(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、本発明の方法の対象物として、吸収性物品の一つである使い捨ておむつを例にとる。この使い捨ておむつはパンツ型であり、
図1(a)には、パンツ型の使い捨ておむつを、そのサイドシールの部分で開いて平面にした状態を、表面シートの側から見た平面図が示されている。
図1(b)は、
図1(a)におけるb−b線断面図である。
図1(a)及び
図1(b)に示す使い捨ておむつ1は、吸収性本体2と、該吸収性本体2の外側に配置された外装体3とを具備する。外装体3は、着用者の腹側に配される矩形状の腹側シート部材3Aと、着用者の背側に配される矩形状の背側シート部材3Bとからなる。腹側シート部材3A及び背側シート部材3Bは、腹側シート部材3Aの両側縁部3a,3aと、背側シート部材3Bの両側縁部3b,3bとが接合され、それによって一対のサイドシール部(図示せず)が形成される。
【0018】
腹側シート部材3Aは、おむつ1の展開かつ伸長状態において、横長の長方形状をなしており、おむつ長手方向に沿う左右一対の側縁部3aと、おむつ幅方向に沿う上下一対の端縁部とを有している。背側シート部材3Bも、同様に、おむつ1の展開かつ伸長状態において、横長の長方形状をなしており、おむつ長手方向に沿う左右一対の側縁部3bと、おむつ幅方向に沿う上下一対の端縁部とを有している。腹側シート部材3Aと背側シート部材3Bは、
図1(a)に示すように、おむつ長手方向の長さがおむつ幅方向において均一になっている。
【0019】
腹側シート部材3A及び背側シート部材3Bはいずれも、内層シート4a及び外層シート4bからなる2層構造のものである。内層シート4aは、おむつ1の着用時に着用者の肌に対向する側に配置される。外層シート4bは、おむつ1の外面をなす。内層シート4aと外層シート4bとの間には、複数本の弾性部材5が伸長状態で配されている。弾性部材5は、おむつ1の幅方向に延びるように配置されている。弾性部材5は、伸長状態で内層シート4a及び外層シート4bに固定されている。固定手段としては例えば接着剤を用いることができる。外装体3を構成する内層シート4a及び外層シート4bとしては、液難透過性又は液不透過性のシート材、例えば不織布等の繊維シートやフィルムを用いることができる。
【0020】
おむつ1における吸収性本体2は、液透過性の表面シート6、液不透過性又は撥水性の裏面シート7、及び両シート6,7間に介在配置された液保持性の吸収体8を有している。吸収性本体2は、おむつ1の長手方向に長い長方形状に形成されている。吸収性本体2における表面シート6としては、液透過性を有する不織布や穿孔シートを用いることができる。これら不織布や穿孔シートには親水化処理が施されていてもよい。裏面シート7としては、合成樹脂製のフィルムや、該フィルムと不織布とを積層した複合シートを用いることができる。あるいはスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)複合不織布を用いることもできる。吸収体8は、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コア(図示せず)を具備している。吸収性コアは、コアラップシート(図示せず)によって被覆されていてもよい。
【0021】
表面シート6及び裏面シート7は、吸収性本体2の長手方向の前後端域において、吸収体8の前後端から前後方向に延出している。そして延出した表面シート6及び裏面シート7が互いに接合されている。両シート6,7が接合された部位9には吸収体8が存在していない。したがって部位9の厚みは、吸収体8が存在している部位に比べて厚みが薄くなっている。このように、吸収性本体2は厚み差Dを有している。
【0022】
吸収性本体2は、長手方向の一端側(腹側シート部材3Aと重なっている部分)が、腹側シート部材3Aの幅方向中央域に固定されている。同様に、吸収性本体2は、長手方向の他端側(背側シート部材3Bと重なっている部分)が、背側シート部材3Bの幅方向の中央域に固定されている。
【0023】
以上の構成を有する使い捨ておむつ1の製造方法を、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
図2及び
図3に示す方法においては、吸収性本体2の腹側の端部域に腹側シート部材3Aを接合し、かつ吸収性本体2の背側の端部域に背側シート部材3Bを接合する操作が行われる。吸収性本体2の製造に関しては、当該技術分野において公知の方法を採用することができる。例えば、長手方向に沿って搬送される長尺帯状の裏面シート7の原反上に吸収体8を間欠的に載置し、更に該吸収体8を覆うように、長手方向に沿って搬送される長尺帯状の表面シート6の原反を配置する。そして、吸収体8の周縁から外方に延出した部位において表面シート6の原反と裏面シート7の原反とを接合する。この接合によって、吸収性本体が複数個結合した連続長尺物が得られる。この連続長尺物を、その長手方向に沿って搬送しながら、前後隣接する吸収体間において幅方向にわたって裁断することで、個々の吸収性本体2が得られる。したがって、個々の吸収性本体2は、その長手方向を搬送方向と一致させて搬送される。
