(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108963
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】食品調理用容器
(51)【国際特許分類】
A47J 33/00 20060101AFI20170327BHJP
【FI】
A47J33/00
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-113801(P2013-113801)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-230688(P2014-230688A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(72)【発明者】
【氏名】石田 義一
(72)【発明者】
【氏名】徳永 大輔
(72)【発明者】
【氏名】篠原 隆昌
【審査官】
宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−087721(JP,U)
【文献】
特開2009−165614(JP,A)
【文献】
特開2009−292537(JP,A)
【文献】
特開平07−017554(JP,A)
【文献】
特開2005−124833(JP,A)
【文献】
特開平07−222682(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3026444(JP,U)
【文献】
実開昭53−124271(JP,U)
【文献】
実公昭50−016062(JP,Y1)
【文献】
実公平08−009028(JP,Y2)
【文献】
欧州特許出願公開第00348156(EP,A2)
【文献】
米国特許第04776459(US,A)
【文献】
米国特許第03663239(US,A)
【文献】
特開2008−054893(JP,A)
【文献】
実表平05−500005(JP,U)
【文献】
実開昭59−181069(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ金属箔から一体に成形された、
底壁と、
前記底壁の周縁から立ち上がる周壁と、
前記周壁の上縁から外向きに張り出すフランジと、
前記フランジの外縁に連設され、フランジとの境界に沿って形成された折り曲げ容易部を起点にフランジの上面に向けて折り返し可能な一または複数のタブと、を備える一対の容器単体よりなり、
前記一対の容器単体の一方を上下反転させて他方の上にかぶせ、前記フランジ同士を重ね合わせた状態で前記各タブをフランジ上面に向けて折り返すと、互いに一方の容器単体のフランジが他方の容器単体のフランジとタブに上下から挟み込まれることで保持されるものであり、
前記各容器単体のフランジには、前記タブとの連設箇所を除いてほぼ全周に縁巻きが付属しており、
前記各容器単体の折り曲げ容易部は、前記フランジの幅方向に並列する複数の平行な罫線からなり、
その最も内側の罫線と最も外側の罫線との間の距離は、前記縁巻きの外径とほぼ等しいかやや大きい食品調理用容器。
【請求項2】
前記各折り曲げ容易部は、平行な二本の罫線からなり、
その罫線間の距離は、前記縁巻きの外径とほぼ等しいかやや大きく、
それぞれの罫線を約90度折り曲げることで前記タブを前記フランジ上面に向けて折り返すと、前記タブと前記フランジ上面との間に、他方の容器単体のフランジに付属する縁巻きを収容可能な幅の隙間が形成される請求項1に記載の食品調理用容器。
【請求項3】
前記一対の容器単体の各タブは、容器単体の一方を上下反転させて他方の上にかぶせ、前記フランジ同士を重ね合わせた状態でフランジ上面に向けて折り返す際に、互いに干渉しないような前記フランジ上の位置に、それぞれ連設されている請求項1または2に記載の食品調理用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸し焼き調理に好適な食品調理用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
