特許第6109007号(P6109007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109007
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20170327BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   B41J2/17 207
   B41J2/01 111
   B41J2/01 301
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-165762(P2013-165762)
(22)【出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-37139(P2014-37139A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2016年8月8日
(31)【優先権主張番号】13/572,760
(32)【優先日】2012年8月13日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・アンドリュー・ブロデリック
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ポール・プラット
(72)【発明者】
【氏名】アイザック・エス・フレーザー
(72)【発明者】
【氏名】トニー・ラッセル・ロジャース
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−115174(JP,A)
【文献】 実開平01−131531(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 〜 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転画像形成ドラムと、
第1の端および第2の端を有するトレイと、
前記回転画像形成ドラムに隣り合って配置された印字ヘッドであって、
複数の開口を含む前面板と結合点にて結合する下面を有する噴射積層体であって、前記複数の開口のうちの各開口が、前記回転画像形成ドラムの表面にインクを吐出するよう構成されたインクジェット吐出器を含み、前記前面板が、前記トレイの前記第1の端と前記トレイの前記第2の端との間の前記トレイの上部に配置され、前記インクジェット吐出器を通って除去されたインクが、重力により前記噴射積層体の前記前面板から、前記前面板と前記下面との間の前記結合点の周辺、及び前記噴射積層体の前記下面上へ流れ落ちることができるよう構成された噴射積層体と、
前記噴射積層体に作用可能に接続し、前記噴射積層体の前記下面の下を延在する熱伝導体であって、前記噴射積層体の前記下面と、前記トレイの前記第2の端との間に配置され、前記噴射積層体の前記下面からのインクを受けるように構成された熱伝導体と、
前記インクジェット吐出器と流体接続するインク容器を形成する容器収納部であって、前記容器収納部は、前記噴射積層体と前記トレイの前記第2の端との間に配置され、前記噴射積層体の前記下面及び前記熱伝導体の下を延在して、前記噴射積層体の前記下面及び前記熱伝導体からのインクを受けるよう構成された下部フランジを含み、前記下部フランジが湾曲を有し、前記湾曲により、前記噴射積層体及び前記熱伝導体から受けた前記インクが、前記トレイの前記第2の端に向かって流れ、前記トレイの前記第1の端と、前記トレイの前記第2の端との間で前記トレイ内に落ちることができる、容器収納部と、を含む、印字ヘッドと、
を備える印刷装置。
【請求項2】
前記噴射積層体が、
前記前面板と前記熱伝導体との間に配置される接着剤層であって、前記接着剤層は、前記噴射積層体の前記下面に作用可能に接続し、かつ前記噴射積層体の前記下面の下に延在する下面を含み、前記噴射積層体の前記下面及び前記熱伝導体の一部からインクを受け、前記インクを前記容器収納部の前記下部フランジに導くよう構成される接着剤層をさらに含む、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記噴射積層体、前記熱伝導体、および前記容器収納の下部フランジが、前記インクジェット吐出器から除去されたインクが、前記トレイ内に落ちる前に、前記前面板から前記容器収納部の前記下部フランジまで流れるための段状の流路を形成する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記噴射積層体の前記下面、前記熱伝導体、および前記容器収納部の前記下部フランジのうちの少なくとも1つが、疎水性材料で被膜されている、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記トレイが、
