(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の複数の実施形態について添付した図を参照しながら説明する。なお、以下の説明における上下方向、水平・垂直方向の表現は、
図1等に示されたように、カバー1が鉛直方向における上方に位置し、光源収容体2が同下方に位置した場合を基準としている。また、前後の表現は、照明ランプ内に位置する発光ダイオード(LED)の向き(より具体的にはLEDから発される光束の向き)を基準としている。
【0021】
まず、第1実施形態について説明する。本実施形態の反射板が組み込まれた照明装置のうち一部を構成する照明ランプは、従来の、発光部分が直管とされた直管形蛍光灯の代替を主な目的としており、発光部分の外観が直管状である照明ランプである。
図1に示すように、光を拡散させつつ透過させるカバー1と、光源LであるLEDを収容した、基台部としての光源収容体2と、光源Lからの光を反射する反射板3と、光を拡散させる拡散板4と、電流を供給するソケットに挿入される一対の口金5,5とから構成されている。そして、カバー1の軸線に沿って光源収容体2が取り付けられることで直管状となり、該直管状部分における内部空間に、反射板3及び拡散板4が配置され、該直管状部分(カバー1及び光源収容体2)の両端部に一対の口金5,5が取り付けられることで照明装置が形成される。
【0022】
前記カバー1は、光源収容体2に対して着脱可能であり、軸線方向が長手となるように形成されている。本実施形態では、カバー1は、円筒状の外周部が軸線方向に沿う側方開口部1bの形成により長手方向に沿って切り欠かれ(具体的には、長手方向の両端間の全域に亘って)、長手方向に直交する断面の断面形状が略「C」字状に形成されている。また、カバー1は、両端部に端部開口部1a,1aが形成されている。側方開口部1bは、長手方向に平行に形成されており、幅寸法は該側方開口部1bに光源収容体2が装着可能な寸法とされている。このため、カバー1は、該カバー1に加えられた下方への外力を受け、側方開口部1bが幅方向に拡大するように弾性変形可能とされている。また、この側方開口部1bの開口端縁1cは、カバー1を光源収容体2に装着する際に、光源収容体2における収容体フランジ部2bの上側面2b1に間接的に(本実施形態では反射板3及び拡散板4越しに)当接する当接部として機能する。
【0023】
また、カバー1は、内周面から突出する係止部としての係止突起1dを備えている。該係止突起1dは、長手方向に平行に形成されている。具体的には、係止突起1dは、側方開口部1bに近い側に1本ずつ端側係止突起1d1が形成され、更に、側方開口部1bから周方向に離れた位置に1本ずつ奥側係止突起1d2が形成されている。つまり、側方開口部1bの幅方向一方側につき2本ずつ形成されている。端側係止突起1d1の基端部の奥側の位置と、奥側係止突起1d2の基端部の端側(側方開口部側)の位置との距離は、拡散板フランジ部4b、反射板フランジ部3c、収容体フランジ部2bを重ね合わせた厚さ寸法と略一致している。
【0024】
係止突起1dは、カバー1の両端部に形成された端部開口部1a,1a間の全域に亘って直線状に形成されている。本実施形態では、係止突起1dは、2本1組である各組が側方開口部1bを挟むようにして一対形成されている。また、係止突起1dの断面形状は三角形とされている。詳しくは、係止突起1dにおける側方開口部1b寄りの側面形状が、カバー1を光源収容体2に装着した状態(または、照明ランプとして組み立てられた状態)にて光源収容体2の収容体フランジ部2bの上側面2b1と平行な面であり、反対側の側面が同状態にて水平な面となる形状である。このような形状とすることにより、カバー1の光源収容体2への装着後に、収容体フランジ部2bの上側面2b1側において係止突起1dによる遮光を防止できる。なお、本実施形態では、側方開口部1bの開口端縁1cに一致して端側係止突起1d1が形成されているが、開口端縁1cから周方向に離れた位置に端側係止突起1d1が形成されていてもよい。また、係止突起1dは側方開口部1bの幅方向一方側に1本ずつ形成されていてもよい。
【0025】
なお、カバー1を形成する材料としては、光拡散透過性を有するもの、つまり、光源Lからの光を拡散透過できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、屈折率の異なる樹脂を混合したものや、非相溶微粒子が材料に添加または表面に塗布されたものであってもよい。特に、本実施形態ではカバー1を光源収容体2に装着するため、側方開口部1bが拡大・縮小する際にカバー1が変形する。このため、強度に優れた材質とすることが好ましく、好ましい材料として、例えば、ポリアクリル酸メチル系やポリカーボネート系の樹脂素材が挙げられる。また、例えば、カバー1の表面に凹条及び凸条、または微細加工が施されたことにより、光拡散性が付与されてもよい。
【0026】
前記のように構成されたカバー1は、光源収容体2の幅方向外側から装着される。このため、透光性のあるカバーを、直管状である発光部分における、周方向の広い範囲に位置させるようにできる。よって、照明ランプの配光性を向上できる。なお、本実施形態における「発光部分」とは、従来の直管形等の蛍光灯における発光部分に対応する部分であって、口金や口金に接続された台座を除いた部分を指す。
【0027】
前記光源収容体2は、一方向に沿って長手となるように形成されている。光源収容体2の長さとしては、特に限定されるものではないが、本実施形態では、カバー1の長手方向の長さとほぼ同一長さのものが用いられる。また、光源収容体2は、光源LとしてLEDを備える光源モジュールLmを収容するよう構成されている。具体的には、光源収容体2は、凹状(より詳しくは、長手方向に直交する断面形状が凹状)に形成されて、内側に光源モジュールLmを収容するように構成されている。なお、本実施形態の光源モジュールLmは、光源収容体2の長手方向に沿って長手となるように形成され、基板上に長手方向に沿って複数の光源Lが直線状に(一方向に)等間隔で配列された基板実装型である。本実施形態では、
図1に示すように、光源Lが一列に並ぶように配列されているが、これに限定されるものではなく、複数列が並ぶように配列されたり、千鳥状に配列されたりしてもよい。更には、下記の第2実施形態(
図7(a)参照)または第4実施形態(
図7(b)参照)のように、複数の光源L…Lが上方から見た場合に、平面方向に広がって配置されてもよい。逆に、一つの光源Lのみから光源モジュールLmが構成されていてもよい(
図11参照)。また、光源モジュールLmは、前記基板実装型以外にも配線モジュール型など、便宜選択できる。
【0028】
光源収容体2について、より詳しく説明すると、
図2に示すように、光源収容体2は、凹状に形成されて光源モジュールLmを収容する収容体凹部2aと、該収容体凹部2aの幅方向端部から外方に延設された収容体フランジ部2bとを備えている。ここで、外方とは、カバー1が光源収容体2に装着された状態で、軸線方向に直交する方向(即ち、カバー1及び光源収容体2の長手方向に直交する方向)であって、収容体凹部2aの内側から外側に向かう方向をいう。
【0029】
前記収容体凹部2aは、光源モジュールLmが載置される収容体底部2cと、該収容体底部2cの端部から開放方向に向かって形成された一対の収容体壁部2d,2dとから構成されている。
【0030】
収容体底部2cは、上面が光源収容体2の長手方向に沿って長手となる平面に形成されている。また、収容体底部2cは、光源モジュールLmと密着するように構成されている。収容体壁部2dは、光源収容体2(即ち、収容体底部2c)の長手方向に沿って(具体的には、長手方向の両端間の全域に亘って)形成されている。収容体壁部2dのうち下部は、収容体底部2cに対して略直交するように形成されている。一方、収容体壁部2dのうち中間部は、収容体底部2cよりも外方に向かって傾斜するように形成されている。そして、収容体壁部2dのうち上部は、上方に向かうように形成されている。
