特許第6108681号(P6108681)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6108681-鞍乗型車両 図000002
  • 特許6108681-鞍乗型車両 図000003
  • 特許6108681-鞍乗型車両 図000004
  • 特許6108681-鞍乗型車両 図000005
  • 特許6108681-鞍乗型車両 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108681
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 29/00 20060101AFI20170327BHJP
   B62J 17/04 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   B62J29/00 B
   B62J17/04
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-99869(P2012-99869)
(22)【出願日】2012年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-226911(P2013-226911A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川畑 貴央
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊一
【審査官】 常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−107563(JP,A)
【文献】 特開平01−111586(JP,A)
【文献】 実公昭37−027128(JP,Y1)
【文献】 特開2012−071797(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0088766(US,A1)
【文献】 特開2009−067283(JP,A)
【文献】 特公平01−034194(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 29/00
B62J 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックミラーのミラー支持部と本体フレーム側ステーとの間に、ウインドシールド、カウル、及び防振部材が挟み込まれて、前記ミラー支持部と前記ウインドシールドとが当接し、前記ウインドシールドの前記本体フレーム側ステー側に前記カウルが配置され、前記カウルの前記本体フレーム側ステー側に前記防振部材が配置された状態で、ボルトが、前記バックミラーから前記本体フレーム側ステーに向けて、前記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、前記防振部材、及び前記本体フレーム側ステーに差し込まれ、記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、及び前記防振部材が、前記本体フレーム側ステーに前記ボルトによって締結されているバックミラー取付け構造を備えていることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
前記ウインドシールドの先端部が前記カウルに対して非密着状態となる位置に前記ウインドシールドが配置されていることを特徴とする請求項1記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記カウルと前記本体フレーム側ステーとの間に、メータカバーが挟み込まれて前記カウルの前記本体フレーム側ステー側に前記メータカバーが配置され、前記メータカバーの前記本体フレーム側ステー側に前記防振部材が配置された状態で、前記ボルトが、前記バックミラーから前記本体フレーム側ステーに向けて、記ミラー支持部、前記ウインドシールド、記カウル、前記メータカバー、前記防振部材、及び前記本体フレーム側ステーに差し込まれ、前記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、前記メータカバー、及び前記防振部材が、前記本体フレーム側ステーに前記ボルトによって締結されていることを特徴とする請求項1又は2記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記ミラー支持部が、合成樹脂製であることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
