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特許6108965受信機を同期させるデバイス及び方法並びにコンピュータープログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108965
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】受信機を同期させるデバイス及び方法並びにコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20170327BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   H04L27/26 420
   H04L7/00
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-114918(P2013-114918)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-251902(P2013-251902A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2016年3月7日
(31)【優先権主張番号】12170264.1
(32)【優先日】2012年5月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(72)【発明者】
【氏名】アルノー・ブティエ
【審査官】 岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−507396(JP,A)
【文献】 特開2010−68194(JP,A)
【文献】 特開2001−257656(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1178642(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0147873(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0116562(US,A1)
【文献】 CATT et al.,Cell Search procedure of EUTRA TDD system for the initial synchronization, 3GPP TSG-RAN WG1#44 R1-060516,2006年 2月17日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04J 11/00
H04L 7/00
IEEE Xplore
CiNii
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
IEEE 802.11
IEEE 802.16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交周波数分割多重方式によって変調された受信プリアンブルシンボルに受信機を同期させるデバイスであって、
前記デバイスは、
‐第1の時間オフセット及び分数周波数オフセットの推定値を与える粗同期を実行する手段と、
‐前記プリアンブルシンボルから前記分数周波数オフセットを除去する手段と、
‐前記時間オフセットの第1の推定値によって位置が特定されたシンボル周期において、前記分数周波数オフセットが除去された前記プリアンブルシンボルに対し直交周波数分割多重復調を実行する手段と、
‐前記復調されたプリアンブルシンボルのサブキャリアから、位相シフトキーイング変調の効果を除去する手段と、
‐変調の効果が除去された前記復調されたプリアンブルシンボルに対し逆離散フーリエ変換を実行する手段であって、少なくとも、プリアンブルシンボルがマッピングされるサブキャリア上の位相が、前記サブキャリアによって搬送されたプリアンブル系列のバイナリ情報値に従って変更される、逆離散フーリエ変換を実行する手段と、
‐前記逆離散フーリエ変換の出力から第2の時間オフセットを求める手段と、
‐前記第2の時間オフセットを用いて、次に受信される直交分割多重シンボルのための前記時間オフセットの効果を補償する手段と、
を備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記時間オフセットの前記効果は、
前記第2の時間オフセットを用いて、次に受信される直交分割多重シンボルに対する前記直交周波数分割多重復調を時間シフトすることによって、又は、
周波数領域において、前記直交周波数分割多重復調の出力を、前記第2の時間オフセットに起因する複素指数関数項の共役と乗算することによって、
時間領域において補償されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、
‐前記プリアンブルシンボルがマッピングされる0以外のサブキャリアのインデックスにおいて1に等しいバイナリ値を含むアレイの逆離散フーリエ変換に、前記逆離散フーリエ変換の時間シフトされた出力を乗算する手段と、
‐前記乗算する手段の出力に対し離散フーリエ変換を実行する手段と、
‐前記逆離散フーリエ変換の出力から整数キャリア周波数オフセットを求める手段と、
‐前記求められた整数キャリア周波数オフセットを用いて、次に受信される直交分割多重シンボルに対する前記キャリア周波数オフセットの効果を補償する手段と、
を更に備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスは、
‐第2の時間オフセット及び前記整数キャリア周波数オフセットの前記効果を補正することによって、直交周波数分割多重復調の出力を変更する手段と、
‐変更された直交周波数分割多重復調の出力を復調する手段と、
を更に備えることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記プリアンブルシンボルは、
3GPP/LTE標準規格に適合するか、又は
IEEE802.11標準規格若しくはIEEE802.16標準規格に適合する
ことを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
プリアンブルシンボルは、
デジタルビデオブロードキャスティング・テレストリアル標準規格、
デジタルビデオブロードキャスティング・第2世代テレストリアル標準規格、又は
統合サービスデジタルブロードキャスティング−テレストリアル標準規格
に適合することを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
少なくとも、プリアンブルシンボルがマッピングされるサブキャリア上の前記位相が、前記サブキャリアによって搬送された前記プリアンブル系列の前記バイナリ情報値に従って変更される前記変調は、2相位相シフトキーイング(BPSK)変調であるか、又は、4相位相シフトキーイング(QPSK)変調を含む直交振幅変調(QAM)であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
直交周波数分割多重方式によって変調された受信プリアンブルシンボルに受信機を同期させる方法であって、
前記方法は、
‐第1の時間オフセット及び分数周波数オフセットの推定値を与える粗同期を実行するステップと、
‐前記プリアンブルシンボルから前記分数周波数オフセットを除去するステップと、
‐前記時間オフセットの第1の推定値を用いて、前記分数周波数オフセットが除去された前記プリアンブルシンボルに対し直交周波数分割多重復調を実行するステップと、
‐前記復調されたプリアンブルシンボルのサブキャリアから、位相シフトキーイング変調の効果を除去するステップと、
‐変調の効果が除去された前記復調されたプリアンブルシンボルに対し逆離散フーリエ変換を実行するステップであって、少なくとも、プリアンブルシンボルがマッピングされるサブキャリア上の位相が、前記サブキャリアによって搬送されたプリアンブル系列のバイナリ情報値に従って変更される、逆離散フーリエ変換を実行するステップと、
‐前記逆離散フーリエ変換の出力から第2の時間オフセットを求めるステップと、
‐前記第2の時間オフセットを用いて、次に受信される直交分割多重シンボルのための前記時間オフセットの効果を補償するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記方法は、
‐連続したプリアンブルシンボルに関する、複数の求められた整数周波数キャリアオフセット、時間オフセット及び分数周波数キャリアを記憶するステップと、
