(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される開閉体制御装置として、たとえばパワーウインドウ装置がある。パワーウインドウ装置は、モータを正転または逆転して、開閉体である窓の窓ガラスを開閉動作させる。
【0003】
パワーウインドウ装置において、窓ガラスの閉動作時に、窓への異物の挟み込みを検出する技術が、たとえば特許文献1および2に開示されている。また、車両に設けられたスイッチの操作だけでなく、利用者が携帯する遠隔操作機からの指令を受けて、窓ガラスの開閉動作を制御する技術が、特許文献2〜5に開示されている。
【0004】
特許文献1および2では、モータの回転速度や電流に基づいて、モータの負荷を検出し、該負荷の変化量と所定の閾値とを比較した結果に基づいて、挟み込みの有無を判定する。
【0005】
また、特許文献1では、車両のドアが閉じた時の衝撃による挟み込みの誤検出を防止するため、イグニッションスイッチがオフ状態で、かつドアが開状態の場合に、乗員の降車可能性が高いと判断して、挟み込みの閾値を上げた値に変更する。
【0006】
また、特許文献2では、僅かな負荷変動による誤動作を防止するため、イグニッションキーがオンの間、遠隔操作機から閉信号がある間、またはドアロック装置からロック信号がある間などに、大人が存在していると判定し、挟み込みの閾値を緩い値に変更する。一方、イグニッションキーがオフの間などは、大人が不在と判定し、挟み込みの閾値を敏感な値に変更する。
【0007】
また、特許文献3では、遠隔操作時の安全性を確保するため、遠隔操作により窓ガラスを閉動作させる際に、警報音を所定時間出力した後、窓ガラスを一旦所定距離または所定時間だけ開動作させてから、閉動作させる。また、窓ガラスを開動作から閉動作へ切り替える際に、所定時間だけ窓ガラスを停止させる。
【0008】
また、特許文献4では、遠隔操作時の安全性を確保するため、遠隔操作機からの閉指令の受信時に、窓ガラスの初期開口量が所定量に達しているか否かを判定する。そして、初期開口量が所定量に達していない場合は、窓ガラスを一旦所定位置まで開動作させてから、閉動作させる。一方、初期開口量が所定量に達している場合は、窓ガラスを開動作させずに閉動作させる。
【0009】
また、特許文献5では、携帯機が車内に有ることを検出し、かつ成人が車内にいることを検出した場合に、イグニッション電源オフ後も、窓ガラスの作動を許可する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0022】
まず、本実施形態の構成を、
図1を参照しながら説明する。以下では、「パワーウインドウ」を「PW」と表記する。
【0023】
PW制御システム100は、自動車に搭載され、PW制御装置1、遠隔操作機2、およびその他の構成要素3〜9を含んでいる。
【0024】
PW制御装置1は、モータ3を駆動して、PW開閉機構4を作動させ、車両のドアに設けられた窓5の窓ガラス6を開閉動作させる。PW制御装置1は、本発明の「開閉体制御装置」の一例である。窓5および窓ガラス6は、本発明の「開閉体」の一例である。
【0025】
PW制御装置1には、制御部11、記憶部12、駆動部14、パルス検出部15、PW操作部16、受信部17、エンジン状態検出部18、およびドア状態検出部19が備わっている。
【0026】
制御部11は、マイクロコンピュータから成り、窓5の開閉を制御する。制御部11には、負荷検出部11a、挟み込み判定部11b、および閾値変更部11cが設けられている。記憶部12は、ROMやRAMなどのメモリから成る。
【0027】
駆動部14は、モータ3を正転または逆転で駆動させる回路から成る。ロータリエンコーダ7は、モータ3の回転に同期したパルスを出力する。パルス検出部15は、ロータリエンコーダ7から出力されたパルスを検出する回路から成る。
