(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108802
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】放熱構造体
(51)【国際特許分類】
H01L 23/40 20060101AFI20170327BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
H01L23/40 Z
H05K7/20 E
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-267736(P2012-267736)
(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2014-116375(P2014-116375A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】591149089
【氏名又は名称】株式会社MARUWA
(72)【発明者】
【氏名】長江 辰徳
(72)【発明者】
【氏名】墨 勝博
【審査官】
井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−068998(JP,A)
【文献】
特開2011−192907(JP,A)
【文献】
特開2007−305649(JP,A)
【文献】
特開2010−177404(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/070463(WO,A1)
【文献】
特開2008−300476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/40
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジ部と、第1ネジ頭部と、前記第1ネジ頭部よりも断面積が大きい第2ネジ頭部とを有する、少なくとも3段構造以上のネジを用いて、ネジ穴を有するヒートシンクに前記ネジ部を螺入して、前記第1ネジ頭部がストッパとなって前記ネジと前記ヒートシンクとを当接固定するとともに、前記ヒートシンクと前記第2ネジ頭部との間に、セラミック基板と環状の弾性体とを積重して、前記第2ネジ頭部と前記セラミック基板とが対向している空間の全領域に前記弾性体を介在させて、前記セラミック基板を破損させることなく前記弾性体の弾性力のみによって、前記セラミック基板と前記ヒートシンクとを圧接固定した、放熱構造体。
【請求項2】
前記セラミック基板の厚みをT2、前記弾性体の厚みをT4、前記第1ネジ頭部の厚みをT1としたとき、T2<T1<(T2+T4)を満たす請求項1記載の放熱構造体。
【請求項3】
前記弾性体のショア硬度Aは、70以上である請求項1又は2に記載の放熱構造体。
【請求項4】
前記セラミック基板の厚みは、0.3mm未満である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放熱構造体。
【請求項5】
前記セラミック基板はアルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ジルコニア強化アルミナのいずれかから選択される1種を主成分とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放熱構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック基板とヒートシンクを圧接固定した放熱構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
IGBTやLED素子のような半導体素子が高機能化するにしたがって、これら半導体素子は小型化、高電流化が進んでいる。そして半導体素子を搭載するためのセラミック基板もこれに対応して様々な機能・特性の改善が求められている。例えば、セラミック基板は熱伝導率が低いため、放熱性を改善するためにその向上が要求されたり、セラミック基板を薄くして熱抵抗を小さくするために薄型且つ高強度のものが要求されたりしている。半導体素子は、使用中に発熱するため、放熱特性に関する改善が特に重要である。
