特許第6108601号(P6108601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108601
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】EEAアンビル用のバットレス支持設計
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
   A61B17/115
【請求項の数】28
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-3624(P2013-3624)
(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公開番号】特開2013-154166(P2013-154166A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2015年10月15日
(31)【優先権主張番号】13/358,544
(32)【優先日】2012年1月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ピー. スティーブンソン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス カササンタ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】サリー カーター
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−529675(JP,A)
【文献】 特開2007−229453(JP,A)
【文献】 特表2007−505708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの中空器官セクションを外科手術用ステープルの環状アレイで接合するための装置であって、該装置は
環状アレイ内に複数の外科手術用ステープルを含むステープルカートリッジ構成要素と、
アンビル部材および該アンビル部材から延びているシャフトを含むアンビル構成要素であって、該アンビル部材は、該複数の外科手術用ステープルを変形させるための複数のステープルポケットを規定し、該アンビル構成要素は、該ステープルカートリッジ構成要素と該アンビル構成要素との間で組織を調節可能にクランプするために、該ステープルカートリッジ構成要素に対して、間隔を空けた位置と近接した位置との間で移動可能である、アンビル構成要素と、
該アンビル部材に規定された該複数のステープルポケットと同心状に整列したバットレス部材と、
該アンビル構成要素の該シャフトに取り外し可能に固定されたバットレス台であって、該バットレス台は、該バットレス部材を該アンビル部材に固定するように半径方向外向きに延びている少なくとも1つの支持部材を含み、該バットレス部材は、該支持部材が該バットレス部材に対する支持を提供するように、該少なくとも1つの支持部材に少なくとも部分的に重なり、かつ、該少なくとも1つの支持部材に係合する、バットレス台
を備え
該アンビル部材は、凹部を規定し、該凹部は、該凹部内に該バットレス台を受容するような構成および寸法にされている、装置。
【請求項2】
前記バットレス台が、環状リング部材をさらに含み、該環状リング部材から、前記少なくとも1つの支持部材が半径方向外向きに延びている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記環状リング部材が、該環状リング部材を通して前記アンビル構成要素の前記シャフトを受容するような構成および寸法にされている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの支持部材が、前記複数のステープルポケットの半径方向内側に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの支持部材の半径方向外側の外周部分が、前記アンビル部材の周縁部と同一面にある、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの支持部材が、ステープルポケットの環状の列のうちの少なくとも1つの半径方向外側に延びている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの支持部材が、少なくとも部分的に、前記複数のステープルポケットのうちの1つの上にある、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの支持部材が半径方向に変化している厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記バットレス部材が環状の構成を有し該バットレス部材が、前記複数のステープルポケットと並置した関係で配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記バットレス台が前記バットレス部材の近位表面に係合する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記バットレス台が前記バットレス部材の遠位表面に係合する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記バットレス部材が生分解性材料から作製されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記バットレス台の前記少なくとも1つの支持部材が、前記凹部の内壁に係合することにより、該凹部に対する該バットレス台の固定を提供する、請求項に記載の装置。
【請求項14】
前記バットレス部材と前記バットレス台とが、単一の構築物としてモノリシックに形成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ステープルカートリッジ構成要素内で前記複数の外科手術用ステープルと同心状に配置されたナイフ部材をさらに備え、該ナイフ部材は、該ステープルカートリッジ構成要素に対して移動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記ナイフ部材が前記バットレス部材に係合する場合に、前記バットレス台の前記少なくとも1つの支持部材は、該ナイフ部材の半径方向内側に位置する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
2つの中空器官セクションを外科手術用ステープルの環状アレイで接合するための装置であって、該装置は
環状アレイ内に複数の外科手術用ステープルを含むステープルカートリッジ構成要素と、
複数の外科手術用ステープルを変形させるための複数のステープルポケットを規定するアンビル構成要素であって、該アンビル構成要素は、該ステープルカートリッジ構成要素と該アンビル構成要素との間で組織を調節可能にクランプするために、該ステープルカートリッジ構成要素に対して、間隔を空けた位置と近接した位置との間で移動可能である、アンビル構成要素と、
該ステープルカートリッジ構成要素内で該複数の外科手術用ステープルと同心状に配置されたナイフ部材であって、該ナイフ部材は、該ステープルカートリッジ構成要素に対して移動可能である、ナイフ部材と、
該アンビル構成要素と同心状に整列したバットレス部材と、