図2には、この状態、すなわち各吸収性本体2がその長手方向を搬送方向と一致させて搬送され、反転装置10に導入される状態が示されている。
【0024】
図2に示す反転装置10は、吸収性本体2の受け入れ部Aと、吸収性本体2の受け渡し部Bとを有している。反転装置10は、同図中、矢印R方向に回転する略筒状の回転ドラム11を備えている。回転ドラム11は、その周面部に複数の保持パッド12を備えている。保持パッド12は、回転ドラム11の回転方向Rに沿って一方向に移動するようになっている。保持パッド12は保持表面12aを有している。保持表面12aは平面視して長手方向及びこれに直交する幅方向を有する略矩形状をしている。保持表面12aは平面であってもよく、あるいは若干凸面になっていてもよい。
【0025】
長手方向を搬送方向と一致させて搬送されてきた吸収性本体2は、受け入れ部Aにおいて保持表面12a上に保持される。吸収性本体2の保持表面12aへの保持は、例えば保持表面12aを通じて外部から保持パッド12の内部に向けて空気を吸引することで行うことができる。この保持状態を維持して保持パッド12は矢印R方向に回転し、吸収性本体2を同方向に搬送する。搬送された吸収性本体2は、受け渡し部Bにおいて次工程に受け渡される。なお、吸収性本体2の保持表面12aへの保持は、吸収性本体2における表面シート6が保持表面12aと対向するように行われる。
【0026】
反転装置10における保持パッド12は、回転ドラム11が回転している間にわたり保持表面12aに略垂直な軸線の周りに回転するようになされている。このような回転機構は当該技術分野において公知のものである。この回転によって保持パッド12の保持表面12aに保持された吸収性本体2は、該吸収性本体2の平面、すなわち保持表面12aに垂直な軸線Pの回りに回転するようになされている。
【0027】
各保持パッド12は、
図2中、矢印R方向に回転しながら、隣り合う保持パッド間の距離(保持パッド12が回転ドラム11の回転方向である一方向に移動する軌跡に沿って測定した距離)が短縮及び/又は伸長するようになされている。すなわち、受け入れ部Aの近傍に位置する各保持パッド12は、その保持表面12aに垂直な方向から見たときの該保持パッド12の長手方向を、回転ドラム11の周方向に向けて、相互間の間隔がほぼなくなる程度に近接している。一方、受け渡し部Bの近傍に位置する各保持パッド12は、保持パッド間の距離が、受け入れ部Aの近傍に位置する各保持パッド12間の距離よりも大きくなっている。
【0028】
保持パッド12は、受け入れ部Aの位置においては、その長手方向が回転ドラム11の回転方向Rと一致している。そして保持パッド12は、受け入れ部Aから受け渡し部Bに向けて搬送されるに連れて、前記の軸線Pの回りに徐々に回転し、受け渡し部Bの位置においては、その幅方向が回転ドラム11の回転方向Rと一致する。このように、保持パッド12は、受け入れ部Aから受け渡し部Bまでの間に軸線Pのまわりに90度回転するようになっている。そして、受け渡し部Bから受け入れ部Aまでの間においても、保持パッド12の回転は継続して行われ、この間において保持パッド12は軸線Pのまわりに90度回転するようになっている。要するに、回転ドラム11が1回転する間に、保持パッド12は軸線Pのまわりに180度回転するようになっている。
【0029】
反転装置10の受け渡し部Bにおいては、保持パッド12の保持表面12aに保持された吸収性本体2に対向してプレスロール13が配置されている。
図3に示すように、プレスロール13は、その軸方向が保持パッド12の長手方向L(すなわち吸収性本体2の長手方向)と一致するように配置されている。先に述べたとおり、吸収性本体2は、その表面シート6の側が保持パッド12の保持表面12aに保持されているので、吸収性本体2のうちプレスロール13と対向する部材は、裏面シート7となる。
【0030】
更に受け渡し部Bにおいては、吸収性本体2とプレスロール13との間に、外装体3の連続長尺物からなる原反(すなわち腹側シート部材3A及び背側シート部材3Bの連続長尺物からなる原反)が供給される。外装体3の原反は、受け渡し部に供給される前に、その一方の面に接着剤Hが塗工される。接着剤Hは、接着剤の塗工装置14から吐出される。接着剤Hは外装体3の原反の面のうち、吸収性本体2と対向する面に塗工される。
【0031】