バーベキューパーティなど、野外で食品を調理する際に用いられる金属箔を成型した容器が市販されている。
特許文献1のように、このような食品調理用容器は、長方形の底壁と、底壁の周縁から立ち上がる側壁と、側壁の上縁から外向きに張り出すフランジとを、金属箔をプレス成型することで一体に形成している。またフランジの外縁は、金属箔の断面が露出すると手指が切れる等して危険であるため、縁巻きが付属している。
この種の食品調理用容器は、焼き網等を介してバーベキューコンロの上に載せて、その中で焼きそばなどの炒め料理を調理するのに用いられ、できあがった料理の容器としても兼用される。
鉄板等を用いるのに比べて、軽量であるため取り扱いが容易であるという利点、アルミニウム箔などの金属箔製であるため通常安価であるという利点、および使い捨てできるという利点があるため、近年普及しつつある。
【0003】
ところで、従来のこの種の食品調理用容器は、上述のとおり炒め調理するには好適であったが、上方に向けて開口しているため、調理中に大量の蒸気が開口から逃げてしまい、北海道名物のちゃんちゃん焼き等の蒸し焼き調理には適していなかった。
ここで、アルミニウム箔やラップフィルムなどを被せて容器の開口を塞ぎ、調理中に蒸気が逃げないようにすることも考えられる。しかし、野外では風によりそのアルミニウム箔等が吹き飛びやすく、また調理中に食品調理用容器を載せたコンロに人がぶつかるなどして衝撃がかかると、開口からアルミニウム箔等が外れやすい。
また、一対の食品調理用容器を用いて、バーベキューコンロの上に載せた一方の食品調理用容器の上に、上下を反転させた他方の食品調理用容器を被せ、フランジ同士を重ね合わせることで開口を塞ぐことも考えられる。しかし、上下の容器同士は固定されていないため、アルミニウム箔等を開口に被せた場合と同様に、衝撃等により上側の食品調理用容器がずれ動いて開口が露出しやすい。
したがって、従来の食品調理用容器を用いる限り、いずれの場合にも、開口から大量の蒸気が逃げやすく、蒸し焼き調理の状態を維持するのが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−165614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明の解決すべき課題は、蒸し焼き調理に好適な金属箔で成形された容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、本発明の食品調理用容器を、それぞれ金属箔から一体に成形された、底壁と、前記底壁の周縁から立ち上がる周壁と、前記周壁の上縁から外向きに張り出すフランジと、前記フランジの外縁に連設され、フランジとの境界に沿って形成された折り曲げ容易部を起点にフランジの上面に向けて折り返し可能な一または複数のタブと、を備える一対の容器単体から構成したのである。
そして、前記一対の容器単体の一方を上下反転させて他方の上にかぶせ、前記フランジ同士を重ね合わせた状態で前記各タブをフランジ上面に向けて折り返すと、互いに一方の容器単体のフランジが他方の容器単体のフランジとタブに上下から挟み込まれることで保持されるようにしたのである。
ここで折り曲げ容易部とは、容器単体の他の箇所よりも容易に折り曲げ可能なように物理的または化学的に加工されている箇所を意味し、特に限定されるものではないが、罫線、薄肉部およびミシン目が例示できる。薄肉部は帯状の幅広のものであってもよく、その場合は、容器単体の他の箇所と薄肉部との境界部が、折り曲げの起点となりうる。
【0007】
上下一対の容器単体を開口同士が向かい合うように重ね合わせて、フランジに罫線を介して連設されたタブを折り返して、そのタブと対向するフランジとで他方の容器単体のフランジを上下から挟みこむことで容器単体同士が固定される。
したがって、衝撃がかかる等しても容器単体が互いにずれ動くことがなく、その開口が閉塞された状態が維持される。このため、調理中に蒸気が外部に大量に逃げることがなく、蒸し焼き調理を好適におこなうことができる。
【0008】
ここで前記各容器単体のフランジには、前記タブとの連設箇所を除いてほぼ全周に縁巻きが付属しており、前記各容器単体の折り曲げ容易部は、前記フランジの幅方向に並列する複数の平行な罫線からなるのが好ましい。