該アンビル構成要素に取り外し可能に固定されたバットレス台であって、該バットレス台は、コアリング外側リング少なくとも1つのスポーク含み、該少なくとも1つのスポークは、該コアリングと該外側リングとの間に延びており、かつ、該コアリングと該外側リングとを相互接続し、該バットレス台は、該バットレス部材を該アンビル部材に固定するように構成および適合されており、該バットレス部材は、該バットレス台が該バットレス部材に対する支持を提供するように、該バットレス台に少なくとも部分的に重なり、かつ、該バットレス台に係合する、バットレス台
を備え
該アンビル部材は、凹部を規定し、該凹部は、該凹部内に前記バットレス台を受容するような構成および寸法にされている、装置。
【請求項18】
前記バットレス部材が、前記複数のステープルポケットと同心状に整列している、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記外側リングが少なくとも部分的に、前記環状アレイの前記複数のステープルポケットの上にある、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記バットレス台が前記バットレス部材の近位表面に係合している、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記バットレス台が前記バットレス部材の遠位表面に係合している、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記ナイフ部材が前記バットレス部材係合するように起動される場合に、前記外側リングは、該ナイフ部材の半径方向内側に位置する、請求項17に記載の装置。
【請求項23】
2つの中空器官セクションを外科手術用ステープルの環状アレイで接合するための装置であって、該装置は
発射トリガを含むハンドルアセンブリと、
該ハンドルアセンブリから遠位に延びている細長管状部材と、
該細長管状部材の遠位部分に結合されたステープルカートリッジ構成要素であって、該ステープルカートリッジ構成要素は、環状アレイ内に複数の外科手術用ステープルを含む、ステープルカートリッジ構成要素と、
複数の外科手術用ステープルを変形させるための複数のステープルポケットを規定するアンビル構成要素であって、該アンビル構成要素は、ステープルカートリッジ構成要素と該アンビル構成要素との間で組織をクランプするために、該ステープルカートリッジ構成要素に対して、間隔を空けた位置と近接した位置との間で移動可能である、アンビル構成要素と、
該ステープルカートリッジ構成要素内で該複数の外科手術用ステープルと同心状に配置されたナイフ部材であって、該ナイフ部材は、該ステープルカートリッジ構成要素に対して移動可能である、ナイフ部材と、
該アンビル構成要素と同心状に整列したバットレス部材と、
該アンビル構成要素に取り外し可能に固定されたバットレス台であって、該バットレス台は、少なくとも1つの支持部材を含み、該少なくとも1つの支持部材は、該バットレス台が該アンビル構成要素に設置される場合に、該アンビル構成要素のシャフトから半径方向外向きに延びて、該バットレス部材を該アンビル構成要素に固定し、該バットレス部材は、該バットレス台が該バットレス部材に対する支持を提供するように、該バットレス台に少なくとも部分的に重なり、かつ、該バットレス台に係合する、バットレス台
を備え
該アンビル部材は、凹部を規定し、該凹部は、該凹部内に前記バットレス台を受容するような構成および寸法にされている、装置。
【請求項24】
前記バットレス台が、環状リング部材をさらに含み、該環状リング部材から、前記少なくとも1つの支持部材が半径方向外向きに延びている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの支持部材が、前記複数のステープルポケットの半径方向内側に位置する、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの支持部材の外周部分が、前記アンビル部材の周縁部と同一面にある、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの支持部材が、ステープルポケットの前記環状の列のうちの少なくとも1つから半径方向外向きに延びている、請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つの支持部材が少なくとも部分的に、ステープルポケットの前記環状の列のうちの少なくとも1つの上にある、請求項23に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科手術用ファスナーまたはステープルを身体組織に付けるための外科手術用器具に関し、そしてより特定すると、端端吻合ステープル留め装置と一緒に使用するための外科手術用バットレスアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
吻合とは、別々の中空器官セクションの外科的接合である。代表的に、吻合手順は、中空組織の疾患セクションまたは欠陥セクションが除去される外科手術の後に行われ、そして残りの端部セクションが接合される。望まれる吻合手順に依存して、これらの端部セクションは、円形、端端、または側側のいずれの器官再構成法によって接合されてもよい。
【0003】
円形吻合手順において、器官セクションの2つの端部は、ステープル留め器具によって接合される。このステープル留め器具は、ステープルの円形アレイを、各器官セクションの端部セクションに通して打ち込み、そして同時に、この打ち込まれたステープルの円形アレイの内側のあらゆる組織を刳り抜いて、管状通路を開放する。代表的に、これらの器具は、細長シャフトを備え、この細長シャフトは、この器具を起動するための近位端のハンドル部分、および遠位端に配置されたステープル保持構成要素を有する。アンビルヘッドが取り付けられたアンビルシャフトを備えるアンビルアセンブリが、この遠位端に、このステープル保持構成要素に隣接して設置される。ステープル留めされるべき器官の対向する端部セクションは、このアンビルヘッドとこのステープル保持構成要素との間にクランプされる。このクランプされた組織は、複数のステープルをこのステープル保持構成要素から打ち込んで、これらのステープルの端部がこの組織を通過してこのアンビルヘッドにより変形させられるようにすることにより、ステープル留めされる。
【0004】
使用において、この器官の一方の端部セクションは、このアンビルアセンブリの周りに固定され、そしてこの器官の他方の端部セクションは、このステープル保持構成要素に隣接して適切な位置に保持される。このアンビルアセンブリのシャフトは、この器具に取り外し可能に接続される。一旦、このアンビルシャフトがこの器具に固定されると、このアンビルは引かれて、このステープル保持構成要素の近くに近接する。次いで、この器具が発射されて、ステープルを器官の両セクションの組織に通過させ、そしてアンビルに対して変形させる。この発射工程中に、円形のナイフが前進させられて、このステープル線の内側の組織を切断し、これによって、この器官の2つのセクション間の通路を確立する。発射後、この器具は代表的に、このアンビルをこのステープル線に通して引き抜くことによって取り外され、その後、外科医は、この外科手術部位を注意深く検査して、適切な吻合が達成されたことを確実にする。
【0005】
円形ステープラーは多数の外科手術手順において役立つが、吻合部の漏出、ステープラーの引き出し中の組織の断裂、出血、および他の合併症などの問題が起こり得る。このような問題を改善する目的で、バットレスまたは補強材料が利用されている。しかし、このような材料を器具に配置および固定する際の固有の困難性に起因して、安全かつ効果的にアンビルに配置され得るバットレス材料が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
