特許第6109009号(P6109009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイカムス・ラボの特許一覧 ▶ 大宮工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6109009-バランスウエイト装置 図000002
  • 特許6109009-バランスウエイト装置 図000003
  • 特許6109009-バランスウエイト装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6109009
(24)【登録日】2017年3月17日
(45)【発行日】2017年4月5日
(54)【発明の名称】バランスウエイト装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20170327BHJP
   F16H 1/28 20060101ALI20170327BHJP
【FI】
   B23Q11/00 B
   F16H1/28
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-168013(P2013-168013)
(22)【出願日】2013年8月13日
(65)【公開番号】特開2015-36163(P2015-36163A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2016年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】503366841
【氏名又は名称】株式会社アイカムス・ラボ
(73)【特許権者】
【識別番号】591182950
【氏名又は名称】大宮工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】片野 圭二
(72)【発明者】
【氏名】小川 裕二
(72)【発明者】
【氏名】河野 勝哉
(72)【発明者】
【氏名】宮地 健次
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−36569(JP,A)
【文献】 特開平2−72240(JP,A)
【文献】 特開2010−25268(JP,A)
【文献】 特開2009−243489(JP,A)
【文献】 特開平2−292171(JP,A)
【文献】 特開昭50−80596(JP,A)
【文献】 実開平2−23914(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00 ,
F16H 1/28− 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に接続された2組の遊星歯車機構を介して回転アクチュエータの駆動軸から与えられる回転を外部に出力することにより、駆動軸の軸心に対するバランスウエイトの位置を変更するようにしたバランスウエイト装置において、
2組の遊星歯車機構は、それぞれが互いに歯数の異なる2つのアウタギヤを備えた不思議歯車機構として構成したものであり、
前段となる不思議歯車機構において固定側となる前段固定アウタギヤの周面と、前記前段となる不思議歯車機構の外周部を覆う前段ハウジングの周面との間にネジ溝を設け、前記ネジ溝により前記前段固定アウタギヤと前記前段ハウジングとの間を互いに螺合し、
後段となる不思議歯車機構において固定側となる後段固定アウタギヤの周面と、前記前段ハウジングの周面との間にネジ溝を設け、前記ネジ溝により前記後段固定アウタギヤと前記前段ハウジングとの間を互いに螺合し、
前記後段となる不思議歯車機構の外周部を覆う後段ハウジングの周面と、前記後段固定アウタギヤの周面との間にネジ溝を設け、前記ネジ溝により前記後段ハウジングと前記後段固定アウタギヤとの間を互いに螺合したことを特徴とするバランスウエイト装置。
【請求項2】
それぞれの不思議歯車機構においては、固定アウタギヤの外周面と当該不思議歯車機構の外周部を覆うハウジングの内周面との間にネジ溝を形成し、かつ前段の不思議歯車機構と後段の不思議歯車機構との間においては、前記後段固定アウタギヤの内周面と前記前段ハウジングの外周面との間にネジ溝を形成したことを特徴とする請求項1に記載のバランスウエイト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランスウエイト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