【0028】
PW操作部16は、窓5の開閉を操作するためのスイッチから成り、車内に設けられている。PW操作部16は、利用者により操作されて、その操作に応じた信号を出力する。制御部11は、PW操作部16から出力される信号に基づいて、PW操作部16の操作状態を検出する。PW操作部16は、本発明の「操作手段」の一例である。
【0029】
受信部17は、遠隔操作機2から送信された信号を受信する回路から成る。受信部17は、本発明の「受信手段」の一例である。
【0030】
IG−SW(イグニッションスイッチ)8は、運転者により操作されて、オンまたはオフの信号を出力する。エンジン状態検出部18は、IG−SW8が出力するオン・オフ信号に基づいて、エンジンが駆動または停止の状態にあることを検出する。エンジン状態検出部18は、本発明の「エンジン状態検出手段」の一例である。
【0031】
ドア開閉センサ9は、各ドアに設けられていて、ドアの開閉状態に応じてオンまたはオフの信号を出力する。ドア状態検出部19は、ドア開閉センサ9が出力するオン・オフ信号に基づいて、各ドアの開閉状態を検出する。ドア状態検出部19は、本発明の「ドア状態検出手段」の一例である。
【0032】
遠隔操作機2は、たとえばパッシブエントリーシステムのFOBキーまたは高機能携帯電話機(たとえばスマートフォン)から成り、利用者により携帯される。遠隔操作機2には、制御部21、PW操作部22、および送信部23が備わっている。
【0033】
制御部21は、マイクロコンピュータから成る。PW操作部22は、窓5の開閉を操作するためのスイッチまたはキーから成る。送信部23は、PW制御装置1に信号を送信する回路から成る。
【0034】
利用者がPW操作部22を開閉操作すると、その操作状態に応じた開閉指令を制御部21が生成する。そして、その開閉指令は、送信部23により送信され、PW制御装置1の受信部17により受信される。
【0035】
PW制御装置1の制御部11は、受信部17により受信した遠隔操作機2からの開閉指令、またはPW操作部16の開閉操作状態に応じて、駆動部14を制御して、モータ3を正転または逆転させる。これにより、PW開閉機構4が作動して、窓ガラス6が下降または上昇し、窓5が開閉される。
【0036】
そのとき、制御部11は、パルス検出部15により検出されたパルスに基づいて、窓ガラス6の開閉移動量やモータ3の回転速度を算出する。そして、制御部11は、その算出結果に基づいて、駆動部14によりモータ3の回転を制御する。負荷検出部11aは、モータ3の回転速度に基づいて、モータ3の負荷を検出する。制御部11は、本発明の「制御手段」の一例である。負荷検出部11aは、本発明の「負荷検出手段」の一例である。
【0037】
遠隔操作機2からの閉指令またはPW操作部16の閉操作に応じて、窓ガラス6を閉動作(上昇)させる際に、挟み込み判定部11bは、負荷検出部11aが検出したモータ3の負荷の変化量を算出する。そして、挟み込み判定部11bは、モータ3の負荷の変化量と所定の閾値とを比較するなどして、窓5への異物の挟み込みの有無を判定する。挟み込み判定部11bは、本発明の「判定手段」の一例である。
【0038】
上記の挟み込み判定用の閾値として、通常値と敏感値が設けられていて、これらは記憶部12に記憶されている。通常値は、たとえば、ドアが閉じた時の衝撃や、自動車の走行やエンジンの駆動といった振動により、モータ3の負荷が影響を受けても、挟み込み判定部11bにより窓5に異物を挟み込んだと誤検出しないような値に設定されている。敏感値は、通常値より敏感に窓5への異物の挟み込みを検出する値に設定されている。つまり、通常値より敏感値の方が、挟み込みを検出する感度が高くなっている。言い換えれば、通常値より敏感値の方が、小さなモータ3の負荷で挟み込みを検出する。
【0039】
