(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108905
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】三相短絡接地器及びこれを用いた接地工法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20170327BHJP
H01R 11/14 20060101ALI20170327BHJP
H01R 4/64 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
H02G1/02
H01R11/14
H01R4/64 F
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-69305(P2013-69305)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-193085(P2014-193085A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】千葉 博隆
(72)【発明者】
【氏名】向井 一夫
(72)【発明者】
【氏名】臼倉 裕一
(72)【発明者】
【氏名】須田 稔
【審査官】
木村 励
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−115026(JP,A)
【文献】
特開2009−177898(JP,A)
【文献】
特開2008−79430(JP,A)
【文献】
特開2000−143190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
H01R 4/64
H01R 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に鉤状部を形成した短絡接地器本体の基部に操作棒の上端に取り付けたネジ棒を螺挿し、前記操作棒を回動することにより前記ネジ棒の頂部に取り付けた電線押さえ金具と、これと対向する前記鉤状部との間で、電線を挟持緊締することにより、電線に掛け止める短絡接地器本体を3個用意し、これらの短絡接地器本体相互を短絡線で接続し、また、これらの一つの短絡接地器本体に接続したアース線の先端に接地コネクタを設けた三相短絡接地器において、
前記いずれか1個の短絡接地器本体の前記短絡線の端部の被覆部を複数個のボルトにより短絡接地器本体に螺着して固定するプレートを設け、
当該プレートの外面にハンガーバーをボルトにより固定し、前記プレートの外縁から突出したハンガーバーに他の2つの短絡接地器本体を掛け止め自在としたことを特徴とする、三相短絡接地器。
【請求項2】
前記ハンガーバーが、前記プレートの両側縁又は一側縁から略水平に突出したことを特徴とする、請求項1に記載の三相短絡接地器。
【請求項3】
前記ハンガーバーが、前記プレートの上縁又は下縁から、ハンガーバーの外端部が略水平になるように略鍵型又は略F型に突出したことを特徴とする、請求項1に記載の三相短絡接地器。
【請求項4】
上端に鉤状部を形成した短絡接地器本体の基部に操作棒の上端に取り付けたネジ棒を螺挿し、前記操作棒を回動することにより前記ネジ棒の頂部に取り付けた電線押さえ金具と、これと対向する前記鉤状部との間で、電線を挟持緊締することにより、電線に掛け止める短絡接地器本体を3個用意し、これらの短絡接地器本体相互を短絡線で接続し、また、これらの一つの短絡接地器本体に接続したアース線の先端に接地コネクタを設けた三相短絡接地器において、
前記3個の短絡接地器本体を相互に接続する2本の短絡線の端部を固定した短絡接地器本体の当該2本の短絡線の端部に棒状のハンガーバーを金具又はワイヤーで固定し、
前記2本の短絡線からハンガーバーを突出させ、当該ハンガーバーの突出部に他の2つの短絡接地器本体を掛け止め自在としたことを特徴とする、三相短絡接地器。
【請求項5】
前記2本の短絡線に固定されたハンガーバーが、前記2本の短絡線の両側又は一側から水平に突出していることを特徴とする、請求項4に記載の三相短絡接地器。
【請求項6】
