特許第6108557号(P6108557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6108557少なくとも部分的に透明な片面発光OLED照明とIR感受性の良い光起電性パネルとを備えた窓を提供するための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108557
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】少なくとも部分的に透明な片面発光OLED照明とIR感受性の良い光起電性パネルとを備えた窓を提供するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/28 20060101AFI20170327BHJP
   H05B 33/24 20060101ALI20170327BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20170327BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170327BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20170327BHJP
   H01L 31/0352 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   H05B33/28
   H05B33/24
   H05B33/02
   H05B33/14 B
   H05B33/10
   H01L31/04 342
【請求項の数】104
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-503912(P2014-503912)
(86)(22)【出願日】2012年4月3日
(65)【公表番号】特表2014-514710(P2014-514710A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】US2012032002
(87)【国際公開番号】WO2012138658
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2015年4月2日
(31)【優先権主張番号】61/472,079
(32)【優先日】2011年4月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513245059
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ フロリダ リサーチ ファウンデーション,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF FLORIDA RESEARCH FOUNDATION,INC.
(73)【特許権者】
【識別番号】513210253
【氏名又は名称】ナノホールディングス,リミテッド ライアビリティー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Nanoholdings,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ソ,フランキー
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドヨン
(72)【発明者】
【氏名】プラダーン,バーベンドラ,ケイ.
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−504144(JP,A)
【文献】 特開平11−015079(JP,A)
【文献】 特開2010−281955(JP,A)
【文献】 特開2010−278003(JP,A)
【文献】 特表2011−518421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
H01L 51/50
H05B 33/28
H01L 31/04−31/06
H01S 10/00−10/40
H01S 30/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光デバイス(OLED)と、
光(PV)電池とを備える装置であって、
前記PV電池は、1つまたは複数の波長を有する光子に対する感受性が良く、前記1つまたは複数の波長は、PV電池波長範囲にあり、前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μmを超え、前記PV電池は、無機材料を含む赤外線感光材料層を備え、
前記OLEDは、
有機発光層と、
鏡と、
可視光線に透明なOLED陽極電極と、
可視光線に透明なOLED陰極電極と
を備え、
前記有機発光層は、前記OLED陽極電極と前記OLED陰極電極との間に配置され、前記鏡は、前記OLED陽極電極及び前記OLED陰極電極のうちの1つが前記鏡と前記有機発光層との間にくるように配置され、
前記鏡は、第1の可視光線波長範囲で反射可能であり、前記有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも第1の部分は、前記第1の可視光線波長範囲内の波長を有し、前記鏡は、第2の可視光線波長範囲で透過可能であり、前記有機発光層は、前記第2の可視光線波長範囲の少なくとも一部分の波長を有する光を発光しない、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記PV電池の入力表面への入射光線の少なくとも一部分が、前記PV電池を通過して前記PV電池の出力表面を出て、前記OLEDの入力表面に入射し、前記OLEDを通過するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記PV電池が前記OLEDと直接接触するように、前記PV電池が前記OLEDの直上にあることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記PV電池と前記OLEDとの間に少なくとも1つの光学的に透明なプラスチック膜を更に備えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、前記PV電池は、前記少なくとも1つの光学的に透明なプラスチック膜と統合されることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置において、前記OLEDは、前記少なくとも1つの光学的に透明なプラスチック膜と統合されることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記PV電池と前記OLEDとの間に少なくとも1つのガラス基板を更に備えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、前記PV電池は、前記少なくとも1つのガラス基板と統合されることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項7に記載の装置において、前記OLEDは、前記少なくとも1つのガラス基板と統合されることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、前記有機発光層によって発光される前記可視光線は、前記第1の可視光線波長範囲内の波長を有し、前記有機発光層は、前記第2の可視波長範囲の波長を有する光を発光しないことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、前記鏡は、誘電体スタック鏡を含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、前記誘電体スタック鏡は、Ta2O5層とSiO2層とを備えることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、前記誘電体スタック鏡は、Ta2O5とSiO2が交互に重なった層を備え、各Ta2O5層は、約10nm〜約100nmの厚さを有し、各SiO2層は、約10nm〜約100nmの厚さを有することを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、前記誘電体スタック鏡は、N層のTa2O5を備え、SiO2層の数はN−1〜N+1の範囲にあり、Nは1〜40の範囲にあることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、前記OLEDは、正孔輸送層と電子輸送層とを更に備えることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、前記有機発光層は、Ir(ppy)3、MEH−PPV、Alq3またはFlrpicを含むことを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置において、前記正孔輸送層は、NPB、TAPC、TFBまたはTPDを含むことを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項15に記載の装置において、前記電子輸送層は、BCP、Bphen、3TPYMBまたはAlq3を含むことを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置において、前記OLED陽極電極は、インジウムスズ酸化物(ITO)、カーボンナノチューブ(CNT)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、銀ナノワイヤ及びマグネシウム:銀/Alq3(Mg:Ag/Alq3)スタック層からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、前記OLED陰極電極は、ITO、CNT、IZO、銀ナノワイヤ及びMg:Ag/Alq3スタック層からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置において、前記OLED陰極電極は、Mg:Ag/Alq3スタック層を備え、前記Mg:Ag層は、30nm未満の厚さを有し、MgとAgは、10:1(Mg:Ag)の割合で存在し、前記Alq3層は、0nm〜200nmの厚さを有することを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項1に記載の装置において、前記OLED陽極電極は、前記鏡と前記有機発光層との間に配置されることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項1に記載の装置において、前記OLED陰極電極は、前記鏡と前記有機発光層との間に配置されることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置において、前記OLEDは、
ガラス基板と、
前記OLED陽極電極上の正孔輸送層と
を更に備え、
前記鏡は、誘電体スタック鏡を含み、前記誘電体スタック鏡は、前記ガラス基板上に配置され、前記誘電体スタック鏡は、Ta2O5とSiO2が交互に重なった層を備え、
前記OLED陽極電極は、前記誘電体スタック鏡上に配置され、前記OLED陽極電極は、ITOを含み、
前記有機発光層は、前記正孔輸送層上に配置され、
