(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2アーム部に取り付けられる前記第2モータ駆動ユニット、前記第3モータ駆動ユニットおよび前記第4モータ駆動ユニットを覆うカバー部材と、前記本体部に固定される配線ボックスと、前記カバー部材に一端が着脱可能に取り付けられ前記配線ボックスに他端が着脱可能に取り付けられるフレキシブルチューブと、前記フレキシブルチューブの中に配置される配線とを備えることを特徴とする請求項2または3記載の産業用ロボット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の産業ロボットでは、サーボモータやサーボモータの動力を減速して伝達する減速機等が故障した場合、その周辺部分を分解しないと、サーボモータや減速機等を取り換えることができない。そのため、この産業用ロボットでは、サーボモータや減速機等が故障すると、その修理に時間がかかり、メンテナンス性が良くない。なお、特許文献1に記載の産業ロボットでは、第2旋回アームが2個の分割アームによって構成されているため、回転用サーボモータが故障したときに、第2旋回アームの先端側半分を構成する分割アームを取り外すことで、回転用サーボモータを容易に取り換えることが可能であるが、この場合には、第2旋回アームの先端側半分を取り換えなければならないため、交換用の部品代が高くなる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、産業用ロボットを動作させるためのモータやこのモータの動力を減速して伝達する減速機構が故障した場合に、短時間で、かつ、低コストで修理を行うことが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、本体部と、本体部にその基端側が回動可能に連結される
第1アーム部と第1アーム部の先端側にその基端側が回動可能に連結される第2アーム部とを有するアームとを
備える産業用ロボットにおいて、モータとモータの動力を減速して伝達する減速機構とを有し産業用ロボットを動作させる
第1モータ駆動ユニット
、第2モータ駆動ユニット、第3モータ駆動ユニットおよび第4モータ駆動ユニットを備え、
第1モータ駆動ユニットは、本体部に対して第1アーム部を回動させるために設けられ、第2モータ駆動ユニットは、第1アーム部に対して第2アーム部を回動させるために設けられ、第3モータ駆動ユニットは、第2アーム部の先端側に配置されるエンドエフェクタを第2アーム部に対して回転させるために設けられ、第4モータ駆動ユニットは、第2アーム部に対してエンドエフェクタを昇降させるために設けられ、第1モータ駆動ユニット
、第2モータ駆動ユニット、第3モータ駆動ユニットおよび第4モータ駆動ユニットは、アームと別体で構成され、アームに着脱可能に取り付けられて
おり、第3モータ駆動ユニットは、減速機構として、モータの動力が入力される入力部と、入力部と同軸上に配置され入力部から入力された動力が減速されて出力される出力部とを有する減速機を備えるとともに、出力部に取り付けられる第1プーリと、減速機のケース体を第2アーム部に取り付けるためのプレートとを備え、第4モータ駆動ユニットは、エンドエフェクタが取り付けられるボールネジスプラインと、ボールネジスプラインのボールネジナットに取り付けられる第2プーリと、モータの出力軸に取り付けられる第3プーリと、第2プーリと第3プーリとに架け渡される第1ベルトと、ボールネジスプラインのスプラインナットに取り付けられる第4プーリとを備え、第1プーリと第4プーリとには、第2ベルトが架け渡され、出力部は、ケース体に軸受を介して回転可能に支持され、ケース体は、プレートに取り付けられ、プレートは、第2アーム部に取り付けられ、第2アーム部に対するプレートの取付位置は、第2ベルトの張力を調整するために、調整可能となっていることを特徴とする。
【0008】
本発明の産業用ロボットでは、モータとモータの動力を減速して伝達する減速機構とを有し産業用ロボットを動作させる
第1モータ駆動ユニット
、第2モータ駆動ユニット、第3モータ駆動ユニットおよび第4モータ駆動ユニットがアームと別体で構成されており、アームに着脱可能に取り付けられている。そのため、本発明では、モータや減速機構が故障した場合に、アームに着脱可能なモータ駆動ユニットを取り換えることで産業用ロボットの修理を行うことができる。したがって、本発明では、モータや減速機構が故障した場合に、産業用ロボットの修理を短時間で行うことが可能になる。また、本発明では、モータや減速機が故障した場合に、アームの一部分を交換する必要がない。したがって、本発明では、モータや減速機構が故障した場合に、産業用ロボットの修理を低コストで行うことが可能になる。
【0010】