【0031】
収容体底部2cの下面、及び、収容体壁部2dの外面からはフィン部2eが複数突出している。収容体底部2c側のフィン部2eは、収容体底部2cの下面に対して直交し、長手方向に沿って形成された平板状のものである。収容体壁部2d側のフィン部2eは、
図2に示すような、内側面が垂直面とされ外側面が傾斜面とされた断面形状であり、長手方向に沿って形成されものである。そして、収容体壁部2d側のフィン部2eにおける外側上方の面は嵌合部2fの一部を構成する。
【0032】
前記収容体フランジ部2bは、収容体凹部2aの開放方向に位置する収容体壁部2dの端部から下斜め外方に延設されるように形成されている。また、収容体フランジ部2bは、光源収容体2の長手方向に沿って(具体的には、長手方向の両端間の全域に亘って)形成されている。この収容体フランジ部2bの上側面2b1は、幅方向において外向きの、平坦な傾斜面とされている。本実施形態では、この上側面2b1の傾斜角度は45°とされている。
【0033】
フランジ部2bにおける内側下方面、収容体壁部2d側のフィン部2eにおける外側上方面、収容体壁部2dのうち上部により、長手方向に沿う溝状の嵌合部2fが形成されている。この嵌合部2fは、係止部としての係止突起1dに対する被係止部として機能する。この嵌合部2fにはカバー1の端側係止突起1d1が嵌合する。
【0034】
なお、光源収容体2を形成する材料としては、特に限定されるものではなく、本実施形態では、アルミニウム合金が押出成型されて形成されている。ただし、アルミニウム合金に限定されず、種々の素材を用いることができる。特に放熱を考慮すると、熱伝導性の高い素材(金属等)を用いることが好ましい。このような素材を用いて光源収容体2を形成することで、光源モジュールLmの熱を光源収容体2の外側に放散させることができ、光源モジュールLmが温度上昇してしまうのを抑制することができる。特に、アルミニウム合金は、熱伝導性に優れ、軽量とでき、加工性が良く、表面の光反射性にも優れるため好ましい。更に、本実施形態の光源収容体2にはフィン部2eが形成されているため、光源モジュールLmの熱をフィン部2eから効果的に放散させることができる。なお、本発明においてフィン部2eの形成は必須ではなく、省略してもよい。また、フィン以外の形状であって、光源収容体2の表面積を増加させたことにより放熱を促進するように構成されていてもよい。
【0035】
図1に戻り、前記反射板3は、一方向に沿って長手となるように形成されている。反射板3の長さとしては、特に限定されるものではなく、種々の長さとできる。また、反射板3は、凹状(具体的には、長手方向に直交する断面形状が凹状)の形状を有する。また、反射板3は、この凹状となる領域(後述する反射板凹部3a)を複数備えている。この凹状となる領域は、反射板3の長手方向に沿って複数形成されている。そして、反射板3は、各凹状となる領域の内側に形成された空間同士を仕切る仕切壁部3bを各凹状となる領域間に備えている。この反射板3は、光源収容体2の上方に重ねられることで、反射板3の表面(特に反射壁部3eにおける反射内壁面3f及び仕切壁部3bにおける壁面3j)にて光源Lからの光を反射してカバー1に至らせることができる。これにより照明ランプの照度を向上できる。また、複数の光源Lによる光のムラを低減でき、配光を均一化できる(これは特に、拡散反射性の高い反射板を用いた場合に顕著に奏される効果である)。
【0036】
反射板3について、より詳しく説明すると、
図3(a)に示すように、反射板3は、光源収容体2が組み合わされたカバー1内に収容された状態(光源収容体2とカバー1との係止により形成された空間に反射板3が位置する状態)で、カバー1の軸線(換言すれば、反射板3の長手方向)に直交する断面形状が凹状となるように形成された反射板凹部3aと、該反射板凹部3aの開放方向に位置する端部から外方に延設された反射板フランジ部(外縁面部)3cとを備えている。本実施形態では、反射板凹部3aは、カバー1の軸線(換言すれば、反射板3の長手方向)に沿って複数形成されている。そして、各反射板凹部3aの内側に形成された空間同士を仕切る仕切壁部3bが各反射板凹部3aの間に形成されている。ここで、外方とは、カバー1内に反射板3が収容された状態で、カバー1の軸線に直交する方向であって、反射板凹部3aの内側から外側に向かう方向をいう。
【0037】
前記反射板凹部3aは、平板状(具体的には、平面視四角形状)に形成された底部である反射底部3dと、同じく平板状に形成され、該反射底部3dの端部から開放方向に向かって形成された対向する一対の反射壁部(周側壁部)3e,3eとから構成されている。また、反射板凹部3aは、反射底部3dにおける外縁部から開放方向に向かって外方前方へと傾斜するように立ち上げられて形成された反射内壁面(内反射面)3fを備えている。
【0038】
反射底部3dは、厚み方向に貫通するように形成された開口部3gを備えている。該開口部3gは、反射板凹部3aの下方外側から光源Lを挿入可能に構成されており、
図5に示すように反射板3を光源収容体2に重ね合わせた状態で、反射底部3dの上方に光源Lの一部(具体的にはLEDのうち光を発する部分である発光部を含む部分)が突出する。これにより、反射底部3dから光源Lの光が照射される。反射内壁面3fは、対向する一対の反射壁部3e,3eにおける対向する面が反射底部3dから開放方向に向かって外方に傾斜するように形成されてなるものである。即ち、反射板凹部3aは、一対の対向する反射内壁面3f,3fを備えている。
【0039】
前記反射板フランジ部3cは、反射板凹部3aの開放方向に位置する反射壁部3eの端部から下斜め外方に延設されるように形成されている。つまり、この反射板フランジ部3cにおける上側面(外反射面)は、反射壁部3eにおける反射内壁面(内反射面)3fとは異なる角度に傾斜した面である。また、反射板フランジ部3cは、反射板3の長手方向に沿って(具体的には、長手方向の両端間の全域に亘って)形成されている。また、反射板フランジ部3cは、上側面と下側面とが、
図5に示すように、光源収容体2に反射板3を重ね合わせた状態で、光源収容体2における収容体フランジ部3bの上側面2b1に対して平行となるように形成されている。左右の反射板フランジ部3c,3cが光源収容体2とカバー1とによって挟まれるため、接着剤や接着テープを用いることなしに、反射板3を光源収容体2に対してずれることなく固定できる。
【0040】
仕切壁部3bは、カバー1の軸線(換言すれば、反射板3の長手方向)に略直交するように形成されている。また、仕切壁部3bは、反射板3の長手方向に沿って間隔を空けて(等間隔で)複数配置されている。そして、対向する一対の仕切壁部3b,3bは、
図3(b)に示すように、対向する壁面3j,3j同士の間隔が反射板凹部3aの開放方向に向かって広くなるように形成されている。壁面3j,3jは、前記反射壁部3e,3eと同じく平板状に形成されている。これにより、対向する一対の仕切壁部3b,3bと、反射板凹部3aとで画定される空間は、逆截頭多角錐形状または多角錐台状(具体的には四角錐台状)となっている。また、本実施形態では、仕切壁部3bは、反射板凹部3aの開放方向側に位置する端部3kが反射板凹部3aの開放方向の端部3mよりも反射底部3d側に位置している。この仕切壁部3bの形成により、前記逆截頭多角錐形状または多角錐台状(四角錐台状)の空間が複数、反射板3の長手方向に並列する。
【0041】
前記のように、反射板3は、光源収容体2が組み合わされたカバー1内に収容されることから、本実施形態の照明ランプを取り付ける灯具の側には、従来の蛍光灯を用いた灯具のように、照明ランプ外に該照明ランプの光(主に照射方向と逆方向に照射される光)を反射させる反射板を設ける必要がないため、灯具の構成を簡素化できる。
【0042】
また、反射板3が複数の仕切壁部3bを備えることで、反射板凹部3aの内面と一対の仕切壁部3bの対向する壁面とによってより多くの光が反射される。このため、より明るい光を反射板凹部3aの開放方向に向かって照射させることができる。これにより、より明るい光を均一に照射する照明ランプとなる。
