(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部材の前記ガイド部近傍に、乾燥剤を保持させる乾燥剤保持部を設け、前記表示パネルの前記接続用ピン近傍に前記乾燥剤を保持するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項に記載の炊飯器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示パネルを基板に取り付けるときは、基板ホルダーを介して基板に取り付ける。表示パネルからは複数の細い接続用ピンが出ており、そのピンを基板に開けられた穴に挿入して半田で接続されるが、基板に開けられた穴は小さく、また接続用ピンは細く柔らかい。
【0005】
よって、特許文献1に記載の炊飯器の構成では、接続用ピンが自由な状態で接続用ピンの方向がばらついたりし易く、組立作業においてまとめて接続用ピンを穴へ挿入し難いため、組立作業性が悪いという問題があった。
【0006】
特許文献2に記載の炊飯器の構成では、接続用ピンが基板ホルダーに囲まれているので、接続用ピンの方向がばらつくことがなく、組立作業においてまとめて接続用ピンを穴へ挿入し易くなっている。
【0007】
しかし、接続用ピンを囲んでいる基板ホルダーが、基板に隙間なく接触した状態で取り付けられているため、半田付けのときに使用されるフラックスが高温となってフラックスに含まれる溶剤成分がガス化し、そのガス化した溶剤成分が放散されずに停滞してしまう。
【0008】
そのため、接続用ピンを囲んでいる箇所から、ガス化した溶剤成分が表示パネルに流れて影響を及ぼし、表示に滲みやくもりが発生する等、表示不良が発生するという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる課題を解決するために、表示パネルの基板との組立作業に優れ、フラックスのガス化した溶剤成分が表示パネルに及ぼす影響を低減し、表示不良を防止することができる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題を解決する本発明に係る炊飯器は、上方が開口する本体と、前記開口から前記本体内に出し入れ自在に収納される内釜と、前記本体に回動自在に設けられ、前記内釜上方を覆う蓋体と、該蓋体内部に設けられた基板室と、該基板室内に配設された操作表示基板と、該操作表示基板に取り付けられた表示パネルと、を備え、該表示パネルは、保持部材を介して複数の接続用ピンで前記操作表示基板に半田接続されて取り付けられ、
前記操作表示基板の上方に、前記保持部材が配置されており、前記保持部材には、前記複数の接続用ピンを前記操作表示基板の接続用穴へ導くガイド部が設けられており、
前記ガイド部は、前記保持部材の底面を前記操作表示基板の方向に突出させ、下端面が前記操作表示基板に対向しており、前記保持部材が前記操作表示基板に取り付けられた状態で、前記ガイド部
の下端面と前記操作表示基板との間には
、所定寸法Hの空間が形成されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表示パネルを操作表示基板に取り付ける保持部材に設けられた、表示パネルの複数の接続用ピンを操作表示基板の接続用穴へ導くガイド部が、保持部材が操作表示基板に取り付けられた状態で、基板との間に所定の寸法で空間を有しているので、優れた表示パネルの操作表示基板との組立作業を確保しながら、フラックスのガス化した溶剤成分が操作表示基板との間の空間によって放散できるので、表示パネルに対する溶剤成分の影響が低減でき、表示不良を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
(全体の構成)
図1は本発明の実施の形態1に係る炊飯器の概略構成を示す斜視図、
図2は本発明の実施の形態1に係る炊飯器の概略構成を示す蓋体を開けた状態の斜視図、
図3は本発明の実施の形態1に係る炊飯器の内部構成を示す断面図である。
図1から
図3により、本発明の実施の形態1に係る炊飯器の概略全体構成を説明する。