【0009】
容器単体の折り曲げ容易部が単数の罫線等からなる場合には、タブをフランジの上面にほぼ重なるように折り返す際に、その単数の罫線等を約180度も折り曲げなければならない。したがって、その折り曲げ部から容器単体の素材である金属箔が破れるおそれがあり、タブが容器単体から分離してしまったり、破れて金属箔の断面が露出する箇所に触れると手指を切ってしまったりする可能性がある。
そこで本発明のように、各折り曲げ容易部を複数の罫線から構成すると、タブをフランジの上面にほぼ重なるように折り返す際に、各罫線の折り曲げ角度を、たとえば二本であれば約90度ずつ、三本であれば約60度ずつ、というように分散させることができる。同様に罫線がx本であれば、折り曲げ角度は約180/x度ずつとできる。したがって各罫線における過剰な折曲げが抑制され、折り曲げ部から金属箔が破れるのを防止することができる。
【0010】
また各容器単体のフランジ外縁に縁巻きが付属している場合には、このフランジを他方の容器単体のフランジと、単数の罫線等からなる折り曲げ容易部を約180度折り曲げることで折り返されたタブとで挟み込むと、フランジとタブとの間にほとんど隙間が形成されないことになる。このため、縁巻きがフランジとタブに上下から押圧されて、潰れてしまうおそれがある。容器単体の外縁に設けられた肉厚部である縁巻きが潰れてしまうと、容器単体全体の強度が低下する可能性がある。
そこで本発明のように、折り曲げ容易部を複数の罫線から構成し、合計折り曲げ角度が約180度となるように、それぞれの罫線を少しずつ折り曲げると、フランジと折り返したタブとの間に一定の隙間が形成される。そのフランジとタブに挟まれた他方の容器本体のフランジに付属する縁巻きは、一定の外径を有するが、この隙間に入り込むことで、上下から押圧して潰れることが抑制され、容器単体全体の強度低下が防止される。
【0011】
以上のことから、前記各折り曲げ容易部は、平行な二本の罫線からなり、その罫線間の距離dは、前記縁巻きの外径rとほぼ等しいかやや大きいのが好ましい。
それぞれの罫線を約90度折り曲げることで前記タブを前記フランジ上面に向けて折り返すと、前記タブと前記フランジ上面との間に、他方の容器単体のフランジに付属する縁巻きを収容可能な幅が約dの隙間が形成されることになる。
【0012】
前記一対の容器単体の各タブは、容器単体の一方を上下反転させて他方の上にかぶせ、前記フランジ同士を重ね合わせた状態でフランジ上面に向けて折り返す際に、互いに干渉しないような前記フランジ上の位置に、それぞれ連設されているのが好ましい。
【0013】
このように構成すると、タブ同士が干渉しないことから各タブの折り返し作業が容易であり、かつ各タブをフランジ上面にほぼ重なり合う位置にまできっちりと折り返すことができ、容器単体同士がずれ動かないようにしっかりと固定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明を以上のように構成したので、蒸し焼き調理に好適な金属箔成形容器を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の容器単体の(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図
【
図2】実施形態の容器単体の
図1(a)の矢印における断面図
【
図3】実施形態の食品調理用容器の(a)は端面図、(b)は要部断面図
【
図4】実施形態の食品調理用容器の使用状態を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1から
図4のように、実施形態の食品調理用容器は、それぞれ金属箔からプレス成型機により一体に形成された一対に使用される相似形の容器単体10からなる。相似形であるため、同じ金型により製造することができ、製造コストを抑えることができる。
【0017】
図1のように、各容器単体10は、底壁11と、周壁12と、縁巻き13aが付属するフランジ13と、タブ14と、を備える。
