特許第6108768号(P6108768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108768
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】超音波式ガスメータ
(51)【国際特許分類】
   G01F 3/22 20060101AFI20170327BHJP
   G01F 7/00 20060101ALI20170327BHJP
   G01F 1/66 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   G01F3/22 Z
   G01F7/00
   G01F1/66 Z
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-239422(P2012-239422)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-89123(P2014-89123A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年9月3日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000156813
【氏名又は名称】関西ガスメータ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】浅田 昭治
(72)【発明者】
【氏名】岡村 繁憲
(72)【発明者】
【氏名】藤井 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】増田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 和也
(72)【発明者】
【氏名】万波 義定
(72)【発明者】
【氏名】花木 克久
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−020395(JP,A)
【文献】 特開2010−164558(JP,A)
【文献】 特開平11−287688(JP,A)
【文献】 特開平05−018795(JP,A)
【文献】 特開2006−337059(JP,A)
【文献】 特開平03−137520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00− 1/90
G01F 3/22
G01F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口部からガスを流入する入口側ガス流動室と出口部からガスを流出する出口側ガス流動室とを接続する計測用流路が設けられ、
前記計測用流路のうちの横断面形状が矩形状の流量計測部分の内部に、前記流量計測部分の一辺方向に並ぶ複数層の流路部分が、前記流量計測部分における前記一辺方向とは直交する他辺方向に沿う姿勢の複数の整流板を前記一辺方向に沿って間隔を隔てて設置することにより区画された状態で形成され、
前記流量計測部分における前記一辺方向の両側部に、前記流量計測部分を横断させて超音波を送受信する一対の超音波センサが、前記計測用流路の流路長手方向での位置を異ならせた状態で設けられた超音波式ガスメータであって、
前記計測用流路を形成する流路形成部材、前記整流板、及び、前記超音波センサを備える形態に構成された複数の流量計測ユニットが、前記入口側ガス流動室を形成する入口側室形成部材と前記出口側ガス流動室を形成する出口側室形成部材との間に、前記流路形成部材の一端側を前記入口側室形成部材に接続し且つ前記流路形成部材の他端側を前記出口側室形成部材に接続する形態にて並列状態で装着され
前記流路形成部材の一端側のフランジ付接続部が、前記入口側室形成部材又は前記出口側室形成部材の壁部に形成した接続孔部の周囲の周壁部に対して、前記フランジ付接続部におけるフランジ部と前記周壁部との間に第1シール材を位置させかつ前記フランジ部を前記周壁部に接近させるように締付ける締付手段にて締付けた状態で接続され、
前記流路形成部材の他端側の接続用筒部が、前記出口側室形成部材又は前記入口側室形成部材の壁部に形成した差込用孔部に対して、前記接続用筒部の外周面と前記差込用孔部の内周面との間に第2シール材を位置させた状態で差込接続されている超音波式ガスメータ。
【請求項2】
複数の前記流量計測ユニットが、互いに同一となる状態に構成されている請求項1記載の超音波式ガスメータ。
【請求項3】
前記計測用流路における前記流量計測部分の上流側に隣接する上流側隣接部分及び下流側に隣接する下流側隣接部分が、前記流路長手方向に沿う方向視において、前記流量計測部分と同じ形状でかつ同じ大きさとなるように構成されている請求項1又は2記載の超音波式ガスメータ。
【請求項4】
前記計測用流路における前記上流側隣接部分の上流側に連なる上流側部分が、前記上流側隣接部分の横断面積よりも大きな横断面積を有する上流側円筒状流路部分と、その上流側円筒状流路部分の下流側端部と前記上流側隣接部分の上流側端部とを接続する前記上流側隣接部分に近づくほど横断面積が漸次小さくなる上流側接続流路部分とから構成され、
前記計測用流路における前記下流側隣接部分の下流側に連なる下流側部分が、前記下流側隣接部分の横断面積よりも大きな横断面積を有する下流側円筒状流路部分と、その下流側円筒状流路部分の上流側端部と前記下流側隣接部分の下流側端部とを接続する前記下流側隣接部分に近づくほど横断面積が漸次小さくなる下流側接続流路部分とから構成されている請求項3記載の超音波式ガスメータ。
【請求項5】
前記流路形成部材が、上流側端部分を前記入口側室形成部材の内部に突出させ、かつ、下流側端部分を前記出口側室形成部材の内部に突出させる状態で設けられている請求項4記載の超音波式ガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入口部からガスを流入する入口側ガス流動室と出口部からガスを流出する出口側ガス流動室とを接続する計測用流路が設けられ、
前記計測用流路のうちの横断面形状が矩形状の流量計測部分の内部に、前記流量計測部分の一辺方向に並ぶ複数層の流路部分が、前記流量計測部分における前記一辺方向とは直交する他辺方向に沿う姿勢の複数の整流板を前記一辺方向に沿って間隔を隔てて設置することにより区画された状態で形成され、