前記2本の短絡線に固定されたハンガーバーが、前記2本の短絡線端部の上部又は下部から、ハンガーバーの外端部が略水平になるように略鍵型又は略F型に突出していることを特徴とする、請求項4に記載の三相短絡接地器。
【請求項7】
前記請求項1〜3のいずれかの三相短絡接地器を用いて、現場の状況に合わせて、形状の異なる複数種のハンガーバーを有する前記プレート又はハンガーバーの中から選択してこれを短絡接地器本体に取付け、まず、三相の高圧配電線のいずれかに、2つの短絡接地器本体を前記ハンガーバーに掛け止めた短絡接地器本体を掛け止めることを特徴とする、三相高圧配電線の接地着脱工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高圧配電線において、バイパス工事等を行う際、工事を安全に行うため、工事区間の両端外側に接地を付け、作業している工事区間内に電流が流れ込まないようにするための三相短絡接地器及びこの接地器を用いた接地着脱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧配電線において、ある区間の電線張替えや電柱の取替工事をする場合は、あらかじめこの区間にバイパスケーブル等を敷設している。この敷設工事は、一度、給電を止め、当該区間を囲むように高圧配電線に三相短絡接地器を付け、低圧側の接地線を介してアースしている。
【0003】
この三相短絡接地器は、具体的には特許文献1の従来技術の項に記載されているように、上端に鉤状部を形成した短絡接地器本体の基部に操作棒の上端に取り付けたネジ棒を螺挿し、前記操作棒を回動することにより前記ネジ棒の頂部に取り付けた電線押さえ金具と、これと対向する前記鉤状部との間で、電線を挟持緊締することにより、電線に掛け止めている。この三相短絡接地器は、各相の接地器間を短絡線で相互に接続され、三相の短絡接地器の一つからアース線を導出して接地コネクタにより低圧の接地線に接続している。
【0004】
従来の接地着脱方法では、高圧配電線が地上から6〜10mの位置にあるため、高所作業車のバケットに作業者が載り、当該バケットの狭い作業スペースの中から作業者は、高圧配電線と離隔を取りながら、絶縁棒の先端で前記各短絡接地器を三相の高圧線に付けている。
【0005】
具体的には、最初に高圧配電線に接地を付ける相の短絡接地器に、その後、他の2相の短絡接地器を他の高圧配電線にそれぞれ係止、固定する作業手順を取っている。そこで、
図12に示すように、3個の短絡接地器本体50の一つの短絡接地器本体50にハンガーバー51を設け、このハンガーバー51の両側に他の2つの短絡接地器本体50を吊り下げ、これらを三相の中央に位置する高圧配電線に一度に持ち上げて引っ掛ける三相短絡接地器Tが開発された。これにより三相短絡接地器Tを高所作業車のバッケトから作業者が絶縁棒の先端に取り付けて一括で三相の中央に位置する高圧配電線に三相ごと短絡接地器Tを仮止めし、順次各高圧配電線に他の短絡接地器を取り付けることにより迅速簡便な作業が可能となった。
【0006】
【特許文献1】実公昭63−45741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記
図12のものは、従来の短絡接地器本体と異なる、新規な構造のものであり、特に、2本の短絡線52及びアース線53を接続した中央の短絡接地器本体50の両側から、他の2つの短絡接地器50を吊り下げるハンガーバー51を突設した独特のものを用意しなければならない。なお、図中、54はアース線53の先端に接続した接地コネクタである。
【0008】
したがって、このような三相短絡接地器Tを製造又は購入しなければならず、コストが高くなり、その分汎用性がない。また、三相の各短絡接地器の操作棒の下端に、勘合孔を有する係止具55が設けられ、高所作業車のバケットから作業者が前記係止具55に絶縁棒の先端を係止して、操作棒を回転させなければならず、操作が容易でない欠点もある。
【0009】
また、現場によっては、樹木が三相の中央の高圧配電線に接近しており、中央の短絡接地器を最初に三相の高圧配電線の中央に取り付けにくい場合があるが、前記