バックミラーのミラー支持部と本体フレーム側ステーとの間に、ウインドシールド、カウル、及び防振部材が挟み込まれて、前記ウインドシールドの前記本体フレーム側ステー側に前記カウルが配置され、前記カウルの前記本体フレーム側ステー側に前記防振部材が配置された状態で、ボルトが、前記バックミラーから前記本体フレーム側ステーに向けて、前記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、前記防振部材、及び前記本体フレーム側ステーに差し込まれ、記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、及び前記防振部材前記本体フレーム側ステーに前記ボルトによって締結されているバックミラー取付け構造と、
前記ウインドシールド、前記カウル、及び前記防振部材のそれぞれに形成された挿通孔内に挿通されたカラーとを備え、
前記ミラー支持部が前記カラーに直接接触した状態で、前記カラーは、前記ボルトが前記ウインドシールド、前記カウル、及び前記防振部材を締め付ける寸法を規制することを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項6】
バックミラーのミラー支持部と本体フレーム側ステーとの間にウインドシールド、カウル、メータカバー、及び防振部材が挟み込まれて、前記ウインドシールドの前記本体フレーム側ステー側に前記カウルが配置され、前記カウルの前記本体フレーム側ステー側に前記メータカバーが配置され、前記メータカバーの前記本体フレーム側ステー側に前記防振部材が配置された状態で、ボルトが、前記バックミラーから前記本体フレーム側ステーに向けて、前記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、前記メータカバー、前記防振部材、及び前記本体フレーム側ステーに差し込まれ、記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、前記メータカバー、及び前記防振部材前記本体フレーム側ステーに前記ボルトによって締結されているバックミラー取付け構造を備え、
前記ミラー支持部が、合成樹脂製であり、
前記ウインドシールドの車体側への固定は、左右一対の前記バックミラー取付け構造のみで行われている、鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックミラー取付け構造を備える例えば自動二輪車のような二輪車両を含む鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動二輪車のバックミラー取付け構造の一例として、特許文献1に記載されたものがある。このバックミラー取付け構造は、ハンドルの前方周囲を覆うフード(カウル)をカウルステーにねじ止めして、このフードの上部にウインドシールドを重ね合わせてねじ止めしてある。更に、このフードには、バックミラーのミラー支持部をねじ止めしてあり、このミラー支持部は、ウインドシールドに形成された切欠きを通ってこのウインドシールドの外側に延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平1−34194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のバックミラー取付け構造では、フード(カウル)をカウルステーに取り付けるためのビスやボルト、ウインドシールドをフードに取り付けるためのビスやボルト、及びミラー支持部をフードに取り付けるためのビスやボルトの数が多くなり、その費用が嵩むし組付け工数も多くなる。
【0005】
そこで、例えばミラー支持部とカウルステーとの間にウインドシールド及びフードを挟み込んで、共用のボルトで共締めすることによってこれらをカウルステーに取り付けることが考えられる。
【0006】
しかし、このようにすると、例えば走行中のバックミラーの振動によって、ミラー支持部とウインドシールドとの間で擦れが生じて、ウインドシールドの表面がミラー支持部によって傷が付いたり摩耗することが分かっている。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、バックミラー及びウインドシールドの組み付け工数を低減すると共に、ウインドシールドの表面がミラー支持部によって傷が付いたり摩耗することを抑制できるバックミラー取付け構造を備える鞍乗型車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る鞍乗型車両は、バックミラーのミラー支持部と本体フレーム側ステーとの間に、ウインドシールド、カウル、及び防振部材が挟み込まれて、前記ミラー支持部と前記ウインドシールドとが当接し、前記ウインドシールドの前記本体フレーム側ステー側に前記カウルが配置され、前記カウルの前記本体フレーム側ステー側に前記防振部材が配置された状態で、ボルトが、前記バックミラーから前記本体フレーム側ステーに向けて、前記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、前記防振部材、及び前記本体フレーム側ステーに差し込まれ、記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、及び前記防振部材が、前記本体フレーム側ステーに前記ボルトによって締結されているバックミラー取付け構造を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る鞍乗型車両は、バックミラー取付け構造を備えており、このバックミラー取付け構造によると、バックミラー及びウインドシールドを共用の締結部材によって本体フレーム側ステーに取り付けることができる。そして、走行中等においてバックミラーが振動すると、ミラー支持部がウインドシールドとの間で相対的に移動し、擦れが生じようとするが、防振部材が当該振動を抑制することによって擦れが生じ難くすることができる。