前記OLED陰極電極は、前記有機発光層上に配置され、前記OLED陰極電極は、Mg:Ag/Alq3スタック層を備え、前記Mg:Ag層は、30nm未満の厚さを有し、MgとAgは、10:1(Mg:Ag)の割合で存在し、前記Alq3層は、0nm〜200nmの厚さを有することを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項1に記載の装置において、前記赤外線感光材料層は、量子ドットを含むことを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置において、前記量子ドットは、PbS量子ドットまたはPbSe量子ドットであることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項1に記載の装置において、前記PV電池は、700nm〜約2000nmの波長を有する光子に対する感受性が良いことを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置において、前記PV電池は、700nm未満の波長を有する光子に対する感受性が良くないことを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項1に記載の装置において、前記PV電池は、PV電池陽極電極とPV電池陰極電極とを備えることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項28に記載の装置において、前記PV電池陽極電極は、インジウムスズ酸化物(ITO)、カーボンナノチューブ(CNT)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、銀ナノワイヤ及びマグネシウム:銀/Alq3スタック層からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、前記PV電池陰極電極は、ITO、CNT、IZO、銀ナノワイヤ及びマグネシウム:銀/Alq3スタック層からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置において、前記PV電池陽極電極または前記PV電池陰極電極のうちの少なくとも1つは、マグネシウム:銀/Alq3スタック層を備え、前記マグネシウム:銀/Alq3スタック層のマグネシウム:銀層は、30nm未満の厚さを有し、前記マグネシウム:銀層は、10:1(マグネシウム:銀)の組成比を有することを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項29に記載の装置において、前記PV電池陽極電極または前記PV電池陰極電極のうちの少なくとも1つは、マグネシウム:銀/Alq3スタック層を備え、前記マグネシウム:銀/Alq3スタック層のAlq3層は、0nm〜約200nmの厚さを有することを特徴とする装置。
【請求項32】
請求項28に記載の装置において、前記PV電池陽極電極は、可視光線の少なくとも一部分及び赤外線の少なくとも一部分に透明であり、前記PV電池陰極電極は、可視光線の少なくとも一部分及び赤外線の少なくとも一部分に透明であることを特徴とする装置。
【請求項33】
請求項1に記載の装置において、前記PV電池の感受性が良い前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、1μmを超えることを特徴とする装置。
【請求項34】
請求項33に記載の装置において、前記PV電池の感受性が良い前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μm〜1μmの範囲にあることを特徴とする装置。
【請求項35】
請求項33に記載の装置において、前記PV電池は、0.70μm未満の波長を有する光子に対する感受性が良くないことを特徴とする装置。
【請求項36】
請求項1に記載の装置において、前記PV電池の感受性が良い前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.85μmを超えることを特徴とする装置。
【請求項37】
請求項36に記載の装置において、前記PV電池の感受性が良い前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μm〜0.85μmの範囲にあることを特徴とする装置。
【請求項38】
請求項36に記載の装置において、前記PV電池は、0.85μm未満の波長を有する光子に対する感受性が良くないことを特徴とする装置。
【請求項39】
装置を製作する方法であって、
光(PV)電池を形成する工程であって、前記PV電池は、1つまたは複数の波長を有する光子に対する感受性が良く、前記1つまたは複数の波長は、PV電池波長範囲にあり、前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μmを超え、前記PV電池は、無機材料を含む赤外線感光材料層を備えるものである工程と、
有機発光デバイス(OLED)を形成する工程と、
前記PV電池と前記OLEDとを結合する工程と
を含み、
前記OLEDを形成する工程は、
鏡を形成する工程と、
OLED陽極電極を前記鏡上に形成する工程であって、前記OLED陽極電極は可視光線に透明である、工程と、
有機発光層を前記OLED陽極電極上に形成する工程と、
OLED陰極電極を前記有機発光層上に形成する工程であって、前記OLED陰極電極は可視光線に透明である、工程と
を含み、
前記鏡は、第1の可視光線波長範囲で反射可能であり、前記有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも第1の部分は、前記第1の可視光線波長範囲内の波長を有し、前記鏡は、第2の可視光線波長範囲で透過可能であり、前記有機発光層は、前記第2の可視光線波長範囲の少なくとも一部分の波長を有する光を発光しない、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法において、前記PV電池の入力表面への入射光線の少なくとも一部分が、前記PV電池を通過して前記PV電池の出力表面を出て、前記OLEDの入力表面に入射し、前記OLEDを通過するように構成されることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項39に記載の方法において、前記PV電池が前記OLEDと直接接触するように、前記PV電池が前記OLEDの直上にあることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項39に記載の方法において、前記PV電池を形成する工程は、前記PV電池を光学的に透明なプラスチック膜上に形成する工程を含み、前記PV電池と前記OLEDとを結合する工程は、前記PV電池の前記光学的に透明なプラスチック膜を前記OLEDと結合する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法において、前記OLEDは、光学的に透明なプラスチック膜と統合され、前記PV電池と前記OLEDとを結合する工程は、前記PV電池の前記光学的に透明なプラスチック膜を前記OLEDの前記光学的に透明なプラスチック膜と結合する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項39に記載の方法において、前記OLEDは、光学的に透明なプラスチック膜と統合され、前記PV電池と前記OLEDとを結合する工程は、前記PV電池を前記OLEDの前記光学的に透明なプラスチック膜と結合する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項39に記載の方法において、前記PV電池を形成する工程は、前記PV電池をガラス基板上に形成する工程を含み、前記PV電池と前記OLEDとを結合する工程は、前記PV電池の前記ガラス基板を前記OLEDと結合する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法において、前記OLEDは、ガラス基板と統合され、前記PV電池と前記OLEDとを結合する工程は、前記PV電池の前記ガラス基板を前記OLEDの前記ガラス基板と結合する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項39に記載の方法において、前記OLEDは、ガラス基板と統合され、前記PV電池と前記OLEDとを結合する工程は、前記PV電池を前記OLEDの前記ガラス基板と結合する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項39に記載の方法において、前記有機発光層によって発光される前記可視光線は、前記第1の可視光線波長範囲内の波長を有し、前記有機発光層は、前記第2の可視波長範囲の波長を有する光を発光しないことを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項39に記載の方法において、前記鏡は、誘電体スタック鏡を含むことを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法において、前記誘電体スタック鏡は、Ta2O5層とSiO2層とを備えることを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法において、前記誘電体スタック鏡は、Ta2O5とSiO2が交互に重なった層を備え、各Ta2O5層は、約10nm〜約100nmの厚さを有し、各SiO2層は、約10nm〜約100nmの厚さを有することを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法において、前記誘電体スタック鏡は、N層のTa2O5を備え、SiO2層の数はN−1〜N+1の範囲にあり、Nは1〜40の範囲にあることを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項39に記載の方法において、前記OLEDを形成する工程は、
前記有機発光層を形成する前に正孔輸送層を前記OLED陽極電極上に形成する工程と、
電子輸送層を形成する工程と
を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項39に記載の方法において、前記有機発光層は、Ir(ppy)3、MEH−PPV、Alq3またはFlrpicを含むことを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項53に記載の方法において、前記正孔輸送層は、NPB、TAPC、TFBまたはTPDを含むことを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項53に記載の方法において、前記電子輸送層は、BCP、Bphen、3TPYMBまたはAlq3を含むことを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項39に記載の方法において、前記OLED陽極電極は、インジウムスズ酸化物(ITO)、カーボンナノチューブ(CNT)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、銀ナノワイヤ及びマグネシウム:銀/Alq3(Mg:Ag/Alq3)スタック層からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、前記OLED陰極電極は、ITO、CNT、IZO、銀ナノワイヤ及びMg:Ag/Alq3スタック層からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項57に記載の方法において、前記OLED陰極電極は、Mg:Ag/Alq3スタック層を備え、前記Mg:Ag層は、30nm未満の厚さを有し、MgとAgは、10:1(Mg:Ag)の割合で存在し、前記Alq3層は、0nm〜200nmの厚さを有することを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項39に記載の方法において、前記赤外線感光材料層は、量子ドットを含むことを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法において、前記量子ドットは、PbS量子ドットまたはPbSe量子ドットであることを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項39に記載の方法において、前記PV電池は、700nm〜約2000nmの波長を有する光子に対する感受性が良いことを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項39に記載の方法において、前記PV電池は、700nm未満の波長を有する光子に対する感受性が良くないことを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項39に記載の方法において、前記PV電池は、PV電池陽極電極とPV電池陰極電極とを備えることを