前記容器収納部の前記下部フランジと前記インク容器との間に配置されて、インクが前記下部フランジと前記インク容器との間に溜まるのを防止するルーフをさらに含む、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
媒体ロール紙と、
第1の端および第2の端を有するトレイと、
前記媒体ロール紙に隣り合って配置される印字ヘッドであって、
複数の開口を含む前面板と結合点にて結合する下面を有する噴射積層体であって、前記複数の開口のうちの各開口が、それぞれ前記媒体ロール紙の表面インクを吐出するよう構成されたインクジェット吐出器を含み、前記前面板が、前記トレイの前記第1の端の上部に配置され、前記インクジェット吐出器を通って除去されたインクが、前記前面板と下面との間の前記結合点の周辺で、重力により前記前面板から前記噴射積層体の前記下面上へ流れ落ちることができるよう構成された噴射積層体と、
前記噴射積層体に作用可能に接続し、前記噴射積層体の前記下面の下を延在する熱伝導体であって、前記噴射積層体の前記下面と、前記トレイの前記第2の端との間に配置され、前記噴射積層体の前記下面からのインクを受けるように構成された熱伝導体と、
前記インクジェット吐出器と流体接続するインク容器を形成する容器収納部であって、前記容器収納部は、前記噴射積層体と前記トレイの前記第2の端との間に配置され、前記噴射積層体の前記下面の下を延在して、前記噴射積層体の前記下面及び前記熱伝導体からのインクを受けるよう構成された下部フランジを含み、前記下部フランジが湾曲を有し、前記湾曲により、前記噴射積層体から受けた前記インクが、前記トレイの前記第2の端に向かって流れ、前記トレイの前記第1の端と、前記トレイの前記第2の端との間の前記トレイ内に落ちることができる、容器収納部と、を含む印字ヘッドと、
を備える印刷装置。
【請求項7】
前記噴射積層体が、
前記噴射積層体と前記熱伝導体との間に配置される接着剤層であって、前記噴射積層体の前記下面に作用可能に接続し、前記噴射積層体の前記下面を延在する第2の下面を含み、前記噴射積層体の前記下面からインクを受け、前記インクを前記容器収納の前記下部フランジに導くよう構成された接着剤層をさらに含む、請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記噴射積層体、前記熱伝導体、および前記容器収納部の下部フランジが、前記インクジェット吐出器から除去されたインクが、前記トレイ内に落ちる前に、前記前面板から前記容器収納部の前記下部フランジまで流れるための段状の流路を形成する、請求項6に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記噴射積層体の前記下面、前記熱伝導体、および前記容器収納部の前記下部フランジのうちの少なくとも1つが、疎水性材料で被膜されている、請求項6に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記トレイが、
前記容器収納部の前記下部フランジと前記インク容器との間に配置されて、インクが前記下部フランジと前記インク容器との間に溜まるのを防止するルーフをさらに含む、請求項6に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にインクジェットプリンタに関し、より具体的には、そのようなプリンタ内の印字ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インクジェット印刷機、またはプリンタは、少なくとも1つの印字ヘッドを含み、これらの印字ヘッドが液体インクの滴、または噴流を画像受取部材上に吐出し、その後、インクがこの画像受取部材から媒体に転写される。この画像受取部材は、シート形態の媒体、またはロール紙形態の媒体のどちらかの回転中間部材でよい。相変化インクジェットプリンタは、相変化インクを使用し、この相変化インクは周囲温度では個体であるが、高温では液相に遷移する。次いで、印字ヘッドにより溶解インクが吐出されて、画像受取部材上にインク画像を形成する。画像受取部材が、回転中間部材の場合、回転ドラムまたはベルトなどの中間画像形成部材に離型剤の層を塗布して、基材が転写ローラと中間画像形成部材との間に形成されたニップを通過するときに、インク画像が紙のシートなどの受取り基材へ転写され易くする。