閾値変更部11cは、記憶部12から通常値または敏感値を読み出して、挟み込み判定部11bに設定することで、挟み込み判定用の閾値を変更する。閾値変更部11cは、本発明の「変更手段」の一例である。
【0040】
次に、第1実施形態のPW制御装置1の動作を、
図2を参照しながら説明する。本動作は、窓5を閉じる場合の動作である。
【0041】
まず、閾値変更部11cが、挟み込み判定用の閾値として通常値を記憶部12から読み出して、挟み込み判定部11bに設定する(ステップS1)。次に、エンジンが停止状態か否かを検出する(ステップS2)。IG−SW8がオン状態にあれば、エンジンが停止状態にない(駆動状態である)ことをエンジン状態検出部18により検出する(ステップS2:NO)。そして、制御部11は、車内のPW操作部16で窓5の閉操作が有ったか否かを判定する(ステップS4)。
【0042】
一方、IG−SW8がオフ状態にあれば、エンジンが停止状態にあることをエンジン状態検出部18により検出する(ステップS2:YES)。そして、制御部11は、遠隔操作機2から窓5の閉指令を受信したか否かを判定する(ステップS3)。ここで、所定時間内に遠隔操作機2から窓5の閉指令を受信部17により受信しなければ(ステップS3:NO)、制御部11は、車内のPW操作部16で窓5の閉操作が有ったか否かを判定する(ステップS4)。
【0043】
利用者が車内のPW操作部16を閉操作すると、制御部11は、PW操作部16で窓5の閉操作が有ったと判定し(ステップS4:YES)、駆動部14によりモータ3を駆動して、窓ガラス6の閉動作を実行する(ステップS5)。
【0044】
窓ガラス6の閉動作中、挟み込み判定部11bが、負荷検出部11aにより検出されたモータ3の負荷の変化量と、閾値(この場合「通常値」)とを比較して、窓5への異物の挟み込みの有無を判定する(ステップS6)。
【0045】
モータ3の負荷の変化量が閾値より小さければ、挟み込み判定部11bは挟み込みが無いと判定する(ステップS6:NO)。この場合、制御部11は、内部操作(PW操作部16)の閉動作条件から外れたか否かを判定する(ステップS7)。
【0046】
たとえば、ステップS4で行われたPW操作部16のマニュアル閉操作が、ステップS7まで継続されている場合や、PW操作部16が、ステップS4でオート閉操作されてから、ステップS7まで操作されていない場合は、ステップS7でPW操作部16による閉操作が有効になっている。このことに加えて、窓ガラス6の移動量から、窓ガラス6が全閉位置に到達していないことを検出すると、制御部11は、内部操作の閉動作条件から外れていないと判定する(ステップS7:NO)。
【0047】
このように、内部操作の閉動作条件から外れていなければ、制御部11により窓ガラス6の閉動作が継続され、挟み込み判定部11bにより再び挟み込みの判定が行われる(ステップS6)。
【0048】
一方、たとえば、ステップS4で行われたPW操作部16のマニュアル閉操作が、ステップS7で解除されている場合や、PW操作部16が、ステップS4でオート閉操作されてから、ステップS7までに他の開閉操作状態に操作された場合は、ステップS7でPW操作部16による閉操作が無効になっている。このため、制御部11は、内部操作の閉動作条件から外れたと判定する(ステップS7:YES)。また、たとえば、窓ガラス6が全閉位置に到達した場合も、制御部11は、内部操作の閉動作条件から外れたと判定する(ステップS7:YES)。
【0049】
このように、内部操作の閉動作条件から外れると、制御部11は、モータ3の駆動を停止して、窓ガラス6の閉動作を停止する(ステップS8)。この後、ステップS1から再び各処理が実行される。
【0050】