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項63に記載の方法において、前記PV電池陽極電極は、インジウムスズ酸化物(ITO)、カーボンナノチューブ(CNT)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、銀ナノワイヤ及びマグネシウム:銀/Alq3スタック層からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、前記PV電池陰極電極は、ITO、CNT、IZO、銀ナノワイヤ及びマグネシウム:銀/Alq3スタック層からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項64に記載の方法において、前記PV電池陽極電極または前記PV電池陰極電極のうちの少なくとも1つは、マグネシウム:銀/Alq3スタック層を備え、前記マグネシウム:銀/Alq3スタック層のマグネシウム:銀層は、30nm未満の厚さを有し、前記マグネシウム:銀層は、10:1(マグネシウム:銀)の組成比を有することを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項64に記載の方法において、前記PV電池陽極電極または前記PV電池陰極電極のうちの少なくとも1つは、マグネシウム:銀/Alq3スタック層を備え、前記マグネシウム:銀/Alq3スタック層のAlq3層は、0nm〜約200nmの厚さを有することを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項63に記載の方法において、前記PV電池陽極電極は、可視光線の少なくとも一部分及び赤外線の少なくとも一部分に透明であり、前記PV電池陰極電極は、可視光線の少なくとも一部分及び赤外線の少なくとも一部分に透明であることを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項39に記載の方法において、前記PV電池の感受性が良い前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、1μmを超えることを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項68に記載の方法において、前記PV電池の感受性が良い前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μm〜1μmの範囲にあることを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項68に記載の方法において、前記PV電池は、0.70μm未満の波長を有する光子に対する感受性が良くないことを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項39に記載の方法において、前記PV電池の感受性が良い前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.85μmを超えることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項71に記載の方法において、前記PV電池の感受性が良い前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μm〜0.85μmの範囲にあることを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項71に記載の方法において、前記PV電池は、0.85μm未満の波長を有する光子に対する感受性が良くないことを特徴とする方法。
【請求項74】
エリアを照らす方法であって、
装置を提供する工程を含み、前記装置は、
有機発光デバイス(OLED)と、
光(PV)電池とを備え、
前記PV電池は、1つまたは複数の波長を有する光子に対する感受性が良く、前記1つまたは複数の波長は、PV電池波長範囲にあり、前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μmを超え、前記PV電池は、無機材料を含む赤外線感光材料層を備え、
前記OLEDは、
有機発光層と、
鏡と、
可視光線に透明なOLED陽極電極と、
可視光線に透明なOLED陰極電極と
を備え、
前記有機発光層は、前記OLED陽極電極と前記OLED陰極電極との間に配置され、前記鏡は、前記OLED陽極電極及び前記OLED陰極電極のうちの1つが前記鏡と前記有機発光層との間にくるように配置され、
前記鏡は、第1の可視光線波長範囲で反射可能であり、前記有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも第1の部分は、前記第1の可視光線波長範囲内の波長を有し、前記鏡は、第2の可視光線波長範囲で透過可能であり、前記有機発光層は、前記第2の可視光線波長範囲の少なくとも一部分の波長を有する光を発光しない、方法。
【請求項75】
請求項74に記載の方法において、前記装置は、前記PV電池の入力表面への入射光線の少なくとも一部分が、前記PV電池を通過して前記PV電池の出力表面を出て、前記OLEDの入力表面に入射し、前記OLEDを通過するように構成されることを特徴とする方法。
【請求項76】
請求項74に記載の方法において、前記PV電池が前記OLEDと直接接触するように、前記PV電池が前記OLEDの直上にあることを特徴とする方法。
【請求項77】
請求項74に記載の方法において、前記装置は、前記PV電池と前記OLEDとの間に少なくとも1つの光学的に透明なプラスチック膜を更に備えることを特徴とする方法。
【請求項78】
請求項74に記載の方法において、前記装置は、前記PV電池と前記OLEDとの間に少なくとも1つのガラス基板を更に備えることを特徴とする方法。
【請求項79】
請求項74に記載の方法において、前記有機発光層によって発光される前記可視光線は、前記第1の可視光線波長範囲内の波長を有し、前記有機発光層は、前記第2の可視波長範囲の波長を有する光を発光しないことを特徴とする方法。
【請求項80】
請求項74に記載の方法において、前記鏡は、誘電体スタック鏡を含むことを特徴とする方法。
【請求項81】
請求項80に記載の方法において、前記誘電体スタック鏡は、Ta2O5層とSiO2層とを備えることを特徴とする方法。
【請求項82】
請求項81に記載の方法において、前記誘電体スタック鏡は、Ta2O5とSiO2が交互に重なった層を備え、各Ta2O5層は、約10nm〜約100nmの厚さを有し、各SiO2層は、約10nm〜約100nmの厚さを有することを特徴とする方法。
【請求項83】
請求項82に記載の方法において、前記誘電体スタック鏡は、N層のTa2O5を備え、SiO2層の数はN−1〜N+1の範囲にあり、Nは1〜40の範囲にあることを特徴とする方法。
【請求項84】
請求項74に記載の方法において、前記OLEDは、正孔輸送層と電子輸送層とを更に備えることを特徴とする方法。
【請求項85】
請求項74に記載の方法において、前記有機発光層は、Ir(ppy)3、MEH−PPV、Alq3またはFlrpicを含むことを特徴とする方法。
【請求項86】
請求項84に記載の方法において、前記正孔輸送層は、NPB、TAPC、TFBまたはTPDを含むことを特徴とする方法。
【請求項87】
請求項84に記載の方法において、前記電子輸送層は、BCP、Bphen、3TPYMBまたはAlq3を含むことを特徴とする方法。
【請求項88】
請求項74に記載の方法において、前記OLED陽極電極は、インジウムスズ酸化物(ITO)、カーボンナノチューブ(CNT)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、銀ナノワイヤ及びマグネシウム:銀/Alq3(Mg:Ag/Alq3)スタック層からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、前記OLED陰極電極は、ITO、CNT、IZO、銀ナノワイヤ及びMg:Ag/Alq3スタック層からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする方法。
【請求項89】
請求項88に記載の方法において、前記OLED陰極電極は、Mg:Ag/Alq3スタック層を備え、前記Mg:Ag層は、30nm未満の厚さを有し、MgとAgは、10:1(Mg:Ag)の割合で存在し、前記Alq3層は、0nm〜200nmの厚さを有することを特徴とする方法。
【請求項90】
請求項74に記載の方法において、前記赤外線感光材料層は、量子ドットを含むことを特徴とする方法。
【請求項91】
請求項90に記載の方法において、前記量子ドットは、PbS量子ドットまたはPbSe量子ドットであることを特徴とする方法。
【請求項92】
請求項74に記載の方法において、前記PV電池は、700nm〜約2000nmの波長を有する光子に対する感受性が良いことを特徴とする方法。
【請求項93】
請求項92に記載の方法において、前記PV電池は、700nm未満の波長を有する光子に対する感受性が良くないことを特徴とする方法。
【請求項94】
請求項74に記載の方法において、前記PV電池は、PV電池陽極電極とPV電池陰極電極とを備えることを特徴とする方法。
【請求項95】
請求項94に記載の方法において、前記PV電池陽極電極は、インジウムスズ酸化物(ITO)、カーボンナノチューブ(CNT)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、銀ナノワイヤ及びマグネシウム:銀/Alq3スタック層からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、前記PV電池陰極電極は、ITO、CNT、IZO、銀ナノワイヤ及びマグネシウム:銀/Alq3スタック層からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする方法。
【請求項96】
請求項95に記載の方法において、前記PV電池陽極電極または前記PV電池陰極電極のうちの少なくとも1つは、マグネシウム:銀/Alq3スタック層を備え、前記マグネシウム:銀/Alq3スタック層のマグネシウム:銀層は、30nm未満の厚さを有し、前記マグネシウム:銀層は、10:1(マグネシウム:銀)の組成比を有することを特徴とする方法。
【請求項97】
請求項95に記載の方法において、前記PV電池陽極電極または前記PV電池陰極電極のうちの少なくとも1つは、マグネシウム:銀/Alq3スタック層を備え、前記マグネシウム:銀/Alq3スタック層のAlq3層は、0nm〜約200nmの厚さを有することを特徴とする方法。
【請求項98】
請求項94に記載の方法において、前記PV電池陽極電極は、可視光線の少なくとも一部分及び赤外線の少なくとも一部分に透明であり、前記PV電池陰極電極は、可視光線の少なくとも一部分及び赤外線の少なくとも一部分に透明であることを特徴とする方法。
【請求項99】
請求項74に記載の方法において、前記PV電池の感受性が良い前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、1μmを超えることを特徴とする方法。
【請求項100】
請求項99に記載の方法において、前記PV電池の感受性が良い前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μm〜1μmの範囲にあることを特徴とする方法。
【請求項101】
請求項99に記載の方法において、前記PV電池は、0.70μm未満の波長を有する光子に対する感受性が良くないことを特徴とする方法。
【請求項102】
請求項74に記載の方法において、前記PV電池の感受性が良い前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.85μmを超えることを特徴とする方法。
【請求項103】
請求項102に記載の方法において、前記PV電池の感受性が良い前記1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μm〜0.85μmの範囲にあることを特徴とする方法。
【請求項104】