【0003】
種々の動作モードでは、インクが印字ヘッドから取り除かれて、印字ヘッドの適切な動作を確保する。除去処理中、インクは一般に印字ヘッド内のインク容器にかけられる圧力により、インク経路、チャンバを通り印字ヘッドの前面板内のインクジェット開口から外に押し出される。この圧力により、小片、および/または、気泡が少量のインクと共に印字ヘッドの外へ押し出される。このような除去動作により、動作不良のインクジェットが再度、適切にインクを吐出することができるようになる。取り除かれたインクは、印字ヘッドの前面から一般には印字ヘッドの下に配置された廃棄トレイに流れ落ち、プリンタから取り除かれる、または、印字ヘッドの底部に取り付けられたインク回収トレイに流れ込みプリンタ内で再利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリンタでは、印字ヘッドの底部にインク回収トレイを取り付けるための空間が制限されてきた。回収トレイが間接プリンタにおける回転画像形成ドラムに干渉しないように、または連続直接プリンタにおける媒体ロール紙に干渉しないように、インク回収トレイを配置しなければならない、というのも、これらの画像形成ドラムおよび媒体ロール紙は両方共、印字ヘッドに隣接して配置されて、この印字ヘッドがドラムまたはロール紙上にインクを吐出できるようになっているためである。したがって、ドラムへの干渉を避けるため、インク回収トレイは間接プリンタにおける印字ヘッドの前面を少しだけ超えてのみ延在可能である。連続直接プリンタでは、媒体ロール紙への干渉を避けるために、インク回収トレイを印字ヘッドの前面と、ほぼ面一で配置しなければならない。印字ヘッドの前面から急速に流れ落ちる除去インクが、インク回収トレイ内に入らなかったり、一杯になって回収トレイからこぼれ、ドラムまたはその他のプリンタの構成部品に付着したりする恐れがある。以前より周知の印字ヘッドは、ドリップ受けを含み、このドリップ受けが、除去されたインクを受け、廃棄トレイまたはインク回収トレイへ導く。しかし、ドリップ受けは、印字ヘッドの構造に対して追加部品が必要であり、プリンタ内にてこのドリップ受けの輪郭に対応する空間が必要となる。したがって、印字ヘッドから除去されるインクの改善された処理が所望される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、除去されたインクを、段状の流路に沿って印字ヘッド前面からインク回収トレイに導く印刷装置が開発されている。この装置は、第1の端および第2の端を有するトレイと、噴射積層体と、容器収納とを含む。噴射積層体は、下面を有し、この下面が複数の開口を含む前面板と結合し、これらの複数の開口のうちの各開口はそれぞれインクジェット吐出器を含む。この前面板は、トレイの第1の端と第2の端との間のトレイの上部に配置され、インクジェット吐出器を通って除去されたインクが、前面板と下面との間の結合点の周辺で、重力により前面板から噴射積層体の下面に流れ落ちることができるよう設定される。容器収納は、インク容器を形成し、この容器収納は、インクジェット吐出器と流体接続する。容器収納は、噴射積層体とトレイの第2の端との間に配置され、噴射積層体の下面の下を延在して、噴射積層体の下面からインクを受けるよう設定された下部フランジを含む。下部フランジは湾曲し、この湾曲により、噴射積層体から受けたインクがトレイの第2の端に向かって流れ、トレイの第1の端と第2の端との間のトレイ内に流れ落ちることができる。
【0006】
別の実施形態では、インクを段状の流路に沿ってインク回収トレイに導くよう設定された印字ヘッドを含むプリンタが開発されている。このプリンタは、回転する画像形成ドラムと、第1の端および第2の端を有するトレイと、回転する画像形成ドラムに隣接して配置された印字ヘッドとを含む。この印字ヘッドは、噴射積層体および容器収納を含む。噴射積層体は下面を有し、この下面は複数の開口を含む前面板と結合し、これらの複数の開口のうちの各開口はそれぞれインクジェット吐出器を含み、これらのインクジェット吐出器は、回転画像形成ドラムの表面上にインクを吐出するよう設定される。この前面板は、トレイの第1の端と第2の端との間のトレイの部分に配置され、インクジェット吐出器を通って除去されたインクが、前面板と下面との間の結合点の周辺で、重力により前面板から噴射積層体の下面に流れ落ちることができるよう設定される。容器収納はインク容器を形成し、この容器収納はインクジェット吐出器と流体接続する。容器収納は、噴射積層体とトレイの第2の端との間に配置され、噴射積層体の下面の下を延在して噴射積層体の下面からインクを受けるよう設定された下部フランジを含む。下部フランジは湾曲し、この湾曲により、噴射積層体から受けたインクが、第2のトレイの端に向かって流れ、第1の端と第2の端との間のトレイの部分に流れ落ちることができる。