また、窓ガラス6の閉動作中に、モータ3の負荷の変化量が閾値以上になれば、挟み込み判定部11bは、挟み込みが有ると判定する(ステップS6:YES)。この場合、制御部11は、モータ3の駆動を停止して、窓ガラス6の閉動作を停止した後、モータ3を反転させて、窓ガラス6の開動作を所定量実行する(ステップS9)。他の例として、窓ガラス6の閉動作を停止させるだけでもよい。ステップS9の後、ステップS1から再び各処理が実行される。
【0051】
一方、エンジンの停止状態で(ステップS2:YES)、利用者が遠隔操作機2のPW操作部22を閉操作すると、遠隔操作機2から窓5の閉指令が送信される。この窓5の閉指令を受信部17により受信すると(ステップS3:YES)、閾値変更部11cが、挟み込み判定用の閾値として敏感値を記憶部12から読み出して、挟み込み判定部11bに設定する(ステップS10)。
【0052】
そして、制御部11が、駆動部14によりモータ3を駆動して、窓ガラス6の閉動作を実行する(ステップS11)。また、挟み込み判定部11bが、負荷検出部11aにより検出されたモータ3の負荷の変化量と、閾値(この場合「敏感値」)とを比較して、窓5への異物の挟み込みの有無を判定する(ステップS12)。
【0053】
モータ3の負荷の変化量が閾値以上になると、挟み込み判定部11bは、挟み込みが有ると判定する(ステップS12:YES)。この場合、制御部11は、モータ3の駆動を停止して、窓ガラス6の閉動作を停止した後、モータ3を反転させて、窓ガラス6の開動作を所定量実行する(ステップS13)。他の例として、窓ガラス6の閉動作を停止させるだけでもよい。ステップS13の後、ステップS1に戻って、閾値変更部11cにより挟み込み判定用の閾値が通常値に変更され、以降の各処理が再び実行される。
【0054】
また、モータ3の負荷の変化量が閾値より小さければ、挟み込み判定部11bは挟み込みが無いと判定する(ステップS12:NO)。この場合、制御部11は、遠隔操作(遠隔操作機2)の閉動作条件から外れたか否かを判定する(ステップS14)。
【0055】
たとえば、遠隔操作機2のPW操作部22がマニュアル閉操作されて、ステップS3からステップS14までの間に、遠隔操作機2から窓5の閉指令を連続または断続で受信部17により受信している場合は、ステップS14で遠隔操作機2の閉指令が有効になっている。また、たとえば、PW操作部22がオート閉操作されて、ステップS3で遠隔操作機2から窓5の閉指令を受信部17により受信してから、ステップS14まで遠隔操作機2より他の開閉指令を受信していない場合も、ステップS14で遠隔操作機2の閉指令が有効になっている。
【0056】
このように、遠隔操作機2の閉指令が有効であることに加えて、エンジンが停止状態にあることをエンジン状態検出部18により検出し、かつ窓ガラス6が全閉位置に到達していないことを検出すると、制御部11は、遠隔操作の閉動作条件から外れていないと判定する(ステップS14:NO)。そして、制御部11により窓ガラス6の閉動作が継続され、挟み込み判定部11bにより再び挟み込みの判定が行われる(ステップS12)。
【0057】
一方、たとえば、遠隔操作機2のPW操作部22がマニュアル閉操作されて、ステップS3で遠隔操作機2から窓5の閉指令を受信した後、ステップS14までに該閉指令を連続または断続で受信部17により受信しなくなった場合は、ステップS14で遠隔操作機2の閉指令が無効になっている。また、たとえば、PW操作部22がオート閉操作されて、ステップS3で遠隔操作機2から窓5の閉指令を受信部17により受信した後、ステップS14までに遠隔操作機2から他の開閉指令を受信した場合も、ステップS14で遠隔操作機2の閉指令が無効になっている。このように、遠隔操作機2の閉指令が無効であると、制御部11は、遠隔操作の閉動作条件から外れたと判定する(ステップS14:YES)。
【0058】
また、たとえば、エンジンが駆動状態にあることをエンジン状態検出部18により検出した場合や、窓ガラス6が全閉位置に到達したことを検出した場合も、制御部11は、遠隔操作の閉動作条件から外れたと判定する(ステップS14:YES)。