‐記憶された測定値に基づいて、補正済み整数周波数キャリアオフセット、補正済み時間オフセット及び補正済み分数周波数キャリアオフセットを得るために、前記記憶された整数周波数キャリアオフセット、第2の時間オフセット及び分数周波数キャリアオフセットの少なくとも一部をフィルタリングするステップと、
を更に含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
プログラム可能デバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータープログラムであって、前記コンピュータープログラムがプログラム可能デバイスにおいて実行されると請求項8又は9に記載の方法の前記ステップを実施する命令又はコード部を含む、コンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、直交周波数分割多重方式によって変調された受信プリアンブルシンボルに受信機を同期させるための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル変調は、時間的に分散された伝搬チャネル(time dispersive propagation channels)上で送信されるときに、深刻な劣化を受ける場合がある。その際、受信機における信号は、送信信号のレプリカがいくつか遅延され分散された重ね合わせとして構成される。チャネル遅延スプレッドが送信信号のシンボル周期Tを超える場合には、受信機において、マルチパス伝搬に起因するシンボル間干渉(ISI)を補償する手段が実装されなければならない。今日では、妥当な複雑さでマルチパス効果を補償可能とする直交周波数分割多重(OFDM)変調に頼るのが一般的である。
【0003】
OFDMシンボル持続時間Tがチャネル遅延スプレッドを大きく超える場合には、チャネルの効果は、スカラー複素係数で補償可能な単純なフェージングに帰着される。OFDM変調をそのように広く使用されるようにしたのは、チャネル劣化に対する良好なロバスト性と、直交するサブキャリアを使用すること(すなわち、サブキャリア間隔がシンボルレートの逆数(1/T)に等しいこと)に起因する良好なスペクトル効率とを併せ持つことである。チャネルが時間的にも変動しているとき、ドップラースプレッドが、サブキャリア間隔を任意に小さくするのを、それゆえ、シンボル周期をチャネル遅延スプレッドよりも有意に長くするのを妨げる。この制約を克服するために、持続時間Tを有するOFDMシンボルの有効部分の前に、受信機からISIを隠すことを意図したガード区間を追加するのが一般的である。そのような場合、サブキャリア間隔は1/Tに保持されるが、この時点で、全体のシンボル持続時間、すなわち総シンボル持続時間はT=T+TGIであるので、スペクトル効率の損失につながる。ただし、TGIはガード区間の持続時間である。送信信号は以下のように表すことができる。
【数1】
ただし、Nはサブキャリア数であり、Mはブロック内のOFDMシンボル数であり、x(n)はインデックスkを有するシンボル周期にわたってインデックスnを有するサブキャリアによって搬送される変調シンボルであり、Π(t)は以下のように定義される長方形の窓である。
【数2】
【0004】
高速フーリエ変換(FFT)によるOFDM変調及び復調に起因して、OFDM変調が、チャネル劣化にロバストであり、かつ実現するのが容易である場合には、OFDM変調は時間及び周波数同期誤差の影響も非常に受けやすい。最初に、シンボル周期T当たりN個のサンプルを取り込むように、それゆえ、互いに1/THzだけ離隔した直交サブキャリアを観測するようにサンプリングクロック周波数を同期させることが不可欠である。そうでない場合には、システムがISI及びキャリア間干渉(ICI)を受ける。概ね同じようにして、受信機はキャリア周波数を捕捉して、ICIを回避し、サブキャリア直交性を保証しなければならない。また、時間領域において、受信機は、各シンボルの周期T全体にわたって、ISIが存在しない持続時間Tを有する有効部分の位置、すなわち、高速フーリエ変換(FFT)窓の最適な位置を特定することになる。もはやISIが存在しない場合、受信機は実際に、ガード区間内で開始する持続時間Tを有する任意の窓においてFFTを計算することができる。最適な位置、すなわち、シンボルの有効部分と、FFT窓の実際の位置との間の時間間隔は、これ以降、時間オフセットと呼ばれる。時間オフセットは、復調されたサブキャリア内に指数関数変調項(位相領域における線形ランプ)を導入する。
【0005】
同じことが周波数領域においても当てはまり、周波数領域において、受信機は多くの場合に、(例えば、遅延Tによる従来のスライディング自己相関法を用いて)、キャリア周波数オフセットモジュロ1/T(これ以降、分数周波数(fractional frequency)オフセットと呼ぶ)を推定することができる。したがって、受信機は、OFDM多重内の変調されたサブキャリアの実際の位置(これ以降、整数キャリア周波数オフセットと呼ぶ)を更に検出するように求められる。これは多くの場合に、帯域のエッジにおいて空のサブキャリアを含む。FFT多重上の変調されたサブキャリアの位置は、0でないサブキャリアのインデックスを含むアレイに従って規定され、これ以降、キャリア分配系列(CDS)と呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、雑音及びドップラー効果に対してロバストであり、かつハードウェア及び/又はソフトウェアリソースの消費が少ない、直交周波数分割多重方式によって変調された受信プリアンブルシンボルに同期できるようにする方法及びデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明は、直交周波数分割多重方式によって変調された受信プリアンブルシンボルに受信機を同期させるデバイスであって、
前記デバイスは、
‐第1の時間オフセット及び分数周波数オフセットの推定値を与える粗同期を実行する手段と、
‐前記プリアンブルシンボルから前記分数周波数オフセットを除去する手段と、
‐前記時間オフセットの第1の推定値によって位置が特定されたシンボル周期において、前記分数周波数オフセットが除去された前記プリアンブルシンボルに対し直交周波数分割多重復調を実行する手段と、
‐前記復調されたプリアンブルシンボルのサブキャリアから、位相シフトキーイング変調の効果を除去する手段と、
‐変調の効果が除去された前記復調されたプリアンブルシンボルに対し逆離散フーリエ変換を実行する手段であって、少なくとも、プリアンブルシンボルがマッピングされるサブキャリア上の位相が、前記サブキャリアによって搬送されたプリアンブル系列のバイナリ情報値に従って変更される、逆離散フーリエ変換を実行する手段と、
‐前記逆離散フーリエ変換の出力から第2の時間オフセットを求める手段と、
‐前記第2の時間オフセットを用いて、次に受信される直交分割多重シンボルについて前記時間オフセットの効果を補償する手段と、
を備えることを特徴とするデバイスに関する。
【0008】
また、本発明は、直交周波数分割多重方式によって変調された受信プリアンブルシンボルに受信機を同期させる方法であって、
前記方法は、
‐第1の時間オフセット及び分数周波数オフセットの推定値を与える粗同期を実行するステップと、
‐前記プリアンブルシンボルから前記分数周波数オフセットを除去するステップと、
‐前記時間オフセットの第1の推定値を用いて、前記分数周波数オフセットが除去された前記プリアンブルシンボルに対し直交周波数分割多重復調を実行するステップと、
‐前記復調されたプリアンブルシンボルのサブキャリアから、位相シフトキーイング変調の効果を除去するステップと、
‐変調の効果が除去された前記復調されたプリアンブルシンボルに対し逆離散フーリエ変換を実行するステップであって、少なくとも、プリアンブルシンボルがマッピングされるサブキャリア上の位相が、前記サブキャリアによって搬送されたプリアンブル系列のバイナリ情報値に従って変更される、逆離散フーリエ変換を実行するステップと、
‐前記逆離散フーリエ変換の出力から第2の時間オフセットを求めるステップと、
‐前記第2の時間オフセットを用いて、次に受信される直交分割多重シンボルのための前記時間オフセットの効果を補償するステップと、
を備えることを特徴とする方法に関する。
【0009】
したがって、本発明によれば、受信機の時間的同期を精緻化できるようになり、あまり複雑にすることなく、全体的な復調性能を改善することにつながる。
【0010】
特定の特徴によれば、前記時間オフセットの前記効果は、