【0003】
しかし、薄型のセラミック基板を採用するときの問題の一つとして、ヒートシンクとセラミック基板との接合の困難性があげられる。ヒートシンクとセラミックとの間に接着剤を介して接合した場合、接着剤の熱伝導率が非常に悪いため、放熱効果を著しく劣化させてしまう。このような理由から、ヒートシンクとセラミック基板とを直接接触させて接合する方法として、ネジで締め付けて固定する方法が一般的に用いられているが、セラミック基板は薄くするほどその強度が弱くなるため、ネジで締め付けられたときに破損する虞が生じる。また、破損しないようにネジの締め付け強度を弱くすると、セラミック基板とヒートシンクとの間に隙間ができ、熱伝導抵抗を生じて放熱特性が劣化してしまう。
【0004】
このような問題を回避する方法として、例えば特開2000−315756号公報で開示されているように、特定の硬度を有するワッシャを用いることによって基板にかかる負荷を適度に調節して破損の虞を回避する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−315756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の手法を用いても、0.3mm未満の薄いセラミック基板を使用する場合は、セラミック基板が破損する虞があるためネジ締め固定することはできない。その理由は、ネジ締め付けトルクが直接セラミック基板に伝わってネジ締め時にセラミック基板に負荷がかかるためである。換言すれば、ネジ締め付けトルクによる負荷をワッシャで吸収しているだけにすぎないので、締め付けトルクを特定の範囲に限定しなければヒートシンクとセラミック基板とを適切に固定することができないという課題があった。
【0007】
また、破損しないようにするために締め付けトルクを小さくすると、ネジがゆるみやすくなり、その結果ヒートシンクとセラミック基板との間に隙間ができて、熱伝導抵抗を生じてしまうという課題もあった。
【0008】
したがって、本発明は、締め付けトルクを限定することなく、どのような条件で締め付けを行なったとしても、セラミック基板を破損することなくヒートシンクに固定することができ、さらに、ネジのゆるみによるが発生することもない放熱構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、ネジ頭部とヒートシンクとの間に隙間を有した状態のままで、ネジとヒートシンクとを固定できるようなストッパ構造を採用し、さらにその隙間に
環状の弾性体とセラミック基板を積重して
、前記ネジ頭部と前記セラミック基板とが対向している空間の全領域に前記弾性体を介在させると、ネジの締め付けトルクと、セラミック基板にかかる負荷とを独立させることができ、したがって、セラミック基板とヒートシンクとが、弾性体の弾性力のみによって圧接固定されるので、どのような強さのトルクでネジを締めつけても、薄いセラミック基板が破損することのない放熱構造体を得ることができることを見出した。
【0010】
すなわち、ネジ部と、第1ネジ頭部と、前記第1ネジ頭部よりも断面積が大きい第2ネジ頭部とを有する、少なくとも3段構造以上のネジを用いて、ネジ穴を有するヒートシンクに前記ネジ部を螺入して、前記第1ネジ頭部がストッパとなって前記ネジと前記ヒートシンクとを当接固定するとともに、前記ヒートシンクと前記第2ネジ頭部との間に、セラミック基板と
環状の弾性体とを積重して
、前記第2ネジ頭部と前記セラミック基板とが対向している空間の全領域に前記弾性体を介在させて、前記セラミック基板を破損させることなく前記弾性体の弾性力のみによって、前記セラミック基板と前記ヒートシンクとを圧接固定した、放熱構造体。
【0011】
前記セラミック基板の厚みをT2、前記弾性体の厚みをT4、前記第1ネジ頭部の厚みをT1としたとき、T2<T1<(T2+T4)を満たす放熱構造体。
【0012】
ネジ部と、ネジ頭部とを有するネジを用いて、ネジ穴を有するヒートシンクに前記ネジ部を螺入して、前記ネジ穴の底又はネジ山の終点又はネジ溝の終点がストッパとなって前記ネジと前記ヒートシンクとを固定するとともに、前記ヒートシンクと前記ネジ頭部との間に、セラミック基板と弾性体とを積重して介在させて、前記セラミック基板を破損させることなく前記弾性体の弾性力のみによって、前記セラミック基板と前記ヒートシンクとを圧接固定した、放熱構造体。