【0010】
この発明に係る鞍乗型車両において、前記ウインドシールドの先端部が前記カウルに対して非密着状態となる位置に前記ウインドシールドが配置されているとよい。
【0012】
この発明に係る鞍乗型車両において、前記カウルと前記本体フレーム側ステーとの間に、メータカバーが挟み込まれて前記カウルの前記本体フレーム側ステー側に前記メータカバーが配置され、前記メータカバーの前記本体フレーム側ステー側に前記防振部材が配置された状態で、前記ボルトが、前記バックミラーから前記本体フレーム側ステーに向けて、記ミラー支持部、前記ウインドシールド、記カウル、前記メータカバー、前記防振部材、及び前記本体フレーム側ステーに差し込まれ、前記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、前記メータカバー、及び前記防振部材が、前記本体フレーム側ステーに前記ボルトによって締結されているものとするとよい。
【0013】
このようにすると、バックミラー及びウインドシールド、並びに、カウル及びメータカバーを、共用のボルトによって本体フレーム側ステーに取り付けることができる。よって、ボルトのコストの低減を図ることができると共に、バックミラー及びウインドシールド、並びに、カウル及びメータカバーを取り付けるための組み付け工数の低減を図ることができる。
【0014】
そして、ウインドシールドと本体フレーム側ステーとの間に配置されたカウル及びメータカバーによって、外側からウインドシールドを通して本体フレーム側ステーが見えないように覆うことができ、見栄えを良くすることができる。
【0015】
この発明に係る鞍乗型車両において、前記ミラー支持部が、合成樹脂製であるものとするとよい。
【0016】
また、この発明に係る鞍乗型車両は、バックミラーのミラー支持部と本体フレーム側ステーとの間に、ウインドシールド、カウル、及び防振部材が挟み込まれて、前記ウインドシールドの前記本体フレーム側ステー側に前記カウルが配置され、前記カウルの前記本体フレーム側ステー側に前記防振部材が配置された状態で、ボルトが、前記バックミラーから前記本体フレーム側ステーに向けて、前記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、前記防振部材、及び前記本体フレーム側ステーに差し込まれ、記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、及び前記防振部材前記本体フレーム側ステーに前記ボルトによって締結されているバックミラー取付け構造と、前記ウインドシールド、前記カウル、及び前記防振部材のそれぞれに形成された挿通孔内に挿通されたカラーとを備え、前記ミラー支持部が前記カラーに直接接触した状態で、前記カラーは、前記ボルトが前記ウインドシールド、前記カウル、及び前記防振部材を締め付ける寸法を規制する。
【0017】
このようにすると、カラーは、ボルトがウインドシールド、カウル、及び防振部材を締め付ける寸法を規制することができる。よって、作業者の熟練度に拘わらず、ボルトを適切な力で締め付けてウインドシールド、カウル、及び防振部材を本体フレーム側ステーに取り付けることができる。従って、ボルトの締付け過ぎによってウインドシールドを損傷させることがないし、締付け力の不足によってウインドシールドの取付け強度が許容範囲よりも下回ることを防ぐことができる。
【0018】
また、この発明に係る鞍乗型車両は、バックミラーのミラー支持部と本体フレーム側ステーとの間にウインドシールド、カウル、メータカバー、及び防振部材が挟み込まれて、前記ウインドシールドの前記本体フレーム側ステー側に前記カウルが配置され、前記カウルの前記本体フレーム側ステー側に前記メータカバーが配置され、前記メータカバーの前記本体フレーム側ステー側に前記防振部材が配置された状態で、ボルトが、前記バックミラーから前記本体フレーム側ステーに向けて、前記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、前記メータカバー、前記防振部材、及び前記本体フレーム側ステーに差し込まれ、記ミラー支持部、前記ウインドシールド、前記カウル、前記メータカバー、及び前記防振部材前記本体フレーム側ステーに前記ボルトによって締結されているバックミラー取付け構造を備え、前記ミラー支持部が、合成樹脂製であり、前記ウインドシールドの車体側への固定は、左右一対の前記バックミラー取付け構造のみで行われている。