研削盤や旋盤等のように工具もしくは加工対象物を回転させた状態で加工を行う工作機械においては、回転時にアンバランスが発生すると加工精度に大きな影響を及ぼす恐れがある。このため、この種の工作機械には、バランスウエイト装置が付設されている場合が多い。バランスウエイト装置は、工作機械の主軸を中心として回転可能に配設されたバランスウエイトと、動力源となる電動モータとの間に減速装置を備えて構成されたものが一般的である。減速装置は、遊星歯車機構を備えて構成されており、電動モータの回転を減速してバランスウエイトに伝達するものである。
【0003】
このバランスウエイト装置では、電動モータの駆動により減速装置を介してバランスウエイトの位置を変化させることにより、回転時のアンバランスを打ち消すことができるようになる。減速装置としては、より高い減速比を得るために、例えば、特許文献1に記載されているように、複数段の遊星歯車機構を直列に接続するようにしたものを適用することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−337043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遊星歯車機構の外周部に設けられるハウジングは、遊星歯車機構のメインテナンスを考慮した場合、電動モータのケーシングに対して着脱可能に取り付けられていることが好ましい。例えば、特許文献1に記載されているように、ハウジングに設けたネジ孔を介して電動モータのケーシングに取付ネジを螺合させることにより、ケーシングにハウジングを取り付けるようにした減速装置によれば、取付ネジを弛緩させることでハウジングを取り外すことができ、内部の遊星歯車機構に対してメインテナンス作業を容易に行うことが可能となる。
【0006】
しかしながら、取付ネジによってハウジングをケーシングに取り付けた場合には、ネジ孔を設けるためのスペース分だけハウジングの外形寸法を大きく構成せざるを得ず、減速装置を適用するバランスウエイト装置の大型化を招来することになる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、装置の大型化を招来することなく、より高い減速比を得ることができ、かつメインテナンス性を向上させることのできるバランスウエイト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るバランスウエイト装置は、相互に接続された2組の遊星歯車機構を介して回転アクチュエータの駆動軸から与えられる回転を外部に出力することにより、駆動軸の軸心に対するバランスウエイトの位置を変更するようにしたバランスウエイト装置において、2組の遊星歯車機構は、それぞれが互いに歯数の異なる2つのアウタギヤを備えた不思議歯車機構として構成したものであり、前段となる不思議歯車機構において固定側となる前段固定アウタギヤの周面と、前記前段となる不思議歯車機構の外周部を覆う前段ハウジングの周面との間にネジ溝を設け、前記ネジ溝により前記前段固定アウタギヤと前記前段ハウジングとの間を互いに螺合し、後段となる不思議歯車機構において固定側となる後段固定アウタギヤの周面と、前記前段ハウジングの周面との間にネジ溝を設け、前記ネジ溝により前記後段固定アウタギヤと前記前段ハウジングとの間を互いに螺合し、前記後段となる不思議歯車機構の外周部を覆う後段ハウジングの周面と、前記後段固定アウタギヤの周面との間にネジ溝を設け、前記ネジ溝により前記後段ハウジングと前記後段固定アウタギヤとの間を互いに螺合したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述したバランスウエイト装置において、それぞれの不思議歯車機構においては、固定アウタギヤの外周面と当該不思議歯車機構の外周部を覆うハウジングの内周面との間にネジ溝を形成し、かつ前段の不思議歯車機構と後段の不思議歯車機構との間においては、前記後段固定アウタギヤの内周面と前記前段ハウジングの外周面との間にネジ溝を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、別途取付ネジを要することなくそれぞれの連結部分にネジ溝を設けて互いに螺合させるようにしたため、各連結部分にネジ孔を設けるためのスペースが不要となり、装置の大型化を招来することなく、より高い減速比を得ることができ、かつメインテナンス性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態であるバランスウエイト装置の断面側面図である。
図2図2は、図1に示したバランスウエイト装置の分解断面側面図である。
