特許第6108976号(P6108976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6108976
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/40 20060101AFI20170327BHJP
   B60P 3/42 20060101ALI20170327BHJP
   B60P 1/48 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   B60P3/40 A
   B60P3/40 B
   B60P3/40 C
   B60P3/42
   B60P1/48 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-127267(P2013-127267)
(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公開番号】特開2015-696(P2015-696A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 昌史
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−078644(JP,A)
【文献】 特開2002−347763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/40
B60P 1/48
B60P 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常のコンテナ(6)と、木材などの長尺物(W)を積載可能な長尺物用荷台(2)とを選択的に、シヤシフレーム(F)上の車台(1)に積卸し可能に搭載できるようにした、長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両であって、
前記車台(1)にその前後方向に回動可能、かつ前後方向に移動可能に設けられ、先端部に係合部(27)を設けた荷役アーム(22)を有する荷役装置(3)と、
前記車台(1)上に積卸可能に搭載される長尺物用荷台(2)と、
前記長尺物用荷台(2)の前方において、車台(1)上に固定される固定荷台(4)と、を備え、
前記長尺物用荷台(2)の前部には支柱(12)が立設され、該支柱(12)に前記荷役アーム(22)の係合部(27)と係脱可能な被係合部(13)が設けられ、
木材などの長尺物(W)は、車台(1)上の、長尺物用荷台(2)と固定荷台(4)とに跨がって搭載されることを特徴とする、長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両。
【請求項2】
前記固定荷台(4)の前部には、前記シヤシフレーム(F)の前端に設けられる運転席(C)の後面を覆う遮蔽壁(44)が設けられることを特徴とする、前記請求項1に記載の長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両。
【請求項3】
前記木材などの長尺物(W)が、長尺物用荷台(2)と固定荷台(4)とに跨がって搭載されているときは、前記荷役装置(3)の動作が禁止されることを特徴とする、前記請求項1または2に記載の長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常のコンテナと、長尺物を積載し得る長尺物用荷台とを選択的に車台上に積卸可能に搭載でき、特に、木材などの長い長尺物の運搬に好適な長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車台上に、前後方向に移動可能、かつ起伏可能な荷役アームを備え、この荷役アームの作動により、木材を積載した木材運搬用コンテナを車台に積卸することで、長尺な木材を運搬できるようにした、木材運搬車両は公知である(後記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4963096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建築物向けの角材に加工するための木材は、2間(3.6m)以上の長さが必要であり、この長さは、運搬車両の全幅規制値2.5mよりも長いため、この長尺の木材を運搬車両により輸送するには、これを運搬車両の前後方向に搭載しなければならない。
【0005】