【0014】
図1に示すように、100は本発明の実施の形態1に係る炊飯器であり、本体1と蓋体2で構成されている。本体1と蓋体2はそれぞれ用途に応じた樹脂素材からなり、例えば樹脂成形により形成されているが、必ずしも樹脂素材に限定されるものではなく、本体1の外装に金属板を加工したものを使用してもよい。
【0015】
蓋体2には、
図1に示すように蓋上面カバー2aを有しており、蓋体2の前方寄りの上部の蓋上面カバー2aに、蓋上面カバー2aの下方で後述する蓋体2の内部空間である基板室2dに設けられた、操作結果や動作状況を表示するための表示パネル15の表示内容を視認できる透過性のある表示窓4が設けられている。
【0016】
表示窓4の周辺には、炊飯器100を操作するために、それぞれ炊飯、保温、予約等の機能が与えられた各種の操作キー(詳細図示せず)を有する操作部3が設けられていて、表示パネル15の表示内容を見ながら操作ができるようになっている。
【0017】
また、蓋体2の後方寄りには、炊飯時に発生する蒸気を排出する排気口2bが設けられている。なお、本発明の実施の形態1では、蒸気を本体外に排出するタイプの炊飯器で説明しているが、蒸気を本体外に排出しないタイプの炊飯器でもよく、その場合では蒸気の排気口は設けられない。
【0018】
図2に示すように、本体上面前方に係止部5aが設けられており、蓋体2に設けられた図示しない係合部と係止部5aが係合して、蓋体2が本体1の上面を閉塞している。蓋体2は、ヒンジ部8に設けられた
図3に示す回動軸8aに、後方の端部が回動自在に軸止されている。
【0019】
蓋体2は、本体1の前方に設けられた係止解除ボタン5を押込むことにより、図示しない係合部と係止部5aとの係合が外れ、回動軸8aを中心にして開放方向への付勢力を蓋体2に与えている図示しない付勢手段により、所定の位置まで回動し開放される。
【0020】
図2に示すように、本体の中央部には開口部を有しており、被炊飯物である水と米を収容する内釜6が着脱自在に収納される。蓋体2の内釜6と対向する面には内蓋7が設けられ、
図3に示すように蓋体2が閉塞された状態で、内釜6の上部周縁に設けられたフランジ6aと内蓋7の外周に設けられたシールパッキン7aが全周にわたって接触しシールされる。
【0021】
内蓋7には、内釜6内の被炊飯物から加熱時に発生するうまみ成分を内釜6内に戻すために設けられたカートリッジ7bが着脱自在に装着されている。カートリッジ7bには、内釜6内の被炊飯物から加熱時に発生する蒸気を外部に排出する連通口2cも設けられており、連通口2cは排気口2bと連通している。
【0022】
図3に示すように、本体1内には内釜6を加熱し、収容した米を炊飯するための加熱手段である誘導加熱コイル10a、10b、10cが設けられている。なお、本実施の形態では加熱手段として誘導加熱コイルを図示したがこれに限定されるものではなく、例えばシーズヒーターのような輻射式の加熱手段でもよい。
【0023】
内釜6の胴部を取り囲むように、胴ヒーター13が設けられている。胴ヒーター13は炊飯時及び保温時に通電され、炊飯及び保温の温度調整に利用される。
【0024】
加熱コイル10aの内側には、内釜6の外側中央部と接触するように温度センサー11が設けられている。温度センサー11は炊飯時の内釜6の温度を検出し、炊飯の制御に利用される。
【0025】
本体1の後(背面)側の空間には制御基板9が設けられている。制御基板9には、図示しない電源回路、マイコン、マイコンの制御に基づいて誘導加熱コイル10a、10b、10cに高周波電流を供給するインバータ回路、メモリ等が実装されている。メモリには、前述の操作部3の操作キーによる操作に応じてマイコンを動作させる制御プログラム等が格納されている。
【0026】
炊飯器100の下部には、樹脂素材からなり樹脂成形により形成された底板22が設けられており、制御基板9及び誘導加熱コイル10a、10b、10cを冷却するための冷却ファン12が取付けられている。また、底板22には図示しない巻取り式の電源コード13が設けられている。
【0027】