請求項102に記載の方法において、前記PV電池は、0.85μm未満の波長を有する光子に対する感受性が良くないことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2011年4月5日に出願された米国仮特許出願第61/472,079号明細書の利益を主張し、同特許の開示は、いかなる図、表、図面も含めて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
有機発光デバイス(OLED)は、有機材料を組み込み、光を発光する。透明OLEDは、上面電極と下面電極とを含み、その両方とも透明電極である。従来の下面発光または上面発光のいずれかであり得る片面OLEDは、一般に、反射電極と透明電極とを含む。いずれの場合も、有機発光層は電極間に含まれる。
【発明の概要】
【0003】
対象発明の実施形態は、例えば、昼間は光電池として機能し得、例えば、夜間はソリッドステート照明を提供し得る装置を提供するための方法及び装置に関連する。従って、装置は、採光窓として機能し得る。実施形態は、少なくとも部分的に透明な片面発光OLEDと光電池とを組み入れることができる。光電池は、例えば、1μmを超える波長を有する光などの赤外線に対する感受性が良いものであり得る。装置は、OLEDが発光する一方向が建物または他の構造の内部に向けられ、環境中に出ないように配列することができる。
【0004】
ある実施形態では、光電池、例えば、少なくとも赤外線に対する感受性が良い光電池(赤外線光電池)は、量子ドットを含む赤外線(IR)感光層を組み込むことができる。量子ドットは、例えば、PbSまたはPbSe量子ドットであり得るが、実施形態はこれらに限定されない。光電池は、少なくとも部分的に透明な片面発光OLED上に組み入れることができる。図1を参照すると、装置は、例えば、昼間は光電池として機能し得、例えば、夜間は照明を提供し得る。
【0005】
一実施形態では、装置は、有機発光デバイス(OLED)と、光(PV)電池とを含み得、PV電池は、1つまたは複数の波長を有する光子に対する感受性が良く、1つまたは複数の波長は、PV電池波長範囲にあり、1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μmを超える。OLEDは、有機発光層と、鏡と、可視光線に透明なOLED陽極電極と、可視光線に透明なOLED陰極電極とを含み得る。有機発光層は、OLED陽極電極とOLED陰極電極との間に配置することができ、鏡は、OLED陽極電極及びOLED陰極電極のうちの1つが鏡と有機発光層との間にくるように配置することができる。鏡は、第1の可視光線波長範囲で反射可能であり、有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも第1の部分は、第1の可視光線波長範囲内の波長を有し、鏡は、第2の可視光線波長範囲で透過可能であり、有機発光層は、第2の可視光線波長範囲の少なくとも一部分の波長を有する光を発光しない。更なる実施形態では、PV電池の感受性が良い1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、1μmを超える。
【0006】
別の実施形態では、装置を製作する方法は、PV電池を形成する工程であって、PV電池は、1つまたは複数の波長を有する光子に対する感受性が良く、1つまたは複数の波長は、PV電池波長範囲にあり、1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μmを超える、工程と、有機発光デバイス(OLED)を形成する工程と、PV電池とOLEDとを結合する工程とを含み得る。OLEDを形成する工程は、鏡を形成する工程と、OLED陽極電極を鏡上に形成する工程であって、OLED陽極電極は可視光線に透明である、工程と、有機発光層をOLED陽極電極上に形成する工程と、OLED陰極電極を有機発光層上に形成する工程であって、OLED陰極電極は可視光線に透明である、工程とを含み得る。鏡は、第1の可視光線波長範囲で反射可能であり、有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも第1の部分は、第1の可視光線波長範囲内の波長を有し、鏡は、第2の可視光線波長範囲で透過可能であり、有機発光層は、第2の可視光線波長範囲の少なくとも一部分の波長を有する光を発光しない。更なる実施形態では、PV電池の感受性が良い1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、1μmを超える。
【0007】
別の実施形態では、エリアを照らす方法は、装置を提供する工程を含み得、装置は、有機発光デバイス(OLED)と、PV電池とを含み、PV電池は、1つまたは複数の波長を有する光子に対する感受性が良く、1つまたは複数の波長は、PV電池波長範囲にあり、1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μmを超える。OLEDは、有機発光層と、鏡と、可視光線に透明なOLED陽極電極と、可視光線に透明なOLED陰極電極とを含み得、有機発光層は、OLED陽極電極とOLED陰極電極との間に配置され、鏡は、OLED陽極電極及びOLED陰極電極のうちの1つが鏡と有機発光層との間にくるように配置される。鏡は、第1の可視光線波長範囲で反射可能であり、有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも第1の部分は、第1の可視光線波長範囲内の波長を有し、鏡は、第2の可視光線波長範囲で透過可能であり、有機発光層は、第2の可視光線波長範囲の少なくとも一部分の波長を有する光を発光しない。更なる実施形態では、PV電池の感受性が良い1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、1μmを超える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、対象発明の実施形態による装置の昼間の動作原理を示す。
図1B図1Bは、対象発明の実施形態による装置の夜間の動作原理を示す。
図2A図2Aは、対象発明の実施形態によるOLEDに組み込むことができる誘電体スタック鏡の断面図を示す。
図2B図2Bは、図2Aの誘電体スタック鏡の透過率スペクトルを示す。
図3A図3Aは、対象発明の実施形態による透明な片面発光OLEDを通して見られる透視画像を示す。
図3B図3Bは、対象発明の実施形態によるOLEDの断面図を示す。
図3C図3Cは、対象発明の実施形態によるOLEDの電流密度及びルミネッセンス対電圧を示す。
図3D図3Dは、対象発明の実施形態によるOLEDの電流効率対電流密度を示す。
図4A図4Aは、様々なサイズのPbSナノ結晶の吸光度スペクトルを示し、差し込み図は、ピーク波長1.3μmの厚さ50nmのPbSe量子ドット膜の吸収係数スペクトル及びTEM画像を示す。
図4B図4Bは、対象発明の実施形態の理論上の短絡電流密度の最大値(JSC)及び電力変換効率(PCE)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
層、領域、パターンまたは構造について言及する際に、「〜の上に」または「〜の上方に」という用語が本明細書で使用される場合、層、領域、パターンまたは構造が別の層または構造の直上にあることも、介在層、領域、パターンまたは構造が存在することもあり得ることが理解される。層、領域、パターンまたは構造について言及する際に、「〜の下に」または「〜の下方に」という用語が本明細書で使用される場合、層、領域、パターンまたは構造が他の層または構造の直下にあることも、介在層、領域、パターンまたは構造が存在することもあり得ることが理解される。層、領域、パターンまたは構造について言及する際に、「〜の直上に」という用語が本明細書で使用される場合、介在層、領域、パターンまたは構造が存在しないように、層、領域、パターンまたは構造が別の層または構造の直上にあることが理解される。
【0010】
数値と併せて、「約」という用語が本明細書で使用される場合、値は、値の95%から値の105%の範囲にあり得る、即ち、値は、規定値の+/−5%であり得ることが理解される。例えば、「約1kg」は、0.95kg〜1.05kgを意味する。
【0011】
「OLED」という用語と併せて、「少なくとも部分的に透明な」という用語が本明細書で使用される場合(例えば、「少なくとも部分的に透明な片面発光OLED」、「少なくとも部分的に透明なOLED」)、鏡及び/または鏡基板を含み得るOLEDは、光の可視スペクトルの少なくとも一部分がOLEDを通過できるようなものであることが理解される。「陽極」、「陰極」または「電極」という用語と併せて、「透明」という用語が本明細書で使用される場合、陽極、陰極または電極は、発光層によって生成された光がさしたる反射もなく陽極、陰極または電極を通過できるようなものであることが理解される。
【0012】
所与の値の波長または所与の範囲内の波長を有するある種の光または光子に対する感受性が良い光電池の説明と併せて、「感受性が良い」という用語が本明細書で使用される場合、光電池は、光電池の感受性が良い光の吸収やキャリアの生成が可能であることが理解される。所与の値の波長または所与の範囲内の波長を有するある種の光または光子に対する感受性が良くないまたは感受性が悪い光電池の説明と併せて、「感受性が良くない」または「感受性が悪い」という用語が本明細書で使用される場合、光電池は、光電池の感受性が良くない光の吸収や光の吸収からのキャリアの生成が可能でないことが理解される。
【0013】
対象発明の実施形態は、例えば、昼間は光(PV)電池として機能し得、例えば、夜間はソリッドステート照明を提供し得る装置を提供するための方法及び装置に関連する。従って、装置は、採光窓として機能し得る。実施形態は、少なくとも部分的に透明な片面発光OLEDとPV電池とを組み入れることができる。PV電池は、例えば、1μmを超える波長を有する光などの赤外線に対する感受性が良いものであり得る。更なる実施形態では、PV電池は、0.85μmを超える波長を有する光に対する感受性が良いものであり得る。更に、更なる実施形態では、PV電池は、0.70μmを超える波長を有する光に対する感受性が良いものであり得る。装置は、OLEDが発光する一方向が建物または他の構造の内部に向けられ、環境中に出ないように配列することができる。
【0014】
ある実施形態では、PV電池、例えば、少なくとも赤外線に対する感受性が良いPV電池(赤外線PV電池)は、量子ドットを含む赤外線(IR)感光層を組み込むことができる。量子ドットは、例えば、PbSまたはPbSe量子ドットであり得るが、実施形態はこれらに限定されない。PV電池は、少なくとも部分的に透明な片面発光OLED上に組み入れることができる。図1を参照すると、装置は、例えば、昼間はPV電池として機能し得、例えば、夜間は照明を提供し得る。また、装置は、可視光線の少なくとも一部分に少なくとも部分的に透明なものであり、それにより、採光窓として機能し得る。
【0015】
対象発明の実施形態は、少なくとも部分的に透明な片面発光OLEDを含む装置を提供するための方法及び装置に関連する。少なくとも部分的に透明な片面発光OLEDは、透明陽極電極及び透明陰極電極とともに鏡基板を含み得る。鏡は、光の可視スペクトルの少なくとも一部分が通過できるようなものである一方で、光の可視スペクトルの少なくとも別の部分の反射も行えるようにすることができる。例えば、鏡は、OLEDの発光層(例えば、有機発光層)によって発光される可視光線の少なくとも一部分を反射することができる。一実施形態では、OLEDは、誘電体スタック鏡と、インジウムスズ酸化物(ITO)下面陽極と、電極と、Mg:Ag上面陰極電極とを含み得る。
【0016】
少なくとも部分的に透明な片面発光OLEDとPV電池とを使用して窓を作成する際、OLED光は主に一方向に発光するため、昼間など、PV電池を介して太陽エネルギーを利用する間に外を見たり、夜間など、片面発光OLEDを照明源として動作させたりすることは有利に可能である。窓は、OLEDが発光する一方向が建物または他の構造内に向けられ、環境中に出ないように配列することができる。また、窓は、昼間など、PV電池が太陽エネルギーを吸収できるように配列することもできる。
【0017】
