特許第6108906号(P6108906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108906
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】放射パネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20170327BHJP
   F24F 1/00 20110101ALI20170327BHJP
【FI】
   F24F5/00 101B
   F24F1/00 346
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-69865(P2013-69865)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-190687(P2014-190687A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000143972
【氏名又は名称】株式会社ササクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】呉 鐵雄
(72)【発明者】
【氏名】井上 良則
【審査官】 岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭50−022260(JP,B1)
【文献】 特開平11−337109(JP,A)
【文献】 特開平09−170766(JP,A)
【文献】 特開平09−329341(JP,A)
【文献】 特開2008−122036(JP,A)
【文献】 特開平07−127994(JP,A)
【文献】 特開2008−134015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
F24F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒流体と被空調室との間で熱交換する熱放射部が形成されたパネル本体を備えており、記パネル本体のうち前記被空調室に露出する放射面の全体又は大部分に、塗装層で覆われた微細な無数の凹凸を形成している構成であって、
前記パネル本体における放射面の凹凸は、最大高さが200μm以上で突起間又は凹部間のピッチが100〜700μmの表面粗さである一方、前記塗装層の厚さは20μm以下であり、前記放射面の凹凸が塗装層に現れている、
放射パネル。
【請求項2】
熱媒流体と被空調室との間で熱交換する熱放射部が形成されたパネル本体を備えており、前記パネル本体のうち被空調室に露出した放射面の全体又は大部分に塗装層が形成されており、前記塗装層に、当該塗装層の厚さを変化させることによって微細な無数の凹凸が形成されている構成であって、
前記塗装層の凹凸は、最大高さが200μm以上で突起間又は凹部間のピッチが100〜700μmの表面粗さに設定されている、
放射パネル。
【請求項3】
熱媒流体と被空調室との間で熱交換する熱放射部が形成されたパネル本体を備えた放射パネルの製造方法であって、
前記パネル本体のうち被空調室に向く放射面の全体又は大部分に、最大高さが200μm以上で突起間又は凹部間のピッチが100〜700μmである表面粗さの凹凸部を、削り加工又は塑性加工若しくは薬品を用いたエッチングによって形成し、次いで、前記パネル本体の放射面に、塗装層の厚さが20μm以下となるように塗装を施すことにより、前記放射面の凹凸が塗装層にも現れた状態に形成している、
放射パネルの製造方法。
【請求項4】
熱媒流体と被空調室との間で熱交換する熱放射部が形成されたパネル本体の下面に塗装層を設けて成る天井用放射パネルの製造方法であって、
前記パネル本体のうち室内に向く面が平滑になった状態に製造してから、前記パネル本体の室内に向く面に塗装を施し、次いで、前記塗装により形成された塗装層の全面又は大部分に、最大高さが200μm以上で突起間又は凹部間のピッチが100〜700μmの表面粗さの微細な無数の凹凸を、削り加工又は塑性加工若しくは薬品を用いたエッチングによって形成している、
放射パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、輻射式冷暖房装置に使用する放射パネルとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物等の冷暖房は室内の空気を介して熱交換する対流方式のエアコンが一般的であるが、近年、放射パネルを使用した輻射式冷暖房装置が普及しつつある。この輻射式冷暖房装置は、人体と放射パネルとの間で直接に熱を移動させるもので、ファンが存在しないため静粛性に優れている利点や、室のどこにいてもムラ無く冷暖房できる利点、冷風・温風の直撃がなくて快適性に優れている利点、熱交換の媒体は水でよいため環境負荷が小さい利点等を有している。