【0019】
このようにすると、ウインドシールドの本体フレーム側ステーに対する取付け構造が原因して、ウインドシールドに傷が付いたり摩耗することを抑制することができる。そして、ボルトのコストの低減、並びに、バックミラー及びウインドシールドを取り付けるための組み付け工数の低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る鞍乗型車両は、バックミラー取付け構造を備えており、このバックミラー取付け構造によると、走行中等においてバックミラーの振動を防振部材が抑制することによって、ミラー支持部とウインドシールドとの間で擦れが生じ難くすることができる構成としたので、ウインドシールドの前表面がミラー支持部によって傷が付いたり摩耗することを効果的に抑制して、ウインドシールドの見栄えの良さを維持することができる。
【0022】
そして、バックミラー及びウインドシールドを取り付けるための締結部材を共用してその数を減少させることができるので、締結部材のコストの低減、並びに、バックミラー及びウインドシールドを取り付けるための組み付け工数の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の一実施形態に係る鞍乗型車両(自動二輪車)の左側面図である。
図2図1に示すカウルの正面図である。
図3図2に示すバックミラー取付け構造のA部を示す部分拡大断面図である。
図4図3に示すバックミラー取付け構造のバックミラー及びウインドシールドを示す分解斜視図である。
図5図1に示す鞍乗型車両のウインドシールドを示す図であり、(a)は、左側面図、(b)は、B−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る鞍乗型車両の一実施形態を、図1図5を参照して説明する。以下の説明における方向の概念は、この実施形態に係る鞍乗型車両の一例として示す自動二輪車1に騎乗した運転者から見た方向を基準としている。
【0025】
図1に示すように、自動二輪車1は、前輪2及び後輪3を備えており、前輪2は、フロントフォーク4の下端部に回転可能に支持されている。フロントフォーク4は、或るキャスター角をもって前輪2から後に傾斜して上方に延びている。フロントフォーク4は、上端部においてステアリングシャフト5に連結されている。ステアリングシャフト5は、上端部においてハンドル6と連結されている。ステアリングシャフト5は、車体フレームの前端部を成すヘッドパイプ9に回転可能に支持されている。ハンドル6の後方には燃料タンク7を介してシート8が配置されている。シート8に跨った運転者は、両手でハンドル6に設けられた左右のグリップそれぞれを握り、ハンドル6を回動操作することができる。ハンドル6が操作されると、ステアリングシャフト5がフロントフォーク4と共に回転し、前輪2を転向させることができる。
【0026】
ヘッドパイプ9よりも前方には、車両前方を照明するヘッドランプユニット11と、運転者を走行風から保護するウインドシールド(風防板)12とが設けられている。この自動二輪車1はいわゆるフルカウル式のカウル15を備えており、このカウル15は、ヘッドランプユニット11の周囲、フロントフォーク4上部の側方、ヘッドパイプ9の側方、燃料タンク7の下側方、エンジンEの側方に亘って車体の前部を覆うものである。
【0027】
カウル15は、複数のカウル部材を組み合わせたものである。カウル部材には、アッパーカウル16、左右のサイドカウル17,18(右サイドカウル18については図2参照)が含まれる。その他、カウル部材には、ロアカウル19、左右のサイドアッパーカウル20(左側のみ示す)も含まれる。なお、右サイドカウル18は、左サイドカウル17と左右に対称であるので、以降における右サイドカウル18についての説明では、左サイドカウル17の説明と重複する内容を適宜省略又は簡易化する。
【0028】
図2は、図1に示すカウル15の正面図である。図2に示すように、アッパーカウル16は、ヘッドランプユニット11の上側部分を覆っている。左サイドカウル17は、フロントフォーク4(図1参照)上部の左方、エンジンE(図1参照)の左方を覆っている。左サイドカウル17は、その上端部に、アッパーカウル16と共にヘッドランプユニット11の周囲を覆う左ランプカバー部17aを有する。左ランプカバー部17aは、アッパーカウル16の左端部と組み合わされ、主としてヘッドランプユニット11の左後側及び左下側を覆っている。左ランプカバー部17aとアッパーカウル16とは隙間無く組み合わされており、分割線15aが略後方に延びている。右サイドカウル18も、上端部に右ランプカバー部18aを有している。右ランプカバー部18aは、アッパーカウル16の右端部と隙間無く組み合わされ、主としてヘッドランプユニット11の右後側及び右下側を覆っている。
【0029】