前記第2の時間オフセットを用いて、次に受信される直交分割多重シンボルについての前記直交周波数分割多重復調の入力を時間シフトすることによって、又は、
周波数領域において前記直交周波数分割多重復調の出力を前記第2の時間オフセットに起因する複素指数関数項の共役と乗算することによって、
時間領域において補償される。
【0011】
特定の特徴によれば、前記デバイスは、
‐前記プリアンブルシンボルがマッピングされる0以外のサブキャリアのインデックスにおいて1に等しいバイナリ値を含むアレイの逆離散フーリエ変換に、前記逆離散フーリエ変換の時間シフトされた出力を乗算する手段と、
‐前記乗算する手段の出力に対し離散フーリエ変換を実行する手段と、
‐前記逆離散フーリエ変換の出力から整数キャリア周波数オフセットを求める手段と、
‐前記求められた整数キャリア周波数オフセットを用いて、次に受信される直交分割多重シンボルのための前記キャリア周波数オフセットの効果を補償する手段と、
を更に備える。
【0012】
したがって、本発明によれば、自動周波数制御アルゴリズムを駆動するために用いることができる整数周波数オフセットを推定できるようになり、及び/又は、情報ビットを搬送するサブキャリアの位置を正確に識別できるようになり、それにより改善された復調につながる。
【0013】
第2の離散フーリエ変換しか計算する必要がないので、あまり複雑にすることなく、復調を実装することができる。この特徴によって、本発明は、シングルキャリア周波数分割多重アクセス(SC−FDMA)技法(この技法は、DFT拡散直交周波数多重(DFT拡散OFDM)変調としても知られている)、又は、シングルキャリア直交周波数分割多重(SC−OFDM)変調(この変調は、逆離散フーリエ変換変調IDFTに加えて、DFTプリコーディングを示唆する)に、特に適したものとなる。
【0014】
特定の特徴によれば、前記デバイスは、
‐第2の時間オフセット及び前記整数キャリア周波数オフセットの前記効果を補正することによって、直交周波数分割多重復調の出力を変更する手段と、
‐変更された直交周波数分割多重復調の出力を復調する手段と、
を更に備える。
【0015】
したがって、提案される方法は、ブリアンブルシンボル自体が、復調されるべき情報を搬送し、ブリアンブルシンボルにおける等化によって復調を実行するためにチャネル上の事前情報を利用できない状況について関連性のある解決策と思われる。
【0016】
特定の特徴によれば、前記プリアンブルシンボルは、3GPP/LTE標準規格に適合するか、又はIEEE802.11標準規格若しくはIEEE802.16標準規格に適合する。
【0017】
したがって、本発明は、数多くの異なるシステムの同期及び全体的な復調性能を改善するために適用することができるので、多用途に使用することができ、ASIC内にハードウェアで実装するための有望な候補である。
【0018】
特定の特徴によれば、前記プリアンブルシンボルは、デジタルビデオブロードキャスティング・テレストリアル標準規格、デジタルビデオブロードキャスティング・第2世代テレストリアル標準規格、又は統合サービスデジタルブロードキャスティング・テレストリアル標準規格に適合する。
【0019】
したがって、本発明は、性能は改善されるが、あまり複雑にすることなく、プリアンブルシンボル上で実行されるシグナリングビットを入手する手段を提供する(後続の直交周波数分割多重シンボルを復調できるように受信機をパラメータ化するのに重要である)。
【0020】
特定の特徴によれば、少なくとも、プリアンブルシンボルがマッピングされるサブキャリア上の位相が、前記サブキャリアによって搬送された前記プリアンブル系列の前記バイナリ情報値に従って変更される前記変調は、2相位相シフトキーイング(BPSK)変調、であるか、又は、4相位相シフトキーイング(QPSK)変調を含む直交振幅変調(QAM)である。
【0021】
したがって、提案される解決策は、BPSK変調に従って変調されるプリアンブルに限定されるのではなく、直交変調(典型的にはQPSKであるが、シグナリングを搬送するのに十分なロバスト性がない場合があるもののQAM方式も)を用いて変調されたプリアンブルにも適用することができる。
【0022】
特定の特徴によれば、前記デバイスは更に、
‐連続したプリアンブルシンボルに関する複数の求められた整数周波数キャリアオフセット、時間オフセット及び分数周波数キャリアを記憶し、
‐記憶された測定値に基づいて、補正済み整数周波数キャリアオフセット、補正済み時間オフセット及び補正済み分数周波数キャリアオフセットを得るために、前記記憶された整数周波数キャリアオフセット、第2の時間オフセット及び分数周波数キャリアオフセットの少なくとも一部をフィルタリングする。
【0023】
したがって、本発明の性能は、フィルタリングを通して雑音劣化を除去することによって、更に改善することができる。
【0024】
更に別の態様によれば、本発明は、プログラム可能デバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータープログラムであって、前記コンピュータープログラムがプログラム可能デバイスにおいて実行されると、本発明による方法のステップを実施する命令又はコード部を含む、コンピュータープログラムに関する。
【0025】
コンピュータープログラムに関する特徴及び利点は、本発明による方法及び装置に関連して上述したものと同じであるので、ここでは繰り返さないことにする。
【0026】
本発明の特徴は、一例の実施形態の以下の説明を読むことによってより明らかになるであろう。この説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明が実現される通信システムを表す図である。
図2】受信機のアーキテクチャを表す図である。
図3a】本発明による、OFDMプリアンブルシンボルを同期させるための受信機の無線インターフェースの構成要素のブロック図である。
図3b】本発明の特定の実現モードによる、OFDMプリアンブルシンボルを同期させるための受信機の無線インターフェースの構成要素のブロック図である。
図4】OFDMプリアンブルシンボルに同期するために受信機によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
図5】復調される必要があるデータを搬送するOFDMプリアンブルシンボルを同期させ、復調するための受信機の無線インターフェースの構成要素のブロック図である。
図6】復調される必要があるデータを搬送するプリアンブルシンボルを同期させ、復調するために受信機によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明が実装される通信ネットワークを表す。
【0029】
本発明は、OFDM変調方式が用いられる任意の通信ネットワークにおいて適用可能である。
【0030】
通信ネットワークは、例えば、少なくとも1つの発信元Srctが、少なくとも1つの受信機Recが位置するエリア内に、信号を転送又はブロードキャストする通信ネットワークである。
【0031】
発信元Srctは、例えば、DVB(デジタルビデオブロードキャスト)標準規格に適合する信号をブロードキャストする地上局又は衛星である。
【0032】
通信ネットワークは、例えば、3GPP/LTE標準規格に適合するセルラー通信ネットワークであり、基地局が移動端末に信号を転送するか、又は少なくとも2つの移動端末に信号をブロードキャストする。
【0033】
受信機Recは、ビデオ信号のようなデータがブロードキャストされる移動端末であってもよい。又は、受信機Recは、移動電話のようなリモート通信デバイスと通信する移動端末であってもよく、移動端末から信号を受信するサーバ、基地局、若しくはホーム基地局と通信する移動端末であってもよい。
【0034】
簡単にするために、図1には1つの発信元Srctのみが示されるが、ネットワークは
それよりも多くの数の発信元Srctを含むことができる。
【0035】
簡単にするために、図1には1つの受信機Recのみが示されるが、それよりも多くの数の受信機Recに信号を転送又はブロードキャストすることができる。
【0036】
受信機Recによって受信される信号は、OFDMシンボルである。OFDMシンボルは、例えば、第3世代パートナーシップ長期発展型(3GPP/LTE)標準規格に適合するか、又はIEEE802.11標準規格若しくはIEEE802.16標準規格に適合するか、又はデジタルビデオブロードキャスティング・テレストリアル(DVB−T)、デジタルビデオブロードキャスティング・第2世代テレストリアル(DBV−T2)、若しくは統合サービスデジタルブロードキャスティング・テレストリアル(ISDB−T)のようなデジタルブロードキャスティング標準規格に適合する。