図12の三相短絡接地器は構造乃至形状が固定されているため、樹木が接近しているにもかかわらず、三相の中央の高圧配電線に最初に中央の短絡接地器を取り付けなければならない。この様なことは、三相の高圧配電線が水平に並んでいる場合、垂直に並んでいる場合とも生じるおそれがある。
【0010】
そこで、この発明はこの様な従来の三相短絡接地器の課題を解決し、既存の三相短絡接地器を用いて、一つの短絡接地器に他の二つの短絡接地器を安定良く係止でき、かつ、現場の状況にあわせて、他の二つの短絡接地器の係止位置の異なる構造のものに容易に取替えられる三相短絡接地器を提供すると共に、この三相短絡接地器を用いることにより現場の状況に応じて、三相の高圧配電線の接地作業を迅速かつ安全にできる接地工法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、上端に鉤状部を形成した短絡接地器本体の基部に操作棒の上端に取り付けたネジ棒を螺挿し、前記操作棒を回動することにより前記ネジ棒の頂部に取り付けた電線押さえ金具と、これと対向する前記鉤状部との間で、電線を挟持緊締することにより、電線に掛け止める短絡接地器本体を3個用意し、これらの短絡接地器本体相互を短絡線で接続し、また、これらの一つの短絡接地器本体に接続したアース線の先端に接地コネクタを設けた三相短絡接地器において、前記いずれか1個の短絡接地器本体の前記短絡線の端部の被覆部を複数個のボルトにより短絡接地器本体に螺着して固定するプレートを設け、当該プレートの外面にハンガーバーをボルトにより固定し、前記プレートの外縁から突出したハンガーバーに他の2つの短絡接地器本体を掛け止め自在とした、三相短絡接地器とした。
【0012】
請求項2の発明は、前記ハンガーバーが、前記プレートの両側縁又は一側縁から略水平に突出した、請求項1に記載の三相短絡接地器とした。
【0013】
請求項3の発明は、前記ハンガーバーが、前記プレートの上縁又は下縁から、ハンガーバーの外端部が略水平になるように略鍵型又は略F型に突出した、請求項1に記載の三相短絡接地器とした。
【0014】
請求項4の発明は、上端に鉤状部を形成した短絡接地器本体の基部に操作棒の上端に取り付けたネジ棒を螺挿し、前記操作棒を回動することにより前記ネジ棒の頂部に取り付けた電線押さえ金具と、これと対向する前記鉤状部との間で、電線を挟持緊締することにより、電線に掛け止める短絡接地器本体を3個用意し、これらの短絡接地器本体相互を短絡線で接続し、また、これらの一つの短絡接地器本体に接続したアース線の先端に接地コネクタを設けた三相短絡接地器において、前記
3個の短絡接地器本体を相互に接続する2本の短絡線の端部を固定した短絡接地器本体の当該2本の短絡線の端部に棒状のハンガーバーを金具又はワイヤーで固定し、
前記2本の短絡線からハンガーバーを突出させ、当該ハンガーバーの突出部に他の2つの短絡接地器本体を掛け止め自在とした、三相短絡接地器とした。
【0015】
請求項5の発明は、前記2本の短絡線に固定されたハンガーバーが、前記2本の短絡線の両側又は一側から水平に突出している、請求項4に記載の三相短絡接地器とした。
【0016】
請求項6の発明は、前記2本の短絡線に固定されたハンガーバーが、前記2本の短絡線端部の上部又は下部から、ハンガーバーの外端部が略水平になるように略鍵型又は略F型に突出している、請求項4に記載の三相短絡接地器とした。
【0017】
請求項7の発明は、前記
請求項1〜3のいずれかの三相短絡接地器を用いて、現場の状況に合わせて、形状の異なる複数種のハンガーバーを有する前記プレート又はハンガーバーの中から選択してこれを短絡接地器本体に取付け、まず、三相の高圧配電線のいずれかに、2つの短絡接地器本体を前記ハンガーバーに掛け止めた短絡接地器本体を掛け止める、三相高圧配電線の接地着脱工法とした。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜3の各発明によれば、既存の三相短絡接地器の短絡線の端部の被覆部を本体に押さえるプレートを設け、当該プレートを本体にボルトで固定して、前記被覆部を固定するため、前記
図12の三相短絡接地器と同様のものが極めて低コストで入手できる。また、ハンガーバーも前記プレートにボルトで固定されているため、また、プレート自体もボルトで短絡接地器本体に固定されているため、当該三相短絡接地器を取り付ける三相の高圧配電線及び付近の状況に合わせて、形状の異なるハンガーバーの取替えや、プレート自体を取り替えることも容易である。