【0059】
このように、遠隔操作の閉動作条件から外れると、制御部11は、モータ3の駆動を停止して、窓ガラス6の閉動作を停止する(ステップS15)。この後、ステップS1に戻って、閾値変更部11cにより挟み込み判定用の閾値が通常値に変更され、以降の各処理が再び実行される。
【0060】
上記第1実施形態によると、自動車のエンジンが停止した状態で、遠隔操作機2からの閉指令により、窓5の窓ガラス6を閉動作させる場合に、挟み込みの判定用の閾値が通常値から敏感値に変更される。このため、窓5に異物が挟み込まれても、モータ3の負荷の変化量と敏感値との比較により、該挟み込みを素早く検出することができる。言い換えると、窓5への異物の挟み込みにより、通常よりも軽い力がモータ3に加わることで、該挟み込みを検出することができる。よって、遠隔操作によりパワーウインドウの窓ガラス6を閉動作させる場合に、窓5への異物の挟み込みの検出精度を向上させることが可能となる。
【0061】
また、エンジンの停止時は、自動車が駐車状態にあるため、走行やエンジンの駆動による振動などの外乱が作用することは無い。よって、エンジンが停止状態で、挟み込みの判定用の閾値を敏感値に変更しても、走行やエンジンの駆動による振動などの外乱により、挟み込みを誤検出するのを防止することが可能となる。
【0062】
また、窓ガラス6の閉動作を停止した後、挟み込み判定用の閾値が敏感値から通常値に変更される。このため、次に、エンジンの駆動状態で、遠隔操作により窓ガラス6を閉動作させる場合や、内部操作により窓ガラス6を閉動作させる場合に、モータ3の負荷の変化量と通常値との比較により、挟み込みの有無を判定することができる。そして、自動車の走行やエンジンの駆動などの振動による、挟み込みの誤検出を防止することが可能となる。
【0063】
次に、第2実施形態のPW制御装置1の動作を、
図3を参照しながら説明する。本動作も、窓5を閉じる場合の動作である。
【0064】
閾値変更部11cが、挟み込み判定用の閾値として通常値を挟み込み判定部11bに設定した(ステップS1)後、制御部11は、エンジンの状態と各ドアの状態を確認する(ステップS2’)。ここで、IG−SW8とエンジン状態検出部18によりエンジンが停止状態にないことを検出した場合、またはドア開閉センサ9とドア状態検出部19により全ドアが閉状態にないことを検出した場合(ステップS2’:NO)、制御部11は、車内のPW操作部16で窓5の閉操作が有ったか否かを判定する(ステップS4)。
【0065】
一方、エンジンが停止状態にあることを検出し、かつ全ドアが閉状態にあることを検出した場合(ステップS2’:YES)、制御部11は、遠隔操作機2から窓5の閉指令を受信したか否かを判定する(ステップS3)。そして、所定時間内に遠隔操作機2からの窓5の閉指令を受信部17により受信すると(ステップS3:YES)、閾値変更部11cが、挟み込み判定用の閾値として敏感値を挟み込み判定部11bに設定する(ステップS10)。
【0066】
次に、制御部11が、モータ3を駆動して、窓ガラス6の閉動作を実行する(ステップS11)。また、挟み込み判定部11bが、モータ3の負荷の変化量と閾値(この場合「敏感値」)とを比較して、窓5への異物の挟み込みの有無を判定する(ステップS12)。
【0067】
そして、挟み込み判定部11bにより挟み込みが無いと判定されると(ステップS12:NO)、制御部11は、遠隔操作の閉動作条件から外れたか否かを判定する(ステップS14’)。この場合の遠隔操作の閉動作条件には、遠隔操作機2の閉指令が有効であること、エンジンが停止状態にあること、および窓ガラス6が全閉位置に到達していないことに加えて、全ドアが閉状態にあることが含まれる。
【0068】
