特許第6108736号(P6108736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108736
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20170327BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170327BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20170327BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20170327BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20170327BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   H02J7/35 K
   H02J7/00 P
   H02J7/34 J
   H02J9/06 120
   H02J3/38 110
   H02J3/38 130
   H02J3/32
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-206718(P2012-206718)
(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-64350(P2014-64350A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−186938(JP,A)
【文献】 特開2012−170259(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3171974(JP,U)
【文献】 特開2006−158084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00−7/12
7/34−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を受けて発電可能な太陽光発電部と、
商用電源及び前記太陽光発電部に接続され、負荷へと電力を分配する分電盤と、
前記分電盤と接続され、当該分電盤と電力のやり取りが可能な第一蓄電装置と、
前記分電盤と接続、及び当該接続の解除が可能な第二蓄電装置と、
を具備し、
前記第二蓄電装置が前記分電盤と接続され、当該第二蓄電装置から前記分電盤へと電力を供給可能とされた場合、前記分電盤が前記商用電源及び前記太陽光発電部から切り離されると共に、前記太陽光発電部からの電力を全て前記商用電源へと逆潮流させ、
前記第二蓄電装置は走行体に備えられ、
前記第二蓄電装置から前記分電盤へと電力を供給可能とされた場合、
前記第一蓄電装置は、
前記負荷での消費電力が前記第二蓄電装置から供給可能な電力を超えた場合に、当該超えた分の電力を前記負荷へと供給する負荷追従運転を行い、
前記負荷での消費電力が前記第一蓄電装置及び前記第二蓄電装置から供給可能な電力を超えた場合、前記分電盤が前記商用電源及び前記太陽光発電部と再び接続されることを特徴とする、
電力供給システム。
【請求項2】
前記商用電源が停電した場合、
前記太陽光発電部からの電力を前記第一蓄電装置に充電することを特徴とする、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記商用電源が停電し、かつ、前記第二蓄電装置から前記分電盤への電力供給が不可能となった場合、
前記第一蓄電装置からの電力を前記負荷へと供給することを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記商用電源が停電した状態において前記第一蓄電装置からの電力を前記負荷へと供給する場合、
前記第一蓄電装置からの電力は、前記負荷のうち一部の負荷へのみ供給されることを特徴とする、
請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記商用電源が停電し、かつ、前記第二蓄電装置から前記分電盤への電力供給が不可能となった場合において、
前記第一蓄電装置からの電力を前記負荷へと供給する場合、
前記分電盤が前記商用電源、前記太陽光発電部及び前記第二蓄電装置から切り離されることを特徴とする、
