(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の前記指部は、それぞれ、前記屈曲部に対して先端側の先端部と、前記屈曲部に対して基端側に設けられる中節部と、前記先端部に接続され前記中節部を貫通して前記支持部側に配置された線状部材とを有し、
前記駆動部は、それぞれの前記線状部材のうち前記支持部側に配置された側の端部に接続され、前記線状部材に引張力を付与する駆動源を有する
請求項1に記載のロボットハンド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術では、指部が支持部(掌部)から分離された状態から組み立てる必要があるため、組み立て作業に相当のスキルと作業時間が必要である。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明は、組み立てる際の能力的負担を低減し、作業時間が大幅に短縮可能なロボットハンド用の把持部材、ロボットハンド、ロボットハンド用の把持部材の製造方法及びロボット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロボットハンド用の把持部材は、所定方向に屈曲可能な屈曲部を有する
複数の指部、及び、前記指部と一体に設けられ曲げることが可能な曲げ可能部分を有し前記
複数の指部を支持する支持部、を有する把持部材と、前記把持部材を着脱可能に保持する保持部を有し、前記指部を駆動する駆動部とを備え、前記屈曲部は、第一屈曲部と、前記第一屈曲部とは厚さの異なる第二屈曲部と、を含
み、前記曲げ可能部分は、ヒンジ部により構成されており、前記支持部は、前記ヒンジ部において曲げられた状態で、該支持部の両端部にそれぞれ設けられた第一部分と第二部分とを互いに係合させることで、前記両端部が固定されている。
【0007】
本発明によれば、所定方向に屈曲可能な屈曲部を有する指部と支持部とが一体に設けられているため、組み立ての際には指部を支持部に取り付ける作業を行わなくても済む。また、支持部には曲げ可能部分が設けられており、作業者は組み立ての際に当該曲げ可能部分を曲げるだけの作業を行えばよい。これにより、組み立てる際の能力的負担を低減し、作業時間が大幅に短縮される。
【0008】
上記のロボットハンド用の把持部材において、前記指部は、複数設けられていることが好ましい。
本発明によれば、指部が複数設けられているため、多様な形状の対象物を把持することが可能となる。
【0009】
上記のロボットハンド用の把持部材は、前記曲げ可能部分は、前記支持部のうち隣り合う前記指部の間に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、曲げ可能部分が支持部のうち隣り合う指部の間に設けられているため、曲げ可能部分において支持部を曲げることにより指部同士を対向させることができる。
【0010】
上記のロボットハンド用の把持部材において、前記曲げ可能部分は、溝部を有することが好ましい。
本発明によれば、曲げ可能部分が溝部を有するため、支持部を曲げやすくすることができる。
【0011】
上記のロボットハンド用の把持部材において、前記曲げ可能部分は、開口部を有することが好ましい。
本発明によれば、曲げ可能部分が開口部を有するため、支持部を曲げやすくすることができる。
【0012】
上記のロボットハンド用の把持部材において、前記支持部は、前記曲げ可能部分において曲げられた状態で互いに係合される第一部分及び第二部分を有することが好ましい。
本発明によれば、支持部が曲げ可能部分において曲げられた状態で第一部分と第二部分とが係合されるため、支持部を曲げた状態が維持されることになる。
【0013】
上記のロボットハンド用の把持部材において、前記指部は、3本設けられており、3本の前記指部は、前記支持部の前記第一部分及び前記第二部分が係合された状態で所定の位置関係となるように設けられていることが好ましい。
本発明によれば、指部が3本設けられており、支持部の第一部分及び第二部分が係合された状態で3本の指部が所定の位置関係となるように設けられているため、第一部分と第二部分とを係合させるだけで3本の指部の位置を合わせることができる。
【0014】
上記のロボットハンド用の把持部材において、前記指部は、前記屈曲部に対して先端側の先端部と、前記屈曲部に対して基端側の基端部と、前記先端部に接続され、前記基端部を貫通して前記支持部側に配置された線状部材とを有することが好ましい。
本発明によれば、指部が屈曲部に対して先端側の先端部と、屈曲部に対して基端側の基端部と、先端部に接続され基端部を貫通して支持部側に配置された線状部材とを有するため、線状部材を先端側から基端側へ引くことにより、指部の屈曲動作を行うことが可能となる。