【0007】
さらに別の実施形態では、インクを段状の流路に沿ってインク回収トレイに導くよう設定された印字ヘッドを含むプリンタが開発されている。このプリンタは、媒体ロール紙と、第1の端および第2の端を有するトレイと、媒体ロール紙に隣接して配置された印字ヘッドとを含む。この印字ヘッドは、噴射積層体および容器収納を含む。噴射積層体は下面を有し、この下面は複数の開口を含む前面板と結合し、これらの複数の開口のうちの各開口は、それぞれインクジェット吐出器を含み、これらのインクジェット吐出器は、媒体ロール紙の表面上にインクを吐出するよう設定される。この前面板は、トレイの第1の端と第2の端との間のトレイの部分に配置され、インクジェット吐出器を通って除去されたインクが、前面板と下面との間の結合点の周辺で、重力により前面板から噴射積層体の下面に流れ落ちることができるよう設定される。容器収納はインク容器を形成し、この容器収納はインクジェット吐出器と流体接続する。容器収納は、噴射積層体とトレイの第2の端との間に配置され、噴射積層体の下面の下を延在して、噴射積層体の下面からインクを受けるよう設定された下部フランジを含む。下部フランジは湾曲し、この湾曲により、噴射積層体から受けたインクが、第2のトレイの端に向かって流れ、第1の端と第2の端との間のトレイの部分に流れ落ちることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、印字ヘッド、トレイ、および画像形成ドラムの側面断面図である。
図2図2は、図1の実施形態における段状の流路の詳細な側面断面図である。
図3図3は、別の印字ヘッド、トレイ、および媒体ロール紙の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態を一般的に理解するため、図面を参照する。これらの図面では、同様の参照符号は、全体を通して同様の要素を示している。本明細書で使用される用語「プリンタ」、「印刷装置」、または「画像形成装置」とは、一般に1色以上の着色剤を用いて、印刷媒体上に画像を形成する装置のことを指し、例えば、デジタル複写機、製本機、ファクシミリ、多機能装置などの、あらゆる目的で印刷画像を形成するそのような全ての装置を包含することができる。一般に電子形式の情報を含む画像データはレンダリングされ、インクジェット吐出器を操作して、印刷媒体上にインク画像を形成するために使用される。これらのデータには、テキスト、図形、写真などが含まれ得る。着色剤を用いて印刷媒体上に、例えば、図形、テキスト、写真などの画像を形成する動作を、本明細書では、一般に印刷またはマーキングと呼ぶ。相変化インクプリンタでは、個体インクとも呼ばれる、相変化インクを用い、この相変化インクは、室温では固体状態であるが、より高い動作温度では溶解して液体状態となる。直接プリンタまたは間接プリンタのどちらかの中で、この液体インクの滴が画像受取り面上に印刷される。
【0010】
本明細書で使用される用語「印字ヘッド」とは、インクジェット吐出器を用いて、インク滴を画像受取り面上に吐出するよう設定された、プリンタ内の構成部品のことを指す。一般的な印字ヘッドは、複数のインクジェット吐出器を含み、これらのインクジェット吐出器が、インクジェット吐出器内のアクチュエータを操作する発射信号に応じて、1色以上のインクの色のインク滴を画像受取り面上に吐出する。これらのインクジェットは、1つ以上の行と列のアレイに配列される。いくつかの実施形態では、これらのインクジェットは、印字ヘッドの前面に渡り傾いた行に、互い違いに配列される。種々のプリンタの実施形態では、画像受取部材上にインク画像を形成する、1つ以上の印字ヘッドが含まれる。プリンタの実施形態の中には、印刷ゾーン内に配列される複数の印字ヘッドを含むものもある。印刷媒体または中間部材などの画像受取部材が、印字ヘッドを通過して印刷ゾーン内を処理方向に移動する。印字ヘッド内のインクジェットが、画像受取り面に全体に渡り処理方向と直交するクロス処理方向の行方向にインク滴を吐出する。
【0011】