前記流量計測部分における前記他辺方向の両側部に、前記流量計測部分を横断させて超音波を送受信する一対の超音波センサが、前記計測用流路の流路長手方向での位置を異ならせた状態で設けられた超音波式ガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる超音波式ガスメータは、一対の超音波センサの計測結果に基づいて流量計測部分を流動するガスの流速を求めて、求めたガスの流速と流量計測部分のガス流路面積との積によって、ガスの流量を求めるようにしたものである。
そして、計測用流路における流量計測部分の内部に、整流板にて区画された複数層の流路部分を備えさせることによって、複数層の流路部分の夫々を流動するガスの流速の均等化を図ることにより、流量計測部分を流動するガスの流速を精度良く求めることができるようにしたものである。
尚、流量計測部分のガス流路面積は、複数層の流路部分の流路面積の和となる。
【0003】
ちなみに、一般に、一対の超音波センサの計測結果に基づいて求められる流量計測部分を流動するガスの流速は、流量計測部分の内部に形成された複数層の流路部分の夫々を流動するガスの流速の平均速度とは、必ずしも一致しないため、予め実験等により、それを補正する補正係数が定められている。
つまり、一対の超音波センサの計測結果に基づいて求めたガスの流速を補正係数によって補正して、補正したガスの流速と流量計測部分のガス流路面積との積を求めることにより、ガスの流量を精度良く求めるようになっている。
【0004】
尚、一般に、流量計測部分の横断面形状は、矩形状としての長方形に相当する形状に構成され、そして、複数の整流板が、流量計測部分の長辺方向に沿う姿勢となる状態で設置されて、複数層の流路部分が、流量計測部分の短辺方向に沿って並ぶ状態に形成されることになる。
また、流量計測部分の短辺方向を、鉛直方向に沿わせるようにして、複数層の流路部分が、上下方向に沿って並ぶように構成されることになる。
【0005】
かかる超音波式ガスメータの従来例として、入口側ガス流動室を形成する第1流路形成部材、出口側ガス流動室を形成する第2流路形成部材、及び、第1流路形成部材の下端側開口部と第2流路形成部材の下端側開口部とを接続する筒状の本体ケースが設けられ、本体ケースの内部に、計測用流路を形成する測定管が、2重管状に嵌合される状態で設けられ、測定管における長手方向の中央部を、流量計測部分に対応する部分として、その中央部に、複数の整流板が設置されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
ちなみに、特許文献1においては、測定管は、その全長に亘って横断面形状が長方形に相当する形状に構成され、そして、測定管における流量計測部分に対応する箇所の両側部には、一対の超音波センサから送信された超音波を通過させる開口部が形成され、一対の超音波センサが、本体ケースに装備されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−106726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1に開示された超音波式ガスメータは、一つの計測用流路を備えるものであるため、特許文献1には記載されていないが、計測可能なガス流量の最大流量が、10m3/H程度であると考えることができる。
つまり、特許文献1に開示された超音波式ガスメータは、一般家庭に設置して使用されるものであると考えることができる。
【0009】
超音波式ガスメータは、一般家庭のみならず、集合住宅や工場等においても設置することが望まれるものとなる。
その場合、計測可能なガス流量の最大流量を、例えば、25m3/H〜160m3/Hの範囲で選択された値にする等、計測可能なガス流量の最大流量が10m3/Hよりも大きな値となる超音波式ガスメータを構成する必要がある。
【0010】
このような要望を満足させるべく、計測用流路の横断面積を十分に大きくして、流量計測部分を通して、例えば、25m3/H〜160m3/Hの範囲で選択された値のガスを流動させることができるようにして、計測可能なガス流量の最大流量を大きくした超音波式ガスメータを構成することが考えられる。
この場合、横断面積が大きく形成された流量計測部分の内部には、多数枚の整流板が並べられて、多数層の流路部分が形成されることになる。
【0011】
しかしながら、計測用流路の横断面積を十分に大きくして、横断面積の大きな流量計測部分の内部に多数層の流路部分を形成した場合においては、例えば、横断面積の大きな計測用流路内の内周面側部分を流動するガスの流速と、計測用流路の中央側部分を流動するガスの流速とが大きく異なること等に起因して、多数層の流路部分の夫々に対して流速が同等となる状態でガスを流動させることが難しいため、各層を流動するガスの流速が大きく異なる虞があり、その結果、計測精度が大きく低下する虞がある。
【0012】
このような計測精度の低下を抑制すべく、流量計測部分の内部の多数層の流路部分の全てを流動するガスを検出する大型の超音波センサを装備して、計測精度の低下を抑制することが考えられるが、そのような大型の超音波センサは、製作が非常に困難で製作し難いものであるため、高価となり、また、駆動エネルギーが大きいためランニングコストが高くなるものであり、実用化できないものである。
【0013】
従って、計測用流路の横断面積を十分に大きくして、横断面積の大きな流量計測部分の内部に多数層の流路部分を形成した場合においては、多数層のうちの一部の層を流動するガスを超音波センサにて検出して、その検出結果に基づいてガス流量を求めることになるが、各層を流動するガスの流速が大きく異なる虞があることに起因して、計測精度が低下する虞があった。
【0014】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、大型の超音波センサを装備することなく、計測精度が優れた状態でありながらも、計測可能なガス流量の最大流量が大きな超音波式ガスメータを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の超音波式ガスメータは、入口部からガスを流入する入口側ガス流動室と出口部からガスを流出する出口側ガス流動室とを接続する計測用流路が設けられ、