【0015】
本発明に係るロボットハンドは、所定方向に屈曲可能な屈曲部を有する指部、及び、前記指部と一体に設けられ曲げることが可能な曲げ可能部分を有し前記指部を支持する支持部、を有する把持部材と、前記把持部材を着脱可能に保持する保持部を有し、前記指部を駆動する駆動部とを備える。
【0016】
本発明によれば、一体に設けられた指部と支持部とを有する把持部材を保持部に対して着脱させることで、把持部材と駆動部とを接続させることができるため、組み立て時の作業時間が大幅に短縮される。また、把持部材を容易に交換することができるため、把持部材の用途が広がることになる。
【0017】
上記のロボットハンドにおいて、前記指部は、複数設けられており、複数の前記指部は、それぞれ、前記屈曲部に対して先端側の先端部と、前記屈曲部に対して基端側の基端部と、前記先端部に接続され前記基端部を貫通して前記支持部側に配置された線状部材とを有し、前記駆動部は、それぞれの前記線状部材のうち前記支持部側に配置された側の端部が接続される駆動源を有することが好ましい。
本発明によれば、指部が複数設けられており、複数の前記指部がそれぞれ屈曲部に対して先端側の先端部と、屈曲部に対して基端側の基端部と、先端部に接続され基端部を貫通して支持部側に配置された線状部材とを有し、駆動部がそれぞれの線状部材のうち支持部側に配置された側の端部が接続される駆動源を有するため、複数の指部を屈曲させることができる。なお、複数の指部の屈曲動作のタイミングを合わせることにより、複数の指部の屈曲動作を同期させることも可能である。
【0018】
本発明に係るロボットハンド用の把持部材の製造方法は、所定方向に屈曲可能な屈曲部を有する指部と、曲げることが可能な曲げ可能部分を有し、前記指部を支持する支持部とを備えるロボットハンド用の把持部材の製造方法であって、前記指部と前記支持部とが一体となるように当該指部及び当該支持部を形成する一体形成工程を含む。
【0019】
本発明によれば、指部と支持部とを一体化する工程を含むため、指部と支持部とが一体に設けられた構成の把持部材を製造することができる。これにより、把持部材を組み立てる際に指部を支持部に取り付ける作業を行わなくても済むため、作業時間が大幅に短縮される。
【0020】
上記のロボットハンド用の把持部材の製造方法において、前記一体形成工程は、前記指部と前記支持部とを一体として成型することを含むことが好ましい。
本発明によれば、指部と支持部とを一体として成型することとしたので、指部と支持部とが一体に設けられた把持部材を一工程で形成することができる。これにより、把持部材を効率的に製造することができる。
【0021】
上記のロボットハンド用の把持部材の製造方法において、前記一体形成工程は、予め形成された前記指部及び前記支持部を所定位置に配置することと、配置された前記指部及び前記支持部を成型によって一体とすることとを含むことが好ましい。
本発明によれば、別途形成された指部及び支持部を成型によって連結することで一体化するため、成型によって形成する部分が少なくて済む。これにより、成型時の不良品の発生を抑制することができ、歩留まりを向上させることができる。
【0022】
上記のロボットハンド用の把持部材の製造方法において、前記一体形成工程は、予め形成された前記指部及び前記支持部を接着によって一体とすることを含むことが好ましい。
本発明によれば、指部及び支持部を接着によって一体とするため、容易に一体化させることができる。
【0023】
本発明に係るロボット装置は、所定方向に屈曲可能な屈曲部を有する指部、及び、前記指部と一体に設けられ曲げることが可能な曲げ可能部分を有し前記指部を支持する支持部、を有する把持部材と、前記把持部材を着脱可能に保持する保持部を有し前記指部を駆動する駆動部とを備えるロボットハンドと、前記ロボットハンドを制御する制御部とを備える。
【0024】
本発明によれば、組み立てる際の能力的負担を低減し、作業時間の短縮化を図ることが可能なロボット装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
[把持部材]
図1は、本実施形態に係るロボットハンド用の把持部材100の構成を示す斜視図である。
図1に示す把持部材100は、例えば工具や部品などの対象物を把持する産業用ロボットの把持部分として用いられる。なお、把持部材100は、産業用ロボットに限られず、他の用途(宇宙関連、医薬関連、食品関連、遊具など)に用いられてもよい。
【0027】
把持部材100は、複数例えば3つの指部10(第一指部10A、第二指部10B、第三指部10C)と、当該指部10を支持する支持部20と、指部10及び支持部20に接続されたワイヤー部材30とを備えている。
【0028】