【0003】
輻射式冷暖房装置における1つの課題は効率のアップであるが、これは放射パネルの表面積を増大させることで達成できる。そこで、本願出願人は、特許文献1において、放射パネルの下面に多数のフィンを設けることを開示した。また、特許文献2には、床置き式の輻射放熱式暖房器具において、放射パネルの表面に多数の凸条と溝条とからなる凹凸を形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−122036号公報
【特許文献2】特開2011−185555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、放射パネルは人目に触れるものであるためデザインは大事であり、放射パネルをデザイナーがデザインすることも多い。このようにデザインが施されている場合、デザインのコンセプトを変更することなく効率をアップさせることが重要であるが、特許文献1はフィンを設けるということ自体が1つのデザインであるため、他のデザインに付加できるものではなく汎用性は低いと云える。
【0006】
他方、特許文献2は表面の構造に関するものであるため特許文献1に比べると汎用性は高いが、図面に表示されているように凹凸が人の肉眼で視認できるため、凹凸の存在がデザインのコンセプトに合致しないことがある。例えば、放射パネルの露出面を平滑面に見えるように表示したいと、というデザインコンセプトには合致しないと云える。
【0007】
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、様々なデザインへの適応性に優れつつ高い熱放射効率を確保した放射パネルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、放射パネルとその製法とを含んでいる。放射パネルは請求項1,2で特定している。このうち請求項1の発明に係る放射パネルは、
熱媒流体と被空調室との間で熱交換する熱放射部が形成されたパネル本体を備えており、記パネル本体のうち前記被空調室に露出する放射面の全体又は大部分に、塗装層で覆われた微細な無数の凹凸を形成している構成であって、
前記パネル本体における放射面の凹凸は、最大高さが200μm以上で突起間又は凹部間のピッチが100〜700μmの表面粗さである一方、前記塗装層の厚さは20μm以下であり、前記放射面の凹凸が塗装層に現れている。
【0009】
請求項2の発明に係る放射パネルは、
熱媒流体と被空調室との間で熱交換する熱放射部が形成されたパネル本体を備えており、前記パネル本体のうち被空調室に露出した放射面の全体又は大部分に塗装層が形成されており、前記塗装層に、当該塗装層の厚さを変化させることによって微細な無数の凹凸が形成されている構成であって、
前記塗装層の凹凸は、最大高さが200μm以上で突起間又は凹部間のピッチが100〜700μmの表面粗さに設定されている。
【0010】
請求項3の発明は製法に係るもので、この発明は、
熱媒流体と被空調室との間で熱交換する熱放射部が形成されたパネル本体を備えた放射パネルの製造方法であって、
前記パネル本体のうち被空調室に向く放射面の全体又は大部分に、最大高さが200μm以上で突起間又は凹部間のピッチが100〜700μmである表面粗さの凹凸部を、削り加工又は塑性加工若しくは薬品を用いたエッチングによって形成し、次いで、前記パネル本体の放射面に、塗装層の厚さが20μm以下となるように塗装を施すことにより、前記放射面の凹凸が塗装層にも現れた状態に形成している。
【0011】
請求項4の発明も製法に係るもので、この発明は、
熱媒流体と被空調室との間で熱交換する熱放射部が形成されたパネル本体の下面に塗装層を設けて成る天井用放射パネルの製造方法であって、
前記パネル本体のうち室内に向く面が平滑になった状態に製造してから、前記パネル本体の室内に向く面に塗装を施し、次いで、前記塗装により形成された塗装層の全面又は大部分に、最大高さが200μm以上で突起間又は凹部間のピッチが100〜700μmの表面粗さの微細な無数の凹凸を、削り加工又は塑性加工若しくは薬品を用いたエッチングによって形成している。
【0012】
求項3,4の削り加工は、何らかの手段でパネル本体又は塗装層の肉を除去する加工(表面を荒らす加工)を意味しており、例えば、カッターを使用した切削やワイヤブラシを用いた傷つけ加工などが含まれるが、削り加工としてサンドブラスト加工も採用できる。また、塑性加工は材料を除去せずに変形させて微細な凹凸を形成するものであり、例えばプレス機を使用した押圧加工が可能であるし、ショットピーニング加工も採用できる。