また、ウインドシールド12は、その下縁部12a(2つの各斜め縁部)がアッパーカウル16の上ランプカバー部16aの上縁部を覆うように配置され、上ランプカバー部16aから後方斜め上方に向かって延びている。更に、自動二輪車1は、左右一対のバックミラー13を備えており、各バックミラー13は、ウインドシールド12上に配置され、その下側にアッパーカウル16、メータカバー21、防振部材22及びカウルステー14(図3参照)が配置されている。そして、これら各バックミラー13、ウインドシールド12、アッパーカウル16、メータカバー21及び防振部材22は、カウルステー14に締結部材23(ボルト)で締結して取り付けられている。
【0030】
カウルステー14は、車体フレームに固定される剛性部品であり、鋼又はアルミニウム合金等の金属製である。このカウルステー14には、上記以外にヘッドランプユニット11及び左右のサイドカウル17,18のように車両の前部に配置される複数の装置及び部品が取り付けられている。
【0031】
次に、本発明に係る鞍乗型車両が備えているバックミラー取付け構造24について説明する。このバックミラー取付け構造24は、図2に示す左右の各バックミラーに13に適用され、それぞれ同一の構成であるので、左側のバックミラー取付け構造24について説明し、右側のバックミラー取付け構造24の説明を省略する。
【0032】
バックミラー取付け構造24は、図3及び図4に示すように、自動二輪車1のバックミラー13のミラー支持部13aの基端部と、この基端部に対応する部位が板状とされたカウルステー14との間に、上から順番にウインドシールド12、アッパーカウル16、メータカバー21及び防振部材22を挟み込んで、これらバックミラー13、ウインドシールド12、アッパーカウル16、メータカバー21及び防振部材22をカウルステー14に締結部材23(ボルト)及びナット25によって締結して取り付ける構成である。
【0033】
つまり、図3に示すように、ミラー支持部13aの基端部、ウインドシールド12、アッパーカウル16、メータカバー21、防振部材22及びカウルステー14には、これらを貫通する挿通孔26〜31が2組形成され、各組の挿通孔26〜31には、締結部材23が挿通している。そして、各締結部材23の先端部にはナット25が螺合し、このナット25と締結部材23の頭部23aとの間にこれら6つの部材13a、12、16、21、22、14が挟み込まれて締め付けられている。
【0034】
また、図3に示すように、締結部材23がウインドシールド12、アッパーカウル16、メータカバー21及び防振部材22をカウルステー14に所定の適切な力で締め付けて固定することができるように、これら5つの部材に形成された各挿通孔27〜31には、円筒状のカラー32が挿通されている。このカラー32は、その上下の各端部がそれぞれミラー支持部13aの基端部の下面と、ナット25の上面との間に挟み込まれており、この状態で締結部材23及びナット25で締め付けられている。このカラー32の内孔に締結部材23が挿通している。このように、カラー32は、締結部材23がウインドシールド12及び防振部材22等の5つの部材を締め付ける寸法を規制している。
【0035】
防振部材22は、合成ゴム等のゴム様弾性体で形成された板状体である。ただし、防振部材22は、これ以外にも例えばカウルステー14とミラー支持部13aとを押し離す方向(突っ張る方向)にテンション(弾発力)を付与することができるものであればバネ座金等のバネ部材としてもよい。また、ミラー支持部13a、ウインドシールド12、アッパーカウル16及びメータカバー21は、例えば合成樹脂製である。
【0036】
そして、このウインドシールド12は、透明の合成樹脂製の板状体であり、その外形は、図2及び図5に示すように、前側部12bが略逆二等辺三角形に形成され、後側部12cが略逆台形に形成されている。
【0037】
また、図2及び図4に示すように、ウインドシールド12のカウルステー14に対する取付けは、左右一対のバックミラー取付け構造24のみで行われている。つまり、この一対のバックミラー取付け構造24の2つの各ミラー支持部13aの基端部は、平面視が略長円形に形成され、その長さ方向がウインドシールド12の略逆二等辺三角形の前側部12bの斜め縁部12aと間隔を隔ててそれに沿うようにウインドシールド12の表面に配置されている。
【0038】
更に、このウインドシールド12は、その前側部12bの2つの各斜め下縁部12a(先端部を除く)がアッパーカウル16の上ランプカバー部16aの上縁部に密着して覆うように配置されている。
【0039】
更に、図2及び図5に示すように、ウインドシールド12の前表面には、自動二輪車1の略前後方向に延びるリブ33が2つ左右対称に形成されている。具体的には、図2に示すように、2つの各リブ33は、ウインドシールド12の前側中央位置付近から互いの間隔を広げながら斜め後方に向かい、ウインドシールド12の後縁部の左右の各角部の手前の位置まで延びている。
【0040】
また、この2つの各リブ33は、ウインドシールド12を屈曲して形成したものであり、各リブ33の高さは、各リブ33の両方の各端部に向かうに従って低くなっている。
【0041】