対象発明の実施形態では、装置の少なくとも部分的に透明な片面発光OLEDは、誘電体鏡基板などの鏡基板を組み込むことができる。OLEDは、透明陽極電極と、有機発光層と、透明陰極電極とを更に含み得る。特定の実施形態では、鏡は、誘電体スタック鏡であり得、TaとSiOが交互に重なった層を含み得る。特定の実施形態では、OLEDは、ガラス基板と、ガラス基板上の誘電体スタック鏡であって、TaとSiOが交互に重なった層を組み込む、誘電体スタック鏡と、誘電体スタック鏡上の透明陽極電極であって、ITOを含む、透明陽極電極と、透明陽極上の正孔輸送層と、正孔輸送層上の有機発光層と、有機発光層上の透明陰極電極であって、透明陰極電極はMg:Ag/Alq3スタック層を含み、Mg:Ag層は30nm未満の厚さを有し、MgとAgは10:1(Mg:Ag)の割合で存在し、Alq3層は0nm〜200nmの厚さを有する、透明陰極電極とを含み得る。
【0018】
更に、対象発明の更なる実施形態では、少なくとも部分的に透明な片面発光OLEDを製作する方法は、PV電池を形成する工程と、OLEDを形成する工程と、PV電池とOLEDとを結合する工程とを含み得る。OLEDを形成する工程は、鏡を形成する工程と、透明陽極を鏡上に形成する工程と、有機発光層を透明陽極上に形成する工程と、透明陰極を有機発光層上に形成する工程とを含み得る。鏡は、例えば、誘電体スタック鏡であり得、誘電体スタック鏡は、異なる屈折率を有する2つの誘電材料が交互に重なった層を含む。
【0019】
本明細書に記載されるように、PV電池と少なくとも部分的に透明な片面発光OLEDとを組み込む装置は、1つまたは複数のある波長を有する光に透明であり得、その結果、昼間、PV電池が太陽エネルギーを吸収している際に外を見ることが可能である一方で、外が暗い間、照明源となることも可能である。OLED光は、主に一方向に発光され、装置は、光が建物または他の構造内に向けて発光され、環境中に出ないように配列することができる。実施形態では、OLEDは、光の可視スペクトルの一部分に少なくとも部分的に透明である一方で、光の可視スペクトルの別の部分の反射も行える。装置のOLEDは、可視スペクトルの所与の範囲の波長を有する光を発光する発光層(例えば、有機発光層)と、OLEDの発光層によって発光される光の少なくとも一部分の反射が可能な鏡とを含み得る。また、鏡は、OLEDによって発光されない光の可視スペクトルの少なくとも一部分に透明でもあり得る。
【0020】
図1Aを参照すると、例えば、外部環境からの入射光線20は、PV電池50に入射することができ、入射光線の一部分は、装置10中を移動することができ、その結果、装置は、可視光線20に少なくとも部分的に透明であり、装置は、例えば、昼間に、内側から外部環境を見るために使用することができる。図1Bを参照すると、装置10は、例えば、外が暗い夜間に、光(24、26)を生成するために使用することができ、そのかなりの割合(例えば、約90%または>90%)は一方向26に透過し、そのごく一部(例えば、約10%または<10%)のみが反対方向24に失われる。このように、OLED95からの光の大部分は一方向に透過するため、OLED95を片面OLEDと呼ぶ。装置は、生成された光の大半26が所望の場所(例えば、建物もしくは構造の内部、または、外部の光が必要とされるエリアに向けて)に提供される一方で、ほんの一部分のみが反対方向24に失われるように配置することができる。装置10は、場合により、ガラス基板60及び/または1つもしくは複数の電極層30を含み得る。多くの実施形態では、各電極層30は、当技術分野で知られるいかなる透明電極でもあり得、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、カーボンナノチューブ(CNT)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、銀ナノワイヤ及び/またはマグネシウム:銀/Alq3(Mg:Ag/Alq3)スタック層を含む層が挙げられる。各電極層30は、透明導電性酸化物(TCO)を含み得、本明細書で明確に挙げられるもの以外のTCOを含む。また、装置10は、可視鏡80も含み得る。特定の実施形態では、可視鏡は、赤外線(IR)放射が鏡を通過できるようなものであり得る。
【0021】
図2Aを参照すると、対象発明の実施形態による装置のOLEDに組み込むことができる誘電体スタック鏡100は、異なる屈折率(n)を有する誘電材料(37、39)が交互に重なった層を含み得る。例えば、高いnの材料37はTaであり得、低いnの材料39はSiOであり得るが、実施形態はこれらに限定されない。各層(37、39)は、約10nm〜約100nmの厚さを有し得、1〜40(量の面で)の各種の層が存在し得る。
【0022】
誘電体スタック鏡100は、場合により、ガラス基板60に隣接して配置する、及び/または、ITO層35などのOLEDの電極に隣接して配置することができる。一実施形態では、誘電体スタック鏡100は、赤外線(IR)及び/または可視光スペクトルの一部分などのある波長範囲(または複数の波長範囲)の光21に透明である一方で、可視光スペクトルの別の部分などのある波長範囲(または複数の波長範囲)の光22を反射し得る。即ち、誘電体スタック鏡100は、ある波長範囲(または複数の波長範囲)の光21に対し、約10%または<10%の反射率を有する一方で、ある波長範囲(または複数の波長範囲)の光22に対し、約90%または>90%の反射率を有し得る。例えば、誘電体スタック鏡100は、(少なくとも)赤外線(IR)及び/または赤色の光に透明である一方で、(少なくとも)緑色の光を反射することができる。特定の実施形態では、誘電体スタック鏡は、発光層90によって生成された光を反射する。
【0023】
ある実施形態では、誘電体スタック鏡は、TaとSiOが交互に重なった層を組み込むことができる。各Ta層は、例えば、約10nm〜約100nmの厚さを有し得、各SiO層は、例えば、約10nm〜約100nmの厚さを有し得る。誘電体スタック鏡は、例えば、N層のTaを含み得、SiO層の数はN−1〜N+1の範囲にあり、Nは1〜40の範囲にある。
【0024】
図2Bを参照すると、一実施形態では、誘電体スタック鏡100は、475nm〜550nmの範囲の波長を有する光に対し、98%を超える反射率を有し得、440nmまたは600nmの波長を有する光に対し、少なくとも80%の透過率(即ち、20%以下の反射率)を有し得る。誘電体スタック鏡100を通して見ると、図3Aの画像のように見え、その結果、誘電体スタック鏡は赤色の光に透明であるため、誘電体スタック鏡を通過する光は、やや赤みを帯びた外観を有し得る。
【0025】
図3Bを参照すると、一実施形態では、装置の少なくとも部分的に透明な片面発光OLED200は、鏡101(誘電体スタック鏡など)と、鏡101上の透明陽極電極130と、透明陽極電極130上の有機発光層220と、有機発光層220上の透明陰極電極230とを含み得る。OLED200は、場合により、鏡101下のガラス基板60を含み得る。また、OLED200は、場合により、透明陽極電極130上かつ有機発光層220下の正孔輸送層210も含み得る。また、OLED200は、場合により、電子輸送層(図示せず)も含み得る。
【0026】
一実施形態では、誘電体スタック鏡101は、TaとSiOが交互に重なった層を含み得る。各Ta層は、約10nm〜約100nmの厚さを有し得、各SiO層は、約10nm〜約100nmの厚さを有し得る。誘電体スタック鏡101は、N層のTaを含み得、SiO層の数はN−1〜N+1の範囲にあり、Nは1〜40の範囲にある。
【0027】
有機発光層220は、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−p−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、トリス−(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)及び/またはビス[(4,6−ジ−フルオロフェニル)−ピリジネート−]ピコリネート(Flrpic)を含み得るが、実施形態はこれらに限定されない。正孔輸送層210は、(N,N’−ジ−[(1−ナフタレニル)−N,N’−ジフェニル]−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン)(NPB)、1,1−ビス((ジ−4−トリルアミノ)フェニル)シクロヘキサン(TAPC)、(ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン))(TFB)及び/またはジアミン誘導体(TPD)を含み得るが、実施形態はこれらに限定されない。電子輸送層(図示せず)は、BCP、Bphen、3TPYMB及び/またはAlq3を含み得るが、実施形態はこれらに限定されない。透明陽極電極37は、インジウムスズ酸化物(ITO)、カーボンナノチューブ(CNT)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、銀ナノワイヤまたはマグネシウム:銀/Alq3(Mg:Ag/Alq3)スタック層を含み得るが、実施形態はこれらに限定されない。透明陰極電極230は、ITO、CNT、IZO、銀ナノワイヤまたはMg:Ag/Alq3スタック層を含み得るが、実施形態はこれらに限定されない。
【0028】
一実施形態では、透明陰極電極230は、Mg:Ag/Alq3スタック層を含み得る。Mg:Ag層231は、30nm未満の厚さを有し得る。特定の実施形態では、Mg:Ag層231は、約10nmの厚さを有し得る。更なる実施形態では、Mg:Ag層231は、11nmの厚さを有し得る。MgとAgは、10:1(Mg:Ag)または約10:1(Mg:Ag)の割合で存在し得る。Alq3層232は、0nm〜200nmの厚さを有し得る。特定の実施形態では、Alq3層232は、約50nmの厚さを有し得る。更なる実施形態では、Alq3層232は、50nmの厚さを有し得る。
【0029】
透明陽極電極130、有機発光層220、正孔輸送層210(存在する場合)及び電子輸送層(存在する場合)は、各々が約10nm〜約500nmの厚さを有し得る。より具体的には、これらの層の各々は、約40nm〜約200nmの厚さを有し得る。特定の実施形態では、透明陽極電極130は約110nmの厚さを有し得、有機発光層220は約70nmの厚さを有し得、正孔輸送層210は約70nmの厚さを有し得る。
【0030】
対象発明の実施形態では、少なくとも部分的に透明な片面発光OLEDを製作する方法は、PV電池を形成する工程と、OLEDを形成する工程と、PV電池とOLEDとを結合する工程とを含み得る。OLEDを形成する工程は、鏡を形成する工程と、透明陽極を鏡上に形成する工程と、有機発光層を透明陽極上に形成する工程と、透明陰極を有機発光層上に形成する工程とを含み得る。鏡は、例えば、誘電体スタック鏡であり得、誘電体スタック鏡は、異なる屈折率を有する2つの誘電材料が交互に重なった層を含む。
【0031】
ある実施形態では、誘電体スタック鏡は、TaとSiOが交互に重なった層を含み得、各Ta層は、約10nm〜約100nmの厚さを有し、各SiO層は、約10nm〜約100nmの厚さを有し、誘電体スタック鏡は、N層のTaを含み、SiO層の数はN−1〜N+1の範囲にあり、Nは1〜40の範囲にある。誘電体スタック鏡は、475nm〜550nmの範囲の波長を有する光に対し、98%を超える反射率を有し得、誘電体スタック鏡は、440nmの波長を有する光に対し、20%未満の反射率を有し、誘電体スタック鏡は、600nmの波長を有する光に対し、20%未満の反射率を有する。
【0032】
多くの実施形態では、透明陰極電極は、Mg:Ag/Alq3スタック層を含み、透明陰極電極を形成する工程は、30nm未満の厚さでMg:Ag層を形成する工程であって、MgとAgは、10:1(Mg:Ag)の割合で存在する、工程と、0nm〜200nmの厚さでMg:Ag層上にAlq3層を形成する工程とを含む。
【0033】