図3図3は、図1に示したバランスウエイト装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るバランスウエイト装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1図3は、本発明の実施の形態であるバランスウエイト装置を示したものである。ここで例示するバランスウエイト装置は、図には明示していないが、研削盤や旋盤等のように工具もしくは加工対象物を回転させた状態で加工を行う工作機械の主軸に付設され、回転時のアンバランスを抑えるように機能するもので、回転アクチュエータである電動モータMの回転を減速するための2組の不思議歯車機構10,20を備えている。2組の不思議歯車機構10,20は、図1及び図2に示すように、それぞれがサンギヤ11,21、第1アウタギヤ12,22、第2アウタギヤ13,23及び複数のプラネタリギヤ14,24を備えて構成したものである。
【0014】
サンギヤ11,21は、各不思議歯車機構10,20の中心部に位置した小径の歯車であり、その外周に設けた歯に複数のプラネタリギヤ14,24が歯合している。プラネタリギヤ14,24は、プラネタリキャリヤ15,25に支持させてあり、個々の軸心回りに回転(自転)可能、かつサンギヤ11,21の軸心を中心として公転することが可能である。第1アウタギヤ12,22及び第2アウタギヤ13,23は、それぞれの内周面に歯を有した円環状を成すもので、個々の歯がプラネタリギヤ14,24に歯合している。図には明示していないが、第1アウタギヤ12,22及び第2アウタギヤ13,23は、互いに歯数が異なるように構成してある。
【0015】
一方の不思議歯車機構(前段の不思議歯車機構)10は、電動モータMからの回転が直接入力される前段となるものであり、他方の不思議歯車機構(後段の不思議歯車機構)20は、一方の不思議歯車機構10によって減速された後の回転をさらに減速して外部に出力する後段となるものである。以下において2組の不思議歯車機構10,20及びその構成要素11,12,13,14,15,21,22,23,24,25を区別する場合には、前段となる不思議歯車機構10及びその構成要素11,12,13,14,15に対してそれぞれの名称の先頭に「前段」という用語を付与し、後段となる不思議歯車機構20及びその構成要素21,22,23,24,25に対してそれぞれの名称の先頭に「後段」という用語を付与することとする。
【0016】
前段不思議歯車機構10では、前段サンギヤ11が電動モータMの駆動軸mに取り付けてあるとともに、前段第1アウタギヤ(前段固定アウタギヤ)12が電動モータMのケーシングMCに取り付けてある。
【0017】
前段第1アウタギヤ12の取付対象となる電動モータMのケーシングMCは、駆動軸mが突出する本体ケースMC1の先端部に取付プレートMC2を備えたものである。取付プレートMC2は、中心部に挿通孔Hを有し、かつ先端部の外周面に保持用外周ネジ溝nを有した略円板状を成すもので、複数の固定ネジBを介して電動モータMの本体ケースMC1に固定してある。保持用外周ネジ溝nは、取付プレートMC2を軸心周りに回転させた場合に螺進するように形成したものである。
【0018】
前段第1アウタギヤ12は、内周面に歯を有した円環状を成す前段第1ギヤ本体121と、前段第1ギヤ本体121を保持する前段第1ギヤ保持体122とを備えたものである。前段第1ギヤ保持体122は、略円筒状を成し、先端部の外周面に前段ハウジング用外周ネジ溝121aを有しているとともに、基端部の内周面にモータ用内周ネジ溝121bを有したものである。上述した前段第1ギヤ本体121は、前段第1ギヤ保持体122の先端部内周面に固着してある。前段ハウジング用外周ネジ溝121a及びモータ用内周ネジ溝121bは、前段第1ギヤ保持体122を円筒の軸心周りに回転させた場合に螺進するように形成したものである。この前段第1アウタギヤ12は、前段第1ギヤ保持体122の基端部に設けたモータ用内周ネジ溝121bを取付プレートMC2の保持用外周ネジ溝nに螺合させることにより、電動モータMのケーシングMCに保持させてある。
【0019】
前段第1アウタギヤ12には、前段不思議歯車機構10の外周部を覆う態様で前段ハウジング(前段ハウジング)16が取り付けてある。前段ハウジング16は、太径の略円筒状を成す前段ハウジング基部161と、前段ハウジング基部161よりも細径の略円筒状を成し、前段ハウジング基部161の先端部に連設した前段ギヤ支持部162とを一体に成形したものである。この前段ハウジング16は、前段ハウジング基部161の基端部内周面に形成した前段ハウジング内周ネジ溝161aを前段ハウジング用外周ネジ溝121aに螺合させることによって前段第1アウタギヤ12に保持させてある。前段ギヤ支持部162の先端部外周面には、前段ハウジング16を円筒の軸心周りに回転させた場合に螺進するように第2ギヤ用外周ネジ溝162aが設けてある。