図3には、受け渡し部Bにおける吸収性本体2と、外装体3の原反と、プレスロール13との位置関係が示されている。同図は、受け渡し部Bを、外装体3の原反の搬送方向に沿って見た図である。同図においては、紙面と直交する方向が外装体3の原反の搬送方向である。同図に示すとおり、プレスロール13は、その軸方向X(この方向は、吸収性本体2の長手方向Lと一致する。)に沿って直径が異なる複数のロールを備えている。この複数のロールは、大径ロール14及び小径ロール15である。大径ロール14は、小径ロール15よりも相対的に直径が大きくなっており、小径ロール15は、大径ロール14よりも相対的に直径が小さくなっている。大径ロール14及び小径ロール15はそれぞれ一対用いられている。各大径ロール14は、各小径ロール15よりも軸方向Xに関して外方に配置されている。また一方の大径ロール14は、一方の小径ロール15と隣接して配置されており、他方の大径ロール14は、他方の小径ロール15と隣接して配置されている。一対の小径ロール15,15の間では軸心16が露出しており別のロールは配置されていない。
【0032】
図3に示すとおり、外装体3の原反は、吸収性本体2の長手方向Lにおける前後端部域、すなわち腹側部の端部域及び背側部の端部域を被覆するように受け渡し部Bに供給される。吸収性本体2の腹側部の端部域に供給される外装体3の原反は、腹側シート部材3Aの原反である。一方、吸収性本体2の背側部の端部域に供給される外装体3の原反は、背側シート部材3Bの原反である。このように、受け渡し部Bにおいては、2本の原反が供給される。
【0033】
各シート部材3A,3Bの原反には、吸収性本体2における裏面シート7との対向面に接着剤Hが塗布されているので、吸収性本体2と各シート部材3A,3Bの原反とを重ね合わせて被加圧物となし、該被加圧物をプレスロール13及び保持パッド12で加圧することで、吸収性本体2と各シート部材3A,3Bの原反とは加圧されて接合される。このとき、被加工物である吸収性本体2及び各シート部材3A,3Bのうち、吸収性本体2は、
図3に示すとおり、加圧対象部位である接合部位に厚み差を有している。したがってプレスロール13として均一径のものを用いた場合には、該接合部位のうち、厚みの大きな部位は強く加圧されるのに対して、厚みの小さな部位の加圧力は小さいものとなってしまう。このことに起因して、接合部位の接着力が均一になりにくい。そこで本実施形態においては、直径が異なる複数のロール14,15を具備するプレスロール13を用いることで、接着力を略均一なものとしている。
【0034】
詳細には、プレスロール13に備えられている複数のロール14,15は、吸収性本体2と各シート部材3A,3Bの原反とを重ね合わせた被加圧物のうち、厚みの小さい部位に対向して配置されるものほど相対的に大径のもの(すなわち大径ロール14)であり、かつ厚みの大きい部位に対向して配置されるものほど相対的に小径のもの(すなわち小径ロール15)である。大径ロール14及び小径ロール15と、前記被加圧物との位置関係をこのようにすることで、該被加圧物における前記接合部位(加圧対象部位)に厚み差D(
図1(b)参照)があっても、その厚み差Dは大径ロール14と小径ロール15との直径差によって相殺されるので、前記接合部位を被加圧物の厚み差に応じた加圧力で接合することができる。均一な加圧力で接合する観点からは、被加圧物における前記接合部位の厚み差Dと、大径ロール14と小径ロール15との直径差の半分(要するに半径差)とを等しくすることが好ましい。
また、被加圧物の薄い箇所を強く加圧したい場合には、厚み差Dよりも大径ロール14と小径ロール15との半径差を大きくし、被加圧物の厚い箇所を強く加圧したい場合には、厚み差Dよりも大径ロール14と小径ロール15との半径差を小さくすることが好ましい。このような観点から、前記被加圧物の厚みが例えば4mm以上17mm以下であり、前記厚み差Dが2mm以上15mm以下である場合には、大径ロール14と小径ロール15との直径差を4mm以上とすることが好ましく、10mm以上とすることが更に好ましい。また、大径ロール14と小径ロール15との直径差を30mm以下とすることが好ましく、24mm以下とすることが更に好ましい。例えば、大径ロール14と小径ロール15との直径差を4mm以上30mm以下とすることが好ましく、10mm以上24mm以下とすることが更に好ましい。なお、前記接合部位における厚み差Dは、吸収性本体2と各シート部材3A,3Bの原反とを重ね合わせた被加圧物に50N/m
2の荷重をかけた状態で測定された値である。
【0035】
大径ロール14及び小径ロール15の材質は、特に制限なく、例えばスポンジ、ゴム(硬質ゴム)、金属などが挙げられる。接着剤が外装シートを染み出してもロールへの汚染を防ぐことが出来る観点から、シリコンスポンジやシリコンゴムなどのロールの表面が非粘着処理(シリコン処理等)されている材料を使うことも好ましい。
【0036】