対象発明の実施形態によれば、有利な装置は、透明陽極電極(例えば、ITO下面陽極電極)と透明陰極電極(例えば、薄いMg:Ag/Alq3上面陰極電極)とともに鏡を利用する少なくとも部分的に透明な片面発光OLEDを含み得る。鏡は、ある範囲(または複数の範囲)の波長を有する光に対し、非常に高い(例えば、約90%または>90%)反射率を有し得る一方で、異なる1つまたは複数の範囲の波長を有する光に対し、低い(例えば、20%以下)反射率を有し得る。図2Aに示されるように、例えば、鏡は、約475nm〜約550nmの範囲の波長を有する光に対し、98%を超える反射率を有し得、約440nmまたは約600nmの波長を有する光に対し、>80%の透過率(20%以下の反射率)を有し得る。鏡は、光の可視スペクトルの少なくとも一部分に透明であり得、鏡を通過する光は、例えば、図3Aで見られるようなやや赤みを帯びた外観を有し得る。多くの実施形態では、OLEDから発光される光の90%超が透明陽極電極中を透過し、ある波長範囲の光のかなりごく一部(<10%)のみが鏡中を透過することができる。
【0034】
対象発明の多くの実施形態では、装置のOLEDは、鏡を組み込むことができる。OLEDは、可視スペクトルの所与の波長を有するか、または、ある範囲内の波長(その少なくとも一部分は可視スペクトルである)を有する光を発光する発光層(例えば、有機発光層)を含み得る。鏡は、OLEDの発光層によって発光される可視光線の少なくとも一部分を反射することができる。例えば、鏡は、OLEDの発光層によって発光される可視光線の90%超を反射することができる。様々な実施形態では、鏡は、OLEDの発光層によって発光される可視光線の次の割合または範囲、即ち、90%、約90%、>91%、91%、約91%、>92%、92%、約92%、>93%、93%、約93%、>94%、94%、約94%、>95%、95%、約95%、>96%、96%、約96%、>97%、97%、約97%、>98%、98%、約98%、>99%、99%、約99%、約100%、100%、>89%、89%、約89%、>88%、88%、約88%、>87%、87%、約87%、>86%、86%、約86%、>85%、85%、約85%、>84%、84%、約84%、>83%、83%、約83%、>82%、82%、約82%、>81%、81%、約81%、>80%、80%、約80%、>79%、79%、約79%、>78%、78%、約78%、>77%、77%、約77%、>76%、76%、約76%、>75%、75%、約75%、>74%、74%、約74%、>73%、73%、約73%、>72%、72%、約72%、>71%、71%、約71%、>70%、70%、約70%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも89%、少なくとも88%、少なくとも87%、少なくとも86%、少なくとも85%、少なくとも84%、少なくとも83%、少なくとも82%、少なくとも81%、少なくとも80%、少なくとも79%、少なくとも78%、少なくとも77%、少なくとも76%、少なくとも75%、少なくとも74%、少なくとも73%、少なくとも72%、少なくとも71%または少なくとも70%のうちのいずれか1つを反射することができる。
【0035】
また、鏡は、可視スペクトルの光の少なくとも一部分に透明であるかまたは透過可能でもある。例えば、鏡は、OLEDの発光層によって発光される可視スペクトルの一部分を含まない可視光線の一部分の<20%(即ち、OLEDの発光層によって発光される光の波長または波長範囲と重複しないある範囲の波長を有する可視光線の<20%)の反射が可能である(即ち、>80%の透過が可能である)。様々な実施形態では、鏡は、OLEDの発光層によって発光される光と重複しない波長または波長範囲を有する可視光線の次の割合または範囲、即ち、20%、約20%、<21%、21%、約21%、<22%、22%、約22%、<23%、23%、約23%、<24%、24%、約24%、<25%、25%、約25%、<26%、26%、約26%、<27%、27%、約27%、<28%、28%、約28%、<29%、29%、約29%、約0%、0%、<19%、19%、約19%、<18%、18%、約18%、<17%、17%、約17%、<16%、16%、約16%、<15%、15%、約15%、<14%、14%、約14%、<13%、13%、約13%、<12%、12%、約12%、<11%、11%、約11%、<10%、10%、約10%、<9%、9%、約9%、<8%、8%、約8%、<7%、7%、約7%、<6%、6%、約6%、<5%、5%、約5%、<4%、4%、約4%、<3%、3%、約3%、<2%、2%、約2%、<1%、1%、約1%、<30%、30%、約30、20%以下、21%以下、22%以下、23%以下、24%以下、25%以下、26%以下、27%以下、28%以下、29%以下、19%以下、18%以下、17%以下、16%以下、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下または30%以下のうちのいずれか1つの反射が可能である。
【0036】
鏡は、可視スペクトルの光の少なくとも一部分に透明であるかまたは透過可能である。例えば、鏡は、可視光線の全スペクトルの>80%の反射が可能である。様々な実施形態では、鏡は、可視光線の全スペクトルの次の割合または範囲、即ち、20%、約20%、<21%、21%、約21%、<22%、22%、約22%、<23%、23%、約23%、<24%、24%、約24%、<25%、25%、約25%、<26%、26%、約26%、<27%、27%、約27%、<28%、28%、約28%、<29%、29%、約29%、<30%、30%または約30%、<31%、31%、約31%、<32%、32%、約32%、<33%、33%、約33%、<34%、34%、約34%、<35%、35%、約35%、<36%、36%、約36%、<37%、37%、約37%、<38%、38%、約38%、<39%、39%、約39%、40%、40%または約40%、<41%、41%、約41%、<42%、42%、約42%、<43%、43%、約43%、<44%、44%、約44%、<45%、45%、約45%、<46%、46%、約46%、<47%、47%、約47%、<48%、48%、約48%、<49%、49%、約49%、50%、50%または約50%、<51%、51%、約51%、<52%、52%、約52%、<53%、53%、約53%、<54%、54%、約54%、<55%、55%、約55%、<56%、56%、約56%、<57%、57%、約57%、<58%、58%、約58%、<59%、59%、約59%、60%、60%または約60%、<61%、61%、約61%、<62%、62%、約62%、<63%、63%、約63%、<64%、64%、約64%、<65%、65%、約65%、<66%、66%、約66%、<67%、67%、約67%、<68%、68%、約68%、<69%、69%、約69%、70%、70%または約70%、<71%、71%、約71%、<72%、72%、約72%、<73%、73%、約73%、<74%、74%、約74%、<75%、75%、約75%、<76%、76%、約76%、<77%、77%、約77%、<78%、78%、約78%、<79%、79%、約79%、80%、80%または約80%、<81%、81%、約81%、<82%、82%、約82%、<83%、83%、約83%、<84%、84%、約84%、<85%、85%、約85%、<86%、86%、約86%、<87%、87%、約87%、<88%、88%、約88%、<89%、89%、約89%、90%、約90%、>90%、>89%、>88%、>87%、>86%、>85%、>84%、>83%、>82%、>81%、>80%、>79%、>78%、>77%、>76%、>75%、>74%、>73%、>72%、>71%、>70%、>20%、>21%、>22%、>23%、>24%、>25%、>26%、>27%、>28%、>29%、>30%、>31%、>32%、>33%、>34%、>35、>36%、>37%、>38%、>39%、>40%、>41%、>42%、>43%、>44%、>45%、>46%、>47%、>48、>49%、>50%、>51%、>52%、>53%、>54%、>55%、>56%、>57%、>58%、>59%、>60%、>61%、>62%、>63%、>64%、>65%、>66%、>67%、>68%、>69%、少なくとも90%、少なくとも89%、少なくとも88%、少なくとも87%、少なくとも86%、少なくとも85%、少なくとも84%、少なくとも83%、少なくとも82%、少なくとも81%、少なくとも80%、少なくとも79%、少なくとも78%、少なくとも77%、少なくとも76%、少なくとも75%、少なくとも74%、少なくとも73%、少なくとも72%、少なくとも71%、少なくとも70%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも19%、少なくとも18%、少なくとも17%、少なくとも16%、少なくとも15%、少なくとも14%、少なくとも13%、少なくとも12%、少なくとも11%、少なくとも10%、少なくとも9%、少なくとも8%、少なくとも7%、少なくとも6%、少なくとも5%、少なくとも4%、少なくとも3%、少なくとも2%、少なくとも1%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、90%以下、89%以下、88%以下、87%以下、86%以下、85%以下、84%以下、83%以下、82%以下、81%以下、80%以下、79%以下、78%以下、77%以下、76%以下、75%以下、74%以下、73%以下、72%以下、71%以下、70%以下、20%以下、21%以下、22%以下、23%以下、24%以下、25%以下、26%以下、27%以下、28%以下、29%以下、30%以下、31%以下、32%以下、33%以下、34%以下、35以下、36%以下、37%以下、38%以下、39%以下、40%以下、41%以下、42%以下、43%以下、44%以下、45%以下、46%以下、47%以下、48以下、49%以下、50%以下、51%以下、52%以下、53%以下、54%以下、55%以下、56%以下、57%以下、58%以下、59%以下、60%以下、61%以下、62%以下、63%以下、64%以下、65%以下、66%以下、67%以下、68%以下または69%以下のうちのいずれか1つの反射が可能である。
【0037】
一実施形態では、装置のOLEDは、鏡を組み込むことができ、光(少なくともその一部分が可視スペクトルである)を発光する発光層(例えば、有機発光層)を含み得る。様々な実施形態では、鏡は、OLEDの発光層によって発光される可視光線の少なくとも80%または少なくとも90%を反射することができ、OLEDの発光層によって発光される光以外の可視光線の90%以下の反射も可能である。様々な実施形態では、鏡は、OLEDの発光層によって発光される可視光線の上で挙げられた範囲の値のいずれかを反射することができ、OLEDの発光層によって発光される光を含む波長範囲と重複しない可視光線の波長範囲に対して上で挙げられた範囲の値のいずれかの反射も可能である。
【0038】
対象発明の実施形態によれば、有利な装置は、鏡と、透明陽極電極(例えば、ITO下面陽極電極)と、透明陰極電極(例えば、薄いMg:Ag/Alq3上面陰極電極)と、有機発光層とを含み得る少なくとも部分的に透明な片面発光OLEDを含み得る。様々な実施形態では、鏡は、有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも80%または少なくとも90%を反射することができ、OLEDの有機発光層によって発光される光以外の可視光線の90%以下を反射することができる。鏡は、誘電体スタック鏡であり得、異なる屈折率を有する2つの誘電材料が交互に重なった層を含み得る。誘電材料は、例えば、Ta及びSiOであり得る。
【0039】
更なる実施形態では、鏡は、有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも80%を反射することができ、OLEDの有機発光層によって発光される光以外の可視光線の80%以下を反射することができる。
【0040】
更に、更なる実施形態では、鏡は、有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも80%を反射することができ、OLEDの有機発光層によって発光される光以外の可視光線の50%以下を反射することができる。
【0041】
更に、更なる実施形態では、鏡は、有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも80%を反射することができ、OLEDの有機発光層によって発光される光以外の可視光線の20%以下を反射することができる。