【0013】
本願発明の凹凸は、微細な突条と溝条とが交互に存在するように凹凸が一方向に広がる態様と、例えば格子模様のように微細な凹凸が規則正しく複数方向に広がる場合と、独立した微細な突起(又は凹み)が面状にランダムに広がる存在する態様とを含んでいるが、凹凸をショットピーニング加工で形成する場合は、凹凸は面状にランダムに広がる態様になる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明では、1つ1つの凹凸を視認し難い程に微細化することにより、凹凸を全く又は殆どん目立たない状態に形成できる。このため、様々なデザインとの適合性に優れており、汎用性が極めて高い。
また、表面に微細な無数の凹凸が存在することでパネルの表面積が格段に増大することと、熱源からの熱線が天井面に向けて斜め下方から照射されても熱線が凹凸の傾斜面に集中的に当たって高い受熱効率を確保できること、並びに吸熱及び放熱の効果を助長する塗装層まで凹凸が及んでいることとの相乗効果により、暖房時の放熱や冷房時の吸熱の効率を大きく向上できる。
従って、本願発明は、各種のデザインのコンセプトを阻害することなく、冷暖房の効率を格段に向上させることができる。
【0015】
パネル本体は、放射面に無数の凹凸が形成された状態で製造することも不可能ではないが、このように製造することは非常に面倒である。この点、請求項3,4のように後加工で凹凸を形成すると、傾斜面を有する無数の微細凹凸を既存の技術で容易に加工できる。従って、経済性に優れている。特に、サンドブラストやショットピーニングを採用すると、非常に微細な山形の凹凸を均一かつ容易に加工できるため、特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本願発明を適用した建物の概略図である。
図2】(A)は第1実施形態に係る輻射式冷暖房装置の断面図、(B)は放射パネルのみの断面図である。
図3】凹凸の加工手順を示す図である。
図4】作用を示す図で、(A)は人と放射パネルとの関係を示す概略図、(B)〜(E)はそれぞれ(A)で表示したB〜Eの部分の拡大図、(F)は1つの突起の概念図である。
図5】第2実施形態を示す図である。
図6】第3実施形態を示す図である。
図7】本願発明を適用できる他の形態の放射パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1).第1実施形態の構造
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1図4を参照して第1実施形態から説明する。
【0018】
建物はコンクリート製の天井スラブ1を有しており、天井スラブ1の下方に、多数のパネルユニット2を縦横に整列して配置した輻射式冷暖房システム3が吊支されている。パネルユニット2は、平面視長方形の放射パネル4を複数枚並列配置して一体に連結することで構成されている。放射パネル4は、アルミ等の金属材料の押し出し加工品であるパネル本体5を有している。
【0019】
図2に示すように、放射パネル4のパネル本体5は平らな基板を備えており、基板の下面(放射面)は平坦面になっている。他方、基板の上面のうち幅方向の概ね中心部には、伝熱部の一例として上向きに開口した半円状のパイプ受け部7を設け、パイプ受け部7を挟んだ一方の側には第1〜第3の上向きリブ8,9,10を一体に設け、パイプ受け部7を挟んだ他方の側には基板の外側にはみ出た階段状の係合段部11を設けている。パイプ受け部7には熱媒体としての水が通るパイプ12の下半分が嵌まっており、パイプ12の上半分には断面半円状の押え部材13が上から重なっている。
【0020】
並列配置された放射パネル4の上には、それら放射パネル4の群を連結してパネルユニット2と成すための連結バー14が、放射パネル4の長手方向と直交した方向に長く延びる姿勢で配置されている。連結バー14は下向きに開口した断面コ字形になっており、その側板14aに形成した茸形の係合爪15が、パネル本体5に設けた第2及び第3のリブ9,10で挟み係止されている。連結バー14は放射パネル4の長手方向に沿って飛び飛びで複数本配置されており、各連結バー14は、平面視で当該連結バー14と直交した姿勢の横桟部材16に固定されている。敢えて述べるまでもないが、横桟部材16は天井スラブ1に吊支されている。
【0021】