前記計測用流路のうちの横断面形状が矩形状の流量計測部分の内部に、前記流量計測部分の一辺方向に並ぶ複数層の流路部分が、前記流量計測部分における前記一辺方向とは直交する他辺方向に沿う姿勢の複数の整流板を前記一辺方向に沿って間隔を隔てて設置することにより区画された状態で形成され、
前記流量計測部分における前記一辺方向の両側部に、前記流量計測部分を横断させて超音波を送受信する一対の超音波センサが、前記計測用流路の流路長手方向での位置を異ならせた状態で設けられたものであって、その第1特徴構成は、
前記計測用流路を形成する流路形成部材、前記整流板、及び、前記超音波センサを備える形態に構成された複数の流量計測ユニットが、前記入口側ガス流動室を形成する入口側室形成部材と前記出口側ガス流動室を形成する出口側室形成部材との間に、前記流路形成部材の一端側を前記入口側室形成部材に接続し且つ前記流路形成部材の他端側を前記出口側室形成部材に接続する形態にて並列状態で装着され
前記流路形成部材の一端側のフランジ付接続部が、前記入口側室形成部材又は前記出口側室形成部材の壁部に形成した接続孔部の周囲の周壁部に対して、前記フランジ付接続部におけるフランジ部と前記周壁部との間に第1シール材を位置させかつ前記フランジ部を前記周壁部に接近させるように締付ける締付手段にて締付けた状態で接続され、
前記流路形成部材の他端側の接続用筒部が、前記出口側室形成部材又は前記入口側室形成部材の壁部に形成した差込用孔部に対して、前記接続用筒部の外周面と前記差込用孔部の内周面との間に第2シール材を位置させた状態で差込接続されている点を特徴とする。
【0016】
すなわち、計測用流路を形成する流路形成部材、整流板、及び、超音波センサを備える形態に流量計測ユニットが構成され、そのように構成された複数の流量計測ユニットが、入口側ガス流動室を形成する入口側室形成部材と出口側ガス流動室を形成する出口側室形成部材との間に、並列状態で装着されるものであるから、計測精度を向上させるために、一つの流量計測ユニットの計測可能なガス流量の最大流量を小さくしても、複数の計測ユニットの夫々が計測可能なガス流量の最大流量の和が、単一の超音波式ガスメータが計測可能なガス流量の最大流量となるため、計測精度が優れた状態で、計測可能なガス流量の最大流量を大きくした超音波式ガスメータを構成することができる。
【0017】
つまり、流量計測ユニットを構成するにあたり、計測用流路における流量計測部分の横断面積を、その流量計測部分の複数層の流路部分を流動するガスの流速を均等化できる大きさとする形態で、流量計測ユニットを構成することにより、流量計測ユニットの計測精度を向上させることできる。
尚、このように構成された流量計測ユニットが計測可能なガス流量の最大流量は、例えば、10m3/H程度となる。
【0018】
このように構成された流量計測ユニットにおける流量計測部分の一辺方向の幅は極端に大きくならないから、例えば、流量計測部分の内部の複数層の流路部分の全てを流動するガスを検出する超音波センサを装備しても、その超音波センサは極端に大型なものとはならない。
そのため、装備する超音波センサが高価となることを回避でき、また、その駆動エネルギーが小さいためランニングコストが高価となることを回避できる。
【0019】
そして、そのように計測精度が優れた状態に構成された流量計測ユニットの設置数を、計測するガス流量の最大流量に合わせて選択して、選択した数の流量計測ユニットを、入口側ガス流動室を形成する入口側室形成部材と出口側ガス流動室を形成する出口側室形成部材との間に、並列状態で装着することにより、計測精度が優れた状態でありながらも、計測可能なガス流量の最大流量が大きな超音波式ガスメータを構成することができるのである。
【0020】
ちなみに、入口側室形成部材及び出口側室形成部材として、流量計測ユニットの設置数が多いものに対応する大型のものを用意して、流量計測ユニットの設置数が少ない場合にも、流量計測ユニットの設置数が多いものに対応する入口側室形成部材及び出口側室形成部材を用いるようにしてもよいが、流量計測ユニットの設置数に対応する大きさの入口側室形成部材及び出口側室形成部材を形成した方が、流量計測ユニットの設置数が少ない場合において超音波式ガスメータが大型化することを回避できることになる。
【0021】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、計測精度が優れた状態でありながらも、計測可能なガス流量の最大流量が大きな超音波式ガスメータを提供できる。
また、本発明の第1特徴構成によれば、流路形成部材の一端側に、フランジ付接続部が設けられて、そのフランジ付接続部が、入口側室形成部材又出口側室形成部材の壁部に形成した接続孔部の周囲の周壁部に対して、フランジ付接続用筒部におけるフランジ部と周壁部との間に第1シール材を位置させかつフランジ部を周壁部に接近させるように締付ける締付手段にて締付けた状態で接続される。
また、流路形成部材の他端側に、接続用筒部が設けられ、その接続用筒部が、出口側室形成部材又は入口側室形成部材の壁部に形成した差込用孔部に対して、接続用筒部の外周面と差込用孔部の内周面との間に第2シール材を位置させた状態で差込接続される。
つまり、流路形成部材の一端側を、締付手段によって、入口側室形成部材又出口側室形成部材の壁部に形成した接続孔部の周囲の周壁部に対して固定する締付固定形態で接続するようにし、流路形成部材の他端側を、出口側室形成部材又は入口側室形成部材の壁部に形成した差込用孔部に対して差込接続する差込接続形態で接続するものであるから、流路形成部材の装着作業、つまり、流量計測ユニットの装着作業の容易化を図ることができるのである。
説明を加えると、流路形成部材の両端側について締付固定形態を採用すると、流路形成部材の両端側の夫々について、面倒な締付作業を必要とするために、流量計測ユニットの装着作業が手間の掛かる面倒な作業となるが、流路形成部材の一端側については、締付固定形態を採用するものの、流路形成部材の他端側については、作業が容易な差込接続形態を採用することにより、流路形成部材の装着作業、つまり、流量計測ユニットの装着作業の容易化を図ることができるのである。