冷却ファン12は制御基板9の下方に配置され、炊飯が開始されると動作して底板22に設けられた図示しない吸気穴から外気を吸気し、制御基板9及び誘導加熱コイル10a、10b、10cへ送風、冷却する。
【0028】
(蓋体の構成)
次に、
図4〜
図6により蓋体2の構成を説明する。
図4は本発明の実施の形態1に係る炊飯器の蓋体の断面図、
図5は本発明の実施の形態1に係る炊飯器の蓋体の概略分解図、
図6は本発明の実施の形態1に係る炊飯器の操作表示基板組立の斜視図である。
【0029】
蓋体2は、その前方寄りに基板室2dが設けられており、基板室2dには操作表示基板14が収容される。操作表示基板14には操作部3の操作キーの入力を行うための図示しない9個のスイッチや、表示パネル15が保持部材16を介して搭載されている。また、操作表示基板14は制御基板9と図示しないフラットケーブルで電気的に接続されている。
【0030】
保持部材16は耐熱性の樹脂で形成されており、保持部材16には、図示しない9個のスイッチを押下するための、9個のスイッチと同じ数の操作ボタン16a〜16iが、それぞれ例えばアーム23a、23bのような2本のアームで連結されて一体的に形成されている。
【0031】
アーム23a、23bは柔軟性があり、操作ボタン16aに対する操作部3の操作キーが操作されると、その動きにともないアーム23a、23bが撓んで操作ボタン16aを押下し、さらに図示しないスイッチを押下して入力するようになっている。
【0032】
基板室2dの周囲にはシール保持溝2eが設けられており、その溝に例えばシリコンゴムのような弾性材で形成された基板室シール18が挿入されている。操作表示基板14が基板室2dに収容された後、蓋上面カバー2aを取付けると、基板室シール18と蓋上面カバー2aが基板室2dの周囲全周にわたって接触し、基板室2dへの虫や蒸気等の侵入を防止するようになっている。
【0033】
さらに表示パネル15の周囲全周に、保持部材16の外周と蓋上面カバー2aで挟持される、例えばシリコンゴムのような弾性材で形成された表示部シール17が設けられ、表示パネル表面への虫や蒸気等の侵入を防止するようになっている。
【0034】
(表示パネルの操作表示基板への取付け構成)
次に、
図7により表示パネル15の操作表示基板14への取付け構成を説明する。
図7は本発明の実施の形態1に係る炊飯器の操作表示基板組立のA−A断面図である。
【0035】
図7に示すように、表示パネル15は保持部材16を介して操作表示基板14に取付けられる。保持部材16は、一体的に設けられた爪形状16nで操作表示基板14に設けられた図示しない穴に取付けられる。
【0036】
操作表示基板14には、表示パネル15に設けられた複数の接続用ピン15aを挿入するための、複数の接続用ピン15aと同じ数の接続用穴14aが設けられている。接続用ピン15aは細く弱いので、少しの外力で簡単に変形してしまう。
【0037】
そのため、それぞれの接続用ピン15aを自由な状態にしておくと、ピンの方向がばらばらになる可能性が高くなり、接続用穴14aへの挿入し難く組立作業が極めて悪くなる。よって、複数の接続用穴14aに複数の接続用ピン15aを挿入するときに、接続用ピン15を接続用穴14aへ導くための構造が必要となる。
【0038】
保持部材16には、接続用ピン15を接続用穴14aへ導くためのガイド部16jが設けられている。また、ガイド部16jには複数の接続用ピン15の数と同じ数で、それぞれが独立して接続用ピン15を接続用穴14aへ導くためのテーパー部16mとガイド穴16kが設けられている。
【0039】
テーパー部16mはマス状で接続用ピン15の挿入側が広くなっていてガイド穴16kに向けて徐々に狭くなり、接続用ピン15はテーパー部16mにガイドされてガイド穴16kに挿入される。
【0040】
ガイド穴16kは、保持部材16が操作表示基板14に取付けられた状態で、接続用穴14aと位置が合わせてあるので、ガイド部16jにより接続用ピン15は簡単に接続用穴14aに挿入できるようになる。
【0041】