【0043】
また、複数の仕切壁部3bを備えることで、反射板3におけるカバー1の軸線に沿った方向に直交する方向の剛性を向上させることができる。これにより、照明ランプの組み立ての際の作業性を向上させることができる。
【0044】
また、仕切壁部3bの端部3kが反射板凹部3aの端部3mよりも反射底部3d側に位置していることで、反射板3におけるカバー1の軸線に沿った方向の剛性を向上させることができる。これにより、照明ランプの組み立ての際の作業性を向上させることができる。
【0045】
また、この仕切壁部3bの端部3kは、反射板凹部3aの開放方向に向かう光を収束する作用を有するため、光源収容体2と組み合わされた状態のカバー1内で反射板3がカバー1と近接していると、仕切壁部3bの端部3kとカバー1の間に光が届き難くなる。このため、カバー1における仕切壁部3bの端部3kに対応した領域の光量が低下し、光量にムラが生じてしまう。これに対し、仕切壁部3bの端部3kが反射底部3d側に位置していることで、仕切壁部3bの端部3kとカバー1との間の間隔が広がるため、仕切壁部3の端部3kとカバー1との間に光が届き易くなる。これにより、より明るい光を均一に照射する照明ランプとなる。
【0046】
なお、反射板3を形成する材料としては、特に限定されるものではなく、本実施形態では、板状の材料を熱成形することで反射板3が形成されている。この板状の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂シートを用いることが好ましい。熱可塑性樹脂シートが熱成形されることで反射板3が形成されることにより、反射板3の作製を容易に行うことができる。また、熱可塑性樹脂シートを折り曲げ加工する場合よりも、複雑な形状を作製し易く、折り曲げ加工によって形成される折り目による反射性の低下を防止することができる。
【0047】
ここで、
図3(c)に示すように、反射板凹部3aの各部寸法(長手方向寸法または前後方向寸法)は、反射底部3dの寸法(内寸)、つまり、反射底部3dの上面にて光源Lを挟んで対向する外縁部同士の距離をL1とし、仕切壁部3b,3bまたは反射壁部3e,3eの上端間の寸法(内寸)、つまり、仕切壁部3b,3bまたは反射内壁面3f,3fにて光源Lを挟んで対向する上端同士の距離(即ち、反射板凹部3aの開口端寸法)をL2とし(図示は仕切壁部3b,3bの寸法)、仕切壁部3b,3bまたは反射壁部3e,3eの下端から上端までの高さ寸法(即ち、反射板凹部3aの高さ寸法)をHとするとき(図示は仕切壁部3b,3bの高さ)、下記の式1及び式2を満たすことが、配光性向上のため好ましい。
2.4≦L2/H≦5.5・・・(式1)
1.0≦(L2−L1)/H≦2.2・・・(式2)
【0048】
式1及び式2で寸法が特定された反射板凹部3aによると、特に反射壁部3eにおける反射内壁面3f及び仕切壁部3bにおける壁面3jにおいて一次反射(光源Lが発する光の直接的な反射)される光束を、効率よく前方に集束させることができる。このため、光源Lの光を反射することでこの光を前方へと導くことができ、光源Lから後方に照射されてしまうロス光を低減できると共に、前方への照度を向上できる。しかも、反射内壁面3f及び仕切壁部3bにおける壁面3jで反射された光を、光束が閉塞し過ぎることなく適切な方向へ導くことができる。このため、反射板凹部3aを光源Lの指向角に応じて適切に形成でき、指向性の高いLEDが光源Lとして用いられていても、照明ランプの前方への照射効率を高めつつ、均一な照射が可能である。
【0049】
前記のように、照明ランプの仕様に応じ、L1及びHを決定することにより最適なL2を決定できるため、配光性の良い形状の反射板3を設計できる。
【0050】
次に、反射板凹部3aの好ましい形状について述べるに伴い、光源Lの放射角度(光源Lから放射される全ての光の広がりに対応する角度)θ及び指向角θ
1/2の測定方法について説明する。放射角度θは下記の要領で測定される。
図4に示すように、測定対象の光源LとしてLEDを用意する。そして、LED上の頂点Lsを通る鉛直直線上において、LED上の頂点Lsから50cm離れた位置に輝度計Kを配設する。輝度計Kとしては、例えば、コニカミノルタ社から商品名「CS−1000」にて市販されているスポット輝度計、トプコンテクノハウス社から商品名「BM−7」にて市販されているスポット輝度計、トプコンテクノハウス社から商品名「SR−3AR」にて市販されている分光放射輝度計を用いることができる。
【0051】
LEDを点灯させた後、輝度計Kを、LED上の頂点Lsを通る縦断面において該頂点Lsを中心とする半径50cmの円上において移動させ、1°間隔毎に輝度計Kを走査させてLEDから放射される光の輝度を測定する。なお、輝度計Kによる輝度の測定条件は、測定角1°、NDフィルタ10%、平均回数3回/1点とする。
【0052】
図4において、LED上の頂点Lsの右側にてLEDからの光が測定されなくなった点E1を特定し、LED上の頂点Lsの左側にてLEDからの光が測定されなくなった点E2を特定する。そして、LED上の頂点Lsと前記点E1とを結ぶ線F1と、LED上の頂点Lsと前記点E2とを結ぶ線F2とがなす角度(2θ)の1/2の角度をθと定める。
【0053】
また、同様に
図4において最大輝度を計測した点より右側または左側において最大輝度の50%を計測した点のうち図示右側の点をE3と、図示左側の点をE4と特定する。そして、LED上の頂点Lsと点E3とを結ぶ線F3と、LED上の頂点Lsと点E4とを結ぶ線F4とがなす角度(2θ
1/2、「半値角」ともいう)の1/2の角度を指向角θ
1/2と定める。ここで、最大輝度とは厳密な最大値(極大値)の輝度に限定されるわけではなく、例えば、実質的に複数の極大ピーク性を有する光源であればその最も右側及び左側のピークを其々の最大輝度の基準とすることができる。なお、流通しているLEDの仕様表示は、前記半値角2θ
1/2でなされることが一般的である。
【0054】
次に、反射板凹部3aの形状に係る好ましい条件について述べる。反射板3における反射板凹部3aの反射底部3dに形成された、光源Lのうち光を発する部分(光源発光部)と反射板凹部3aの開口端両縁とを結ぶ角度(2α’、
図10(b)参照)の1/2の角度を開口角度α’とすると、α’は光源Lよりθ
1/2以上の角度範囲に放射される光束を反射するための周側壁面を区画するべく、
θ
1/2±10°≦α’<θ
であることが好ましい。α’>θのときは光源Lより放射された光束を直接反射させることができず、実質的に光源Lより放射される光束を直接的に前方へ配向させる機能を発揮しにくい。また、α’がθ
1/2より十分小さい(即ちθ
1/2−10°>α’)ときは、光源より放射される光束を前方に閉塞し過ぎるので、前方への配向性が高まる半面、前方以外の領域との差が著しくなり光ムラを生じやすくなる。前記式はより好ましくは、
θ
1/2±5°≦α’<θ
である。
【0055】
一方、反射板凹部3aの開口端寸法L2と反射板凹部3aの高さ寸法Hを用いて反射板凹部3aの開口角度α(
図10(a)参照)を表すと、下記の式3となる。
tanα=L2/(2・H)・・・(式3)
【0056】
ここで前記高さ寸法Hは、光源発光部から反射板凹部3aの開口部までの高さH1(
図10(b)参照)と近似できる(即ち、光源発光部の反射底部3dからの高さが、前記高さ寸法Hに対して十分に小さいため無視できる)場合はα=α’と見なしてもよいが、より正確、若しくは無視できない場合はHをH1に置換えて考慮することができる。本実施形態では光源の高さは反射板3の高さHに対して十分に小さいものとしα=α’を適用した。
【0057】
α=α’を適用した場合、前記式3は下記式4と表される。
tan(θ
1/2±10°)=L2/(2・H)・・・(式4)
光源の指向角θ
1/2は光源Lの種類によって便宜選択できるが、本実施形態ではθ
1/2=60°であって、この数値がLEDでは一般的である。θ