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、上記作用効果に加えて、流量計測ユニットの装着作業の容易化を図ることができる超音波式ガスメータを提供できる。
【0022】
本発明の超音波式ガスメータの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
複数の前記流量計測ユニットが、互いに同一となる状態に構成されている点を特徴とする。
【0023】
すなわち、複数の流量計測ユニットが、互いに同一となる状態に構成されるものであるから、流量計測ユニットとしては、一つの種類の流量計測ユニットを構成すればよいものとなるため、例えば、流量計測部分の横断面積を異ならせる等により、複数種類の流量計測ユニットを構成するようにする場合に較べて、製作の容易化を図ることができる。
【0024】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、製作の容易化を図ることができる超音波式ガスメータを提供できる。
【0025】
本発明の超音波式ガスメータの第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記計測用流路における前記流量計測部分の上流側に隣接する上流側隣接部分及び下流側に隣接する下流側隣接部分が、前記流路長手方向に沿う方向視において、前記流量計測部分と同じ形状でかつ同じ大きさとなるように構成されている点を特徴とする。
【0026】
すなわち、計測用流路における流量計測部分の上流側には、流路長手方向に沿う方向視において、流量計測部分と同じ形状でかつ同じ大きさとなるように構成された上流側隣接部分が存在し、そして、計測用流路における流量計測部分の下流側には、流路長手方向に沿う方向視において、流量計測部分と同じ形状でかつ同じ大きさとなるように構成された下流側隣接部分が存在するものとなるから、上流側隣接部分及び下流側隣接部分の整流作用によって、流量計測部分の複数層の流路部分を流動するガスの流速の均等化を向上できるため、ガス流量の計測精度の向上を図ることができるものとなる。
【0027】
つまり、通常、ガスが消費されると、ガスは計測用流路を上流側から下流側に流動することになるが、例えば、ガスの非消費時において、温度や圧力の変化に伴う呼吸作用によって、ガスが計測用流路を逆流する場合がある等、ガスが計測用流路を下流側から上流側に逆流することもある。
【0028】
本第3特徴構成によれば、ガスが計測用流路を上流側から下流側に流動するときには、ガスが上流側隣接部分を流動するときの整流作用によって、ガスの流速の分布が均等化されることにより、流量計測部分の複数層の流路部分を流動するガスの流速の均等化を向上させることができものとなる。
また、ガスが計測用流路を下流側から上流側に逆流するときには、ガスが下流側隣接部分を流動するときの整流作用によって、ガスの流速の分布が均等化されることにより、流量計測部分の複数層の流路部分を流動するガスの流速の均等化を向上させることができものとなる。
【0029】
このように、ガスが計測用流路を上流側から下流側に流動するとき、及び、ガスが計測用流路を下流側から上流側に逆流するときのいずれにおいても、流量計測部分の複数層の流路部分を流動するガスの流速の均等化を向上できるものとなるから、一対の超音波センサの計測結果が、流量計測部分を流動するガスの流速を的確に示すものとなるため、ガス流量の計測精度の向上を図ることができる。
【0030】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第1又は第2特徴構成による作用効果に加えて、ガス流量の計測精度の向上を図ることができる超音波式ガスメータを提供できる。
【0031】
本発明の超音波式ガスメータの第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、
前記計測用流路における前記上流側隣接部分の上流側に連なる上流側部分が、前記上流側隣接部分の横断面積よりも大きな横断面積を有する上流側円筒状流路部分と、その上流側円筒状流路部分の下流側端部と前記上流側隣接部分の上流側端部とを接続する前記上流側隣接部分に近づくほど横断面積が漸次小さくなる上流側接続流路部分とから構成され、
前記計測用流路における前記下流側隣接部分の下流側に連なる下流側部分が、前記下流側隣接部分の横断面積よりも大きな横断面積を有する下流側円筒状流路部分と、その下流側円筒状流路部分の上流側端部と前記下流側隣接部分の下流側端部とを接続する前記下流側隣接部分に近づくほど横断面積が漸次小さくなる下流側接続流路部分とから構成されている点を特徴とする。
【0032】
すなわち、ガスが計測用流路を上流側から下流側に流動するとき、換言すれば、入口側室形成部材を流動するガスが計測用流路に流動するときには、入口側室形成部材を流動するガスが、計測用流路における上流側隣接部分の上流側に連なる上流側部分を流動したのち、つまり、上流側円筒状流路部分及び上流側接続流路部分を順次流動したのち、上流側隣接部分に流動することになる。
【0033】
上流側円筒状流路部分は、上流側隣接部分の横断面積よりも大きな横断面積を有するものであるから、入口側室形成部材を流動するガスが、上流側円筒状流路部分の内部に適切に流動し易いものとなり、そして、上流側円筒状流路部分の内部に流動したガスは、上流側隣接部分に近づくほど横断面積が漸次小さくなる上流側接続流路部分を通して整流されながら、上流側隣接部分に流動することになる。
ちなみに、上流側接続流路部分は、横断面形状が円筒状の上流側円筒状流路部分を流動するガスの流れの形状を、横断面形状が矩形状の上流側隣接部分を流れる状態に漸次変化させることなる。
【0034】
したがって、入口側室形成部材から出口側室形成部材に向けて流動するガスの流量が大きいときはもちろんのこと、ガスの流量が小さいときにも、入口側室形成部材の内部を流動するガスを計測用流路における上流側隣接部分に適切に流動させることができるため、入口側室形成部材から出口側室形成部材に向けて流動するガスの流量の多少に拘わらず良好に計測できる。
【0035】