請求項3又は請求項4に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等に備えられる電力供給システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等に備えられた電力供給システムから電気自動車やプラグインハイブリッド車へと電力を供給し、当該電気自動車等が有する比較的大型な蓄電装置(蓄電池)を充電する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
また、住宅等に備えられる電力供給システムには、太陽光発電部及び蓄電装置を備え、当該太陽光発電部及び商用電源からの電力を当該蓄電装置に充電可能とし、これらからの電力を適宜負荷へと供給可能とするものがある。例えば、特許文献2に記載の如くである。
【0004】
一方、特許文献2に記載されたような電力供給システムに、特許文献1に記載されたような電気自動車等が有する比較的大型な蓄電装置を接続可能とし、当該電気自動車等の蓄電装置からの電力も電力供給システムにて利用可能とすることで、さらに利便性の高い電力供給システムを構成することが可能であると考えられる。
【0005】
しかしながら、上述の如き利便性の高い電力供給システムを構成しようとする場合、各機器間での電力のやり取りが複雑になり、当該電力の供給態様の決定が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−39832号公報
【特許文献2】特開2012−130149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、適切な電力の供給態様を取り入れた、利便性の高い電力供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、太陽光を受けて発電可能な太陽光発電部と、商用電源及び前記太陽光発電部に接続され、負荷へと電力を分配する分電盤と、前記分電盤と接続され、当該分電盤と電力のやり取りが可能な第一蓄電装置と、前記分電盤と接続、及び当該接続の解除が可能な第二蓄電装置と、を具備し、前記第二蓄電装置が前記分電盤と接続され、当該第二蓄電装置から前記分電盤へと電力を供給可能とされた場合、前記分電盤が前記商用電源及び前記太陽光発電部から切り離されると共に、前記太陽光発電部からの電力を全て前記商用電源へと逆潮流させ、前記第二蓄電装置は走行体に備えられ、前記第二蓄電装置から前記分電盤へと電力を供給可能とされた場合、前記第一蓄電装置は、前記負荷での消費電力が前記第二蓄電装置から供給可能な電力を超えた場合に、当該超えた分の電力を前記負荷へと供給する負荷追従運転を行い、前記負荷での消費電力が前記第一蓄電装置及び前記第二蓄電装置から供給可能な電力を超えた場合、前記分電盤が前記商用電源及び前記太陽光発電部と再び接続されるものである。
【0010】
請求項2においては、前記商用電源が停電した場合、前記太陽光発電部からの電力を前記第一蓄電装置に充電するものである。
【0011】
請求項3においては、前記商用電源が停電し、かつ、前記第二蓄電装置から前記分電盤への電力供給が不可能となった場合、前記第一蓄電装置からの電力を前記負荷へと供給するものである。
【0012】
請求項4においては、前記商用電源が停電した状態において前記第一蓄電装置からの電力を前記負荷へと供給する場合、前記第一蓄電装置からの電力は、前記負荷のうち一部の負荷へのみ供給されるものである。
【0013】
請求項5においては、前記商用電源が停電し、かつ、前記第二蓄電装置から前記分電盤への電力供給が不可能となった場合において、前記第一蓄電装置からの電力を前記負荷へと供給する場合、前記分電盤が前記商用電源、前記太陽光発電部及び前記第二蓄電装置から切り離されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
本発明は、商用電源及び太陽光発電部からの電力の代わりに第二蓄電装置からの電力を適宜分電盤へと供給しながら、太陽光発電部からの電力を売る(売電する)ことができる。このように、第二蓄電装置に充電された電力を有効に利用して、利便性の高い電力供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る電力供給システムの構成を示したブロック図。
図2】電力供給システムの第一供給態様を示したブロック図。
図3】電力供給システムの第二供給態様を示したブロック図。
図4】同じく第二供給態様において、負荷追従運転の様子を示したブロック図。
図5】電力供給システムの第三供給態様を示したブロック図。
図6】電力供給システムの第四供給態様を示したブロック図。