3つの指部10は、それぞれ中心軸AXを中心とした円周上に並んで配置されている。3つの指部10は、配列方向(中心軸AXを中心とした円周方向)に等間隔で配置されている。したがって、3つの指部10は、中心軸AXを中心として円周方向に120°ずつおいて配置されている。指部10は、例えば全体がゴム等の弾性変形可能な樹脂材料を用いて形成されている。
【0029】
各指部10は、先端部11、第一屈曲部12、中節部13及び第二屈曲部14を有している。指部10の先端側に先端部11が配置されており、指部10の基端側(支持部20側)には中節部13及び第二屈曲部14(基端部)が配置されている。指部10は、第二屈曲部14において支持部20に接続されている。
【0030】
先端部11は、把持部材100の爪部分に配置されている。中節部13は、先端部11と支持部20との中間に配置されている。第一屈曲部12は、先端部11と中節部13との間に配置されている。第二屈曲部14は、中節部13と支持部20との間に配置されている。
【0031】
先端部11、第一屈曲部12、中節部13及び第二屈曲部14は、幅方向(長手方向に直交する方向)の寸法が等しくなっている。一方、第一屈曲部12及び第二屈曲部14は、先端部11及び中節部13に比べて厚さが薄く形成されている。このため、第一屈曲部12及び第二屈曲部14は、厚さ方向に対して屈曲あるいは湾曲可能となっている。なお、第一屈曲部12及び第二屈曲部14は、幅方向の寸法及び厚さ方向の寸法を大きくすることにより、断面二次モーメントが大きくなるため、屈曲あるいは湾曲しにくくなる。したがって、断面二次モーメントを考慮して第一屈曲部12及び第二屈曲部14を設計することにより、最適な曲がり具合を実現することが可能となる。また、詳細には、指部10(及び当該指部10を搭載したロボットハンド)の構造は、指部10と対象物の接触面積、指部10が対象物に加える接触力が最大になるように、有限要素解析又は幾何学的、力学的な状態をモデル化した以下の[数1]で示す解析式を用いて決定する。
【0033】
ただし、上記[数1]において、δ
B、δ´
Bは、以下の[数2]を満たす。
【0035】
上記[数1]、[数2]においては、
図29(a)及び
図29(b)に示すように、第一屈曲部12と中節部13との接続部に点Aを設け、第一屈曲部12と先端部11との接続部(以下、第一接続部と表記する)に点Bを設け、ワイヤー部材30と先端部11との接続部(以下、第二接続部と表記する)に点Cを設けた場合をモデルとしている。この場合、aは第一屈曲部12の曲がり具合(曲率)を示し、bは第一接続部と第二接続部との距離(梁の長さ)を示し、lは弾性体の長さ、Eはヤング率、Iは断面二次モーメントを示す。Wは、ワイヤー部材30を引っ張る力である。また、W
N及びW
Tは、力Wを分解したときの成分である。
【0036】
また、先端部11及び中節部13は、第一屈曲部12及び第二屈曲部14よりも厚さが厚く形成されており、対象物を把持可能な程度の剛性を有している。
【0037】
指部10は、基端側から先端側にかけて、直線状に形成されているのではなく、中心軸AXに対して反り返った形状となっている。このため、3つの指部10は、先端側が広がった状態となっている。これにより、幅広な対象物であっても把持可能な構成となっている。また、指部10は弾性変形可能な樹脂材料によって形成されているため、指部10が直線状に形成される場合に比べて、指部10が屈曲した状態から伸びた状態に戻る際に弾性力が強く作用することになる。
【0038】
支持部20は、3つのベース部21(第一ベース部21A、第二ベース部21B、第三ベース部21C)及び連結部(曲げ可能部分)22を有している。ベース部21は、3つの指部10の接続先である。すなわち、第一ベース部21Aには、第一指部10Aが接続されている。第二ベース部21Bには、第二指部10Bが接続されている。第三ベース部21Cには、第三指部10Cが接続されている。
【0039】
3つのベース部21は、中心軸AXを中心とした円筒面に沿って配置されている。3つのベース部21は、配列方向(中心軸AXを中心とした円筒面の周方向)に等間隔で配置されている。各ベース部21は、矩形の板状に形成されている。3つのベース部21のうち隣り合うベース部21同士の間は、連結部22によって連結されている。
【0040】
連結部22は、ベース部21に比べて厚さが薄くなるように形成されている。このため、連結部22は、厚さ方向に対して屈曲又は湾曲可能となっている。連結部22はゴム等の樹脂材料によって形成されているため、このときの屈曲又は湾曲は、弾性変形である。このため、連結部22を屈曲させる又は湾曲させる力が解除されると元の形に復元するようになっている。
【0041】