また、ガスが計測用流路を下流側から上流側に逆流するとき、換言すれば、出口側室形成部材の内部のガスが計測用流路に逆流するときには、出口側室形成部材の内部のガスが、通常のガス流動時においては下流側隣接部分の下流側に位置することになる下流側部分を流動したのち、つまり、下流側円筒状流路部分及び下流側接続流路部分を順次流動したのち、下流側隣接部分に流動することになる。
【0036】
下流側円筒状流路部分は、下流側隣接部分の横断面積よりも大きな横断面積を有するものであるから、出口側室形成部材の内部のガスが、下流側円筒状流路部分の内部に適切に流動し易いものとなり、そして、下流側円筒状流路部分の内部に流動したガスは、下流側隣接部分に近づくほど横断面積が漸次小さくなる下流側接続流路部分を通して整流されながら、下流側隣接部分に流動することになる。
ちなみに、下流側接続流路部分は、横断面形状が円筒状の下流側円筒状流路部分を流動するガスの流れの形状を、横断面形状が矩形状の下流側隣接部分を流れる状態に漸次変化させることなる。
【0037】
したがって、出口側室形成部材から入口側室形成部材に向けて逆流するガスの流量が大きいときはもちろんのこと、ガスの流量が小さいときにも、出口側室形成部材の内部を流動するガスを計測用流路における下流側隣接部分に適切に流動させることができるため、出口側室形成部材から入口側室形成部材に向けて逆流するガスの流量の多少に拘わらず良好に計測することができる。
【0038】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第3特徴構成による作用効果に加えて、入口側室形成部材から出口側室形成部材に向けてガスが流動するとき、及び、出口側室形成部材から入口側室形成部材に向けてガスが逆流するときの夫々において、ガスの流量の多少に拘わらず良好に計測できる超音波式ガスメータを提供できる。
【0039】
本発明の超音波式ガスメータの第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、
前記流路形成部材が、上流側端部分を前記入口側室形成部材の内部に突出させ、かつ、下流側端部分を前記出口側室形成部材の内部に突出させる状態で設けられている点を特徴とする。
【0040】
すなわち、流路形成部材の上流側端部分を入口側室形成部材の内部に突出させ、かつ、流路形成部材の下流側端部分を出口側室形成部材の内部に突出させるものであるから、入口側室形成部材や出口側室形成部材の容量を大きくして、計測精度の向上を図るようにしながらも、全体構成の小型化を図ることができる。
【0041】
説明を加えると、流動するガスは、種々の要因により、脈動するものであるから、その脈動に拘わらず、計測用流路を流動するガス流量の安定化を図るために、入口側室形成部材や出口側室形成部材の容量を大きくすることが望まれるものとなり、特に、ガスが計測用流路を下流側から上流側に逆流するときの流量に較べて、ガスが計測用流路を上流側から下流側に流動するときには、多量のガスが流動する状態が存在するものであるから、計測精度の向上のために、入口側室形成部材の大容量化が望まれるものとなる。
【0042】
そして、計測用流路は、上流側円筒状流路部分と上流側接続部分からなる上流側部分、上流側隣接部分、流量計測部分、下流側隣接部分、及び、下流側円筒状流路部分と下流側接続部分からなる下流側部分を備えるものであるから、その計測用流路を形成する流路形成部材の流路長手方向に沿う長さは、相当長くなる。
【0043】
したがって、そのように長くなる流路形成部材を、入口側室形成部材と出口側室形成部材との間に配設するにあたり、一端部を入口側室形成部材に当て付け且つ他端部を出口側室形成部材に当て付けた状態で流路形成部材を配設するようにすると、大容量の入口側室形成部材と大容量の出口側室形成部材とが、流路形成部材の長さ分だけ離れた状態となるため、全体構成が大型化する不都合がある。
【0044】
本第5特徴構成によれば、流路形成部材の上流側端部分を入口側室形成部材の内部に突出させ、かつ、流路形成部材の下流側端部分を出口側室形成部材の内部に突出させるものであるから、入口側室形成部材と出口側室形成部材とを、流路形成部材の長さよりも短い小さな間隔を隔てた状態で設けることができるため、全体構成の小型化を図ることができる。
【0045】
つまり、複数の流量計測ユニットにおける流路形成部材の上流側端部分を入口側室形成部材の内部に突出させると、複数の流路形成部材の上流側端部分同士の間に存在する空間が、入口側室形成部材の内部空間として機能し、同様に、複数の流量計測ユニットにおける流路形成部材の下流側端部分を出口側室形成部材の内部に突出させると、複数の流路形成部材の下流側端部分同士の間に存在する空間が、入口側室形成部材の内部空間として機能するため、入口側室形成部材や出口側室形成部材の容量を大きくしながらも、入口側室形成部材と出口側室形成部材とを小さな間隔を隔てた状態で位置させるようにして、全体構成の小型化を図ることができるのである。
【0046】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第4特徴構成による作用効果に加えて、入口側室形成部材や出口側室形成部材の容量を大きくして、計測精度の向上を図るようにしながらも、全体構成の小型化を図ることができる超音波式ガスメータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】超音波式ガスメータの切欠正面図
図2】同メータの切欠側面図
図3】流量計測ユニットの装着部を示す斜視図
図4図3に示す流量計測ユニットの装着部を示す縦断正面図
図5】流量計測ユニットの縦断側面図
図6】流量計測ユニットの分解斜視図
図7】流路形成部材の横断平面図
図8】別実施形態の切欠正面図
図9図8に示す別実施形態の切欠側面図
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(超音波式ガスメータの全体構成)
図1及び図2に示すように、上部ケーシング1Aと下部ケーシング部分1Bとからなるケーシング1が設けられ、上部ケーシング1Aには、入口側口金部2と出口側口金部3とが設けられ、ケーシング1の内部に、入口側口金部2を通して流入したのち出口側口金部3から外部に流出するガスの流量を検出する6個の流量計測ユニットUが設けられ、各流量計測ユニットUの夫々には、一対の超音波センサS(図6参照)が装備されて、超音波式ガスメータが構成されている。