【0020】
前段不思議歯車機構10の前段第2アウタギヤ13は、内周面に歯を有した円環状を成す前段第2ギヤ本体131と、前段第2ギヤ本体131に取り付けた前段出力軸132とを備えて構成したものである。前段出力軸132は、前段フランジ部132a、支持軸部132b及び軸本体132cを互いに同一軸心上となるように一体に成形したもので、前段フランジ部132aを介して前段第2ギヤ本体131の先端部内周面に取り付けてある。前段フランジ部132aは、前段ハウジング16に設けた前段ギヤ支持部162の内径よりも太径の円板状を成すものである。支持軸部132bは、前段ギヤ支持部162の内径よりも細径の円柱状を成すもので、前段フランジ部132aの先端面から突出する態様で設けてある。軸本体132cは、支持軸部132bよりも細径の円柱状を成すもので、支持軸部132bの先端面に設けてある。前段出力軸132の基端部には、前段サンギヤ11の軸部11aを回転可能に支持するための前段軸受部132dが設けてある。
【0021】
この前段第2アウタギヤ13は、前段出力軸132の軸本体132cが前段ハウジング16の前段ギヤ支持部162から外部に突出し、かつ前段第2ギヤ本体131が前段ハウジング基部161に収容された状態で、支持軸部132bと前段ギヤ支持部162との間に介在させたベアリングb1により前段ハウジング16に回転可能に支持させてある。前段出力軸132の前段軸受部132dには、ベアリングb2を介して前段サンギヤ11の軸部11aが回転可能に配設してある。
【0022】
後段不思議歯車機構20では、後段サンギヤ21が前段ハウジング16から突出する前段第2アウタギヤ13の前段出力軸132に取り付けてあるとともに、後段第1アウタギヤ(後段固定アウタギヤ)22が前段ハウジング16の前段ギヤ支持部162に取り付けてある。
【0023】
後段第1アウタギヤ22は、内周面に歯を有した円環状を成す後段第1ギヤ本体221と、後段第1ギヤ本体221を保持する後段第1ギヤ保持体222とを備えたものである。後段第1ギヤ保持体222は、略円筒状を成し、先端部の外周面に後段ハウジング用外周ネジ溝222aを有しているとともに、基端部の内周面に前段ハウジング用内周ネジ溝222bを有したものである。上述した後段第1ギヤ本体221は、後段第1ギヤ保持体222の先端部内周面に固着してある。後段ハウジング用外周ネジ溝222a及び前段ハウジング用内周ネジ溝222bは、後段第1ギヤ保持体222を円筒の軸心周りに回転させた場合に螺進するように形成したものである。この後段第1アウタギヤ22は、後段第1ギヤ保持体222の基端部に設けた前段ハウジング用内周ネジ溝222bを前段ハウジング16の前段ギヤ支持部162に設けた第2ギヤ用外周ネジ溝162aに螺合させることにより、前段ハウジング16に保持させてある。
【0024】
後段第1アウタギヤ22には、後段不思議歯車機構20の外周部を覆う態様で後段ハウジング(後段ハウジング)26が取り付けてある。後段ハウジング26は、太径の略円筒状を成す後段ハウジング基部261と、後段ハウジング基部261よりも細径の略円筒状を成し、後段ハウジング基部261の先端部に連設した後段ギヤ支持部262とを一体に成形したものである。本実施の形態では、後段ハウジング基部261の外径が前段ハウジング基部161の外径と一致するように構成してある。この後段ハウジング26は、後段ハウジング基部261の基端部内周面に形成した後段ハウジング内周ネジ溝261aを後段ハウジング用外周ネジ溝222aに螺合させることによって後段第1アウタギヤ22に保持させてある。
【0025】
後段不思議歯車機構20の後段第2アウタギヤ23は、内周面に歯を有した円環状を成す後段第2ギヤ本体231と、後段第2ギヤ本体231に取り付けた後段出力軸232とを備えて構成したものである。後段出力軸232は、後段フランジ部232a及び支持軸本体232bを互いに同一軸心上となるように一体に成形したもので、後段フランジ部232aを介して後段第2ギヤ本体231の先端部内周面に取り付けてある。後段フランジ部232aは、後段ハウジング26に設けた後段ギヤ支持部262の内径よりも太径の円板状を成すものである。支持軸本体232bは、後段ギヤ支持部262の内径よりも細径の円柱状を成すもので、後段フランジ部232aの先端面から突出する態様で設けてある。後段出力軸232の基端部には、後段サンギヤ21を設けた前段出力軸132の先端部を回転可能に支持するための後段軸受部232cが設けてある。