1/2=60°であれば、指向性が強すぎ(指向角が狭すぎ)ないので好ましい。また、光源Lは集光や拡散により予め指向性を調整するためのレンズ等が併用されていてもよい。
【0058】
指向角の範囲が±10°の場合、本実施形態で使用した光源Lの指向角θ
1/2=60°を式4に代入すると
tan(60°±10°)=L2/(2・H)
となり、これよりL2/Hの範囲は、前記式1の2.4≦L2/H≦5.5となる。
【0059】
L2/H<2.4(α<50°)のときはα≪θ
1/2となり、光源Lからの光束が反射板3の周側壁面にて1次反射される割合が高すぎるため、前方照度はより高まる一方で、光源が集光しすぎて明暗の差異が明確となり光ムラが発生しやすい。逆に、5.5<L2/H(70°<α)のときはθ
1/2≪αとなり、光源光束が反射板3の周側壁面にて1次反射される割合が低すぎるため、前方照度を向上させにくくなる。なお、より好ましい場合(指向角の範囲が±5°の場合)は、
tan(60°±5°)=L2/(2・H)
であって、このとき2.9≦L2/H≦4.3である。
【0060】
また、前方照度を効率よく高めるためには、反射板凹部3aの内面(仕切壁部3b,3bまたは反射内壁面3f,3f)が所定の角度範囲を有していることが好ましく、本願発明者は鋭意検討の結果、反射板凹部3aの縦断面における開口縁と反射底部3dの外縁部とを結ぶ線分が反射底部3dの法線となす、該法線から外方に向かう側の角度を傾斜角度β(
図10(a)参照)とすると、
tanβ=(L2−L1)/(2・H)・・・(式5)
で表すことができ、β=37.5°を最適に±10°の範囲とすることにより1次反射される光束を前方へ効率よく反射させることで前方照度を高めるとともに光ムラも低減することができることを見出した。このとき式5は、
tan(37.5°±10°)=(L2−L1)/(2・H)
で表され、これより(L2−L1)/Hの適正範囲は、前記式2の1.0≦(L2−L1)/H≦2.2で表せられる。なお、反射底部3dが平面を有しない場合には、前記法線は、反射底部3dの有する面の平均位置における仮想面から決定される。
【0061】
(L2−L1)/H<1.0(β<27.5°)のときは光源Lからの光束が反射板凹部3aの内面にて1次反射されたのちに前方以外へ反射される割合が高くなるため、前方照度を向上させにくくなる。また、2.2<(L2−L1)/H(47.5°<β)のときもまた前方以外へ反射される割合が高くなるため、前方照度を向上させにくくなる。
【0062】
なお、式5は、±5°の範囲とされることがさらに好ましく、このとき、
tan(37.5°±5°)=(L2−L1)/(2・H)
で表され、これより(L2−L1)/Hの適正範囲は、1.3≦(L2−L1)/H≦1.8である。
【0063】
反射板凹部3aの周側壁面(第1実施形態では、仕切壁部3b,3bにおける壁面3j,3jまたは反射内壁面3f,3f)は反射板凹部3aの縦断面における開口縁と反射底部3dの外縁部とを直線で結ぶ縦断面形状である平面である必要はなく、反射板凹部3aの縦断面における開口縁と反射底部3dの外縁部とを曲線で結ぶ縦断面形状である曲面であってもよい。ここで、前記曲面が、反射板凹部3aの縦断面における開口縁と反射底部3dの外縁部とを円弧で結ぶ縦断面形状である曲面である場合は、該曲面は底面側始点から開口部縁終点に至る上り勾配を有する。すなわち反射板凹部3aの縦断面視にて左側の傾斜面を想定した場合、始点から終点における前記曲線に対する接線と反射底部3dの水平線との成す角が0°〜90°の範囲(換言すると、直交座標上の原点を中心とする円の第4象限の範囲)である。より好ましくは45°〜60°の範囲で構成され、この範囲が包含されることが好ましい。このときに構成されうる曲面は次式より求められる円弧半径R(
図10(a)参照)の近似値を適用することで周側壁面によって1次反射し得る90°−αの領域に放射される光束を前方鉛直方向に反射させる効率を高めることができ、従って、少ない光束でも効率よく前方照度を高めることができ得る。
R=[{(L2−L1)/2}
2+H
2]
0.5/{2×sin(7.5°+|37.5°−β|)}・・・(式6)
ここで、より好ましい形態としてβ=37.5°のとき、
R=[{(L2−L1)/2}
2+H
2]
0.5/(2×sin7.5°)・・・(式7)
である(なお、「|」は絶対値記号である)。
【0064】
以上、前記式1及び式2の条件を同時に満たすことで、前方照度を効率よく高めるとともに光ムラも低減する反射板凹部3aを形成できる。そして、反射板凹部3aの各部寸法を決定するための前記各寸法L2,L1,Hを所定範囲とするように、構成部材や光源Lの取り合いに合わせて任意に設定することで容易に照明装置の設計が可能である。
【0065】
次に、
図1に戻り、前記拡散板4は、一方向に沿って長手となるように形成されている。拡散板4の長さとしては、特に限定されるものではなく、種々の長さとできる。また、拡散板4は、凸状(具体的には、長手方向に直交する断面形状が凸状)の形状を有する。この拡散板4は反射板3の上方に重ねられる。
【0066】
拡散板4について、より詳しく説明すると、
図5に示すように、拡散板4は、光源収容体2と組み合わされた状態のカバー1内に収容された状態で、軸線方向に沿って長手となる平板部4aと、該平板部4aの幅方向端部から下斜め外方に延設された拡散板フランジ部4bとを備えている。左右の拡散板フランジ部4b,4bが光源収容体2とカバー1とによって挟まれるため、接着剤や接着テープを用いることなしに、拡散板4を光源収容体2に対してずれることなく固定できる。
【0067】
この拡散板4により、光源Lからの光が拡散板4の上面及び下面で反射するので、光源Lが指向性の高いものであっても、カバー1の内部での多重反射の回数が増加するため、カバー1から出る光に関して配光を均一化できる。また、2色以上の異色の光源Lが1本の光源モジュールLmに配置された場合であっても、光の混色が促進され、演色性に優れたものとできる。
【0068】
なお、カバー1と同様、拡散板4を形成する材料としては、光源Lからの光を拡散透過できるものであれば特に限定されるものではなく、種々の材料を使用できる。本実施形態の拡散板4は、反射板3と同様、板状の材料を熱成形することで形成されている。この板状の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂シートを用いることが好ましい。熱可塑性樹脂シートが熱成形されることで拡散板4が形成されることにより、拡散板4の作製を容易に行うことができる。
【0069】
図1に戻り、前記口金5は、一端部が閉塞された筒状の口金本体5aと、一対の口金ピン5b,5bとを備えている。口金本体5aは、樹脂素材(耐熱性を有するものが好ましい)を用いて形成されている。一方、一対の口金ピン5b,5bは、例えば、アルミニウムや銅等の金属からなり、口金本体5aを貫通するように配置されて、一端部が口金本体5aの外側に位置し、他端部が口金本体5aの内側に位置している。そして、照明ランプが形成された状態で、一対の口金ピン5b,5bの他端部が光源モジュールLmの配線パターンとリード線を介して電気的に接続される。
【0070】
次に、前記のような構成を有するカバー1、光源収容体2、反射板3、拡散板4、一対の口金5,5を用いて、照明ランプを形成する手順について説明する。まず初めに、
図5に示すように、光源収容体2の上に反射板3を重ね、更にこれらの上に拡散板4を重ねる。具体的には、収容体凹部2aの内側に反射板凹部3aを収容するように光源収容体2と反射板3とを重ね、反射板凹部3a上端の開口が平板部4aで塞がれるように拡散板4を重ねる。
【0071】
この際、反射底部3dに形成された開口部3gから光源Lが反射板凹部3a内に突出した状態となる。本実施形態では、対向する一対の仕切壁部3bの対向面3j,3jと、反射板凹部3aの内面(一対の反射内壁面3f,3fと、反射底部3dの一方の面)とで画定される空間に、少なくとも1つの光源Lが突出する。また、幅方向両端において、収容体フランジ部2b、反射板フランジ部3c、拡散板フランジ部4bが重なった状態となる。