2つの中空器官セクションを外科手術用ステープルの環状アレイで接合するための装置であって、該装置は:
複数の外科手術用ステープルを環状アレイに収容するステープルカートリッジ構成要素;
アンビル部材および該アンビル部材から延びるシャフトを備えるアンビル構成要素であって、該アンビル部材は、該外科手術用ステープルを変形させるための複数のステープルポケットを規定し、該アンビル構成要素は、該ステープルカートリッジ構成要素と該アンビル構成要素との間で組織を調節可能にクランプするために、該ステープルカートリッジ構成要素に対して、間隔を空けた位置と近接した位置との間で移動可能である、アンビル構成要素;
該アンビル部材に規定された該複数のステープルポケットと同心状に整列したバットレス部材;ならびに
該アンビル構成要素の該シャフトに取り外し可能に固定されたバットレス台であって、該バットレス台は、該バットレス部材を該アンビル部材に固定するための、半径方向外向きに延びる少なくとも1つの支持部材を備え、該少なくとも1つの支持部材は、該バットレス部材に対する支持を提供するために、少なくとも部分的に該バットレス部材の下にある、バットレス台
を備える、装置。
(項目2)
上記バットレス台が、環状リング部材をさらに備え、該環状リング部材から、上記少なくとも1つの支持部材が半径方向外向きに延びている、上記項目に記載の装置。
(項目3)
上記環状リング部材が、該環状リング部材を通して上記アンビル構成要素の上記シャフトを受容するような構成および寸法にされている、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目4)
上記少なくとも1つの支持部材が、上記複数のステープルポケットの半径方向内側に配置されている、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目5)
上記少なくとも1つの支持部材の半径方向外側の外周部分が、上記アンビル部材の周縁部と同一面にある、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目6)
上記少なくとも1つの支持部材が、ステープルポケットの環状の列のうちの少なくとも1つの半径方向外側に延びている、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目7)
上記少なくとも1つの支持部材が、少なくとも部分的に、上記複数のステープルポケットのうちの1つの上にある、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目8)
上記少なくとも1つの支持部材が半径方向に変化している厚さを有する、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目9)
上記バットレス部材が環状の構成を有し、そして該バットレス部材が、上記複数のステープルポケットと並置した関係で配置されている、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目10)
上記バットレス台が上記バットレス部材の近位表面に係合する、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目11)
上記バットレス台が上記バットレス部材の遠位表面に係合する、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目12)
上記バットレス部材が生分解性材料から作製されている、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目13)
上記アンビル部材が凹部を規定し、該凹部は、該凹部内に上記バットレス台を受容するような構成および寸法にされている、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目14)
上記バットレス台の上記少なくとも1つの支持部材が、上記凹部の内壁に係合して、該凹部に対する該バットレス台の固定を提供する、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目15)
上記バットレス部材と上記バットレス台とが、単一の構築物としてモノリシックに形成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目16)
上記ステープルカートリッジ構成要素内で上記複数の外科手術用ステープルと同心状に配置されたナイフ部材をさらに備え、該ナイフ部材は、該ステープルカートリッジ構成要素に対して移動可能である、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目17)
上記ナイフ部材が上記バットレス部材に係合する場合に、上記バットレス台の上記少なくとも1つの支持部材は、該ナイフ部材の半径方向内側に位置する、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目18)
2つの中空器官セクションを外科手術用ステープルの環状アレイで接合するための装置であって、該装置は:
複数の外科手術用ステープルを環状アレイに収容するステープルカートリッジ構成要素;
該外科手術用ステープルを変形させるための複数のステープルポケットを規定するアンビル構成要素であって、該アンビル構成要素は、該ステープルカートリッジ構成要素と該アンビル構成要素との間で組織を調節可能にクランプするために、該ステープルカートリッジ構成要素に対して、間隔を空けた位置と近接した位置との間で移動可能である、アンビル構成要素;
該ステープルカートリッジ構成要素内で該複数の外科手術用ステープルと同心状に配置されたナイフ部材であって、該ナイフ部材は、該ステープルカートリッジ構成要素に対して移動可能である、ナイフ部材;
該アンビル構成要素と同心状に整列したバットレス部材;ならびに
該アンビル構成要素に取り外し可能に固定されたバットレス台であって、該バットレス台は、コアリング、外側リング、および該コアリングと該外側リングとの間に延びて該コアリングと該外側リングとを相互接続する少なくとも1つのスポークを備え、該バットレス台は、該バットレス部材を該アンビル部材に固定するように構成および適合されており、そして該バットレス台は、少なくとも部分的に、該バットレス部材の下にあることにより、該バットレス部材に対する支持を提供する、バットレス台
を備える、装置。
(項目19)
上記バットレス部材が、上記複数のステープルポケットと同心状に整列している、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目20)
上記外側リングが少なくとも部分的に、上記環状アレイの上記複数のステープルポケットの上にある、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目21)
上記バットレス台が上記バットレス部材の近位表面に係合している、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目22)
上記バットレス台が上記バットレス部材の遠位表面に係合している、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目23)
上記ナイフ部材が上記バットレス部材と係合するように起動する場合に、上記外側リングは、該ナイフ部材の半径方向内側に位置する、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目24)
2つの中空器官セクションを外科手術用ステープルの環状アレイで接合するための装置であって、該装置は:
発射トリガを備えるハンドルアセンブリ;
該ハンドルアセンブリから遠位に延びる細長管状部材;
該細長管状部材の遠位部分に結合されたステープルカートリッジ構成要素であって、該ステープルカートリッジ構成要素は、複数の外科手術用ステープルを環状アレイに収容する、ステープルカートリッジ構成要素;
該外科手術用ステープルを変形させるための複数のステープルポケットを規定するアンビル構成要素であって、該アンビル構成要素は、ステープルカートリッジ構成要素と該アンビル構成要素との間で組織をクランプするために、該ステープルカートリッジ構成要素に対して、間隔を空けた位置と近接した位置との間で移動可能である、アンビル構成要素;
該ステープルカートリッジ構成要素内で該複数の外科手術用ステープルと同心状に配置されたナイフ部材であって、該ナイフ部材は、該ステープルカートリッジ構成要素に対して移動可能である、ナイフ部材;
該アンビル構成要素と同心状に整列したバットレス部材;ならびに
該アンビル構成要素に取り外し可能に固定されたバットレス台であって、該バットレス台は、少なくとも1つの支持部材を備え、該少なくとも1つの支持部材は、該バットレス台が該アンビル構成要素に設置される場合に、該アンビル構成要素のシャフトから半径方向外向きに延びて、該バットレス部材を該アンビル構成要素に固定し、該バットレス台は、少なくとも部分的に、該バットレス部材の下にあることにより、該バットレス部材に対する支持を提供する、バットレス台
を備える、装置。
(項目25)
上記バットレス台が、環状リング部材をさらに備え、該環状リング部材から、上記少なくとも1つの支持部材が半径方向外向きに延びている、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目26)
上記少なくとも1つの支持部材が、上記複数のステープルポケットの半径方向内側に位置する、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目27)
上記少なくとも1つの支持部材の外周部分が、上記アンビル部材の周縁部と同一面にある、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目28)
上記少なくとも1つの支持部材が、ステープルポケットの上記環状の列のうちの少なくとも1つから半径方向外向きに延びている、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
(項目29)
上記少なくとも1つの支持部材が少なくとも部分的に、ステープルポケットの上記環状の列のうちの少なくとも1つの上にある、上記項目のうちのいずれかに記載の装置。
【0007】
(摘要)
2つの中空器官セクションを外科手術用ステープルの環状アレイで接合するための装置は、ステープルカートリッジ、アンビル、バットレス部材、およびバットレス台を備える。具体的には、このステープルカートリッジは、複数の外科手術用ステープルを環状アレイで収容する。このアンビルは、アンビル部材、およびこのアンビル部材から延びるシャフトを備える。このアンビル部材は、外科手術用ステープルを変形させるための複数のステープルポケットを規定する。このアンビルは、このステープルカートリッジとこのアンビルとの間で組織を調節可能にクランプするために、ステープルカートリッジ構成要素に対して、間隔を空けた位置と近接した位置との間で移動可能である。このバットレス部材は、このアンビル部材に規定された複数のステープルポケットと同心状に整列される。このバットレス台は、このアンビルのシャフトに取り外し可能に固定される。このバットレス台は、半径方向外向きに延びることによりこのバットレス部材をこのアンビル部材に固定する、少なくとも1つの支持部材を備える。
【0008】
(要旨)
本開示の1つの実施形態に従って、2つの中空器官セクションを外科手術用ステープルの環状アレイで接合するための装置が提供される。この装置は、ステープルカートリッジ構成要素、アンビル構成要素、バットレス部材およびバットレス台を備える。このステープルカートリッジ構成要素は、複数の外科手術用ステープルを環状アレイで収容する。このアンビル構成要素は、アンビル部材、およびこのアンビル部材から延びるシャフトを備える。このアンビル部材は、外科手術用ステープルを変形させるための複数のステープルポケットを規定する。このアンビル構成要素は、ステープルカートリッジ構成要素とアンビル構成要素との間で組織を調節可能にクランプするために、ステープルカートリッジ構成要素に対して、間隔を空けた位置と近接した位置との間で移動可能である。このバットレス部材は、このアンビル部材に規定された複数のステープルポケットと同心状に整列している。このバットレス台は、このアンビル構成要素のシャフトに取り外し可能に固定される。このバットレス台は、少なくとも1つの支持部材を備え、この少なくとも1つの支持部材は、半径方向外向きに延びて、このバットレス部材をこのアンビル部材に固定する。このバットレス台は、少なくとも部分的に、このバットレス部材の下にあることにより、このバットレス部材に対する支持を提供する。
【0009】
1つの実施形態において、このバットレス台は、環状リング部材をさらに備え得、この環状リング部材から、少なくとも1つの支持部材が半径方向外向きに延びている。この環状リング部材は、この環状リング部材を通してアンビル構成要素のシャフトを受容するような構成および寸法にされる。この少なくとも1つの支持部材は、複数のステープルポケットの半径方向内側に配置され得る。この少なくとも1つの支持部材の半径方向外側の外周部分は、このアンビル部材周縁部と同一面にあり得る。この少なくとも1つの支持部材はまた、ステープルポケットの環状の列のうちの少なくとも1つから半径方向外向きに延び得る。あるいは、この少なくとも1つの支持部材は、少なくとも部分的に、ステープルポケットの環状の列のうちの少なくとも1つの上にあり得る。
【0010】
この少なくとも1つの支持部材は、半径方向に変化している厚さを有し得る。このバットレス部材は、環状の構成を有し得る。具体的には、このバットレス部材は、複数のステープルポケットに並置した関係で配置され得る。このバットレス台は、このバットレス部材の近位表面に係合し得る。あるいは、このバットレス台は、このバットレス部材の遠位表面に係合し得る。このバットレス部材は、生分解性材料から作製され得る。このアンビル部材は、凹部を規定し得、この凹部は、このバットレス台を受容してこの凹部内でのこのバットレス台の固定を提供するような構成および寸法にされる。このバットレス台の少なくとも1つの支持部材は、この凹部の内壁と係合して、この凹部に対するこのバットレス台の固定を提供し得る。このバットレス部材とこのバットレス台とは、単一の構築物としてモノリシックに形成され得る。さらに、この装置は、このステープルカートリッジ構成要素内でこの複数の外科手術用ステープルと同心状に配置されたナイフ部材をさらに備え得る。このナイフ部材は、このステープルカートリッジ構成要素に対して移動可能であり得る。具体的には、このバットレス台の少なくとも1つの支持部材は、このナイフ部材がこのバットレス部材に係合する場合に、このナイフ部材の半径方向内側に配置され得る。
【0011】