図7】同じく第四供給態様において、車載型蓄電装置が接続されていない場合を示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図1を用いて、本発明の実施の一形態に係る電力供給システム1の構成について説明する。
【0022】
電力供給システム1は、住宅に設けられ、商用電源200からの電力及び太陽光を利用して発電された電力を負荷へと適宜供給するものである。電力供給システム1は、主として太陽光発電部10、第一パワーコンディショナ20、車載型蓄電装置30、第二パワーコンディショナ40、第一スイッチ部50、分電盤60、定置型蓄電装置80、第三パワーコンディショナ90、第二スイッチ部100、一般負荷110及び特定負荷120を具備する。
【0023】
太陽光発電部10は、太陽光を利用して発電する装置であり、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部10は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
【0024】
第一パワーコンディショナ20は、電力を適宜変換するものである。具体的には、第一パワーコンディショナ20は太陽光発電部10に接続され、当該太陽光発電部10において発電された直流電力を交流電力に変換して出力する。
第一パワーコンディショナ20には、停電時(商用電源200からの電力が供給不能な場合)における「自立運転モード」のONとOFFとを切り替えるための運転切換スイッチ(不図示)が設けられる。
また、第一パワーコンディショナ20には、停電時(非常時)において「自立運転モード」がONに切り替えられた場合に、太陽光発電部10からの電力を取り出すための非常用コンセント(不図示)が設けられる。当該非常用コンセントは、後述する第三パワーコンディショナ90と接続される。
【0025】
車載型蓄電装置30は、本発明に係る第二蓄電装置の一実施形態である。車載型蓄電装置30は、リチウムイオン電池等により構成されると共に走行体である電気自動車(EV : Electric Vehicle)に搭載され、当該電気自動車が走行するための電力を供給する、比較的大型(大容量)の蓄電装置である。車載型蓄電装置30は、電力を充電することができると共に、当該充電された電力を放電することができる。
【0026】
第二パワーコンディショナ40は、電力を適宜変換するものである。具体的には、第二パワーコンディショナ40は車載型蓄電装置30に接続可能とされ、当該車載型蓄電装置30からの直流電力を交流電力に変換して出力する。
【0027】
第一スイッチ部50は、電力の流通経路を切り替えるものである。第一スイッチ部50は、遮断器51、遮断器52及び切替スイッチ53を具備する。
【0028】
切替スイッチ53は、商用電源200、第一パワーコンディショナ20、第二パワーコンディショナ40及び後述する分電盤60にそれぞれ接続され、これらの間での電力の流通経路を切り替えることができる。また、第一パワーコンディショナ20と切替スイッチ53との間には遮断器51が、第二パワーコンディショナ40と切替スイッチ53との間には遮断器52が、それぞれ配置される。
【0029】
分電盤60は、供給される電力を後述する一般負荷110・110・・・及び第二スイッチ部100へと分配するものである。分電盤60は、第一スイッチ部50、後述する第三パワーコンディショナ90及び後述する第二スイッチ部100にそれぞれ接続される。また、分電盤60は、後述する一般負荷110・110・・・にそれぞれ接続され、当該一般負荷110・110・・・の要求に応じて電力を分配することができる。
【0030】
また、分電盤60は、遮断器61及び遮断器62を具備する。遮断器61は第一スイッチ部50との接続側端に、遮断器62は第三パワーコンディショナ90との接続側端に、それぞれ介設される。
【0031】
定置型蓄電装置80は、本発明に係る第一蓄電装置の一実施形態である。定置型蓄電装置80は、リチウムイオン電池等により構成され、前記住宅に設置される蓄電装置である。定置型蓄電装置80は、電力を充電することができると共に、当該充電された電力を放電することができる。
【0032】
第三パワーコンディショナ90は、電力を適宜変換するものである。具体的には、第三パワーコンディショナ90は定置型蓄電装置80に接続され、当該定置型蓄電装置80からの直流電力を交流電力に変換して出力する。また、第三パワーコンディショナ90は第一パワーコンディショナ20及び分電盤60に接続され、当該第一パワーコンディショナ20及び分電盤60からの交流電力を後述する第二スイッチ部100に出力したり、当該交流電力を直流電力に変換して定置型蓄電装置80へと供給したりすることができる。