本発明において、たとえば、第1モータ駆動ユニットは、第1アーム部および本体部に着脱可能に取り付けられ、第2モータ駆動ユニットは、第1アーム部および第2アーム部に着脱可能に取り付けられ、第3モータ駆動ユニットおよび第4モータ駆動ユニットは、第2アーム部に着脱可能に取り付けられている。この場合には、いずれのモータ駆動ユニットを構成するモータや減速機構が故障した場合であっても、産業用ロボットを短時間で、かつ、低コストで修理することが可能になる。
【0011】
本発明において、第1アーム部には、第1モータ駆動ユニットを位置決めするための第1凹部と、第2モータ駆動ユニットを位置決めするための第2凹部とが形成され、第2アーム部には、第2モータ駆動ユニットの一部が配置される配置孔が形成され、配置孔には、第2モータ駆動ユニットを位置決めするための段部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1モータ駆動ユニットおよび第2モータ駆動ユニットをアームに対して容易に位置決めすることが可能になる。したがって、第1モータ駆動ユニットを構成するモータ等や第2モータ駆動ユニットを構成するモータ等が故障した場合に、より短時間で産業用ロボットの修理を行うことが可能になる。また、産業用ロボットの組立時に、第1モータ駆動ユニットおよび第2モータ駆動ユニットを短時間でアームに取り付けることが可能になる。
【0014】
本発明において、産業用ロボットは、第2アーム部に取り付けられる第2モータ駆動ユニット、第3モータ駆動ユニットおよび第4モータ駆動ユニットを覆うカバー部材と、本体部に固定される配線ボックスと、カバー部材に一端が着脱可能に取り付けられ配線ボックスに他端が着脱可能に取り付けられるフレキシブルチューブと、フレキシブルチューブの中に配置される配線とを備えていることが好ましい。このように構成すると、フレキシブルチューブの中に配置される配線が故障した場合に、フレキブルチューブと一緒にカバー部材および配線ボックスから配線を取り外して、故障した配線のみを交換することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、産業用ロボットを動作させるためのモータやこのモータの動力を減速して伝達する減速機構が故障した場合に、短時間で、かつ、低コストで産業用ロボットの修理を行うことが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(産業用ロボットの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の構成を説明するための側面図である。
図2は、
図1に示す産業用ロボット1の平面図である。
図3は、
図1に示す第1アーム部11の図であり、(A)は平面図、(B)は底面図である。
図4は、
図1に示す第2アーム部12の図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のE−E断面の断面図である。以下の説明では、
図1のZ方向を上下方向とする。また、Z1方向側を「上」側とし、Z2方向側を「下」側とする。
【0019】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、部品の製造ラインや組立ライン等に設置されて使用される水平多関節ロボット(SCARAロボット)である。このロボット1は、本体部2と、本体部2にその基端側が回動可能に連結されるアーム3と、ロボット1を動作させるための4つのモータ駆動ユニット4〜7とを備えている。アーム3は、第1アーム部11と、第1アーム部11の上側に配置される第2アーム部12との2個のアーム部によって構成されている。第1アーム部11の基端側は、本体部2に回動可能に連結されている。第2アーム部12の基端側は、第1アーム部11の先端側に回動可能に連結されている。
【0020】
モータ駆動ユニット4は、本体部2に対して第1アーム部11を回動させるために設けられている。このモータ駆動ユニット4は、本体部2と第1アーム部11とを繋ぐ関節部13を構成している。モータ駆動ユニット5は、第1アーム部11に対して第2アーム部12を回動させるために設けられている。このモータ駆動ユニット5は、第1アーム部11と第2アーム部12とを繋ぐ関節部14を構成している。モータ駆動ユニット6は、第2アーム部12の先端側に配置されるエンドエフェクタ(図示省略)を第2アーム部12に対して回転させるために設けられている。モータ駆動ユニット7は、第2アーム部12に対してエンドエフェクタを昇降させるために設けられている。モータ駆動ユニット4〜7の具体的な構成については後述する。
【0021】