本開示の別の実施形態に従って、2つの中空器官セクションを外科手術用ステープルの環状アレイで接合するための装置が提供される。この装置は、ステープルカートリッジ構成要素、アンビル構成要素、ナイフ部材、バットレス部材、およびバットレス台を備える。このステープルカートリッジ構成要素は、複数の外科手術用ステープルを環状アレイに収容する。このアンビル構成要素は、外科手術用ステープルを変形させるための複数のステープルポケットを規定する。このアンビル構成要素は、このステープルカートリッジ構成要素とこのアンビル構成要素との間で組織を調節可能にクランプするために、このステープルカートリッジ構成要素に対して、間隔を空けた位置と近接した位置との間で移動可能である。このナイフ部材は、このステープルカートリッジ構成要素内でこの複数の外科手術用ステープルと同心状に配置される。このナイフ部材は、このステープルカートリッジ構成要素に対して移動可能である。このバットレス部材は、このアンビル構成要素と同心状に整列される。このバットレス台は、このアンビル構成要素に取り外し可能に固定される。このバットレス台は、コアリング、外側リング、およびこのコアリングとこの外側リングとの間に延びてこのコアリングとこの外側リングとを相互接続する少なくとも1つのスポークを備える。このバットレス台は、このバットレス部材をこのアンビル部材に固定するように構成および適合される。このバットレス台は、少なくとも部分的に、このバットレス部材の下にあることにより、このバットレス部材に対する支持を提供する。
【0012】
1つの実施形態において、このバットレス部材は、この複数のステープルポケットと同心状に整列され得る。この外側リングは、少なくとも部分的に、環状アレイの複数のステープルポケットと重なり得る。このバットレス台は、このバットレス部材の近位表面に係合し得る。このバットレス台は、このバットレス部材の遠位表面に係合し得る。この外側リングは、このナイフ部材がこのバットレス部材に係合するように起動する場合に、このナイフ部材の半径方向内側に位置し得る。
【0013】
本開示のなお別の実施形態に従って、2つの中空器官セクションを外科手術用ステープルの環状アレイで接合するための装置が提供される。この装置は、ハンドルアセンブリ、細長管状部材、ステープルカートリッジ構成要素、アンビル構成要素、ナイフ部材、バットレス部材、およびバットレス台を備える。このハンドルアセンブリは、発射トリガを備える。この細長管状部材は、このハンドルアセンブリから遠位に延びる。このステープルカートリッジ構成要素は、この細長管状部材の遠位部分に結合される。このステープルカートリッジ構成要素は、複数の外科手術用ステープルを環状アレイに収容する。このアンビル構成要素は、外科手術用ステープルを変形させるための複数のステープルポケットを規定する。このアンビル構成要素は、このステープルカートリッジ構成要素とこのアンビル構成要素との間で組織をクランプするために、このステープルカートリッジ構成要素に対して、間隔を空けた位置と近接した位置との間で移動可能である。このナイフ部材は、このステープルカートリッジ構成要素内で、この複数の外科手術用ステープルと同心状に配置される。このナイフ部材は、このステープルカートリッジ構成要素に対して移動可能である。このバットレス部材は、このアンビル構成要素と同心状に整列される。このバットレス台は、このアンビル構成要素に取り外し可能に固定される。このバットレス台は、少なくとも1つの支持部材を備え、この少なくとも1つの支持部材は、このバットレス台がこのアンビル構成要素に設置される場合に、このアンビル構成要素のシャフトから半径方向外向きに延びて、このバットレス部材をこのアンビル構成要素に固定する。このバットレス台は、少なくとも部分的に、このバットレス部材の下にあることにより、このバットレス部材に対する支持を提供する。
【0014】
1つの実施形態において、このバットレス台は、環状リング部材をさらに備え得、この環状リング部材から、少なくとも1つの支持部材が半径方向外向きに延びている。この少なくとも1つの支持部材は、複数のステープルポケットの半径方向内側に位置し得る。この少なくとも1つの支持部材の外周部分は、このアンビル部材の周縁部と同一面にあり得る。この少なくとも1つの支持部材は、ステープルポケットの環状の列のうちの少なくとも1つから半径方向外向きに延び得る。この少なくとも1つの支持部材は、少なくとも部分的に、ステープルポケットの環状の列のうちの少なくとも1つの上にあり得る。
【0015】
本開示の種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の1つの実施形態に従う外科手術用バットレスアセンブリと一緒に使用するために構成された、環状外科手術用ステープル留め装置の斜視図であり、この外科手術用ステープル留め装置から取り外されたアンビルアセンブリおよびバットレスアセンブリを図示する。
図2図2は、部品が分離された、図1の外科手術用ステープル留め装置のアンビルアセンブリおよびバットレスアセンブリの分解斜視図である。
図3図3は、図2のバットレスアセンブリが設置された、図2のアンビルアセンブリの斜視図である。
図4図4は、図3に示される細部領域の切り取り斜視図である。
図5図5は、部品が分離された、図2のアンビルアセンブリおよびバットレスアセンブリの分解斜視図であり、このバットレスアセンブリの反転可能な使用を図示する。
図6図6は、図5のバットレスアセンブリが設置された、図5のアンビルアセンブリの斜視図である。
図7図7は、部品が分離された、図1のアンビルアセンブリおよび本開示の別の実施形態に従うバットレスアセンブリの分解斜視図である。
図8図8は、本開示の別の実施形態に従うバットレスアセンブリが設置された、図1のアンビルアセンブリの斜視図である。
図9図9は、図8に示される細部領域の切り取り斜視図である。
図10図10は、本開示の別の実施形態に従うバットレスアセンブリが設置された、図1のアンビルアセンブリの斜視図である。
図11図11は、図10に示される細部領域の切り取り斜視図である。
図12図12は、部品が分離された、図1のアンビルアセンブリおよび本開示の別の実施形態に従うバットレスアセンブリの分解斜視図である。
図13図13は、図12の切断線13−13に沿って見た、図12のバットレスアセンブリの側面断面図である。
図14図14は、図1の環状外科手術用器具の斜視図であり、2つの中空器官セクションを通してのこの器具の挿入を図示する。
図15図15は、図14の装置のヘッド部分の拡大部分長手軸方向断面図である。
図16図16は、図15に示される細部領域の拡大図である。
図17図17は、図15の装置のヘッド部分の拡大部分長手軸方向断面図であり、2つの中空器官セクションのステープル留めおよび切断を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態の詳細な説明)
本開示の実施形態が、ここで図面を参照しながら詳細に記載される。図面において、類似の参照番号は、数枚の図の各々における同一の要素または対応する要素を表す。本明細書中で使用される場合、用語「遠位」とは、従来通りに、器具、装置、デバイスまたはその構成要素の、使用者から遠い方の部分をいい、一方で、用語「近位」とは、器具、装置、デバイスまたはその構成要素の、使用者に近い方の部分をいう。以下の説明において、周知の機能または構成は、本開示を不必要な細部において曖昧にすることを回避するために、詳細には記載されない。
【0018】