パネル本体5を構成する基板の一端部と係合段部11との間には横向きの連結空間17が空いており、この連結空間17に、隣に位置したパネル本体5の一側部が嵌まっている。これにより、複数枚の放射パネル4が隙間なく当接して全体として1枚板であるかのような外観を呈している。なお、図1では、隣り合ったパネルユニット2は隙間無く並べられているが、隣り合ったパネルユニット2の間に間隔を空けて、その間に通常の天井パネルを配置してもよい。
【0022】
パネル本体5は、図3(A)に示すように、その下面(放射面)が平滑になった状態に製造されており、このような状態に製造してから、図3(B)に示すように、突起18と凹み19とから成っていて無数の傾斜面を有する凹凸20を下面の全体に形成し、次いで、図3(C)に示すように、凹凸20が形成された下面に塗装を施して塗装層(塗膜)21を設けている。従って、人目に触れるのは塗装層21であり、塗装層21も傾斜面で構成された凹凸20になっている。
【0023】
凹凸19はサンドブラスト加工によって形成しており、従って、実際には突起18は散点状に多数存在していて、その形状や大きさ(平面積)、高さ、密度もまちまちであるが、図3では模式化して鋸歯状に表示している。サンドブラスト加工は様々な物品の表面の粗仕上げにも使用されるのもので、サンドがワークに衝突することで凹みができるが、基本的には材料を除去する削り加工である。そして、サンドブラス加工を施すと、表面は磨きをかけたような状態に見えるが、実際には、ワークの表面には、極めて微細な無数の凹凸が存在している。
【0024】
本実施形態における凹凸19の平均高さ、すなわち、多数の突起18の高さ(或いは凹み19の深さ、凹凸の高低差)Hの平均値は、人目には視認できない程度で、できるだけ大きい値にするのが好ましい。換言すると、人目には存在が視認できない程度の凹凸20が形成されるように、サンドブラストに使用するサンドの粒径を選択する。凹凸20の最大高さ(Rz)の平均値は200〜800μm程度が好ましく、凹凸20のピッチPは100〜700μm程度が好ましい。塗装層21は凹凸20に倣う厚さでなければならず、具体的には、2〜20μm程度でよい。
【0025】
(2).第1実施形態のまとめ
図4では、人の身体22と放射パネル4との間の熱の伝達関係を模式的に示している。すなわち、図4のうち(B)(C)(D)(E)は、(A)に表示したB,C,D,Eの個所での熱線の当たり方を模式的に示している。そして、熱源としての人の身体22からは全方向に向けて熱線が放射されているが、放射パネル4の群で構成された天井の放射面には、身体22に近い箇所ほど放射量が多くなり、身体22から遠ざかるほど放射量は少なくなる。
【0026】
しかし、身体22からの熱の放射面積は広く広がっているので、身体22から放射された熱線を効率良く受けるには、身体22に近い場所でも遠い場所でも、熱線の受容面積をできるだけ広くする必要がある。
【0027】
この点、本実施形態では、放射パネル4の下面が多数の凹凸20で構成されていて形態係数が高くなっているため、身体22の真上に位置した箇所でも、身体22から遠くて熱線の照射角度が天井面に対して傾斜している箇所でも、熱線の受容面積は単なる平坦面である場合に比べて格段に広くなっており、このため、身体22の熱を天井面(放射面)の広い範囲で効率よく吸収できる。つまり、単位平面積当たりの熱の受容量を多くできると共に、広い範囲で熱を効率良く補集する状態で受容できるのであり、その結果、コンパクトでありながら高い冷暖房効果を発揮できる。
【0028】
この点を更に詳述する。まず、傾斜面の効果を説明する。図4の分図(F)で示すように、熱線Rは面積を持った束として概念できるが、熱線の照射面が水平面に対して角度θ0で傾斜していると、熱線の照射面積は水平面に対してcosθだけ小さくなるため、単位面積当たりの受熱量が高くなる。このため、受熱面積が広くなるだけでなく、熱を有効に受けることができる。つまり、熱線は凹凸20の表面に直交した方向から入射するのが最も効率的であるが、凹凸が傾斜面から成っているため、斜め下方から照射された熱線も効率良く受熱できるのである。また、熱線の反射も抑制できる。
【0029】
他方、図4(B)に示すように、凹凸20の片側から熱線が照射された場合、一方の傾斜面では単位面積当たりの受熱量が高くなっても、他方の傾斜面では、熱線の照射角度θ2が水平面に対する照射角度θ1よりも小さくなるが、傾斜していることによって面積が大きくなっているため、他方の傾斜面での受熱総量は水平面である場合に比べて高くなっている。従って、結果として、熱線が斜め下方から照射された場合、パネルの下面が水平面である場合に比べて熱の受熱量が多くなるのである。分図(D)のように両側の傾斜面にそれぞれ逆方向から熱線が照射される場合は、受熱量はより一層高くなる。
【0030】