特に、木材の輸送量を増やすために、木材を縦方向に2本縦列させて輸送しようとすれば、縦列木材の全長は、4間(3.6m×2)以上となり、コンテナ(荷台)の前後方向の長さは一層長くなり、前記特許文献1に示される木材運搬車両により、2本縦列した木材を輸送しようとすれば、該木材の車台後端からのオーバハング量が著しく長くなり、その輸送が実質的に困難であるという課題がある。
【0006】
また、木材などの長尺物を輸送しない場合に、コンテナ(荷台)を車両から離して保管しておくときに、そのコンテナの広い保管スペースを必要とするという別の課題がある。
【0007】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたもので、木材、金属棒などの長尺物を、長尺物荷台と、固定荷台とに跨がって搭載し、前記長尺物を能率よく、安全、的確に輸送するのに好適であり、また、前記長尺物を2本ずつ縦列して輸送することを可能にしてその輸送量を増大できるようにし、さらに、長尺物荷台を使用しないときの該荷台の保管スペースを狭くして、その輸送コストの低減を図るようにした、新規な長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、通常のコンテナと、木材などの長尺物を積載可能な長尺物用荷台とを選択的に、シヤシフレーム上の車台に積卸し可能に搭載できるようにした、長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両であって、
前記車台にその前後方向に回動可能、かつ前後方向に移動可能に設けられ、先端部に係合部を設けた荷役アームを有する荷役装置と、
前記車台上に積卸可能に搭載される長尺物用荷台と、
前記長尺物用荷台の前方において、車台上に固定される固定荷台と、を備え、
前記長尺物用荷台の前部には支柱が立設され、該支柱に前記荷役アームの係合部と係脱可能な被係合部が設けられ、
木材などの長尺物は、車台上の、長尺物用荷台と固定荷台とに跨がって搭載されることを特徴としている。
【0009】
上記目的を達成するため、請求項2の発明は、前記請求項1の発明において、前記固定荷台の前部には、前記シヤシフレームの前端に設けられる運転席の後面を覆う遮蔽壁が設けられることを特徴としている。
【0010】
上記目的を達成するため、請求項3の発明は、前記請求項1または2の発明において、 前記木材などの長尺物が、長尺物用荷台と固定荷台とに跨がって搭載されているときは、前記荷役装置の動作が禁止されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項各項の発明によれば、長尺物荷台と固定荷台とに跨がって長尺物を積載できるので、長尺物荷台の前後長よりも長い木材などの長尺物の輸送を行なうことができ、また、前記長尺物荷台を使用しないとき、その長尺物荷台の保管スペースを狭くすることができ、前記長尺物の輸送コストの低減に寄与することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、長尺物荷台と固定荷台とに跨がって長尺物を積載したときに、遮蔽壁により、その長尺物が、運転席に接触するのを防止することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、長尺物荷台と固定荷台とに跨がって長尺物を積載しているときは、その長尺物荷台の卸し動作を禁止するので、長尺物と荷役車両との接触による、車両の損傷、破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】長尺物用荷台を積載した長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両の斜視図
図2図1の2矢視図
図3】長尺物用荷台をダンプした状態の長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両の側面図
図4】長尺物用荷台の積卸途中の状態の長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両の側面図
図5】長尺物用荷台の積込み直前の状態の長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両の側面図
図6】(A)長尺物用荷台と固定荷台とに長尺物を積み込む状態の長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両の側面図 (B)長尺物用荷台と固定荷台とから長尺物を卸す状態の長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両の側面図
