特許第6108712号(P6108712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6108712車輌整備用低位置支承型のホイールドーリー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108712
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】車輌整備用低位置支承型のホイールドーリー
(51)【国際特許分類】
   B60B 30/00 20060101AFI20170327BHJP
   B60B 29/00 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   B60B30/00
   B60B29/00 K
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-177166(P2012-177166)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-34314(P2014-34314A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月14日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年5月30日に、株式会社テクネットが、安全自動車株式会社に、片井 修が発明した使い勝手に優れた新規な車輌整備用のホイールドーリ−の販売の申出を行った。
(73)【特許権者】
【識別番号】511094336
【氏名又は名称】株式会社テクネット
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(72)【発明者】
【氏名】片井 修
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−045205(JP,U)
【文献】 特開2000−052994(JP,A)
【文献】 特開平06−143906(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3173700(JP,U)
【文献】 特開2002−160638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 30/00
B60B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面を移動自在とした基台フレームと、この基台フレームに昇降装置の駆動を受けて昇降自在に設けられるホイールラックとを具え、ホイールラック上に車輌から脱着する車輪を載せて、車輌への保守・整備作業のための良好な環境を現出させるための装置であって、
前記基台フレームは、左右一対のベースフレームと、このベースフレームに下方を支持される左右一対のポストフレームと、この各ポストフレーム上方と下方とにおいて両者を結ぶクロスメンバーとを具え、
基台フレームは、背面が充分に開放された作業アクセススペースを有し、一方前記ホイールラックは、左右一対の前方に平行に張り出したフォーク状のラックアームを車輪の支承部材とし、且つ車輪支承面を車輪外周形状に合わせた傾斜面とすると共に、その昇降範囲を床面至近位置からリフトアップ作業位置の範囲とし、
更にホイールラックを昇降駆動するための昇降装置は前記作業アクセススペースを外れた位置に設けられていることを特徴とする車輌整備用低位置支承型のホイールドーリー。
【請求項2】
前記昇降装置を構成するジャッキ本体は、前記ポストフレームに添って左右一対設けられていることを特徴とする前記請求項1記載の車輌整備用低位置支承型のホイールドーリー。
【請求項3】
前記ホイールラックは、その上方にタイヤ側に張り出すタイヤガードが設けられていることを特徴とする前記請求項1または2記載の車輌整備用低位置支承型のホイールドーリー。
【請求項4】
前記基台フレームには、整備される車輌から取り外したドライブシャフトを保管する下方のホルダカップと、上方のホルダフックとを具えたシャフト保管ホルダが設けられ、ドライブシャフトを立てた状態で保持することを特徴とする前記請求項1、2または3記載の車輌整備用低位置支承型のホイールドーリー。
【請求項5】