前記接合部位を被加圧物の厚み差に応じた加圧力で一層効果的に接合する観点から、大径ロール14及び小径ロール15を、その直径に応じて材質を異ならせてもよい。特に、大径ロール14及び小径ロール15のうち、直径の大きなロールほど、すなわち大径ロール14ほど硬質の材料からなり、直径の小さなロールほど、すなわち小径ロール15ほど軟質の材料からなることが、更に一層加圧差を抑えた加圧力で前記接合部位を接合する観点、及び厚みの小さい部位に十分な加圧力を加える観点から好ましい。硬質の材料と軟質の材料との組み合わせとしては、例えば軟質材料であるスポンジと、硬質材料である金属やゴム(硬質ゴム)との組み合わせが挙げられる。
【0037】
本実施形態で用いられるプレスロール13においては、大径ロール14及び小径ロール15が、プレスロール13の軸方向Xに沿って移動可能になっている。このような構成を採用することで、被加圧物を構成する吸収性本体2や各シート部材3A,3Bの原反の寸法や配置状態が設計変更等の事情によって変更になった場合であっても、新たにプレスロール13を用意することなく、プレスロール13における大径ロール14及び小径ロール15を移動させてそれらの位置を変更するだけの簡単な作業で設計変更後の仕様に柔軟に対応することができる。したがって設計変更のたびにプレスロール13を新たに作り替える必要がなく経済的である。
【0038】
図4(a)及び
図4(b)には、本実施形態で好適に用いられるプレスロール13の構造が示されている。これらの図に示すとおり、プレスロール13は、軸心16を有しており、この軸心16に大径ロール14及び小径ロール15が移動可能に取り付けられている。大径ロール14は、中心域14Aと周縁域14Bとから構成されている。同様に小径ロール15も、中心域15Aと周縁域15Bとから構成されている。大径ロール14の中心域14Aと、小径ロール15の中心域15Aとは、ボルト17によって締結されている。大径ロール14の周縁域14B及び小径ロール15の周縁域15Bはいずれも円環状の形状をしており、各ロール14,15の中心域14A、15Aの周面に配置されている。大径ロール14における中心域14Aと周縁域14Bとの材質が同じである場合、例えば金属から構成されている場合には、該中心域14Aと該周縁域14Bとは一体的に形成されており、両者間に境界は存在しないこともある。一方、中心域14Aと周縁域14Bとの材質が異なる場合、例えば中心域14Aが金属製であり、周縁域14Bがゴム製である場合には、中心域14Aと周縁域14Bとは別体に構成されている。両者が別体に構成されていることから、周縁域14Bが中心域14Aに対して空回りすることを防止するために、周縁域14Bと、中心域14Aとの対向面には例えば接着剤が施されており、両者が接合されている。以上の構造は、小径ロール15についても同様である。
【0039】
大径ロール14の中心域14A及び小径ロール15の中心域15Aはいずれも、軸方向Xに延びるように軸心16の周面に凹設されたキー溝18に嵌め込まれたキー(図示せず)によって固定されている。この固定によって各中心域14A,15Aは、軸心16まわりでの空回りが防止されている。キーはキー溝18の軸方向の全域にわたって嵌め込まれており、軸方向Xにおける大径ロール14及び小径ロール15の位置を自由に設定できる。なお、大径ロール14の中心域14A及び小径ロール15の中心域15Aにも軸心16のキー溝18の対応位置にキー溝が形成されているが、図示は省略する。
【0040】
更に各ロール14,15は、それらのロール14,15における中心域14A,15Aが、軸心16を挟むように配置された2つの半割り構造体の組み合わせからなる。2つの半割り構造体は、ボルト19によって締結されてロールとなされ、該ロールが、ボルト(図示せず)の締結によって軸心16に固定されている。この不図示のボルト及びボルト19による締結及びその解除によって、各ロール14,15を軸心16に対して移動可能とすることができる。
【0041】
プレスロール13においては、その軸心16が回転駆動源(図示せず)に直結されていることが好ましい。こうすることで、各シート部材3A、3Bの流れ方向におけるシートに加わる負荷を小さくすることができる。
【0042】
これまでの説明は、吸収性本体2と各シート部材3A,3Bの原反とを重ね合わせて被加圧物となし、両者を加圧して接合する実施形態に関するものであったが、本発明は、対象となる被加圧物が1つであり、該被加圧物を加圧する方法にも適用することができる。例えば
