化させる等とすることにより、従来の製造過程で必要とされた技術的熟練度や、特殊技能を用いることなく、容易に製造する事が可能となることが記載されている。
【0004】
また、製造時間の短縮や、材料の種類を減らすことにより経済的コスト負担軽減にも役立て、さらに、使用材料において再利用可能な資材を使用する事で、環境資源問題に貢献し、廃材処理の点でもメリットが期待できるとともに、意匠においては、扇面の形を、様々なパターンに変化させることを可能にした結果、対象物の形や、デザインイメージの幅が著しく広がる効果をもたらせることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−224236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、適切な強度を有するとともに蓄光材や蛍光材やUV素材等の含有添加材の選択枝が多く、種々の色に仕上げることが可能なファッション性に優れたプラスチック素材を用いたファッションプラ扇子は存在しなかった。
【0007】
本願発明は、上述の問題点に鑑み為された発明であって、蓄光材や蛍光材やUV素材等の含有添加材の選択枝が多く、種々の色に仕上げることが可能なファッション性に優れたプラスチック素材を用いたファッションプラ扇子を実現することを目的とする。また、好ましくは組み立てや展開と収納とが確実かつ容易なファッションプラ扇子を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のファッションプラ扇子は、板状プラスチックで形成された同一形状の複数の略扇形扇子羽根が中心で係合され、使用状態においては、複数の略扇形扇子羽根が半径の辺縁部で互いに重畳するように展開され、非使用状態においては、複数の略扇形扇子羽根が完全に重畳されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のファッションプラ扇子は、好ましくは複数の略扇形扇子羽根が、中心に貫通孔を備え、貫通孔に互いに異なる側から挿入されて嵌合する一対の係止部材を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のファッションプラ扇子は、さらに好ましくは複数の略扇形扇子羽根が、一方の面に突設された凸部と、他方の面の凸部と対応する位置に設けられた凹部とを備え、展開される場合に、凹部に嵌合された隣接する略扇形扇子羽根の凸部が凹部に沿って摺動するように、凹部の形状は円弧状であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のファッションプラ扇子は、さらに好ましくは円弧状の凹部の端部に凸部が位置する場合に複数の略扇形扇子羽根が完全に重畳され、円弧状の凹部の他の端部に凸部が位置する場合に複数の略扇形扇子羽根が半径の辺縁部で互いに重畳するように展開されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のファッションプラ扇子は、さらに好ましくは複数の略扇形扇子羽根が中心に備える貫通孔に互いに異なる側から挿入されて嵌合する一対の係止部材は、凸部に対応する位置に、凸部に嵌合する陥没部を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のファッションプラ扇子は、さらに好ましくは使用状態において展開された場合に、複数の略扇形扇子羽根が半径の辺縁部で互いに重畳する円周方向の長さは、中心から外側に向けて次第に小さくなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のファッションプラ扇子は、さらに好ましくは複数の略扇形扇子羽根が、蓄光材と蛍光材とUV素材との少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のファッションプラ扇子は、さらに好ましくは複数の略扇形扇子羽根が、その厚さが中心から円周方向へと向かう程薄くなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