間接プリンタでは、印字ヘッドは中間画像受取部材、例えば、回転するドラムまたはエンドレスベルトの表面にインク滴を吐出する。この中間画像受取部材に対して、転写ローラが選択的に配置されて、転写ニップが形成される。媒体シートが、中間画像受取部材上のインク画像と同期して転写ニップを通過すると、このインク画像が、媒体シートに転写され、いくつかのプリンタでは、転写ニップ内の圧力および熱に晒されて定着される。インク画像の転写および定着は、当技術分野では周知であり、転写定着処理と呼ばれている。
【0012】
直接プリンタでは、印字ヘッドは印刷媒体、例えば、紙のシートまたは連続媒体ロール紙、に直接インク滴を吐出する。インク滴が印刷媒体上に印刷された後、プリンタは、印刷媒体を2つのローラの間に形成された、圧力、および随意的には熱をインク滴と印刷媒体に加えるニップを通して移動させる。一般には「塗布ローラ」と呼ばれる一方のローラが、印刷媒体の印刷面と接触する。一般には「加圧ローラ」と呼ばれる第2のローラが、媒体を塗布ローラに対して押し付けて、インクの液滴を印刷媒体に塗布し、インクを印刷媒体に定着させる。
【0013】
図1には、インク回収システム100が示され、このインク回収システム100は、印字ヘッド104、回収トレイ220、およびインク再循環システム242を含む。印字ヘッド104は、画像形成ドラム260に隣り合って配置され、これにより印字ヘッド104内のインクジェットが、離型剤層で被覆された画像形成ドラム260の表面264にインクを吐出して、離型剤層の上に画像を形成することができる。インク回収トレイ220は、第1の端224、第2の端228、およびルーフ232を含む。トレイ220は、印字ヘッド104の真下に配置され、これにより、印字ヘッド104からのインクが、重力の作用により、下方に流れてトレイ220内に入ることができる。トレイ220の第1の端224は、印字ヘッド104の前面板を超えて画像形成ドラム260から所定の距離だけ延在し、トレイ220は、この画像形成ドラム260には干渉しない。
【0014】
第2の端228は印字ヘッド104の背面と、ほぼ面一に揃えられる。図1の実施形態のトレイ220は、第1の端224から第2の端228に向かって下方向に傾斜して、トレイ220内に溜まったインクが、トレイ220の第2の端228に向かって流れるようにする。インク回収トレイ220の第2の端228は、少なくとも1つの開口を含み、トレイ220の第2の端228内のインクが、インク再循環システム242へ流れ込めるようにする。いくつかの実施形態では、インク回収トレイの第2の端には壁がなく、インクが直接インク再循環システムへ流れ込む。トレイ220のフロアと容器収納180との間に、トレイ220のルーフ232が配置される。トレイのルーフ232はシール部材236を含み、これらのシール部材236は、クロス処理方向に印字ヘッド104の幅全体に渡って延在し、クロス処理方向に下部フランジ184を有する容器収納180を密封し、トレイ220の上部を囲んで容器収納180の底部または下部フランジ184の上にインクが溜まるのを防止する。一実施形態では、シール部材236および露出したトレイルーフ232の下面は、シリコーンで形成されて、きつく密封され、インクがシール部材236およびトレイルーフ232の表面に付着するのを防ぐ、しかし、他の実施形態では、別の疎水性材料または被膜が使用される。いくつかの実施形態では、トレイのルーフはアルミニュウム層を含み、このアルミニュウム層は、シリコーン層と容器収納との間に配置されて、付加的な剛性および熱伝導をトレイルーフに提供する。
【0015】
いくつかの実施形態では、インク回収トレイの代りに、印字ヘッドに触れていない廃棄トレイを用いてプリンタを構成することができる。この廃棄トレイは、印字ヘッドの下の廃棄トレイが回転ドラムに干渉しない距離で配置される。この廃棄トレイは、印字ヘッドから除去されインクを受けるよう設定され、取外しを可能にし、ユーザが廃棄トレイを取り外し、廃棄トレイの中に入ったインクを廃棄できるようを設定される。
【0016】
印字ヘッド104は、噴射積層体120、ヒータシールド160、容器収納180、およびインク容器240を含む。噴射積層体120は、ろう付け部122および接着剤層140を含む。このろう付け部122は、貼り合わされた複数のろう付けプレートで形成され、そのうちの1枚が噴射積層体の前面板124である。前面板124は、複数の開口を含み、これらの各開口はそれぞれインクジェット吐出器128を含み、インクジェット吐出器は、噴射積層体120およびヒータシールド160内の経路およびマニホールドを通って、インク容器240と流体接続する。前面板124は、画像形成ドラム260と対向して、制御装置(図示せず)から吐出器128に供給される電気信号に応じて、インクジェット吐出器128が、画像形成ドラム260の表面264上の離型剤層にインクの滴を吐出することができるようにする。噴射積層体120の接着剤層140は、噴射積層体120のろう付け部122の背面と、ヒータシールド160を接着し、1枚以上の接着層、ヒータ、可撓性経路を含んで、インクジェット吐出器128とインク容器240とを流体接続させる。以下で説明する通り、接着剤層140は、ろう付け部122の下を延在して、前面板124からトレイ220へ導く段状の流路の一部を形成する。