【0072】
次に、前記重ね合わせられた光源収容体2、反射板3、拡散板4に対しカバー1を取り付ける。この際、まず、反射板3及び拡散板4が重ね合わされた光源収容体2に対しカバー1を上方から当接させると、カバー1の端側係止突起1d1が拡散板フランジ部4bに当接する(光源収容体2の収容体フランジ部2bに間接的に当接する)。より詳しくは、カバー1における側方開口部1bの開口端縁1c、及び、該開口端縁1cに一致する端側係止突起1d1の端縁に位置する平面が拡散板フランジ部4bの上面に対して当接する。
【0073】
前記状態でカバー1を押し込むべく、作業者等によりカバー1に下向きの外力がかけられるとカバー1が弾性変形して、側方開口部1bが幅方向外側(左右方向)に開くように拡大する。この際、前記のように当接していた面同士が下斜め方向にずれる。そして、外力により側方開口部1bが更に広がると、カバー1の端側係止突起1d1が、拡散板フランジ部4b、反射板フランジ部3c、収容体フランジ部2bを乗り越えて下方に移動する。そして前記乗り越えの後には前記弾性変形が減少し、カバー1の有する弾性力によって側方開口部1bが幅方向内側に閉じるように縮小する。この際、側方開口部1bの開口端縁1cが上斜め方向に移動して端側係止突起1d1が嵌合部2fに入り込む。これにより、端側係止突起1d1が嵌合部2fに対して嵌合する。そして、これと同時に、カバー1の奥側係止突起1d2が拡散板フランジ部4bに当接する。このため、端側係止突起1d1と奥側係止突起1d2との間に拡散板フランジ部4b、反射板フランジ部3c、収容体フランジ部2bが挟まれる。以上により、カバー1の取り付けがなされる。
【0074】
なお、カバー1取り付け後の状態にて、カバー1には、側方開口部1bが広がった際に発生した弾性力が残存したままであってもよいし、弾性変形が解除されて該弾性力が0である自由状態となっていてもよい。
【0075】
次に、前記のようにカバー1、光源収容体2、反射板3、拡散板4が各々組み合わされた集合体(本実施形態における発光部分)の両端部に、口金5,5が取り付けられる。これにより、軸線方向に沿って長手となる、発光部分の外観が直管状の照明ランプが形成される。
【0076】
以上、第1実施形態によると、LEDを光源として用いた照明ランプを小型で、且つ、容易に製造することができる。
【0077】
前記のように製造された照明ランプは、光源Lからの光束が反射板3の反射内壁面3f、及び、仕切壁部3bの壁面3j、拡散板4の拡散板フランジ部4b、カバー1における断面円弧状の内面で反射する。そして、拡散板4の平板部4aで屈折及び反射する。反射に関しては、一度反射した光が再度別の位置で反射すること(多重反射)もある。このようにして、光源Lからの光がカバー1に導かれ、カバー1の表面から外部に照射される。よって、前記反射及び屈折を適切に設定することにより、カバー1の表面にて光源Lに対応した領域以外からも反射・屈折した光を照射でき、カバー1から照射される光を均一化できる。そして、照明ランプの配光性及び照度(明るさ)を向上できる。
【0078】
前記のように、光源収容体2に対してカバー1を下方に押し込むことで照明ランプの組み立てが可能であるため、組み立てのための作業スペースを、例えば従来の、管端部の開口より挿入する組み立て方法のように、カバー1の2倍以上も確保する必要がないため、作業スペースが小さくて済む。しかも、照明ランプにおいて外部に露出する部分のうち大部分を、発光部分として、透光性のあるカバー1が占めるようにできるため、配光性を向上できる。また、反射板3及び拡散板4を同時に光源収容体2に対して組み込むことができるので、照明ランプを組み立てるための作業性が良い。
【0079】
なお、本実施形態では、反射板3、及び、拡散板4の長さがカバー1の長さよりも短く形成されているため、複数の反射板3、及び、複数の拡散板4を長手方向に直線状に配列したものをカバー1、及び、光源収容体2に組み合わせることもできる。このように、複数の反射板3、及び、複数の拡散板4を連結してカバー1を取り付けることができるため、照明ランプを製造する際の作業性を向上させることができる。
【0080】
また、前記のようにカバー1、光源収容体2、反射板3、拡散板4が各々組み合わされていることから、反射板3及び拡散板4がカバー1及び光源収容体2に連結されることで、カバー1の軸線を中心に照明ランプを回転させて、光の照射方向を任意に設定することができる。
【0081】
また、本実施形態のようにカバー1を下方に押し込む組み立て方法に限られず、カバー1の端部から光源収容体2を軸線方向(各部の長手方向)に沿ってスライドさせることで組み立てを行ってもよい。
【0082】
ここで、反射板凹部3aが光源Lの数量に合わせて形成される場合(ただし、これに限定されず、一つの反射板凹部3aに複数の光源Lが配置されていてもよい)には、反射板3あたり一つの反射板凹部3aが形成されたものであってもよいし、複数の反射板凹部3a…3aが形成されていてもよい。次に、複数の反射板凹部3aが形成された第2〜第4実施形態について説明する。
【0083】
第2〜第4実施形態は、複数の光源L…Lが平面視(上から見た場合)にて広がりを持つように配置された照明装置に反射板3が組み込まれている。第2実施形態の反射板3は、
図7(a)に示すように、平坦な円板に、同心円状に複数の反射板凹部3a…3aが形成されている。また、第3実施形態の反射板3は、
図9(a)に示すように、平坦な円板における外縁部が径外方向に向かうにつれ下方(後方)へと傾斜する形状とされ、該形状の板に、図示はしていないが同心円状に複数の反射板凹部3a…3aが形成されている。そして、第4実施形態の反射板3は、
図7(b)及び
図9(c)に示すように、平面視が円形であり中央部が上方(前方)に突出した湾曲板に、同心円状に複数の反射板凹部3a…3aが形成されている。なお、前記第3実施形態の反射板3に関しては、
図9(b)に示すように、一つの反射板凹部3aだけが形成されることもできる。
【0084】
これらの反射板3に関して以下説明する。なお、
図7〜
図9に付した符号は、
図1〜
図3、
図5に示した第1実施形態と機能上共通する部分について同一の符号としている。なお、前記「平面視にて広がりを持つように配置」は、
図7(a)(b)に示す配置に限定されるものではなく、例えば縦方向及び横方向に格子状またはマトリックス状に広がる方向など、種々の方向であってよい。また、第4実施形態のように、上下(前後)方向への位置ずれを伴うことも許容される。
【0085】
これらの反射板3のうち、各反射板凹部3aを取り巻くように板状部3nが形成されている。この板状部3nのうち、反射板3の外縁部に位置するのが外縁面部3n1であり、反射板3の内周部に位置するのが接続部3n2である。つまり、接続部3n2は複数の反射板凹部3a…3aに挟まれて形成されている。なお、前記第1実施形態における反射板フランジ部3cは、第2〜第4実施形態の外縁面部3n1に相当する。また、前記第1実施形態における仕切壁部3bの端部3kは、第2〜第4実施形態の接続部3n2に相当する。また、前記第1実施形態の場合、前記板状部3nに相当する反射板フランジ部3cの、反射板3における位置は、該反射板3を長手方向ではなく反射板凹部3aを含む幅方向(長手方向に直交する方向)に縦に切断した場合の、反射板凹部3aを基準として評価される。
【0086】
第2実施形態では、
図7(a)に示すように、外縁面部3n1及び接続部3n2が水平面上に位置している。第3実施形態では、
図9(a)に示すように、接続部3n2は水平面上に位置しており、外縁面部3n1が径外方向に向かうにつれ下方(後方)へと傾斜して形成されている。この傾斜した外縁面部3n1のうち上面(前面)が外縁面部反射面とされている。第4実施形態では、
図7(b)及び