【0037】
本発明によれば、受信機Recは、
‐直交周波数分割多重方式によって変調された受信プリアンブルシンボルに受信機を同期させるデバイス
を備え、この受信機を同期させるデバイスは、
‐第1の時間オフセット及び分数周波数オフセットの推定値を与える粗同期を実行する手段と、
‐プリアンブルシンボルから分数周波数オフセットを除去する手段と、
‐時間オフセットの第1の推定値を用いて、分数周波数オフセットが除去されたプリアンブルシンボルに対し直交周波数分割多重復調を実行する手段と、
‐復調されたプリアンブルシンボルのサブキャリアから、位相シフトキーイング変調の効果を除去する手段と、
‐変調の効果が除去された復調されたプリアンブルシンボルに対し逆離散フーリエ変換を実行する手段であって、少なくとも、プリアンブルシンボルがマッピングされるサブキャリア上の位相が、サブキャリアによって搬送されたプリアンブル系列のバイナリ情報値に従って変更される、実行する手段と、
‐逆離散フーリエ変換の出力から第2の時間オフセットを求める手段と、
‐第2の時間オフセットを用いて、次に受信される直交分割多重シンボルに対する時間オフセットの効果を補償する手段と、
を備える。
【0038】
特定の特徴によれば、受信プリアンブルシンボルに受信機を同期させるデバイスは、
‐プリアンブルシンボルがマッピングされる0以外のサブキャリアのインデックスにおいて1に等しいバイナリ値を含むアレイの逆離散フーリエ変換に、逆離散フーリエ変換の時間シフトされた出力を乗算する手段と、
‐乗算する手段の出力に対し離散フーリエ変換を実行する手段と、
‐逆離散フーリエ変換の出力から整数キャリア周波数オフセットを求める手段と、
‐求められた整数キャリア周波数オフセットを用いて、次に受信される直交分割多重シンボルに対するキャリア周波数オフセットの効果を補償する手段と、
を更に備える。ここで、本発明は、例えば、OFDMシンボルが少なくとも1つのガード区間を有する実施例において開示されることに留意されたい。本発明は、ガード区間を有しないOFDMシンボルにも適用可能である。
【0039】
図2は、本発明が実施される受信機のアーキテクチャを表す図である。
【0040】
受信機Recは、例えば、バス201によって互いに接続された構成要素と、図4又は図6に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ200とに基づくアーキテクチャを有する。
【0041】
ここで、受信機Recは、専用集積回路に基づくアーキテクチャを有することができることに留意しなければならない。
【0042】
バス201は、プロセッサ200を、読み出し専用メモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203、及び無線インターフェース205にリンクする。
【0043】
メモリ203は、変数を収容するように意図されたレジスタと、図4又は図6に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令とを含む。
【0044】
プロセッサ200は無線インターフェース205の動作を制御する。
【0045】
読み出し専用メモリ202は、図4又は図6に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令を含む。これらの命令は、受信機Recがアクティベートされると、ランダムアクセスメモリ203に転送される。
【0046】
無線インターフェース205は、発信元Srctによって転送又はブロードキャストされた無線信号を受信する手段を備える。
【0047】
無線インターフェース205は、発信元Srctによって転送又はブロードキャストされた無線信号を受信するために用いられる少なくとも1つのアンテナAntに接続される。
【0048】
無線インターフェース205は、図3a若しくは図3b又は図5に開示されるような構成要素を備える。
【0049】
図3aは、本発明による、OFDMプリアンブルシンボルを同期させるための受信機の無線インターフェースの構成要素のブロック図を開示する。
【0050】
ここでは、OFDMプリアンブルシンボルは、後続のシンボルを復調するために必要とされるシグナリングデータを搬送せず、それゆえ、その特定の目的のために復調される必要はないと仮定する。無線インターフェース205は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)内に実装される場合がある。受信機Recの無線インターフェース205は粗同期モジュール300を含み、粗同期モジュール300は時間領域及び周波数領域において粗同期を実行する。粗同期モジュール300は、第1の時間オフセットと呼ばれる時間オフセットおよび分数周波数オフセットの推定値を与える。
【0051】
同期は一般的には、受信機Recにおいて既知である基準シンボル又はパイロットシンボルと呼ばれる専用OFDMシンボルを用いて達成される。これらのシンボルは、一般的に、無線チャネル上で情報を搬送する物理的エンティティの先頭において送信されるので、プリアンブルシンボルと呼ばれる場合もある。物理的エンティティは、フレーム、又はサブフレーム、又はスロットと呼ばれる場合もある。プリアンブルは多くの場合に、少なくとも1つの基準シンボルの繰返しとして構成され、この基準シンボルは、送信信号を一意に識別し、自己相関(複数の場合もある)によってプリアンブルの位置を迅速かつロバストに特定できるようにする。例えば、プリアンブルは、持続時間T=T/2を有する同じパターンを2回繰り返したものとして構成される。
【0052】
粗同期モジュール300はスライディング自己相関を実行する。自己相関窓がプリアンブル上にかかる(fall on)とき、自己相関は、他の場所において生成された雑音を超えて検出可能なピークを生成する。
【0053】
ここで次のことに留意されたい。自己相関はプリアンブルシンボルにおいて実行することができる。又は、自己相関は、例えば、サイクリックプレフィックスのようなガード区間の少なくとも一部、及びプリアンブルシンボルの後続の有効部分を含む、任意の繰返し部分において実行することができる。
【0054】
シンボルの有効部分は、FFT窓が理想的に適用されるべき部分である。シンボルの有効部分は、そのシンボルの全ての関連情報を搬送する。
【0055】
自己相関関数は粗い時間的同期を可能にし、この粗い時間的同期は、第1の時間オフセットを与え、自己相関遅延に対する周波数キャリアオフセットの分数部の推定値を更に与える。
【0056】
例えば、上記のように、2つの等しい部分において構成されるプリアンブルの送信を仮定しよう。受信信号は以下の式によって与えられる。
【数3】
ただし、
【数4】
は送信信号であり、Δfはキャリア周波数オフセットであり、φは位相オフセットである。プリアンブル上に位置決めされるとき、パターン持続時間Tに対して与えられる自己相関は以下の式によって与えられる。
【数5】
【0057】
周波数オフセットは、受信信号内のプリアンブルの位置を示す自己相関ピークの引数を見ることによって推定される。
【0058】
プリアンブル持続時間に対するキャリア周波数オフセットは、整数部及び分数部として表すことができる。
【数6】
【0059】
その際、以下の式が成り立つ。
【数7】
【0060】
ここで、自己相関によって分数周波数オフセットを推定できるようになるが、整数オフセットを推定することはできず、整数オフセットは別に推定されなければならないことに留意されたい。
【0061】
受信機Recの無線インターフェース205は分数周波数オフセット除去301を含み、分数周波数オフセット除去301は、受信プリアンブルシンボルから、粗同期モジュール300によって求められた分数周波数オフセットを除去する。
【0062】
受信機Recの無線インターフェース205はOFDM復調モジュール302を含み、OFDM復調モジュール302は、分数周波数オフセットが除去されたプリアンブルシンボルのOFDM復調を実行する。OFDM復調は、通常FFTアルゴリズムを用いて実施される離散フーリエ変換(DFT)によって実行される。復調されたプリアンブルシンボルは、不適切な時間的同期から生じる指数関数変調の影響を受ける。導出を簡単にするために、チャネル劣化はないものと仮定する。DFT後に、チャネル劣化が生じない場合には、復調されたプリアンブルシンボルは以下のように表すことができる。
【数8】