【0017】
接着剤層140により、噴射積層体120に接着されるヒータシールド160は、ヒートシンク168およびヒータ172にも取り付けられる。ヒータシールド160は、熱伝導性材料で形成されて、このヒータシールド160が、ヒータ172により生成される熱を、印字ヘッド104全体に均一に分散させ、噴射積層体120およびインク容器240に熱を伝導させることができるようにする。ヒートシンク168を、インク容器240内のヒータシールド160の背面に接触捨て配置して、ヒータシールド160およびヒートシンク168が、ヒータ172により生成される熱を、容器240に伝導させ、そのインク容器240内のインクを溶解させることができるようにする。ヒータシールド160は、噴射積層体120の接着剤層140の下を延在して、印字ヘッド104からトレイ220に流れるインクのための段状の流路のその他の部分を形成する。
【0018】
容器収納180は、実質的にC形状を有し、クロス処理方向の両端を囲んで、容器収納180の開放端をヒータシールド160の背面に対して密封して、ヒータシールド160と容器収納180との間の容積を画定することができる。容器収納180内の容積によりインク容器240が形成され、インクジェット吐出器128により、インクが吐出されるまで、あるいはインクジェット吐出器128からインクが除去されるまで、このインク容器240が、インク溶解組立体(図示せず)から受けたインクを格納する。容器収納180は、下部フランジ184を含み、この下部フランジ184が、下方に延在し、かつヒータシールド160の底部との結合点で湾曲し、回収トレイ220の第2の端228に向かってから離れる。下部フランジ184は、容器収納180の構造保全性を高め、以下に詳細に説明する通り、インクが、噴射積層体前面板124からトレイ220に流れ込むための流路の一部を提供する。
【0019】
インク再循環システム242は、ポンプ244、再循環経路248、およびフィルタ252を含む。トレイ220内に回収されたインクは、傾斜するトレイのフロアをトレイ220の第2の端228に向かって流れ下り、フィルタ252を通過して、そのインクに含まれる粒子および小片を取り除き、再利用するためのインクを用意する。インクは、ポンプ244により、印字ヘッド104内のインク容器240の背面側の再循環経路248を通って流れる。図1の実施形態には、インク再循環システムが含まれているが、いくつかの実施形態では、印字ヘッドに触れていない廃棄トレイを有し、インクは再循環せず、トレイを手動で取外し、一杯になったら空にする。
【0020】
図2は、段状の流路200、およびその段状の流路200を形成する要素の詳細図である。噴射積層体120のろう付け部122は、下面136と、前面板124および下面136の間の結合点132とを含み、結合点132は、インクの表面エネルギーにより、インクが下面136に接触して保持されるため、前面板124を流れ落ちるインクが、結合点132の周りを流れ、ろう付け部122の下面136まで流れることができるよう設定される。噴射積層体120の接着剤層140は、ろう付け部122の下面136に接触して、その下を延在して、ろう付け部122の下面136から接着剤層140上にインクが流れることができるようにする。次いで、インクは、接着剤層140の前面を、接着剤層140の下面144まで流れ落ち、この下面144で、インク内の表面エネルギーにより、インクは再び下面144に接して保持される。インクは、接着剤層140の下面144に接触して、その下を延在するヒータシールド160の一部に向かい、そこでは、インクは重力により、下方にヒータシールド160の下面164まで流れる。容器収納180の下部フランジ184上の湾曲面188が、重力によりヒータシールド160の下面164から流れるインクを受ける。インク内の表面張力により、インクが湾曲面188に沿って、次いで、下部フランジ184の下面192を経て、重力により、インクがトレイ220内に落ちるまで、インク回収トレイ220の第2の端228(図1)に向かって流れることができる。いくつかの実施形態では、任意のまたは全てのインクと接触する下面136、下面144、および下面164、および接着剤層140の一部、ヒータシールド160、および下部フランジ184を疎水性材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(一般にはPTFEと呼ばれ、Teflon(商標)として市販されている)またはシリコーンオイルで被膜することができる。印字ヘッドの追加要素を、段状の流路の一部として構成することができ、種々の構成では、段状の流路を形成する表面のうちの、いくつかを角度または湾曲を有し、これにより、流路に沿ってトレイに向かうインクが、流れ易くなることを理解されたい。