容器単体10に用いられる金属箔の種類は特に限定されないが、アルミニウム箔、銅箔、鉄箔などが例示でき、軽量かつ安価であることからアルミニウム箔が好ましい。その金属箔の厚みも特に限定されないが、50μm未満であると強度が不十分となるおそれがあり、300μmを超えると材料コストが嵩むため、50〜300μm程度が好ましい。
【0018】
図1(a)および(b)のように、容器単体10の底壁11は、長方形の四つの角隅部をそれぞれ直角二等辺三角形状に小さく切り欠いた形状となっている。底壁11には、適宜補強のためのリブを設けたり、凹凸を設けたりしてもよい。
容器単体10の底壁11の形状は本実施形態に限定されず、正方形、円形、楕円形などでもよい。
底壁11の面積も特に限定されないが、面積が25cm
2未満であると寸法が小さすぎて調理作業がしにくくなり、5000cm
2を超えると容器単体10の強度が低下して変形等しやすくなるため、25〜5000cm
2が好ましい。
【0019】
図1(a)のように、容器単体10の周壁12は、底壁11の周縁から広がって立ち上がっており、その高さはほぼ均一となっている。
周壁12の高さは特に限定されないが、10mm未満であると容器単体10の深さが不充分となって食品を収納しにくくなり、200mmを超えると嵩張って持ち運びにくいため、10〜200mmが好ましい。
【0020】
図1(a)および(b)のように、容器単体10のフランジ13は、周壁12の上縁から外向きにほぼ水平に張り出しており、その幅は均一となっている。フランジ13の幅の大きさは特に限定されない。
また容器単体10の周壁12からフランジ13にかけては、周壁12に沿って上下に延び、次いで屈曲してフランジ13に沿って水平に延びるリブ12aが、角隅部を除いてほぼ全周に形成されることで、補強されている。このようなリブ12aは適宜省略可能である。
【0021】
図1(a)および(b)のように、タブ14は、容器単体10のフランジ13の四つの角隅部のうち、対角線上に位置する二つの角隅部の外縁にのみ連設されている。このタブ14の外縁は、摘みやすいように弧状の形状をしている。
フランジ13とタブ14との境界箇所、すなわちタブ14の根元は、他の箇所と比較して折り曲げの容易な折り曲げ容易部となっている。ここでは
図1(a)(b)および
図2のように、折り曲げ容易部はフランジ13の幅方向、すなわち容器単体10の内側から外側へ向かう方向に並列する、ほぼ平行な二本の罫線から構成されている。
【0022】
フランジ13の外縁のタブ14を連設した箇所を除いたほぼ全周には、円筒形に上向きにカールした縁巻き13aが形成されている。この縁巻き13aは省略可能である。
ここで折り曲げ容易部を構成する二本の罫線14aの間の距離dは、縁巻き13aの外径rとほぼ同じかやや大きく設定されている。具体的には、たとえばr−2≦d≦r+5(mm)程度に設計されている。
【0023】
実施形態の食品調理用容器を使用する際には、
図3および
図4のように、食品Fを収納した一方の容器単体10をコンロRの上に載せ、その上に上下を反転させた他方の容器単体10を蓋として被せ、開口が向かい合った状態で、容器単体10同士のフランジ13を重ね合わせる。
容器単体10は、互いに一方の開口を他方が閉塞した状態となり、食品調理用容器の内部には、食品Fを収納した閉鎖空間が形成される。
したがって、加熱により食品F等から立ち上った蒸気が食品調理用容器の外部へと大量に逃げることが抑制され、蒸し焼き料理を調理することが容易である。なお、重ね合わせた容器単体10のフランジ13の間に自然に形成されるわずかな隙間から、少量の蒸気が漏れ出すようになっており、これにより内圧が上昇するのが防止されている。
【0024】
この状態で
図3(b)のように、並列する罫線14aをそれぞれ約90度ずつ折り曲げて、各タブ14をフランジ13の上面にほぼ重なり合うように(わずかな隙間をあけてほぼ平行となるように)折り返す。
ここで対角線上にタブが二つ設けられた相似形の容器単体同士を、一方を他方に対して上下反転させた状態で重ねると、両容器単体10のタブが互いに干渉しない位置にずれるため、上記折り返し作業を円滑におこなうことができる。
これにより、容器単体10は、互いに一方のフランジ13が他方のフランジ13と折り返したタブ14とに上下に挟み込まれた状態となり、容器単体10同士がずれ動いて開口が開き蒸気が逃げることのないように、しっかりと固定されることになる。