【0019】
また、請求項2の発明では、ハンガーバーが水平にプレートの両側縁から、又は一側縁から突出しているため、両側縁からハンガーバーが突出しているものは、三相の高圧配電線が水平に配列している場合に適し、また、両側から段違いに突出している場合は、三相の高圧配電線が垂直に配列している場合に適している。
【0020】
また、請求項3の発明では、前記ハンガーバーが、前記プレートの上縁又は下縁から、ハンガーバーの外端部が略水平になるように略鍵型又は略F型に突出しているため、三相の高圧配電線が垂直に配列している場合に適している。
【0021】
また、請求項4の発明では、2本の短絡線の端部を固定した短絡接地器本体の当該2本の短絡線の端部に、棒状のハンガーバーを金具又はワイヤーで固定するだけで製造でき、部材点数も少なく、製造コストも安価となる。しかも、この構成は接地作業現場でも組み立てることができる。従って、極めて汎用性の高いものである。
【0022】
また、請求項5の発明では、ハンガーバーが水平に短絡線の両側縁から、又は一側縁から突出しているため、両側縁からハンガーバーが突出しているものは、三相の高圧配電線が水平に配列している場合に適し、また、両側から段違いに突出している場合は、三相の高圧配電線が垂直に配列している場合に適している。
【0023】
また、請求項6の発明では、前記ハンガーバーが、前記短絡線の上部又は下部から、ハンガーバーの外端部が略水平になるように略鍵型又は略F型に突出しているため、三相の高圧配電線が垂直に配列している場合に適している。
【0024】
また、請求項7の発明では、現場の状況にあわせて、前形状の異なる複数種のハンガーバーを有する前記プレート又はハンガーバーの中から選択してこれを短絡接地器本体に取付け、三相の高圧配電線のいずれかに、2つの短絡接地器本体を掛け止めた短絡接地器本体を掛け止める工法としているため、当該三相の高圧配電線の一つに樹木等が接近している場合等、現場の状況や高圧配電線の配列に合わせて、前記プレートから突出するハンガーバーの突出形状を選択して絡接地器本体にプレートを取り付けるか、又は当該突出形状のハンガーバーをプレートに取り付け、2つの短絡接地器本体を掛け止めた短絡接地器本体を一つの高圧配電線に取付け、その後、他の2つの短絡接地器をそれぞれ近くの2本の高圧配電線に取り付けることができる。
【0025】
従って、三相の各短絡接地器本体の取り付け距離や動作の少ない又は容易な作業が可能となり、接地作業を安全かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】この発明の実施の形態例1の三相短絡接地器の側面図である。
【
図2】この発明の実施の形態例1の三相短絡接地器の平面図である。
【
図3】この発明の実施の形態例1の三相短絡接地器の背面図である。
【
図4】この発明の実施の形態例1の三相短絡接地器の2つの短絡接地器本体を取り外した背面図である。
【
図5】(A)図、(B)図、(C)図はそれぞれこの発明の実施の形態例1の3つの例の概略構成図である。
【
図6】(a)図〜(e)図はそれぞれこの発明の実施の形態例1のハンガーバーの構成図の例を示した概略図である。
【
図7】(f)図及び(g)図はそれぞれこの発明の実施の形態例1のハンガーバーの構成図の例を示した概略図である。
【
図8】(A)図及び(B)図はそれぞれこの発明の実施の形態例1の使用状態を示す説明図である。
【
図9】この発明の実施の形態例2の三相短絡接地器の斜視図である。
【
図10】この発明の実施の形態例2の三相短絡接地器の背面図である。
【
図11】この発明の実施の形態例2の三相短絡接地器の要部側面図である。
【
図12】従来のハンガーバーを設けた三相短絡接地器を示す図で、(イ)図は背面図、(ロ)図は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施の形態例1)
以下、この発明の実施の形態例1の三相短絡接地器Aについて
図1〜5に基づいて説明する。
【0028】