【0042】
更に、更なる実施形態では、鏡は、有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも90%を反射することができ、OLEDの有機発光層によって発光される光以外の可視光線の50%以下を反射することができる。
【0043】
更に、更なる実施形態では、鏡は、有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも90%を反射することができ、OLEDの有機発光層によって発光される光以外の可視光線の20%以下を反射することができる。
【0044】
更に、更なる実施形態では、鏡は、有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも90%を反射することができ、OLEDの有機発光層によって発光される光以外の可視光線の10%以下を反射することができる。
【0045】
更に、更なる実施形態では、鏡は、有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも80%を反射することができ、OLEDの有機発光層によって発光される光以外の可視光線の10%以下を反射することができる。
【0046】
多くの実施形態では、対象発明は、PV電池を含み得、PV電池は、1つまたは複数の波長を有する光子に対する感受性が良く、1つまたは複数の波長は、ある波長範囲(例えば、「PV電池波長範囲」と呼ぶことができる)にあり、その結果、1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、PV電池波長範囲にない。PV電池の感受性が良い1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、1μmを超え得る。更なる実施形態では、PV電池の感受性が良い1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.85μmを超え得る。更に、更なる実施形態では、PV電池の感受性が良い1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.75μmを超え得る。更に、更なる実施形態では、PV電池の感受性が良い1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μmを超え得る。
【0047】
当技術分野で知られるように、スペクトルの可視範囲は、380nm〜750nm(境界を含む)である。
【0048】
図4Bを参照すると、対象発明の実施形態による装置のPV電池は、電力変換効率(PCE)の増加をもたらすことができる。図4Bは、入射光線の分光放射照度(W/mnm)対波長(nm)を示す。約400nm〜約850nmの範囲の波長を有する光に対する感受性が良い無機光電池(例えば、CdTeを含む)の場合、約400nm〜約850nmの範囲のすべての光子がキャリアに変換されれば、JSCは29.1mA/cmであり、VOCが0.85Vかつ曲線因子(FF)が80%であれば、PCEは20%である。PbS量子ドットを含み、約700nm〜約2000nmの範囲の波長を有する光に対する感受性が良いIR PV電池の場合、約700nm〜約2000nmの範囲のすべての光子がキャリアに変換されれば、JSCは44.0mA/cmであり、VOCが0.5VかつFFが80%であれば、PCEは17.6%である。PbS量子ドットを含み、約850nm〜約2000nmの範囲の波長を有する光に対する感受性が良いIR PV電池の場合、約850nm〜約2000nmの範囲のすべての光子がキャリアに変換されれば、JSCは33.4mA/cmであり、VOCが0.5VかつFFが80%であれば、PCEは13.4%である。
【0049】
溶液処理可能なナノ結晶(例えば、PbSまたはPbSeナノ結晶)を使用する赤外光検出器については、米国特許出願第13/272,995号明細書(2011年10月13日に出願)に記載されており、同特許は、米国仮特許出願第61/416,630号明細書(2010年11月23日に出願)の優先権を主張し、両特許の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのようなIR光検出器は、広域製造に適合するものとして示されている。対象発明の実施形態では、光電池は、米国仮特許出願第61/416,630号明細書の優先権を主張する米国特許出願第13/272,995号明細書に記載されている赤外光検出器のものと同様の構造、及び/または、米国仮特許出願第61/416,630号明細書に記載されている赤外光検出器のものと同様の構造を有し得る。また、PbSe量子ドットの吸光度を示す図4Aを参照すると、PbSe量子ドットは、赤外線感受性を有する。
【0050】
再度図1A及び1Bを参照すると、多くの実施形態によれば、装置10のPV電池50(例えば、IR PV電池)は、1μmを超える波長を有する光子に対する感受性が良いものであり得る。一実施形態では、PV電池50は、最大2500nmの波長を有する光子に対する感受性が良い。別の実施形態では、PV電池50は、最大約2000nmの波長を有する光子に対する感受性が良い。更なる実施形態では、PV電池50は、最大2000nmの波長を有する光子に対する感受性が良い。更に、更なる実施形態では、PV電池50は、約850nm〜約2000nmの範囲の波長を有する光子に対する感受性が良い。
【0051】
この説明や添付の特許請求の範囲では、PV電池50が所与の範囲の所与の値の波長または少なくともある値の波長を有する光子に対する感受性が良いものとして説明される場合、明確に規定されない限り、所与の範囲外の所与の値とは異なる波長またはある値未満の波長を有する光子に対する感受性が良いPV電池50を除外しないことを理解されたい。即ち、この説明や添付の特許請求の範囲では、PV電池50が所与の範囲の所与の値の波長または少なくともある値の波長を有する光子に対する感受性が良いものとして説明される場合、PV電池50が既定の値を有するかもしくは既定の範囲の光子に対してのみ感受性が良いこと、または、PV電池50が所与の範囲内の所与の値の波長もしくはある値を超える波長を有する光子に対する感受性が良くないことが明確に規定されない限り、PV電池50は、少なくともそれらの光子に対する感受性が良く、更に、所与の範囲外の所与の値とは異なる波長またはある値未満の波長を有する光子に対する感受性が良いものであってもなくともよい。
【0052】
様々な実施形態では、PV電池50は、次の値(すべての値は、単位がμmである)、即ち、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.50、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.80、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、098、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.20、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.30、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.40、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.90、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98または1.99の少なくともいずれかの波長を有する光子に対する感受性が良いものであり得る(即ち、PV電池50は、少なくとも0.40μm、少なくとも0.41μm、…、少なくとも1.99μmの波長を有する光子に対する感受性が良いものであり得る)。更なる実施形態では、PV電池50は、次の値(すべての値は、単位がμmである)、即ち、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.50、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.80、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、098、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.20、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.30、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.40、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.60、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.70、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.80、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.90、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98または1.99の少なくともいずれかの波長を有する光子に対してのみ感受性が良く、その値未満の波長を有するいずれの光子に対しても感受性が良くないものであり得る(即ち、PV電池50は、少なくとも0.40μm、少なくとも0.41μm、…、少なくとも1.99μmの波長を有する光子に対してのみ感受性が良く、0.40μm未満、0.41μm未満、…、1.99μm未満のそれぞれの波長を有するいずれの光子に対しても感受性が良くないものであり得る)。
【0053】
ある実施形態では、PV電池50は、量子ドットを含むIR感光層を含み得る。量子ドットは、例えば、PbSまたはPbSe量子ドットであり得るが、実施形態はこれらに限定されない。
【0054】
多くの実施形態では、装置10は、PV電池50の片面または両面上に電極30を含み得る。一実施形態では、PV電池50は、透明陽極と透明陰極とを含む。各電極層30は、当技術分野で知られるいかなる透明電極でもあり得、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、カーボンナノチューブ(CNT)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、銀ナノワイヤ及び/またはマグネシウム:銀/Alq3(Mg:Ag/Alq3)スタック層を含む層が挙げられる。特定の実施形態では、透明電極層のうちの1つまたは複数は、Mg:Ag層が10:1(Mg:Ag)の割合を有するようなMg:Ag/Alq3スタック層であり得る。Mg:Ag層は、30nm未満の厚さを有し得、Alq3層は、0nm〜200nmの厚さを有し得る。各電極層30は、スペクトルの可視領域の光の少なくとも一部分に透明であり得る。各電極層30は、スペクトルの赤外線領域の光の少なくとも一部分(好ましくは、すべて)に透明であり得る。ある実施形態では、各電極層30は、スペクトルの可視領域の光の少なくとも一部分(好ましくは、すべて)及びスペクトルの赤外線領域の光の少なくとも一部分(好ましくは、すべて)に透明であり得る。一実施形態では、装置10は、OLED90とPV電池50との間にガラス基板60を含み得る。例えば、PV電池50はガラス基板60上に製作することができ、次いで、ガラス基板60はOLED90と結合することができ、OLED90もまたガラス基板60を含み得る。
【0055】
多くの実施形態では、装置10は、PV50の入力表面への入射光線が、PV電池50を通過してPV電池50の出力表面を出て、OLED95の入力表面に入射し、OLED95に入って通過するように構成することができる。
【0056】