【0013】
前記ネジ部の長さをT1a、前記ネジ穴の深さをT3、前記セラミック基板の厚みをT2、前記弾性体の厚みをT4としたとき、T2<(T1a−T3)<(T2+T4)を満たす放熱構造体。
【0014】
前記ネジ部の長さをT1a、前記セラミック基板の厚みをT2、前記弾性体の厚みをT4、前記ネジ部の先端から前記ネジ山の終点までの距離をL1aとしたとき、T2<(T1a−L1a)<(T2+T4)を満たす放熱構造体。
【0015】
前記ネジ部の長さをT1a、前記セラミック基板の厚みをT2、前記弾性体の厚みをT4、前記ネジ穴の開口部から前記ネジ溝の終点までの距離をL3aとしたとき、T2<(T1a−L3a)<(T2+T4)を満たす放熱構造体。
【0016】
前記弾性体のショア硬度Aは、70以上である放熱構造体。
【0017】
前記セラミック基板の厚みは、0.3mm未満である放熱構造体。
【0018】
前記セラミック基板はアルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ジルコニア強化アルミナのいずれかから選択される1種を主成分とする放熱構造体。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、ヒートシンクと薄いセラミック基板とをネジで固定するときに、ネジの締め付けトルクを限定することなく、どのようなトルクで締め付けを行なったとしてもセラミック基板を破損する虞がなく、ヒートシンクに固定することができる放熱構造体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図6】本発明においてネジを途中まで螺入したときの断面図
【
図7】本発明においてネジを最後まで螺入したときの断面図。
【
図8】本発明の別の実施例のストッパ原理を示した断面図。
【
図9】本発明のさらに別の実施例のストッパ原理を示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に沿って本発明を実施するための形態について説明する。本発明による放熱構造体は、
図1(a)〜(d)に示した4つの部品を組み合わせることによって効果を発揮するものであるので、まずは、下記の4つの部品について説明する。
(a)ネジ1
(b)弾性体4
(c)セラミック基板2
(d)ヒートシンク3
【0022】
まず、ネジ1について説明する。
図2、3に示したように、ネジ1は、ネジ部1aと第1ネジ頭部1bと第2ネジ頭部1cとからなる。ネジ部1aは断面積S1を有する円柱形状で、ネジ山を有しており対応する雌ネジに螺入して締め付け固定することができる。第1ネジ頭部1bは、断面積S2がネジ部1aの断面積S1よりも大きくなっている。円柱形状とするのが望ましいが、形状は特に限定されるものではない。また、第1ネジ頭部1aの厚み(円柱の高さ)はT1である。第2ネジ頭部1cは、断面積S3が第1ネジ頭部1bの断面積S2よりもさらに大きくなっている。円柱形状や六角柱が望ましいが、これらに限定されるものではない。ネジの材質は、金属、ステンレス、またはPEEK・POM等の耐熱樹脂等、任意の材質を選択可能である。
【0023】
次に、セラミック基板2について説明する。半導体素子のような発熱体は、回路配線が形成されたセラミック基板(絶縁基板)上に搭載して使用される。そして、半導体素子で発生した熱の一部は、大気中に放出されることになるが、大部分はまずセラミック基板に伝導する。したがって、セラミック基板としては、熱伝導率が高いものを使用するのが好ましい。また、セラミック基板の熱伝導率は、後述するヒートシンクの熱伝導率よりは小さいため、できるだけ厚み(T2)が薄いセラミック基板を採用して迅速にヒートシンクへ熱を伝えて放熱する構造をとることが望ましい。具体的には、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ジルコニア強化アルミナなどを主成分とし、セラミック基板の厚み(T2)は、第1ネジ頭部の厚み(T1)よりも小さくする。本発明では、セラミック基板の厚みは何mmであっても効果を発揮することができるが、従来技術では破損の虞があってネジ締めすることができなかった0.3mm未満の薄いセラミック基板であってもセラミック基板が破損する虞がない。そして、セラミック基板2は、上述したネジ1を使用してヒートシンクに固定するので、セラミック基板には貫通孔5を開けておくと好適である。貫通孔5の形状は特に限定されないが、ネジを締めるときの第1ネジ頭部1bの回転を妨げない形状であればよい。