図9(c)に示すように、外縁面部3n1及び接続部3n2が径外方向に向かうにつれ下方(後方)へと傾斜して形成されている。前記傾斜した外縁面部3n1のうち上面(前面)が外縁面部反射面とされ、接続部3n2のうち上面(前面)が接続部反射面とされている。この第4実施形態では、前記外縁面部反射面と前記接続部反射面とにより一つの曲面が構成される。この一つの曲面は、
図9(c)に示すように、反射板3の板状部3nにおける中央寄り部分(接続部3n2)よりも同板状部3nにおける外縁寄り部分(外縁面部3n1)の方が水平面に対する傾斜角度の大きい曲面である。このため、複数の反射板凹部3a…3aの反射底部3d…3dが同一面上に形成されている場合には、
図9(c)に示すように、板状部3nからの反射板凹部3aの深さは、反射板3の中央寄りに位置する反射板凹部3aよりも外縁寄りに位置する反射板凹部3aの方が浅くなる。そして、反射壁部(周側壁部)3eの高さ(前後)寸法も反射板3の中央寄りに比べ、外縁寄りの方が低くなる。
【0087】
板状部3nのうちで、前述のように下方(後方)に傾斜した部分(第3実施形態の外縁面部3n1、第4実施形態の外縁面部3n1及び接続部3n2)の傾斜角度は、第3実施形態(
図9(b)に示す変形形態も含む)の水平面を基準とした外縁面部3n1の角度(俯角)δが5°以上50°以下とされている。また、第4実施形態の反射板3の中央上端(より詳しくは、反射板3の中央に位置する反射板凹部3aの開口縁)を通る水平面を基準とした、反射板3の外縁位置の角度(俯角)εが5°以上50°以下とされている。なお、前記角度δ及び角度εは、
図10(a)に示された角度γに相当する角度である。
【0088】
第2実施形態の反射板3は、例えば、電光看板等に用いられる表示装置におけるバックライトに組み込むことが好適である。バックライトの一例を
図8(a)に示す。
図8(a)に示すバックライトでは、各光源Lに対応して、反射板凹部3a、つまり、円形の反射底部3dとこの反射底部3dの全周を囲む反射壁部(周側壁部)3eとが形成されている。よって、反射底部3d及び反射壁部(周側壁部)3eで画定される空間は逆截頭円錐形状であり、
図7(a)に示すように、この空間が同心円状に並ぶ。
【0089】
前記第1実施形態と同じく、反射壁部(周側壁部)3eは、光源Lの光を反射することでこの光を前方へと導かせる(
図8(a)に前方へ向かう光線を実線矢印で示す)。そして、板状部3nは、光源Lから発された後に照明装置内で反射された光を反射することで、この光を前方へと導かせる(
図8(a)に反射する光線を破線矢印で示す)。このように光を均一に前方に導かせることができるため、前記バックライトでは、前方への照射効率を高めることができる。
【0090】
一方、第4実施形態の反射板3は、例えば、建物の天井や壁面に設置するシーリングライト等に組み込むことが好適である。シーリングライトの一例を
図8(b)に示す。
図8(b)に示すシーリングライトでも、各光源Lに対応して、反射板凹部3a、つまり、円形の反射底部3dとこの反射底部3dの全周を囲む反射壁部(周側壁部)3eとが形成されている。よって、反射底部3d及び反射壁部(周側壁部)3eで画定される空間は逆截頭円錐形状であり、
図7(b)に示すように、この空間が同心円状に並ぶ。
【0091】
前記第1実施形態と同じく、反射壁部(周側壁部)3eは、光源Lの光を反射することでこの光を前方へと導かせる(
図8(b)上の囲みX部分、前方へ向かう光線を実線矢印で示す)。そして、板状部3nにおける外縁面部反射面及び接続部反射面は、光源Lから発された後に照明装置内で反射された光を反射することで、各反射板凹部3aの外方且つ前方へと導かせる(
図8(b)上の囲みY部分、反射する光線を破線矢印で示す)。このように、第4実施形態では、
図8(b)に示すように光を外方に広げることができる。また、板状部3nの傾斜、及び、該傾斜に伴って反射壁部(周側壁部)3eが径内側よりも径外側の方が低く形成されたことにより、光を均一に前方及び斜め前方に導くことができることから、前記シーリングライト等では照度ムラを小さくできる。
【0092】
なお、第3実施形態(
図9(b)に示す変形形態も含む)の反射板3においても、光の反射に関する図示はしていないが、外縁面部3n1が傾斜しているため、外縁面部反射面で反射した光を、反射板3の外方且つ前方へと導くことができる。このため、複数の反射板凹部3a…3a(内の光源L)から発された光のうち少なくとも一部を斜め前方に導くことができるため、第3実施形態の反射板3を組み込んだ照明装置の照度ムラを小さくできる。
【0093】
以上、第2実施形態のように、バックライト用等、前方照度を高めることが必要な反射板3においては、
図8(a)に示すように、反射板3の板状部3nがこの反射板3の上方(前方)に位置する平面状のカバー1と対向する平面として構成されることが通常であるが、前方照度とともに側方照度(すなわち反射板3径外方向への照度)が必要とされる照明装置に適用する場合には、第4実施形態のように、板状部3nが反射板3の中央から外縁へ向かって下方(後方)に傾斜する下り勾配となる曲面として構成されていてもよい。このように板状部3nが曲面とされることで、
図8(b)に示すように、上方(前方)から側方に亘って光拡散透過部材を備えたカバー1が配設された照明装置において、反射板凹部3aから前方へ照射された光束のうち何割かを占める、カバー1で反射して反射板3に戻される光束を、板状部3nが平面として構成された場合よりも、より径外方向へ反射することができる。このため側方照度を高めることができる。
【0094】
とりわけ反射板凹部3aの反射底部3dに光源Lが配置された場合、光源Lから発される光のうち広角度光束成分(光源Lから外方へ直射される光束)を反射壁部(周側壁部)3eによって前方へ反射させることから、背反的に側方照度が低下してしまう。さらに板状部3nが平面として構成された場合、前方向における多重反射が起こることで更に前方照度を向上することに寄与する。故に、シーリングライト等の側方照度を必要とする照明装置においては、このような平面状の反射板3を適用した場合に、側方照度は、仮に反射板凹部3aを形成しない単なる平板状の反射板3を配設した時と比較して、側方照度が著しく低下するおそれがある。
【0095】
そこで本発明の所定範囲の条件を満たす反射板3では、反射板凹部3aにおける前方照射効率を高め、予め前方照度を向上することができる。これに加え、板状部3nが前述のように傾斜して構成されることで、カバー1に反射した戻り光束に対して側方反射効率を高めることで、側方照度を向上することができる。
【0096】
例えば
図7(a)(b)に示すように、広がりを持つように配置された複数の反射板凹部3a…3aを有する反射板3では、第2実施形態のように反射板3の外縁部に位置する外縁面部3n1にのみ傾斜を形成することができるが、より内周部に位置する接続部3n2より外縁面部3n1へ向かって傾斜を形成することもできる。この場合、接続部3n2と外縁面部3n1との間で段差を有していてもよいし、
図7(b)及び
図9(c)に示すように、接続部3n2と外縁面部3n1とで一つの曲面が構成されていてもよい。前記段差を有する反射板3では、複数の反射板凹部3a…3aの深さを一定とする場合、各反射板凹部3aにおける反射底部3dの位置に差を生じることになり、それらに追従せしめる発光装置に適用できる。また、接続部3n2と外縁面部3n1とで一つの曲面が構成される場合には、該曲面の始点(反射板3の中央部)より終点(反射板3の外縁部)に向かうにつれ、反射板凹部3aに相当する位置が欠損し反射板3の高さ(前後)寸法が小さくなる縦断面形状を有する。このとき、前記欠損部分である反射板凹部3aの位置では板状部3nが存在しないことから前方照射効率は低下するものの、反射板3の高さ(前後)寸法が径外へ向かって相対的に小さくなることで側方照射光束が増加することになる。なお、前方照度が必要な中央寄りの板状部3nでは傾斜を形成せず(水平面とし)、径外に向かって段階的に傾斜を形成することで、1つの反射板3における特定部位により前方照度と側方照度を担う割合を便宜調整してもよい。
【0097】