蓄光材や蛍光材やUV素材等の含有添加材の選択枝が多く、種々の色に仕上げることが可能なファッション性に優れたプラスチック素材を用いたファッションプラ扇子を実現できる。また、好ましくは組み立てや展開と収納とが確実かつ容易なファッションプラ扇子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態のファッションプラ扇子を構成する複数の略扇形扇子羽根のうちの一枚を説明する概念図であり、(a)が略扇形扇子羽根の右側面図であり、(b)が略扇形扇子羽根の正面図を示し、(c)が略扇形扇子羽根の背面側(正面に対する裏面側)を示す。
図2】複数の略扇形扇子羽根をその貫通孔で係止する一対の係止部材を説明する図であり、(a)が雌部材を説明する正面図であり、(b)が雌部材を説明する側面図であり、(c)が雄部材を説明する正面図であり、(d)が雄部材を説明する側面図である。
図3】複数の略扇形扇子羽根を雌部材と雄部材とで係止し、ファッションプラ扇子を完成展開させた使用状態を説明する図であり、(a)が交互に異なる色の略扇形扇子羽根を用いたファッションプラ扇子を示し、(b)が5枚の略扇形扇子羽根を用いたファッションプラ扇子を示し、(c)が6枚の略扇形扇子羽根を用いたファッションプラ扇子を示す。
図4】本実施形態にかかるファッションプラ扇子の組み立て手順について順次説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態で説明するファッションプラ扇子は、板状プラスチックから形成された略扇形の同一形状の複数の扇子羽根を備え、収納時には複数の扇子羽根を完全に重畳させて、使用時には一対の係止部材で係止された中心部を中心としてより大きな扇型へと展開する。
【0019】
板状プラスチックからなる複数の扇子羽根は、社名を印刷したり各種PR文言や絵柄を描画することも可能である。このため、展開使用時に社名全体が目視可能なように描画して、各種のイベントやお祭り、または応援グッズとして用いることもできる。
【0020】
また、板状プラスチックからなる複数の扇子羽根は、白・青・桃・黄・赤・黒など好みの色を選択して着色することが可能であり、各色においてまたは無色のスケルトンとすることも可能である。
【0021】
また、板状プラスチックからなる複数の扇子羽根は、種々の機能性材料を含ませることも可能である。機能性材料としては、例えば蓄光材やUV素材や蛍光材等であってもよい。蓄光材を含ませることで、照明や太陽光などの光を吸収して暗いところで所定時間発光する扇子を実現できる。また、UV素材を含ませることで、太陽光に含まれる紫外線を吸収して変色する扇子を実現できる。これら含有または塗布させる機能性材料は、公知の素材であるのでここでは詳述しない。また、蛍光材であれば紫外線等により任意の色に発光させることが可能である。
【0022】
図1は、本実施形態のファッションプラ扇子を構成する複数の略扇形扇子羽根のうちの一枚の略扇形扇子羽根100を説明する概念図である。図1(a)が略扇形扇子羽根100の右側面図であり、図1(b)が略扇形扇子羽根100の正面図を示し、図1(c)が略扇形扇子羽根100の背面側(正面に対する裏面側)を示している。なお、図1(a)に示した矢印(b),(c)は、各々矢印方向から見た図であることを示すものである。
【0023】
図1において、略扇形扇子羽根100は、中心部に貫通孔130を備える略扇形形状の板状プラスチックからなる。プラスチック板の厚さは、図1(a)に示すように中心から外周方向に向けて次第に薄くしてもよい。これにより、中心に近く扇ぐための力が加えられる持ち手部分周辺は幅に比較して強度がより高くなるのでユーザがしっかりと扇子を振ることが可能となり、風を押し出す外周近辺は適度な柔軟性を有するより広い面積で空気を押し出すので柔らかい風を生成して送出することができる。
【0024】
また、図1から理解できるように、略扇形扇子羽根100は、表面において貫通孔130の外周側にやや離間して凸部110を備える。また、略扇形扇子羽根100は、裏面において凸部110に対応する位置に凹部120を備える。
【0025】