保持部材16の底面には、保持部材16が操作表示基板14に取付けられた状態で、そのガイド部16j下端面と操作表示基板14の上面とが所定の寸法Hで離間するように、一定の高さの脚部(凸部)24a、24b、24c、24d(24c、24dは図示せず。)が一体的に形成されている。
【0042】
なお、この実施の形態では保持部材16の底面に脚部24a、24b、24c、24dを一体的に形成するようにしたが、保持部材16が操作表示基板14に取付けられた状態で、ガイド部16j下端面と操作表示基板14の上面とが所定の寸法Hで離間するようにできればよいので、脚部の代わりにスペーサーを設けても良い。
【0043】
空間21により、所定の寸法Hの高さでガイド部16jと操作表示基板14が離間しているので、半田付けのときに使用されるフラックスに含まれる溶剤成分が接続用穴14aを通過し上昇しても、停滞することなく放散されて表示パネル15の表示面まで上昇することはない。
【0044】
また、保持部材16のガイド部16jの近傍には乾燥剤19を保持させるための乾燥剤保持部20が設けられている。乾燥剤保持部20は、弾性力を有する乾燥剤係止爪20aと乾燥剤保持枠20bで構成される。
【0045】
乾燥剤19は乾燥剤保持枠20bと操作表示基板14で挟持されるが、蓋体2の開閉動作によって乾燥剤19が脱落しないように、乾燥剤係止爪20aでさらに固定するようになっている。
【0046】
乾燥剤19の挿入は、弾性力を有する乾燥剤係止爪20aを押し上げるように、乾燥剤保持枠20bと操作表示基板14で囲まれる空間に挿入していき、保持部材16に設けられた図示しない壁面に乾燥剤19の一面が当接する位置で挿入が完了すると、乾燥剤係止爪20aが乾燥剤19に係り固定される。
【0047】
乾燥剤19は、乾燥剤保持枠20bの側枠で左右方向の動きが規制され、保持部材16に設けられた図示しない壁面と乾燥剤係止爪20aで前後方向の動きが規制され、乾燥剤保持枠20bの上枠と操作表示基板14で上下方向の動きが規制されるので、蓋体2が開閉されて乾燥剤19に衝撃が加わってもいたり、脱落したりすることはない。
【0048】
乾燥剤19は、組立時に基板室2dに残った湿気を吸着するためのものである。炊飯器は炊飯動作時に高温となるため、表示パネル15が収容されている基板室2dに湿気が残っていると、高温により表示面に曇りを生じる可能性がある。
【0049】
また、一度高温となった湿気が冷まされて水分となり、接続用ピン15に付着して導通不良や腐食を起こす可能性がある。そのため、基板室2dに残った湿気が不具合を起こさないよう、乾燥剤19で吸着させる。
【0050】
なお、本発明の実施の形態では、乾燥剤19を接続用ピン15への影響を最も抑制できるよう、接続用ピン15の近傍へ配置している。接続用ピン15の近傍へ乾燥剤19を配置することで、接続用ピン15周辺の湿気を効果的に吸着させることができる。
【0051】
以上のように本発明の実施の形態によれば、表示パネル15の保持部材16に接続用ピン15を接続用穴14aへ導くためのガイド部16jが設け、接続用ピン15はガイド部16jのテーパー部16mにガイドされてガイド穴16kに挿入され、ガイド穴16kは、保持部材16が操作表示基板14に取付けられた状態で、接続用穴14aと位置が合わせてあるので、ガイド部16jにより接続用ピン15は簡単に接続用穴14aに挿入でき、組立て性が向上する。
【0052】
また、ガイド部16jは、保持部材16が操作表示基板14に取付けられた状態で、所定の寸法Hの高さでガイド部16jと操作表示基板14が離間するように空間21が設けられているので、向上した組立て性を確保した上で、さらに半田付けのときに使用されるフラックスに含まれる溶剤成分が停滞することなく放散できるので、表示パネルに対する溶剤成分の影響が低減でき、表示不良を防止することができる。
【0053】
それから、乾燥剤19を接続用ピン15の近傍へ配置することで、接続用ピン15周辺の湿気を効果的に吸着させ、組立時に基板室2dに残った湿気による接続用ピン15の導通不良や腐食を防止することができ、さらに湿気を吸着させることで、炊飯時に高温となっても表示パネル15の表示面が湿気により曇ることがない。