前記ホイールラックの基部中央には、整備作業時に用いられる工具、取り外した部品等を保持させておくためのユーティリティラックが設けられ、且つこのユーティリティラック後方には、握り部が具えられていることを特徴とする前記請求項1、2、3または4記載の車輌整備用低位置支承型のホイールドーリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトラック等の車輌を保守・整備するにあたり、車輪周りの点検の際に取り外した車輪を円滑に支承するようにし、作業者の作業負担を軽減するようにした車輌整備用低位置支承型のホイールドーリーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば大型トラック等の定期点検等にあたっては、車輌を浮き上がらせたリフトアップ状態で、全車輪を取り外し、駆動系、制動系、転動支持系を含む車軸周りの点検が行われる。この際、大型トラック等にあっては、タイヤ、ホイールを含んだ車輪は、かなりの重量があり、脱着作業を支援するためのホイールドーリーと称される支承装置が用いられている。このものは、大別すると、床面移動台車タイプと、作業ピットの上方から支承部材を吊り下げる吊り下げタイプとが従来用いられている。このうち吊り下げタイプは、整備支援装置ないしはツールの域を超えた工場設備とも云うべきものであり、このため一般的には床面移動タイプのホイールドーリーが普及している。しかしながら、このタイプのものにあっても次のような点で現場の作業実態からすると不都合が指摘されている。
【0003】
即ち床面移動タイプのものは、床面直上部に車輪を支承するホイールラックを具え、整備対象車輌をその車輪が床面から浮き上がる程度に僅かにリフトアップさせた状態でホイールラックを車輪下方に潜り込ませ、所要のボルト、ナットが外された車輪をホイールラックに受け取り、作業スペース外に移動保管するものである。
このような手法であるから、車輪の脱着のつど、車輌はリフトダウンされる一方、他の点検時には、作業者が自然な作業姿勢を取ることができるように、車輌はリフトアップされる。結果的に作業内容によって、車輌のリフトアップ、リフトダウンが繰り返えされ、これに加えて、車輪のホイールラックへの載せ替えに際しては、作業者にとっては、行い辛いしゃがみ姿勢をとることを余儀なくされる。
このような従来手法の不都合に着眼し、本出願人は車輌をリフトアップした状態で、ホイールの受け取りや、ホイール取付関連のボルト、ナットの緩締作業を可能した新規なホイールドーリーを開発し、既に特許出願に及び(先行特許出願;特願2011−134421号)、且つその実製品は好評裏に市場に受け入れられている。
ところでこの先行技術に係るホイールドーリーは、主としてリフトアップした状態の車輌を、そのままの高さを維持しながら作業を行うことを主眼としており、従ってホイールの支承位置も床から充分高い位置となっている。
【0004】
しかしながら、現実の作業状態としては、例えば車輌を完全にリフトアップさせず、ホイールが僅かに床面から浮いた状態でホイールの脱着作業を行う場合や、取り外したホイールから更にブレーキドラムを外し、別途その研磨等を行う場合などには、車輪を床面近くで支持し、更には床面に降ろし置くような使用方法も実現させなければならない場合も生じている。
このような使用方法を要求される場合、本出願人の開発に係る前記先行特許出願の技術では、支承していた車輪を床面まで降ろすことができないから、高い位置で車輪を受け取り、移動自在に支承できる別途補助ホイールドーリーを必要としていた。
加えて従来手法の場合、ホイールドーリーにせよ補助ホイールドーリーにせよ、車輪を載せたまま車輌点検の完了を待っており、取り外した車輪のセット数の補助ホイールドーリー等を用意しておかなくはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2011−134421号(出願時公開特許公報未発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの種々の背景を考慮してなされたものであって、車輪位置が床面至近の高さであっても、これを支承でき、更に床面に降ろし置くような操作をも可能にした、新規な車輌整備用ホイールドーリーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の車輌整備用低位置支承型のホイールドーリーは、 床面を移動自在とした基台フレームと、この基台フレームに昇降装置の駆動を受けて昇降自在に設けられるホイールラックとを具え、ホイールラック上に車輌から脱着する車輪を載せて、車輌への保守・整備作業のための良好な環境を現出させるための装置であって、前記基台フレームは、左右一対のベースフレームと、このベースフレームに下方を支持される左右一対のポストフレームと、この各ポストフレーム上方と下方とにおいて両者を結ぶクロスメンバーとを具え、基台フレームは、背面が充分に開放された作業アクセススペースを有し、一方前記ホイールラックは、左右一対の前方に平行に張り出したフォーク状のラックアームを車輪の支承部材とし、且つ車輪支承面を車輪外周形状に合わせた傾斜面とすると共に、その昇降範囲を床面至近位置からリフトアップ作業位置の範囲とし、更にホイールラックを昇降駆動するための昇降装置は前記作業アクセススペースを外れた位置に設けられていることを特徴として成るものである。