上端に鉤状部2を形成した短絡接地器本体1の基部3に、操作棒4の上端に取り付けたネジ棒4aを螺挿し、前記操作棒4を回動することにより前記ネジ棒4aの頂部に取り付け、前記鉤状部2に対向する電線押さえ金具5と、前記鉤状部2との間で、高圧配電線6(
図1参照)を挟持緊締することにより、高圧配電線6に掛け止める短絡接地器本体1を設け、この構成の短絡接地器本体1を3個設ける。
【0029】
この3個の短絡接地器本体1のうちの1個の短絡接地器本体1aには、2本の短絡線7、7の端部を固定し、これらの各短絡線7の他端を他の2個の各短絡接地器本体1に固定し、前記2本の短絡線7、7を接続した短絡接地器本体1aにアース線8の一端を接続し、当該アース線8の他端に接地コネクタ16(
図5参照)を接続している。
【0030】
そして、前記2本の短絡線7は、その各先端の被覆部を剥がした芯線7aが押さえ片9に固定されている。この押さえ片9は、両側に穿った孔にボルト9aを挿入し、当該ボルト9aの先端を、前記鉤状部2の背面に一体に設けた板体部2aに穿ったネジ孔に螺着している。
【0031】
また、前記2本の短絡線7の被覆部7bは、被覆押さえ片10で押さえられ、その上から略四辺形のプレート11を被せ、当該プレートの2つの孔に通した各ボルト12に、筒状のスペーサ13を被せて前記被覆押さえ片10に設けた各孔を貫通し、前記板体部2aのネジ孔に螺着している。
【0032】
また、前記プレート11の外面下部には、当該プレート11の両側から先端部を突出させたハンガーバー14が設けられている。このハンガーバー14は、2つの孔を通した各ボルト15の先端をそれぞれ前記プレート11に穿ったネジ孔に螺着してプレート11に固定されている。
【0033】
また、前記ハンガーバー14の両側に、前記各短絡線7の他端が接続された他の2つの短絡接地器本体1の鉤状部2を掛け止め自在としている。
【0034】
図5は、当該三相短絡接地器Aの3つの例の概略構成図を示し、(A)図は前記
図1〜4の例を示し、2本の短絡線7及びアース線8を接続した短絡接地器本体1aにハンガーバー14を有するプレート11を設けたものである。また、(B)図及び(C)図はそれぞれ1本の短絡線7のみを接続した短絡接地器本体1に、ハンガーバー14を有するプレート11を設けたものである。この様に、この発明では、3相の短絡接地器本体1のいずれかにハンガーバー14を有するプレート11を取り付けるものである。
【0035】
次に、前記プレート11にボルト15で取り付けるハンガーバー14の形状は、
図6及び
図7に示すものがある。しかしながら、ハンガーバー14の形状はこれらのものに限定されるものではない。
【0036】
図6の(a)図のハンガーバー14は、上記
図1〜4のものと同じものである。(b)図のハンガーバー14はプレート11の両側面から、段違いに水平に突出したものである。(c)図はプレート11の上下縁から鍵型に突出し、両端部が水平となっている。(d)図はハンガーバー14がコの字型で、プレート11から突出した2段の水平部を有している。(e)図はプレート11から下に垂直に突出し、枝のように左右に水平突出部を有している。
【0037】
図7の(f)図は、ハンガーバー14は略逆F技型で、水平部がプレート11の横及びプレート11の下方横方に突出しているものである。(g)図はプレート11を上から見た、平面図であり、ハンガーバー14は、プレート11の両側から水平で前後斜め方向に突出している。
【0038】
この様に、プレート11にボルト15で取り付けるハンガーバー14の形状は種々のものがあり、予め複数種の各ハンガーバー14を取り付けたプレート11を用意しておき、三相の高圧配電線の置かれた周囲の状況により、三相短絡接地器Aのいずれかの短絡接地器本体1に、形状の異なるハンガーバー14を有するプレート11を選択して現場で容易に取り付けることが出来る。
【0039】
また、これに代えて、いずれかの短絡接地器1に予めプレート11を取り付けておき、現場の状況に合わせて、種々の形状のハンガーバー14を選択して前記プレート11にボルト15により取り付けることが出来る。
【0040】
また、この発明では、三相短絡接地器Aの3個ある短絡接地器本体1の任意の短絡接地器本体1又は1aに、ハンガーバー14を有するプレート11を設けることが出来る。