複数の略扇形扇子羽根100を重ねた場合に、凸部110と接して重なる略扇形扇子羽根凹部120とは嵌合可能なように、各々その突起高さと溝深さとが同一であるか溝深さの方がやや大きいものとされ、凸部110の突起高さも凹部120の溝深さもいずれも略扇形扇子羽根100の板厚よりも小さい範囲内に形成される。
【0026】
また、図1(b)及び図1(c)に示すように、凹部120の形状は円弧状とされ、すなわち凹部120に沿って、凹部120に嵌合する凸部110が貫通孔130を中心として摺動可能なものとする。さらに、円弧状の凹部120の一端部に凸部110が位置する場合には、略扇形扇子羽根100が互いに完全に重畳され、円弧状の凹部120の他端部に凸部110が位置する場合には、略扇形扇子羽根100が完全に展開された状態となるように、凹部120が形成される。
【0027】
図2は、複数の略扇形扇子羽根100をその貫通孔130で係止する一対の係止部材200,300を説明する図である。図2(a)が雌部材200を説明する正面図であり、図2(b)が雌部材200を説明する側面図であり、図2(c)が雄部材300を説明する正面図であり、図2(d)が雄部材を説明する側面図である。
【0028】
図2において雌部材200の鍔部250の直径と雄部材300の鍔部350の直径とは、いずれも貫通孔130の直径よりも大きく、鍔部250,350は貫通孔130の周辺部において略扇形扇子羽根100を押圧・固定する。
【0029】
図2(a),(b)に示すように、雌部材200は、鍔部250から突設され貫通孔130の直径と略等しい外側貫通部210を備える。外側貫通部210は雄部材300の内側貫通部320が挿入され得るように中空となっている。中空の外側貫通部210の最深部には、雄部材300の内側貫通部320の先端に設けられた切り欠き部330と整合する切り欠き嵌合部220を備える。切り欠き部330と切り欠き嵌合部220は、内側貫通部320を外側貫通部210内に完全に挿入した場合に嵌り合う。
【0030】
また、図2(a),(b)に示すように、雌部材200は、略扇形扇子羽根100の凹部120に当接する円弧状の隆起部230を鍔部250の内側に備える。これにより、雌部材200の鍔部250は、その内側の特に隆起部230において、略扇形扇子羽根100と密着してこれを押圧することが可能となる。このため、凸部110と凹部120との嵌合がより確実に確保される。但し、隆起部230の円弧は、凹部120の円弧よりも長いものとし、隆起部230と凹部120とが嵌合することはないので、隆起部230により相互の動きを束縛することはない。
【0031】
一方、雄部材300は、略扇形扇子羽根100の凸部110に嵌合する陥没部310を鍔部350の内側に備える。これにより、雄部材300の鍔部350は、その内側において、略扇形扇子羽根100と密着してこれを押圧することが可能となる。また、雄部材300とこれに接する略扇形扇子羽根100とが、陥没部310と凸部110との嵌合により互いに固定される。
【0032】
また、図2から理解できるように、雌部材200と雄部材300とは、その中心にストラップ用貫通孔240,340を各々備えてもよい。雌部材200と雄部材300とを略扇形扇子羽根100の貫通孔130内で嵌合させた場合に、ストラップ用貫通孔240,340は一体として、連続した一つの貫通孔を構成するので、これにストラップを取り付けたり、好みのキーホルダーを取り付けたりしてもよい。
【0033】
外側貫通部210と内側貫通部320との各鍔部250,350からの突出高さは、重ね合わせる略扇形扇子羽根100の枚数に対応する高さとすることができる。すなわち、略扇形扇子羽根100を5枚用いて作成したファッションプラ扇子の外側貫通部210と内側貫通部320との各鍔部からの突出高さは、略扇形扇子羽根100を6枚用いて作成したファッションプラ扇子の外側貫通部210と内側貫通部320との各鍔部からの突出高さよりも、略扇形扇子羽根100一枚分の厚さ相当だけ小さいものとする。
【0034】
図3は、複数の略扇形扇子羽根100を雌部材200と雄部材300とで係止し、ファッションプラ扇子を完成展開させた使用状態を説明する図である。図3(a)が交互に異なる色の略扇形扇子羽根100を用いたファッションプラ扇子を示し、図3(b)が5枚の略扇形扇子羽根100を用いたファッションプラ扇子を示し、図3(c)が6枚の略扇形扇子羽根100を用いたファッションプラ扇子を示している。