次に、人の身体22の真上に位置したエリア23を見てみる。このエリア23では、熱線は基本的には真下から照射されていると云えるが、熱源である身体は水平方向の広がりを持っているため、実際には、熱線はパネル4に対して真下から照射されたものと斜め下方から照射されたものとの束なっていると云える。そして、(F)を参照して説明したように、熱線が斜め下方から照射されても傾斜面によって効率的に受熱するため、パネル4の下面が平滑な水平面である場合に比べて受熱効率を向上できるのである。
【0031】
人が室内を歩くと、放射パネル4の群よりなる放射面のうち人の熱を強く受ける範囲は人の歩行に従って変化して行くが、放射パネル4の凹凸20は独立した多数の突起18と凹み19とで構成されているため、熱線がどの方向から照射されても同じ程度の能力で熱を吸収できる。従って、冷暖房のムラが生じることはない。
【0032】
図4(G)では、突起18を模式的に四角錐の形態に表示している。突起18を構成する4つの面を正三角形と仮定すると、突起18の全表面積は底面積の2倍になる。このことからも、本実施形態における放射パネル4の性能を理解できるであろう。そして、凹凸20は非常に微細で視認し難いため、肉眼で見た目には放射パネル4の下面はフラットなままであり、従って、「下面をフラットに見せる」というデザインコンセプトを阻害することはないのである。
【0033】
(3).他の実施形態
図5に示す第2実施形態では、パネル本体5の下面はフラットなままとして、塗装にて塗装層21を形成してから、この塗装層21にサンドブラストを掛けて塗装層21の厚さう変化させることで凹凸20を形成している。従って、塗装層21の厚さは第1実施形態の場合よりも厚くしている。塗装層21を複数層重ね塗りして、これにサンドブラストを掛けて凹凸20を形成することも可能である。また、ベースとなる塗装層21に凹凸20を形成してから、ごく薄い厚さで仕上げ塗装を施すことも可能である。
【0034】
塗装層21を形成してからサンドブラストを掛ける場合、凹凸20がパネル本体5まで及んでいてもよい。但し、パネル本体5の地肌が露出すると熱の伝達効率が著しく悪化するので、パネル本体5の下面は常に塗装層21で覆っておく必要ある。従って、凹凸20が塗装層21を突き破った状態に形成されてパネル本体5の地肌が散点状に露出する場合は、薄い厚さで仕上げ塗装を施すのが好ましい。
【0035】
図6に示す第3実施形態では、パネル本体5の下面に微細な鋼球を当てるショットピーニング加工によって凹凸20を形成し、それから塗装を施している。従って、放射パネル4の下面には無数の椀型の凹み19がランダムに形成される。図6では凹み19を同じ大きさに整然と表示しているが、実際には、凹み19の大きさ(内径)や深さはまちまちになる。
【0036】
本願発明は、図7に示すように、下面にフィン24を設けた放射パネル4にも適用できる。また、図示していないが、放射パネル4の下面に人が視認できる大きさの鋸歯状の凹凸を形成して、その表面にサンドブラスト等で微細な凹凸20を形成することも可能である。いずれにしても、本願発明の凹凸は極めて微細であるため、デザインの基本的なコンセプトを阻害することはない。
【0037】
(4).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、パネル本体の素材はアルミ等の金属には限らず、樹脂製であってもよい。金属製の場合、押し出し加工品や板材なども使用できる。パネル本体の形状も平面視で長方形には限らず、正方形や正六角形など様々な形態を採用できる。
【0038】
凹凸の形成方法としては、例えば回転式のワイヤブラシで表面を擦り付けたり、外周に微細な突起を無数の突起を設けたローラを回転させながら押し付けたり、ワイヤブラシで塗装層を叩いたりと、様々な方法を採用できる。流体との熱交換手段としては、実施形態のようにパイプを使用することに代えて、パネル本体の一部に水が通る中空部を形成して、この中空部を伝熱部と成すことも可能である。
【0039】
本願発明の放射パネル4は冷房と暖房との両方に適用できるが、冷房のみ又は暖房のみに使用することも当然に可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本願発明の放射パネルは実際に製造できると共に、効果を発揮する。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 天井スラブ
2 パネルユニット
3 輻射式冷暖房装置
4 放射パネル
5 パネル本体
7 伝熱部の一例としてパイプ受け部
12 水が通るパイプ
18 突起
19 凹み
20 凹凸
21 塗装層
22 身体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7