【0033】
第二スイッチ部100は、電力の流通経路を切り替えるものである。第二スイッチ部100は、切替スイッチ101を具備する。
【0034】
切替スイッチ101は、分電盤60、第三パワーコンディショナ90及び後述する特定負荷120にそれぞれ接続され、これらの間での電力の流通経路を切り替えることができる。
【0035】
一般負荷110・110・・・は、本発明に係る負荷の一実施形態である。一般負荷110・110・・・は、前記住宅において電力が消費される電化製品等が接続される回路であり、特に、停電時(非常時)に電力を供給する必要性が低いものである。例えば、住宅の場合、リビング以外の部屋に設けられるコンセント等に電力を供給する回路を一般負荷110として選定することができる。一般負荷110・110・・・は、例えば部屋ごとや、大きな電力を消費する機器専用のコンセントごとに設けられる。一般負荷110・110・・・は、それぞれ分電盤60に接続される。
【0036】
特定負荷120は、本発明に係る負荷の一実施形態である。特定負荷120は、前記住宅において電力が消費される電化製品等が接続される回路であり、特に、停電時(非常時)に電力を供給する必要性が高いものである。例えば、住宅の場合、リビングに設けられるコンセントや照明、冷蔵庫等に電力を供給する回路を特定負荷120として選定することができる。特定負荷120は、第二スイッチ部100(切替スイッチ101)に接続される。
【0037】
以下では、上述の如く構成された電力供給システム1における電力の供給態様について説明する。
【0038】
なお、以下の説明における第一スイッチ部50及び第二スイッチ部100の切り替え操作、並びに、第一パワーコンディショナ20、第二パワーコンディショナ40及び第三パワーコンディショナ90による電力の変換や流通方向の変更は、図示しないホームサーバ等の制御手段により制御される構成とすることや、各スイッチ部や各パワーコンディショナが有する制御部によりそれぞれ制御される構成とすることが可能であり、本発明はこれを限定するものではない。
【0039】
まず、図2を用いて、商用電源200からの電力が問題なく供給可能(すなわち、停電していない状態)であり、かつ、車載型蓄電装置30が第二パワーコンディショナ40に接続されていない場合(例えば、住宅の居住者が電気自動車(EV)に乗って外出している場合等)における電力の供給態様(以下、この電力の供給態様を、単に「第一供給態様」と記す)について説明する。
【0040】
第一供給態様においては、第一スイッチ部50の切替スイッチ53は、太陽光発電部10(第一パワーコンディショナ20)及び商用電源200からの電力を分電盤60へと供給可能となるように切り替えられている。また、第二スイッチ部100の切替スイッチ101は、第三パワーコンディショナ90からの電力を特定負荷120へと供給可能となるように切り替えられている。
【0041】
通常、すなわち商用電源200からの電力が問題なく供給可能な場合、第一パワーコンディショナ20の運転切換スイッチは居住者によってOFFに切り替えられている。この場合、第一パワーコンディショナ20の自立運転モードはOFFとされ、当該第一パワーコンディショナ20から第三パワーコンディショナ90への電力の取り出しはできない。
【0042】
この状態においては、太陽光発電部10において発電された直流電力は、第一パワーコンディショナ20において交流電力に変換され、遮断器51を介して切替スイッチ53へと供給される。また、商用電源200からの交流電力も切替スイッチ53へと供給される。太陽光発電部10及び商用電源200からの電力は、切替スイッチ53を介して分電盤60へと供給される。
【0043】
また、定置型蓄電装置80に充電されている電力も、第三パワーコンディショナ90において交流電力に変換され、分電盤60へと供給される。
【0044】
太陽光発電部10及び商用電源200から分電盤60に供給された電力は、遮断器61を介して一般負荷110・110・・・に供給可能とされる。また、定置型蓄電装置80から分電盤60に供給された電力は、遮断器62を介して一般負荷110・110・・・に供給可能とされる。すなわち、居住者は、太陽光発電部10及び商用電源200、並びに定置型蓄電装置80からの電力によって、リビング以外の各部屋の機器を使用することができる。
【0045】