【0008】
請求項2記載の車輌整備用低位置支承型のホイールドーリーは、前記請求項1記載の要件に加え、前記昇降装置を構成するジャッキ本体ついては、前記ポストフレームに添って左右一対設けられていることを特徴として成るものである。
【0009】
請求項記載の車輌整備用低位置支承型のホイールドーリーは、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記ホイールラックについては、その上方にタイヤ側に張り出すタイヤガードが設けられていることを特徴として成るものである。
【0010】
請求項記載の車輌整備用低位置支承型のホイールドーリーは、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記基台フレームには、整備される車輌から取り外したドライブシャフトを保管する下方のホルダカップと、上方のホルダフックとを具えたシャフト保管ホルダが設けられ、ドライブシャフトを立てた状態で保持することを特徴として成るものである。
【0011】
請求項記載の車輌整備用低位置支承型のホイールドーリーは、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、前記ホイールラックの基部中央には、整備作業時に用いられる工具、取り外した部品等を保持させておくためのユーティリティラックが設けられ、且つこのユーティリティラック後方には、握り部が具えられていることを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0012】
まず請求項1記載の発明によれば、ホイールラックの降下可能な範囲を、床面至近位置としているから、車輌から取り外した車輪を床面上に降ろし置くことができる。この結果作業形態の多様化が図り得ると共に、空になったホイールドーリーが再度利用でき、必要なホイールドーリーの台数を減らすことができる。
もちろんホイールラックは、リフトアップ作業位置にまで上昇させることができるから、作業者にとって負担のない自然な作業姿勢での整備作業をも行い得る。加えて車輪を直接支承する一対のラックアームは、それぞれ内側に対向する面が傾斜面とされており、このため車輪を安定して支承できるほか、車輪が床面から僅かに浮き上がった状態でも支承することができる。
【0013】
また請求項2記載の発明によれば、ホイールドーリーの基台フレームにおける前後方向の開口部である作業アクセススペースが充分に確保でき、整備作業を円滑に行い得る。加えてホイールラックを左右で支承して昇降させるものあり、装置全体のバランスが良い。
【0014】
また請求項記載の発明によれば、ホイールラック上方には、タイヤガードが設けられており、このタイヤガードが作業時においてまずタイヤに接触することになるから、ホイールドーリーの一部が直接整備作業を受けている車輌に当接することなく、安全な作業が行い得る。またこのタイヤガードを利用して幅の狭いシングルタイヤ等を支承する際に、これをもたれ掛けさせることができ、安定した状態で扱うことができる。
【0015】
また請求項記載の発明によれば、ホイールドーリーの基台フレームには、シャフトホルダ部材を具え、且つドライブシャフトを立てた状態で保持するものであり、特に低位置作業で引き抜かれるドライブシャフトを整備作業中保管しておくにあたり、自然な移動収め作業が実現する。
【0016】
また請求項記載の発明によれば、ホイールラックの基部中央にユーティリティラックが設けられ、且つこれを利用して握り部が設けられているから、例えばホイールラック上で不安定になりがちな前輪(シングルホイール)を一方の手で押えつつ、ホイールドーリー中心を引き、その円滑な移動を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の車輌整備用低位置支承型のホイールドーリーの使用状態を示す説明図である。
図2】同上装置の側面図である。
図3】同上装置の主要部材を分解して示す側面図及び一部斜視図である。
図4】(a)は同上装置の平面図、(b)は同上装置の背面図である。
図5】同上装置の主要部材を分解して示す背面図であり、(a)は基台フレーム、(b)はホイールラック、(c)はラックアームを示す。