【0021】
印刷装置が組み込まれているプリンタが除去サイクルを行うとき、インク容器240には圧力がかけられる。インク容器240内の圧力に応じて、インクジェット吐出器128(図1)から、インクが流れる。このインクが前面板124と、噴射積層体120のろう付け部122の下面136との間の結合点132に達するまで、このインクは、噴射積層体の前面板124を流れ落ちる。インクは段状の流路200を通り、ろう付け部122の下面136との結合点132、噴射積層体120の接着剤層140、接着剤層140の下面144、ヒータシールド160、ヒータシールド160の下面164、容器収納180の下部フランジ184の湾曲面188、および下部フランジ184の下面192を流れ、その後、インク回収トレイ220内に落ちる、あるいは、いくつかの実施形態では、廃棄トレイ内に落ちる。インクの表面エネルギーにより、インクは段状の流路200を通り、インク回収トレイ220の第2の端228に向かって流れて、インク回収トレイ220に落ちることができる。
【0022】
図3には、連続直接プリンタ内で使用するためのインク回収システム300が示され、この回収システム300は、印字ヘッド304、回収トレイ420、およびインク再循環システム442を含む。印字ヘッド304は、連続媒体ロール紙460と、裏当部材468とに隣り合って配置され、この裏当部材により、張力を受けたロール紙460は、印字ヘッド304のインクジェットが媒体ロール紙460の表面464にインクを吐出して、ロール紙460の表面464上にインク画像を形成することができる位置に維持される。インク回収トレイ420は、第1の端424、第2の端428、およびルーフ432を含む。インク回収トレイ420は、印字ヘッド304の底部に取り付けられて、印字ヘッド304からのインクが、重力により下方に流れて、トレイ420に入れるようにする。トレイ420の第1の端424は、印字ヘッド304の前面板と、実質的に面一に揃えられて、トレイ420が、媒体ロール紙460に干渉することを防ぎ、第2の端428は、印字ヘッド304の背面と実質的に面一で揃えられる。図1の実施形態のトレイ420は、第1の端424から第2の端428に向かって傾斜してトレイ420内に回収されるインクがトレイ420の第2の端428に向かって流れることができるようにする。インク回収トレイ420の第2の端428は、少なくとも1つの開口を含んでトレイ420の第2の端428内のインクが、インク再循環システム442に流れ込むようにする。トレイ420のルーフ432は、トレイ420のフロアと、容器収納380との間に配置される。トレイのルーフ432は、シール部材436を含み、このシール部材436は、印字ヘッド304の幅を横切ってクロス処理方向に延在して、下部フランジ384を用いて、容器収納380を密封し、トレイ420の一部を囲んでインクが底部容器収納380の外側または下部フランジ384の上に溜まるのを防止する。



【0023】
印字ヘッド304は、噴射積層体320、ヒータシールド360、容器収納380、およびインク容器440を含む。噴射積層体320は、ろう付け部322および接着剤層340を含む。ろう付け部322は、貼り合わされた複数のろう付けプレートから形成され、そのうちの1枚が噴射積層体の前面板324である。前面板324は複数の開口を含み、これらの各開口はそれぞれインクジェット吐出器328を含み、このインクジェット吐出器328が、噴射積層体420およびヒータシールド360内の経路を通って、インク容器440と流体接続する。前面板324は、媒体ロール紙460に対向して、制御装置(図示せず)から、この吐出器に供給される電気信号に応じて、インクジェット吐出器328が、媒体460の表面464上にインク滴を吐出できるようにする。噴射積層体320の接着剤層340は、噴射積層体320のろう付け部322の背面を、ヒータシールド360に接着させ、1枚以上の接着層と、ヒータと、インクジェット吐出器328とインク容器440を流体接続させる可撓性経路とを含む。以下で説明する通り、接着剤層340は、ろう付け部322の下を延在して、前面板324からトレイ420にインクを導く段状の流路400の一部を形成する。