本体部2は、略円筒状に形成されている。この本体部2の下端は、たとえば、製造ラインや組立ラインの一部をなすフレーム16に固定されている。本体部2の側面には、略直方体状に形成される配線ボックス18が固定されている。配線ボックス18の中には、非常用の電源や所定の基板等が収容されている。
【0022】
第1アーム部11は、上下方向から見たときの形状が略長方形状となる上下方向に扁平なブロック状に形成されている。第1アーム部11の基端側の下面には、モータ駆動ユニット4を位置決めするための第1凹部としての凹部11aが形成されている。凹部11aは、円形状に形成されるとともに上側へ窪むように形成されている。また、第1アーム部11の基端側には、モータ駆動ユニット4の一部を固定するためのボルト19が配置される複数の配置孔11bが形成されている。配置孔11bは、上下方向で第1アーム部11を貫通するように形成されている。また、複数の配置孔11bは、凹部11aを囲む円環状に配置されている。配置孔11bの上端側には、ボルト19の頭部とネジ部との境界部分が当接する段部11cが形成されている。
【0023】
第1アーム部11の先端側の上面には、モータ駆動ユニット5を位置決めするための第2凹部としての凹部11dが形成されている。凹部11dは、円形状に形成されるとともに下側へ窪むように形成されている。また、第1アーム部11の先端側には、モータ駆動ユニット5の一部を固定するためのボルト20が配置される複数の配置孔11eが形成されている。配置孔11eは、上下方向で第1アーム部11を貫通するように形成されている。また、複数の配置孔11eは、凹部11dを囲む円環状に配置されている。配置孔11eの上端側には、ボルト20の頭部とネジ部との境界部分が当接する段部11fが形成されている。
【0024】
第2アーム部12は、上下方向から見たときの形状が略長円形状となる上下方向に扁平なブロック状に形成されている。第2アーム部12の基端側には、モータ駆動ユニット5の下端側部分が配置される配置孔12aが形成されている。配置孔12aは、上下方向で第2アーム部12を貫通するように形成されている。また、配置孔12aは、丸孔状に形成されている。配置孔12aの上端側には、モータ駆動ユニット5を位置決めするための円環状の段部12bが形成されている。
【0025】
第2アーム部12の配置孔12aよりも先端側には、モータ駆動ユニット6の下端側部分が配置される配置孔12cと、モータ駆動ユニット7を構成する後述のモータ45の下端側部分が配置される配置孔12dと、モータ駆動ユニット7を構成する後述のプーリ61等が配置される配置孔12eとが形成されている。配置孔12c〜12eは、第2アーム部12の基端側から先端側に向かってこの順番に形成されている。また、配置孔12c〜12eは、上下方向で第2アーム部12を貫通するように形成されている。また、配置孔12c、12dは、略四角孔状に形成され、配置孔12eは、丸孔状に形成されている。
図4(B)に示すように、配置孔12c〜12eの上端側は互いに分かれているが、配置孔12c〜12eの下端側は互いに繋がっている。第2アーム部12の下面には、配置孔12c〜12eを覆うカバー部材21が固定されている。
【0026】
第2アーム部12の上面側には、後述のように、モータ駆動ユニット5〜7が取り付けられており、モータ駆動ユニット5〜7の一部は、第2アーム部12の上面よりも突出している。第2アーム部12の上面側には、モータ駆動ユニット5〜7を覆うカバー部材22が取り付けられている。カバー部材22には、柔軟性を有する樹脂で形成されたフレキシブルチューブ23の一端が着脱可能に取り付けられている。具体的には、カバー部材22の、モータ駆動ユニット5の上方に、フレキシブルチューブ23の一端が着脱可能に取り付けられている。フレキシブルチューブ23の他端は、配線ボックス18に着脱可能に取り付けられている。フレキシブルチューブ23の中には、モータ駆動ユニット5〜7を構成する後述のモータ30、35、45等に接続される配線(図示省略)が配置されている。この配線の一端は、モータ30、35、45等にコネクタを介して着脱可能に接続され、この配線の他端は、配線ボックス18内に配置される基板や所定の配線にコネクタを介して着脱可能に接続されている。
【0027】
(モータ駆動ユニットの構成)
図5は、
図1に示すモータ駆動ユニット4を説明するための図である。
図6は、
図1に示すモータ駆動ユニット5を説明するための図である。
図7は、
図1に示すモータ駆動ユニット6を説明するための図である。
図8は、
図1に示すモータ駆動ユニット7を説明するための図である。
【0028】