【0026】
この後段第2アウタギヤ23は、後段出力軸232の支持軸本体232bが後段ハウジング26の後段ギヤ支持部262から外部に突出し、かつ後段第2ギヤ本体231が後段ハウジング基部261に収容された状態で、支持軸本体232bと後段ギヤ支持部262との間に介在させたベアリングb3により後段ハウジング26に回転可能に支持させてある。後段出力軸232の後段軸受部232cには、ベアリングb4を介して前段出力軸132が回転可能に配設してある。尚、図中の符号ECは、後段出力軸232に嵌着させた抜け止め部材である。
【0027】
また、後段出力軸232には、後段ハウジング26から突出する支持軸本体232bの端部にバランスウエイト30が設けてある。バランスウエイト30は、後段ハウジング26及び前段ハウジング16の外周部を覆う大きさに構成した厚肉の円筒状を成すウエイト部31と、ウエイト部31の一端部から円筒の軸心に向けて突出した支持片部32と備えたもので、支持片部32を介して支持軸本体232bに取り付けてあり、支持軸本体232bと一体に回転することが可能である。
【0028】
上記のように構成したバランスウエイト装置では、電動モータMが駆動し、駆動軸mの回転によって前段サンギヤ11が回転すると、前段第1アウタギヤ12が電動モータMのケーシングMCに取り付けられているため、前段プラネタリギヤ14が自転しながら前段サンギヤ11の軸心回りに公転することになり、前段プラネタリギヤ14に歯合する前段第2アウタギヤ13が駆動軸mの軸心回りに回転することになる。後段第2アウタギヤ23の回転によって後段サンギヤ21が回転すると、後段第1アウタギヤ22が前段ハウジング16を介して電動モータMのケーシングMCに取り付けられているため、後段プラネタリギヤ24が自転しながら後段サンギヤ21の軸心回りに公転することになり、後段プラネタリギヤ24に歯合する後段第2アウタギヤ23が駆動軸mの軸心回りに回転する。つまり、電動モータMを駆動すると、駆動軸mの回転が2つの不思議歯車機構10,20によって高い減速比で減速され、後段第2アウタギヤ23から外部出力されることになる。従って、電動モータMの回転によってバランスウエイト30の位置を高い精度で変更することができ、主軸(図示せず)の回転時に発生するアンバランスを効果的に抑えることが可能となる。
【0029】
さらに、上述したバランスウエイト装置においては、それぞれのハウジング16,26を電動モータMのケーシングMCに対して駆動軸mの軸心回りに回転させれば、ケーシングMCから取り外すことができ、内部に収容した不思議歯車機構10,20に対して容易にメインテナンスを施すことが可能となる。しかも、ハウジング16,26の着脱に際しては、上述したように、別途取付ネジを要することなくそれぞれの連結部分12,16,22,26にネジ溝121a,161a,222a,261aを設けるようにしたため、各連結部分12,16,22,26にネジ孔を設けるためのスペースが不要となり、装置の大型化を招来する恐れがない。
【符号の説明】
【0030】
10 前段不思議歯車機構、11 前段サンギヤ、12 前段第1アウタギヤ、13 前段第2アウタギヤ、14 前段プラネタリギヤ、15,25 プラネタリキャリヤ、16 前段ハウジング、20 後段不思議歯車機構、21 後段サンギヤ、22 後段第1アウタギヤ、23 後段第2アウタギヤ、24 後段プラネタリギヤ、26 後段ハウジング、30 バランスウエイト、31 ウエイト部、32 支持片部、121 前段第1ギヤ本体、121a 前段ハウジング用外周ネジ溝、121b モータ用内周ネジ溝、122 前段第1ギヤ保持体、131 前段第2ギヤ本体、132 前段出力軸、132a 前段フランジ部、132b 支持軸部、132c 軸本体、132d 前段軸受部、161 前段ハウジング基部、161a 前段ハウジング内周ネジ溝、162 前段ギヤ支持部、162a 第2ギヤ用外周ネジ溝、221 後段第1ギヤ本体、222 後段第1ギヤ保持体、222a 後段ハウジング用外周ネジ溝、222b 前段ハウジング用内周ネジ溝、231 後段第2ギヤ本体、232 後段出力軸、232a 後段フランジ部、232b 支持軸本体、232c 後段軸受部、261 後段ハウジング基部、261a 後段ハウジング内周ネジ溝、262 後段ギヤ支持部、M 電動モータ、MC ケーシング、MC1 本体ケース、MC2 取付プレート、m 駆動軸、n 保持用外周ネジ溝
図1
図2
図3