ただし、aは、ランクnを有するサブキャリアによって搬送されるシンボルであり、2相位相シフトキーイング(BPSK)アルファベットから取り込まれるか、又は非変調サブキャリアの場合には0に等しい。例えば、BPSKシンボルは以下のように定義される。
【数9】
ただし、αは任意の位相オフセットである。
【0063】
受信機Recの無線インターフェース205は変調除去モジュール303を含み、変調除去モジュール303は、復調されたシンボルを2乗することによってBPSK変調を打ち消す。
【数10】
【0064】
それゆえ、以下の式が成り立つ。
【数11】
ただし、T=T/Nはサンプリング周波数である。上記の式によって示されるように、BPSK変調は打ち消されており、周波数2τ/Tを有する複素指数関数が残される。
【0065】
ここで、本発明は、変調を除去するために、復調されたサブキャリアを4乗することによって、4相位相シフトキーイング(QPSK)又は直交振幅変調(QAM)アルファベットにも適用可能であることに留意することができる。
【0066】
受信機Recの無線インターフェース205は逆離散フーリエ変換(IDFT)モジュール304を含み、逆離散フーリエ変換モジュール304は複素指数関数のN−IDFTを行う。
【0067】
ピーク検出を容易にするために、IDFTの分解能を改善するために、N−IDFTの代わりに、P−IDFT(ただし、P>N)及びゼロパディングを用いることもできることに留意されたい。
【0068】
受信機Recの無線インターフェース205はピーク検出モジュール305を含み、ピーク検出モジュール305は、IDFTモジュールの出力において時間オフセットτを推定し、それは時間的に分散されたチャネルについての第1の有意なピーク又は最も高いピークに対応する。
【0069】
指数関数変調は、時間オフセットτの検出に影響しない未知の位相オフセットによって重み付けられることに言及することができる。より一般的には、その観測結果は、発信元Srctの局部発振器と受信機Recの局部発振器との間の不整合から生じる別の未知の位相オフセットからも影響を受けることになる。
【0070】
P−IDFTが実行される場合には、ここで、変調されていても、されていなくても、全てのサブキャリアにそのアルゴリズムが適用される。十分なサブキャリアが変調されている限り、フーリエ変換は、「穴」を有する正弦曲線から遅延を取り出すことができる(すなわち、0に等しいサブキャリアによるものである)。
【0071】
例えば、N−IDFTの第1の有意なピーク又は最も高いピークを用いて、整数遅延kを推定することができる。ただし、以下の式が成り立つ。
【数12】
【0072】
受信機Recの無線インターフェース205は循環シフトモジュール306を含み、循環シフトモジュール306は、プリアンブルにおける時間オフセットτを除去するために、IDFTモジュール304の出力に対し、整数遅延kに対応する循環シフトを実行する。
【0073】
ここで、この段階において、時間オフセットτ及び分数キャリアオフセットの両方が推定され、除去されることに留意されたい。
【0074】
時間オフセットτに起因する変調項が上記の系列zから除去されるとき、結果として生じる系列は、復調されたサブキャリアの位置において1に等しく、他の場所では0に等しい信号であり、共通の位相成分及び相加性雑音が全てのサブキャリア位置に影響する。位相成分及び雑音成分を無視すると、この信号は整数キャリアオフセットだけシフトされた変調されたサブキャリアの位置を表す「マスク」と等価である。本明細書において、この信号は、プリアンブルシンボルのCDSマスクとして記述される。
【0075】
受信機Recの無線インターフェース205はIDFT乗算モジュール307を含み、IDFT乗算モジュール307は、循環シフトモジュールの出力に、IDFT CDSマスクモジュール310によって与えられるCDSマスクのIDFTを乗算する。
【0076】
CDSマスクは、0以外のサブキャリアのインデックスにおいて1に等しく、0のサブキャリアのインデックスにおいてヌル値に等しいバイナリ値を含むアレイである。
【0077】
受信機Recの無線インターフェース205はDFT計算モジュール308を含む。IDFT乗算モジュール307及びDFT計算モジュール308は、以下のように表すことができる相互相関を実行する。
【数13】
ただし、以下の式が成り立つ。
【数14】
【0078】
相互相関は周波数領域において達成され、第1の項xは、時間オフセットに起因する位相ランプ(phase ramp)が循環シフトモジュール306によって除去された系列zであり、第2の項yはCDSマスクである。CDSマスクのIDFTは、有利には、予め計算し、メモリ203に記憶することができる。本発明は、IDFTがIDFTモジュール304によって既に実行されていることを有利に利用する。その際、循環シフトされた系列zに対してIDFTを計算する必要はない。
【0079】
このIDFTは、時間オフセットτを推定するのに用いられたIDFTモジュール304の出力に対し、循環シフトモジュール306によって単に遅延シフトを適用することによって得ることができる。これは計算効率の良いアルゴリズムをもたらし、DFTモジュール308によって実行される最後のDFTしか計算する必要がない。
【0080】
受信機Recの無線インターフェース205はピーク検出モジュール309を含み、ピーク検出モジュール309は、最も高いピークを検出するアルゴリズムによって、整数周波数キャリアオフセットを取り出す。
【0081】
ここで、遅延及び整数キャリア周波数オフセットの両方を推定するために必要とされるDFT及びピーク検出演算は、同じハードウェア及び/又はソフトウェア手段を用いて実行できることに留意することができる。
【0082】
図3bは、本発明の特定の実現モードによる、OFDMプリアンブルシンボルを同期させるための受信機の無線インターフェースの構成要素のブロック図を開示する。
【0083】
ここでは、OFDMプリアンブルシンボルは、後続のシンボルを復調するために必要されるシグナリングデータを搬送せず、それゆえ、その特定の目的のために復調される必要はないと仮定する。
【0084】
無線インターフェース205は、デジタルシグナルプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路内に実装することができる。
【0085】
受信機Recの無線インターフェース205は粗同期モジュール350を含み、粗同期モジュール350は図3aの粗同期モジュール300と同一である。
【0086】
受信機Recの無線インターフェース205は分数周波数オフセット除去351を含み、分数周波数オフセット除去351は、受信プリアンブルシンボルから、粗同期モジュール350によって求められた分数周波数オフセットを除去する。
【0087】
受信機Recの無線インターフェース205はOFDM復調モジュール352を含み、OFDM復調モジュール352は、OFDM復調モジュール302によって実行されるのと同じようにして、分数周波数オフセットが除去されたプリアンブルシンボルのOFDM復調を実行する。
【0088】
受信機Recの無線インターフェース205は変調除去モジュール353を含み、変調除去モジュール353は、変調除去モジュール303によって実行されるのと同じようにして、BPSK変調、QPSK変調又はQAM変調を打ち消す。
【0089】
受信機Recの無線インターフェース205は逆離散フーリエ変換(IDFT)モジュール354を含み、逆離散フーリエ変換モジュール354は、逆離散フーリエ変換モジュール304によって実行されるのと同じようにして、複素指数関数のN−IDFTを行う。
【0090】
ピーク検出を容易にするために、IDFTの分解能を改善するために、N−IDFTの代わりに、P−IDFT(ただし、P>N)及びゼロパディングを用いることもできることに留意されたい。
【0091】
受信機Recの無線インターフェース205はピーク検出モジュール305を含み、ピーク検出モジュール305はIDFTモジュール354の出力において少なくとも第1の時間オフセットτ及び第2の時間オフセットτ(ただしτ<τ)を推定し、それらは前記少なくとも2つの第1の最も有意なピークに対応する。
【0092】
受信機Recの無線インターフェース205は循環シフトモジュール356を含み、循環シフトモジュール356は、プリアンブルシンボルにおける時間オフセットτを除去するために、IDFTモジュール354の出力に対し、整数遅延kに対応する循環シフトを実行する。
【0093】
受信機Recの無線インターフェース205は循環シフトモジュール357を含み、循環シフトモジュール357は、プリアンブルシンボルにおける時間オフセットτを除去するために、IDFTモジュール354の出力に対し、整数遅延kに対応する循環シフトを実行する。