一方、ベース部21は、3つの指部10及び当該3つの指部10によって把持される対象物の重力が加わる部分であるため、これらの重力を受けても変形しない程度の剛性を有している。ベース部21を構成する材料としては、樹脂材料に限られず、ガラスや金属などの剛性を有する材料であってもよい。ベース部21の剛性を高くするほど、指部10や対象物の重力に対して強くなる。
【0042】
上記構成において、3つの指部10と、支持部20とは、一体に形成されている。
図2は、把持部材100を展開した図である。
図2に示すように、3つの指部10及び支持部20は、一平面に沿って形成された状態で形成されている。
図2に示す状態から支持部20の一部(連結部22)を曲げることにより、
図1に示すような立体構造物となる。
【0043】
なお、
図2に示すように、連結部22には、溝部22a及び22bが形成されている。連結部22のうち溝部22a及び22bが形成される部分は、他の部分に比べて厚さが薄いため、連結部22が屈曲又は湾曲する場合に曲がりやすい。このため、連結部22は溝部22a及び22bに沿って屈曲又は湾曲することになる。
【0044】
連結部22は、3つの指部10のうち隣り合う指部10の間に対応する位置に配置されている。このため、連結部22が曲がることにより、隣り合う指部10の向きが変化する。連結部22の曲がる角度を調整することにより、3つの指部10の向きを調整することができる。本実施形態では、各連結部22が60°の角度で曲がった状態であれば、各指部10の先端部11及び中節部13が中心軸AXに向けられることになる。
【0045】
図3は、指部10の内部構造を示す断面図である。
図1〜
図3に示すように、ワイヤー部材30は、指部10の先端部11に固定されている。例えば、ワイヤー部材30の第一端部が先端部11の内部に埋め込まれている。このワイヤー部材30の他の端部である第二端部は、中節部13及びベース部21の内部を貫通し、ベース部21の底部21aから引き出されている。
【0046】
図3に示すように、中節部13には、ワイヤー部材30を貫通させるための管部31が埋め込まれている。同様に、ベース部21には、ワイヤー部材30を貫通させるための管部32が埋め込まれている。管部31及び管部32は、例えば樹脂材料や金属材料などを用いて形成されている。なお、これらの管部31及び管部32を設けることなく、それぞれ中節部13及びベース部21に貫通孔のみが設けられた構成であってもよい。
【0047】
図3に示す構成において、指部10が背側に反った状態(第一状態S1)でワイヤー部材30を図中下方向に引っ張ることにより、ワイヤー部材30に張力が作用して先端部11が引っ張られる。本実施形態の構成では、ワイヤー部材30が指部10の腹側に引き回されているため、ワイヤー部材30の張力によって先端部11は中心軸AX側に近づくように移動し、当該移動により第一屈曲部12が指部10の腹側に曲げられる。なお、ワイヤー部材30が上記とは反対に指部10の背側に引き回されている場合には、ワイヤー部材30の張力によって指部10の反りが大きくなる方向(指部10の背側)に第一屈曲部12が曲げられる。
【0048】
また、ワイヤー部材30を引っ張った場合、先端部11の移動及び第一屈曲部12の屈曲又は湾曲に伴い、中節部13についても指部10の腹側へ移動する。中節部13の移動により、第二屈曲部14が指部10の腹側に曲げられる。この動作により、先端部11は中心軸AXにより近づき、指部10の先端部11が腹側へ巻き込まれた状態(
図3の第二状態S2:二点鎖線で示す)となる。
【0049】
一方、第二状態S2は、指部10がワイヤー部材30の張力によって弾性変形している状態である。したがって、指部10が第二状態S2となっているときに、ワイヤー部材30の張力を解消すると、指部10は弾性変形の復元力によって第一状態S1に復元する。したがって、第二状態S2から第一状態S1に戻すには、ワイヤー部材30の張力を解消すればよい。指部10が第一状態に戻ることにより、第一屈曲部12及び第二屈曲部14は元の伸びた形状に戻され、先端部11及び中節部13は元の位置に戻される。
【0050】
このように、ワイヤー部材30に張力を付与したり、当該張力の付与を解消したりすることにより、指部10を屈曲又は伸張させることができる。
図1に示す3つの指部10に接続されるワイヤー部材30を用いて上記動作を行った場合、第一指部10A〜第三指部10Cの3つの指部10がそれぞれ屈曲運動を行う。
【0051】
3つのワイヤー部材30を同時に引っ張ることで3つの指部10が屈曲する場合、当該3つの指部10に囲まれる位置に対象物が配置されていれば、3つの指部10は当該対象物を把持することができる。また、対象物を把持した状態から3つのワイヤー部材30の張力を解消することで3つの指部10が伸張する場合、当該3つの指部10による対象物の把持が解消される。
【0052】
図4(a)〜