【0055】
ちなみに、例示はしないが、6個の流量計測ユニットUの計測結果に基づいて、入口側口金部2を通して流入したのち出口側口金部3から外部に流出するガスの積算量を演算する運転制御部が設けられ、その運転制御部が、上部ケーシング1Aの前面部に設けた表示部に、ガスの積算量を表示するように構成されている。
尚、本実施形態の超音波式ガスメータは、一つの流量計測ユニットUの計測可能なガス流量の最大流量が10m3/Hであるため、ガスの最大流量が60m3/Hの設備に設置可能である。
【0056】
(ケーシングの内部構成)
ケーシング1の内部構成について説明を加えると、図1及び図2に示すように、入口側口金部2の下部に、地震発生等の異常発生時に遮断される遮断弁Vを備えた入口側流路構成体4が接続され、その入口側流路構成体4の下部に、入口側室形成部材5が接続されている。
また、出口側口金部3の下部に、出口側流路構成体6が接続され、その出口側流路構成体6の下部に、出口側室形成部材7が接続されている。
【0057】
入口側室形成部材5は、図1及び図3に示すように、入口部5aからガスが流入する入口側ガス流動室Mを形成するものであって、有底筒状の本体5Aと、板状の蓋5Bとから構成されている。
出口側室形成部材7は、図1及び図3に示すように、出口部7aからガスを流出する出口側ガス流動室Nを形成するものであって、有底筒状の本体7Aと、板状の蓋7Bとから構成されている。
【0058】
図1及び図4に示すように、入口側室形成部材5が、本体5Aと蓋5Bとのうちの本体5Aを出口側室形成部材7の存在側に位置させた状態で設置され、また、出口側室形成部材7が、本体7Aと蓋7Bとのうちの本体7Aを入口側室形成部材5の存在側に位置させた状態で設置されている。
【0059】
そして、6個の流量計測ユニットUが、入口側室形成部材5の本体5Aと出口側室形成部材7の本体7Aとの間に、並列状態で装着されている。
具体的には、6個の流量計測ユニットUが、上下方向に2段に並び、かつ、各段の夫々において左右方向に3個ずつ並ぶ状態で、入口側室形成部材5の本体5Aと出口側室形成部材7の本体7Aとの間に装着されている。
【0060】
(流量計測ユニットの構成)
流量計測ユニットUには、図4図7に示すように、入口側ガス流動室Mと出口側ガス流動室Nとを接続する計測用流路Rを形成する流路形成部材8が装備され、計測用流路Rの流路長手方向の中央側部分が、横断面形状が矩形状の流量計測部分Rsとして構成されている。
【0061】
図5に示すように、流量計測部分Rsの内部には、流量計測部分Rsの一辺方向に並ぶ複数層の流路部分Rrが、流量計測部分Rsの一辺方向とは直交する他辺方向に沿う姿勢の複数枚の整流板9を一辺方向に沿って間隔を隔てて設置することにより区画された状態で形成されている。
【0062】
ちなみに、本実施形態においては、流量計測部分Rsの横断面形状が、矩形状としての長方形に形成されて、流量計測部分Rsの一辺方向が短辺方向となり、流量計測部分Rsの他辺方向が長辺方向となるように構成され、かつ、流量計測部分Rsの短辺方向が鉛直方向となるように構成されている。つまり、複数層の流路部分Rrが上下方向に並ぶ状態に構成されている。
【0063】
また、本実施形態においては、図6及び図7の示すように、横断面形状が長方形の筒状体8Aが、流路形成部材8における流量計測部分Rsの相当箇所に嵌合されて、筒状体8Aにて、流量計測部分Rsが形成されるように構成されている。
すなわち、流路形成部材8には、筒状体8Aを嵌合する嵌合部Kが、上方側を開口した形態で形成され、嵌合部Kに筒状体8Aを嵌合した状態において、嵌合部Kの上方側の開口を蓋体8B(図5参照)にて閉じるように構成されている。
【0064】
つまり、流路形成部材8は、筒状体8Aが嵌合されることにより、計測用流路Rにおける流量計測部分Rsを形成するように構成されている。
そして、筒状体8Aには、予め整流板9が組付けられており、筒状体8Aを流路形成部材8に装着することにより、整流板9が流路形成部材8に装着されるように構成されている。
【0065】
図6及び図7に示すように、流路形成部材8における流量計測部分Rsに対応する箇所の長辺側の両側部には、一対の超音波センサSを嵌合装着する装着孔部10が、計測用流路Rの流路長手方向での位置を異ならせた状態で形成され、流路形成部材8に嵌合された筒状体8Aの両横側部には、超音波センサSから送信された超音波を通過させる開口部Dが形成されている。
【0066】
そして、装着孔部10に嵌合装着された一対の超音波センサSが、流量計測部分Rsを横断させて超音波を送受信するように構成されている。
すなわち、図5に示すように、一対の超音波センサSの作動を管理するセンサ制御部Hが、蓋体8Bの上部に装備されている。そして、センサ制御部Hが、一対の超音波センサSのうちの一方側から他方側に向けて超音波を送信して、他方側が超音波を受信するまでの時間を計測し、引き続き、他方側から一方側に向けて超音波を送信して、一方側が超音波を受信するまでの時間を計測することを繰り返して、計測した時間に基づいて、流量計測部分Rsを流動するガスの流速を求めることを、繰り返すように構成されている。
尚、計測した時間に基づいて流量計測部分Rsを流動するガスの流速を求める構成は、周知であるので、本実施形態では詳細な説明を省略する。
【0067】
そして、センサ制御部Hが、求めたガスの流速と流量計測部分Rsのガス流路面積との積によって、計測用流路Rを流動するガスの流量を求めることを繰り返すように構成されている。
ちなみに、一対の超音波センサSの計測結果に基づいて求められる流量計測部分Rsを流動するガスの流速は、流量計測部分Rsの内部に形成された複数層の流路部分Rrの夫々を流動するガスの流速の平均速度とは、必ずしも一致しないため、予め実験等により、それを補正する補正係数が定められている。
【0068】
つまり、センサ制御部Hが、一対の超音波センサSの計測結果に基づいて求めたガスの流速を補正係数によって補正して、補正したガスの流速と流量計測部分Rsのガス流動面積との積を求めることにより、ガスの流量を精度良く求めるようになっている。
【0069】