図1を参照すると、中空器官の円形吻合を実施するための外科手術用ステープル留め装置10が示されている。外科手術用ステープル留め装置10は、ステープル7(図15)の円形アレイを各器官の端部セクションに通して打ち込み、そして同時に、環状ナイフ76(図15)を発射して、ステープル7の打ち込まれた環状アレイの内側のあらゆる組織を切断して、管状通路を開放し、これによって、この器官の2つの端部を接合する。外科手術用ステープル留め装置10は、ハンドルアセンブリ20(1対の旋回可能な起動ハンドル部材22、および回転可能な把持部材26を備える前進手段24を有する)、ハンドルアセンブリ20から遠位に延びる細長本体部分30、ならびにヘッド部分50(アンビルアセンブリ60、ステープルカートリッジアセンブリ70、および本開示の1つの実施形態に従う外科手術用バットレスアセンブリ100を備える)を備える。外科手術用装置10の構成要素は一般に、熱可塑性物質(ポリカーボネートが挙げられる)ならびに金属(ステンレス鋼およびアルミニウムが挙げられる)から形成される。特定の構成要素を形成するために選択される特定の材料は、その特定の構成要素の強度要件に依存する。ステープル7は、従来の型のものであり、そしてバックスパン、およびこのバックスパンから延びる2本の脚を備える。これらの脚は、組織貫入先端で終わる。
【0019】
ハンドルアセンブリ20は、アンビルアセンブリ60をステープルカートリッジアセンブリ70に対して近接させるため、およびステープル7の1対の環状アレイを組織に通して付けるために、起動され得る。組織をヘッド部分50内で適切に配置する目的で、回転可能な把持部材26は回転して、アンビルアセンブリ60をステープルカートリッジアセンブリ70に対して軸方向に、間隔を空けた位置と近接した位置との間で移動させ得る。この近接した位置において、アンビルアセンブリ60は、ステープルカートリッジアセンブリ70に隣接して配置されて、組織をこれらの間にクランプする。ハンドル部材22は握られて、以下に詳細に議論されるように、ステープル7を組織に通して発射して、管状組織の2つのセグメント「T」、「T」(図14)を一緒に接合し得る。
【0020】
細長本体部分30は、その長さに沿ってわずかに湾曲/屈曲した形状を有するように構成される。しかし、細長本体部分30はまた、真っ直ぐであっても、任意の構成に屈曲するように可撓性であってもよい。細長本体部分30の長さ、形状および/または直径は、特定の外科手術手順に合うように変えられ得る。
【0021】
図1図4を参照すると、ヘッド部分50は、ステープルカートリッジアセンブリ70、アンビルアセンブリ60、およびアンビルアセンブリ60に取り外し可能に固定される外科手術用バットレスアセンブリ100を備える。ステープルカートリッジアセンブリ70は、細長本体部分30の遠位端部分にしっかりと接続され得るか、または細長本体部分30の遠位端部分内に同心状に嵌るように構成され得る。具体的には、ステープルカートリッジアセンブリ70は、ステープル受容スロット72(図15)の1対の環状アレイを規定し、1つのステープル7が、ステープル受容スロット72の各々1つの中に配置される。さらに、ステープルカートリッジアセンブリ70は、ステープル7の環状アレイの対と同心状に配置された円筒形ナイフ76、および複数のステープルプッシャー9(図15)を備え、各ステープルプッシャーは、ステープル受容スロット72内に配置されて、ステープル7をスロット72に通して排出する。ステープル7は、スロット72および組織を通って、アンビルアセンブリ60に向かって移動する。
【0022】
図15を簡単に参照すると、円筒形ナイフ76は、ナイフ刃を規定する遠位リム79を備え、このナイフ刃は、組織および外科手術用バットレスアセンブリ100の一部分を切断するように適合される。ハンドル部材22の起動の際に、円筒形ナイフ76は遠位に移動して、組織および外科手術用バットレスアセンブリ100の一部分を切断し、そして複数のプッシャー9が遠位に移動して、ステープル7をステープル受容スロット72からアンビルアセンブリ60に向けて排出する。
【0023】
特に図2に戻って参照すると、ステープルカートリッジアセンブリ70の遠位にアンビルアセンブリ60が配置され、このアンビルアセンブリは、アンビル部材62、およびアンビル部材62から近位に延びるシャフト64を備える。アンビル部材62は、ステープル7を受容して変形させるための複数のステープルポケット65を備える。シャフト64は、細長本体部分30内に配置された近接シャフト75(図1)内に取り外し可能に受容されるように構成される。近接シャフト75は、ハンドルアセンブリ20の回転可能な把持部材26と作動可能に結合され、これによって、回転可能な把持部材26の回転は、近接シャフト75を軸方向に移動させる。近接シャフト75のこのような軸方向の移動は、アンビルアセンブリ60に与えられる。この様式で、アンビルアセンブリ60は、ステープルカートリッジアセンブリ70に対して軸方向に、間隔を空けた位置と近接した位置との間で移動可能であり、この近接した位置において、アンビルアセンブリ60は、ステープルカートリッジアセンブリ70に隣接して配置されて、アンビルアセンブリ60とステープルカートリッジアセンブリ70との間で組織を調節可能にクランプする。
【0024】
中空器官の円形吻合を実施するための器具の例は、米国特許第6,053,390号、同第5,588,579号、同第5,119,983号、同第5,005,749号、同第4,646,745号、同第4,576,167号、および同第4,473,077号に開示されており、これらの各々は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0025】
図2図4の参照を続けると、バットレス部材110およびバットレス台120は、互いに同心状に配置される。バットレス部材110は、外科手術用ステープル留め装置10によって組織に付けられたステープル線を補強して封止するために提供される。
【0026】
バットレス部材110は、生体吸収性または非生体吸収性である生体適合性材料から製造され、そしてまた、天然材料または合成材料から作製され得る。天然材料、合成材料、生体吸収性材料、および非生体吸収性材料の任意の組み合わせが、バットレス部材110を形成するために使用され得ることが理解されるべきである。
【0027】
さらに、バットレス部材110は、多孔性であっても、非多孔性であっても、これらの組み合わせであってもよい。本明細書中に記載されるバットレス部材110は、複数の層を含み得、これらの層において、非多孔性層と多孔性層との任意の組み合わせが構成され得ることもまた、想定される。例えば、バットレス部材110は、複数の非多孔性層および多孔性層を含むように形成され得、これらの層が交互の様式で積み重ねられる。別の例において、バットレス部材110は、「サンドイッチ様」の様式で形成され得、ここで、バットレス部材110の外側層は、多孔性層を含み、そしてその内側層は、非多孔性層である。多層状のバットレス部材の例は、米国特許出願公開第2009/0001122号(2007年6月27日出願、発明の名称「Buttress and Surgical Stapling Apparatus」)に開示されており、その全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0028】
具体的には、バットレス部材110における非多孔性層の使用は、バットレス部材110が、製造、輸送、取り扱い、およびステープリングのプロセス中に、断裂および穿孔に抵抗する能力を増強し得る。さらに、外科手術用バットレスにおける非多孔性層の使用はまた、周囲の組織からの組織の内方成長を遅延または阻害し得、これによって、接着障壁として働き得、そして/または望ましくない瘢痕組織の形成を阻害し得る。
【0029】
さらに、少なくとも1種の生物活性剤が、バットレス部材110と組み合わせられ得る。この剤は、外科手術用バットレスの表面に配置され得、そして/または外科手術用バットレスに含浸され得る。これらの実施形態において、バットレス部材110はまた、生物活性剤の送達のためのビヒクルとして働き得る。用語「生物活性剤」とは、本明細書中で使用される場合、その最も広い意味で使用され、そして臨床用途を有する任意の物質または物質混合物を包含する。
【0030】