図4(d)は、
図2に示す展開された把持部材100を、
図1に示す立体構造の把持部材100に組み立てる様子を示す図である。このように、
図4(a)において左右方向の端部にそれぞれ設けられる連結部22は、溝部22a及び22bが形成された連結部22を60°に曲げることにより、互いに当接されることになるこの場合、2つの連結部22を所定の固定手法によって固定することで、把持部材100が立体構造の状態を維持することができる。
【0053】
なお、把持部材100の構成としては、上記構成に限られず、他の構成であってもよい。例えば、
図5(a)〜
図5(f)は、把持部材の構成を示す斜視図である。
図5(a)は、上記の把持部材100を示している。これに対して、
図5(b)に示す把持部材100Bのように、指部10が4つ設けられており、支持部20Bにおいてはベース部21が4つ設けられた構成であってもよい。また、
図5(c)に示す把持部材100Cのように、指部10が5つ設けられており、支持部20Cにおいてはベース部21が5つ設けられた構成であってもよい。
【0054】
一方、
図5(a)に示す構成に対して、
図5(d)に示す把持部材100Dのように、指部110が2つの中節部(第一中節部113及び第二中節部115)を有する構成であってもよい。なお、この場合、先端部111と第一中節部113との間には第一屈曲部112が設けられ、第一中節部113と第二中節部115との間には第二屈曲部114が設けられ、第二中節部115と支持部20との間には第三屈曲部116が設けられる。
【0055】
また、
図5(e)に示す把持部材100Eのように、上記の指部110が4つ設けられており、支持部20Eにおいてはベース部21が4つ設けられた構成であってもよい。また、
図5(f)に示す把持部材100Fのように、指部110が5つ設けられており、支持部20Fにおいてはベース部21が5つ設けられた構成であってもよい。
【0056】
また、上記把持部材100では、支持部20が直線状に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、
図6に示す把持部材101のように、支持部20が、平面視において、3つの指部10同士の間の部分で120°ずつ折れ曲がるように構成されていてもよい。また、
図7に示す把持部材102のように、支持部20が、平面視において、湾曲された構成であってもよい。
【0057】
また、上記把持部材100では、
図3(d)に示すように、支持部20の端部同士を接続させる場合に不図示の固定手法によって固定させる構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、
図8に示す支持部320のように、ベース部321同士がヒンジ部322によって連結され、支持部320の両端部には第一係合部(第一部分)323と第二係合部(第二部分)324とが設けられた構成であってもよい。この場合、第一係合部323と第二係合部324とが互いに係合しあうことで、支持部320の両端部が固定されることとなる。
【0058】
また、上記把持部材100では、1つのベース部21に対して1つの指部10が接続された構成であったが、これに限られることは無い。例えば
図9(a)及び
図9(b)に示す把持部材103のように、1つのベース部21に対して複数の指部10が接続された構成であってもよい。なお、
図9(a)は把持部材103を展開した構成を示す図であり、
図9(b)は把持部材103を組み立てた状態の構成を示す図である。また、
図9(b)に示すように、組み立てた状態で指部10同士の腹側が対向配置されるように指部10が配置されていてもよい。これにより、基板などの板状部材を把持しやすい構成を実現することができる。
【0059】
次に、上記のように構成された把持部材の製造方法を説明する。なお、以下の製造方法の説明では、把持部材101について説明するが、他の把持部材(把持部材100、100B〜100F、102、103など)においても同様の説明が可能である。把持部材の製造方法は、指部10と支持部20とを一体化する一体形成工程を含んでいる。以下、当該一体形成工程を説明する。
【0060】
まず、複数の指部10を個別に成型する。例えば
図10に示すように、指部10の形状に対応する形状の凹部402を有する型401を用意する。次に、
図11に示すように、当該型401の凹部402にワイヤー部材30の先端及び管部31、32を収容させると共に、これらワイヤー部材30の先端、管部31及び32を仮固定部材401aによって仮固定する。
【0061】
この状態で、
図12に示すように、凹部402に軟かい樹脂(以下、軟樹脂と表記する)410を流し込み、当該軟樹脂410を硬化させる。これにより、ワイヤー部材30の先端、管部31及び32が軟樹脂410の内部に埋め込まれる。流し込んだ軟樹脂410が固まった後、凹部402内に先端部11、第一屈曲部12、中節部13、第二屈曲部14及び接続片15が形成される。その後、