そのため、遠隔操作機2の閉指令が有効であり、かつエンジンが停止状態にあり、かつ窓ガラス6が全閉位置に到達しておらず、かつ全ドアが閉状態にある場合は、制御部11が、遠隔操作の閉動作条件から外れていないと判定する(ステップS14’:NO)。そして、制御部11により窓ガラス6の閉動作が継続され、挟み込み判定部11bにより再び挟み込みの判定が行われる(ステップS12)。
【0069】
一方、遠隔操作機2の閉指令が無効である場合、エンジンが駆動状態にある場合、窓ガラス6が全閉位置に到達している場合、またはいずれかのドアが
開状態にある場合は、制御部11が、遠隔操作の閉動作条件から外れたと判定する(ステップS14’:YES)。そして、制御部11は、モータ3の駆動を停止して、窓ガラス6の閉動作を停止する(ステップS15)。この後、ステップS1に戻って、閾値変更部11cにより挟み込み判定用の閾値が通常値に変更され、以降の各処理が再び実行される。
【0070】
上記第2実施形態によると、エンジンの停止状態でかつ全ドアの閉状態で、遠隔操作機2からの閉指令により窓ガラス6を閉動作させる場合に、挟み込みの判定用の閾値が通常値から敏感値に変更されるので、窓5への異物の挟み込みを素早く検出することができる。よって、遠隔操作によりパワーウインドウの窓ガラス6を閉動作させる場合に、窓5への異物の挟み込みの検出精度を向上させることが可能となる。また、全ドアが閉状態にあるため、ドアが閉じた時の衝撃などの外乱が作用することは無い。よって、全ドアが閉状態で、挟み込みの判定用の閾値を敏感値に変更しても、ドアが閉じた時の衝撃などの外乱により、挟み込みを誤検出するのを防止することが可能となる。
【0071】
また、窓ガラス6の閉動作を停止した後、挟み込み判定用の閾値が敏感値から通常値に変更される。このため、次に、エンジンの駆動状態やドアの開状態で窓ガラス6を閉動作させる場合、または内部操作により窓ガラス6を閉動作させる場合に、モータ3の負荷の変化量と通常値との比較により、挟み込みの有無を判定することができる。そして、自動車の走行やエンジンの駆動などの振動、またはドアが閉じた時の衝撃による、挟み込みの誤検出を防止することが可能となる。
【0072】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、以上の実施形態では、IG−SW8のオン・オフ状態に基づいて、エンジンの駆動・停止状態を検出した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、エンジンの駆動による振動を検出するセンサからの出力信号や、エンジンの駆動・停止を制御するECU(電子制御装置)からの出力信号などに基づいて、エンジンの駆動・停止状態を検出してもよい。
【0073】
また、以上の実施形態では、ドア開閉センサ9からの出力信号に基づいて、ドアの閉状態を検出した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、ドアの施錠検出用のセンサやスイッチ、またはECUなどからの出力信号に基づいて、ドアが施錠状態にあることを検出した場合に、ドアが閉状態にあると判断してもよい。
【0074】
また、以上の実施形態では、モータ3の回転速度に基づいて、モータ3の負荷を検出した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、モータ3に流れる電流に基づいて、モータ3の回転数や回転速度を検出し、それらからモータ3の負荷を検出してもよい。その場合、ロータリエンコーダ7やパルス検出部15を省略することができる。
【0075】
さらに、以上の実施形態では、自動車のPW(パワーウインドウ)制御装置1に本発明を適用した例を挙げたが、これに限るものではない。これ以外の、たとえば電動式開閉ルーフなどのような、車両の開閉体の開閉動作を制御する開閉体制御装置に対しても、本発明を適用することは可能である。