図6】本装置のホイールラックの一使用状態を示す、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図7】ホイールラックの昇降シフトを一本のシリンダで行う実施例の骨格的背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態は、以下述べる実施例をその一つとするものであると共に、この技術思想に基づく種々の改良した実施例も含むものである。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明たる車輌整備用低位置支承型のホイールドーリーCを図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
まずこのものの使用状態の概要を説明すると、ホイールドーリーCは、例えば図1に示すように、車輌整備工場に入庫した車輌Vの車輪周りの整備を行う場合に用いられるものであり、整備にあたって脱着される車輪Wを支承し、更には整備にあたって車軸まわりを整備する際に、取り外した車輪Wが作業の支承にならないようにこれを移動させるものである。
【0020】
この車輪Wについての一般的な整備に関して概説する。まず車輪Wは、例えば中、大型の貨物車にあってはその後輪については車輌VのデファレンシャルギヤやドライブシャフトD等の駆動部材を収めるハウジングHに対し、フルフローティング状態に支持されて、且つダブルタイヤであることが多い。このような後輪については、ダブルタイヤの状態のまま、ドライブシャフトDを中心から引き抜き、次いでダブルタイヤのままホイールドーリーCに支持させるものである。またドライブシャフトDは、整備性を考慮してホイールドーリーCに保持させた状態で作業が継続される。
なおこのような大型車の場合、前述のとおり車輪Wは、ハウジングHを含む車輪支承部材に対してフルフローティングされた状態である。即ち車輪Wは、直接にはベアリングを介してハウジングHの端部外周に回転自在に支持されて上下方向の荷重をハウジングHに支承させるものであり、一方ドライブシャフトDは、車輌Vの荷重を受けることなく、純粋に回転負荷のみを受けて車輪Wを駆動するものである。
【0021】
以下、本願発明のホイールドーリーCについて説明する。
このものは、大別すると基台フレーム1と、この基台フレーム1に対し昇降自在に取り付けられるホイールラック2と、このホイールドーリーCを移動自在にするための基台フレーム1の下方に設けられる転動輪装置3と、ホイールラック2を昇降させる昇降装置5とを主要部材とする。
【0022】
まずこの基台フレーム1について説明する。このものは、側面視でL字型を成すフレームであり、床面近くに水平配置される左右一対のベースフレーム10に対し、その後端部にポストフレーム11を直立させるように形成する。具体的には、ベースフレーム10の一部であって後方に張り出すように形成された後輪ブラケット10Aを補助ガゼットとして、ベースフレーム10とポストフレーム11とが一体的に組み合わされている。更に後輪ブラケット10Aの後端上方からポストフレーム11との間にも、側面視逆L字状の補強パイプ10Bが設けられる。
このポストフレーム11には、操作の便を考慮してハンドルパイプ12が、その後方側にポストフレーム11とほぼ平行するように配設されるものである。
このハンドルパイプ12は、後述する昇降装置5の駆動系部材を基台フレーム1に搭載する関係で左右対称ではない。一例としてホイールドーリーCの後方から視て左側は上方から後輪ブラケット10Aに至る形状であるが、右側のハンドルパイプ12は上方より途中まで降下した位置に形成されている。結果的に右側ハンドルパイプ12は、その下端と、前記補強パイプ10Bとの間に一定のスペースが確保され、ここに昇降装置5の駆動系部材が搭載される。
【0023】
なおホイールドーリーCの前後とは、車輪Wを支承する側を前方とし、基台フレーム1を介して作業者Mが位置する側を後方とする。
そして、これら左右一対のベースフレーム10、ポストフレーム11は、クロスメンバー13によって一体に枠状に組み立てられているものであって、クロスメンバー13は、上部クロスメンバー13A、下部クロスメンバー13Bを主たる部材とする。
このような構成の結果基台フレーム1は、前後方向から視て一対のポストフレーム11と、上下の各クロスメンバー13(13A、13B)とにより、縦長の矩形枠状に構成されるものであり、この枠内に大きく開放されたスペースを作業アクセススペースSとする。即ち、この作業アクセススペースSにおいて作業者Mは、ホイールドーリーCの後方から、前方に位置する車輪W周りの諸機材の点検等を行う。
【0024】
更に機台フレーム1におけるポストフレーム11の一方、一例として後方から視て左側には、シャフト保管ホルダ15を設ける。
このシャフト保管ホルダ15は、下方に配置されたホルダカップ15Aと、その上方に配置されたホルダフック15Bとにより構成され、整備にあたって取り外したドライブシャフトDを立て掛け状態に保管する。