ちなみに、このようにガスの流量を求めることが、6個の流量計測ユニットUの夫々にて行われることになり、上述の如く、運転制御部が、6個の流量計測ユニットUの計測結果に基づいて、入口側口金部2を通して流入したのち出口側口金部3から外部に流出するガスの積算量を演算して、その演算結果を、上部ケーシング1Aの前面部に設けた表示部に表示することになる。
【0070】
つまり、運転制御部は、6個の流量計測ユニットUの夫々について、一対の超音波センサSの計測時間間隔と求められたガスの流量との積によって、計測時間間隔内に流動したガス量を求め、そして、6個の流量計測ユニットUの夫々について求めたガス量の和を積算することになる。
【0071】
尚、本実施形態においては、センサ制御部Hが、求めたガスの流速と流量計測部分Rsの流路面積との積によって、計測用流路Rを流動するガスの流量を求める場合を例示したが、これに代えて、運転制御部が、6個の流量計測ユニットUの夫々について、各流量計測ユニットUにて求められたガスの流速と流量計測部分Rsの流路面積との積を求める形態で実施してもよい。
【0072】
以上の説明から明らかな如く、流量計測ユニットUは、計測用流路Rを形成する流路形成部材8、整流板9、及び、一対の超音波センサSを備える形態に構成されるものであり、そして、本実施形態においては、流路形成部材8は、整流板9が組付けられた筒状体8Aが嵌合装着される形態に構成されている。
【0073】
(計測用流路の詳細について)
図5及び図7に示すように、計測用流路Rにおける流量計測部分Rsの上流側に隣接する上流側隣接部分Ru及び下流側に隣接する下流側隣接部分Rdが、前記流路長手方向に沿う方向視において、流量計測部分Rsと同じ形状でかつ同じ大きさとなるように構成されている。つまり、上流側隣接部分Ru及び下流側隣接部分Rdが、流量計測部分Rsにガスを整流しながら流動するための助走路として機能することになる。
【0074】
したがって、ガスが計測用流路Rを上流側から下流側に流動するときや、ガスが計測用流路Rを下流側から上流側に逆流するときに、上流側隣接部分Ruや下流側隣接部分Rdの整流作用によって、流量計測部分Rsの複数層の流路部分Rrを流動するガスの流速の均等化を図るようになっている。
【0075】
計測用流路Rにおける上流側隣接部分Ruの上流側に連なる上流側部分RMが、上流側隣接部分Ruの横断面積よりも大きな横断面積を有する上流側円筒状流路部分RM1と、その上流側円筒状流路部分RM1の下流側端部と上流側隣接部分Ruの上流側端部とを接続する上流側隣接部分Ruに近づくほど横断面積が漸次小さくなる上流側接続流路部分RM2とから構成されている。つまり、上流側部分RMが、流量計測部分Rsにガスを整流しながら流動するための助走路として機能することになる。
【0076】
また、計測用流路Rにおける下流側隣接部分Rdの下流側に連なる下流側部分RNが、下流側隣接部分Rdの横断面積よりも大きな横断面積を有する下流側円筒状流路部分RN1と、その下流側円筒状流路部分RN1の上流側端部と下流側隣接部分Rdの下流側端部とを接続する下流側隣接部分に近づくほど横断面積が漸次小さくなる下流側接続流路部分RN2とから構成されている。つまり、下流側部分RNが、流量計測部分Rsにガスを整流しながら流動するための助走路として機能することになる。
【0077】
したがって、ガスが計測用流路Rを上流側から下流側に流動するときに、入口側室形成部材5のガスを上流側円筒状流路部分RM1の内部に適切に導入して、上流側接続流路部分RM2にて整流しながら上流側隣接部分Ruに流動させることにより、流動するガス量の多少に拘わらず、流量計測部分Rsの複数層の流路部分Rrを流動するガスの流速の均等化を図れるようになっている。
【0078】
また、ガスが計測用流路Rを下流側から上流側に逆流するときに、出口側室形成部材7のガスを下流側円筒状流路部分RN1の内部に適切に導入して、下流側接続流路部分RN2にて整流しながら下流側隣接部分Rdに流動させることにより、流動するガス量の多少に拘わらず、流量計測部分Rsの複数層の流路部分Rrを流動するガスの流速の均等化を図れるようになっている。
【0079】
(流量計測ユニットの装着形態)
図4及び図5に示すように、流路形成部材8が、上流側端部分を入口側室形成部材5の内部に突出させ、かつ、下流側端部分を出口側室形成部材7の内部に突出させる状態で設けられている。
ちなみに、本実施形態においては、流路形成部材8における上流側円筒状流路部分RM1を形成する上流側端部分8mよりも少し多い部分が、入口側室形成部材5の内部に突出され、流路形成部材8における下流側円筒状流路部分RN1を形成する下流側端部分8nよりも少し多い部分が、出口側室形成部材7の内部に突出されるようになっている。
【0080】
したがって、入口側室形成部材5と出口側室形成部材7とを、流路形成部材8の長さよりも近づけた状態で位置させることができるため、入口側室形成部材5と出口側室形成部材7との容量を大きくしても、全体構成の小型化を図ることができるようになっている。
【0081】
(流量計測ユニットの接続構成)
図5図7に示すように、流路形成部材8における上流側に相当する一端側に、フランジ部11及びナット螺合部12を備えたフランジ付接続部Fが形成されている。
つまり、フランジ部11よりも先端側に相当する箇所に、ナット13が螺合するナット螺合部12が形成されている。
【0082】
そして、フランジ付接続部Fが、入口側室形成部材5の壁部に形成した接続孔部14の周囲の周壁部に対して、フランジ部11と周壁部との間に第1シール材15を位置させかつフランジ部11を周壁部に接近させるようにナット13を締付けた状態で接続されている。
【0083】
ちなみに、本実施形態においては、フランジ部11を周壁部に接近させるように締付ける締付手段Gが、ナット螺合部12及びナット13にて構成されることになる。
【0084】
図5図7に示すように、流路形成部材における下流側に相当する他端側に、出口側室形成部材7の壁部に形成した差込用孔部16に差込み自在な接続用筒部17が形成されている。
そして、接続用筒部17が、出口側室形成部材7の差込用孔部16に対して、接続用筒部17の外周面と差込用孔部16の内周面との間に第2シール材18を位置させた状態で差込接続されている。
【0085】