【0035】
図3(a)から理解できるように、各略扇形扇子羽根100の重畳される部分は、中心部分から外側に向かうにつれて少なくなる。すなわち、比較的中心に近い部位の重畳部分の円周方向長さはlであるのに対し、比較的外周に近い部位の重畳部分の円周方向長さはlであり、l<lとなっていることが理解できる。
【0036】
また、図3(b)及び図3(c)に示すように、使用する略扇形扇子羽根100の枚数を増大させることにより、展開時の横幅や周縁長さを増大させることができるので、より多くの風量を生成することが可能となる。略扇形扇子羽根100は、ポリプロピレン樹脂で形成しても良く、一対の係止部である雌部材と雄部材とはABS樹脂で形成してもよい。
【0037】
図4は、本実施形態にかかるファッションプラ扇子の組み立て手順について順次説明する図である。そこで、図4に示した各ステップに基づいてファッションプラ扇子の組み立て手順について順次以下に説明する。
【0038】
(ステップS410)
6枚羽根のファッションプラ扇子とする場合には、略扇形扇子羽根100を六枚用意し、各略扇形扇子羽根100の向きを揃えて全て重ね合わせる。
【0039】
(ステップS420)
貫通孔130に雌部材200を挿入する。この場合に貫通孔130は略扇形扇子羽根100の厚さ6枚分の奥行きがある。挿入する雌部材200の外側貫通部210の鍔部250の内側からの突出高さも略扇形扇子羽根100の厚さ6枚分であることが好ましい。また、この場合に、雌部材200の隆起部230が、略扇形扇子羽根100の凹部120と当接するように、凹部120が露出している側から雌部材200を挿入する。
【0040】
(ステップS430)
貫通孔130に雄部材300を挿入する。貫通孔130には既に雌部材200が挿入されているので、雌部材200の外側貫通部210の中空部分に、雄部材300の内側貫通部320を挿入する。この場合に、内側貫通部320の切り欠き部330と、外側貫通部210の中空部分に設けられた切り欠き嵌合部220とが、嵌合するように互いの向きを調整する。また、この場合に、雄部材300の陥没部310が、略扇形扇子羽根100の凸部110に嵌合するように、挿入向きを調整する。
【0041】
上述したステップS420とステップS430とにより、一対の係止部材同士、及び雌部材200と雌部材200の鍔部250と接する略扇形扇子羽根100、がそれぞれ相互に固定されて一方が回転する場合には他方も連動して回転する関係を構築できる。
【0042】
(ステップS440)
組み立てられたファッションプラ扇子を使用状態へと展開する。すなわち、六枚の略扇形扇子羽根100の全てをフルに展開し、より大きな扇型を形成する。展開した状態においては、隣接する略扇形扇子羽根100同士が半径に相当する辺の辺縁部で互いに重なり、その重なり量は中心から外側へと次第に小さいものとなる。また、収納した状態から完全に展開した状態にすると、隣接する略扇形扇子羽根100の凹部120へと嵌め込まれた凸部110は、円弧状の凹部120の一端から多端へと移動する。すなわち、円弧状の凹部120の多端が、略扇形扇子羽根100の開く角度を限定し限界を決定することとなる。
【0043】
上述のファッションプラ扇子は、板状プラスチックで形成された同一形状の複数の略扇形扇子羽根が中心で係合され、使用状態においては、複数の略扇形扇子羽根が半径の辺縁部で互いに重畳するように展開され、非使用状態においては、複数の略扇形扇子羽根が完全に重畳されるので、展開時には十分な風量を生成可能な大羽根を構成するとともに、収納時には嵩張らず小型・軽量で持ち運びにも便利である。
【0044】
また、上述のファッションプラ扇子は、好ましくは複数の略扇形扇子羽根が、中心に貫通孔を備え、貫通孔に互いに異なる側から挿入されて嵌合する一対の係止部材を備えるので、一対の係止部材の嵌合を解除すれば、比較的容易に分解することが可能である。また、複数の略扇形扇子羽根の全部または一部を取り替えて絵柄を変更したり、色を変更したりできるので、服装や好みや天候、その日の気分等に応じて種々のアレンジが可能である。