板状部3nの傾斜は、前記下り勾配が5°未満であると側方照射効率が上がりにくく、50°を超えると前方からの戻り光束を受ける投影面積が減少して、側方照射効率が上がりにくかったり、乱反射により光ムラを呈することがあったりする。このため、テ―パ角度をγ(
図10(a)参照)とすると5°≦γ≦50°の範囲で構成されていることが好ましい。より好ましくは20°≦γ≦40°である。
【0098】
本発明の反射板3を実装する照明装置としては、その主目的として前方照射効率を高めることに特化しているので、反射板3の上方(前方)に光拡散透過部材を備えたカバー1を併用する照明装置においてはその距離の比率を0.1<(H1/H0)<0.3の範囲とすることが好ましい。ここでH1は光源発光部より反射板3の前端に位置する開口部までの高さ、H0は光源発光部よりカバー1の内面までの上下(前後)方向距離である(
図10(b)参照)。(H1/H0)≦0.1では反射板3からカバー1までの距離が長すぎて、光が拡散したり減衰して、前方照度が向上しにくかったり、光取出効率が低下することがある。0.3≦(H1/H0)では反射板3からカバー1までの距離が(比較的)近すぎることにより、反射板3による前方光束が増加しているため光ムラや影ムラを生じたりすることがある。
【0099】
なお、前記第2〜第4実施形態の反射板凹部3aは逆截頭円錐形としたが、これに限定されるものではなく、平面視形状が三角形、四角形、六角形などの逆截頭多角錐形状または多角錐台状としてもよく、内面に反射底部3dや開口部の形状に対応しない多面形状面を付与しても良く、これらの形状が互いに組み合わさった形態となっていてもよい。また、反射板凹部3aは光源Lの全周を取り囲む必要もなく、例えば
図6(a)(f)に示すように、断面V字型の対向する2面にのみ内面が形成されていてもよい。従って、前記各寸法L1,L2,Hを特定できる断面形状を有し、内面の少なくとも半分以上が、前方照度を高めることを意図して所定範囲の条件を満たしておればよい。さらに、複数の反射板凹部3a…3aが形成されている場合は前方照度を高めるべく、反射板3における一部領域の反射板凹部3aのみで前記条件を満たしていてもよい。
【0100】
また、前記第2〜第4実施形態では、図示したように複数の反射板凹部3a…3a同士が離れて形成されているが、反射板3上における反射板凹部3aの配置はこれに限定されるものではなく、複数の反射板凹部3a…3a同士の一部、例えば反射壁部3e…3e等が重なり合って(交差して)形成されていてもよい。この場合、重なり合った部分における反射壁部(周側壁部)3eの高さは、重なり合いのない部分に比べて低く形成される。このように複数の反射板凹部3aを集合させた形態は、光源Lの数量を増加させてスポット的に照明装置の照度を高めることができる。また、この集合した複数の反射板凹部3aに2色以上の異色の光源Lが配置されることで、光の混色が促進され、演色性に優れたものとできる。なお、前記複数の反射板凹部3a…3aが重なり合って形成された場合、板状部3nとの位置関係は各反射板凹部3aを基準に評価される。
【0101】
本発明に係る反射板及び照明装置は、前記第1〜第4実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、更に、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、前記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0102】
例えば、前記実施形態では、カバー1は、円筒状(一定の曲率で湾曲した筒状)の外周部に側方開口部1bが形成されることで切り欠かれ、長手方向に直交する断面形状が略「C」字状に形成されているものであったが、これに限定されるものではなく、多角形筒状や楕円筒状の外周部が切り欠かれた形状であってもよい。
【0103】
また、前記実施形態では、外力により側方開口部1bが幅方向(左右方向)に拡大することで、光源収容体2の幅方向外側からカバー1が嵌合するように、カバー1、光源収容体2等が構成されている(外側からの嵌合)が、これに限定されるものではなく、外力により側方開口部1bが幅方向(左右方向)に縮小することで、光源収容体2の幅方向内側からカバー1が嵌合するように(内側からの嵌合)、カバー1、光源収容体2等が構成されていてもよい。
【0104】
また、前記実施形態では、カバー1に加えられた、光源収容体2へ向かう下方への外力を受け、側方開口部1bが幅方向に拡大するように弾性変形可能とされているが、これに限定されるものではなく、作業者がカバー1をつまんだり握ったりすること等により、側方開口部1bが幅方向に拡大または縮小するように弾性変形可能とされていてもよい。
【0105】
また、前記実施形態では、カバー1の二つの係止突起1d,1dで光源収容体2の収容体フランジ部2b、反射板3の反射板フランジ部3c、拡散板4の拡散板フランジ部4bを挟むことで各々が固定されるよう構成されているが、これに限定されるものではなく、反射板3が光源収容体2の収容体フランジ部2bに別に形成された嵌合部(図示しない)に対して嵌合することで支持されるよう構成されていてもよい。この嵌合部は、例えば幅方向内方を向いて開口した、長手方向に沿う溝であって、反射板3の幅方向端部を支持できる形状とすることができる。
【0106】
また、前記実施形態では、係止突起1dは長手方向に連続して(途切れずに)形成されているが、これに限定されるものではなく、断続的に形成されていてもよい。また、係止突起1dの断面形状は前記実施形態の三角形に限定されるものではなく、四角形や半円形であってもよい。
【0107】
また、前記実施形態では、基台部である光源収容体2は一部材からなるが、これに限定されるものではなく、複数の部材が組み合わされて基台部が構成されていてもよい。また、基台部を構成する一部の部材が、カバー1と同様に透光性のある部材とされていてもよい。こうすることで、基台部からも光の一部を照射できる。
【0108】
また、前記実施形態では、反射板3は、複数の仕切壁部3bを備えているが、これに限定されるものではなく、
図6(a)に示すように、反射板3の長手方向に沿って反射板凹部3aを形成し、反射底部3dに複数の開口部3gを形成してもよい。この構成の反射板3は、板状の材料を折り曲げ加工することで形成することができる。
【0109】
また、前記実施形態では、
図3(b)に示すように、反射板凹部3aの開放方向側に位置する仕切壁部3bの端部3kが反射板凹部3aの開放方向に位置する端部3mよりも反射底部3d側に位置しているが、これに限定されるものではなく、
図6(b)(c)に示すように、反射板凹部3aの開放方向に位置する端部3mと略同一の位置に仕切壁部3bの端部3kが位置するように構成されてもよい。なお、
図6(c)に示すものは、反射板凹部3aの端部3kの上面が平坦面とされたものである。
【0110】
また、前記実施形態では、仕切壁部3b,3b間に一つの開口部3gを備えているが、これに限定されるものではなく、
図6(d)に示すように、複数(図示のものは二つ)の開口部3gを備えていてもよい。
【0111】
また、前記実施形態では、対向する一対の仕切壁部3b,3bと、反射板凹部3aとで画定される空間は逆截頭多角錐形状または多角錐台状となっているが、これに限定されるものではなく、
図6(e)に示すように、反射板凹部3aを、底部に開口部3gが位置するような逆截頭円錐形状の空間が形成されるよう構成されていてもよい。
【0112】
また、前記実施形態では、反射板3は一部材からなるが、これに限定されるものではなく、
図6(f)に示すように、対向する二部材31,31からなり、各部材間に光源Lが位置できるように構成されていてもよい。
【0113】
また、反射板凹部3aの外縁部分、または、反射板3の外縁部分には剛性を付与するために、反射特性に影響しない範囲で凸または凹のリブを形成してもよい。また、反射板凹部3aの底部には複数の光源L…Lが配設されていてもよい(