【0094】
受信機Recの無線インターフェース205は乗算器358を含み、乗算器358は、循環シフトモジュール356の出力に、時間オフセットτに対応するピークの複素振幅の共役を乗算する。
【0095】
受信機Recの無線インターフェース205は乗算器359を含み、乗算器359は、循環シフトモジュール355の出力に、時間オフセットτに対応するピークの複素振幅の共役を乗算する。
【0096】
受信機Recの無線インターフェース205は加算モジュール360を含み、加算モジュール360は乗算器358及び359の出力を加算する。
【0097】
受信機Recの無線インターフェース205はIDFT乗算モジュール361を含み、IDFT乗算モジュール361は、加算モジュール360の出力に、IDFT CDSマスクモジュール362によって与えられるCDSマスクのIDFTを乗算する。
【0098】
CDSマスクは、0以外のサブキャリアのインデックスにおいて1に等しく、0のサブキャリアのインデックスにおいてヌル値に等しいバイナリ値を含むアレイである。
【0099】
受信機Recの無線インターフェース205はDFT計算モジュール363を含む。IDFT乗算モジュール361及びDFT計算モジュール363は、以下のように表すことができる相互相関を実行する。
【数15】
ただし、以下の式が成り立つ。
【数16】
【0100】
CDSマスクのIDFTは、有利には、予め計算し、メモリ203に記憶することができる。本発明は、IDFTがIDFTモジュール354によって既に実行されていることを有利に利用する。その際、循環シフトされた系列zに対してIDFTを計算する必要はない。
【0101】
受信機Recの無線インターフェース205はピーク検出モジュール364を含み、ピーク検出モジュール364は、ピーク検出アルゴリズムによって、整数周波数キャリアオフセットを取り出す。
【0102】
ここで、遅延及び整数キャリア周波数オフセットの両方を推定するために必要とされるDFT演算及びピーク検出演算は、同じハードウェア及び/又はソフトウェア手段を用いて実行できることに留意することができる。
【0103】
図4は、OFDMプリアンブルシンボルに関して同期させるために受信機によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0104】
ここでは、OFDMプリアンブルシンボルは、後続のシンボルを復調するために必要されるシグナリングデータを搬送せず、それゆえ、その特定の目的のためには復調される必要がないと仮定する。
【0105】
本アルゴリズムはプリアンブルシンボルが受信される度に実行される。
【0106】
本アルゴリズムは、図2には示されないDSPの受信機Recのプロセッサ200によって実行することができる。
【0107】
ステップS400において、プロセッサ200は、時間領域及び周波数領域において粗同期を実行する無線インターフェース205に、粗同期を実行するように指令する。粗同期は、第1の時間オフセット及び分数周波数オフセットの推定値を与える。
【0108】
その同期は、粗同期モジュール300によって実行されるのと同じようにして実行される。
【0109】
次のステップS401において、プロセッサ200は、受信プリアンブルから、粗同期ステップS400によって求められた分数周波数オフセットを除去するように、無線インターフェース205に指令する。
【0110】
次のステップS402において、プロセッサ200は、時間領域における位置が第1の時間オフセットによって特定され、分数周波数オフセットが除去されたプリアンブルのOFDM復調を実行するように、無線インターフェース205に指令する。OFDM復調は、離散フーリエ変換(DFT)(たとえばFFTアルゴリズムを用いて実装されたもの)によって、OFDM復調モジュール302によって実行されるのと同じようにして実行される。
【0111】
次のステップS403において、プロセッサ200は、変調除去モジュール303によって実行されるのと同じようにして、復調されたシンボルを2乗することによってBPSK変調を打ち消すように無線インターフェース205に指令する。
【0112】
次のステップS404において、プロセッサ200は、IDFTモジュール304によって実行されるのと同じようにして、複素指数関数のN−IDFT又はP−IDFTを行うように無線インターフェース205に指令する。
【0113】
次のステップS405において、プロセッサ200は、ピーク検出モジュール305によって実行されるのと同じようにして、IDFTの出力において時間オフセットτを表す第1のピークを検出するように、無線インターフェース205に指令する。IDFTの出力におけるこのピークは、時間的に分散されたチャネルについての第1の有意なピーク又は最も高いピークに対応する。
【0114】
次のステップS406において、プロセッサ200は、循環シフトモジュール306によって実行されるのと同じようにして、プリアンブル上の時間オフセットτを補償するために、ステップS404によって実行されたIDFTの出力において循環シフトを実行するように、無線インターフェース205に指令する。
【0115】
次のステップ407において、プロセッサ200は、乗算モジュール307によって実行されるのと同じようにして、ステップS406の循環シフトの出力をCDSマスクのIDFTと乗算するように無線インターフェース205に指令する。
【0116】
次のステップS408において、プロセッサ200は、乗算ステップS407の出力に対しDFTを実行するように無線インターフェース205に指令する。IDFT乗算ステップ及びDFT計算ステップは、以下のように表すことができる相互相関を実行する。
【数17】
ただし、以下の式が成り立つ。
【数18】
【0117】
相互相関は周波数領域において達成され、第1の項xは、時間オフセットに起因する位相ランプが循環シフトステップS406によって除去された系列zであり、第2の項yはCDSマスクである。CDSマスクのIDFTは、有利には、予め計算し、メモリ203に記憶することができる。本発明は、IDFTがIDFTステップS404によって既に実行されていることを有利に利用する。その際、循環シフトされた系列zに対してIDFTを計算する必要はない。
【0118】
このIDFTは、時間オフセットτを推定するのに用いられたIDFTステップS404の出力に対し、循環シフトステップS406によって単に遅延シフトを適用することによって得ることができる。これは計算効率の良いアルゴリズムをもたらし、DFTステップS408によって実行される最後のDFTしか計算する必要がない。
【0119】
次のステップS409において、プロセッサ200は、ピーク検出モジュール309によって実行されるのと同じようにして、ピーク検出アルゴリズムによって整数周波数キャリアオフセットを取り出すように無線インターフェース205に指令する。
【0120】
本発明の特定の実現モードによれば、本アルゴリズムは更なるステップS410及びS411を含む。
【0121】
ステップS410において、プロセッサ200は、連続したプリアンブルシンボルについて、整数周波数キャリアオフセット、時間オフセット及び分数周波数キャリアオフセットをRAMメモリ203に記憶する。
【0122】
次のステップS411において、プロセッサ200は、記憶された測定値に基づいて、補正済み整数周波数キャリアオフセット、補正済み時間オフセット及び補正済み分数周波数キャリアオフセットを得るために、記憶された整数周波数キャリアオフセット、時間オフセット及び分数周波数キャリアオフセットの少なくとも一部をフィルタリングする。
【0123】
補正済み整数周波数キャリアオフセット、補正済み時間オフセット及び補正済み分数周波数キャリアオフセットは、少なくとも1つの測定値と、所与の数の過去の測定値の重み付けされたバージョンとに基づいており、所与の数は、例えば、チャネル変動による。
【0124】
図5は、復調される必要があるデータを搬送するOFDMプリアンブルシンボルを同期させ、復調するための受信機の無線インターフェースの構成要素のブロック図を開示する。
【0125】
OFDMシンボルは、後続のシンボルを復調するために受信機をパラメータ化する(parameterize)ために重要な(それゆえ、復調される必要がある)データを搬送する。例えば、OFDMシンボル、又はOFDMのようなシンボルは、2011年10月に発行された標準規格ETSI EN 302 755 v1.3.1「Digital Video Broadcasting (DVB); Frame Structure Channel Coding and Modulation for a Second Generation Digital Terrestrial Television Broadcasting System (DVB-T2)」に適合する。