図7】制御装置の制御ブロック図
図8】制御装置のフローチャート図
図9】通常のコンテナを積載した状態の長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両の側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜9を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0016】
以下の説明において、長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両Vの走行方向の前後を「前後」、その上下を「上下」、その左右を「左右」とする。
【0017】
図1、2において、長尺物運搬兼コンテナ運搬用荷役車両(以下、荷役車両という)Vは、前、後輪がいずれも駆動される、4輪駆動車両であって、シヤシフレームF上の車台1に積卸可能に積載される長尺物用荷台2と、この長尺物用荷台2を積卸する荷役装置3と、車台1上に固定される固定荷台4とを備えている。
【0018】
まず、図1〜6を参照して、前記長尺物用荷台2の構造について説明する。
【0019】
長尺物用荷台2は、車台1の前後方向に長い長方形状の荷台フレーム10と、この荷台フレーム10の上面に敷設される床板11とを備えており、その左右側面、上面および後面は開放されている。荷台フレーム10の前面の左右方向の中央部には、鉛直方向に延びる支柱12が一体に立設されている。この支柱12は、前方開放の横断面コ字状で、その鉛直方向に長い棒状に形成されている。また、この支柱12の上端には、被係合部としての係合ピン13が横向きに固定されており、この係合ピン13は、後述する荷役装置3の荷役アーム22(フックアーム26)の上端に設けた係合部としてのフック27に係脱可能である。
【0020】
床板11の左右両側面には、その前後方向に間隔をあけて複数対(3対)の落下防止柱(スタンション)15が対称的に立設されている。これらの落下防止柱15は、床板11の両側面に沿って略鉛直に延びており、長尺物用荷台2に積載される、木材などの長尺物Wが側方に転がり落ちるのを防止する。また、荷台フレーム10の後端左右には、キャスタよりなる接地ローラ16が軸支されており、これらの接地ローラ16は、長尺物用荷台2が地上に卸されたときに接地するようにされる。
【0021】
なお、前記接地ローラ16に代えてそり状の接地部材(前記特許文献1、図1参照)であってもよく、前記接地部材は不整地でも埋まりにくい。
【0022】
前記荷役装置3は、長尺物用荷台2、あるいは通常のコンテナ6(図9参照)を、ダンプ作動あるいは車台1と地上間で積卸作動するように構成されており、車台1の後部において基端部(後端部)が前後方向に回動自在に軸支21されるダンプアーム20と、このダンプアーム20の先端部(前端部)側において基端部(後端部)が車台1に前後方向に回動自在に軸支23される荷役アーム22と、この荷役アーム22の中間部と、車台1の前寄り部間に連結されるリフトシリンダ24とを備えている。荷役アーム22は、先端部(上端部)に係合部としてのフック27が取り付けられたフックアーム26と、リフトアーム28とを相互に伸縮可能に嵌合して構成されており、フックアーム26とリフトアーム28とは、それら間に連結されるスライドシリンダ29により伸縮作動される。そして、前記ダンプアーム20と荷役アーム22間には、それらを直線状に一体に固縛する固縛手段(図示せず)が設けられている。
【0023】
図1,2に示すように、荷役装置3が荷役車両Vの車台1上に設置され、また、長尺物用荷台2が車台1上に積載されている状態では、荷役装置3のフックアーム26は、長尺物用荷台2の支柱12の前方にあって、そのフックアーム26の上端の係合部としてのフック27は、長尺物用荷台2の支柱12の先端部の被係合部としての係合ピン13に係合されて、長尺物用荷台2は、車台1上に安定支持されると共に、後述するように、荷役装置3の作動により、後方にダンプされ、あるいは車台1と地上間で積卸し可能とされている。そして、長尺物用荷台2の前面と、後述の固定荷台4の後面間において、支柱12の左右両側には、外部に開放する左右開口部31,32が形成されている。また、長尺物用荷台2は、その前後方向の全長を、車台1の全長よりも短く形成することにより、荷役車両Vの後端からの突出量を短くすることができる。
【0024】