また、太陽光発電部10及び商用電源200から分電盤60に供給された電力は、第三パワーコンディショナ90において直流電力に変換され、適宜の時間帯に定置型蓄電装置80に充電される。当該充電する時間帯は予め任意に設定することができ、前記制御手段等によって第三パワーコンディショナ90の運転を制御することで当該設定された時間帯に定置型蓄電装置80を充電することができる。例えば深夜に充電するように設定すれば、料金の安い深夜電力を定置型蓄電装置80に充電することができる。また、昼間の太陽光が十分に照射される時間帯に太陽光発電部10からの電力を充電するように設定すれば、当該太陽光発電部10において自然エネルギー(太陽光)を利用して発電された電力を定置型蓄電装置80に充電することができる。
【0046】
さらに、太陽光発電部10及び商用電源200から分電盤60に供給された電力、並びに定置型蓄電装置80に充電された電力を、第二スイッチ部100を介して特定負荷120に供給することが可能である。
【0047】
太陽光発電部10及び商用電源200から分電盤60に供給された電力は、遮断器62及び第三パワーコンディショナ90を介して切替スイッチ101へと供給される。また、定置型蓄電装置80からの直流電力も、第三パワーコンディショナ90において交流電力に変換され、切替スイッチ101へと供給される。
【0048】
当該第三パワーコンディショナ90からの電力は、切替スイッチ101を介して特定負荷120へと供給される。居住者は、第三パワーコンディショナ90からの電力によって、リビングのコンセントに接続された機器や照明、冷蔵庫等を使用することができる。
【0049】
また、一般負荷110・110・・・及び特定負荷120で消費する電力が、太陽光発電部10からの電力だけで十分まかなえる場合は、商用電源200からの電力を用いないようにすることも可能である。これによって、電力料金を節約することができる。
【0050】
さらに、太陽光発電部10からの電力が余る場合、当該余った電力(余剰電力)を商用電源200へと逆潮流させ、電力会社に売却(売電)することができる。
【0051】
次に、図3及び図4を用いて、商用電源200からの電力が問題なく供給可能(すなわち、停電していない状態)であり、かつ、車載型蓄電装置30が第二パワーコンディショナ40に接続されている場合における電力の供給態様(以下、この電力の供給態様を、単に「第二供給態様」と記す)について説明する。
【0052】
図3に示すように、第二供給態様においては、例えば、電気自動車(EV)が住宅に設けられたコンセントに接続される等して、車載型蓄電装置30が第二パワーコンディショナ40に接続される。この第二供給態様においては、第一スイッチ部50の切替スイッチ53は、第二パワーコンディショナ40からの電力を分電盤60へと供給可能となるように切り替えられている。また、第二スイッチ部100の切替スイッチ101は、第三パワーコンディショナ90からの電力を特定負荷120へと供給可能となるように切り替えられている。
【0053】
この状態においては、車載型蓄電装置30に充電されている電力は、第二パワーコンディショナ40において交流電力に変換され、遮断器52及び切替スイッチ53を介して分電盤60へと供給される。
【0054】
車載型蓄電装置30から分電盤60に供給された電力は、遮断器61を介して一般負荷110・110・・・に供給可能とされる。すなわち、居住者は、車載型蓄電装置30からの電力によって、リビング以外の各部屋の機器を使用することができる。
【0055】
このように、車載型蓄電装置30は、商用電源200に代わって一般負荷110・110・・・へ多くの電力を供給することになる。
【0056】
さらに、車載型蓄電装置30から分電盤60に供給された電力を、前記第一供給態様(図1参照)と同様に、第三パワーコンディショナ90及び第二スイッチ部100を介して特定負荷120に供給することが可能である。
【0057】
一方、図3に示すように、車載型蓄電装置30が第二パワーコンディショナ40に接続された場合、第一スイッチ部50の切替スイッチ53は太陽光発電部10(第一パワーコンディショナ20)及び商用電源200からの電力を分電盤60へと供給不能となるように切り替えられている。
【0058】
この場合、太陽光発電部10において発電された直流電力は、第一パワーコンディショナ20において交流電力に変換され、遮断器51を介して商用電源200へと逆潮流される。当該電力は全て電力会社へと売却(売電)される。
【0059】
また、図4に示すように、一般負荷110・110・・・及び特定負荷120で消費される電力(消費電力)が車載型蓄電装置30から供給可能な電力(最大出力)を超えた場合には、当該超えた分(不足分)の電力が定置型蓄電装置80から一般負荷110・110・・・へと供給される。
【0060】