【0126】
DVB−T2信号は基本的には、250msの最大持続時間を有するフレームにおいて送信される。各T2フレームは1つのP1プリアンブルシンボルと、それに続く1つ又は複数のP2プリアンブルシンボルと、それに続く構成可能な数のデータシンボルとを含む。
【0127】
プリアンブルシンボルP1は4つの主な目的を有する。すなわち、T2信号の迅速な認識及び識別、プリアンブルの残りの部分を復号するために必要とされる情報のシグナリング、並びに周波数及び時間的同期である。
【0128】
プリアンブルシンボルP1は1024ポイントOFDMシンボルであり、2つの半分の「ガード区間的(guard interval-like)」部分が追加されている。8MHzシステムでは、シンボル全体は224μs継続し、シンボルのうちの有効シンボル「A」の持続時間に加えて、542サンプルの「C」及び482サンプルの「B」と表される2つの変更されたガード区間的部分を含む。
【0129】
1024ポイントOFDMシンボルの853個の有効サブキャリアのうち、384個のみが使用され、残りは0に設定されたままである。使用されるサブキャリアは、公称の7.61MHz信号帯域幅の中央からの概ね6.83MHz帯域を占有する。
【0130】
アクティブサブキャリアは以下のように分配される。1024ポイントOFDMシンボルの853個のキャリアのうちの、中央からの766個のサブキャリアが検討される。これらの766個のキャリアから、384サブキャリアのみが基準シンボルを搬送する。他のサブキャリアは0に設定される。アクティブサブキャリアの位置、すなわち、キャリア分配系列(carrier distribution sequence)(CDS)は、3つの相補的な系列の連結に従って定義される。
【0131】
アクティブサブキャリアは、ある変調パターンを用いて差動2相位相シフトキーイング変調される。変調パターンは2つのシグナリングフィールドS1及びS2を符号化する。各シグナリングフィールドではそれぞれ、最大で8個までの値及び16個までの値をシグナリングすることができる。
【0132】
フィールドS1を符号化するためのパターンは、長さ8の8個の相補的な系列からなる8個の直交集合に基づいており、すなわち、各S1系列CSSS1の全長は64であり、一方、フィールドS2を符号化するための系列は、長さ16の16個の相補的な系列からなる16個の直交集合に基づいており、すなわち、各S2系列CSSS2の全長は256である。変調系列は、2つのCSSS1及びCSSS2パターンを連結することによって得られる。CSSS1系列はCSSS2系列の両側に付けられる。その後、384サンプル長の系列はDBPSKを用いて変調され、スクランブルされる。結果として生成されるサンプルは、CDSに従って、1024個の利用可能なサブキャリア位置のアクティブ位置にマッピングされる。最終的には、それらのサンプルがOFDM変調されて、時間領域においてP1シンボルの有効部分Aが生成される。
【0133】
プリアンブルシンボルP1のロバスト性を改善するために、プリアンブルシンボルの有効部分の両側に2つのガード区間が定義される。通常のOFDMシンボルのような巡回による連続の代わりに、シンボルの周波数シフトバージョンが用いられる。したがって、プリアンブルシンボルの最初のガード区間をP1Cで表し、プリアンブルシンボルの主要部分をP1Aで表し、プリアンブルシンボルの最後のガード区間をP1Bで表すとき、P1Cは、P1Aの先頭の542サンプルの周波数シフトバージョンを搬送し、一方、P1BはP1Aの末尾のサンプルの周波数シフトバージョンを搬送する。P1C及びP1Bに適用される周波数シフトfSHは、1サブキャリア間隔(1/1024T)に等しい。P1信号の有効部分Aの時間領域ベースバンド波形をp1A(t)で表すとき、プリアンブルシンボルP1波形は以下のように生成される。
【数19】
【0134】
プリアンブルシンボルP1はS1及びS2シグナリングフィールドを搬送するので、復調されなければならない。符号化された情報は、非コヒーレントに復調できるように、ロバストなDBPSK変調に従って変調される。潜在的な同期時間オフセットに起因する位相ランプは、周波数領域において対応する位相ランプがDBPSKシンボルの復調を不可能にしている場合があるので、重大である。
【0135】
受信機Recの無線インターフェース205は粗同期モジュール500を含む。
【0136】
粗同期モジュール500は、例えば、受信信号と、2つの固定遅延542T及び1566T(周波数シフトfSHを事前に補償されたもの)を用いて自己相関をとる。542Tの遅延との自己相関窓が部分Aの先頭にかかるとき、自己相関はピークを生成し、1566Tの遅延との自己相関窓が部分Aの先頭にかかるとき、自己相関はピークを生成する。
【0137】
いずれのピークも、粗い時間的同期及び分数キャリアオフセットの推定を可能にする。
【0138】
受信機Recの無線インターフェース205は分数周波数オフセット除去501を含み、分数周波数オフセット除去501は、受信プリアンブルシンボルから、粗同期モジュール501によって求められた分数周波数オフセットを除去し、受信信号から、分数キャリアオフセットが除去された部分A、B及びCを抽出する。
【0139】
受信機Recの無線インターフェース205はOFDM復調モジュール502を含み、OFDM復調モジュール502は、分数周波数オフセットが除去された部分AのOFDM復調を実行する。OFDM復調は、離散フーリエ変換(DFT)によって実行される。復調されたシンボルは、不適切な時間的同期から生じる指数関数変調の影響を受ける。
【0140】
受信機Recの無線インターフェース205は変調除去モジュール503を含み、変調除去モジュール503は、周波数2τ/Tを有する複素指数関数を得るために、変調除去モジュール303によって実行されるのと同じようにして、復調されたシンボルを2乗することによってBPSK変調を打ち消す。
【0141】
受信機Recの無線インターフェース205は逆離散フーリエ変換(IDFT)モジュール504を含み、逆離散フーリエ変換(IDFT)モジュール504は複素指数関数のN−IDFTを行う。
【0142】
受信機Recの無線インターフェース205はピーク検出モジュール505を含み、ピーク検出モジュール505は、IDFTモジュールの出力に対し、時間的に分散されたチャネルについての第1の有意なピーク又は最も高いピークに対応する時間オフセットτを推定する。
【0143】
指数関数変調は、時間オフセットτの検出に影響しない未知の位相オフセットによって重み付けられることに言及することができる。より一般的には、その観測結果は、発信元Srctの局部発振器と受信機Recの局部発振器との間の不整合から生じる別の未知の位相オフセットからも影響を受けることになる。
【0144】
例えば、N−IDFTの最大値を用いて、図3のピーク検出モジュール305について既に開示されている整数遅延kを推定する。
【0145】
受信機Recの無線インターフェース205は循環シフトモジュール506を含み、循環シフトモジュール506は、プリアンブル上の時間オフセットτを除去するために、IDFTモジュール504の出力に対し、整数遅延kに対応する循環シフトを実行する。
【0146】
ここで、この段階において、時間オフセットτ及び分数キャリアオフセットの両方が推定され、除去されることに留意されたい。
【0147】
時間オフセットτに起因する変調項が上記の系列zから除去されるので、結果として生じる系列は、復調されたサブキャリアの位置において1に等しく、他の場所ではヌルに等しい信号であり、共通の位相成分及び相加性雑音が全てのサブキャリア位置に影響する。位相成分及び雑音成分を無視すると、この信号は整数キャリアオフセットだけシフトされた変調されたサブキャリアの位置を表す「マスク」に相当する。ここで、この信号は、プリアンブルのCDSマスクとして記述される。CDSマスクは、0以外のサブキャリアのインデックスにおいて1に等しく、0のサブキャリアのインデックスにおいてヌル値に等しいバイナリ値を含むアレイである。
【0148】
受信機Recの無線インターフェース205はIDFT乗算モジュール507を含み、IDFT乗算モジュール507は、循環シフトモジュールの出力を、IDFT CDSマスクモジュール510によって与えられるCDSマスクのIDFTと乗算する。
【0149】