【0024】
ヒータシールド360は、接着剤層340により、インク噴射積層体320の背面に接着され、ヒートシンク368およびヒータ372にも取り付けられる。ヒータシールド360は、熱伝導性材料から形成されて、ヒータシールド360が、ヒータ372により生成される熱を、印字ヘッド304全体に均一に分散させ、噴射積層体320およびインク容器440も熱を伝導させることができるようにする。ヒートシンク368を、インク容器440内のヒータシールド360の背面に接触して配置して、ヒータ372により生成される熱を、容器440に伝導させてインク容器440内のインクを溶解する。ヒータシールド360は、噴射積層体320の接着剤層340の下を延在して、印字ヘッド304からトレイ420に流れるインクのための段状の流路400の、その他の部分を形成する。
【0025】
容器収納380は実質的にC形状を有し、クロス処理方向の両端を囲んで、容器収納380の開放端をヒータシールド360の背面に対して密封して、ヒータシールド360と容器収納380との間の容積を画定することができる。容器収納380内の容積により、インク容器440が形成され、インクジェット吐出器328により、インクが吐出されるまで、あるいはインクジェット吐出器328からインクが除去されるまで、このインク容器440がインク溶解組立体(図示せず)から受けたインクを格納する。容器収納380は、下部フランジ384を含み、この下部フランジ384が、下方に延在し、かつヒータシールド360の底部との結合点で湾曲し、回収トレイ420の第2の端428に向かって離れる。下部フランジ384は、容器収納380の構造保全性を高め、以下に詳細に説明する通り、インクが噴射積層体前面板324からトレイ420に流れ込むための流路400の、その他の一部を提供する。
【0026】
噴射積層体320のろう付け部322は、下面336と、前面板324および下面336の間の結合点332とを含み、これにより、インクが、表面張力により、下面336に接触して保持されるため、前面板324を流れ落ちるインクが、結合点332の周りを流れ、ろう付け部322の下面336まで流れる。噴射積層体320の接着剤層340は、ろう付け部322の下面336に接触し、その下を延在して、ろう付け部322の下面336から接着剤層340上にインクが流れることができるようにする。次いで、インクは、接着剤層340の前面から、接着剤層340の下面344まで流れる。インクは、接着剤層340の下面344に接触し、その下を延在するヒータシールド360の一部まで流れ、そこで、インクは、重力により、ヒータシールド360の下面364まで下方に流れる。容器収納380の下部フランジ384上の湾曲面388が、ヒータシールド360の下面364から流れるインクを受ける。インク内の表面張力により、下部フランジ384の湾曲面に沿って、重力により、インクがトレイ420内に落ちるまで、インクはインク回収トレイ320の第2の端428に向かって流れることができる。
【0027】
インク再循環システム442は、ポンプ444、再循環経路448、およびフィルタ452を含む。トレイ420内に回収されたインクは、傾斜したトレイのフロアを、トレイ420の第2の端428に向かって流れ落ち、フィルタ452を通過してそのインクに含まれる粒子および小片を取り除き、再利用のためのインクを用意する。インクは、ポンプ444により、再利用されるため、印字ヘッド304内のインク容器440の背面側の再循環経路448を通って流れる。
【0028】
印刷装置が組み込まれているプリンタが、除去サイクルを行うとき、インク容器440には圧力がかけられる。インク容器240内の圧力に応じて、このインクはインクジェット吐出器328から、このインクが、前面板324と噴射積層体320のろう付け部322の下面336との間の結合点332に達するまで、噴射積層体の前面板324を流れ落ちる。インクは段状の流路400を通り、ろう付け部322の下面336との結合点332、噴射積層体320の接着剤層340、接着部340の下面344、ヒータシールド360、ヒータシールド360の下面364、容器収納380の下部フランジ384の湾曲面388を巡って流れ、その後、液滴はインク回収トレイ420内に落ちる。インクの表面エネルギーにより、インクは段状の流路400を流れ、トレイ420の第2の端428に向かって流れて、その後、トレイ420内に落ちることができる。
図1
図2
図3