ちなみに、本実施形態においては、流路形成部材8における下流側に相当する他端側に、出口側室形成部材7の壁部に形成した差込用孔部16の周囲の周壁部に接当するフランジ状の接当部19が設けられて、接続用筒部17を差込用孔部16に差込むときに、接当部19が差込用孔部16の周囲の周壁部に接当することにより、流路形成部材8と出口側室形成部材7との相対位置を位置決めするように構成されている。
【0086】
また、本実施形態においては、図6に示すように、接続用筒部17が、その外周部の一部を切除した異径状に形成され、そして、図示は省略するが、差込用孔部16が、接続用筒部17の形状に合わせた異径状に形成されて、接続用筒部17を差込用孔部16に差込んだ状態において、流路形成部材8の回動を抑制するように構成されている。
【0087】
以上の通り、本実施形態においては、流路形成部材8が、入口側室形成部材5に対して締付固定形態で接続され、かつ、出口側室形成部材7に対して差込接続形態で接続されることになり、出口側室形成部材7に対する接続形態として、差込接続形態を採用することにより、流路形成部材8の装着作業、つまり、流量計測ユニットUの装着作業の容易化を図るようになっている。
【0088】
〔別実施形態〕
次に、図8及び図9に基づいて、別実施形態について説明するが、この別実施形態は、上述の流量計測ユニットUを16個装着して超音波式ガスメータを構成する場合を示すものであり、上述した実施形態と同様な機能を奏する部材については、上述した実施形態と同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0089】
すなわち、16個の流量計測ユニットUが、入口側室形成部材5の本体5Aと出口側室形成部材7の本体7Aとの間に、並列状態で装着されている。
具体的には、16個の流量計測ユニットUが、上下方向に4段に並び、かつ、各段の夫々において左右方向に4個ずつ並ぶ状態で、入口側室形成部材5の本体5Aと出口側室形成部材7の本体7Aとの間に装着されている。
【0090】
そして、この別実施形態においては、入口側室形成部材5の容量を出口側室形成部材7の容量よりも数倍大きくして、入口側室形成部材5の内部を流動するガスを、16個の流量計測ユニットUの計測用流路Rに対して、極力均等に流動させることができるように構成されている。
【0091】
尚、この別実施形態の超音波式ガスメータは、一つの流量計測ユニットUの計測可能なガス流量の最大流量が10m3/Hであるため、ガスの最大流量が160m3/Hの設備に設置可能である。
【0092】
〔その他の別実施形態〕
次に、その他の別実施形態を説明する。
(イ)上記の各実施形態においては、一つの流量計測ユニットUの計測可能なガス流量の最大流量が10m3/Hである場合を例示したが、一つの流量計測ユニットUが計測可能なガス流量の最大流量を、10m3/Hよりも増減させた形態で実施してもよい。
【0093】
(ロ)上記の各実施形態においては、装着する複数の流量計測ユニットUが、互いに同一となる状態に構成される場合を例示したが、計測可能なガス流量の最大流量が異なる複数種の流量計測ユニットUを構成して、それら複数種の流量計測ユニットUを装着する形態で実施してもよい。
【0094】
(ハ)上記の各実施形態においては、計測用流路Rにおける上流側隣接部分Ruの上流側に、上流側円筒状流路部分RM1と上流側接続流路部分RM2とから構成される上流側部分RMを設け、計測用流路Rにおける下流側隣接部分Rdの下流側に、下流側円筒状流路部分RN1と下流側接続流路部分RN2とから構成されている下流側部分RNを設ける場合を例示したが、計測用流路Rを下流側から上流側に逆流することが少ない場合には、下流側部分RNを設けない形態で実施してもよく、また、入口側ガス流動室Mや出口側ガス流動室Nから計測用流路Rへのガスの流動が円滑であることが保障される場合には、上流側部分RM及び下流側部分RNを設けない形態で実施してもよい。
【0095】
(ニ)上記の各実施形態においては、上流側部分RMに、上流側円筒状流路部分RM1と上流側接続流路部分RM2とを備えさせ、且つ、下流側部分RNに、下流側円筒状流路部分RN1と下流側接続流路部分RN2とを備えさせる場合を例示したが、上流側円筒状流路部分RM1を省略して、上流側部分RMには上流側接続流路部分RM2のみを備えさせるようにし、かつ、下流側円筒状流路部分RN1を省略して、下流側部分RNには、下流側接続流路部分RN2のみを備えさせるようにする形態で実施してもよい。
【0096】
(ホ)上記の各実施形態においては、計測用流路Rにおける流量計測部分Rsの上流側や下流側に、流路長手方向に沿う方向視において、流量計測部分Rsと同じ形状でかつ同じ大きさとなるように構成される上流側隣接部分Ru及び下流側隣接部分Rdを設ける場合を例示したが、計測用流路Rを下流側から上流側に逆流することが少ない場合には、下流側部分RNを設けない形態で実施してもよく、また、入口側ガス流動室Mや出口側ガス流動室Nから計測用流路Rへ流動するガスの流速の分布が均等である場合には、上流側隣接部分Ru及び下流側隣接部分Rdを設けない形態で実施してもよい。
【0097】
(ヘ)上記の各実施形態においては、流路形成部材8のフランジ付接続部Fを入口側室形成部材5に接続し、かつ、流路形成部材8の接続用筒部17を出口側室形成部材7に接続する場合を例示したが、流路形成部材8のフランジ付接続部Fを出口側室形成部材7に接続し、かつ、流路形成部材8の接続用筒部17を入口側室形成部材5に接続する形態で実施してもよい
【符号の説明】
【0098】
5 入口側室形成部材
5a 入口部
7 出口側室形成部材
7a 出口部
8 流路形成部材
9 整流板
11 フランジ部
14 接続孔部
15 第1シール材
16 差込用孔部
17 接続用筒部
18 第2シール材
F フランジ付接続部
G 締付手段
M 入口側ガス流動室
N 出口側ガス流動室
R 計測用流路
Rd 下流側隣接部分
RM 上流側部分
RM1 上流側円筒状流路部分
RM2 上流側接続流路部分
RN 下流側部分
RN1 下流側円筒状流路部分
RN2 下流側接続流路部分
Rr 流路部分
Rs 流量計測部分
Ru 上流側隣接部分
S 超音波センサ
U 流量計測ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9