モータ駆動ユニット4は、本体部2および第1アーム部11と別体で構成されており、本体部2および第1アーム部11に着脱可能に取り付けられている。このモータ駆動ユニット4は、本体部2に対して第1アーム部11を回動させるためのモータ25と、モータ25の動力を減速して伝達する減速機構としての減速機26とを備えている。本形態では、モータ駆動ユニット4は、モータ25と減速機26とから構成されている。モータ25は、その出力軸が上側へ突出するように配置されており、減速機26は、モータ25の上側に配置されている。
【0029】
減速機26は、モータ25の動力が入力される入力部27と、入力部27から入力された動力が減速されて出力される出力部28とを備えている。入力部27には、モータ25の出力軸が固定され、出力部28には、ボルト19によって第1アーム部11の基端側が固定されている。入力部27と出力部28とは同軸上に配置されている。また、入力部27および出力部28は、減速機26のケース体29に軸受を介して回転可能に支持されている。ケース体29には、モータ25の本体が固定されている。また、ケース体29は、略円筒状に形成される本体部2の上端に固定されている。具体的には、ケース体29に径方向の外側へ広がるフランジが形成されており、このフランジが本体部2の上端に固定されている。出力部28には、第1アーム部11の凹部11aに係合する円板状の凸部28aが上側へ突出するように形成されている。
【0030】
モータ駆動ユニット5は、第1アーム部11および第2アーム部12と別体で構成されており、第1アーム部11および第2アーム部12に着脱可能に取り付けられている。このモータ駆動ユニット5は、第1アーム部11に対して第2アーム部12を回動させるためのモータ30と、モータ30の動力を減速して伝達する減速機構としての減速機31とを備えている。本形態では、モータ駆動ユニット5は、モータ30と減速機31とから構成されている。モータ30は、その出力軸が下側へ突出するように配置されており、減速機31は、モータ30の下側に配置されている。また、減速機31の大半部分は、第2アーム部12の配置孔12aの中に配置されている。
【0031】
減速機31は、モータ30の動力が入力される入力部32と、入力部32から入力された動力が減速されて出力される出力部33とを備えている。入力部32には、モータ30の出力軸が固定され、出力部33には、ボルト20によって第1アーム部11の先端側が固定されている。入力部32と出力部33とは同軸上に配置されている。また、入力部32および出力部33は、減速機31のケース体34に軸受を介して回転可能に支持されている。ケース体34には、モータ30の本体が固定されている。また、ケース体34は、第2アーム部12の基端側に固定されている。具体的には、ケース体34に径方向の外側へ広がるフランジが形成されており、このフランジが第2アーム部12の配置孔12aの段部12bに当接した状態で段部12bに固定されている。出力部33には、第1アーム部11の凹部11dに係合する円板状の凸部33aが下側へ突出するように形成されている。
【0032】
モータ駆動ユニット6は、第2アーム部12と別体で構成されており、第2アーム部12に着脱可能に取り付けられている。このモータ駆動ユニット6は、第2アーム部12に対してエンドエフェクタ(図示省略)を回転させるためのモータ35と、モータ35の動力を減速して伝達する減速機構としての減速機36とを備えている。モータ35は、その出力軸が下側へ突出するように配置されており、減速機36は、モータ35の下側に配置されている。
【0033】
減速機36は、モータ35の動力が入力される入力部37と、入力部37から入力された動力が減速されて出力される出力部(図示省略)とを備えている。入力部37には、モータ35の出力軸が固定され、出力部には、第1プーリとしてのプーリ40が固定されている。入力部37と出力部とは同軸上に配置されている。また、入力部37および出力部は、減速機36のケース体39に軸受を介して回転可能に支持されている。ケース体39には、モータ35の本体が固定されている。また、ケース体39は、ケース体39を第2アーム部12の上面に固定するためのプレート41に取り付けられており、プレート41は、第2アーム部12の上面に固定されている。プーリ40は、ケース体39の下側に配置されている。また、減速機36の下端側およびプーリ40は、配置孔12cの中に配置されている。
【0034】
本形態のモータ駆動ユニット6は、モータ35と減速機36とプーリ40とプレート41とから構成されている。なお、後述のベルト52の張力を調整するため、第2アーム部12の上面に対するプレート41の固定位置は調整可能となっている。
【0035】
モータ駆動ユニット7は、第2アーム部12と別体で構成されており、第2アーム部12に着脱可能に取り付けられている。このモータ駆動ユニット7は、エンドエフェクタが取り付けられるボールネジスプライン44と、第2アーム部12に対してエンドエフェクタを昇降させるためのモータ45とを備えている。ボールネジスプライン44は、上下方向を軸方向として配置されるボールネジスプライン軸46と、ボールネジスプライン軸46を上下方向へ移動させるボールネジナット47と、ボールネジスプライン軸46の軸心を中心にボールネジスプライン軸46を回転させるスプラインナット48とを備えている。