【0045】
また、上述のファッションプラ扇子は、さらに好ましくは複数の略扇形扇子羽根が、一方の面に突設された凸部と、他方の面の凸部と対応する位置に設けられた凹部とを備え、展開される場合に、凹部に嵌合された凸部が凹部に沿って摺動するように、凹部の形状は円弧状であるので、確実かつ迅速かつ安全に展開することが可能となる。また、展開したり収納したりする場合に、中心の貫通孔や一対の係止部材にのみ過剰な負荷が加わることを回避し、嵌合した凹凸部分でも複数の略扇形扇子羽根が所定の配置となるように互いに支持するので、確実な展開が可能であるとともに高い耐久性を有する。
【0046】
また、上述のファッションプラ扇子は、さらに好ましくは円弧状の凹部の端部に凸部がある場合に複数の略扇形扇子羽根が完全に重畳され、円弧状の凹部の他の端部に凸部がある場合に複数の略扇形扇子羽根が半径の辺縁部で互いに重畳するように展開されるので、過剰に展開されてしまう状態、すなわち開き過ぎて複数の略扇形扇子羽根同士が離間してしまい扇子としての機能を果たさなくなる開き過ぎを防止できる。また、収納時には、平面視における総面積が最小となるように、複数の略扇形扇子羽根全てが完全に重畳した配置状態に容易に移行させることが可能となる。換言すれば、収納時と展開時との二つの状態の移行を安全かつ確実かつ迅速に遂行でき、ユーザが目視等により微調整等を行う必要がないように、各々の所定配置位置にて複数の略扇形扇子羽根を停止させ得る。
【0047】
また、上述のファッションプラ扇子は、さらに好ましくは複数の略扇形扇子羽根が中心に備える貫通孔に互いに異なる側から挿入されて嵌合する一対の係止部材は、凸部に対応する位置に、凸部に嵌合する凹部を備える。これにより、複数の略扇形扇子羽根を完全に同一形状として形成し、そのいずれが最外側に配置されたとしても、フレキシブルに対応可能な扇子となる。すなわち、複数の略扇形扇子羽根の互換性が高まるので、他のデザインや色への変更、配色の変更がさらに容易に行える。具体的には、最外側に配置される略扇形扇子羽根のみ凸部を除去すれば、当該略扇形扇子羽根は、最外側にのみ配置が限定されるが、本実施形態のファッションプラ扇子では複数の略扇形扇子羽根の全ての羽根が配置位置を限定されない。
【0048】
また、上述のファッションプラ扇子は、さらに好ましくは使用状態において展開された場合に、複数の略扇形扇子羽根が半径の辺縁部で互いに重畳する円周方向の長さは、中心から外側に向けて次第に小さくなる。すなわち、展開状態において、複数の略扇形扇子羽根が互いに重畳される量は中心から外側にむけて、次第に少なくなる。これにより、外側において全体としてより大きな羽根を形成可能となるので、効率良く十分な風量確保が行える。
【0049】
また、上述のファッションプラ扇子は、さらに好ましくは複数の略扇形扇子羽根が、UV素材と蓄光材と蛍光材との少なくともいずれか一つを含有する。これにより、UV素材を含有する場合には、UVを他の素材波長に変更して放射するので展開した状態で簡易日除けとして有効活用することも可能となり、蓄光材や蛍光材を含む場合には夜間や暗闇での目印として活用することが可能となり活用の幅がさらに広がる。
【0050】
また、内側貫通部320の切り欠き部330と、外側貫通部210の中空部分に設けられた切り欠き嵌合部220とは、図2に示す形態に限定されるものではない。内側貫通部320の切り欠き部330と、外側貫通部210の中空部分に設けられた切り欠き嵌合部220とは、例えば、ぞれぞれ内側貫通部320と外側貫通部210との嵌合方向全体に亘って設けられてもよい。
【0051】
上述したファッションプラ扇子は、実施形態での説明に限定されるものではなく、本実施形態で説明する技術思想の範囲内かつ自明な範囲内で、適宜その構成や材質及び組み立て方法等を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のファッションプラ扇子は、種々の扇子やノベルティ商品等に広く適用できる。
【符号の説明】
【0053】
100・・略扇形扇子羽根、110・・凸部、120・・凹部、130・・貫通孔。
図1
図2
図3
図4