図5に示すとおり、被加工物としての吸収体20を、プレスロール13と、アンビルロール等の受け部材24とで加圧する方法に本発明を適用することができる。同図に示す吸収体20は、一対の吸収性コア21a,21bを有している。吸収性コア21a,21bは一方向に延びる形状をしており、両コア21a,21b間は離間しており離間部22を形成している。両コア21a,21bは、液透過性のコアラップシート23によってそれらの全体が被覆されている。コアラップシート23によって被覆されている両コア21a,21bは、それらの一方の面に接着剤Hが施されており、この接着剤Hによって両コア21a,21bとコアラップシート23とが接合されている。このような構成を有する吸収体20においては、離間部22に吸収性コアが存在していないことに起因して、該離間部22は吸収体20の他の部位に比べて厚みが小さくなっている。つまり吸収体20は厚み差を有している。このように、加圧対象部位に厚み差を有する吸収体20を、プレスロール13を用いて加圧する場合、厚みの小さな部位である離間部22を加圧するために大径ロール14を用い、離間部22を挟んでその両側に位置する部位を加圧するために小径ロール15を用いる。これによって、プレスロール13に対向する面側に凹凸形状を有する吸収体20を首尾良く得ることができる。
【0043】
以上の説明から明らかなとおり、
図5に示す実施形態において用いられるプレスロール13は、軸心16の中央域に大径ロール14が配置されており、該大径ロール14を挟んで軸心16の外方の位置に一対の小径ロール15,15が配置されている。
【0044】
図6には本発明の更に別の実施形態が示されている。同図に示す実施形態においては、プレスロール13を用いて吸収体25を加圧している。この吸収体25は、吸収性コア26とその全体を被覆するコアラップシート27とを備えている。吸収性コア26は、その一方の面が平坦面になっているとともに、他方の面に、一方向に延びる凹部28が形成されている。凹部28は一条又は複数条形成することができる(
図6では複数条形成されている。)。吸収性コア26は、プレスロール13を用いて加圧する前は、その全体が略同じ密度になっている。吸収性コア26における平坦面には接着剤Hが施されており、この接着剤Hによって吸収性コア26とコアラップシート27とが接合されている。
【0045】
以上のとおりの構成を有する吸収体25においては、吸収性コア26の一面に凹部28が形成されていることに起因して、該凹部28は吸収体20の他の部位に比べて厚みが小さくなっている。つまり吸収体20は厚み差を有している。このように、加圧対象部位に厚み差を有する吸収体20を、プレスロール13を用いて加圧する場合、厚みの小さな部位である凹部28が位置する部位を加圧するために大径ロール14を用い、凹部28間に位置する部位を加圧するために小径ロール15を用いる。これによって、吸収性コア26のうち、大径ロール14に対応する部位は加圧の程度が大きいので、該部位の密度が増加する。一方、吸収性コア26のうち、小径ロール15に対応する部位は、大径ロール14に対応する部位よりも加圧の程度が小さいので、該部位密度はそれほど増加しない。その結果、プレスロール13を用いた加圧後の吸収性コア26においては、
図6中、X方向に沿って、高密度部と低密度部とが交互に配置された状態となる。
【0046】
以上の説明から明らかなとおり、
図6に示す実施形態において用いられるプレスロール13は、軸心16の軸方向Xに沿って小径ロール15と大径ロール14とが交互に配置された構造になっている。軸心16の左右の最外方の位置には小径ロール15,15が配置されている。
【0047】
なお、
図5及び
図6に示す実施形態において特に説明しなかった点については、
図1ないし
図4に示す実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、
図5及び
図6において、
図1ないし
図4と同じ部材には同じ符号を付してある。
【0048】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記の各実施形態は、被加圧物として吸収性物品の構成部材を例にしたものであったが、本発明において対象とする被加圧物は、吸収性物品の構成部材に限定されない。また、前記の実施形態では、吸収性本体を外装体と接合させたが、吸収体を外装体とを接合してもよい。この場合、吸収体の下層に裏面シートのみを配置するか、または外装体が液不透過性又は液難透過性のシートを具備している。外装体に吸収体を接合後、表面シート等の他の材料を導入して、吸収性物品を製造する。
【0049】
また前記の各実施形態において用いたプレスロール13は、直径が異なる複数のロールとして、大径ロール14及び小径ロール15の2種類のロールを用いたが、被加圧物の形状等に応じ、直径が3種類以上異なるロールを用いることもできる。
【0050】
また前記の各実施形態において用いたプレスロール13は、大径ロール14及び小径ロール15について中心域14A,15Aが、軸心16を挟むように配置された2つの半割り構造体から構成されていることで軸心16に沿って移動可能になっていたが、これに代えて、