図13に示すように、凹部402に形成された内容物を取り出して指部10(接続片15を含む)を得る。
【0062】
次に、成型によって得られた複数の指部10と支持部20とを一体化する。例えば、
図14に示すように、支持部20の形状に対応する形状の凹部404を有する型403を用意する。次に、
図15に示すように、当該型403の凹部404に、指部10を配置させる。このとき、指部10のうち接続片15を凹部404に収容させるように指部10を配置する。なお、接続片15の位置合わせを行うガイド部などが凹部404に形成されていてもよい。
【0063】
次に、
図16に示すように、指部10が所定の傾きを維持するように仮固定部材403aによって仮固定する。その後、
図17に示すように、凹部404に軟樹脂420を流し込み、当該軟樹脂420を硬化させる。これにより、各指部10の接続片15が軟樹脂420の内部に埋め込まれる。流し込んだ軟樹脂420が固まった後、
図18に示すように、凹部404内にベース部21及び連結部22が形成される。その後、
図19に示すように、凹部404に形成された内容物を取り出して把持部材101を得る。
【0064】
なお、上記においては、一体形成工程として、指部10と支持部20とを一体化する際に、予め形成しておいた指部10を用いて支持部20の成型を行うこととしたが、これに限られることは無い。例えば、指部10と支持部20とを一工程で一体に成型するようにしてもよい。また、指部10と支持部20とを別個に成型し、接着剤などによって接合してもよい。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、屈曲可能な第一屈曲部12及び第二屈曲部14を有する指部10(第一指部10A〜第三指部10C)と支持部20とが一体に設けられているため、組み立ての際には指部10を支持部20に取り付ける作業を行わなくても済む。また、支持部20には曲げ可能な連結部22が設けられており、作業者は組み立ての際に当該連結部22を曲げるだけの作業を行えばよい。これにより、組み立てる際のスキルは不要であり、作業時間が大幅に短縮される。
【0066】
[ロボットハンド]
図20は、上記構成の把持部材100を備えるロボットハンドHの構成を示す斜視図である。
ロボットハンドHは、上記構成の把持部材100と、当該把持部材100に設けられる各指部10を駆動する駆動部ACTと、当該駆動部ACTを制御する制御部CONTとを備えている。
【0067】
駆動部ACTは、把持部材100を着脱可能に保持する保持部HLDを有している。把持部材100を保持部HLDに対して着脱させることで、把持部材100を容易に交換することができる。また、各指部10に設けられたワイヤー部材30のうち支持部20から引き出された部分の端部は、駆動源109に接続されている。駆動源109は、各ワイヤー部材30を個別に駆動することが可能となっている。制御部CONTは、駆動源109の動作を制御可能である。例えば、3つのワイヤー部材30を別々に制御したり、3つのワイヤー部材30を同期させて制御したりすることが可能である。
【0068】
このように、一体に設けられた指部10と支持部20とを有する把持部材100を保持部HLDに対して着脱させることで、把持部材100と駆動部ACTとを接続させることができるため、組み立て時の作業時間が大幅に短縮される。また、把持部材100を容易に交換することができるため、把持部材の用途が広がることになる。
【0069】
[ロボット装置(1)]
次に、本発明のロボットハンド及びロボット装置による他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第一実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一実施形態と異なる構成について説明する。
【0070】
図21に示すように、ロボット装置4は、例えば産業用ロボットアームとして用いられる。ロボット装置4は、取付部40、第一リンク41、第二リンク42、第三リンク43、第四リンク44、第5リンク45及び第6リンク46を有する多軸アームに設けられている。
【0071】
取付部40は、例えば床部や壁部、天井部などに取り付けられる部分である。第一リンク41〜第6リンク46は、例えば取付部40から順に直列に接続されている。そして、ロボット装置4は、取付部40と第一リンク41、およびリンク同士が接続部(関節4a、4b、4c、4d、4e、4f)で回転可能に連結されている。第一リンク41〜第6リンク46のそれぞれが回転可能に設けられているため、それぞれのリンクを関節4a〜4fで適宜回転させることで、ロボットアーム全体としての複合的な動作が可能になっている。