より詳細には、定置型蓄電装置80に充電されている電力も、第三パワーコンディショナ90において交流電力に変換され、分電盤60及び第二スイッチ部100へと供給される。このようにして、車載型蓄電装置30からの電力に加えて、定置型蓄電装置80からの電力も、一般負荷110・110・・・及び特定負荷120に供給可能とされる。
【0061】
このように、一般負荷110・110・・・及び特定負荷120で消費される電力に応じて定置型蓄電装置80から当該一般負荷110・110・・・へと供給される電力量を調節する運転(いわゆる、負荷追従運転)は、第三パワーコンディショナ90によって制御される。
【0062】
定置型蓄電装置80が負荷追従運転を行うことによって、一般負荷110・110・・・及び特定負荷120の消費電力が車載型蓄電装置30から供給可能な電力(最大出力)を超えた場合であっても、切替スイッチ53を切り替えて商用電源200からの電力を使用する必要がない。
【0063】
なお、一般負荷110・110・・・及び特定負荷120の消費電力が、車載型蓄電装置30及び定置型蓄電装置80から供給可能な電力(最大出力)を超えた場合には、第一スイッチ部50の切替スイッチ53が太陽光発電部10(第一パワーコンディショナ20)及び商用電源200からの電力を分電盤60へと供給可能となるように切り替えられる(前述の図2に示した状態と同様)。これによって、一般負荷110・110・・・及び特定負荷120が必要とする電力を、当該商用電源200及び太陽光発電部10から確実に供給することができる。
【0064】
次に、図5を用いて、停電時(商用電源200からの電力が供給不能な場合)であり、かつ、車載型蓄電装置30が第二パワーコンディショナ40に接続されている場合における電力の供給態様(以下、この電力の供給態様を、単に「第三供給態様」と記す)について説明する。
【0065】
第三供給態様においては、第二供給態様(図3及び図4参照)と同様に、第一スイッチ部50の切替スイッチ53は、第二パワーコンディショナ40からの電力を分電盤60へと供給可能となるように切り替えられている。また、第二スイッチ部100の切替スイッチ101は、第三パワーコンディショナ90からの電力を特定負荷120へと供給可能となるように切り替えられている。
【0066】
停電時(非常時)においては、電力会社の電力復旧作業を妨げないように、原則として、商用電源200から第一スイッチ部50への電力系統及び第一パワーコンディショナ20から第一スイッチ部50への電力系統に電力が流されることがない。
【0067】
この停電時(非常時)においては、居住者は、第一パワーコンディショナ20の運転切換スイッチをONに切り替える。これによって、第一パワーコンディショナ20の自立運転モードがONとされ、当該第一パワーコンディショナ20から第三パワーコンディショナ90への電力の取り出しが可能となる。
【0068】
なお、当該運転切換スイッチは、第一パワーコンディショナ20が停電を検出し、当該第一パワーコンディショナ20によって自動的にONに切り替えられるように構成することも可能である。
【0069】
この状態においては、太陽光発電部10において発電された電力は、第一パワーコンディショナ20を介して第三パワーコンディショナ90へと供給される。当該電力は、第三パワーコンディショナ90を介して定置型蓄電装置80に充電される。
【0070】
また、車載型蓄電装置30に充電されている電力は、第二供給態様(図3及び図4参照)と同様に、一般負荷110・110・・・及び特定負荷120へと供給可能とされる。
【0071】
次に、図6を用いて、停電時(商用電源200からの電力が供給不能な場合)であり、かつ、車載型蓄電装置30に充電されていた電力が空になった場合における電力の供給態様(以下、この電力の供給態様を、単に「第四供給態様」と記す)について説明する。
【0072】
第四供給態様においては、第一スイッチ部50の切替スイッチ53は、太陽光発電部10(第一パワーコンディショナ20)、商用電源200、及び第二パワーコンディショナ40それぞれからの電力が分電盤60へ供給不能となるように切り替えられている。また、第二スイッチ部100の切替スイッチ101は、第三パワーコンディショナ90からの電力を特定負荷120へと供給可能となるように切り替えられている。
【0073】
この状態においては、定置型蓄電装置80に充電されている電力が、第三パワーコンディショナ90において交流電力に変換され、第二スイッチ部100を介して特定負荷120へと供給される。これによって、停電時に車載型蓄電装置30の充電が空になっても、停電時(非常時)に電力を供給する必要性が高い特定負荷120には電力を供給することができる。