図7に示すように、中心域14A,15Aだけでなく周縁域14B,15Bについてもその径方向に延びる分割ラインに沿って分割された2つの半割り構造体から構成されていることで、これらのロール14,15を軸心16に沿って移動可能としてもよい。ロール14,15が分割ラインに沿って分割された構造体となっていることにより、軸心16から大径ロール14又は小径ロール15は着脱可能となっている。その場合、プレスロール13を構成するロールのうちの少なくとも一部のロールが、その径方向に延びる分割ラインに沿って分割された複数の割り構造体の組み合わせになっていてもよい。したがって、例えば小径ロール15の径や材質を変更したい場合に、大径ロール14を取り外すことなく、小径ロール15の取り外し作業だけを行えばよいので、作業が容易になる。なお、割り構造は2つの半割りには限らず、3つでも4つでもよく2つ以上の複数に分かれていればよい。
【0051】
また
図1ないし
図4に示す実施形態においては、吸収性コア2及び各シート部材3A,3Bの原反のうち、接合部位に厚み差を有する部材は吸収性コア2だけであったが、これに代えて加圧接合の対象となる2つの部材のいずれもが、それらの接合部位に厚み差を有していてもよい。
【0052】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の被加圧物の加圧装置及び加圧方法、被加工物の接合方法並びに吸収性物品の製造方法を開示する。
<1>
加圧対象部位に厚み差を有する被加圧物を、プレスロールを用いて加圧する被加圧物の加圧装置において、
前記プレスロールは、その軸方向に沿って直径が異なる複数のロールを備えており、
複数の前記ロールは、前記被加圧物のうち厚みの小さい部位に対向して配置されるものほど相対的に大径のものであり、かつ厚みの大きい部位に対向して配置されるものほど相対的に小径のものであり、
前記プレスロールは、軸心を有し、該軸心に複数の前記のロールが移動可能に取り付けられている、被加圧物の加圧装置。
【0053】
<2>
複数の前記ロールは、その直径に応じて材質が異なっている前記<1>に記載の被加圧物の加圧装置。
<3>
複数の前記ロールは、その直径の大きなものほど硬質の材料からなり、その直径の小さなものほど軟質の材料からなる前記<2>に記載の被加圧物の加圧装置。
<4>
前記プレスロールの軸心が回転駆動源に直結されている前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧装置。
<5>
複数の前記ロールのうちの少なくとも一部のロールが、その径方向に延びる分割ラインに沿って分割された複数の割り構造体の組み合わせを具備する前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧装置。
<6>
前記被加圧物は、吸収性物品に用いられる吸収体と外装体、又は吸収性本体と外装体である前記<1>ないし<5>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧装置。
<7>
前記被加圧物における加圧対象部位の厚み差と、大径ロールと小径ロールとの直径差の半分(半径差)とを等しくする前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧装置。
<8>
前記被加圧物における加圧対象部位の厚み差よりも、大径ロールと小径ロールとの直径差の半分(半径差)を大きくする前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧装置。
<9>
前記被加圧物における加圧対象部位の厚み差よりも、大径ロールと小径ロールとの直径差の半分(半径差)を小さくする前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧装置。
<10>
複数の前記ロールはその材質が、スポンジ、ゴム(硬質ゴム)、金属、又はシリコンスポンジやシリコンゴムなどのロールの表面が非粘着処理されたものからなる前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧装置。
【0054】
<11>
複数の前記ロールのうち、相対的に大径である大径ロールは、中心域と周縁域とから構成されており、
複数の前記ロールのうち、相対的に小径である小径ロールも、中心域と周縁域とから構成されており、
大径ロールの中心域と、小径ロールの中心域とは、ボルトによって締結されており、
大径ロールの中心域と周縁域は一体的に形成されているか、又は別体に構成されており、
小径ロールの中心域と周縁域は一体的に形成されているか、又は別体に構成されている前記<1>ないし<10>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧装置。
<12>
大径ロール又は小径ロールが、前記プレスロールの軸心から着脱可能になっている前記<11>に記載の被加圧物の加圧装置。
<13>