またポストフレーム11と、ハンドルパイプ12または補強パイプ10Bとの間には、多孔板を張設するものであって、これをツールパネル16とする。従ってこのツールパネル16は、適宜のフックやバケット状の保管容器、載置棚等(これらを総称してユーティリティラック161とする)を掛止させ、ここに作業者Mが必要とする種々のツール等、例えばインパクトレンチ、ソケットレンチ、測定機器、グリースガン、油脂容器などを納めるようにしたものである。もちろんこのユーティリティラック161は、基台フレーム1に固定的に設けられていてもよい。
【0025】
次にこの基台フレーム1によって昇降自在に支承されるホイールラック2について説明する。このホイールラック2は、図2に示すように昇降枠20を具えるものであって、昇降枠20は、正面視乃至は背面視で、上方が開放された横コ字状の部材であり、具体的には左右一対の左右縦枠201により縦方向の強度メンバを構成し、これが下横枠202により結ばれて構成されている。
この昇降枠20には、上下一対の左右に配した計4基のガイド輪21を設けるものであり、このものが基台フレーム1のポストフレーム11内を転動し、上下方向の作動案内をしている。また前記下横枠202の上面には、ユーティリティラック161の一形態となるセンタートレイ161Aが固定される。このものは、車輪W周りの整備中に取り外されたボルトナット等を置いたり、工具を仮置きしたりするために用いられる。
このユーティリティラック161たるセンタートレイ161Aは、その後方の枠面板を幅方向中央で穴状に切り欠いて、握り部161Bを形成する。もちろん握り部の形態は、このような切欠穴状のものに限定されず、棒状材をコ字型に曲げてセンタートレイ161Aに固定した引き手状のもの等、種々の形態がとり得る。
そして、前記昇降枠20に対して車輪Wを直接支持する左右一対でフォーク状となるラックアーム25が取り付けられる。このラックアーム25は、車輪Wが直接載る断面三角形状のパイプ等で構成したものであって、左右一対となって互いに対向する内側をタイヤ外周の形状にほぼ添うように合わせた傾斜面25Aとしている。
【0026】
次に左右縦枠201に設けられるタイヤガード28について説明する。このタイヤガード28を設ける目的はまず第一に作業時においてホイールドーリーCが過剰に前進して、点検中の車輌Vのサイドパネル等を損傷させることがないようにするためである。このものの存在により、タイヤの側面にホイールドーリーCが必ず最初に当接するようにするものである。即ちタイヤガード28は、側面視で縦長コ字状に張り出す当接部281を設けるものであり、その上下にスライド部282を有する。このスライド部282が、左右縦枠201におけるガイドスリーブ203に嵌り込み、左右の接近幅を調整できるようにしているものであり、その外側に操作部283を有する。なおこのタイヤガード28の更に他の目的は、後述する車輪Wの取り外し時において、例えばシングルタイヤタイプの車輪Wの場合、ラックアーム25上で車輪Wが不安定となるおそれがあり、その際車輪Wをこのタイヤガード28にもたれ掛けさせるためである。
【0027】
次に前記ホイールドーリーCを移動自在とするための転動輪装置3について説明する。転動輪装置3は、前記基台フレーム1におけるベースフレーム10に取り付けられるものであり、固定輪とした前転動輪31と、いわゆる自在キャスターを適用した後転動輪32とを具える。なお後転動輪32を利用して、ホイールドーリーCが不用意な動きが生じないようにストッパペダル32Aを具えて後転動輪32にいわばブレーキをかけた状態で使用できるように構成している。
なお前転動輪31についても、自在キャスター状に構成したり、ストッパ(ブレーキ)機能を持たせた機構とすることももとより差し支えない。
【0028】
次に基台フレーム1に対して、ホイールラック2を昇降自在にシフトするための昇降装置5について説明する。この昇降装置5は、ジャッキ本体51の伸長によりチェーンの昇降シフトを行い、ホイールラック2を昇降させるものである。
まず基台フレーム1における各ポストフレーム11に添うように一対のジャッキ本体51が、ベースフレーム10の後方に立ち上げ状態に設けられるものであり、更に一対のポストフレーム11の後方中間高さ位置にポンプ52が配設される。このポンプ52は、ハンドレバー521の操作により、適宜作動油がジャッキ本体51に送られ、その伸長を行うものである。更にポンプ52には、リリースレバー522が設けられている。