【0036】
モータ45は、その出力軸が上側へ突出するように配置されている。また、モータ45の下端側は、配置孔12dの中に配置されている。モータ45の出力軸には、第3プーリとしてのプーリ49が固定されている。ボールネジナット47には、第2プーリとしてのプーリ50が取り付けられている。ボールネジナット47とプーリ50とは同軸上に配置されている。プーリ49とプーリ50とには、第1ベルトとしてのベルト51が架け渡されている。スプラインナット48には、第4プーリとしてのプーリ61が取り付けられている。スプラインナット48とプーリ61とは同軸上に配置されている。プーリ40とプーリ61との間には、第2ベルトとしてのベルト52が架け渡されている。
【0037】
ボールネジナット47およびスプラインナット48は、略円筒状に形成される保持部材53に回転可能に保持されている。ボールネジナット47は、保持部材53の上端側に回転可能に保持され、スプラインナット48は、保持部材53の下端側に回転可能に保持されている。保持部材53の上端には、プレート58が固定されており、このプレート58の上面には、プレート59が固定されている。プレート59には、モータ45の本体が固定されている。保持部材53の下端は、第2アーム部12の上面に、かつ、配置孔12eの縁に固定されている。配置孔12eの中には、プーリ61等が配置されている。なお、ベルト51の張力を調整するため、プレート58に対するプレート59の固定位置は調整可能となっている。
【0038】
ボールネジスプライン軸46の下端には、エンドエフェクタが取り付けられている。また、ボールネジスプライン軸46の下端側には、ベローズ54の下端が固定されるベローズ固定部材55が軸受を介して取り付けられている。ベローズ54の上端は、カバー部材21に取り付けられている。ボールネジスプライン軸46の上端側には、ベローズ56の上端が固定されるベローズ固定部材57が軸受を介して取り付けられている。ベローズ56の下端は、カバー部材22に取り付けられている。
【0039】
モータ駆動ユニット7では、モータ45が回転すると、プーリ49、50およびベルト51を介してモータ45の動力がボールネジナット47に伝達されてボールネジナット47が回転し、ボールネジスプライン軸46が昇降する。すなわち、ボールネジスプライン軸46の下端に取り付けられたエンドエフェクタが昇降する。また、ボールネジスプライン軸46が昇降すると、ベローズ54、56が伸縮する。本形態では、プーリ49、50、ベルト51、ボールネジスプライン軸46およびボールネジナット47によって、モータ45の動力を減速して伝達する減速機構60が構成されている。また、本形態のモータ駆動ユニット7は、ボールネジスプライン44とモータ45とプーリ49、50、61とベルト51と保持部材53とベローズ固定部材55、57とプレート58、59とから構成されている。
【0040】
また、モータ35が回転すると、プーリ40、61およびベルト52を介してモータ35の動力がスプラインナット48に伝達されてスプラインナット48が回転し、ボールネジスプライン軸46がその軸中心を中心にして回転する。すなわち、ボールネジスプライン軸46の下端に取り付けられたエンドエフェクタが、ボールネジスプライン軸46の軸中心を中心にして回転する。
【0041】
なお、本形態では、モータ駆動ユニット4は、第1モータ駆動ユニットであり、モータ駆動ユニット5は、第2モータ駆動ユニットであり、モータ駆動ユニット6は、第3モータ駆動ユニットであり、モータ駆動ユニット7は、第4モータ駆動ユニットである。
【0042】
(産業用ロボットの組立手順)
以上のように構成されたロボット1は、たとえば、以下の手順で組み立てられる。すなわち、まず、モータ駆動ユニット4〜7のそれぞれを個別に組み立てる。その後、モータ駆動ユニット4を本体部2に取り付け、モータ駆動ユニット5〜7を第2アーム部12に取り付ける。モータ駆動ユニット6、7を第2アーム部12に取り付けた後には、プーリ40とプーリ61とにベルト52を架け渡す。その後、本体部2に取り付けられているモータ駆動ユニット4に第1アーム部11を取り付けるとともに、第2アーム部12に取り付けられているモータ駆動ユニット5に第1アーム部11を取り付ける。
【0043】
また、本体部2に配線ボックス18を取り付けるとともに、カバー部材21、22およびベローズ54、56を取り付ける。また、フレキシブルチューブ23の中に配置される配線を接続してから、フレキシブルチューブ23の一端をカバー部材22に取り付け、フレキシブルチューブ23の他端を配線ボックス18に取り付ける。