【0074】
また、他の電力の供給態様(第一供給態様から第三供給態様(図2から図5までを参照))においては、定置型蓄電装置80に充電された電力が商用電源200や車載型蓄電装置30に流れてしまうのを防止するために、当該定置型蓄電装置80から出力される電力の電圧は第三パワーコンディショナ90によって(例えば、100Vに)抑制されている。
【0075】
しかし、第四供給態様(図6参照)においては、定置型蓄電装置80と商用電源200及び車載型蓄電装置30とは切替スイッチ53によって切り離されているため、当該定置型蓄電装置80に充電された電力が商用電源200や車載型蓄電装置30に流れるおそれがない。このため、第四供給態様においては、定置型蓄電装置80から出力される電力の電圧を、第三パワーコンディショナ90によって高く(例えば、200Vに)設定することができる。
【0076】
なお、第四供給態様において、定置型蓄電装置80からの電力を特定負荷120だけでなく一般負荷110・110・・・にも供給可能とすることも可能である。
【0077】
また、第四供給態様(図6参照)は、停電時(商用電源200からの電力が供給不能な場合)であり、かつ、車載型蓄電装置30に充電されていた電力が空になった場合における電力の供給態様であるものとしたが、停電時であり、かつ、車載型蓄電装置30が第二パワーコンディショナ40に接続されていない場合(図7参照)にも同様に電力を供給することが可能である。
【0078】
上述の如く、電力供給システム1の第一供給態様(図2参照)においては、商用電源200及び太陽光発電部10からの電力を適宜一般負荷110・110・・・及び特定負荷120に供給すると共に、定置型蓄電装置80に充電することができる。また、余剰電力が発生する場合には、当該余剰電力を商用電源200へと逆潮流させ、売電することができる。
【0079】
車載型蓄電装置30が第二パワーコンディショナ40に接続されると(第二供給態様(図3及び図4)参照)、商用電源200及び太陽光発電部10からの電力に代わって、当該車載型蓄電装置30からの電力を一般負荷110・110・・・及び特定負荷120に供給することができる。これによって、太陽光発電部10からの電力を全て商用電源200に逆潮流(売電)することができる。
【0080】
また、この状態で停電が発生しても(第三供給態様(図5)参照)、当該車載型蓄電装置30からの電力は問題なく一般負荷110・110・・・及び特定負荷120に供給することができる。一方、この場合、太陽光発電部10からの電力は定置型蓄電装置80に充電される。このように、停電時に逆潮流(売電)することができない太陽光発電部10からの電力を定置型蓄電装置80に充電することで、当該電力を後に有効に利用することが可能となる。
【0081】
さらに、この状態で車載型蓄電装置30に充電された電力が空になった場合(第四供給態様(図6)参照)、定置型蓄電装置80からの電力が特定負荷120に供給される。これによって、車載型蓄電装置30の充電が空になった場合に、前述の第三供給態様(図5参照)において定置型蓄電装置80に充電された電力を用いて特定負荷120を使用することができる。このように、本実施形態に係る電力供給システム1においては、停電が発生した場合であっても、第三供給態様及び第四供給態様に亘って特定負荷120を継続して長時間使用することが可能となる。
【0082】
以上の如く、本実施形態に係る電力供給システム1は、
太陽光を受けて発電可能な太陽光発電部10と、
商用電源200及び太陽光発電部10に接続され、負荷(一般負荷110・110・・・及び特定負荷120)へと電力を分配する分電盤60と、
分電盤60と接続され、当該分電盤60と電力のやり取りが可能な定置型蓄電装置80(第一蓄電装置)と、
分電盤60と接続可能な車載型蓄電装置30(第二蓄電装置)と、
を具備し、
車載型蓄電装置30が分電盤60と接続され、当該車載型蓄電装置30から分電盤60へと電力を供給可能とされた場合、分電盤60が商用電源200及び太陽光発電部10から切り離されると共に、太陽光発電部10からの電力を全て商用電源200へと逆潮流させるものである(第二供給態様(図3)参照)。
このように構成することにより、商用電源200及び太陽光発電部10からの電力の代わりに車載型蓄電装置30からの電力を適宜分電盤60へと供給しながら、太陽光発電部10からの電力を売る(売電する)ことができる。このように、車載型蓄電装置30に充電された電力を有効に利用して、利便性の高い電力供給システム1を提供することができる。
【0083】
また、車載型蓄電装置30は走行体に備えられ、