【0024】
次に、ヒートシンク3について説明する。半導体素子からセラミック基板2に伝導した熱を引き継いで放熱するために設置されるものであるので、セラミック基板2よりも熱伝導率の高いもの、例えばアルミニウム、アルミダイカスト、銅等が望ましい。そして、ネジ1のネジ部1aを螺入するためのネジ穴6が形成されている。
【0025】
最後に、弾性体4について説明する。弾性体4は、ネジ1の第2ネジ頭部1cとセラミック基板2との間に介在して、セラミック基板2とヒートシンク3とを固定するためのものである。第2ネジ頭部1cとセラミック基板2との間に介在させることができるものであれば、その形状は特に限定されるものではないが、ネジ1を通すことができる環状体にすると好適である。弾性体4の厚み(T4)は、T1<(T2+T4)となるような厚みとする。また、弾性体4の硬度はショアA70以上であるのが望ましい。材質としては、耐熱ウレタン・シリコンゴム・ブチルゴム等耐熱性の高い材料等が好適に使用できる。
【0026】
次に、上記4つの部品を組み合わせたときの効果について説明するが、分かりやすく説明するために、まず、弾性体4を使用しない場合について説明する。
図4に示すように、ネジ1のネジ部1aを、セラミック基板2に形成された貫通孔5を通してヒートシンク3に形成されているネジ穴6に螺入する。そうすると、
図5に示すように、ネジ部1aの断面積(S1)よりも、第1ネジ頭部1bの断面積(S2)の方が大きいため、第1ネジ頭部1bがストッパの役割を果たすことによって、第1ネジ頭部1bの下面とヒートシンク3の上面とが当接して固定される。このとき、第1ネジ頭部1bの厚み(T1)は、セラミック基板2の厚み(T2)よりも大きいため、第2ネジ頭部1cとセラミック基板2との間には(T1−T2)に相当する隙間が生じており、セラミック基板2が自由に動くことができる状態になっている。すなわち、ネジ1の締め付けトルクをどのような強さに設定しても、セラミック基板2にはなんらの負荷もかかることはないので、セラミック基板2が破損する虞を考慮することなく、任意の締め付けトルクでネジ1とヒートシンク3とを固定することができるので、例えば、JIS−B1082に準拠した締め付けトルクでネジ1とヒートシンク3とを強固に固定することができる。
【0027】
ここに弾性体4を介入した本発明の放熱構造体について説明する。
図6は、ネジ1を完全に螺入してしまう前の状態で、第2ネジ頭部1cと弾性体4とセラミック基板2とヒートシンク3との間に隙間が全くなくなった状態である。しかし、セラミック基板2と弾性体4の厚みの合計(T2+T4)は、第1ネジ頭部1bの厚み(T1)よりも大きいので、第1ネジ頭部1bの下面とヒートシンク3の上面との間には隙間7が存在している。この段階では、まだセラミック基板2にはなんらの負荷もかかっていない。
【0028】
図7は、ネジ1をさらに螺入して、隙間7がなくなるまで完全に螺入した状態である。弾性体4は、弾性を有しているため、ネジ1を螺入するにしたがって第2ネジ頭部1cとセラミック基板2とに押圧されて変形していく。したがって、ネジを螺入するとともに元の形状に戻ろうとする弾性力が徐々に大きくなり、ネジ1が完全に螺入されたときに最も大きい最大弾性力となる。セラミック基板2は、弾性体4とヒートシンク3との間に挟まれているので、セラミック基板2とヒートシンク3とは弾性体4の弾性力のみによって圧接して固定されている。ネジ1とヒートシンク3との締め付けを強くするために、さらに締め付けトルクを強くしても第1ネジ頭部1bがヒートシンク3に当接固定されているので、第2ネジ頭部1cはそれ以上弾性体4を変形させることはなく、弾性力が最大弾性力以上になることはない。すなわち、締め付けトルクと最大弾性力とは、相互に影響することなく独立したパラメーターとなり、どのような締め付けトルクでネジ1を締め付けても、セラミック基板2にかかる負荷は一定になるので、セラミック基板2が、締め付けトルクによって破損する虞はないのである。
【0029】