【0072】
第6リンク46は、ロボット装置4の先端部分である。この第6リンク46の先端部に、上記第一実施形態に記載のロボットハンドHが取り付けられている。
【0073】
本第二実施形態のロボット装置4によれば、簡素に低コストで異種形状や寸法違いを含む多種の対象物を把持することが可能なロボット装置を提供することができる。
【0074】
本第二実施形態では6つの関節を有するロボット装置の例を示したが、関節の数はこれに限らず1以上あれば良い。7つまたはそれ以上の関節を有する、アームの動きに冗長性を持たせたロボット装置であってもよい。
【0075】
[ロボット装置(2)]
図22に示すように、第三実施形態によるロボット装置5は、上述した第二実施形態による多軸アーム(ロボット装置4)を複数(ここでは2つ)設けた双腕ロボットである。
この場合、双腕のそれぞれにロボットハンドHを設けることで、それら双腕のハンドで対象物Mを挟み込んで把持させて作業をさせることができる。このように従来では不可能な把持形態を実施することが可能となり、多様な把持形態を実現することができる。
【0076】
また、
図23の変形例に示すように、ロボット装置5Aの胴体部51に設けられた2つの多軸アーム(ロボット装置4)のそれぞれにロボットハンドHを設ける構成としてもよい。さらに、各多軸アームを第一リンク41〜第7リンク47を有する7軸アームにして、それぞれにロボットハンドHを設ければ、人間が2本の腕と手を使って一つの大きなものを持つのと同様のアームの動きと把持形態を実現することができる。ロボット装置5Aは、6つの接続部(関節4a、4b、4c、4d、4e、4f)のうち符号4bと4cの関節の間に回転軸4gを設けることにより7軸アームを構成している。
【0077】
なお、
図23において、ロボット装置5Aは、底部に車輪53を備えるとともに図示しない制御装置を収容した本体部52に前記胴体部51が支持されており、車輪53によって移動可能となっている。
【0078】
これにより、
図22および
図23に示す本第三実施形態では、1つのアーム(ロボットハンドH)では把持できなかった大きな対象物を把持することができる。また、箱の中の物体を、箱と物体との隙間に指部を差し込んで2つのアーム(ロボット装置4)で把持する場合、従来の3本指ハンドでは隙間が狭い場合にはすべての指部を隙間に差し込むことができなかったが、本第三実施形態では指先を揃えて隙間に差し込むことができるので、従来のハンドに比べてより多い本数の指部でしっかりと把持することができる。
【0079】
以上、本発明によるロボットハンド及びロボット装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0080】
例えば、上述した実施形態では3つの指部10を設けた構成としているが、3つであることに限定されることはなく、要は3つ以上の指部があって、そのうちの少なくとも2つ以上の指部が周回可能に設けられていればよい。
【0081】
また、上記実施形態では、ワイヤー部材30を引っ張ることで指部10を曲げる構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、ワイヤー部材30に代えて一定の剛性を有する線状部材を用いることで、当該線状部材を押し引きすることにより、曲げる方向及び伸ばす方向に指部10を駆動する構成としてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、複数の指部10が曲がる場合に中心軸AXの方向に移動する(閉じる)構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば複数の指部10の背側を中心軸AXに向けるように配置することで、指部10が曲がる場合に中心軸AXから離れる方向に先端部11が移動する構成としてもよい。これにより、例えば対象物が円筒など中空部を有する部材である場合、当該中空部に指部10を挿入して内壁側から対象物を把持することが可能となる。
【0083】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
例えば、上記実施形態においては、第一屈曲部12及び第二屈曲部14の厚さが任意であるとして説明したが、これに限られることは無い。
【0084】
図24(a)〜
図24(c)は、指部の動作の様子を示す図である。
図24(a)に示すように、床面Fに沿って配置された指部10Dは、第一屈曲部12Dの厚さt1と、第二屈曲部14Dの厚さt2とが等しくなっている。
【0085】
この場合において、支持部20を固定しつつワイヤー部材30を引っ張ると、