図6(d)参照)。また、反射板3には反射特性に影響しない範囲で照明装置への固定のための構成や相互連結のための構成を付与してもよい。
【0114】
また、前記第1実施形態の反射板3は、発光部分の外観が直管状とされた照明ランプに組み込まれたものであるが、これに限定されるものではなく、円管状の照明ランプや、白熱灯用ソケットに適合する蛍光灯であり、管の折り曲げ・折り返しがなされて、軸線が湾曲した発光部分を有する蛍光灯に相当する形状の照明ランプに組み込まれたものであってもよい。
【0115】
また、前記実施形態はLEDを用いた照明ランプであるが、これに限定されるものではなく、LED以外の発光素子(例えば有機EL素子)を発光体として用いた照明ランプであってもよい。
【実施例】
【0116】
次に、本願の発明者が実施例1〜12、及び、比較例1〜12に係る反射板(
図11参照)を試作して評価を行ったので以下に記す。なお、本発明は実施例1〜12に係る形態に限定されるものではない。
【0117】
(評価方法)
評価に際しては、
図10(b)に示すように光源LとしてLEDを使用した光源モジュールLm、反射板3、光源収容体2、カバー1を組み合わせたもの(評価用照明装置)を用いた。
【0118】
(評価用照明装置)
まず、評価に先立って、基板寸法が60mm×60mmで中央に1個のLED(Cree社製『SMD LED Model ♯LU6−FWH1−03−N5−NS』、チップサイズ:3.3mm(平面側一辺寸法)×3.5mm(平面側他辺寸法)×2mm(高さ寸法)、放射角度(2θ):180°、半値角(2θ
1/2):120°)が配設されてなる動作電力が0.1Wの光源モジュールLmを用意した。
【0119】
(反射板)
熱可塑性樹脂非発泡シート(厚み:0.55mm、全体の密度:1.1g/cm
3、一面における光線全反射率が99.0%、拡散反射率が97.0%、光線全反射率に占める拡散反射率の割合が98.0%)をその表面温度が140℃となるように加熱し、熱成形により、反射板凹部3a及び外縁面部3n1に相当する部分が、
図11に示す形状で(
図11には、各実施例及び比較例につき、平面視形状と縦端面視形状を記載している)、表1に記載する各部寸法(設計寸法)となるように形成し(表1中の記号については
図10(a)(b)参照)、反射板凹部3aの反射底部3dにLEDを背面側から挿通させるための5.5mm×5.5mmの貫通孔である開口部3gを形成するとともに該開口部3gを中心としてφ53mmの位置が外縁となるようにカットした平面視円形状の反射板3を作製した。なお表1における「光反射板種別」の「通常」とは、外縁面部3n1に相当する部分が水平に形成された反射板3のことを指し、「テーパ」とは、外縁面部3n1に相当する部分の少なくとも一部が傾斜して形成された反射板3のことを指す。
【0120】
なお、外縁面部3n1につき、実施例1〜6及び比較例1〜6については水平方向に延びる平坦状のものとした。また、実施例7〜12及び比較例7〜12についてはテーパ部を形成した。つまり、外縁面部3n1のうち少なくとも一部を、外方に向かうにつれ下方(後方)へと水平面に対して角度γ(
図10(a)参照)で傾斜する形状とした。前記テーパ部を形成した反射板3のうち、実施例7〜8及び比較例10は、単純に反射板凹部3aの開口縁より反射板3の外周縁に亘って一様に下方(後方)へと傾斜するテーパ部を形成した。また、実施例9〜12、比較例7〜9、11〜12は、テーパ部に加え、反射板凹部3aの開口縁側または反射板3の外周縁側に平坦部を形成した。
【0121】
また、実施例4、8については、反射内壁面3fを縦断面形状が半径R(
図10(a)参照)の円弧を有する曲面に形成した。なお、他の実施例及び比較例については、反射内壁面3fを縦断面形状が直線を有する面に形成している。
【0122】
また、評価の比較基準とするための参考例として、各実施例及び比較例に係る反射板3と同一素材である平板状の反射板3を直径φ53mmの円板状とし、中央に5.5mm×5.5mmの貫通孔(開口部3gに相当)を形成したものを作製した。
【0123】
(評価用試料)
前記各実施例及び比較例に係る反射板3を、反射底部3dに設けた前記開口部3gからLEDの発光部を露出させるようにして装着させて評価用試料とした。
【0124】
(照明装置)
次いで、
図10(b)に示すように、内半径が29.5mmで中心角が202.5°で構成される空洞を有する略半球状に形成した評価用のカバー1と評価用の光源収容体2とを用意し、前記評価用試料を前記光源収容体2に載置して、その上部より前記カバー1で覆って評価用照明装置を作製した。前記カバー1の厚みは1.5mmで光透過率は58%である。なお、各実施例及び比較例に係る、高さの異なる反射板3を前記評価用照明装置に組み込むため、前記評価用試料の裏面と光源収容体2の底部との間に反射板3のサイズに応じたスペーサを挿入して高さの調整を行った。
【0125】
評価用照明装置において、LEDの発光部及び反射板3はカバー1と光源収容体2との間に収納されている。このため、反射板3の上方(前方)および側方の全てがカバー1と面している状態となっている。このとき反射板3の反射底部3dに実装されたLEDの発光部よりその鉛直上方のカバー1の内面までの距離がH0である。また、LEDの発光部より反射板3の反射板凹部3aの上端までの高さ寸法がH1である(
図10(b)参照)。
【0126】
(前方照度、側方照度の測定及び評価)
前記評価用照明装置における、LEDの鉛直上方に位置するカバー1の表面上の中心点(0°)とその点より側面側の外方90°におけるカバー1の表面上の点を測定点とした。評価用照明装置に通電しLEDを発光させた状態で、前記0°の測定点に照度計(コニカミノルタ社製『デジタル照度計T−1』)Tの受光部を上方から垂直に接触させて照度を一定時間間隔で5回測定し、その相加平均値を照明装置の前方照度(0°照度)とした。また、前記0°照度と同様に、側面側の外方90°の測定点に照度計Tの受光部をカバー1の表面に対する法線方向から接触させて照度を周方向の任意の5箇所で測定し、その相加平均値を照明装置の側方照度(90°照度)とした。
【0127】
なお、前方照度及び側方照度の評価は、前記参考例である平板状の反射板3を組み込んだ評価用照明装置にて、LEDの発光部より上方(前方)のカバー1までの距離H0を前記各実施例及び比較例と同一として前方照度(0°照度)及び側方照度(90°照度)を測定し、その前方照度及び側方照度(表1における「平板照度」)を基準(100%)とした場合、各実施例及び比較例に係る反射板3を組み込んだ評価用照明装置の前方照度及び側方照度につき、増減に係る相対比(%)を算出して行った。そして、前方照度及び側方照度についての前記相対比につき、前方照度に関して40%以上増加しているものを良「○」と判定し、10%以上増加しているものを可「△」、10%未満の増加であるものを不可「×」と判定した。次に、側方照度に関して−10%以内の減少、または、増加しているものを良「○」、−25%以内の減少のものを可「△」、−25%以上減少しているものを不可「×」と判定した。
【0128】
(均一視認性の評価)
各評価用照明装置のカバー1の上方(前方)から側方(0°〜90°)にわたる範囲の発光状態を目視判断に基づき評価した。そして、発光ムラが殆ど視認されない場合を良「○」、線状の発光ムラ(陰影)がやや視認された場合を可「△」、明確な線状の発光ムラ(陰影)が視認された場合を不可「×」と判定した。
【0129】
(総合判定)
前記前方照度、側方照度、均一視認性の各評価結果に基づき総合判定を行った。ここでは、前方照度の判定が良「○」で且つ、側方照度及び均一視認性がともに可「△」以上の判定となる場合を総合判定で合格「○」とし、前方照度が可「△」以下の判定、若しくは側方照度または均一視認性の何れか一方でも不可「×」の判定である場合を総合判定で不合格「×」とした。
【0130】
前記の評価結果を併せて表1に示す。このように、実施例が比較例と比べて高評価であることにより、本願発明の優位性が確認できた。
【0131】
【表1】