最大弾性力は、T1、T2、T3及び弾性体のショア硬度Aによってあらかじめ適切な弾性力に調整しておくことができる。したがって、0.3mm未満という薄いセラミック基板を用いた場合であっても、各部品の厚みなどを調整し、弾性力を適切な大きさにしておくことによって、どのようなトルクで締め付けてネジ固定しても、セラミック基板にかかる負荷は常に一定であるのでセラミック基板は破損する虞がないのである。
【0030】
弾性体4のショア硬度Aは、70以上であるのが望ましい。ショア硬度Aが70未満の弾性体を使用すると、ネジ1を螺入したときの弾性体の弾性力が、セラミック基板2をヒートシンク3に押しつける方向よりも、第2ネジ頭部1cとセラミック基板2との間から弾性体4が逃げようとする方向により大きく働いてしまう。すなわち、弾性体4が中途半端にはみ出した状態になって、セラミック基板2を押圧する力が不十分になってセラミック基板とヒートシンクとの間に隙間が生じたり、さらには弾性体4が滑って抜け落ちたりしてしまう虞がある。
【0031】
また、
図8に示した別の実施例について説明する。上述した実施例で使用した3段構造のネジを用いることなく、一般的な2段構造のネジを使用しても、本発明の効果を有する放熱構造体を得ることができる。ネジ部の長さを(T1a)とし、ヒートシンクに形成されたネジ穴の深さを(T3)としたときに、T2<(T1a−T3)<(T2+T4)を満たすように設計すればよい。
【0032】
ネジ部1aの長さよりもネジ穴の深さの方が小さくなるように設計すると、ネジ1をネジ穴に螺入したときに、ヒートシンクに形成されたネジ穴の底6aがストッパの役割を果たすことによって、ネジ頭部1dの下面とヒートシンク3の上面との間には(T1a−T3)に相当する隙間が生じており、セラミック基板2は自由に動くことができる状態になっている。すなわち、ネジ1の締め付けトルクをどのような強さに設定しても、セラミック基板2にはなんらの負荷もかかることはないので、セラミック基板2が破損する虞を考慮することなく、任意の締め付けトルクでネジ1とヒートシンク3とを固定することができる。したがって、
図8に弾性体4を介在させることによって、上述した実施例と同様に、薄いセラミック基板を用いた場合においても破損する虞がなくセラミック基板2とヒートシンク3とを固定することができるという効果が得られるのである。
【0033】
図9に示したさらに別の実施例について説明する。上記2段構造のネジにおいて、ネジ部に形成されているネジ山が、ネジ部の途中までしか形成されていないネジを使用しても、本発明の効果を有する放熱構造体を得ることができる。ネジ部の先端からネジ山の終点1eまでの距離を(L1a)としたときに、T2<(T1a−L1a)<(T2+T4)を満たすように設計すればよい。このように設計すると、ネジ1をネジ穴に螺入したときに、ヒートシンクに形成されたネジ山の終点1eがストッパの役割を果たすことによって、本発明の効果を得ることができる。
【0034】
また、図示しないが、ヒートシンクのネジ穴に形成されたネジ溝の終点がストッパの役割を果たすことによっても、本発明の効果を得ることができる。ネジ穴の開口部からネジ溝の終点までの距離を(L3a)としたとき、T2<(T1a−L3a)<(T2+T4)を満たすように設計すれば良い。
【0035】
以上、本発明の詳細について、実施例を示しながら説明してきたが、ここで示したのは本発明の具体的な実施形態であり、その技術思想を踏まえた上で、発明の効果を著しく損なわない限度において、前記実施形態の一部を変更して実施することが可能であることが理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によると、IGBTや高出力LEDなどの分野に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1;ネジ
1a;ネジ部
1b;第1ネジ頭部
1c;第2ネジ頭部
1d;ネジ頭部
1e;ネジ山の終点
2;セラミック基板
3;ヒートシンク
4;弾性体
5;貫通孔
6;ネジ穴
6a;ネジ穴の底
7;隙間
T1;第1ネジ頭部の厚み
T1a;ネジ部の長さ
T2;セラミック基板の厚み
T3;ネジ穴の深さ
T4;弾性体の厚み
S1;ネジ部の断面積
S2;第1ネジ頭部の断面積
S3;第2ネジ頭部の断面積