車載型蓄電装置30から分電盤60へと電力を供給可能とされた場合、
定置型蓄電装置80は、
前記負荷での消費電力が車載型蓄電装置30から供給可能な電力を超えた場合に、当該超えた分の電力を前記負荷へと供給する負荷追従運転を行うものである(第二供給態様(図4)参照)。
このように構成することにより、負荷での消費電力が車載型蓄電装置30から供給可能な電力を超えた場合であっても、極力商用電源200及び太陽光発電部10からの電力を使用しないようにすることができる。これによって、定置型蓄電装置80及び車載型蓄電装置30に充電された電力を有効に利用して、太陽光発電部10からの電力を継続して売る(売電する)ことができ、利便性の高い電力供給システム1を提供することができる。
【0084】
また、電力供給システム1は、
商用電源200が停電した場合、
太陽光発電部10からの電力を定置型蓄電装置80に充電するものである(第三供給態様(図5)参照)。
このように構成することにより、停電時において太陽光発電部10で発電された電力を有効に利用することができ、利便性の高い電力供給システム1を提供することができる。
【0085】
また、電力供給システム1は、
商用電源200が停電し、かつ、車載型蓄電装置30から分電盤60への電力供給が不可能となった場合、
定置型蓄電装置80からの電力を負荷(本実施形態においては、特定負荷120)へと供給するものである(第四供給態様(図6及び図7)参照)。
このように構成することにより、車載型蓄電装置30からの電力供給がなくなった場合であっても、特定負荷120に電力を供給することができる。これによって、特定負荷120を継続して使用することができ、利便性の高い電力供給システム1を提供することができる。
【0086】
また、電力供給システム1は、
定置型蓄電装置80からの電力を負荷(本実施形態においては、特定負荷120)へと供給する場合、
分電盤60が商用電源200、太陽光発電部10及び車載型蓄電装置30から切り離されるものである(第四供給態様(図6及び図7)参照)。
このように構成することにより、定置型蓄電装置80からの電力が商用電源200及び車載型蓄電装置30に流れるのを防止することができ、当該定置型蓄電装置80から出力される電力の電圧を高く設定することができる。
【0087】
なお、上記実施形態においては、電力供給システム1は住宅に設けられるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、その他(例えば、工場等)の種々の建築物に適用することが可能である。
また、上記実施形態においては、車載型蓄電装置30が搭載される走行体の一例として電気自動車(EV)を例示したが、本発明に係る走行体はこれに限るものではない。すなわち、走行体としては各種の車両を適用することが可能であり、例えばプラグインハイブリッド車やその他二輪車等であっても良い。
また、上記実施形態においては、車載型蓄電装置30(本発明に係る第二蓄電装置の一実施形態)は走行体に備えられるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、本発明に係る第二蓄電装置は分電盤60と接続可能(接続、及び当該接続の解除が可能)なものであれば良い。例えば、一定の範囲の土地に建てられた複数の分譲住宅が、共同で利用する大型の定置型蓄電装置等であっても良い。
また、上記実施形態において、車載型蓄電装置30及び定置型蓄電装置80はリチウムイオン電池等により構成されるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、例えばニッケル水素電池等により構成されるものであっても良い。
また、上記実施形態においては説明を省略したが、第二スイッチ部100の切替スイッチ101を切り替えて、分電盤60からの電力を特定負荷120へと供給可能とすることで、例えば第三パワーコンディショナ90が故障した場合であっても分電盤60から特定負荷120へと電力を供給することが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1 電力供給システム
10 太陽光発電部
20 第一パワーコンディショナ
30 車載型蓄電装置(第二蓄電装置)
40 第二パワーコンディショナ
50 第一スイッチ部50
60 分電盤
80 定置型蓄電装置(第一蓄電装置)
90 第三パワーコンディショナ
100 第二スイッチ部
110 一般負荷(負荷)
120 特定負荷(負荷)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7