受信機Recの無線インターフェース205はDFT計算モジュール508を含む。IDFT乗算モジュール507及びDFT計算モジュール508は、以下のように表すことができる相互相関を実行する。
【数20】
ただし、以下の式が成り立つ。
【数21】
【0150】
相互相関は周波数領域において達成され、第1の項xは、時間オフセットに起因する位相ランプが循環シフトモジュール506によって除去された系列zであり、第2の項yはCDSマスクである。CDSマスクのIDFTは、有利には、予め計算し、メモリ203に記憶することができる。本発明は、IDFTがIDFTモジュール504によって既に実行されていることを有利に利用する。その際、循環シフトされた系列zに対してIDFTを計算する必要はない。
【0151】
このIDFTは、時間オフセットτを推定するのに用いられたIDFTモジュール504の出力に対し、循環シフトモジュール506によって単に遅延シフトを適用することによって得ることができる。これは計算効率の良いアルゴリズムをもたらし、DFTモジュール508によって実行される最後のDFTしか計算する必要がない。
【0152】
受信機Recの無線インターフェース205はピーク検出モジュール509を含み、ピーク検出モジュール509は、最も高いピークを検出するアルゴリズムによって、整数周波数キャリアオフセットを取り出す。
【0153】
ここで、遅延及び整数キャリア周波数オフセットの両方を推定するために必要とされるDFT演算及びピーク検出演算は、同じハードウェア及び/又はソフトウェア手段を用いて実行できることに留意することができる。
【0154】
受信機Recの無線インターフェース205は時間オフセットτ及び整数キャリア周波数オフセット除去モジュール511を含み、時間オフセットτ及び整数キャリア周波数オフセット除去モジュール511は、OFDM復調モジュール502の出力から、ピーク検出モジュール505によって求められた時間オフセットτと、ピーク検出モジュール505によって求められた整数キャリア周波数オフセットとを除去する。
【0155】
受信機Recの無線インターフェース205は復調モジュール512を含み、復調モジュール512は、S1及びS2シグナリングフィールドの内容を復号するために、時間オフセットτ及び整数キャリア周波数オフセット除去モジュール511の出力を復調する。
【0156】
図6は、復調される必要があるデータを搬送するOFDMプリアンブルシンボルを同期させ、復調するために受信機によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0157】
OFDMシンボルは、後続のシンボルを復調するために受信機をパラメータ化するために重要な(それゆえ、復調される必要がある)データを搬送する。
【0158】
本アルゴリズムは、プリアンブルシンボルが受信される度に実行される。
【0159】
ステップS600において、プロセッサ200は、時間領域において粗同期を実行する無線インターフェース205に、粗同期を実行するように指令する。粗同期は、分数周波数オフセットを更に与える。
【0160】
その同期は、粗同期モジュール500によって実行されるのと同じようにして実行される。
【0161】
次のステップS601において、プロセッサ200は、受信プリアンブルシンボルから、粗同期ステップS600によって求められた分数周波数オフセットを除去するように、無線インターフェース205に指令する。
【0162】
次のステップS602において、プロセッサ200は、推定された時間オフセットによって与えられた時間領域内の位置において分数周波数オフセットが除去されたプリアンブルシンボルのOFDM復調を実行するように、無線インターフェース205に指令する。OFDM復調は、例えば、FFTアルゴリズムを用いて実施される離散フーリエ変換(DFT)によって、OFDM復調モジュール502によって実行されるのと同じようにして実行される。
【0163】
次のステップS603において、プロセッサ200は、変調除去モジュール503によって実行されるのと同じようにして、復調されたシンボルを2乗することによってBPSK変調を打ち消すように無線インターフェース205に指令する。
【0164】
次のステップS604において、プロセッサ200は、IDFTモジュール504によって実行されるのと同じようにして、複素指数関数のN−IDFTを行うように無線インターフェース205に指令する。
【0165】
次のステップS605において、プロセッサ200は、ピーク検出モジュール505によって実行されるのと同じようにして、IDFTの出力において時間オフセットτを表すピークを検出するように、無線インターフェース205に指令する。IDFTの出力におけるピークは、時間的に分散されたチャネルについての第1の有意なピーク又は最も高いピークに対応する。
【0166】
次のステップS606において、プロセッサ200は、循環シフトモジュール506によって実行されるのと同じようにして、プリアンブル上の時間オフセットτを除去するために、ステップS604によって実行されたIDFTの出力に対し循環シフトを実行するように、無線インターフェース205に指令する。
【0167】
次のステップS607において、プロセッサ200は、乗算モジュール307によって実行されるのと同じようにして、ステップS606の循環シフトの出力をCDSマスクのIDFTと乗算するように無線インターフェース205に指令する。
【0168】
次のステップS608において、プロセッサ200は、乗算ステップS607の出力に対しDFTを実行するように無線インターフェース205に指令する。IDFT乗算ステップ及びDFT計算ステップは、以下のように表すことができる相互相関を実行する。
【数22】
ただし、以下の式が成り立つ。
【数23】
【0169】
相互相関は周波数領域において達成され、第1の項xは、時間オフセットに起因する位相ランプが循環シフトステップS606によって除去された系列zであり、第2の項yはCDSマスクである。CDSマスクのIDFTは、有利には、予め計算し、メモリ203に記憶することができる。本発明は、IDFTがIDFTステップS604によって既に実行されていることを有利に利用する。その際、循環シフトされた系列zに対してIDFTを計算する必要はない。
【0170】
このIDFTは、時間オフセットτを推定するのに用いられたIDFTステップS604の出力に対し、循環シフトステップS606によって単に遅延シフトを適用することによって得ることができる。これは計算効率の良いアルゴリズムをもたらし、DFTステップS608によって実行される最後のDFTしか計算する必要がない。
【0171】
次のステップS609において、プロセッサ200は、ピーク検出モジュール309によって実行されるのと同じようにして、ピーク検出アルゴリズムによって整数周波数キャリアオフセットを取り出すように無線インターフェース205に指令する。
【0172】
その後、プロセッサ200はステップS612に進むか、又は、本発明の特定の実現モードによれば、ステップS610に進む。
【0173】
ステップS610において、プロセッサ200は、整数周波数キャリアオフセット、時間オフセット及び分数周波数キャリアオフセットをRAMメモリ203に記憶する。
【0174】
次のステップS611において、プロセッサ200は、記憶された測定値に基づいて、補正済み整数周波数キャリアオフセット、補正済み時間オフセット及び補正済み分数周波数キャリアオフセットを得るために、記憶された整数周波数キャリアオフセット、時間オフセット及び分数周波数キャリアオフセットの少なくとも一部をフィルタリングする。
【0175】
補正済み整数周波数キャリアオフセット、補正済み時間オフセット及び補正済み分数周波数キャリアオフセットは、少なくとも1つの測定値と、所与の数の過去の測定値の重み付けされたバージョンとに基づいており、この所与の数は、例えば、チャネル変動に依存する。
【0176】
次のステップS612において、プロセッサ200は、OFDM復調モジュール502の出力から、ピーク検出モジュール505によって求められた時間オフセットτと、ピーク検出モジュール505によって求められた整数キャリア周波数オフセットとを除去するように、無線インターフェース205に指令する。
【0177】
次のステップS613において、プロセッサ200は、S1及びS2シグナリングフィールドの内容を復号するために、時間オフセットτ及び整数キャリア周波数オフセット除去モジュール511の出力を復調するように、無線インターフェース205に指令する。
【0178】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6