このジャッキ本体51は、シリンダロッドである可動ロッド53の上端にスプロケット54を設けるものであり、ここにリンクチェーン55を捲回させる。具体的には、リンクチェーン55は、一方の端部をフレーム固定部551として基台フレーム1におけるポストフレーム11に取り付け、他端を可動長固定部552としてこのものをホイールラック2に固定している。このような構成の結果、可動ロッド53の昇降ストロークの倍のストロークでホイールラック2の昇降シフトがなされる。なおホイールラック2の昇降ストロークは、本発明の実機では、一例として約930mmとした。これは、作業者Mごとの身長差や、車輪Wごとの直径の差を考慮し、適切なラックアーム25の設定高さを得られるようにしたものである。基本的には作業者Mは、車輌Vがほぼリフトアップされている状態から、更には自然な立姿勢を保ったまま作業を行う場合に対応したものであって、前記ホイールラック2の下死点における床面高は、一例として支承アーム部251の下端縁で16mm、上死点の床面高は950mmとした。
【0029】
本発明のホイールドーリーCは、以上述べた構成を有するものであり、次のように用いられる。
まず整備される車輌Vは、車輪Wを床面から僅かに浮かせた状態とされるほか、適宜リフトLによって高い位置にリフトアップされる。このリフトアップは特に車輌Vの下回り等の点検が作業者Mにとって不自然な姿勢とならないような、いわば立ち姿勢で整備作業ができるようにするためである。従って点検自体は、車輪W周りの種々の点検のほか、エンジン周り等の点検、整備が複数の作業者Mによって同時に行われる場合がある。車輪Wに関連する作業としては、まず車輪Wを浮かせた車輌Vにおける車輪Wを支承するように本発明のホイールドーリーCを接近させる。
このときホイールドーリーCにおけるホイールラック2の高さは、浮き上がらせた車輪Wの高さに応じて設定される。本実施例では、ホイールラック2におけるラックアーム25の設定高さは、床面から16mm〜950mmまであり、実質的に整備時における車輪高さの全ての範囲、即ち床面至近位置からリフトアップ作業位置までの範囲に対応できる。
なおここでリフトアップ作業位置とは、特許請求の範囲にも記載しているが、車輌Vを充分リフトアップして作業する際の高い作業位置をいうものであり、具体的な数値で限定されるものではない。
次いで既に概略を述べたように車輪Wの端部に複数のボルトによって固定されているドライブシャフトDを取り外すため、適宜インパクトレンチ等によってそれらのネジが緩められる。この際、基台フレーム1には、ツールパネル16が設けられ、ここに適宜のユーティリティラック161を設置して作業に必要な工具を用意しておくことができるから、作業を効率的に行うことが可能となる。加えて、この作業にあたっても、基台フレーム1は、作業アクセススペースSが充分開いた状態であるから、作業者Mが車輪Wの正面から対面できるような位置が確保され、作業者Mに無理な作業姿勢を要求しない。
【0030】
なお、このようにしてドライブシャフトDの固定ボルト等を外したのち、ドライブシャフトDをハウジングHから引き抜く。この取り外されたドライブシャフトDは、基台フレーム1に設けられたシャフト保管ホルダ15内に収められる。
具体的には、下方のホルダカップ15AにドライブシャフトDの一端を差し入れ、その上方においてホルダフック15Bにもたれ掛けさせるようにして立った状態でドライブシャフトDが保管される。
またこのとき取り外されたボルトナット等の小物部品は、下横枠202上に設けられたトレー状のセンタートレイ161Aに置いておくことが好ましい。
【0031】
このような状態で、車輪WをハウジングHから引き抜くものであり、このときポストフレーム11に支持されているホイールラック2は、そのラックアーム25の高さが昇降装置5の操作を受けて、支承アーム部251が車輪Wの下方を支持するような位置に設定される。即ちホイールラック2の高さ設定は、前記昇降装置5を作動させることにより、可動ロッド53に取り付けられたスプロケット54に捲回するリンクチェーン55が作動してホイールラック2の昇降を行うことによってなされる。
このとき本実施例では、左右一対のジャッキ本体51により、ホイールラック2の昇降をバランスよく行うことができる。
【0032】
このようにして、ホイールラック2上に車輪Wを支持した状態で適宜の引き抜き工具を用いて、ハウジングHから車輪Wを引き抜く。このときの状態は、車輪Wについてはフルフローティング構造に因み、通常ダブルタイヤを採用することが多い大型トラックにあっては、ブレーキドラムに対し、ダブルタイヤの両輪が固定された状態で取り外しがなされる。一方、ハウジングH側には、前記ブレーキドラム内おいて制動作用を行うブレーキシューの関連部材が残るような状態となる。このような状態で車輪Wを車輌Vから取り外し、ホイールドーリーCに載せた後には、車輪Wを車軸関連の部材や、緩衝装置等の点検作業に支障のない位置に移動させ、以後の作業のため良好な環境を現出させる。
特に本発明にあっては、ホイールラック2の設定高さを床面至近位置まで降下させることができるから、たとえリフトアップした車輌Vを扱う際のリフトアップ作業位置で車輪Wをホイールラック2に受け取ったとしても、この車輪Wを床面まで降ろし置くことができる。この結果、空いたホイールドーリーCで再び残余の車輪の取り外し作業にあたることができる。