前記プレスロールに備えられている複数の前記ロールとして、直径が3種類以上異なるロールを用いる前記<1>ないし<12>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧装置。
【0055】
<14>
加圧対象部位に厚み差を有する被加圧物を、プレスロールを用いて加圧する工程を有する被加圧物の加圧方法において、
前記プレスロールとして、その軸方向に沿って直径が異なる複数のロールを備えたものを用い、
複数の前記ロールは、前記被加圧物のうち厚みの小さい部位に対向して配置されるものほど相対的に大径のものであり、かつ厚みの大きい部位に対向して配置されるものほど相対的に小径のものであり、
前記プレスロールは、軸心を有し、該軸心に複数の前記のロールが移動可能に取り付けられている、被加圧物の加圧方法。
【0056】
<15>
複数の前記ロールは、その直径に応じて材質が異なっている前記<14>に記載の被加圧物の加圧方法。
<16>
複数の前記ロールは、その直径の大きなものほど硬質の材料からなり、その直径の小さなものほど軟質の材料からなる前記<15>に記載の被加圧物の加圧方法。
<17>
前記プレスロールの軸心が回転駆動源に直結されている前記<14>ないし<16>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧方法。
<18>
複数の前記ロールのうちの少なくとも一部のロールが、その径方向に延びる分割ラインに沿って分割された複数の割り構造体の組み合わせを具備する前記<14>ないし<17>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧方法。
<19>
複数の前記ロールはその材質が、スポンジ、ゴム(硬質ゴム)、金属、又はシリコンスポンジやシリコンゴムなどのロールの表面が非粘着処理されたものからなる前記<14>ないし<18>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧方法。
【0057】
<20>
複数の前記ロールのうち、相対的に大径である大径ロールは、中心域と周縁域とから構成されており、
複数の前記ロールのうち、相対的に小径である小径ロールも、中心域と周縁域とから構成されており、
大径ロールの中心域と、小径ロールの中心域とは、ボルトによって締結されており、
大径ロールの中心域と周縁域は一体的に形成されているか、又は別体に構成されており、
小径ロールの中心域と周縁域は一体的に形成されているか、又は別体に構成されている前記<14>ないし<19>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧方法。
<21>
大径ロール又は小径ロールが、前記プレスロールの軸心から着脱可能になっている前記<20>に記載の被加圧物の加圧方法。
<22>
前記プレスロールに備えられている複数の前記ロールとして、直径が3種類以上異なるロールを用いる前記<14>ないし<21>のいずれか1に記載の被加圧物の加圧方法。
【0058】
<23>
第1被加圧物と第2被加圧物とを重ね合わせてなる被加圧物を、プレスロールを用いて加圧して接合する工程を有する被加圧物の接合方法において、
第1被加圧物及び第2被加圧物のうちの少なくとも一方は、接合部位に厚み差を有するものであり、
前記プレスロールとして、その軸方向に沿って直径が異なる複数のロールを備えたものを用い、
複数の前記ロールは、第1被加圧物と第2被加圧物とを重ね合わせてなる前記被加圧物のうち厚みの小さい部位に対向して配置されるものほど相対的に大径のものであり、かつ厚みの大きい部位に対向して配置されるものほど相対的に小径のものであり、
前記プレスロールは、軸心を有し、該軸心に複数の前記のロールが移動可能に取り付けられている、被加圧物の接合方法。
【0059】
<24>
複数の前記ロールは、その直径に応じて材質が異なっている前記<23>に記載の被加圧物の接合方法。
<25>
複数の前記ロールは、その直径の大きなものほど硬質の材料からなり、その直径の小さなものほど軟質の材料からなる前記<24>に記載の被加圧物の接合方法。
<26>
前記プレスロールの軸心が回転駆動源に直結されている前記<23>ないし<25>のいずれか1に記載の被加圧物の接合方法。
<27>
複数の前記ロールのうちの少なくとも一部のロールが、その径方向に延びる分割ラインに沿って分割された複数の割り構造体の組み合わせを具備する前記<23>ないし<26>のいずれか1に記載の被加圧物の接合方法。
<28>
複数の前記ロールはその材質が、スポンジ、ゴム(硬質ゴム)、金属、又はシリコンスポンジやシリコンゴムなどのロールの表面が非粘着処理されたものからなる前記<23>ないし<27>のいずれか1に記載の被加圧物の接合方法。
【0060】
<29>