【0041】
図8(A)に示すように、三相の高圧配電線6が水平に配列されている場合において、1本の短絡線7を接続した短絡接地器本体1に変形コの字型のハンガーバー14を有するプレート11を取り付け、上下の水平部に他の短絡接地器本体1、1を夫々掛け止め、この状態の三相短絡接地器Aを一番端の高圧配電線6に係止し、その後、上段の短絡接地器本体1を中央の高圧配電線6に、下段の短絡接地器本体1を反対側の端の高圧配電線6に順位掛け止めることもできる。
【0042】
これによれば、高所作業車が前記3相の高圧配電線下方において、手前までしか入り込めない場合に、三相の短絡接地器Aを手前の高圧配電線に掛け止め、他の2つの短絡接地器本体1を絶縁棒の先端で支持して、奥の2本の高圧配電線6に順に掛け止めることができ、作業性が良くなる。
【0043】
また、
図8の(B)図に示すように、三相の高圧配電線6が垂直に配列されている場合において、2本の短絡線7、7を接続した短絡接地器本体1aにクランク型のハンガーバー14を有するプレート11を取り付け、上下の水平部に他の短絡接地器本体1、1を夫々掛け止め、この状態の三相短絡接地器Aの短絡接地器本体1aを一番上の高圧配電線6に係止し、その後、上段の短絡接地器本体1を二番目の高さの高圧配電線6に、下段の短絡接地器本体1を三番目の高さの高圧配電線6に順位掛け止めることができる。
【0044】
これによれば、最初に短絡接地器本体1aを最上部の高圧配電線6に掛け止めれば、他の2つの短絡接地器本体1、1を絶縁棒の先端に支持して、中央の高さの高圧配電線6及び最下部の高圧配電線6にそれぞれ下すだけの作業で良いこととなる。また、逆に、前記短絡接地器本体1aを最下部の高圧配電線6に支持させ、他の2つの短絡接地器本体1、1をそれぞれ絶縁棒の先端で支持して、最上部、及び中央の高さの高圧配電線6に順次掛け止めることもできる。
【0045】
(実施の形態例2)
図9〜
図11はこの発明の実施の形態例2を示す。この実施の形態例2では、2本の短絡線7、7の端部を固定した短絡接地器本体1aの当該2本の短絡線7、7に、棒状のハンガーバー18の中央部を当接し、当該ハンガーバー18の外周2箇所に被せたU字型金具19の両側先端を前記2本の短絡線7、7の両側から背面側に突出させ、そこで押さえ片20の孔に夫々入れて押さえ片20の表面から突出するU字型金具の先端のネジ部にナット21を螺着し、前記ハンガーバー18を2本の短絡線7、7に支持させる。そして当該ハンガーバー18の両側に他の2つの短絡接地器本体1、1を掛け止め自在とした。
【0046】
この実施の形態例2では、ハンガーバー18を2本の短絡線7、7に支持させるに当たり、U字型金具19や押さえ片20を用いたが、他の適宜の金具でも固定でき、また、ワイヤーで縛って固定することもできる。これにより、三相短絡接地器の、2本の短絡線7、7を接続した短絡接地器本体1にハンガーバー18を取り付けて、他の2つの短絡接地器本体1を掛け止めることが出来る。
【0047】
また、前記実施の形態例2では、2本の短絡線7、7にハンガーバー18の中央部を固定して、短絡線7、7の両側からハンガーバー18を突出させているが、これに限らず、前記ハンガーバー18が、前記2本の短絡線7、7の両側又は一側から水平に突出している場合、又は前記2本の短絡線7、7の端部の上部又は下部から、ハンガーバー18の外端部が略水平になるように略鍵型又は略F型に突出している場合等、種々の形態にすることが出来る。
【0048】
この様に、この実施の形態例2では、ハンガーバーを容易に取り付けることが出来、
図12の従来の三相短絡接地器Tに比べ、製造コストを極めて低く抑えることが出来る。
【符号の説明】
【0049】
A 三相短絡接地器 T 三相短絡接地器
1 短絡接地器本体 1a 短絡接地器本体
2 鉤状部 2a 板体
3 基部 4 操作棒
4a ネジ棒 5 電線押さえ金具
6 高圧配電線 7 短絡線
7a 芯線 7b 被覆部
8 アース線 9 押さえ片
9a ボルト 10 被覆押さえ片
11 プレート 12 ボルト
13 スペーサ 14 ハンガーバー
15 ボルト 16 接地コネクタ
18 ハンガーバー 19 U字型金具
20 押さえ片 21 ナット