【0044】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、モータ駆動ユニット4は、本体部2および第1アーム部11と別体で構成されており、本体部2および第1アーム部11に着脱可能に取り付けられている。また、本形態では、モータ駆動ユニット5は、第1アーム部11および第2アーム部12と別体で構成されており、第1アーム部11および第2アーム部12に着脱可能に取り付けられている。さらに、本形態では、モータ駆動ユニット6、7は、第2アーム部12と別体で構成されており、第2アーム部12に着脱可能に取り付けられている。そのため、本形態では、モータ25、30、35、45、減速機26、31、36または減速機構60等が故障した場合に、モータ駆動ユニット4〜7を取り換えることでロボット1の修理を行うことができる。したがって、本形態では、モータ25、30、35、45、減速機26、31、36または減速機構60等が故障した場合に、ロボット1を短時間で修理することが可能になる。また、本形態では、モータ25、30、35、45、減速機26、31、36または減速機構60等が故障した場合に、本体部2やアーム3を交換する必要がない。したがって、本形態では、モータ25、30、35、45、減速機26、31、36または減速機構60等が故障した場合に、ロボット1の修理を低コストで行うことが可能になる。
【0045】
特に本形態では、ロボット1が有する全てのモータ25、30、35、45と、全ての減速機26、31、36と、減速機構60とがモータ駆動ユニット4〜7に組み込まれ、このモータ駆動ユニット4〜7は、本体部2やアーム3に着脱可能に取り付けられている。そのため、どのモータ駆動ユニット4〜7を構成するモータ25、30、35、45等が故障しても、ロボット1を短時間で、かつ、低コストで修理することが可能になる。
【0046】
本形態では、第1アーム部11に凹部11a、11dが形成され、減速機26の出力部28に凹部11aに係合する凸部28aが形成され、減速機31の出力部33に凹部11dに係合する凸部33aが形成されている。また、本形態では、第2アーム部12の配置孔12aの上端側に、モータ駆動ユニット5を位置決めするための段部12bが形成されている。そのため、本形態では、モータ駆動ユニット4、5をアーム3に対して容易に位置決めすることが可能になる。したがって、本形態では、モータ駆動ユニット4を構成するモータ25等やモータ駆動ユニット5を構成するモータ30等が故障した場合に、より短時間でロボット1の修理を行うことが可能になる。また、本形態では、ロボット1の組立時に、モータ駆動ユニット4、5を短時間でアーム3に取り付けることが可能になる。
【0047】
本形態では、フレキシブルチューブ23の一端はカバー部材22に着脱可能に取り付けられ、フレキシブルチューブ23の他端は配線ボックス18に着脱可能に取り付けられている。また、本形態では、フレキシブルチューブ23の中に配置される配線の一端は、モータ30、35、45等にコネクタを介して着脱可能に接続され、この配線の他端は、配線ボックス18内に配置される基板や所定の配線にコネクタを介して着脱可能に接続されている。そのため、本形態では、フレキシブルチューブ23の中に配置される配線が故障した場合に、フレキブルチューブ23と一緒にカバー部材22および配線ボックス18から配線を取り外して、故障した配線のみを交換することが可能になる。また、モータ駆動ユニット5〜7を交換する際には、フレキシブルチューブ23の一端をカバー部材22から取り外して、フレキシブルチューブ23の中に配置される配線の一端とモータ30、35、45等とをコネクタ部分で着脱すれば良いため、モータ駆動ユニット5〜7の交換作業が容易になる。
【0048】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0049】
上述した形態では、ロボット1が有する全てのモータ25、30、35、45と、全ての減速機26、31、36と、減速機構60とがモータ駆動ユニット4〜7に組み込まれている。この他にもたとえば、モータ25、30、35、45や、減速機26、31、36、減速機構60の中に、モータ駆動ユニット4〜7に組み込まれずに、本体部2やアーム3に直接、組み込まれるものがあっても良い。
【0050】
上述した形態では、アーム3は、第1アーム部11と第2アーム部12との2個のアーム部によって構成されているが、アーム3は、3個以上のアーム部によって構成されても良い。また、上述した形態では、ロボット1は、水平多関節ロボットであるが、本発明が適用されるロボットは、水平多関節ロボット以外のロボットであっても良い。