複数の前記ロールのうち、相対的に大径である大径ロールは、中心域と周縁域とから構成されており、
複数の前記ロールのうち、相対的に小径である小径ロールも、中心域と周縁域とから構成されており、
大径ロールの中心域と、小径ロールの中心域とは、ボルトによって締結されており、
大径ロールの中心域と周縁域は一体的に形成されているか、又は別体に構成されており、
小径ロールの中心域と周縁域は一体的に形成されているか、又は別体に構成されている前記<23>ないし<28>のいずれか1に記載の被加圧物の接合方法。
<30>
大径ロール又は小径ロールが、前記プレスロールの軸心から着脱可能になっている前記<29>に記載の被加圧物の接合方法。
<31>
前記プレスロールに備えられている複数の前記ロールとして、直径が3種類以上異なるロールを用いる前記<23>ないし<30>のいずれか1に記載の被加圧物の接合方法。
【0061】
<32>
吸収体又は該吸収体を具備する吸収性本体と、該吸収体又は該吸収性本体の外側に配置された外装体とを有する吸収性物品の製造方法であって、
前記吸収体又は前記吸収性本体と、前記外装体とを重ね合わせてなる被加圧物を、プレスロールを用いて加圧して接合する工程を有し、
前記吸収体又は前記吸収性本体と、前記外装体との少なくとも一方は、接合部位に厚み差を有するものであり、
前記プレスロールとして、その軸方向に沿って直径が異なる複数のロールを備えたものを用い、
複数の前記ロールは、前記吸収体又は前記吸収性本体と、前記外装体とを重ね合わせてなる前記被加圧物のうち厚みの小さい部位に対向して配置されるものほど相対的に大径のものであり、かつ厚みの大きい部位に対向して配置されるものほど相対的に小径のものであり、
前記プレスロールは、軸心を有し、該軸心に複数の前記のロールが移動可能に取り付けられている、吸収性物品の製造方法。
【0062】
<33>
複数の前記ロールは、その直径に応じて材質が異なっている前記<32>に記載の吸収性物品の製造方法。
<34>
複数の前記ロールは、その直径の大きなものほど硬質の材料からなり、その直径の小さなものほど軟質の材料からなる前記<33>に記載の吸収性物品の製造方法。
<35>
前記プレスロールの軸心が回転駆動源に直結されている前記<32>ないし<34>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<36>
複数の前記ロールのうちの少なくとも一部のロールが、その径方向に延びる分割ラインに沿って分割された複数の割り構造体の組み合わせを具備する前記<32>ないし<35>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<37>
複数の前記ロールはその材質が、スポンジ、ゴム(硬質ゴム)、金属、又はシリコンスポンジやシリコンゴムなどのロールの表面が非粘着処理されたものからなる前記<32>ないし<36>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
【0063】
<38>
複数の前記ロールのうち、相対的に大径である大径ロールは、中心域と周縁域とから構成されており、
複数の前記ロールのうち、相対的に小径である小径ロールも、中心域と周縁域とから構成されており、
大径ロールの中心域と、小径ロールの中心域とは、ボルトによって締結されており、
大径ロールの中心域と周縁域は一体的に形成されているか、又は別体に構成されており、
小径ロールの中心域と周縁域は一体的に形成されているか、又は別体に構成されている前記<32>ないし<37>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<39>
大径ロール又は小径ロールが、前記プレスロールの軸心から着脱可能になっている前記<38>に記載の吸収性物品の製造方法。
<40>
前記プレスロールに備えられている複数の前記ロールとして、直径が3種類以上異なるロールを用いる前記<32>ないし<39>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<41>
前記吸収体を有する吸収性本体を、その長手方向を搬送方向と一致させて搬送し、
搬送されてきた吸収性本体を、反転装置に備えられている保持パッドの保持表面上に保持し、
保持パッドを軸線のまわりに90度回転させた後に、該保持パッドの保持表面に保持されている吸収性本体を、受け渡し部において次工程に受け渡し、
保持パッドの保持表面に保持された吸収性本体に対向してプレスロールが配置されている前記受け渡し部において、吸収性本体とプレスロールとの間に、外装体の連続長尺物からなる原反を供給し、
吸収性本体と外装体の原反とを重ね合わせてなる被加圧物を、プレスロールを用いて加圧して接合する前記<32>ないし<40>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。