なおホイールドーリーCの移動を行うにあたっては、基台フレーム1のベースフレーム10に取り付けられた転動輪装置3が作用して適宜の位置に自在に搬送させることが可能である。
【0033】
なお車輪Wの取り付けにあたっては、取り外し状態とほぼ逆の操作によってハウジングHに対して車輪Wを取り付ける。またこれらの作業にあたって、タイヤガード28が前方に突出した状態に配置されており、車輪Wの下にラックアーム25の支承アーム部251を挿入した場合であっても、まずタイヤガード28がタイヤ側面に当接する状態となる。この結果車体に対して直接ホイールドーリーCが当接して車体側面を損傷させることがない。またこのタイヤガード28を利用して、安定の悪いシングルタイヤの車輪Wを整備対象とした場合、この車輪Wをタイヤガード28にもたれ掛けさせるように用いる。
特にシングルタイヤの車輪Wを取り外す際に、ラックアーム25上の不安定な車輪Wを片手で支えながらホイールドーリーCを車輌Vから離れるように移動させる場合、図6に示すようにホイールラック2に固定したセンタトレイ161Aにおける握り部161Bを他の一方の手で掴み、ホイールドーリーCを移動させることができる。この際、握り部161Bは中央に設けられており、ホイールドーリーCが向きを曲げて移動するような事態は生じない。
【0034】
なおこのようにホイールドーリーCは、受け取った車輪Wを床面に降ろすことができるから例えば整備工場の規模に応じて何基か、例えば一台の車輌V当たり最低限2基ほど用意しておけば、その作業性を充分向上させることができる。
【0035】
[他の実施の形態]
本発明は以上述べた実施の形態を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず昇降装置5については、ジャッキタイプのものを用いたが、電動モータによる昇降シフトシリンダ、あるいはエア作動のエアシリンダーでも適宜用いることができる。
また先に説明した実施例では、ポンプ52の操作は手動であったが、これを圧搾空気を利用したポンプ動作としてもよい。この場合整備工場に設けられているエア配管から圧搾空気をホイールドーリーCに導き、ポンプ動作を行わせるほか、更に接続ソケットを分岐させ、エアインパクトレンチ等の作動を行わせることもできる。
【0036】
更に昇降装置5におけるシリンダタイプのジャッキ本体51については、これを一本のみでホイールラック2のシフトを行わせることも可能である。即ち図7に骨格的に原理を示すように、適宜強度のケーブルないしはチェーン550を用い、その両端をフレーム固定部551に固定すると共に、基台フレーム1上方に左右一対のターンプリP1、P2を配してここを捲回させ、下方の左右のループにホイールラック2に設けた遊動プーリP3、P4を吊持させる。そして更に一方の側部に縦配置したジャッキ本体51のシフトプーリP5が、ケーブルないしはチェーン550を押し上げられるように配し、このシフトプーリP5の上昇がなされると、それに応じたストロークで遊動プーリP3、P4が上昇し、ホイールラック2の上昇シフトがなされる。
【符号の説明】
【0037】
C ホイールドーリー
D ドライブシャフト
H ハウジング
L リフト
S 作業アクセススペース
P1 ターンプーリ
P2 ターンプーリ
P3 遊動プーリ
P4 遊動プーリ
P5 シフトプーリ

V 車輌
W 車輪
M 作業者

1 基台フレーム
2 ホイールラック
3 転動輪装置
5 昇降装置

1 基台フレーム
10 ベースフレーム
10A 後輪ブラケット
10B 補強パイプ
11 ポストフレーム
12 ハンドルパイプ
13 クロスメンバー
13A 上部クロスメンバー
13B 下部クロスメンバー

15 シャフト保管ホルダ
15A ホルダカップ
15B ホルダフック

16 ツールパネル
161 ユーティリティラック
161A センタートレイ
161B 握り部

2 ホイールラック
20 昇降枠
201 左右縦枠
202 下横枠
203 ガイドスリーブ
21 ガイド輪
25 ラックアーム
25A 傾斜面

28 タイヤガード
281 当接部
282 スライド部
283 操作部

3 転動輪装置
31 前転動輪
32 後転動輪
32A ストッパペダル

5 昇降装置
51 ジャッキ本体
52 ポンプ
521 ハンドレバー
522 リリースレバー
53 可動ロッド
54 スプロケット
55 リンクチェーン
550 チェーン(またはケーブル)
551 フレーム固定部
552 可動長固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7