図2図4の参照を続けると、バットレス部材110は、アンビルアセンブリ60と同心状に整列するように構成された、環状のプロフィールを有する。具体的には、バットレス部材110は、アンビルアセンブリ60の近位表面66に設置され、そしてバットレス台120は、バットレス部材110の近位に配置される。バットレス部材110のこの環状のプロフィールは、アンビルアセンブリ60に設置される場合に、少なくともアンビル部材62の外周縁部と同一面にあるような構成および寸法にされる。
【0031】
バットレス台120は、コアリング122、およびコアリング122から半径方向外向きに延びる支持アーム124を備える。支持アーム124は、コアリング122の周囲に配置され、そして例えば、オーバーモールディング、超音波溶接、溶融プレス、または他のポリマーもしくは接着剤と組み合わせた溶融プレスによって、バットレス部材110の近位表面112に付着させられるような構成および寸法にされる。コアリング122は穴123を備え、この穴は、アンビルアセンブリ60に設置される場合に、この穴を通してアンビルアセンブリ60のシャフト64を受容するような構成および寸法にされる。具体的には、穴123は、シャフト64に対して締りばめまたは摩擦ばめを提供するような構成および寸法にされて、バットレス部材110をアンビル部材62とバットレス台120との間に固定することを可能にする。コアリング122は、割りリング(すなわち、その長さに沿って破断部を有する)として構成されて、様々な直径のシャフトに適応し得ることが想定される。
【0032】
バットレス支持具の他の形状が想定され、そしてこのバットレス支持具は、様々な断面形状を有する直線状の部材または湾曲した部材を組み込み得る。
【0033】
図4を特に参照すると、バットレス部材110は、アンビル部材62に規定されたステープルポケット65の環状アレイの対に関連して重ねられる。具体的には、バットレス台120の半径方向に延びる支持アーム124は、ステープルポケット65の環状アレイの対の半径方向内側で終わるような構成および寸法にされ、その結果、ステープル7がステープル受容スロット72の環状アレイの対を通して排出される場合、各ステープル7の脚は、組織およびバットレス部材110を通ってステープルポケット65内に貫入する。このような構成において、バットレス台120の支持アーム124は、ステープル形成によって影響を受けず、そして同様に、これらの支持アームは、ステープル形成に影響を与えない。この様式で、ハンドル部材22の起動の際に、バットレス部材110の一部分は、組織と一緒にステープル留めされて組織を補強し、そしてバットレス部材110およびバットレス台120の残りの部分は、切断されて、組織と一緒にステープル留めされたバットレス部材110の一部分から取り外される。しかし、支持アーム124は、円筒形ナイフ76が起動されて組織およびバットレス台120を切断する場合に、円筒形ナイフ76の半径方向内側で終わるような構成およびサイズにされ得ることもまた、想定される。この様式で、円筒形ナイフ76による支持アーム124の切断は、排除され得る。
【0034】
ここで図5および図6を参照すると、バットレスアセンブリ100は、反転した位置で使用され得ることもまた想定される。具体的には、バットレス台120は、本明細書中で上に記載された方法のうちのいずれかによって、バットレス台120がバットレス部材110の遠位に配置されるように、バットレス部材110に固定される。さらに、バットレス台120は、アンビル部材62に規定された凹部67に受容されるような構成および寸法にされ得る。さらに、または代替的に、コアリング122により規定される穴123は、アンビルアセンブリ60のシャフト64に対する締りばめを提供する。さらに、支持アーム124は、凹部67の周縁部との締りばめを提供するような構成および寸法にされ、これは、バットレス部材110とアンビルアセンブリ60との固定をさらに改善する。
【0035】
バットレス台120の、バットレス部材110に対して遠位での配置は、バットレス部材110と、アンビル部材62の近位表面66との間での、平らな表面での接触を提供し得、これによって、組織を通してのステープル形成をさらに増強し得る。
【0036】
ここで図7を参照すると、バットレス部材110は、1対のバットレス台520a、520bによって支持され得ることもまた想定される。具体的には、バットレス台520aは、バットレス部材110の遠位に配置され、そしてバットレス台520bは、バットレス部材110の近位に配置される。バットレス台520a、520bは、本明細書中上に記載した方法のうちのいずれかによって、バットレス部材110に付着させられる。バットレス台520a、520bは、本明細書中上に記載されたバットレス台120と実質的に同じであるので、簡潔にするために、本明細書中には記載しない。バットレス台520aと520bとは、実質的に同じであるので、バットレスアセンブリ500は、交換可能に使用され得る。それぞれのバットレス台520a、520bの穴523は、この穴を通してアンビルアセンブリ60のシャフト64を受容するような構成および寸法にされ、これによって、このシャフトとの締りばめまたは摩擦ばめを提供する。さらに、バットレス台520aは、コアリング522から半径方向外向きに延びる支持アーム524を備えて、アンビルアセンブリ60の凹部67の周縁部の周りに締りばめを提供して、バットレス部材110とアンビルアセンブリ60との固定をさらに改善する。このアセンブリ全体を反転させることができ、そしてバットレス台520bもまた、アンビルアセンブリ60の凹部67の周縁部に対する締りばめを提供するような構成および寸法にされた支持アーム524を備え得る。バットレス台520aの支持アーム524は、バットレス台520bの支持アーム524と半径方向に整列しているように図示されているが、バットレス台520a、520bの支持アーム524は、互いに半径方向の整列からずれてもよいことが想定される。バットレス台520aおよび520bは、様々な断面形状を有する、湾曲したアームまたは真っ直ぐなアームを備える、異なる構成を有し得る。バットレス台520aの構成は、バットレス台520bの構成と異なってもよい。
【0037】
図8および図9を参照すると、バットレス台220は支持アーム224を備え得、これらの支持アームは、コアリング222から半径方向外向きに延び、そしてアンビルアセンブリ60に設置される場合に、アンビル部材62の外周縁部と実質的に同一面にあることが、さらに想定される。このような構成において、各支持アーム224の一部分は、組織と一緒にステープル留めされて組織を補強し、そしてバットレス部材110およびバットレス台120の残りの部分(すなわち、円筒形ナイフ76の半径方向内側の部分)は切断されて、組織にステープル留めされたバットレス部材110の部分から取り外される。
【0038】
バットレス部材110と支持アーム224との間により大きい接触面積を提供することによって、支持アーム224によりバットレス部材110に加えられる力は、バットレス部材110全体にわたってより等しく分布され、このことは、バットレス部材110が裂けたり損傷したりすることを妨げ得る。このような構成において、支持アーム224は、様々な厚さを有し得ることが、さらに想定される。具体的には、組織にステープル留めされる支持アーム224の部分は、最小の厚さ(例えば、コアリング222に隣接する支持アーム224の部分の厚さよりかなり小さい厚さ)を有し得、その結果、ステープル形成に対する支持アーム224の厚さのあらゆる影響が最小にされる。さらに、バットレス部材110と一緒にステープル留めされる支持アーム224の部分は、生体吸収性材料および/または生分解性材料から形成され得ることが、さらに想定される。