【0025】
タブ14を折り返す際に、二本の罫線14aをそれぞれ約90度ずつ折り曲げているため、単一の罫線14aを約180度折り曲げるような場合に比べて、折り曲げ角度が分散されて、その折り曲げ箇所が破れにくくなっている。
また二本の罫線14a間の距離dが、上述の通り縁巻き13aの外径rとほぼ同じがやや大きいため、タブ14を折り返した際に、一方の容器単体10のタブ14とフランジ13との間に形成される隙間の上下の幅が約dとなり、他方の容器単体10のフランジ13に付属する縁巻き13aがほぼ過不足なく収納されることになる。
したがって、縁巻き13aがタブ14とフランジ13に押し潰されて容器単体10の強度が低下したり、タブ14とフランジ13間の隙間が縁巻き13aの外径に比べて大きすぎて容器単体10がぐらついたりすることが防止される。
【0026】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
【0027】
たとえば上記実施形態では、一対の容器単体10を相似形としているが、上下反転した状態で重ね合わせ、一方の容器単体10のタブ14をフランジ13の上面に向けて折り返すと、そのタブ14とフランジ13により、他方の容器単体10のフランジ13を挟み込んで保持することが可能である限り、相似形でなくともよい。
たとえば、コンロ等の上に載置する容器単体10を深底のものとし、その上に蓋として被せる容器単体10を浅底のものとしてもよい。
【0028】
また上記実施形態では、各容器単体10にタブ14を二つずつ設けているが、これに限定されない。たとえば各容器単体10にタブ14を一つずつ設けてもよいし、一方の容器単体10と他方の容器単体10とでタブ14の数を異ならせてもよい。
さらにタブ14の位置も、フランジ13の外縁上である限り特に実施形態のような角隅部に限定されない。たとえば容器単体10の底壁11の形状が略長方形の場合には、一方の容器単体10では、その底壁11の長辺の中間地点上のフランジ13外縁にタブ14を設け、他方の容器単体10では、その底壁11の短辺の中間地点上のフランジ13外縁にタブ14を設けてもよい。
タブ14の形状も実施形態のものに限定されず、たとえば多角形でもよい。タブ14には、縁巻きが形成されていてもいなくても、いずれでもよい。
【0029】
折り曲げ容易部を構成する罫線14aは実施形態のような二本に限られず、三本以上としたり、一本としたりしてもよい。
フランジ13に縁巻き13aが付属していない場合には、そのフランジ13を挟み込む他の容器単体10のタブ14とフランジ13との間に縁巻き13aを収容可能な隙間を形成する必要がないため、罫線14aを一本にして構造を簡略化することができる。
罫線14aが三本の場合は、それぞれの罫線14aの折り曲げ角度を約60度、四本の場合は、それぞれの罫線14aの折り曲げ角度を約45度とすればよい。もちろん、各罫線14aの折り曲げ角度は均等である必要はなく、たとえば三本の場合に、そのうちの二本の折り曲げ角度を約90度として、残る一本の折り曲げ角度を約0度にしてもよい。
いずれにせよ、罫線14aが三本以上の場合には、フランジ13の幅方向の最も内側の罫線14aと最も外側の罫線14aとの距離dを、縁巻きの外径rより大きく設計するのが好ましい。このように設計すると、各罫線14aの折り曲げ角度を合計折り曲げ角度が約180度の範囲内で適宜調整することで、その折曲げによって折り返されて対向するタブ14とフランジ13との間に、他方の容器単体10のフランジ13の縁巻き13aが潰れることなく収納されることが可能な幅を持った隙間が形成可能となる。
【0030】
実施形態の食品調理用容器は、主として、野外で大人数のために調理をおこなう際に用いられるような、比較的大きな寸法のものを想定しているが、家庭内でガスコンロにより加熱調理をおこなうような、一人食べきりサイズの比較的小さな寸法のものにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
10 容器単体
11 底壁
12 周壁
12a リブ
13 フランジ
13a 縁巻き
14 タブ
14a 罫線
F 食品
R コンロ