前記固定荷台4は、前記長尺物用荷台2よりも前方において、前記左右開口部31,32を隔てて車台1の前部に設けられ、車台1の前部に固定した支持台40上に床板42を敷設して、平面視車幅方向(左右方向)に長い長方形状に形成されている。支持台40により、固定荷台4の床面42の上面は、長尺物用荷台2の床面11の上面と一致させている。固定荷台4の前部には、遮蔽壁44が立設されている。この遮蔽壁44は、固定荷台4の前面およびその左右側面の前部を覆うように平面視チャンネル状に形成されていて、荷役車両Vの運転席Cの後面を覆っており、荷役車両V上に積載された長尺物Wが、運転席Cと接触するのを防止するようにしており、また、固定荷台4上に積載された長尺物Wの前部を積載位置に整合するのに役立っている。固定荷台4の床板42の左右側面の前後方向の中間部には、対をなす落下防止柱(スタンション)15が対称的に一体に立設されており、固定荷台4上に積載された長尺物Wが側方に転がり落ちないようにしている。
【0025】
図2に示すように、荷役車両Vの運転席C内の適所には、前記荷役装置3を作動制御する制御装置50が設けられる。この制御装置50は、メインスイッチ51、切替スイッチ52、および操作スイッチ53を備えており、操作スイッチ53は、ダンプスイッチ54および積卸スイッチ55とよりなる。これらのスイッチ群からの入力信号が制御装置50に入力され、また該制御装置50からの出力信号は、荷役装置3のリフトシリンダ24およびスライドシリンダ29を作動制御する。
【0026】
図8の制御装置50のフローチャート図において、切替スイッチ52を「長尺側」に切り替えると、操作スイッチ53(ダンプスイッチ54および積卸スイッチ55)を操作しても荷役装置3を動作させないように制御し、また、切替スイッチ52を「通常側」に切り替えると、荷役装置3を通常の動作が可能となるように制御する。
【0027】
つぎに、この実施形態の作用について説明する。
【0028】
長尺物用荷台2により、長い長尺物W以外の短尺材、チップなどの積荷を運搬するときは、制御装置50の切替スイッチ52を「通常側」に切替える。
【0029】
(1) 「車台1上の長尺物用荷台2をダンプさせる場合」
制御装置50の切替スイッチ52を「通常側」に切替えて、荷役装置3のダンプスイッチ54をON作動すれば、図3に示すように、長尺物用荷台2を車台1上の設置状態(図1、2参照)から車台1の後方にダンプさせて、長尺物用荷台2上の積荷を地上に放出することができる。具体的には、ダンプアーム20と荷役アーム22との間に設けた固縛手段(図示せず)の固縛作動により、両アーム20,22の相対回動を規制してそれらを一直線に固縛した状態で、前記リフトシリンダ24を伸長作動させると、フックアーム26の上端のフック27に、支柱12上端の係合ピン13が係合されている長尺物用荷台2は、車台1上を後方へ傾斜されてダンプ状態となり、長尺物用荷台2上に積載されている、短尺物、チップなどの積荷(木材などの長尺物を除く)を、荷役車両Vの後方に放出することができる。
【0030】
またリフトシリンダ24を収縮作動すれば、長尺物用荷台2は下降して車台1上に降ろすことができる。
【0031】
(2) 「車台1上の長尺物用荷台2を地上に卸す場合」
また、制御装置50の切替スイッチ52を「通常側」に切替えて、荷役装置3の積卸スイッチ55をON作動すれば、長尺物用荷台2を車台1と地上間で積卸して、長尺物用荷台2上に積載される短尺物、チップなどの積荷(木材などの長尺物を除く)を地上に卸すことができる。
【0032】
図4に示すように、スライドシリンダ29の収縮作動によりフックアーム26をリフトアーム28に対して荷役車両Vの後方へ水平移動させ、固縛手段の固縛作動を解除してダンプアーム20と荷役アーム22とが相対回動可能とした状態でリフトシリンダ24を伸長させると、リフトアーム26とフックアーム28とよりなる荷役アーム22は軸支23点を中心として後方に回動する。これにより長尺物用荷台2は車台1上を後方に移動し、接地ローラ16の回転中心を支点として後方に傾動し、その後部下縁は地上に着地する。
【0033】
図5に示すように、リフトシリンダ24の伸長継続により、荷役アーム22が後方回動位置に至ればフックアーム26は下向きとなって長尺物用荷台2は地上に卸される。長尺物用荷台2と地上間で、前記積荷(木材などの長尺物を除く)の積卸を行なうことができる。フックアーム26先端のフック27を係合ピン13から外せば、長尺物用荷台2は荷役車両Vから分離される。
【0034】
(3) 「地上に卸されている長尺物用荷台2を車台1上に積み込む場合」