次に、上記のように構成されたバックミラー取付け構造24、及びそれを備える自動二輪車1の作用を説明する。このバックミラー取付け構造24によると、図3に示すように、バックミラー13、ウインドシールド12、アッパーカウル16及びメータカバー21を共用の締結部材23によってカウルステー14に取り付けることができる。これによって、締結部材23の数を減少させることができるので、締結部材23のコストの低減、並びに、バックミラー13、ウインドシールド12、アッパーカウル16及びメータカバー21を取り付けるための組み付け工数の低減を図ることができる。
【0042】
そして、例えば走行中の路面からの衝撃やエンジン等が発生する振動によってバックミラー13が振動すると、ミラー支持部13aがウインドシールド12との間で相対的に移動し、擦れが生じようとするが、防振部材22が当該振動を抑制することによって擦れが生じ難くすることができる。これによって、ウインドシールド12の前表面がミラー支持部13aによって傷が付いたり摩耗することを効果的に抑制して、ウインドシールド12の見栄えの良さを維持することができる。
【0043】
そして、防振部材22をゴム様弾性体としたので、防振部材22に圧接されるメータカバー21の傷付き、摩耗及び損傷を抑制することができる。
【0044】
そして、図3に示すように、ウインドシールド12と防振部材22との間に不透明のアッパーカウル16やメータカバー21を配置したことによって、外側からウインドシールド12を通して防振部材22及びカウルステー14が見えないように覆うようにすることができ、見栄えを良くすることができる。
【0045】
また、図4等に示すように、ウインドシールド12のカウルステー14に対する取付けは、左右一対のバックミラー13をカウルステー14に締結する締結部材23のみで行われているので、ウインドシールド12のカウルステー14に対する取付け構造が原因して、ウインドシールド12の前表面に傷が付いたり摩耗することを抑制することができる。そして、締結部材23のコストの低減、並びに、バックミラー13、ウインドシールド12、アッパーカウル16及びメータカバー21を取り付けるための組み付け工数の低減を図ることができる。
【0046】
更に、図3に示すように、締結部材23がミラー支持部13a、ウインドシールド12、アッパーカウル16、メータカバー21、防振部材22及びカウルステー14を締め付ける寸法を規制して、当該締付け力が、所定の大きさ以上になることを規制するためのカラー32を設けた構成としたので、作業者の熟練度に拘わらず、締結部材23を適切な力で締め付けてバックミラー13、ウインドシールド12、アッパーカウル16、メータカバー21及び防振部材22をカウルステー14に取り付けることができる。これによって、締結部材23の締付け過ぎによってウインドシールド12を損傷させることがないし、締付け力の不足によってウインドシールド12の取付け強度が許容範囲よりも下回ることを防ぐことができる。
【0047】
そして、図2及び図5に示すように、ウインドシールド12に対して自動二輪車1の略前後方向に延びるリブ33を設けたので、ウインドシールド12の剛性を高めることができる。これによって、走行時に、ウインドシールド12が風圧によってその後側部12cが後方に向かって撓むことを抑制することができる。そして、ウインドシールド12の車体側への固定を、左右一対のバックミラー取付け構造24のみとしたときでも、ウインドシールド12をカウルステー14に強固に取り付けることが可能となる。
【0048】
また、このバックミラー取付け構造24によると、ウインドシールド12の前表面及び後表面の両方の各表面に傷が付いたり摩耗することを抑制できるので、透明の合成樹脂製のウインドシールド12の見栄えの良さを維持することができる。
【0049】
ただし、上記実施形態では、図3に示すように、ウインドシールド12と防振部材22との間に、アッパーカウル16及びメータカバー21の両方を挟み込むようにしたが、これに代えて、いずれか一方のみを挟み込むようにしてもよい。
【0050】
そして、上記実施形態では、リブ33は、ウインドシールド12に対して図2に示す形状及び位置に形成したが、これ以外の形状及び位置に形成してもよい。例えばウインドシールド12の後表面にリブ33を設けてもよい。要は、ウインドシールド12が風圧によってその後側部12cが後方に向かって撓むことを抑制できるようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明に係る鞍乗型車両は、バックミラー及びウインドシールドの組み付け工数の低減すると共に、ウインドシールドの表面がミラー支持部によって傷が付いたり摩耗すること抑制できる優れた効果を有し、このような鞍乗型車両に適用するのに適している。
【符号の説明】
【0052】
1 自動二輪車
12 ウインドシールド
13 バックミラー
13a ミラー支持部
14 カウルステー
16 アッパーカウル
21 メータカバー
22 防振部材
23 締結部材
24 バックミラー取付け構造
27〜31 挿通孔
32 カラー
33 リブ
図1
図2
図3
図4
図5