対象発明の一実施形態では、エリアを照らす方法は、装置を提供する工程を含み得、装置は、OLEDとPV電池とを備える。OLED及びPV電池は、本明細書に記載されるようなものであり得る。例えば、PV電池は、第1の1つまたは複数の波長を有する光子に対する感受性が良いものであり得、第1の1つまたは複数の波長は、PV電池波長範囲にあり、第1の1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、1μmを超える。更なる実施形態では、第1の1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.85μmを超える。更に、更なる実施形態では、第1の1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.75μmを超える。更に、更なる実施形態では、第1の1つまたは複数の波長のうちの少なくとも1つは、0.70μmを超える。OLEDは、有機発光層と、鏡と、可視光線に透明な第1の陽極電極と、可視光線に透明な第1の陰極電極とを含み得る。有機発光層は、第1の陽極電極と第1の陰極電極との間に配置することができ、鏡は、第1の陽極電極及び第1の陰極電極のうちの1つが鏡と有機発光層との間にくるように配置することができる。鏡は、第1の可視光線波長範囲で反射可能であり、有機発光層によって発光される可視光線の少なくとも第1の部分は、第1の可視光線波長範囲内の波長を有し、鏡は、第2の可視光線波長範囲で透過可能である。有機発光層は、第2の可視光線波長範囲の少なくとも一部分の波長を有する光を発光しないように構成することができる。
【0057】
装置のPV電池は、例えば、少なくとも1μmを超える波長を有する光子に対する感受性が良いものであり得る。一実施形態では、装置のPV電池は、例えば、少なくとも0.85μmを超える波長を有する光子に対する感受性が良いものであり得る。更に、更なる実施形態では、装置のPV電池は、例えば、少なくとも0.75μmを超える波長を有する光子に対する感受性が良いものであり得る。更に、更なる実施形態では、装置のPV電池は、例えば、少なくとも0.70μmを超える波長を有する光子に対する感受性が良いものであり得る。一実施形態では、PV電池は、最大2500nmの波長を有する光子に対する感受性が良い。別の実施形態では、PV電池は、最大約2000nmの波長を有する光子に対する感受性が良い。更なる実施形態では、PV電池は、最大2000nmの波長を有する光子に対する感受性が良い。更に、更なる実施形態では、PV電池は、約850nm〜約2000nmの範囲の波長を有する光子に対する感受性が良い。更に、更なる実施形態では、PV電池は、約750nm〜約2000nmの範囲の波長を有する光子に対する感受性が良い。更に、更なる実施形態では、PV電池は、約700nm〜約2000nmの範囲の波長を有する光子に対する感受性が良い。更に、更なる実施形態では、PV電池は、約1000nm〜約2000nmの範囲の波長を有する光子に対する感受性が良い。更に、更なる実施形態では、PV電池は、約850nm〜約2500nmの範囲の波長を有する光子に対する感受性が良い。更に、更なる実施形態では、PV電池は、約750nm〜約2500nmの範囲の波長を有する光子に対する感受性が良い。更に、更なる実施形態では、PV電池は、約700nm〜約2500nmの範囲の波長を有する光子に対する感受性が良い。更に、更なる実施形態では、PV電池は、約1000nm〜約2500nmの範囲の波長を有する光子に対する感受性が良い。
【0058】
ある実施形態では、PV電池は、量子ドットを含むIR感光層を含み得る。量子ドットは、例えば、PbSまたはPbSe量子ドットであり得るが、実施形態はこれらに限定されない。
【0059】
対象発明の実施形態では、装置は、入射光線がPV電池に入射し、光の少なくとも一部分がPV電池によって吸収され、光の少なくとも一部分がPV電池とOLEDを通過するように構成することができる。
【0060】
一実施形態では、装置を形成する方法は、ガラス基板上にPV電池を製作し、次いで、ガラス基板をOLEDと結合する工程を含み得る。また、本方法は、PV電池のガラス基板がOLEDのガラス基板と結合されるようにガラス基板上にOLEDを形成する工程含み得る。
【0061】
更なる実施形態では、PV電池は、光学的に透明なプラスチック膜にコーティングすることができ、次いで、光学的に透明なプラスチック膜は、OLEDと結合することができる。更に、更なる実施形態では、OLEDは、光学的に透明なプラスチック膜にコーティングすることができ、次いで、光学的に透明なプラスチック膜は、PV電池と結合することができる。更に、更なる実施形態では、OLEDとPV電池の両方とも、光学的に透明なプラスチック膜にコーティングすることができ、PV電池の光学的に透明なプラスチック膜は、OLEDの光学的に透明なプラスチック膜と結合することができる。光学的に透明なプラスチック膜は、可視光線の少なくとも一部分(好ましくは、すべて)に透明であり得る。
【0062】
ある実施形態では、1つまたは複数の追加のPV電池を対象発明の装置に組み込むことができる。1つまたは複数の追加のPV電池の各々は、可視スペクトル及び/または赤外線スペクトルの光に対する感受性が良いものであり得る。例えば、従来のPV電池は、例えば、可視光線に対する感受性が良いものを含み得る。特定の実施形態では、含まれるいかなる追加のPV電池も、OLEDの鏡が透過可能な範囲の可視光線の少なくとも一部分に対する感受性が良くない。好ましい実施形態では、含まれるいかなる追加のPV電池も、OLEDの鏡が透過可能な範囲の可視光線のいずれに対する感受性が良くない。
【0063】
IR光検出器の製作については、以前に参照された米国仮特許出願第61/416,630号明細書(2010年11月23日に出願)の優先権を主張する米国特許出願第13/272,995号明細書(2011年10月13日に出願)に記載され、及び/または、米国仮特許出願第61/416,630号明細書(2010年11月23日に出願)に記載され、ここで再度詳細に説明される。
【0064】
米国仮特許出願第61/416,630号明細書(2010年11月23日に出願)の優先権を主張する米国特許出願第13/272,995号明細書(2011年10月13日に出願)及び/または米国仮特許出願第61/416,630号明細書(2010年11月23日に出願)は、センサとして使用するため及びアップコンバージョンデバイスで使用するための高検出能を有する赤外光検出器について記載する。暗電流が支配的な雑音指数である場合、検出能は、以下の方程式(1)で表現することができる。
【0065】
=R/(2qJ1/2 (1)
式中、Rは応答度であり、Jは暗電流密度であり、qは素電荷(1.6×10−19C)である。最適の検出能を有する光検出器を実現するには、非常に低い暗電流密度が必要とされる。本発明の実施形態による光検出器は、深い最高被占準位(HOMO)を有する正孔阻止層(HBL)と、高い最低空準位(LUMO)を有する電子阻止層(EBL)とを含み、EBLはIR感光層の陽極接面上に位置し、HBLは陰極接面上に位置する。層は、厚さ約20nm〜約500nmの範囲にあり得、電極間の全間隔は、5μm未満である。本発明の実施形態によるIR光検出器は、5V未満の印加電圧での高検出能を可能にする。
【0066】
IR感光層は、有機もしくは有機金属含有材料または無機材料であり得る。材料は、例えば、最大1800nm、最大2000nm、最大2500nmまたはそれ以上の波長など、近IR(700〜1400nm)を超えて広がるIRの大部分を通じて吸収することができる。例示的な有機または有機金属含有材料は、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸−3,4,9,10−二無水物(PCTDA)、スズ(II)フタロシアニン(SnPc)、SnPc:C60、塩化アルミニウムフタロシアニン(AlPcCl)、AlPcCl:C60、チタニルフタロシアニン(TiOPc)及びTiOPc:C60を含む。感光層として使用するための無機材料は、PbSe量子ドット(QD)、PbS QD、PbSe薄膜、PbS薄膜、InAs、InGaAs、Si、Ge及びGaAsを含む。
【0067】
HBLは、これらには限定されないが、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、p−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(UGH2)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BPhen)、トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)、3,5’−N,N’−ジカルバゾール−ベンゼン(mCP)、C60及びトリス[3−(3−ピリジル)−メシチル]ボラン(3TPYMB)を含む有機または有機金属含有材料であり得る。あるいは、HBLは、これらには限定されないが、ZnOまたはTiOの薄膜またはナノ粒子を含む無機材料であり得る。
【0068】
EBLは、例えば、これらには限定されないが、ポリ(9,9−ジオクチル−フルオレン−コ−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(TFB)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ジフェニル−N,N’(2−ナフチル)−(1,1’−フェニル)−4,4’−ジアミン)(NPB)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン(TPD)、ポリ−N,N’−ビス−4−ブチルフェニル−N,N’−ビス−フェニルベンジジン(ポリ−TPD)またはポリスチレン−N,N−ジフェニル−N,N−ビス(4−n−ブチルフェニル)−(1,10−ビフェニル)−4,4−ジアミン−パーフルオロシクロブタン(PS−TPD−PFCB)などの有機材料であり得る。
【0069】
光検出器は、阻止層なしのもの、EBLとしてポリ−TPDを用いたもの、HBLとしてZnOナノ粒子を用いたもの、EBL及びHBLとしてポリ−TPD及びZnOナノ粒子を用いたものがそれぞれ準備され、IR感光層は、PbSeナノ結晶を含んでいた。光検出器に対する暗電流−電圧(J−V)図は、EBL及びHBLを用いたものでは、阻止層なしの光検出器より3桁を超えて減少していた。両方の阻止層を用いた光検出器は、950nmより短いIR及び可視波長にわたって1011ジョーンズを超える検出能を示す。
【0070】
無機ナノ粒子光検出器もまた、阻止層なしのもの、EBL及びHBL層を用いたものが構築された。光検出器は、様々なHBL(BCP、C60またはZnO)、EBL(TFBまたはポリ−TPD)及びPbSe量子ドットを含むIR感光層を含んでいた。減少の大きさは異なるが、光検出器を含むPbSe上に配置されたEBL及びHBLの配置は、低い印加電圧での暗電流のかなりの減少をもたらす。
【0071】
実施例1
対象発明の装置で使用するためのOLEDであって、約1mmの厚さを有するガラス基板と、ガラス基板の直上の誘電体スタック鏡と、ITOを含み、誘電体スタック鏡の直上の約110nmの厚さを有する透明陽極電極と、NPBを含み、透明陽極電極の直上の約70nmの厚さを有する正孔輸送層と、Alq3を含み、正孔輸送層の直上の約70nmの厚さを有する有機発光層と、約50nmの厚さを有するAlq3層及び約11nmの厚さを有するMg:Ag層を備える有機発光層の直上の透明陰極電極とを含むOLEDが製作された。
【0072】
図3Cを参照すると、この片面透明OLEDの上面及び下面発光の両方に対する電流密度(mA/cm)及びルミネッセンス(Cd/m)が電圧の関数として示されている。このOLEDに対する上面発光と下面発光との割合は、約9:1である。図3Dを参照すると、この片面透明OLEDの上面及び下面発光の両方に対する電流効率(cd/A)が電流密度(mA/cm)の関数として示されている。
【0073】
本明細書で言及されるかまたは引用されるすべての特許、特許出願、仮出願及び刊行物は、すべての図及び表を含めて、本明細書の明確な教示に矛盾しない範囲で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
本明細書に記載される実施例及び実施形態は、単なる例示のみを目的とし、それらを踏まえて様々な変更形態または変形形態が当業者に提案され、本願の精神及び範囲内に含まれることを理解されたい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B