図5に示すように、地上に卸されている長尺物用荷台2の前方に、適宜の間隔をあけて荷役車両Vを縦列停止させたのち、荷役アーム22を軸支23点周りに後方回動位置までフル回動させる。フックアーム26のフック27を支柱12の係合ピン13に係合させ、荷役アーム22の前方回動により、長尺物用荷台2は車台1上に積み込まれてその上を前方に移動し、スライドシリンダ29の伸長作動により、フックアーム26は前端位置に移動して、図2に示すように、荷役車両Vへの長尺物用荷台2の積み込みを終了する。
【0035】
ところで、本発明に係る荷役車両Vは、従来の荷役車両(たとえば前記特許文献1に記載のもの)では運搬の困難な、長い長尺物の運搬を可能としたところに特徴がある。
【0036】
この実施形態では、建築用向けの角材に加工するための長い木材(3.6m以上)などの長尺物Wを積載して運搬するようにしており、特に、その長尺物Wの輸送量を増やすべく、その長尺物Wを縦方向に2本ずつ縦列させた状態で、複数本の長尺物Wを運搬し、その輸送量を増量することができ、しかも、長尺物用荷台2の前後方向の長さを短かく設定して、この長尺物用荷台2を使用しないときの保管スペースを狭くできる。
【0037】
(4) 「車台1上の固定荷台4と長尺物用荷台2とに跨がって木材などの長尺物Wを輸送する場合」
この場合、運転席C内の制御装置50の切替スイッチ52は、「長尺側」に切り替え、前記荷役装置3の作動を禁止する。
【0038】
図1、2、鎖線に示すように、荷役車両V上には、固定荷台4と長尺物用荷台2とに跨がって、山から伐採した複数本の木材などの長尺物W(3.6m以上)を、縦方向に2本ずつ縦列して積載する。図6(A)に示すように、荷役装置3に依存せずに、前記長尺物Wは、地上の保管場所からクレーンなどの他の荷役機械(図示せず)により、ロープなど索条Rにより吊り上げて、複数の長尺物Wを2本ずつ縦列して、固定荷台4と長尺物用荷台2とに跨がって積載する。このとき、落下防止柱15は、長尺物Wの転がり落ちるのを防いで、その積載をし易くしている。固定荷台4と長尺物用荷台2とに跨がって各2本ずつ縦列して積載された複数本の長尺物Wは、図示しないロープなどの索条により適宜長尺物用荷台2に固縛する。そして、多数本の長尺物Wを積載した荷役車両Vは、その長尺物Wの加工場などに輸送される。
【0039】
なお、長尺物Wは2本ずつ縦列することなく長尺物用荷台2上に積載するようにしてもよい。
【0040】
(5) 「車台1上の木材などの長尺物Wを地上に卸す場合」
この場合も、制御装置50の切替スイッチ52は、「長尺側」に切り替えたままである。
【0041】
図6(B)に示すように、荷役車両Vの走行により目的地まで運搬された長尺物Wは、荷役装置3の作動に依存せずに、クレーンなどの他の荷役機械でロープなど索条Rにより吊り上げて車台1上から加工場などの地上に卸される。
【0042】
「通常のコンテナ6により積荷を輸送する場合」
図9に示すように、荷役車両Vは、長尺物用荷台2に代えて通常のコンテナ6を車台1上に搭載することにより、そのコンテナ6による積荷の輸送が可能である。
【0043】
この場合、切替スイッチ52は、「通常側」に切り替えられ、荷役装置3による、車台1上の通常のコンテナ6のダンプ制御およびそのコンテナ6の車台1と地上間の積卸制御は、前記長尺物用荷台2の場合〔前記(1) 〜(3) 〕と同じである。
【0044】
通常のコンテナ6としては、箱状のコンテナ6のほか、チッパーコンテナ(木質チップを製造する破砕機械を搭載したコンテナ)、ミーティングコンテナ6(プレハブを搭載したコンテナ)などが含まれる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態が可能である。
【0046】
たとえば、前記実施形態では、長尺物荷台により、長尺物としての木材を運搬する場合について説明したが、木材に代えて金属棒などの他の長尺物を運搬するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1・・・・・・・・・車台
2・・・・・・・・・長尺物用荷台
3・・・・・・・・・荷役装置
4・・・・・・・・・固定荷台
6・・・・・・・・・コンテナ
12・・・・・・・・・支柱
13・・・・・・・・・被係合部(係合ピン)
22・・・・・・・・・荷役アーム
27・・・・・・・・・係合部(フック)
44・・・・・・・・・遮蔽壁
F・・・・・・・・・・シヤシフレーム
W・・・・・・・・・・長尺物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9