図24(b)に示すように、第一屈曲部12Dが中節部13に対して屈曲すると共に、第二屈曲部14Dが支持部20に対して屈曲する。このときの第一屈曲部12D及び第二屈曲部14Dの屈曲角度は、ほぼ等しくなる。この状態から更にワイヤー部材30を引っ張ると、
図24(c)に示すように、第一屈曲部12D及び第二屈曲部14Dがそれぞれ徐々に屈曲し、第一屈曲部12D及び第二屈曲部14Dがほぼ同じタイミングで所定の最大屈曲状態(例、中節部13、支持部20の延在方向に対してそれぞれ90°傾いた状態)となる。
【0086】
図25(a)〜
図25(c)は、指部の動作の様子を示す図である。
図25(a)に示すように、床面Fに沿って配置された指部10Eは、第一屈曲部12Eの厚さt3よりも、第二屈曲部14Eの厚さt4の方が大きくなっている。
この場合において、支持部20を固定しつつワイヤー部材30を引っ張ると、
図25(b)に示すように、第一屈曲部12Eが中節部13に対して屈曲するが、第二屈曲部14Eは屈曲しない。この状態から更にワイヤー部材30を引っ張ると、第一屈曲部12Eが先に所定の最大屈曲状態まで屈曲する。
【0087】
第一屈曲部12Eが所定の最大屈曲状態となった後、ワイヤー部材30を更に引っ張ることにより、第二屈曲部14Eが屈曲を開始する。その後、
図25(c)に示すように、第一屈曲部12E及び第二屈曲部14Eがそれぞれ所定の最大屈曲状態(例えば、中節部13、支持部20の延在方向に対してそれぞれ90°傾いた状態)となる。
【0088】
このように、第一屈曲部12Eと第二屈曲部14Eとで厚さが異なる場合では、ワイヤー部材30を引っ張ることにより、厚さが薄い方の第一屈曲部12Eがまず屈曲し、所定の最大屈曲状態となる。その後、ワイヤー部材30を引っ張り続けることにより、第二屈曲部14Eが屈曲を開始する。
【0089】
図26(a)〜
図26(c)は、指部の動作の様子を示す図である。
図26(a)に示すように、床面Fに沿って配置された指部10Fは、第一屈曲部12Fの厚さt5よりも、第二屈曲部14Fの厚さt6の方が大きくなっている。
【0090】
この場合において、支持部20を固定しつつワイヤー部材30を引っ張ると、
図26(b)に示すように、第二屈曲部14Fが支持部20に対して屈曲するが、第一屈曲部12Fは屈曲しない。この状態から更にワイヤー部材30を引っ張ると、第二屈曲部14Fが先に所定の最大屈曲状態まで屈曲する。
【0091】
第二屈曲部14Fが所定の最大屈曲状態となった後、ワイヤー部材30を更に引っ張ることにより、第一屈曲部12Fが屈曲を開始する。その後、
図26(c)に示すように、第一屈曲部12F及び第二屈曲部14Fがそれぞれ所定の最大屈曲状態(例えば、中節部13、支持部20の延在方向に対してそれぞれ90°傾いた状態)となる。
【0092】
このように、第一屈曲部12Fよりも第二屈曲部14Fの厚さが薄い場合、ワイヤー部材30を引っ張ることにより、厚さが薄い方の第二屈曲部14Fがまず屈曲し、所定の最大屈曲状態となる。その後、ワイヤー部材30を引っ張り続けることにより、第一屈曲部12Fが屈曲を開始する。
【0093】
以上のように、第一屈曲部12の厚さ及び第二屈曲部14の厚さを相対的に変化させることにより、指部10の屈曲状態を変化させることができる。
【0094】
また、上記実施形態では、支持部20に溝部22a、22bが設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、
図27(a)に示すように、支持部20に溝部22a、22bに代えて開口部22cが設けられた構成の把持部材100Gであってもよいし、あるいは、
図27(b)に示すように、溝部22a、22bと共に開口部22cが設けられた構成の把持部材Hであってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、ベース部321同士がヒンジ部322によって連結され、支持部320の両端部には第一係合部(第一部分)323と第二係合部(第二部分)324とが設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、
図28(a)に示すように、第一実施形態に記載の支持部20に第一係合部22d及び第二係合部22eが設けられた構成の把持部材100Iであってもよい。また、
図28(b)に示すように、溝部22a、22bに代えて開口部22cが設けられた構成の支持部20に第一係合部22d及び第二係合部22eが設けられた構成の把持部材100Jであってもよい。また、
図28(c)に示すように、溝部22a、22bと共に開口部22cが設けられた構成の支持部20に第一係合部22d及び第二係合部22eが設けられた構成の把持部材100Kであってもよい。