【0039】
図10および図11を参照すると、本開示の別の実施形態に従うバットレス台320が図示されている。バットレス台320は、コアリング322(アンビルアセンブリ60のシャフト64を受容するような構成および寸法にされる)、外側リング326(コアリング322と同心状に配置される)、およびスポーク324(コアリング322から外側リング326まで半径方向外向きに延び、これによって、コアリング322と外側リング326とを相互接続する)を備える。外側リング326は、アンビル部材62に対するバットレス部材110のためのさらなる支持を提供する。具体的には、外側リング326は、バットレス部材110がアンビルアセンブリ60を覆って折れ曲がるか、アンビルアセンブリ60から外れるか、または分離する可能性を大いに低下させ得る。具体的には、バットレス台320によりバットレス部材110に加えられる力は、バットレス部材110全体にわたってより等しく分布され、このことは、バットレス部材110が裂けたり損傷したりすることを妨げ得る。
【0040】
図11を特に参照すると、外側リング326は、バットレス部材110のステープル形成部分内に少なくとも部分的に配置され、これによって、外側リング326の一部分のみが、バットレス部材110および組織にステープル留めされ、そして外側リング326の残りの部分は切断されて、組織にステープル留めされたバットレス部材110の部分から取り外される。支持アーム224に関連して本明細書中上で議論されたように、外側リング326は、その外周部分において最小の厚さを有して、ステープル形成に対する妨害を最小にし得る。さらに、外側リング326および/またはバットレス台320は、全体として、生分解性材料および/または生体吸収性材料から作製され得、その結果、バットレス部材110および組織にステープル留めされる外側リング326の部分は、経時的に分解する。あるいは、外側リング326は、ステープル線の内側、または切断線の内側に配置され得る。
【0041】
図12および図13を参照すると、バットレス台120、220、320、およびバットレス部材110は、本明細書中で上に記載された方法によって互いに取り付けられる、別々の構成要素として本明細書中上で記載されたが、バットレス部材とバットレス支持具とは、単一の構築物としてモノリシックに形成されてもよいこともまた、想定される。モノリシックに形成されたバットレスアセンブリ400は、共通の貫通穴423を規定し、この共通の貫通穴は、アンビルアセンブリ60のシャフト64を受容して、このシャフトとの締りばめを提供するような構成および寸法にされる。あるいは、バットレス部材とバットレス支持具とは、異なる材料から形成され得、これらは、互いに結合されるか、または他の方法で取り付けられる。
【0042】
ここで図14図17を参照すると、外科手術用ステープル留め装置10は、例えば、2つの対向する腸セクション「T」、「T」の接合を行うための吻合手順において、使用される。この吻合手順は代表的に、最小侵襲性外科手術技術(腹腔鏡の手段および器具類を含む)を使用して実施される。最初に、疾患を有する腸セクションが除去される。その後、アンビルアセンブリ60が、外科手術切開を通してかまたは経肛門でかのいずれかで、外科手術部位に挿入され、そして腸セクション「T」内に配置される。外科手術用ステープル留め装置10の細長本体部分30(ステープルカートリッジアセンブリ70を備える)が、他方の腸セクション「T」に経肛門で挿入される。次いで、腸セクション「T」、「T」は、それぞれの構成要素(例えば、アンビルアセンブリ60のシャフト64および細長本体部分30の遠位端)の周りに、従来の手段(例えば、巾着縫合「P」)によって、一時的に固定される。
【0043】
その後、医師は、シャフト64の近位端が、外科手術用ステープル留め装置10の細長本体部分30に配置された近接シャフト75の遠位端に挿入されるまで、アンビルアセンブリ60を操作する。シャフト64は、図15に示されるように、1つの構築物として操作可能になるように、近接シャフト75に係合する。次いで、アンビルアセンブリ60および細長本体部分30は、図17に示されるように、近接させられて腸セクション「T」、「T」を近接させる。次いで、外科手術用ステープル留め装置10が発射され、腸セクション「T」、「T」の互いへのステープル留めを行い、同時に円筒形ナイフ76が、円筒形ナイフ76の半径方向内側に位置するバットレス部材110および組織の部分を切断し、これによって、バットレス台320およびバットレス部材110の内側部分を、ステープルカートリッジアセンブリ70の遠位表面74とアンビルアセンブリ60の近位表面66との間にクランプ(近接)されたバットレス部材110の部分から取り外して、この吻合を完了する。
【0044】
さらなる実施形態において、バットレス部材は、ステープルカートリッジアセンブリ70に規定されたステープルスロットの環状の列に関して、重なり得る。特定の例において、バットレス台の半径方向に延びる支持アームは、コアリングに取り付けられ、そしてステープルスロット72(図15を参照のこと)の環状の列の対の半径方向内側で終わるような構成およびサイズにされ、その結果、ステープル7がステープル受容スロット72の環状アレイの対を通して排出される場合、各ステープル7の脚は、組織およびバットレス部材を通ってステープルポケット65内に貫入する。あるいは、これらの支持アームは、ステープルスロット72の列に隣接する位置で終わり得る。ハンドル部材22の起動の際に、バットレス部材の一部分は、組織と一緒にステープル留めされて組織を補強し、そしてバットレス部材の残りの部分および/またはバットレス台は、切断されて、組織と一緒にステープル留めされたバットレス部材の部分から取り外される。これらの支持アームは、ステープルカートリッジアセンブリの凹部の内側表面に係合するように構成され得る。さらに、または代替的に、バットレス支持具のコアリングは、シャフトに摩擦により係合する。さらに、特定の実施形態において、上で議論されたように、2つのバットレス支持具が、バットレス部材をステープルカートリッジに設置するために使用され得る。
【0045】
本開示の例示的な実施形態が、添付の図面を参照しながら本明細書中に記載されたが、上記説明、開示、および図は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例示であると解釈されるべきである。例えば、バットレス部材およびバットレス支持具は、ステープルカートリッジアセンブリ70内に配置された近接シャフト75に固定され得、これによって、バットレスアセンブリ100は、ステープルカートリッジアセンブリ70の組織接触表面と重なった関係になる。従って、本開示はこれらの正確な実施形態に限定されないこと、ならびに種々の他の変更および改変が、当業者によって、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなくなされ得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
7 ステープル
10 外科手術用ステープル留め装置
20 ハンドルアセンブリ
30 細長本体部分
50 ヘッド部分
60 アンビルアセンブリ
70 ステープルカートリッジアセンブリ
76 環状ナイフ
100 外科手術用バットレスアセンブリ
110 バットレス部材
120 バットレス台
図1
図2
図3
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図5
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